第12回金融小委員会 議事録

平成15年5月16日開催

委員

時間が過ぎていますので、ただいまから第12回金融小委員会を開催いたします。

本日は、お手元の議事予定にもありますように、まず、先月末から今月初めにかけての海外視察の報告をさせていただきます。そのあとで、専門委員から「日本の金融業と金融税制」というテーマでご説明いただき、自由討議としたいと思います。

まず初めに海外視察の報告ですが、私と中里委員がスウェーデンとデンマークへ、会長と水野忠恒委員がカナダとアメリカへ行ってまいりました。それぞれ二元的所得税や米国の配当課税の見直し動向のほか、納税者番号制度や年金制度についても調査を行ってまいりました。金融以外のテーマもありますが、一緒にあわせて報告したいと思います。

では、若干、会長を差し置いて恐縮なんですが、私から北欧の視察内容をご報告いたしたいと思います。

お手元の「税制調査会海外視察報告(スウェーデン、デンマーク)」というものですが、4月23日から30日まで約1週間、先ほど申しましたように中里委員、それから事務局のお二人と一緒に、スウェーデン、デンマークを訪問しました。

スウェーデンでは社会保険庁、国税庁、財務省、ストックホルム大学の法学部のメルツ教授、デンマークでは、民間のダンスケ銀行、財務省、税務省、経団連に当たりますデンマーク産業連盟、コペンハーゲン大学の経済学のソレンセン教授という方々を訪問してまいりました。

中身ですけれども、主として所得税と社会保障の2つについて聞いてきたわけですが、まず、簡単に個人所得課税の社会保障関係の控除の制度についてから入りますが、両国の場合、大体同じでございまして、人的控除は基礎控除のみとなっていて、そのほかの控除は社会保険料控除ぐらいしか個人所得税にはないという仕組みになっています。

基礎控除の仕組みは両国で微妙に違っていて、ややおもしろい問題もありますが、それほど本質的ではないと思いますので、ご関心の方はあとで読んでいただいて、質問があればお答えいたします。

いずれにしても、スウェーデンの場合特にそうですが、両国とも基礎控除の水準は極めて低い。いわば所得税というのは、基本的に基礎控除と比較的フラットな税体系というものを使うことによって、累進構造の所得税を作って、それを使って所得再分配を主たる機能としているというのが両国の所得税であって、それ以外の目的には特に所得税はできるだけ使わないようにというニュアンスのことでございます。例えば社会保障制度は別途給付という形にして、税とは独立させているというのが基本的な考え方だと思います。

それから、社会保障と所得税との関係でいうと、給付のほうは両国とも基本的に課税所得になっている。若干例外はありますが、基本的に課税所得であるというのが考え方。他方、社会保険料のほうは、逆に基本的に非課税対象だという形になっています。

それから、年金制度とその課税について、もう少し具体的なことを言いますと、スウェーデンの場合には、年金制度はかつては1階と2階部分、1階が基礎年金、2階が報酬比例部分という形に分かれた日本型の仕組みであったわけですが、99年度に抜本的な制度改革を実施したところであります。新制度では、報酬比例年金のみの1階建てというのを基本的な構造にして、基礎年金はないという形にしてあります。ただし、そうすると低所得者たちがあまりにも年金が低くなるので、この低所得者層に限って、一般財源から補足的な最低保障年金という別個のものをつけ加えているという仕組みになっています。そのほかに企業年金とか個人年金制度というものが整備されています。

その改革の主なポイントは、今申し上げた点に加えて、実は報酬年金の主たる部分、16%部分が賦課部分と言われているのですが、賦課部分が概念上の拠出建てという考え方で運営されています。つまり、各個人に仮想的な年金勘定というものを作って、みなし運用利回りという、これは経済の平均賃金上昇率ですが、それで仮想年金が増えていくという架空の勘定で管理して、それで年金を給付のときも使うという形になっています。

ただ、それでやると、マクロ的に保険の収支が危機に陥ることがあるというわけで、このみなし運用利回りというものを調整する仕組みというものがあります。マクロ的に年金のバランスシートみたいなものを作って、それが事実上赤字になった場合には、このみなし運用利回りを下げるという仕組み、あるいは場合によっては上げるという仕組み、そういう形を導入して、自動財政均衡メカニズムというものを導入しているという仕組みになっています。

税との関係で言うと、先ほど申しましたように、社会保険料は所得控除ないしは税額控除という形で控除され、運用益は非課税で、給付時に課税されるという仕組みになっている。私的年金に関しては、運用益のほうにも課税される。これはデンマークでも大体似たような仕組みです。

デンマークのほうは、税との関係では同じような仕組みですが、保険自体の仕組みは、むしろ完全な税方式の国民年金というものが中心になっていて、それに加えて積立方式の年金というものがつけ加わったという形になっています。

先ほど申しましたように、税制との関係では同じような形になっていて、拠出時非課税、給付時課税、運用益に課税という形になっています。

我々の主たる関心は、それからこの金融小との関連で一番重要なのは、4ページ目の二元的所得税のお話だと思うのですが、二元的所得税というのは、前回、ある専門委員からもお話があったかと思いますが、1980年代の後半から90年代の前半にかけて、北欧で導入された税制でございます。

その背景には、ここにも書きましたように、高インフレの進行という、15%とか20%とかというようなインフレが進行して、もともと総合課税の国であったために、かつ、従来から帰属家賃課税というようなことも行っていたということもあって、両国で支払利子の控除というものが認められておりました。その結果、インフレが起きますと、利子率が非常に高くなって、支払利子の額がどんどん増えていく。そうすると、資本所得の収入に比べて支出、つまり支払利子のほうが大きくなって、資本収支が基本的にマイナスになる。タックスベースがなくなるというようなことになってきます。

それから、もう1つがキャピタルフライトの発生ということで、税収確保のために限界税率を引き上げようとすると、特に小規模で開放経済であるという北欧経済の特徴から、国際的な資本逃避が生じたということでございます。

それから、もう1つは租税回避行為というものがあって、同時に所得間での税率格差を利用した租税回避が多数生じて、この面からもタックスベースの問題とか様々な問題が生じたということになります。

そこで、二元的所得税というものが導入されたわけですが、具体的にどういうものが現実に入っているかをお話しする前に、我々なりに考えていった理念形としての二元的所得税というものを、まずお話をしようと思います。これが本当に正しい理解なのかどうかは別として、少なくとも私は二元的所得税の理念はこうだというふうに理解しています。

大体4つぐらいの特徴がありますが、1つの特徴が勤労所得と資本所得を分離する。分離するということの意味がいろいろありますが、あとでお話しするような税体系が違うという意味での分離に加えて、私個人は少なくとも勤労所得と資本所得の間の損益通算を認めない、ないしはそれをあるところで遮断するというのが分離の意味だろうと思います。

2番目が、勤労所得は累進税率とし、資本所得には低い比例税率を課す。しかも資本所得にはできるだけ一律の比例税率を課す。

3番目に資本所得内部での損益通算は全く自由にする。

4番目に、法人税率と資本所得の比例税率、それから勤労所得の最低税率を均一とする。もう少し別の言い方をすれば、この部分での損益通算についてはある程度認めるということなのだろうと思います。

今回の視察の結果ですが、我々が少し印象深かったのは、スウェーデン及びデンマーク両国では、現在、上記の理念形というのは必ずしも達成されていないということです。他方、さっき申し上げた4つの特徴というのは、導入背景というところから見たとおり、マイナスの資本所得をいかに制限するかとか、資本逃避をいかに制限するかとか、商品間の中立性をいかに確保するかとか、租税回避行為をいかに制限できるか、という問題であったわけで、そういう意味で、二元的所得税の本質というのは、むしろ今申し上げた理念形を実現するというよりも、支払利子控除をいかに効果的に制限するかとか、そういうところに中心がある極めて実際的な税制であるというのが、どうも専門家等に聞いた結果出てきた結論で、これはある程度最初から理論的には予測していたことで、理論的にはやや妥協的な産物という税でありますけれども、そういう面が実務の面からも考えられた税だと、そういう印象を受けました。

最後に、理念形としてですが、両国に共通して資本所得に高い限界税率を課すことは困難であるという認識があって、均一税率にして、しかも低い税率で実現するということをするために、実は様々な租税特別措置的な、例えば税額控除措置とか減価計算、土地譲渡益に関する特例措置などがあったのですが、それを廃止した。そうすることによって、商品間の均一性といいますか、そういうものを高めたのだということが説明された。それが重要な点であるという指摘がありました。

そういういわば理念形と比べて、では現状はどうなっているかということなのですが、まずスウェーデンのほうから申しますと、スウェーデンの場合、資本所得と稼得所得の損益通算ですが、資本所得がマイナスになった場合、それを、1クローネというのはたしか約15円ぐらいですが、10万クローネまでは30%、10万クローネ以上は21%の額を控除することができる。ついでですが、プラスの資本所得は、たしか30%よりちょっと低い、30%ですか、とにかくそのあたりの税率です。ですから、10万クローネぐらいまではほぼ損益通算しているということだと思います。

これに対する先方の説明ですが、つまりそういう意味でいうと、資本所得と稼得所得に関しては、ある程度の損益通算を認めているというのがスウェーデンの現状である。

この取扱いは住宅所有者の要求が強かったためであって、政治的に決定されたというのが向こうの主張であって、逆に言えば、二元的所得税の導入前なら全額控除可能であったものが、導入によってむしろ制限がついたというふうに言うことができるのだと思います。法人の場合には、借入金利子は損金として通算されるので、そのバランスから見て、ある程度の通算を認めることにも合理性がある。

それから、所得を二分する理念形との関係で、実は二元的所得税を採用しているために、マイナスの資本所得税は税額控除として扱っていて、所得控除としては扱っていない。そういう意味でいうと、厳密な損益通算ではない。むしろ向こうの主張としては、この資本所得と稼得所得の間のある種の通算措置は、これは特別な減税措置としての位置付けだと理解してほしいと説明されました。そういう意味では、ある種の損益通算なんだけれども、普通とは違う損益通算をしているというのがスウェーデンの仕組みです。

なお、マイナスの資本所得は繰越不可とするという形になっています。

それから、もう1つは、スウェーデンの場合、資本所得の中でも実は損益通算に制限があります。例えばキャピタルロスは70%までしか他の資本所得と通算が認められていない。あるいはキャピタルロスの中でも株式譲渡損は他のキャピタルゲインと70%しか通算が認められないという形になっています。

こういういわば損益通算の制限の理由ということですが、これはとりわけ譲渡損、キャピタルロスというものが、租税回避に利用されやすい。そのためにこうした制限がヨーロッパで一般的に存在していて、むしろ昔は100%控除可能であったものを、この二元的所得税の導入によって70%に制限したというふうに説明を受けました。

そういう意味で、問題としては、こういう損益通算とか支払利子控除というものをどうやって制限するかということが、二元的所得税のもう1つの論点である。むしろそこにプラティクカルな問題があるということが重要だということです。

デンマークですが、デンマークはむしろ二元的所得税とはあまり言えない形の税というのが私の印象でございます。どういう税制になっているかというと、3年超保有の株式譲渡益や配当というものを、一括して、資本所得でもなく、稼得所得でもない、株式所得として別個分離課税します。そのほかの資本所得は、勤労所得と合算して累進課税します。実は株式所得自体も2段階の累進税率になっていて、税率の均一性もない。したがって、そういう意味では、これは最初からある程度そうだったみたいなのですが、二元的所得税の理念とはかなり違うものであって、資本所得と稼得所得の違いは、今や勤労所得にだけ課される労働市場貢献税、年金の保険料みたいなものですが、だけだという意見もありました。

他方、株式所得は分離課税されているほか、資本所得のマイナスは勤労所得の最低税率部分、地方税部分ですが、その部分からしか控除できないように制限されています。プラスの資本所得に対しては、高い税率で累進性を採用しているから、資本所得がマイナスになった場合には、他とある種の損益通算ができるのだけれども、税率を下げるという形でバリアを作っている。これが税率がゼロになってしまえば、基本的には損益通算はできなくなるわけですが、控除できる税率を低くするという形にしていて、基本的に二元的所得税は継続しているという意見も向こう側ではありました。

スウェーデンと同様にデンマークでも、キャピタルロスは同種のキャピタルゲインとの間でしか通算が認められていない。したがって、同じ株式所得の中でも株式譲渡損は株式譲渡益との間のみで通算が可能、配当所得からは控除できないという形になっています。これの理由ですが、これも譲渡損益の実現時点が選択可能であるために、租税回避行為を抑制するためだということのようでした。

それから、ここに書いてございませんが、納番というのも多分皆様がご関心を持っていることで、納番はスウェーデン、デンマークとも導入しておりまして、労働所得、サラリーマンと思いますが、それからいわゆる金融所得等が納番で管理されています。

私が個人的に非常に興味深く感じましたのは、労働所得は雇用者から、それから金融所得に関しては各銀行とか金融機関から、当局が全部報告を受けて、それで、各個人の確定申告書案を当局がまず作成する。その作成した確定申告書の案みたいなものを各個人に送る。その各個人はそれをそのまま申告書類として当局に申告してもいいし、変えてもいいし、全く別個に自分で確定申告書を新たに作ってもいいという仕組みになっていて、半分ぐらいはそれをそのまま使っているというお話でした。これはデンマークですが、スウェーデンの場合は、そこまでは聞いていません。

いずれにしても、そういう形にすることによって、いわば国民の間の納税のコンプライアンス・コストが非常に下がっているというのが私の印象で、日本でも納番を入れるというようなことを考えるならば、国民にとってメリットがあるような仕組みというものが大事かなと。そういうことから考えると、例えば国税庁の側で、それこそ金融所得に関しては全部タックスリターンをあらかじめ作ってやって、それを納税者にあげるとか、そういう仕組みを、いわば特定口座を国税庁がやるということですが、そういうようなことも考えるほうがいいのかもしれないという感じもしました。

その上で、申しわけないのですが、あと5分か10分ぐらい使って、以上を踏まえて私が個人的にどう思ったかということについて、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。これは中里さんには全然お話もしていませんし、当局とも関係ないことなので、間違っているかもしれませんし、向こうに確認していないこともありますが、私なりのまとめをさせていただいて、少し皆様の、あるいはこれからの議論の足しになればと思います。

北欧の経験というのは、前回、専門委員からのお話もありましたけれども、インフレが非常に高くなって、その結果、1つの大きな問題としては、キャピタルフライトとかそういうものもありましたけれども、租税回避行動というものが起きたということが1つの問題だろうと思います。

具体的に私が考えた例ですが、例えばこういうことが起こったのだろうと思います。例えば、実質利子率が5%で、他方、インフレで15%だというようなことになりますと、名目利子率は20%ぐらいになってしまう。そのときに60%ぐらいの限界税率があると、税負担は20%の利子率に60%の限界税率ですから、12%になってしまう。そうすると、アフタータックスの名目利回りは8%ですね。ところが、15%のインフレですから、実質利回りは-7%というマイナスになってしまうわけですね。つまり、非常に大きなインフレがあると、インフレに対応した利子率、何のリターンにも反映しない利子率に課税がされるために、その分だけ非常に大きなマイナスの収益になってしまう。そうすると、マイナスの利子率ですから、貯蓄するより借金したほうが有利だということになって、お金を借りて、例えば5%の実質収益率でもある不動産を購入してみましょうと。そうすると、利子支払は20%ですから、5%の収益しかないのだったら、収支は-15%ということになります。

もちろん、本当はそんなことはないわけで、これは帳簿だけの問題で、なぜかというと、実際は不動産のキャピタルゲインがあるのですが、この部分のことを考えれば、キャピタルゲインがたくさんあるので、収支は本当はプラスになっている。だけども、プラスになった収支は未実現なので、未実現のキャピタルゲインには課税できないということで、課税されない。そこで、帳簿上といいますか、課税書類上は-15%の損というのがそのまま出てくる。そこで、この赤字を使って、例えば株式のキャピタルゲインなどと損益通算する。そういう形で、お金をどんどん借りていって、それでキャピタルゲインで出てきたような、例えば本来払うべきタックスをどんどん帳消しにするから、タックスベースがどんどんなくなっていくという仕組みなのかなと。

そこで、私が考えるいわば教訓ですけれども、そこで重要なのは、多分制度面で3つぐらい、判断基準で3つぐらいの問題があるのかなと思います。

1つが、制度としては税率を低くしなくてはいけないという問題。低税率ですね。それから、もう1つが一律の税率という問題。それから損益通算という問題。この3つの問題が大事かなと思います。それから、判断基準としては租税回避の問題とタックスベースの問題、それから資源配分の効率性という3つの問題。

どういうことかというと、まず第1に、インフレ率が高いと、さっき言ったような理由で、資本所得に高い税率を課すことができない。高い税率を課すと、インフレの部分に税率を課してしまうので、それは何もないところに税率を課すことになるので、マイナスのリターンになる。いろいろな問題が起きますから、それはできないので、資本所得には低い税率を課すという形をせざるを得ない。これが二元的所得税が生まれてきた1つの理由かなと思います。

2番目に、さっきの例でいえば、実現しない限り課税されない不動産と、常に課税対象になる金融資産の間で、つまり異なる商品間で様々な租税裁定、アビトラージということが起こるわけですね。そこで、そのときに異なる資産間で税率が異なると、当然、それを使った租税回避行動というものが生まれてくる。そこですべての資本所得に同率の税率という二元的所得税を入れましょうという話になってくる。

ただし、もちろんさっきの話ではありませんが、名目と実質の問題とか、実現された所得か未実現かとか、確定収益か変動収益かとか、個別資産特有の特徴というのがあって、これは例えば名目の資産と実質の資産というようなものの間の税率調整ということをきちんとするためには、インデクゼーションをしなくてはいけない。実現対未実現ということは、未実現のものに関しても課税するというようなことをしなくてはいけない。確定と変動に関しても、リスクの問題に対処しなければいけないというようなことが本当はあります。

いずれにしても、そういうことを一応除けば、資本所得には基本的には同率の税率をしないと、租税裁定でどんどんいろいろな問題が起きるので、特に租税回避が起こるので、同率の税率にしないとまずいということになるのではないか。資本所得、法人所得、稼得所得の最低税率を一律化するというのも、基本的に似たような理由だろうと思います。

それから、そういう意味での租税裁定行為としての租税回避行為というのは、実を言うと、税率を等しくするという形ではなくて、むしろ、例えばさっきの例でいえば、不動産所得と譲渡所得の損益通算を認めないという形でも対応できるわけですね。つまり損益通算を分類してしまえば、損益通算はその間ではできなくなりますから、そういうことが可能だと。日本はそもそも分類所得税なので、そういう意味での租税回避行為というのは、日本ではむしろ少ないのではないかというのが私の印象です。北欧の問題というのは、むしろ包括所得税を使ってきた。損益通算をそもそも認めてきたということに、そもそもの問題があったかもしれない。

そのときに、今日本で議論されているように、日本にいわば二元的所得税を入れるということをすると、どういうことが起こるかということなのですが、そもそも、今言った理由で分類所得間の損益通算を認めない。租税回避は低いし、タックスベースはあまり侵食されないという問題はあるのだけれども、他方では、お金の様々な商品間での流動性が失われるといいますか、あるいは収益率が異なってしまうというような言い方でもいいのですが、要するに資源配分の効率性が失われてしまう。そこが多分今日本で問題になっているのだろうと思います。

逆に言うと、日本みたいな国で、そもそも損益通算を認めていない国で、二元的所得税を入れて損益通算を認めると、資源配分の効率性は上がるけれども、他方では租税回避が起きたり、タックス・イロージョンが起きたりする可能性が実はあるのではないか。問題は、これらのバランスが問題であって、だから北欧でも一部で損益通算を制限しているのかなというのが私の印象です。

分類所得型の日本でも、実はこの租税回避というのは問題になっている部分もそれなりにあると思います。あるいは潜在的に問題になる部分もかなりあると思います。

1つは、これは個人所得税より法人所得税の方が顕著ですが、例えば同族法人等で支払利子控除を通じた租税回避ということが行われています。有名な同族法人なんかで、不動産をどんどん購入して、それを売り払いもしないまま、借入金でそれを購入して、いわば法人の中身に資産をため込んでいくというようなことが可能だと。個人所得税の場合にも、それほど顕著ではないかもしれませんが、住宅ローン控除というものが行われていて、住宅優遇措置がある種の租税回避行動というふうに考えられなくはないかもしれません。

他方、今の日本の「貯蓄から投資へ」という問題意識からは、損益通算というのは国と個人のリスクシェアリングという側面もあります。そういうことで、今のあまりにも貯蓄偏重の日本ということから考えると、ある程度のタックスベースの減少はやむを得ないとして、リスクシェアリングを認めたほうがいいのかもしれない。そういう意味で、問題はどこまで損益通算を認めるのか。資本所得同士に限って損益通算なのか、資本所得間でもある程度の制限をするのか、というようなことが問題かもしれません。

それから、もう1つは、株・債券対預金というような視点からいうと、2つのことが、あまり言われていないけれども、けっこう重要かなと思います。1つが資産需要面の租税回避誘因というのと、もう1つが資産供給動機です。どういう種類の資産を購入したいというふうに人々が思っているかというと、法人税や住宅ローン控除等による租税回避の可能性ということがあると、借入に対する過度な選好が生まれてくる可能性があります。それが日本の預金偏重の1つの理由かもしれない。だとすると、むしろ支払利子の控除を認めること自体に問題があるのではないかと思わなくもありません。あるいは北欧の経験を見ると、そもそも支払利子の控除を認めることが、様々な租税回避の可能性を生み出しているという面がある。

だとしたら、むしろ抜本的にこの問題を解決する1つのやり方は、例えば支出税とか、あるいはもっといいのはフラットタックスみたいなものにして、資本所得を非課税にする一方で、支払利子を非控除にしてしまうというような形にすれば、タックスベースのイロージョンも避けられて、かつ、資本所得は非課税ですから、むしろ収益率が高くなって、貯蓄よりも投資、預金よりも株・債券のメリットは、投資家にとって増すという面があるのかもしれません。ただ、これは抜本的な改革なので、かなり現実的には大変かもしれません。

それから、最後に、逆にそういうフラットタックスとか支出税みたいにして、支払利子を控除できないという形にすれば、今度は資金調達をする側からいっても、借金で資金調達をするよりも、株式等による資金調達をしたほうが有利になる可能性があって、そういう意味で、供給面からも貯蓄から投資へということになるのかもしれないなと感じました。

やや個人的な感想に立ち入って、しかも長時間にわたりましたけれども、それが私の感想でございます。

それでは、以上を踏まえまして、15分か20分ほど皆様のご意見やご質問をいただきたいと思います。どうぞご自由にご発言いただければと思います。何かご質問、ご意見ありますでしょうか。

委員

先日、ヒアリングをした際に先生がノルウェーのお話をされたときに、今日は小委員長からお話はなかったのですけど、自営業者とか同族会社においてどういう配分をするかということに関しては、みなし収益率みたいなものを使って分けてやっていますというお話だったのですが、スウェーデンとデンマークでは、どういう形で工夫をしているのですか。

委員

実はそこはヒアリングの対象としては特に詳しくは聞かなかったところなんです。心は、日本で一番関心があるのは、日本型金融所得税なのかなと。そうすると、事業所得との通算というところは、そんなに表に出ないのかなというふうには思ったことがあって、あまりきちんと聞かなかったのですが、たしか私の記憶では、スウェーデンは、投資部分に関してリターンをインピュートして、それで残った部分を事業にするのか、何かそういう形だったと思います。いずれにしても、労働と資本部分、どちらかをマーケットレートでインピュートしてしまって、それで事業所得に関しては2つに分ける。これはスウェーデンでやっている、あるいは北欧でほとんどの国でやっていることだというふうに私は理解しています。デンマークはやっていないそうです。

委員

3つほど小さい質問ですが、先ほどの北欧の例は、インフレでキャピタルゲインがある世界だったと思うのですけれども、日本はこれからしばらくデフレでキャピタルロスということになると思いますけれども、それの観点。

それから、2番目は、デンマークでは金融所得とか勤労所得を税務署の方が個人に伝えるということは、その時にキャピタルゲインなどはどういう形で捕捉されているのか、もしおわかりになったら教えていただきたい。

それから、3番目は、最後の小委員長の個人的なご意見で、例えば資本所得を非課税にすると、これまでの借入から株式発行というようなところにいくだろうと。それは、株式や社債で発行できる企業であればいいと思うのですけれども、中小企業のようなところは、やはり銀行依存しかできないと思いますので、そういう点は少しあるかなと思いました。

3つです。

委員

すぐにお答えできるかどうかわからないのですが、最初の、当時の北欧はインフレで、今の日本はデフレではないか、だからずいぶん状況が違うのではないですかというのは、まさにおっしゃるとおりで、例えば我々がインタビューしたソレンセン教授なども、今の日本でどういうメリットがあるのかよくわからないねというニュアンスのご発言もありました。ですから、二元的所得税が本当に効果を発するのは、インフレのときだろうと思うので、何かうまく仕組まないと、必ずしも日本を活性化する種として使えるかどうかは、やや疑問があるかもしれないというのが私の印象です。

それから、税務署がキャピタルロスを押さえているのかどうか、どういう形で押さえているのか。これはあまりきちんとこの部分に関するヒアリングをしていないので、具体的にはわかりません。ただ、一応金融機関からのそれなりの申告なり、つまり金融機関と国税庁との間の情報のやりとりという中からそれをとらえるのかなというふうに私は理解していますが、確認をする必要があると思います。

それから、最後の私の個人的な意見として、支出税型といいますか、支払利子を控除をなくした時に、中小企業に対してどうかという問題ですが、確かに中小企業と大企業との間で少し差が生まれるかもしれないので、そういう意味で、そもそも利子非課税というのは、プラスの場合でもマイナスの場合でも非課税になるという話で、今の現状の利子課税はプラスでもマイナスでも課税というものと比べると、資本所得に対する取扱いを課税から非課税にするということにすると、当然、そういうプラスでもマイナスでも同じ方向へ動かさなくてはいけないということにはなるのですけれども、その過程で大企業と中小企業との間の差が生まれてくるということは、当然気をつけなければいけないことだろうと思います。

私自身は、そういうことはもちろんあるのだけれども、ただ、単に損益通算だけを認めてしまうというような仕組みでいくと、かえって、1つはタックスベースがかなり少なくなってしまうということと、租税回避行動みたいなものが生まれてくる可能性がむしろ強まるような気がするので、そこが非常に気になります。だから、逆の極端としてそういうことについても考えてみてはいかがでしょうか、というのが私の申し上げたかったことであって、当然、考える経過の中では、おっしゃるようなマイナスも、オールターナティブにはあることが分かるだろうと思います。

委員

2点ほど。

今のお話をお伺いしていますと、環境変化に対応して制度を税収確保のためにいろいろ変えているという印象が非常に強いわけですけれども、その中で、経済活性化というような視点はあるのか、ないのか。明示的にはここに書いてなかったものですから、税収確保という観点で、いろいろ制度を柔軟に環境に対応して変えていくというようなことで起きている現象の1つと考えていいのかどうかということです。

それから、もう1つ非常におもしろいなと思いましたのは、納番でタックス・コンプライアンス・コストを下げるために、結果的に下がっているということで、当局が資料作成してそのまま使う人も多いということ、これは両国ともそういうふうにやっているのかどうかということ。

これは今後ITがどんどん進んでくれば、非常に簡単にできるようになる可能性があるわけですよね。これはほかの国でもしお分かりになれば、どのぐらい進んでいることなのか、新しい動きなのか、そしてこれに対する評価がその国でどうだったのかというあたり、ちょっとお教えいただければと思います。

委員

実はデンマークで我々が聞いた話を主に今日はお話しをしました。スウェーデンでは実はその件に関しては聞かなかったと思います。ただ、私が書類から理解した限りでは、基本的にデンマークと同じことがスウェーデンでも行われていると思います。

国民の評価というのは、どうでしたか、プラスでしたかね。プラスです。例えばデンマークの場合ですけれども、2001年の場合、当局から来た原案を変えたり、つけ加えたり、修正した人というのは、6%しかいないということなので、非常に評判は良いということですね。ほかの国の評価に関しては聞いておりません。

ただし、ある意味では当局側としては割り切りが必要で、自分がつかめなかったものは、相手は申告してこないというのは当然のことですから、そこは諦めるしかないのだと思います。どっちにせよ同じこと、要するに脱税行為は脱税行為として別個取り締まるしかないのかなというのが私の印象であります。お答えになりましたでしょうか。

それから、前半ですが、経済活性化という話よりは、さっき申しましたように、この当時の北欧というのは、まずバブルがあって、インフレになって、しかも破裂する前後に、税制の側からどう対応すべきかという形で出てきたのがこの仕組みなので、そういう形では聞きませんでしたけれども、私の理解では、活性化の問題というよりは、むしろインフレにどう対処するかというところから出てきた税制だというふうに理解しております。

委員

言い方を変えると、例えばインフレが収まってデフレになると、制度をまた柔軟に変えるというようなことも考えられるのですか。

委員

ですから、少しずつ、例えば損益通算とかいろいろなところでスウェーデンなんかは変えてきているという面はあるのですが。ただ、デンマークはともかくとして、スウェーデンの場合には、まだ骨格は残している。それはやはり、それ以外にも、例えばキャピタルフライトの問題といいますか、小国で開放経済ですから、こういう部分で言うと、資本所得に関してあまり高い税はかけられないという認識はあるように見受けました。だから、インフレがすべてではないけれども、インフレが契機で入った税だと。それをもちろん修正はしてきてはいるけれども、やはり北欧としては、一応それなりに普通の包括所得の累進型よりは、こちらのほうが良いと今でもある程度思っている。少なくともスウェーデンなんかはそう思っているというのが私の印象でございました。

委員からもし何か追加したコメント等がありましたら、今の点でも、あるいは前の点についても、コメントいただければと思います。

委員

大したポイントはないですが、この要約は非常によくできていて、所得控除が少ない、社会保険等の給付についても課税する、二元的所得税というのは理論的な話ではないのだということで、非常にクリアで、そもそも二元的所得税と聞いたときにあやしいなと思っていたのですが、そのとおり、理論が制度を支配するなんていうことはあまり多くはない。よほどの革命期でなければ。あとは執行の問題とかが大きくなると思うので、アメリカの1986年改正でレーガンがやった課税ベースを広げて利子控除を制限するというのが北欧で起こったことが二元的所得税だというふうに思います。

したがって、日本はもうもともと、住宅ローンの利子とか特別措置的なものは別として引いていないのですから、そういう意味では取り入れる必要はないということですね。

それから、先ほどの先生がおっしゃった課税庁のほうから申告の雛型というか、書いた紙を送ってくるということですが、日本もやっていますよね。大抵のサラリーマンは、課税庁がやってこないで企業がやってくるだけですから、日本の方が進んでいるのではないかと思いました。評価はいろいろあると思いますが。

委員

最後の点で1つだけコメントすると、日本の場合は、稼得所得に関してはそれをやられているんですよね。金融所得はやっていないという、そこが納番がないということのメリット・デメリット両方あるのだと思います。

ほかにご質問、ご意見ありますでしょうか。もしなければ、そろそろ時間ですので、次にまいりたいと存じます。

次は、アメリカ、カナダのご報告です。

委員

小委員長の話、大変興味深く聞いておりましたが、やはり所詮、北欧と北米は国の規模が違うから、スウェーデンは700万人ぐらいでしょう。デンマークはせいぜい500万人でしょう。カナダで3,500万人で、アメリカは億単位ですから、今言った課税当局がちゃんと納税者のために調べて、日本でいう固定資産税みたいに調べてやってやるなんて、考えられないですよ。そういう意味で、条件が大分違うということを最初に頭に入れて私の話を聞いてください。

基礎問題小委員会でもご報告しましたが、時間が大変限られたので、あまり細かく説明しませんでしたが、15分か20分ぐらいいただけるようなので、少し資料に即しましてまめにご報告したいと思います。

約1週間、ちょうど月曜から金曜まで調査できまして、オタワとワシントンDC、それは首都でありますから、財務省とか歳入庁とか様々な、いうなれば霞ヶ関みたいなところがあり、プラス、シンクタンクの研究所もいっぱいあるという、そういうところへ行ってまいりましたので、集中的に極めて効率的に調査できたと思います。私のほかに水野忠恒さんと、それから、お二人の若い強力な助っ人を付けてもらいましたので、極めてスムーズに動けたと思っております。

そこで、いろいろなことを聞いたのですが、まとめ方としましては、カナダとアメリカに共通するものとして年金の問題、納番の問題、それからアメリカについては、例の配当二重課税の撤廃の問題が今やホットイシューであります。それから、カナダについては、GSタックスに絡む様々な問題の中からいくつか取り上げた。こういう段取りになっております。そういう意味で、北欧とは取り上げた対象が違うので、直接比較できる箇所は納番ぐらいのところかなとは思っております。

そこで、まず、社会保障と税制というところが最初のテーマで、年金の制度をこと細かにと言っていいぐらい調べてまいりました。

まず、カナダの年金は完全に3階建てでありまして、そういう意味では日本に似ているんです。1階がここに書いてございます老齢基礎年金、Old Age Security Pensionというもので、これは保険とは言いつつも、完全に税でやっていますから、日本の基礎年金の3分の1を2分の1にしようなんていうのではなくて、100%税金でやっているわけでありまして、これはある意味では全国民階層に広がっている、いわゆる基礎年金ですね。

それに一部、ここに書いてあるGIS(Guaranteed Income Supplement)という補足給付年金がくっついておりまして、これはもちろん所得制限がある。これは一種のキャッシュ・ベネフィットでありまして、低所得者向けの所得保障ですね。これがくっついているのが1階建て。それから、2階建てはCanada Pension Planという、CPPと通常言っておりますが、これは保険で払う、言うなれば完全な年金ですよね。これも広く使われております。それから3階建てが、これは参考になりますが、いうなれば税による優遇措置を入れた適格私的年金、つまり税を使って年金の裾野を広げようという話でありまして、これが3階へ乗っかっている。日本でいえば厚生年金みたいなものだと思っていいのですが、実は3階に分かれていて、対象者というか、主として念頭に置く国民層が違うという意味で、あとから申し上げますが、非常によくバランスがとれていますよね。

そこで、1階建てのところは、今申し上げたように全国民を対象とするわけでありますが、高額所得者にはクローバック・システムというのがあって、ここで申し上げると、5万7,000ドルをちょっと超えると、だんだん減額されるようなシステムになっております。それから、先ほど申し上げたように、低所得者層にはGISがあるわけでありますから、この基礎年金である種の所得再分配みたいなことをやっているということです。

それから、2階建てのところはCPPで、これはまさに保険料の年金らしいもの。賦課方式でやっているわけですが、ただ、1ページの下から2つ目に書いてあるように、保険料率を9.9%に固定して将来大丈夫だという自信を持っているわけです。そのためには、かなり保険料を計画的に上げてきましたし、それから、例の運用のほうで、株式も含めてかなり高収益を目指すという、日本のいうなれば年金ファンドの運用の仕方というのをかなり長期的な意味でやっているという形でございます。

そういうわけで、この9.9%というのは甘すぎないかという話も聞いたし、それから、「日本なんかはしょっちゅう人口推計を間違えているから、これは5年ごとに変わってしまうのだけど」と言ったら、向こうは「ロバスト」とか言って自信を持っていましたね。つまり、出生率であるとか、平均余命のことについては、かなり自信のあるようなことを言っていました。ちょっと将来見てみたいと思いますが。それが崩れると、この9.9%というのははっきり言って危ないんですよ。日本もしょっちゅうそれを変えているわけですから。

それから、2ページ目にいきまして、年金課税はもう入り口でかけないけど、出口でちゃんと取るというしっかりしたシステムになっておりますので、一部それに対して崩しているところもありますが、それなりに理屈はちゃんと通っていると思います。

そこで、我が国に対してどんなコメントがあるかということで、ここが非常に重要なのですが、さっき申し上げたように、1階というのは、いうなれば高齢の低所得者あたりを念頭に置いてちゃんとやっているわけですね。2階は、ちゃんと拠出して将来年金を払えるという意味では、中所得者層の退職後の所得保障というのを念頭に置いている。それから、リプレイスメント・レイシヨが7割ぐらいを考えているということですね。

それから、3階建ては、かなり高額所得者を念頭に置いて、タックス・ディファーラルですね。要するに、個人貯金をしておくと、それはちゃんと所得税を取られますけど、これを入れると非課税になって、そのかわり給付をもらう段階でかけられるという意味では、税の遅延ですよね。それが極めてはっきりしているというところで、ウェルバランスだと威張っていましたし、しかるべき国際機関からは、カナダのペンションシステムは世界一であると言われていると、誇らしげに言っていましたが、見ればそんな感じもいたしますね。そういう意味で、税金を使うところ、保険でやるところ、それから税を使うところ、何かそれなりの哲学があって、我々にとっても参考になるかなと思っています。

アメリカのほうは、こんなにすっきりしたものではなくて、アメリカはご存じのように、老齢・遺族・障害保険としての例のOASDIというものがあって、これは報酬比例でやっているわけですよね。これはある意味では一番大きな塊で、一般勤労者、自営業者、みんな対象にしてやっているわけです。公務員はまた別にあったと思いますが。そのほかに、やはりカナダと同じように、私的年金を税でやろうと、タックス・アシステッドなんていう言葉が出ていましたけれども、そういう形の税を使って何か私的年金の幅を拡張してやろうと、こういう形の発想で、この点はカナダと似たようなことだなと思いました。

それから、年金の課税のほうですけれども、OASDIの一般的な年金給付の場合には、年金給付の半分と他の所得を合算して、ここに書いてあるように、3万2,000ドルを超えると、今言った50%部分を総所得に入れて課税の対象にするといったような制度があって、その後、これを少し累進的に算入するといったようなこともやりまして、いずれにしても年金課税を強化していますよね。

それから、有名なIRAがありますけれども、そのほかに2001年5月に、これはまだ実現していなかったと思いますが、パーソナル・リタイアメント・アカウントとブッシュが言っておりまして、この辺の話はこれからだんだん出てくると思います。

ただ、OASDIも10年か15年先には赤字になるのではないかという推計があって、これをめぐってすでに民営化して切り抜けようとか、いや、やってもしようがないのではないかという議論があって、これはこれから大いに議論を呼んでくると思います。

この民営賛成論者はCATOのインスティチュートであって、それを訪問した直後に今度はブルッキングスへ行ったら、「とんでもない、ばかな話だ」と逆なことを言っているので、いろいろ話がおもしろかったのですが、これは当面話は決着がつかないと思って帰ってきました。これは議論の中でどうなるかですね。

そこで、あといろいろな人と、IMFへ行ったり、そういう形でアメリカの専門家グループと議論した中で、やはり日本の高齢化がすさまじい勢いで進んでいるとよく分かっている。かつ、日本の経済運営はうまくいっていないという話も分かっているから、まず経済を回復軌道に乗せないと年金の話ではないだろうという、いたく同情されたような調子で言われまして、結局は給付カット、保険料引上げ、なんていう話でしょうねと言いつつも、やはり年金制度そのもの、例えば退職の時期をずらす、あるいは年金受給の年限を引き上げるなんていう方が先ではないですかというようなことを、年金自体に即するというよりは、外観のほうでかなりコメントをもらったという印象はいたします。

これが年金で、どちらかというとカナダのほうが参考になりますね。3階建てということも含めてですね。

それから、納番です。納番は税調としても非常に関心事項でありまして、たしか三度目ではなかったかな、納番の調査出張をしたのは。ちょうど15年ほど前だと思いますが、私、カナダとアメリカに行って、それから、ちょっと時期をずらしたかもしれませんが、北欧のほうも行ったので、納番についてはかなり各国の事情を頭に入れていたのですが、正直申しまして、納番の対象とする範囲が非常に広がっているという印象です。そういう意味では、納番制度がますます税制の中で根を生やしているというか、根をおろして、それなりに税務行政を助けているという印象です。

まず、カナダですが、Social Insurance Numberと言いますから、SIN、「シン」と言っていますよね。当然のことながら、何が意義があるかといえば、各種の所得を支払側と受取側、両方から申告させてマッチングする。これはかなりの幅でやっていますね。つまり、資本所得以外に賃金所得あるいは財産所得も含めてやっていて、番号がないとこれはできないだろうと、このように私は思っております。

それから、利用範囲は税だけではなくて、社会保障も含めてかなり広範にやっております。一応法律でたしか25分野に限定している。これはたしか15年前に行ったときもそんな数だったと思っています。つまり、番号を使っていいよという許可をできる範囲は25分野ぐらいでありまして、そのうちかなりの部分が社会保障で占めているという意味において、社会保険番号という言葉どおりのものが実際に行われていると思います。

それから、プライバシーに関しては、プライバシー・コミッショナーというのがいて、何か訴えがあればそれなりの配慮をし、議論しているという点ははっきりしているようであります。

そういう意味で、日本はまだないんだよという話をし、これから入れたいという議論をしているのだということになりまして、いろいろ利点を挙げてくれたわけであります。ただ、カナダもGSタックスを持っていて、GSタックスの中まで納番を使ってやる気ならやれるわけですよね。仕入れと売上げがあるわけだから。そこまでは当然考えていないのだという話をしておりました。

それから、納番についてはアメリカのほうが先輩格でありまして、今申し上げた内閣歳入庁でいろいろマッチングしているわけですが、15年前には、少なくとも利子・配当・キャピタルゲインの3つだけが税に関しては主たる対象であったんです。今はそれがどんどん広がっておりまして、先ほど申し上げたように、カナダと同じように、様々な他の所得にまで話が広がっているという事実でありまして、これなくして税務行政の公平は保てないところまでいっています。

ただ、納番はかなり社会保障給付あたりにも番号を使っていろいろやると、例えば例のチャイルド・タックス・フレジット、子女税額控除なんていう際にも、どういう子どもにやるというようなことまでつけますから、生まれた途端に付番をしているというケースが多々ある。ここに書いてありますように、病院にもすでに申請書があるというようなことを言っておりましたし、そういう意味で、市民生活にまでこの番号は入っていますね。たしか15年前に行ったときに、一般のごくごく普通の市民と議論すると、「プライバシーが非常に問題になるのだけど」と言ったら、「やはり税務が本題であって、プライバシーを理由にして納番を入れないのは、何か後ろめたいからじゃないですか」なんて言う人がいましたけど、そういう意味からいって、今しっかり入り込んでいると思います。

一応、ホームページでも取れるのですが、IRSがやっていいよというのが今27項目あるという意味で、ずいぶん私の想像以上に項目が多くなったと思います。

これは余談なんですが、私は30数年前にミシガン大学にいたときに持っていたんですよ、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーを。「忘れちゃった。俺の番号はどうなっているのか」と聞いたんですよ。そうしたら、ちゃんと申請すればやるよと言っていました。ということは、抹消しないんですね。死んだ人の番号まで抱えているらしいですよ。そういう意味で、まだまだ無限に、たしか9桁だったかな、番号は十分あるから大丈夫だと言っていまして、死んだ人までちゃんと持っているのも重要なのだそうです。あとの親族関係や何かをチェックする意味で。

そういう意味で、日本が仮にやるのだったら、100年ぐらい番号のスペースが埋まらないぐらいのことを考えて、一旦やった人からは剥奪しないとか、また再申請があればやるよというぐらいなシステムを作っておいたほうがいいかもしれないと思いました。個人的なところを聞いたらいくらか言われたので、今さらもう一回もらってもしようがないけど、お土産にはなるのかなと思っていました。

それで、アメリカの場合は、IRSが税務当局でやっていて、それから、社会保障庁(Social Security Administration)、これはメリーランドにあって、そこまではるばる出かけて行ったわけです。15年前に行ったときには、そこのコンピュータ・システムから全部見せてくれたんですよ。カードをどうやって操作しているとか。すごく高速なスーパーコンピュータで、カードの付番から訂正から、バーッとやっているのを見せてくれたのですけど、今回見せろと言ったらだめだと言われまして、それだけ守秘義務が高まっているから、よほど事前に申請があって、目的がはっきりしていないと見せられないというわけで、残念ながらその現場は見せてもらえませんでした。

全国で15か所か20か所リージョナル・オフィスを持っていて、そこから絶えず情報が上がってきて、そこに来て、死んだ・生きたも含め、住所変更も含め、ワーッとやっているというのが、このSocial Security Administrationのオフィスでありました。

といったわけで、番号については、この国を見ていると、かなり定着して、歴史的にはもう40年ぐらい歴史を持っていますから、当初はいろいろあるかもしれないけど。

しかし、正直言って、マッチングするというのはずいぶんコストがかかりますよね、はっきり言って。番号の維持自体も大変だし、それから、課税所得も10や15ぐらいやるわけでしょうから、それにかけるマッチングのコストというのは、仮に日本でやるとすると国税庁がやるのでしょうが、そこで納税者全部やるわけですから、そこがどこまで……。日本の場合は源泉がかなり入っていますから、そんなにマッチングすることはないのかもしれませんが、ただ、源泉徴収義務者が本当にやっているかどうかということになれば、給与所得だってやる必要があるかもしれない。時々医療診療所や何かでごまかしている例があるから。そういうことをやり出すと大変だと思いますが、しかしこれも税務の公平を保つためのデモクラティックなコストだと言っていましたし、そこは国民にちゃんと理解してもらえば、かえってこういうことをやってもらっているから、税務は正確だよという、そっちの方向で浸透すべきでしょうね。

大分時間を使いました。あとはアメリカについては、配当の二重課税の撤廃問題と、カナダについてGSタックスに絡む話を大急ぎで説明いたします。

アメリカは、今、配当二重課税の撤廃問題で血が上っているらしくて、ほかの話題を提供してもすぐこっちへ行ってしまうんです。どこへ行っても。財務省へ行っても、下院の委員会へ行っても、ブルッキングスへ行っても、CATOへ行っても、こういう感じでした。

そこで、ご存じのように、まだ下院と上院で意見が分かれていまして、そもそも減税額の話でかなり差があるんですよね。今月中にけりをつけると言っていますが、この間の新聞によれば、当初のブッシュ案というのは、何か実現しそうもないですね。単に撤廃してしまうのではなくて、税率を下げるといった程度でお茶を濁すのかなという感じがいたしております。

実はこれはグレン・ハバード、この間CAの委員長を辞めた人が、10年ほど前に今度訪問いたしましたライオンさんという方の前のポストに座っていた人なんですが、正式には財務省の主税局の担当の次長ですが、この人も学者で、メリーランド大学かどこかを教えたと言っていましたが、そのハバードさんのアイデアを引き継いで今回やったということです。

二重課税を平気でやっていた国がなぜ急にそんなことをやったか、ちょっと皮肉に聞いたんですが、建前上は資源配分の歪みをなくすためだとか、あるいは利子でやるか、株式でやるか、どうもこの辺の歪みがあって、株式投資が不利になっているから直したのだと言っていますが、では、何で受取配当で調整したかというと、これもシンプルな説明でしたけど、ご存じのように、企業段階でゼロにするか、受取段階でゼロにするか、あるいは日本みたいに税額控除を使って両方で調整するか、あれは今個人段階のみでやっていますけど、あるいはヨーロッパのようにインピュテーションでやるか、様々あるのですが、ハバードさんのやつは、一番これが簡単だというので、受取配当控除法を使ったということですね。これはある意味では国民にアピールする、そして個人投資家はウェルカムというところを狙ったようであります。

そこで、何か面倒くさいんですよ、いろいろな算定の仕方が。この執行方法の[1]に書いてあるキーワードはExcludable Dividends Amount (EDA)。これはどういうことかというと、例えば100ドルあるとすると、35ドル、法人税で35%取られますね。残り65ドルがこのEDAなんですよ。EDAまで個人段階非課税で配当していいよという、ここに書いてございますように、不算入の配当枠がございますから、ここまで税がかからない範囲だと。ところが、50ドルぐらいしか配当しない会社もあるとすると、15ドル内部留保になると。内部留保に当たるところも調整してやろうと、アメリカ人らしく律儀なんですが、アメリカ人って律儀かな、よくわからないけど、まあその辺を厳密にやろうというわけですよ。

15ドル分を、今度はちゃんと内部留保した場合もみなし配当として、それを個人のほうに還元する。何で調整するかというと、いうなれば取得価額ですね。株の取得価額のほうを上方調整してキャピタルゲインを消してしまおうと。つまり、35%すでに100ドルのうちにかけているから、キャピタルゲインのところでまたかけると二重課税になるから、そこを調整しようと、こういうことを考えているようであります。

問題はそんな面倒くさいことを誰がどうやるかということになると、これはやはり金融機関とか証券会社にこの辺の業務を委託するという形で、できるのかねという疑問に対しては、もうすでにインフォメーション・リポートなんかを出させてやっているから大丈夫だろうと、これは極めて楽観したことを言っていましたね。

さて、この効果等々については、株価が5%から10%程度株価は上がるのではないかという予想を立てていますが、これに対してはやはり賛否両論あって、短期的な活性化というよりは、長期的な資源配分の効率性の復活というのを目指して、成長等々に資するためにやるのだと。したがって、あまり短期的なことを言うのは好ましくないというのが大体の専門家の意見のようです。

ただ、レベニュー・ニュートラルでやるべきだというのが、賛成派も反対派も言っているわけでありまして、やはり財政赤字は、アメリカはまだ日本ほど大したことないと思いつつも、何で日本人がこんないっぱい赤字を出して心配しないで、アメリカ人がそこそこのやつで心配しているかというのは、非常におもしろいんですけど。まだアメリカはGDP比で財政赤字というのは数%でしょう。日本みたいに7、8%いっていませんからね。それは配当課税を支持するCATOのニスカネンも、ここは悲観していましたね。

そういうわけで、これからどういう格好になるか、この5ページの下に書いてあるように、いうなれば上院案と下院案が大分違って、これからどういうふうな調整をするかというところが問題だと思います。

最後に、数分時間を使いましてカナダのGSタックス。Goods and Services Taxというのがあって、ポイントはいくつかあるのですが、1つは、もう定着したよという形ですね。カナダでは、あえてカナダ的なことをいうと、GSタックス・クレジットというのがあるんですね。ただ、これはある意味でクレジットの意味は、正確に訳すと税額控除ですから、消費税を払った人から税額控除してやるという建前ですけど、ご存じのように、所得税とか法人税と違って直接税ではありませんから、納めた人は業者ですから、消費者はわからないわけですね。したがって、クレジットというのは、ある意味では消費税を納めたであろう額をキャッシュ・リファンドしてやろうという、これはある意味では低所得等者層に対する現金給付なんですね。これをGSタックスと引っかけて議論している。こういうことであります。

そういう意味では、日本でいうと、生活保護費とかその類、あるいは地域振興券を思い出せばいいのかな。そういう類だけど、カナダは非常に中央省庁が仲良くやっていますから、日本も仲良くとは言わないけど、いうなればヒューマン・リソース・エージェンシー、日本でいうと厚生労働省と今言った関税歳入庁あたり、お互いのいろいろな情報で、今言ったキャッシュ・リファンドもあるよといえば、HRAですか、そこがちゃんとやるという仕組みになっていまして、これはそれなりに機能しているようであります。

それから、もう1つご紹介するのは、Harmonized Sales Taxという、これはもうお聞きになったとは思いますが、HSTという制度が今入り込んでおりまして、これは、カナダは州のレベルで小売売上税を持っているわけですね。小売売上税と付加価値税は課税ベースは同じであるというのは、理論的にははっきりしているんですね。細部の調整は必要ですが。つまり、付加価値税、カナダでいうとGSタックス、日本でいうとコンサプション・タックスは、ずっと多段階で送ってくるわけですね。製造から卸、小売へ来て消費者まで来るんですが、その課税ベーストータルは、小売の段階で小まとめにすれば小売売上高になるんですね。そういう意味で、アメリカは小売売上税を入れているし、カナダも連邦でGSタックスを入れたのに、州のほうでまたこれを持っているんですよ。ある意味ではタックス・オン・タックスだという批判がありますが、タックス・オン・タックスの批判にこたえるというよりは、手間が大変だということで、ここに書いてあるように、ノヴァスコシアとニューブランズウィックとニューファンドランド、3州が合意を取り付けて、Harmonized Sales Tax、多段階の付加価値税のGSタックスの連邦税と、小売段階の中レベルの小売売上税を一緒に払わせる。つまり8%と7%というやつを、まとめて15%小売段階で徴収してもらう、こういう話になったということであります。

ただ、これはまだそれ以降進捗はしていないようですね。というのは、小売売上税は小売売上税独特の例の州際で取引されるものがどうだとか、サービスがどうだとか、電商の取引とかいろいろあるし、その辺で手間はいいのだろうけれども、お互いの欠陥をどう解決して合体するかというあたりの議論が、まだ十分ではないのかなという感じはいたしております。

これはある意味では日本の地方消費税に似たようなアイデアですが、ただ、根本的に違うのは、根っこが独自の税であって、それをドッキングしたということだと思います。

そういうわけで、これがざっと見た感じで、1つ忘れましたけど、アメリカだったかな、日本で納番を入れるなら、最初からしっかり守備範囲を決めておけよというアドバイスをもらいました。つまりカナダもアメリカも、社会保険番号とか社会保障番号というのを入れて、どんどん広げていって税務に使ったわけだから、パッチワーク的にいろいろ範囲なり使えるルールを決めていったのだけれども、やるなら初めからびっしり使える範囲を限定しつつ、それから、プライベートな使い方も限定しつつ、はっきりしたほうがいいのではないかと、こういうことであります。

最後に1分使いまして結論ですが、何が印象的かといいますと、私はやはり税を使って私的年金をやるルート、今日本で確定拠出年金が企業型と個人型があって、これを広げろとか何とかという議論がありますが、それに税調がどう乗るかという問題があるのかもしれませんが、カナダ、アメリカを見ると、年金制度を補完するという意味で、特に日本は個人貯蓄あるいは個人の金融資産を山のように持っている人がいるわけでありますから、これをうまく年金に移してやればという意味で、このタックス・アシステントのプライベート年金というのは、これから非常に考える余地はあると思いますね。

それから、カナダは年金もしっかりしているし、税もしっかりしているという印象を持ちました。どの範囲かというのは限度が難しいけれども、低所得者に対して、さっき言ったGISという賦課年金給付とか、あるいは消費税のところ、GSタックスのリファンド問題とかがあって、それなりに低所得者層をしっかり保護したあとで、がっちりほかからもらいましょうというような発想をとっていますから、そういう意味からいうと、日本も少し参考になる考え方かもしれない。ただ、もうすでに生活保護でちゃんと面倒を見ているじゃないかという話があれば、その辺はどう理解するかですけれども、そんな印象を持ちました。

以上です。

委員

ありがとうございました。

それでは、今のご報告に対して、ご自由に質問や意見をちょうだいいたしたいと思います。いかがでしょうか。

よろしければ、事務局にアメリカの……。

事務局

先ほどのご報告の5ページでございます。一番下に(5)で「出張時点における審議状況」となってございます。実はきのう米国議会、上院のほうで動きがございましたので、簡単にご報告申し上げます。

まず、上院と下院で分かれているということで、下院ベースでは5,500億ドル、上院では3,500億ドル、このようになっているわけでございました。下院のほうは5月の9日に本会議で減税案を可決しております。七千数百から5,500億ドルに落とす方法として、ご指摘のように、配当にかかる最高税率を15%にするという案で可決をしております。

実は日本時間の昨晩、上院で可決がございまして、かなりせめぎ合いがあったようでございます。結果を申し上げますと、2003年が半分非課税、来年は全額非課税、4年後はまた全部復活するという、まずは落っことすのですが、4年後には全部戻すという案で、かつ、どうもマリッジペナルティー、所得税の扱いの減税、これを縮小するというようなことで、この3,500億ドルの範囲に何とか収めるということで、配当につきましては、下院のほうが税率を落とす、上院のほうは段階的に全額なくすのだけれども、あとで戻すという案で、上下両院それぞれの審議が終わりました。

これから両院協議会がスタートします。まだ先行き不透明でございますが、配当についての議論が、やや今までの局面とは違ってきているということもございまして、引き続き我々ウォッチングしたいと思っております。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。

お願いいたします。

委員

納番に関してですけれども、それぞれの国では本来社会保障の番号をベースにして拡張してきて、番号をもらう側からいくと、もらうほうと払うほうという形で、ある程度の見た目のメリットがあるように思うのですが、先ほど最後に、日本で入れるなら、税だけのしっかりしたものにしたほうがいいというような……

委員

いや、そういう意味じゃない。社会保障にどこまで使えるか。番号自体が歳入歳出ちゃんと使える守備範囲を決めておけというんです。税だけじゃないんですよ。

委員

わかりました。ポイントは、税だけ、ないしは日本の場合、年金とまた別に作るとなると、二重の制度と、受ける側にとってのメリットというのがどういうところにあるのか。

委員

日本について言うなら、年金番号あり、住基番号あり、2つ番号を持っている国なんてないですよ。本来なら、番号を作るならどっちか一本でいいと前から言っているのですけど、作っちゃいましたから、あとはカナダ、アメリカみたいに、だんだん税務に使えるというふうに持っていくしかないと思いますよ。その過程で当然イメージは、年金番号であり、住基番号、つまり住民サービスのためだということを表に出して、それを広げる範囲で税務目的というふうに持っていくのでしょうけど、これは大変だと思います。ただ、それしかないから、これからのせめぎ合いだと思います。

委員

どなたか。どうぞ。

委員

細かいことになりますけれども、アメリカは景気がよかったときは、キャピタルゲインとかずいぶんいろいろ出てきたと思うのですけれども、この1、2年下がってきたわけです。それに対して今回のいろいろの視察の中で、どういう形でこれを変えていくかとか、そういうような意味でのインセンティブ税制みたいなものはなかったのかどうかということが1つ。

2番目は、先ほどの納番に関係するのですけど、日本で一番反対しているのは、自営業者とか中小企業とか、そういうところで進まないのでしょうか。あと政治家もいるのでしょうか。どういうふうになっているのか。

委員

前段のほうは、ブッシュさんが再選を狙って、親父の二の舞いを踏まないように景気を刺激して何とかという時によく使われますよね。僕は政治家はやはり株式市場も含めてインセンティブという狙いが非常にあるけど、ただ、建前上は長期のアメリカ経済の発展のために、資源配分が有効に使われなければいけないという「歪みなくし論」、これがやはり表には出てくると思います。大体アカデミックな人はそっちへ行っていますからね。短期の株価値上げのためにやるということについては問題だという人は、けっこうアカデミックな人にいます。

と同時によく言われるのは、ビル・ゲイツだけ大金持ちにするような配当の二重課税の撤廃はけしからんという所得再分配面の問題はありますよね。そういうことで、さっき言った上院の巻き返し等々はそんなところに影響がきているのかなという感じがします。

それから、日本の納番問題は、もうかれこれ十何年前から議論しつつ、番号そのものがなかったから、あまり進捗していなかったのだけど、番号はもうできたんですね。さて、これからというときになると、やはり日本人というのはプライバシー問題で市民団体レベルでいろいろな議論をしていますから、そっちのほうで意外に抵抗があるのかなという気はしますけど、どうですかね、いざとなると、自営業者も含め、金融機関も手間が面倒だとかという話になってくるかもしれませんね。これはこれからだと思いますね。

忘れていました。委員、何か補足することがあったら言ってください。

委員

1つは年金制度で、会長言われましたように、カナダの3階建てですけれども、非常にうまくいっているなという感じを持ちました。ただ、年金というのは20年、30年の計画でありますので、先ほど会長が言われましたように、9.何%という数字が予測が外れた場合にどうなるのかという問題はあると思います。

それから、アメリカですが、年金制度は、前に聞いたのは、非常に頼れるのはソーシャル・セキュリティーだけであって、あとは当てにならないということですが、特に税金でインセンティブを与えて、年金の仕組みはいろいろあるのですが、1つには、例えば取締役といったような役員が、今、報酬でもらいますと、非常に高い累進税率がかかりますから、それを年金の形で先送りして受け取る。そういう形の年金の仕組みがいろいろ発達しているわけです。

果たして本当に会社を辞めたときに、今勤めている会社の企業年金が受け取れるかどうかというと、これはどうもあやしいみたいで、ですから、最終的には、ソーシャル・セキュリティーは国で統一されていますけれども、あとは本当にポータブルなものなのかどうかということ、いろいろ様々で、場合によってはだまし合いであったということ、これは全然調査とは関係ありませんけれども、いわゆる年金の2つの側面ですね。1つは退職金の一種としての退職年金であるということと、もう1つは、給与、報酬を先払いするという形で、そのほうが税金を繰り延べることができるということがありますので、その2つをどういうふうに区別して、うまく仕組んでいくのかなという問題があろうかと思います。

委員

ありがとうございました。

ほかにどなたかいらっしゃいますか。では。

委員

カナダの年金についてのご紹介があったのですけれども、税制適格年金というのは、いわば確定拠出型の年金で、これについてどんどん依存度が高まっていて、我が国でもこういったものを広げていくということは、非常に私も、株式とかそういった間接金融から直接金融への道を開くために意味があると思うのですが、このCPPと呼ばれる、保険料を拠出して給付をもらうというこれは、要は国の厚生年金的なイメージですよね。これは株式運用を相当やっているということなのですが、これに対する批判、いわば日本で言われているような公的年金が株式を運用することに対する批判とか、もっとそれを私的な年金に移すべきだとか、アメリカの部分民営化なんかと同じで、そういう議論はないのでしょうか。

委員

カナダのほうで年金資金運用委員会に行ったのを書いていないね。落ちていますね。ちゃんとそこへ行って調べてきたんですよ。

前段のほうですけど、確定拠出ではなくて確定給付もあるんですよ、この3階建て。これは1ページ目のカナダの制度設計の中で、3階部分でRegistered Retirement Savings Planというのと、Registered Pension Planとありますね。多分、RPPの方が確定拠出のみだけど、前の方、RRSPの方は両方選択制であると言っていましたので、やはりあとから入ったのが確定拠出なんですね。

それから、今言いましたが、正確に何でしたか、カナダ年金資金何とか委員会でしょう。インベストメント・ボードですね。僕は遅れて行ったので、委員説明してください。

委員

確かに基本的には株に投資するということがはっきりと出されておりました。投資信託ということもあるというお話でしたけれども。だから、はっきりと委員会で利回りのよさそうなものを、リスクを考えた上で選択をする。ですから、おっしゃったご質問のとおり、株に運用されるということは、中心的なものであったと思います。

委員

自信たっぷりですよ、僕から言わせれば。株にやったって、ちゃんと儲かればいいじゃないかと、やり出してからこれだけ利回りが上がったという報告をしていますからね。それはそれでそのときの立場の人が言うのだろうけど。

委員

今のカナダの年金ですけれども、ここにございますように、1階と2階と合わせて、退職時収入の7割を代替する。保険料は9%ぐらいだと。日本の制度から見ると、夢のような感じがします。本当にもつのかなという……。日本ほど企業体系が年功序列でなければ、退職時の7割でもいけるのかもしれませんが、それにしても日本は5割とか6割とかですね。6割弱だと思いますが。すばらしいなと思うのですけれども、何かマジックでもあるのか。

委員

やはり出生率がまだ高いんですよ。それから移民でしょう。だから拠出してくれる人をいっぱい潜在的に養っているわけですよ。僕はポイントはそこだと思う。アメリカもカナダも。今、日本は1.35~1.36とか1.37といっているでしょう。あれが2に近い数字プラス移民ですから。だから、これから考えるべきことは、やはりもらうほうの側でなくて、納めてくれる人をいかに増やすかがポイントですよ。僕はカナダのそれを見てそう思いましたよ。したがって、人口推計が一番重要だと言ったら、「絶対大丈夫だ」と自信を持っていて、9.9%でいいと言っているわけですから、日本は20%いくらになって、放っておくと30%になってしまうというミザラブルな状況ですけど、そこは根本的に違います。日本の1960年代か70年代初めぐらいの状況が続くという前提でしょう。夢ですね、日本からいうと。

委員

移民は少し考えたほうがいいんじゃないかな。

ちょっと時間が押してきているので、手短にお願いします。

委員

さっきの事務局のお話で、今、アメリカで決着しつつあるのは、もうキャピタルゲインの取得価額云々とか、ああいうのは全く廃棄されているということでしょうかね。

事務局

下院のほうは、キャピタルゲインのほうの取扱いは、配当と同じようにやはり税率をいじるというものになっています。取得価額調整ではなくてですね。

それから、ちょっとわからないのですが上院のほうは、配当については、いわゆる最初の1年は半分、あとは全額非課税、4年後には全部また戻すという案になっており、キャピタルゲインに関する調整はないようでごさいます。

委員

日本とカナダの違いですね。制度的にはかなり似ているし、片一方はうまくいって、日本はうまくいっていないというのは、今おっしゃったように、状況がずいぶん違うのだろうと思うので、そのまま真似ができないというところがあるのだろうと思うのですが、1つだけ国庫負担の問題で、例の基礎年金のあれと絡んで知りたいのは、1階部分の一般財源というのは、全部タックスでカバーされているということですか。

委員

そうです。全部です。

委員

では、日本の年金構造の先行きの非常に見通しが暗いことや何かで、拠出が悪いというような、そういう問題はないということですね。

委員

ないんです。

委員

わかりました。

委員

ありがとうございました。

まだご議論もあろうかと思いますが、時間の関係もありますので、次の議題に移りたいと思います。

それでは、専門委員から、「日本の金融業と金融税制」というテーマでプレゼンテーションをお願いします。よろしくお願いします。

委員

お手元に2つ資料がございます。1つは1枚紙の「金融小12-1」というのと、それから、少し厚めの「金融小12-2」という表がありますので、まず最初に「金融小12-2」の表のほうを見ながら一通り説明させていただいて、それから1枚紙に戻りたいと思います。

この厚いほうの資料は、一番下のところに1ページ目から最後が14ページとついておりますので、それを見ながら、私は金融のほうが専門ですので、そちらを中心にいきたいと思います。

まず、表の1は、よくご承知の、日本とドイツ、アメリカ、フランスと、いろいろな金融資産の配分を見たものであります。左側の真ん中が定期性預金、貯蓄性預金ですが、ドイツと日本というのは75年ぐらいには大体同じような比率でありまして、左側が多かったわけですが、ドイツの右側を見ていただきますと、最近では一番上の株式を除く有価証券が増えていますし、右側の株式も増えていますし、一番下の投資信託、これも増えていまして、日本と似ていたドイツが左側から右側に移っていった。こういうところがございます。

アメリカは、ずっと数字を見ていただきますと、左の特に預貯金、真ん中のところの左は非常に低くなっておりまして、右側を足しますと、5割以上が右側で、やはりリスク商品に動いているということであります。

それから、次はさらに直近の2ページ目のところ、縦軸でございますけれども、これはアメリカと日本に関しまして、2002年の12月のところで見たものであります。上が日本、下がアメリカでありますが、1つの大きな特色は、現金・預金、これがまず非常に大きいというところです。

それから、下のほうにいきますと、保険・年金のところで日本とアメリカを比べていただきますと、やはり運用の資産の側での株式の比率は、先ほどのお話にありましたけれども、年金・保険のところはアメリカは大きいということになります。

それから、次のページ、3ページ目を見ていただきたいと思います。これはもう少し詳しく家計の資産選択を見たものですが、先ほどの4か国の比較をさらに最近まで見たものですが、日本の場合が預貯金が56%、アメリカの場合には株式が30.8%、投信が12%、それから債券が10%。半分以上がこういう資産である。預貯金の比率が13.4%であります。

それから、3ページの下の表でありますが、投資信託の資産構成でも、やはり株式・出資金、主に株式でありますが、ここでの運用が非常に大きいことになっております。日本の場合には、対外証券投資とありますが、これがほとんどがドルのTB、アメリカのドルの資産に偏っているということがあります。

次は4ページをご覧いただきたいと思います。これは年金と保険の運用の構成比を見たものでありますが、アメリカの場合には44.7%が株式・出資金、それに対して日本の場合には22.6%。この中で日本の債券はほとんどが国債ですし、それから、一番上の対外証券のところは、アメリカのTBなどの国債が多いわけです。ですから、そういう意味では、非常に国債中心の運用であるということであります。

それから、同様に下の保険のほうを見ていただきましても、日本の場合には株式が少ない。それから貸出が多い。それに対しまして、アメリカの場合には株式、それから債券での運用が多い。こういうようにやはり公的な部門も個人部門もリスクを取るという部分が少ないと思います。

それから、次に5ページ目の図の1を見ていただきますが、これが日本の家計のいろいろな金融資産の配分であります。

1つだけ注意していただきたいところが、一番下には現金です。それから、下から2番目の白いところが普通預金、通常貯金です。これ がここ1、2年で増えていますのは、ペイオフが定期性預金に適用されまして、それ以降、やはり普通預金が急激に伸びてきております。ですから、そういう意味では、元本保証のリスク回避という形が日本人には非常に強いということがわかると思います。

上から4番目ぐらいに大きいところ、これが保険・年金ですので、保険と定期性預金、それから普通預金が大半であると。その中でもさらにリスク回避の行動が出てきているというのが5ページ目であります。

それから、6ページ目は、こういう金融資産の配分を考えるときには、郵便貯金と全国銀行の預金のいろいろな資金の配分が問題になります。これはちょっと細かくて恐縮ですが、計量分析で47都道府県の時系列で見たものですが、重要な説明変数としましては、郵便局の支局数、全国銀行の店舗数比率というのが2番目にございますが、ここは有意な変数になっております。

それから、金利差。そして、金利上昇期ダミーというのが右から3番目の説明変数にございます。これは郵便局が定額貯金を持っていたことによりまして、それで金利上昇期あるいは金利下降期で大きく郵貯シフトが起こる。金利の下降期ですね。そういうことがここの中で非常に明らかになっております。ですから、そういう意味では、郵便貯金の優位性は、やはり店舗数、10年ものの定額貯金、それが固定金利であったというところが、ずいぶん大きな説明要因になっていると思います。

ただ、今後でありますけれども、公社化されたあとですけれども、個人国債が現在いろいろな金融機関で販売されるようになってきておりまして、この個人国債の商品性が定額貯金に非常に似ております。ですから、そういう意味では、今後はおそらく郵便貯金へのシフトというのは相当減ってくる可能性はあると思います。

次のページ、7ページ目であります。このような金融機関の選択に関しましては、ずっと日本銀行の金融広報中央委員会が毎年アンケート調査をとっております。これはマルティプルチョイスで、一番大きな理由が80.4%、利便性で金融機関を選ぶ。それから、6番目が安全な金融機関であるかどうか。それから、2番目の全国的な店舗展開かどうかということです。しばらく前は6番はほとんどなかったわけですが、ここ5、6年非常に高い数値になっております。それから、7ページ目の4番目のレート・オブ・リターンは非常に今低くなっておりまして、もうちょっと前ですと、レート・オブ・リターンがあったのですが、ここはほとんどなくなり、(1)と(2)と(6)に移ってきているというのが現状です。

それから、8ページ目でありますが、先ほどドイツが1ページ目のところで、間接金融から直接金融、あるいは市場型間接金融に移ってきたわけですが、ここには大きく3つの理由があります。1つは、90年代の初めに民営化の株式がドイツで発売されました。ドイツテレコムのようなものです。それまで株式を買ったことがなかった個人がこういう商品を初めて買ったと。その商品の株価が上がったということです。

それから、2番目は、ドイツなどのヨーロッパはユニバーサル・バンクでありまして、銀行と証券の垣根がなく、店舗も同じところでありますので、預金をするのも、こういう証券の商品を買うのも、あまり違和感がないということです。

それから、3番目は、90年代はヨーロッパ全体が非常に景気がよかったものですから、初めて1番目のドイツテレコムを買った個人が、ほかの株式もやってみようと。そういう中でいろいろなヨーロッパの株式を買うことによってうまみが出て、そのために間接金融から直接金融に行ったという面があります。

それから、次は産業構造の変化というのを9ページ目と10ページ目で見ております。恐縮ですが、10ページを先に見ていただきたいと思います。なぜ金融業とかサービス業が重要かということを申し上げたいと思います。イギリスの産業構造の変化を10ページは見ております。上からずっと下がってきているのは、製造業が下がってきております。それから、右にずっと上がっているところは、金融・保険、不動産業です。ですから、まさにイギリスは製造業が衰退する中で、金融業、保険業、こういうところで稼いでいるというのが非常に特色でありまして、アメリカも同じような図が描けます。

1ページ戻っていただきますと、ちょっと見にくくてすみませんが、9ページです。下から4番目のところに、日本で一番最後に5%で動いている数字がございます。これが19番目の金融・保険業であります。一番最近のところで5%で動いているところ、それが89年ぐらいに高くなっています。まさにバブルのときに高くなり、その後また停滞している。これが日本の金融・保険業であります。

それから、一番上に最近上がってきているサービス業、上から2番目の上がっているところは不動産業、真ん中ぐらいから下がってきているのが卸・小売であります。ですから、そういう意味では、やはり日本は金融業あるいは保険業で稼げていない。不動産がこんなに高いというのはおかしいのですけど、そういう構造であるということがおわかりになると思います。

ですから、こういう中でもし日本がアメリカ、イギリス型に戻っていくためには、何とかして金融、サービス業、保険業、こういうものを育成しない限りはいけないのではないかというのが私の問題意識です。

そういう中で11ページを見ていただきますと、いろいろ株に対する税制の変更がありました。それがここに書いてありますように、例えば平成8年度の改正、10年度、11年度、13年度、それから15年度の改正と、こういうようにいろいろ株の変更が行われております。こういうのが本当に日本の株価の上昇に効いていたかどうかというのを少し計量的に見てみようと思います。

12ページを見ていただきたいと思いますが、これはグラフで見たものです。上のほうにガタガタ動いていますが、これは四半期のデータですので、GDPの伸び率を見たものですが、ご承知の90年代初めまではずっと上がってきていますが、そのあとやや下がり気味。

それから、下のほうをガタガタ動いていますのは、株価の日経225の上昇率を見たものです。一番古いところを見てみますと、72~73年のオイルショックのあたりのときに、非常に過剰流動性がありまして、そこの上昇率はすごく高かったわけです。それから、バブル期の87年から90年にかけてが高かったわけです。

変動率を見ますと、96~97年、それから2000年のあたりでも大きな変動が出ております。

それから、13ページでありますが、これは株式の売買高、売買株数を見たものでありますが、やはり一番高くなっているところは、89年、88年、バブルのときが高くなっております。

それから、2000年のところで一時大きな流れがある。こういうのが株の売買高であります。

最後に14ページを見ていただきます。横向きでありますけれども、ここは株価の変動を、先ほど平成10年からいろいろ税制改正があったわけですが、時間の関係がありまして、ダミー変数を使いながら、その効果が本当にあったかどうかというものを見てみました。手書きで説明変数と書いてありますが、コンスタントが定数項です。DのGDPJAPというのが2番目にあります。これはGDPの動きです。DEXCが為替レートの変化、それからinvdR10JAPと書いてあるのが金利の逆数であります。これは10年物国債です。それからDUMの98年が平成10年までをゼロとしてそこから1、99年が平成11年の改正、それからDUMの01が平成13年の改正、DUMYUTORI、これが平成11年の有取税の改正。一番最後が株価の予想を見ております。

そうしますと、税のところですが、効いているのが99年、平成11年ですね。それから、下から2番目の有取税の平成11年、そこのところは効いている。ところが、13年のところはマイナスに有意になっておりまして、平成10年のところもマイナスになっております。ですから、そういう意味では、いろいろ税の改正があったのですが、効いているときと効いていないときがある。これは一応そのほかの景気要因とか為替要因、それから予想の要因は取り除いた形でやっておりますが、先ほどの図の税の改正のところにもう一度戻っていただきますと、11ページのところですけれども、このように最近で見てみますと、3、4回ほどの改正があったわけですけれども、上がっているときと下がっているときということで、必ずしもこれが全部効いていたというわけではないということであります。

最後に、こういうものを踏まえまして、1枚の紙のところの、私の資料の「金融小12-1」をご説明させていただきたいと思います。

「金融小12-1」のところでは、1と2は今説明させていただいたものであります。

それから、3のところでは、先ほどのイギリス、日本の経済の成長の要因を見たわけですが、やはり金融業で稼げる構造にならなければ、おそらくイギリス型、アメリカ型には日本はならないと思います。

それから、あともう1つ日本の下手なところは、海外資産の運用がほとんどうまくできていない。4のところに書いてありますが、括弧のところのHome Country Bias、特に日本の場合には国内中心の資産運用で、あとは海外で運用するとすれば、アメリカのTBが中心であります。ですから、非常にこのHome Country Biasが強いということです。

ただ、こういう中で1つ懸念していますのは、極端に動く可能性も日本の場合にはあります。ですから、日本経済がこのまま弱いと、ある一時点でどっと海外に出ていくという可能性はあると思います。

それから、所得課税と金融課税の、先ほどの説明がありましたが、2番目の資本蓄積の影響、これはアメリカでよく議論されるのですが、北欧ではあまり議論されなかったと思います。この議論も私は金融課税を考える場合に重要ではないかと思います。

それから、3番目が足の速い所得。これは今のところは日本はHome Country Biasであまり海外に出ておりませんが、景気が非常に悪い状況が続きますと、足の速い所得として海外に急に逃げていくという可能性もあるということは、十分に知っておく必要はあると思います。

それから、次はちょっと式を書きましたが、4-1は、勤労所得と金融所得、これを両方同じ税率のtyというのでやった場合であります。この場合には、ちょっと専門的ですが、予算制約式を平行に動かすというのが、この予算制約曲線をLとK、あるいはCの傾きでいきますと、同じに平行に動かすというのがこの所得課税だと思います。

私は勤労所得と資産所得は税率が分けられたほうがいいと思うのですが、(2)のようにいたしますと、この場合には資産所得に対する別の税率をつけることによりまして、例えば将来的に日本の金融資産が海外に相当逃げ出し始める、そういうときには、この資産所得の税率を変えることによって、日本に呼び戻すということは可能だと思います。

それから、さらには、これは平行に動かしませんので、いろいろ政策的に資本と労働の配分、こういうものを変えようとするときには、(2)式のようなtwとtrという税率が異なったほうが私は自由度が高いと思います。

それから、3番目は、こういう金融所得は、結局は資本蓄積へと影響するわけであります。それが(3)式でありまして、K(t-1)が一期前の資本ストック。それに対して貯蓄が行われ、その貯蓄の部分が資本蓄積へとさらに向いていくということであります。ですから、その意味では、金融資産の課税の場合にも、資本所得にプラスに影響を与えるところへの資金の配分ということを考える必要があると思います。

4-4は、その中で資本の重要性を考える場合には、LとK-Xと書いてありますが、これが海外に直接投資として逃げる部分であります。ですから、これが1つ日本の場合には重要だと思います。ですから、資産所得として逃げる部分と、それから実物の投資として逃げる部分、これはやはりレート・オブ・リターンとか、そのほか労働賃金とか全部あると思いますけれども、その部分が日本にはこの90年代非常に大きかった。

それから、4番目のところは、貯蓄する場合に、海外の金利、それから、ここにはちょっと書きませんでしたが、為替レートの予想、それから日本の税率、こういう3つの要因が、国内、海外、足の速い資産に対しては影響を与えると思います。

次は5番目のところですが、4番目のところでは資本に対する課税、それから勤労所得に対する課税ということであったわけですが、5番のところでは、ではその資本の中ではどういう課税であるべきかということだと思います。ここで一番重要なことは、先ほどの資本蓄積への資源配分に歪みを発生させない。これが私は重要だと思います。つまり、日本の資本蓄積を一番高めるようなところに対して、中立的な、資金配分を歪めないような税率であるということだと思います。

そのときには、ここに書いてある預金、保険、株式、いろいろあると思いますが、特に商品間の中立性を保ち、レート・オブ・リターンに従って、我々個人が一番レート・オブ・リターンの高いところに配分するということだと思います。それこそが(3)式あるいは(4)式である資本ストックを最大限に高め、効率性を高める。それが日本の景気回復にもつながると思います。

それとの関連で6番目にまいりますが、そういう意味では真のリスクがわかる体制に日本では金融資産の配分がなっていないということであります。先ほど日本は預貯金中心だと申し上げましたが、それは安全資産であると思われている預貯金が、本当にリスクを評価されていない。あるいは国債のリスクがきちんと評価されていない。そのためにリスクだけが表面的に出る株式とか投信、こちらのほうのバイアスがかかってしまうと思います。

それは何を言っているかといいますと、3行目のところですが、破綻金融機関の不良債権比率というのは、これまで1992年から日本では180金融機関が破綻しております。その破綻した金融機関の不良債権の比率は44%であります。ということは、現在は普通預金であれば全部返ってくるわけですが、それでも、そのうちの440万は結局は税金で見ているということを個人が認識していないと思います。ですから、あたかも預金は安全資産であると、こういうふうに思っているわけですが、本当はその裏ではリスクがあり、それを国が抱えているというわけです。

ですから、5番目に戻りますと、本当に中立的に資金を配分させるためには、そういう表面的には安全資産と見えているような資産に関しても、リスクがあることをきっちりと国民にわからせるようにしませんと、バイアスがかかる。このために私は日本では預貯金あるいは国債に非常にウエイトが移り、それから、本当にリスクの見える株式投信などに資金がいかない。こういうことになっていると思います。

ですから、そういう意味では、6の一番最後の矢印に、直接金融のほうが資金配分が効率的かどうかということも含めまして、やはり本当にリスクがわかるようにし、それから資金配分をしていくことだと思います。その中で、預金あるいは金融機関の資産の場合には、金利と税と、それからおそらく手数料という、こういう3つの問題が入ってくると思います。金利と手数料と税ですね。利子、配当、キャピタルゲイン、手数料、税。ですから、税だけで例えばインセンティブを与えようというのは、私は難しいと思います。

ですから、ここの結論としては、本当にリスクがわかるようにすること。それから、手数料と利子、配当、キャピタルゲイン、税、こういうものを全部バランスさせて、そこが最もいいところに資金が配分されるような、そういう形の税体系であり、また金融資産の配分であることが必要だと思います。

それから、7番目ですが、長期的な税収の増加、Balanced Budgetへの途ということですが、これとの関連でいきますと、金融所得への課税は、おそらく非常にプロシクリカルであると思います。ですから、そういう意味では、景気がいいときには、利子収入、配当収入、キャピタルゲインが入りますから、税収も増えます。それから、逆に景気が悪いときには、今のようにゼロ金利で非常に金利収入が少ない。そうなりますと、課税される金融課税の税収も非常に少なくなると思います。

ですから、金融課税というのは、税収の目的というよりは、やはり資金配分を中立的にさせるということが短期的には重要だと思います。ただ、長期的には、日本の金融業が再生し、そして、海外でも金融資産を運用できるように日本がなってくれば、おそらくこの金融所得の税収というのも長期的には重要な税収の1つになってくると思います。私はそうしなくてはいけないと思います。

最後は、税による金融業再生へのインセンティブということですが、やはりこれは特定の産業に対して、あるいは特定の金融資産に対して、税だけでいろいろインセンティブを与えるというのは、これまで申し上げましたように難しいわけで、全体のバランスを考えながら中立的な税でありませんと、最終的には資金配分に歪みを生じさせてしまうということになると思います。

以上です。

委員

ありがとうございました。

それでは、今の委員のプレゼンテーションに対しまして、どうぞご自由に質問、意見等をちょうだいしたいと思います。

では、どうぞ。

委員

3点ほど、いろいろありますけれどもまとめて。あまり時間がありませんので。

1つ、経済成長するために金融業のシェアが大きくならなければいけないということですけど、これは日本が経済成長していたときも金融業のシェアというのはかなり低いわけで、金融業のシェアが高くならないと経済成長しないというのは、もう1つどういう理由かちょっと教えていただきたいということです。

それから、2番目に、日本のリスクテイクは、よく投資家は日本の個人がリスクテイクしないからということ、シェアなんかをアメリカと比較してよく言われるわけですけれども、私はむしろ結果的に見ると、リスクテイクをしないほうが正しい選択をしていたのではないかと思うのです。リスクだけしかなかったのではないかと。実際、収益が上がっていた80年代の後半には、個人の投資家も増えているわけですし、やはり実質収益がその市場であまりなかったのではないか。

そういうふうに見ると、やはり土地というのが過去何十年も、90年代になるまでは一番収益率が高かったわけですよね。実質収益が。だから土地を非常に保有していたわけであって、事後的に見ると、日本人は非常に正確な選択をしていたのではないかなと思うのです。それは非常に根本的な問題で、どうもアメリカと比べて日本人はリスクテイクが少ないという議論がよくあるのですけれども、リスクだけ現在はテイクせよというような感じがあるのではないかと思っています。

アメリカと比べますと、日本はバブル期に日本の株式に投資したからこんなになってしまったので、アメリカの株にあのとき投資したら、今でもITバブルが崩壊したあとでも、日本は8倍ぐらいの資産規模になっているはずだという話もあるようでありますから、やはり国民がおかしいのではなくて、マーケットのほうがもう1つリターンを与えていなかったのではないかということの根本的な問題があるのではないかという気がします。

それから、3番目に真のリスクがわかる体制ということですけど、実際はリスクがあるのでしょうが、これは具体的にどうやるんでしょうね。預金者から見れば、国が保証しているわけだから、銀行がいくら不良債権を抱えていても、リスクはゼロですよね。そのリスクを表へ出してわかるようにせよということは、銀行が破綻して預金保険もなくすということですかね。それは銀行預金の意味自体を全く変えてしまうことになるし、リスクがわかる体制ということの意味を、具体的に制度的にやるときには、どういう手があるのかなと。

裏であるリスクというのは、預金者、投資家は直接には関係ないわけですね。だからそれは正しい行動をしているわけで、それをどういうふうに変えていくのか。難しい話ですけれども、具体的な、リスクが見える形というのはどういうことをお考えなのか。

委員

ありがとうございました。3つありまして、最後からお答えしますけれども、やはりペイオフを始めるということが私は重要だと思います。

それから、もう1つは、ペイオフの最低金額をいくらにするかということがあると思います。アメリカの場合には、よく1万ドルと言われますが、ソフィスティケーティッド・インベスターとアンソフィスティケーティッド・インベスターという言葉が使われまして、個人でもどういう金融機関を選んだらいいかわからない人には、最低限国が保証してあげるべきであると。それ以上の資金に対しては、みんながリスクを考えながら金融機関も選ぶ、あるいは金融商品も選ぶべきだと、こういう思想だと思います。ですから、そういう意味では、1,000万がいいかどうかは別としますけれども、やはりペイオフをある程度早く解禁して、それでリスクがわかるようにするというのが私の趣旨です。

それから、2番目は3番目と関係しますけれども、日本人はリスクテイクをしなかったと、こういうことだったと思いますが、これは2つありまして、1つは、日本の金融業の手数料の、特に証券会社ですけど、これは売買回転数でやられていたところが、収益を考えながらお客様に販売するというところがなかったのではないかと思います。それが1つです。

それから、2番目は、日本の金融業はやはり海外での運用がものすごくへただと思います。それが先ほどおっしゃったように、アメリカでもう少しやっていればよかったのではないか。それから、アジアのときにも失敗しましたし、それはやはり欧米系の金融機関と日本の違いは、それぞれの国のプロフェッショナルがいないと思います、日本の場合には。そういう形で金融業自身が、いろいろな海外の資産運用のプロフェッショナルを作っていくということが必要だと思います。

それから、1番目の金融業のシェアが上がることがどうかということですけれども、これはイギリスとかアメリカの例を見まして、製造業がある程度シェアを持っていた国から、それが減ってきたというところを申し上げたいわけです。そのときに、今後も製造業で日本がやり続けられるだろうかということがあると思います。

先ほど先生が、金融業もこれまでシェアが少なかったではないかということをおっしゃいましたけれども、金融業というのは、資金をうまく製造業に流すという、そういうインフラとしての役割を持っていたのだと思います。ですから、それ自身が産業といってサービスを生み出すということだったのではないのだと思うのです。

ところが、ここではイギリスの例を挙げましたが、アメリカもそうですし、ドイツでも最近は金融業のシェアが増えています。だからそういう意味では、日本の産業構造がほかのOECDの国と同じようになっていくのだとすれば、やはり私は金融サービス業で稼ぐ以外はないのではないかと。というのは、おそらく製造業でこれ以上日本が高度成長期と同じようにやっていける土壌にはないように思うからです。

委員

ほかに何か。どうぞ。

委員

今のリスクのわかる体制のところで、預貯金のお話がございましたが、国債について、それはやはりリスクがあるのに、安全資産の面しか見ていないというようなお話。これは、元本リスクなのか、あるいは金利が上がるというリスク、そういう意味なのでしょうか。というのが1つ。

それから、けっこう我が国は、この間発表になりました経常収支でも、所得収支がすごく増えていますね。8兆円ぐらいあったと思います。これは個人か企業かわかりませんけれども、かなり海外投資にも進出して、うまくやってきているのではないか。そういう現象もあるので、まあまあやっている。しかし、まだへたな面があるかもしれない。だから、所得収支のところはどの程度評価をいただけるかということですが。

委員

もう時間がないので、もしほかにどうしてもこれだけを聞きたいという方がいらっしゃいましたら、お願いします。

委員

1つお聞きしたかったのは、国債のリスクの話なのですが、この点はもうすでにお聞きになられたのと全く同じなので、その点ぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。

もう1つは、製造業がだんだんダウントレンドで、金融業に頑張ってもらわなければいけないというのは、金融業に携わっている者としては大変ありがたい話なのですが、ただ、製造業がだんだん小さくなっていくときに、金融業が何を対象として投資なり融資をやって大きくなっていくのだろうというのが、ちょっとわからないんですけど、教えていただきたいと思います。

委員

すみません、時間の関係で手短にお願いします。

委員

では手短に。

まず1つは、海外からの所得収入は増えている。おっしゃるとおりでありまして、これはいろいろヒアリングの段階ですけれども、個人の方が相当海外の外債とかそういうものに運用されている部分も多いそうであります。それはやはりゼロ金利を回避していくということだと思うのですが、ただ、これまでの日本の海外の個人の投資というのは、ことごとく失敗に終わっているんですね。ですから、そういう意味では、いい金融商品を本当に教えていただくということが今後も必要でして、やはりそういう海外に運用しようとする個人の魅力を失わせないようにするということが1つ重要だと思います。

それから、国債のリスクの場合には、今度個人向け国債のようなものが販売されますが、そうしますと、あれは途中で解約しますと、やはりペナルティーが取られるわけです。だからそういう意味では、個人にとっても、こういうものもリスクがあるのだなということがはっきりわかってくると思います。

それから、多分一番の国債のリスクは、景気がよくなり出しますときに、株価が上がったときが私は一番危ないと思っています。ですから、現状で景気が悪い限りは大丈夫でして、それで株価が上がり出したときに、金融機関なり個人が、そちらの商品にどっと移ると思います。そのときが一番大変なときでありまして、ただ、それに対してアメリカでは、そういうときに株価を額面でまた買い直すということを、昔一度1930年代にやったことがありまして、そういう緊急措置はできますけれども、全体的に見るとそういうことです。

それから、製造業がだめになっていく中で、ほかの産業がとにかく出なければいけないというのが私の趣旨でありまして、その中でやはり一番優秀な人材を抱えているのは金融業であると思いますから、その中でどういう形でいくかといいますと、1つは、海外に出るときに日本の金融業はこれまでずいぶんサポートされてきたのですけど、海外から国内に入ってくる企業というのが、よく言われますように非常に少ないわけです。それであれば、そういうところに日本でお金をつけてあげるなりする。今度は外に出ていくばかりでなく、中に入っていくというのが1つあると思います。

それから、2番目は、1,400兆円という金融資産というのは、世界でも非常に大きな額でありますから、この資産を国内ばかりでなく海外も通じて運用し、その収益率を国内へ戻していく。それが日本経済の市場成果も上げていくと思いますから、私は個人的には金融業の役割というのは相当大きい。製造業が小さくなっても、やれることはたくさんあると思います。

委員

ありがとうございました。すみません、時間がないのでよろしいでしょうか。何度も議事の不手際で時間がオーバーしたことをお詫びしますが、最後に次回の予定を申し上げます。

次回の小委員会は来週の23日、午後の2時から4時を予定しています。議題は、専門委員によるプレゼンテーションに加えて、納税者番号について、事務局から諸外国における制度の導入、定着に向けた取組みをご紹介するほか、公認会計士協会からシステム監査の専門家をお招きすることを予定しています。そこで、主に納番導入の際のシステムに関するセキュリティー確保の重要性についてお話しいただくことを考えております。

それから、来月から税調では中期答申をまとめる予定ですので、次回までの議論を中期答申へ反映させていくことを考えております。

最後になりましたが、事務局から証券税制改正のパンフレットを配られるそうですので、ご参考にしていただければと思います。

それでは、本日の小委員会はこれで終わります。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

金融小委員会