第9回金融小委員会 議事録
平成13年11月13日開催
〇委員
それでは、ただいまから第9回金融小委員会を開催いたします。
本日の議題としては、次の2点を考えております。
まず、貯蓄優遇税制の見直しという観点から、現行の租税特別措置の具体的な見直しの方向性について、御意見をいただきたいと考えております。
次に、前回の議論の続きとなりますが、投資信託に関する税制について審議を行ってまいります。
それでは、本日の審議に入ります。
まず、貯蓄優遇税制の見直しについて、皆さんから御意見をいただきたいと思います。事務局から、租税特別措置のうち主な貯蓄優遇税制について資料を説明していただきますので、「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」という流れを踏まえ、見直しの方向性などについて御意見をいただけたらと思います。
では、事務局、お願いいたします。
〇事務局
後ほど、全体の今後の審議のスケジュールについてのお願いも申し上げますが、年度改正の答申が総会のほうで御議論が進みますので、それに向けまして、貯蓄優遇税制の見直しにつきまして、金融小委としての大まかな御議論をまとめていただくためにも、きょう、御議論をいただきたいということでございます。
貯蓄優遇税制の見直しにつきましては、前回の会議の際に資料を配らせていただいております。「資料[1]10.30金融小8-1」という資料でございます。本日は、そのほかに1枚、「貯蓄優遇税制の見直しについて」ということで、特段番号はございませんが、文章が書いてあるものをお手元にお届けしてございます。
その「貯蓄優遇税制の見直しについて」という紙のほうを見ていただけますでしょうか。細長の1枚紙でございます。これは、老人マル優と生・損保控除につきまして、これまでいただきました答申を並べただけのものでございますが、老人マル優等につきましては、上半分にございますように、この金融小委員会で、「証券税制等についての意見」という9月にいただきました意見の中に言及がございます。読ませていただきます。
「貯蓄優遇税制について、『金融のあり方の切り替え』との方針にかんがみれば、また、『租税特別措置の聖域なき見直し』との方針からも、根本的に再検討する必要がある。こうした観点からは、少額貯蓄非課税制度等について、基本的には、その廃止に向け検討することが適当である」ということでございます。
老人マル優につきましては、ここで具体的に言及がございますので、特にこのあとつけ加えるものがあるかどうかという御議論でよろしいかと思いますが、生命保険料控除、損害保険料控除につきまして、貯蓄優遇税制の中で減収額の大きいものでもございますので、今回、御議論賜ればということでございます。
ここにございますのはあくまで参考でございますけれども、平成7年の段階での答申がございまして、これをもとに資料を御説明させていただければと思っております。
生保控除、損害保険料控除については、「制度創設の目的がすでに達成されており、制度の縮小・合理化を図る必要がある」という話とか、「個人の商品選択の裁量性を重視しつつ業態別・商品別の現行制度を改組・一本化すべきである」といった御意見があって、「平成9年度税制改正を目途に見直しについて検討する必要がある」というのがこのときの文章でございますが、平成9年度改正で実現することがなく現在に至っているわけでございます。
ここでの御指摘の関係で、資料[1]、6ページに、生命保険料控除・個人年金保険料控除の適用状況の数字がございます。左のほうに一般の生命保険料控除の適用状況がございますが、適用割合という数字がございまして、生命保険料控除を利用した納税者の割合で見ますと、85~86%がこのところずっと続いておりますし、さかのぼりましても昭和50年代から大体そういう数字でございますので、平成7年度と同様でございますけれども、制度創設の目的は達成されているのではないかということが、この数字からも出ているというものでございます。
右側のほうは、個人年金の保険料控除でございます。これは、昭和59年にできましたものでございますけれども、その利用の割合を見ますと、15~16%から2割という計数でございます。
同じものを損害保険料について見ましたのが、7ページでございます。その適用割合を見ますと、給与所得者のほうは40%ほどでございますが、申告所得者のほうは60数%という水準でございます。右に「参考」で、持ち家率という数字がございます。損害保険の基礎的な対象と申しますか、持ち家というふうに見ますと、6割ぐらいということですので、これも、必要な方については損害保険料控除の適用がされているのかなというようなことでございます。
それから、商品選択の関係でございます。これにつきましては、4ページに戻っていただきまして、生命保険料控除の制度そのものの資料でございます。右の上のほうに、アンダーラインが引いてあるところがございます。[3]というところでございますが、今度の改正で第三分野についての乗り入れがございましたので、生命保険料控除の中に、損害保険会社がやるような身体障害、あるいは疾病の保険というものを入れてございます。そういう意味で、生命保険料控除の中に損害保険会社が売るような生保商品と申しますか、そういうものが入るという改正が行われております。
併せまして、5ページの右側の中ほどのあたりに、やはりアンダーラインが引いてあるところがございます。こちらのほうには生命保険会社というのを入れてございます。したがいまして第三分野の商品につきましては、損害保険料控除と生命保険料控除に一部、商品で切っておりまして、会社のほうは相互参入しているような形に保険料控除のほうもなってございます。
ただ、もともとの指摘は、こういうような状況もございますので、全体の制度を改組・一本化すべきではないかという御意見があったということが、先ほど御紹介いたしました過去の答申でございました。
いまの資料の最後のページに、これまで御説明していなかった点がございますので、加えさせていただきます。11ページでございます。「死亡保険金に係る相続税の非課税限度額の推移」という表がございますが、相続税の領域で、死亡保険金、あるいは死亡退職金につきましては特別の非課税の枠がございます。死亡保険金につきましては、昭和63年以降、500万円掛ける法定相続人の数の分だけ別途の非課税がございますので、相続税の世界の中で、保険金については、他の金融商品と比べてこれだけの非課税枠を別途とっているということがございますので、中立性の観点から、こういうことについてどう考えるかという点があるというのは加えさせていただきます。
以上でございます。
〇委員
それでは、事務局、お願いいたします。
〇事務局
市町村税の関係で、補完的に御説明申し上げたいと思います。資料としましては、「地方税関係資料」ということで横長の資料が一つあると思います。それで御説明申し上げたいと思います。
まず、5ページをごらんいただきますと、生命保険料控除、個人年金保険料控除について、それぞれ表がございます。直近の12年度のところをごらんいただきますと、生命保険料控除で申し上げれば、納税義務者数に対する控除が利用されている割合といえば、82.4%。また、個人年金分で申しますと、同様に18.2%ということで、基本的には大きく見ると国税と大体同じような傾向があって、生命保険に関して言えば8割を超えておりますし、個人年金のほうについては2割をちょっと切るぐらいというところにきております。
1ページおめくりいただきまして、損害保険料控除のほうの状況をご覧いただきます。同様に12年度のところでございますが、適用割合ということで言いますと、この点は国税よりも若干数字が小さいのですが、46%あたりということでございます。
それから、商品選択等についての基本的な仕組みは同じでございますので、この辺は省略させていただきますが、控除の限度額につきましては、住民の負担分任という性格上、3ページ、4ページのあたりに資料として記載いたしておりますが、国税よりも限度額は小さくなっておりまして、生命保険料控除のほうは最高3万5,000円、個人年金も同額でございます。損保のほうは短期で2,000円、長期で1万円ということで、限度額に関しては制度の仕組みが若干異なっているということでございます。
追加的に以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。
年度改正に向けての租特の見直しの可能性ということで、少額貯蓄非課税制度と生・損保控除制度について御説明いただきました。
それでは、以上の点について御自由に御意見をいただければと思います。
〇委員
意見です。これらの問題、実は社会保険料控除とか、年金税制の関係、ここらと絡まった問題で、要するに基礎年金の国庫補助率引上げだとか何かの問題と、むしろそちらに一体的に処理したらどうか。もちろん、こちらの小委員会の段階で見直す方向くらいは出していただいて、具体的なものは年金財政の中で処理したらいかがかと思います。
〇委員
広がりが出てきて、かえって大変かもしれませんが。
〇委員
老人マル優と生・損保険料控除は、もう決着をつけなければいけないのではないかと思います。老人マル優は、貯蓄優遇云々より、制度としてやはりおかしい。貯蓄を持っている高齢者だけ優遇しますという制度は、世代内の公平の観点からいってもおかしいので、これは廃止すべきだと思います。生・損保険料控除も、保険の加入を税で優遇する理由というのはどこにもありませんから、これも廃止すべきだと思います。
ちょっと発言を迷っていたのは、死亡保険金にかかる相続税を、サラリーマンの場合は死亡退職金に対する優遇があって、自営業の人が亡くなった場合に、死亡退職金優遇のような制度を使えないわけですから、それをどう考えればいいかなということですが、質問です。諸外国では、死亡保険金にかかる相続税は何か優遇があるのでしょうか。それともこれは日本独自の制度なのでしょうか。
〇事務局
ちょっと手元に資料がございませんので、調べます。
〇委員
いまの御意見は、老人マル優もそうですけれども、生・損保に関しても完全に廃止と。
〇委員
どちらも明確に廃止すべきだと思います。
〇委員
廃止という御意見と、年金財政と含めて見直すべきだという御意見がありましたが、ほかに御意見ありますでしょうか。
〇委員
基本的には金融市場というのは一体化しているわけですし、大きな流れとしては、特別措置とか、そういうものをすべて一本化して、すっきりした形にわかりやすくすることが原則だろうと思います。いままでがあまり複雑すぎたので、これを一つずつ取り上げてどうするという議論よりも、全体としていかに体系をすっきりさせて、税体系自身をわかりやすい形に持っていくか、そういうプリンシプルをはっきりさせほうが重要なのではないかと思います。一つずつ取り上げて、「これはどうか」というと、それは細かいことはあるでしょうが、大きいプリンシプルをわかりやすくするというのが税として非常に重要なのではないかと思います。
〇委員
租税特別措置全体に関しては基礎問題小委員会というのが立ち上がっていて、そちらで一応議論しているわけですが、ここでは、そのうち金融にかかわる部分としてこの二つのことについて、皆さんの御意見を聞きたいということです。ただ、基礎問題小委員会でどのくらいプリンシプルにかかわったことをやっていらっしゃるかというのは、会長がそちらの小委員長ですから、そちらのほうにお戻ししておきます。
それでは、大体御意見も尽きたようですので、次に進ませていただきたいと思います。
次に、投資信託に関する税制の審議に入ります。
まず最初に、事務局から、年内の小委員会のタイムスケジュールとの関係などについて説明していただきます。
〇事務局
本日の御議論に先駆けまして、このあとの審議スケジュールにつきまして、事務局のほうから御説明とお願いをさせていただきます。
11月も押し迫りまして、年度改正の答申に向けまして間もなく総会のほうの御審議が本格化いたすわけでございますが、年度改正のもろもろの処理につきまして、総会のほうで答申が起草されるということでございます。それで、その本格化までのスケジュールを日程的に見ますと、この金融小委は、次回は27日を御予定しておりますが、おそらく今回も含めましてあと2回というのが大体のスケジュールかなと思っております。
そこで、年度改正のほうの御議論が総会でございますので、その際に、答申で何を取り上げるかというのは、総会のほうの動きを念頭に置きながら、この小委でどういうような議論があったかについては、小委員長、あるいは総会に参加されているメンバーの方から紹介される、あるいは、そこで議論されるというようなことかと思いますので、小委員長のほうから、必要に応じて、どういうような議論があったかというのを総会に報告していただくことになろうかなと思っております。一方、総会のほうでは、そういう金融小委での議論の蓄積を受けて、年度改正の答申をつくっていただければなというような感じでございます。
したがいまして年度改正のほうは、総会のほうを場にいたしまして、文章、答申がまとまりますので、この金融小委として、改めてこの11月の段階で何か文章をつくって対外的に公表するというようなことは必要ないのかなと考えております。もともと、このタイミングでの御議論のまとめというものも意識しておりましたが、9月の段階で、株式譲渡益課税につきまして意見をおまとめいただきましたので、このタイミングではむしろ年度改正答申の中に全体の議論を反映するという形のほうがよろしいかなというふうに考えております。
年度改正答申のほうは、どんな項目を取り上げていかれるかは、これからの御議論でございますけれども、金融小委の関係でまいりますと、株式譲渡益課税につきまして、この前おまとめいただきました意見なり、その後、私どものほうでいま国会審議に提出しております法案につきまして、どういう整理をこの際しておくかという点が一点あろうかと思います。あとは、貯蓄優遇税制の見直しにつきまして、いまも言及がございましたが、基礎小委のほうからも租税特別措置の見直しという観点から挙がってまいりますので、それとこの金融小委の議論とをどういうふうに融合して、整理されるかということかと考えております。
あとは、前回、あるいは本日御議論いただきます投資信託について、あるいはそれ以外のテーマにつきまして、どのような形で整理をしておくかということではないかと考えております。
いずれにしましても、そんなイメージを念頭に置きまして、本日と次回で、総会の議論に向けての大まかな小委としての御議論をお願いできればというものでございます。
〇委員
ただいまの事務局の説明ですが、よろしいでしょうか。よろしければ、早速議事に入りたいと存じます。
前回御欠席の方もいらっしゃいますので、最初に事務局から、前回の小委員会での議論を踏まえつつ、検討の視点なども合わせて説明していただきたいと思います。
事務局、お願いいたします。
〇事務局
それでは、前回の答申の御議論に引き続きまして、本日、御議論をちょうだいいたしますが、前回、私どものほうから資料をいろいろ御説明させていただきまして、それに伴いまして、御質問なり御議論をちょうだいいたしました。論点がいろいろございまして、十二分に御説明もできなかった点もございます。
それで、きょうの私どもの説明の仕方でございますが、お手元に幾つか資料がございまして、「委員限」ということで「前回の議論(メモ)」というものを配らせていただいております。そのほかに、本日付けの「資料」という名前のもの、前回配らせていただきました「資料[2]」と、幾つかそれ以外にお手元にあると思います。
まず、前回御欠席の方もいらっしゃいますので、制度についての御説明をする必要があると思っておりますが、まずは、「前回の議論(メモ)」というものをざっと読ませていただきまして、前回の御議論をちょっと思い出していただきつつ、前回御欠席の方につきましては、資料説明に先駆けまして、予備的な頭をつくっていただければというふうに思っております。メモのほうは、これで論点を整理するとか、こういう方針でおまとめいただくということではございませんで、前回いろいろいただきまして、私ども、御説明も不十分であった点もございましたので、多少書き並べただけでございますので、そういうつもりでご覧いただければと思います。
まず、「前回の議論(メモ)」の[1]というところに、株式投資信託につきまして、現在は収益を「配当所得」に分類した上で、昭和39年以降、それを「利子並」課税--現在では源泉分離課税ということでございますが、そういうふうな形にしてございます。配当所得ですが、利子並課税しているということでございますが、これについてどう考えるかというのが、一つの議論の出発点であったかというふうに思います。
その点につきまして、[2]にございますように、当時は利子課税自体が優遇されていたとか、源泉分離課税が簡便であったということから、利子並課税を採用した経緯があるという御指摘もございました。
[3]は、やや別の方法論でございますが、株式投資信託はいろいろなもので構成されていますので、その収益を構成する源泉に応じて区分計算して、個々に課税をするというやり方があり得るのかなという御指摘もございました。後ほどこれは資料が出てまいります。
そんな前提の上で、利子並で課税するか、配当並で課税するかという二つのグループに大別されるという現行法のもとで、幾つか御議論がございました。[4]にありますように、株と株式投信、あるいは株式投信と公社債投信との区別をどこで区切るのか。さらには、預貯金や公社債との区別があるのかないのか、どう考えるのかという御指摘の点がございました。
それに関係して、[5]で、フィクスト・インカム型とマーク・トゥー・マーケット型というふうに分かれるのではないかという御指摘とか、あるいは、投資信託というのは時価がそのつどクォートできますので、株式と同等のものではないのかというような御議論がございました。
いずれにしても、この辺は、二つの利子的なもの、配当的なものという御議論だったのですが、そういう区分をさらに超えまして、[7]にございますように、各資産ごとに生み出す所得を類型化するという、いまの税法が時代遅れではないかというお話もごさいましたし、[8]にございますように、一方、そういう分類はなかなか難しいということですので、したがって、総合課税という方向で検討すべきだというのもございました。
それから、[9]にございますように、さらに御議論が広がりまして、資産性所得ということで全体の議論になりましたので、不動産につきましても資産ということでございますので、その税制についての関連を議論する必要があるのではないかという御指摘もございました。
いずれにしても、そういう大きな所得分類全体の話になりましたものですから、所得分類全体の変更論のところまで現時点で議論の対象にここでするのか、しないのか、時間もかかりますね、という御議論もあったという点でございます。
2ページ目は、収益とか、所得課税とか、利子とか、配当という御議論を越えまして、もう少し大きな範囲での御議論がございまして、1[1]にございますように、フィクスト・インカム型の金融商品といっても、デフォルトした場合には、フィクスト・インカムが守られないわけですので、そういう場合もあるとか、あるいは1[2]番にありますように、預金なども、ペイオフが始まれば元本が返ってこないということもあるのではないかという御議論。
あるいは、1[3]番にございますように、預金とペイオフの関係につきまして、やや逆の観点から、元本が保証されるとか、されないという商品設計の上で、元本保証か、そうでないかという話と、元本保証する、あるいは元本保証されないものもあると思いますが、もともとのそういう金融商品が、投資上の不測の事態で元本保証できなくなった場合のペイオフとは別の話ではないか、というような御議論がそこではございました。
さらに、譲渡損失とか、損失の意義という話になりました。1[4]にございますように、満期の償還というのは強制売却というふうに観念するのかとか、あるいは1[5]でございますけれども、私どものほうから、現行の法制的にはやはり解約と譲渡とは区別されておりますということ。
[16]にございますように、個人の所得税の分野ですと、事業用でない資産の価値が増減いたしましたときには、所得税法上は、基本的には収入や費用の概念には入ってこないということでございますので、金融資産の資産そのもののデフォルトとか、ペイオフとか、そういうものから議論が発展いたしまして、もともとの所得税においての事業用でない資産についての価値の増減みたいなものを、どういうふうに所得税でとらえていくのかというような、非常に大きな点に議論が及んだのかなというふうに思っております。
[17]と[18]は、やや個別的な話ではございますけれども、後ほど資料で見ていただきますが、[17]は、ほかにいろいろ集団投資スキームがございますので、その中で証券投資信託についてどうするのか。特にファンド段階で法人税をかける仕組みがほかのものではとられておりますので、それとの関係をどう見るかという話。
あるいは[18]番につきましては、貯蓄優遇税制のほうで議論が出ましたマル優制度について、株式投資信託が現在対象になっておりますが、これは利子並ということで対象になっておりますので、その位置づけをどうするのかという点。[17]、[18]は、他の項目とは別の観点でございます。
したがいまして、[17]、[18]を別にいたしますと、利子所得、配当所得という区分と、これまでの投資信託の収益の課税との関係をどう考えるかという、1枚目のほうに出てまいりました話と、さらに2枚目のほうで、資産の元本が毀損されていくような場合に、個人の所得税で経費とか収入という概念をどういうふうに考えていくかというように、非常に大きなお話が2点出てきていたのかなということでございます。
現行制度をご覧いただく前に議論のほうを御紹介いたしましたので、細部につきましては疑問もあられるかと思いますが、その上で資料のほうを御参考にさせていただきます。
「金融小9」という資料でございます。前回と重複する部分もございますので、前回ご覧いただいている方は若干お時間をちょうだいする形になりますけれども、なるべく手短にさせていただきます。
1ページ目でございますが、そもそもの所得税におきます所得の分類ということで、現在、10種類の所得分類がございます。利子所得、配当所得から始まった表でございます。利子所得は、右にございますような計算方法で、収入金額イコール所得金額ということで、経費という概念がございません。利子をまるまる所得というふうにしているのが利子所得の特徴でございます。配当がございまして、以下、10種類の所得が並んでございます。
一番下のところに注書がございます。計算上生じた損失を、他の所得から控除することができる所得というのは、不動産、事業、山林、譲渡の四つに限られております。ほかの所得につきましては、もともとマイナス、損失というのは出ない計算方法になっているものですとか、あるいは、出てもそれは見ないというものになっているわけでございます。
2ページは、利子所得と配当所得の比較というふうになってございます。いろいろ書いてございますけれども、ご覧いただきたいのは、利子所得のほうに公社債投資信託というのが入っております。配当所得のほうに、いわばそれ以外の投資信託が区分されているという点と、課税方法のところで、利子所得のほうは20%源泉分離でございますが、配当所得のほうは基本的には総合課税でございます。
3ページが、証券投資信託、いろいろございまして、その商品性によって課税の仕方も違うものですから、それを改めて整理したものでございます。証券投資信託、大まかに言いますと、公社債投資信託と株式投資信託に分かれておりまして、公社債投資信託は、株式出資に対する投資がゼロというものでございます。株式投資信託は、それ以外のものというふうになっておりますので、0%から100%まで、株式が運用対象になり得るものでございます。
株式投資信託の中身でございますけれども、公募のものと私募のものという分類が一応ございまして、平成10年に私募型のもの、50人に満たない形で募集するものが創設されたというものでございます。
三つ目に、特定株式投資信託(上場型)というふうにございます。これは、最近、ETFということで、株式譲渡益課税のときにもいろいろ御議論がございましたが、これは、株式のみに投資をするというふうに限定されておりまして、かつ、証券取引所に上場するというものでございます。その上で、右下にございますように、特定の株価指数に連動する形で運用するものでございます。したがいまして、途中解約という仕組みがございませんで、株式のみに運用し、上場されているということでございますので、株式を譲渡する形に類似するというような形でございます。
こんな区分がございまして、俗に、株式投資信託の課税というふうに一般的に議論がなされておりますのは、このうち公募の株式投資信託という領域かと思いますが、昨今ですと、それ以外のものがございます。特に上場型のETFにつきましては、後ほど出てまいりますが、株式並の課税がなされているというものでございます。
4ページは、いま御説明したことと重複いたしますが、投資信託というのはいろいろ範囲がございますけれども、一番上にございます特定株式投資信託は株式100%と決まっておりますし、一方、下のほうの公社債投資信託というのは株式ゼロと決まっております。それ以外のものは株式投資信託という括りになっておりますので、株式投資信託につきましては、株の運用割合が非常に幅広く設定されておりまして、投資家にとっては、購入するときに株式の多いもの、少ないものを選ぶという形になっております。株式並と一口で言い切れるのかどうか、株式の運用割合がいろいろ幅があるというものが4ページのものでございます。
以上の前提のもとで、5ページに現在の課税関係の概括表がございます。公社債、公社債投資信託、株式投資信託、株式というふうに左側のほうに並べてございます。現在、公社債は収益分配につきましては、所得分類が利子所得で源泉分離課税となっております。その際、利子所得のほうで経過措置も含めて価格が処理されて源泉分離課税となっているという前提のもとに、譲渡損益のほうは非課税、あるいは、譲渡損はないものと見なすという形で、収益分配だけのところに着目した課税になっているのが、利子なり公社債なりでございます。
一番下を見ていただきますと、株式ということで、収益は配当で、総合課税、譲渡損益は譲渡益課税になっているわけでございます。そこを両極にいたしまして、その間に証券投資信託が置いてございます。証券投資信託のうち、公社債投資信託は公社債と同じような課税になっておりまして、利子所得で源泉分離課税という形でございます。一方、株式に近いものとして、特定株式投資信託というのは株式のみで上場されているということもございまして、配当所得で譲渡益課税をするという仕組みになっております。
そこで問題は、公募の株式投資信託というところでございます。これは、先ほど見ていただきましたように、所得税法の本則では収益分配金は配当所得と区分されてございますが、実際の課税のほうは利子並ということで、源泉分離課税の領域に入っております。したがいまして、上半分の利子並の課税、下半分の配当的な課税というふうに分けましたときに、公募の株式投資信託はちょうどその間になっておりまして、現在のところ、公社債や公社債投資信託と同じ課税の仕方をされている点が、初めに[1]で申し上げました点でございます。収益が配当所得でありますのに、利子並課税をしているというのが現行制度の特徴でございます。
その経緯なり理由が6ページにございます。株式投資信託の公募型の課税というものでございますが、株式投資信託の収益分配金は配当所得に分類されており、本来、総合課税の対象となるものであるが、公募型については「預貯金類似の貯蓄性」を有するものとされたこと、「利子並課税」の採用について、要望があったことから、昭和39年以降は、源泉分離課税を中心とする「利子並」課税の範疇になっております。
その下に注書がございますが、さかのぼりますと、昭和33年以前は、解約・償還の際に、収益分配金の源泉を発生源にさかのぼって、利子、配当、譲渡益に区分しまして、それぞれ別個の課税を行っていたという経緯もあるようでございますが、現在はそういうことは全部括りまして、配当所得に分類し、利子並の課税をするというものでございます。
7ページに、経緯がございますが、昭和39年以降、利子並課税というふうに書いてございます。その上になりますと、配当課税でございますけれども、一時期、収益分配部分を源泉にさかのぼりまして課税をした時期があるというのが、7ページでございます。
外国を見ますと、収益源泉別に課税をしているという例は、現在でも、アメリカなりフランス、ドイツなどにはありますようで、8ページの課税の概要というところで、「収益源泉別に課税」というくだりでございますが、外国もそうなっている部分がございます。
収益源泉別、配当課税というのは、口頭ですとおわかりにくいかと思いまして、概念図ということで、9ページに示させていただいております。上のほうが、現在の税制の仕組みでございます。株式投資信託(公募型)と書いてございますけれども、収益のところは、利子なり配当なり譲渡益なり、いろいろあるわけでございますけれども、収益分配は配当として一括りにいたしまして、投資家の段階では配当所得、ただ利子並の課税をしているというのが現在の日本の仕組みでございます。
収益源泉別に課税をするということになりますと、おそらくは、全体をまとめて分配して配当に課税をするということではなくて、収益ごとに、利子の部分、配当の部分、譲渡益の部分というのを計算いたしまして、それぞれにそれぞれの課税をすることになるのかなというものでございます。
以上、公募型についての課税の現状を申し上げました。
10ページでございますが、これは、現在の直接の御議論でございませんが、公募型以外の課税の仕組みにつきまして、先ほどの概括図のほうに出てまいりましたものでございます。まず、10ページの上のほうでございますけれども、私募型の株式投資信託ということで、これは特定または少数対象でございますので、「預貯金類似」ではないということで、利子並課税の対象となっておりません。利子並課税の対象となっておらないということは、どういうことかといいますと、収益分配は配当課税ということでございます。それから、解約・償還のときは、収入全体のうち、元本を超える部分は配当課税になります。元本までについては、株式を譲渡した収入というふうにみなして残りの計算をするということで、ここの部分をいわば株式と見て活用するという形になっております。
それから譲渡は、受益証券を譲渡することになりますので、これは株そのものと見て、株式譲渡益課税の対象ということでございますが、実際、私募型でございますので、実情必ずしもつまびらかでございませんが、公募型同様に、さほど譲渡ということではないのかな、やはり解約で動いているのかなという感じはいたします。
それから、特定株式投資信託、これは上場型でございます。繰り返しになりますが、株式のみで組成されている、あるいは上場して流通するということですので、きわめてわかりやすく株式並ということになっておりまして、収益分配は配当でございますし、譲渡はまさに株式譲渡益課税ということでございます。
以上が、大きな論点に関係するものでございます。
あと数ページ、先ほどの議論のメモでいきますと、最後の2点の関係で触れさせていただきます。
11ページは、投資信託と一口に申しますが、平成12年からは、投資信託及び投資法人法というふうになっておりまして、そこでは、投資信託と投資法人、法人形態であるものと信託形態であるものと両方がその制度には組み込まれておりまして、かつ、投資の対象が、有価証券を中心にするものと、それ以外のものというふうに分けられている状況でございます。
12ページを見ていただきますと、集団で投資するというスキームがほかにも幾つかございまして、下半分が、いま見ていただきました投資法人、投資信託でございますけれども、それ以外に、資産を流動化するという目的で、資産流動化法の規定で、SPCとかSPTという制度がございます。いずれも、集団の資産、投資を集めて運用するというものでございますけれども、右のほうにございますように、法人税課税の問題がございまして、SPC、SPT、あるいは投資法人につきましては、法人税をファンドの段階でかける仕組みになっております。
その上で、右側にございますように、90%超配当するということで、ほとんどファンドに残さないものにつきましては、通常は損金算入されないわけですけれども、支払いの配当を損金算入するという形で、実際の法人税課税の量は減らしているということでございます。一度法人課税をするという形で、分配を100%に近くする場合につきましては、そういうふうに損金算入するという形で処理されております。
証券投資信託につきましては、そこの法人課税が行われておりませんので、例えば分配の非常に少ない形の証券投資信託につきましては、投資家の段階まで課税が繰延べられているというようなことになりまして、他のスキームとの関係ではやや整合的でないという面がございます。非分配型の投資信託商品につきましては、課税繰延べが税制上のメリットだという形で販売されている状況もごさいますので、ここの整合性の問題が税制としては課題かなという感じがいたします。
13ページでございますが、老人マル優制度につきまして、現在、株式投資信託が対象になっております。これは預貯金類似ということで対象になっているわけでございます。老人マル優制度自体がいずれにしても廃止の御議論がございますけれども、現状、老人マル優制度が存在することを前提といたしますと、仮に株式投資信託につきましてリスク性のあるものと考えまして、利子並課税という範疇でなくするというふうになりますと、制度の仕切りとしては、この範疇外になる。老人マル優制度の対象範囲とはその性格が異なるものとなる、というようなことが考えられるのかなということでございます。
以上、資料のところを御説明いたしましたが、そのほかに、御議論の参考のためにお手元にございます資料でございますけれども、一つは、両方とも「委員限」でございますが、預金から株式までを左側に並べまして、入口、元本、収益、出口というふうにマトリックス的に書き並べたものがございます。金融商品の区分と申しますか、どういうふうなジャンル分けがあるのか、ないのか、特に法律的な意味とリスクの関係、あるいは、リスクなり金融商品が連続的にあるというような点が御議論あろうかと思いますので、議論の参考のために私どものほうで、どういう形でその契約が始まり、どういう形でそれが終了するのかというようなものをプロットしたものがこの「委員限」の表でございます。
もう一点、株式投資信託というふうに真ん中に書いてございまして、右にいろいろな商品が並び、左に個人投資家というふうになっているものがございます。これは、投資信託の機能でございますけれども、右にございますように、いろいろな金融商品からいろいろな形で収益が上がってまいります。それを、一度投資信託というファンドの中で損益全体を通算いたしまして、最終的な収益を個人投資家に配分する、その最終的な収益の部分について個人投資家の課税がなされるというのが仕組みにございます。
したがいまして、ファンドの段階で、それぞれの金融商品、金融投資につきましてのいわば損益の運用成果が合算されて個人にまいりますので、当然のことではございますけれども、分散投資とか、リスクがここで分散されている、あるいは税法的にも、ここで一つひとつに課税しないでまとめて課税されているということでございますので、損益通算の問題とか、繰越しの問題というものは、この株式投資信託のファンドの中では一回はこなされているという状況がありますので、個別株に投資する場合と、その点の違いがあるかなということでございます。
以上でございます。
〇事務局
私のほうからは、地方税のほうで若干異なる部分だけを追加いたしたいと思います。資料で申しますと、単純に「資料」という分の2ページでございますが、「利子所得と配当所得の比較」の表でございます。念のためでございますが、利子所得に関して申し上げますと、個人住民税に関しては、現在、資料のとおり源泉分離課税でございます。税率はまた別途でございますが、63年4月以降そういうことになっております。それ以前は、所得税において総合課税された場合に総合課税してきていた。
配当所得に関して申しますと、そのページの右下のあたりの枠の中に若干書いてございますが、源泉徴収は行わず、総合課税という原則でございます。ですから、国税のほうで源泉分離選択可という場合であっても、総合課税でございます。逆に、国税のほうで申告不要という場合におきましては、課税技術上の事情がございまして、個人住民税が非課税になっている。そうせざるを得ないという事情がございまして、その点は課題があると思っております。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。以上で御説明を終わって、皆様に御自由に質問や意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
最初に御説明がありましたとおり、我々の議論としては、今回と再来週の議論で、一応投資信託については年内の議論は終えるということになります。それをもとにして、私が総会で簡単な説明をして、今年度の報告に何か触れることになるのだったらば、それをもとに議論をすることになろうか思います。中期的には、もし今年度にできなければ来年度ということもあり得るのかもしれません。それは、事務局に私は確認をしておりませんが、どうしようもなければそれしかないだろうと思いますが。
ついでですが、皆様にお配りしてある、委員の資料はよろしいですか。議論の皮切りとして、よろしければ簡単に御説明いただければ。
〇事務局
委員は本日、御出席の御予定でございますけれども、遅れる可能性があるということで、朝、この資料の配付の御連絡がごさいましたので、お手元に配付させていただいております。
私もいま拝見したわけでございますけれども、中身をざっとご覧いただきますと、まず初めのところで、投資信託の現行制度はきわめて複雑だけれども、わかりやすくする必要があるということ。株式と比較して、感覚的に負担水準云々ということではなくて、本格的な改革をする必要があるというふうにございます。
特にその内容といたしまして、一つは、先ほど私どもからも申し上げましたが、ファンド段階の課税について言及されてございます。集団投資スキーム全体の中での整合性ということで、証券投資信託についてはファンド課税がないから、ほかのものとの関係で整合性をとるべきという御指摘かと思います。
二番目は、これはむしろ長く御説明させていただきましたが、公募型投資信託につきまして、現在は収益について利子並課税というふうにしてございます。その意味で譲渡損益の課税がございませんが、委員の御意見では、利子並課税を行いつつ譲渡損益を見るというものはアンバランスなので、行うべきではない。現行制度、まさに収益に対して利子並課税をして、譲渡損益は課税上入ってこないという形か、あるいは、収益配当課税、譲渡損益は見るという方式か、どちらかであれば、少なくともバランスはとれているというような御意見をいただいているようでございます。
〇委員
やや補足しますと、委員のペーパーの1は、先ほどの資料の12ページの論点です。それから、2がおそらく我々にとって一番重要な論点だと思いますが、現行のままにするのか、あるいは配当課税にして、しかも譲渡損益を見るという方式、いわば株式並というやり方か、どちらかがいいのではないかというのが委員の御意見です。きょう出てきた御説明で言うと、収益源泉別の課税をするというのももう一つの考え方としてあるのかもしれません。
前回、事務局から議論になった論点をもう一つだけ言いますと、この「委員限」のマトリックスになっている紙で、投資信託の場合、出口が償還ないし解約になっていて、株式のように譲渡になっていないことに伴って、譲渡益課税をするというのは法律の文言上はちょっと問題かもしれない。つまり解約とか償還したものを、譲渡益というのはおかしいのではないか、そういうニュアンスですが、ただ、私募型の投資信託の場合には、事実上、そういう仕組みがとられているので、できなくはないのかもしれません。
いずれにしても、そこら辺が論点かと思いますが、御意見等ございますでしょうか。
〇委員
公募型投資信託は、いまの御説明だと、利子並課税の強い要望があったということで、別に理屈があって利子並課税をしているわけではないわけですし、このあたりはあまり詳しくないのですが、いまの御説明を伺っていると、配当課税をして譲渡損益を見るということがごく自然な……。株式並課税がごく自然であるように思います。
〇事務局
もう一度、資料との関係を御説明させていただきます。5ページをご覧いただきますと、概括表というものでございますが、これをお手元に置いて御議論いただくのが一番わかりやすいかと思います。先ほども申し上げましたように、類似の商品を、利子的なもの、配当的なものと上下に分けてやっているということを申し上げました。その際、公募の株式につきましては、源泉分離ということで利子のほうの形になっていることを申し上げました。したがいまして、先ほどの委員のポイントの2点目は、これはどちらかの領域であって、どちらかをはっきり分けない、どちらともつかないものというのはおかしい、という御指摘でございます。
いまの委員からの御指摘は、そもそも公募型のものをなぜ源泉分離課税にしているのかということでございます。それは、一応6ページに整理いたしましたが、配当で総合累進課税にかかるよりも、源泉分離課税のほうが実際の税負担も必ずしも高くない、あるいは、総合課税よりも源泉分離でやるほうが簡便ということもございまして、おそらくそのほうが商品性として大衆に向けて売りやすかったということもあったのだろうと思います。一種の優遇と申しますか、商品性に配慮したという形で、昭和39年にこういうふうに処理をされたということのようでございます。もちろん、現時点においてそれが妥当しているのかどうかというのは、まさに御議論のテーマでございます。
〇委員
質問が2点あるのですけれども、一つは、いまの公募と私募の株式投信ですが、公募か私募かだけの違いで考えてよろしいのですか。つまり、それ以外に何か実質的な違いがあるのか、というのが質問の一つです。
2番目は、このマトリックスの中で、出口のところで、償還と解約と譲渡がそれぞれ課税の違いになっているのですけれども、会計的な観点からいきますと、オンバランスされているものがなくなるという意味においては、償還と解約と譲渡の間に差異を認める必要がないというのが基本的な感覚です。それを三つにそれぞれ分けなければいけない根本的な理由というか、その辺を教えていただきたいのですが。
〇事務局
まず、公募と私募の違いでございます。これは、有価証券の募集につきまして、多数向けのものであるか、そうでないかという区分だけでございますが、ここの税制の違いについて考えますと、公募ということですので、不特定多数に、あるいは大衆向けに商品化されていることもあって、源泉分離という簡便性をとったのではないかと思います。その後、私募の制度は平成10年にできまして、これは、どちらかというと法人の機関投資家相手のような感じがいたしますので、個人がどのくらい私募の株式投資信託の中に投資家として参入しているかというのは、私ども、つまびらかでありませんが、それほどの量でないような感じがいたします。
ただ、その中で、私募ですから、オーダーメイドということでございますので、課税の簡便性よりは、株式で構成されているというものを重視した整理ではないかというふうに思っております。
その次の3局面の話、ここは前回もいろいろ御議論がございましたが、とりあえずの説明といたしましては、所得税の所得のカウントの仕方につきまして、個人ですと、利子所得、配当所得、譲渡所得というふうになっております。譲渡所得は、譲渡した場合の収入からそれの取得価格を引くという形で計算することになっております。したがって、解約ですと、譲渡の収入と取得価格という感覚ではございませんので、そこは分けているということだと思います。
法人ですと、保有の資産ですので、もともと時価で評価する、自分で持っていたままでも時価で評価しようかということでございます。個人の持っている資産を時価で評価することはあり得ませんので、そういう意味で、法人と個人の差をどこまで見るかということではありますが、現在の個人の所得税では、一つひとつの経済的な行為が確実に見えますものについて価格を設定し、その所得をつかまえていくという構成になっておりますので、譲渡につきましては譲渡所得があるけれども、解約というものについては、直接はそういうものはないということになっております。
〇委員
そうしますと、最初の質問の公募か私募かというところは、公募が、不特定多数を対象にするという課税上の便宜というか、そういうところが……。さっき理由は御説明がありましたが、それが平成10年に私募が入ったときも、違うものだということで制度的には位置づけられているという御説明ですね。そういう理解でよろしいですか。
〇事務局
もともとの経緯的には、公募のほうから始まりましたので、それが利子並の課税ということで始まり、そのあとで私募がつけ加わったわけです。両方入ってみますと、どちらかといえば公募のほうが制度的には例外的に利子のほうに整理されている、いまから思えばそういう制度になるということでございます。ちょっとわかりにくくて恐縮でございます。
〇委員
私からも2点ほどお聞きしたいのですが、収益源泉別課税というのは、外国の場合も、あるいは日本で昔やられていたということですが、その場合に、例えば株式とかそういうものに関してはキャピタルロスが生じる、あるいはデフォルトが生じる可能性があるわけです。そういうものについて、どういう形で収益別課税の場合、処理しているのかがよくわからないといいますか、念のために確認しておきたいのですが、それは基本的に損失扱いになるのでしょうか。損失になった場合に、繰延べとか、ほかの所得との通算とか、そういうことが可能だという形になっているのでしょうか。
〇事務局
まず、過去の日本で適用されていたケースのことを考えますと、当時、株式の譲渡益は非課税ですので、全体の配分から非課税部分は除いて課税をするという考え方があったと思うのです。そういう意味で分けているということかと思います。
それから、一般に外国でどうかということでございますが、ファンドの中でロスのところまでは調整をするので、個人段階では、プラスの収益でいく部分だけ分配するということになっているようでございます。
〇委員
この「委員限」の株式投資信託の概要を見ますと、個別の商品でいく場合には、デフォルトになってもおよそ考慮されないものも、投資信託でやればまずまずほとんど見てもらえている。ただ、そのデフォルトのときも必ずしもはっきりしない点もある。それから、ペイオフも論理的には入ってもいいわけですかね、ここに預金というのはないですけれども。投資信託をやっておれば、わりあい平準化される、リスクも分散される。そうすると、個人はあまり自分で社債を買ったりするな、株式はあまり……という発想があるのか。そこは、何か聞かれたらどういうふうに応答するのか。
この際、個人についても、生活に必要な財産でなくても、元本がダメになった、あるいはペイオフになったというときに、そういう場合は考慮するというところまで踏み込むのか。そこまではいい、個人というのは投資信託を活用していただくのが市場としてもいいんだという判断に立つ。それがいいのかなとも思いますけれども、そこらをここで整理しようというところまでの考え方があるのかどうか、ということだと思いますけれども。
〇委員
株式投信というのは、預貯金をやっているんですか。いまおっしゃったのはペイオフですよね。
〇委員
株式投信というのは、株が1%でも入れば株式投信なのです。
〇委員
だから、商品設計で預貯金もいっぱい入ってるんですか。そうですか。そうすると、ペイオフのことも入るわけね。
〇事務局
プロの運用者がファンドを管理していますので、ペイオフがその中で生じるかどうかというのは……。
〇委員
そりゃ定期預金なんかしてませんよ。
〇委員
定期預金はまだ大丈夫なんですか。
〇委員
大体コールで出しているんじゃないですか。
ちょっとよろしいですか。前回は欠席しましたが、いま、御議論を聞いていますと、何か焦点が集中してこないという印象を持っております。仄聞している話は前回は講義を受けて--もちろん投資信託という専門性のある商品ですから、証券業界の人でも税制の問題はおそらくよく知らないと。僕もこんな内容だというのはよく知らなかったというところがあるのですけれども、そういうことで講義だけ受けた。といって、いま、証券界なり投資信託業界から出ている要望書というのは、公平に見ても、ちょっといいところ取りというか、有利な点は全部やってくださいよと。当然、業界としての要望はそういうことになるわけです。
そういう場合にどう考えるかということになりますけれども、先の委員のペーパーで、歴史的経過というのは、私の記憶では、投資信託というのは歴史が古くて、昭和16年にできております。これは、当時の株式テコ入れということで野村が初めて始めたということですけれども、ただし、これは元本保証はしてあったんですね。もし元本保証でだめな場合は、野村として個人資産で全部保証すると。規模は少なかったということがあるのですが、これは戦争で全部なくなった。その後、26年につくったのですが、当時は間接金融有利な時代ですから、貯蓄優遇ということが前面に強く出たと思います。ですから、証券貯蓄という言葉ができたのは、戦後のそういう時期です。
そこを通してやってきたということではありますけれども、現在、貯蓄優遇から投資優遇へと大きく変わってきたという歴史的経過の中で、どう考えるかということになると思うのです。基本的には一つの投資物件ということで、従来は信頼がないということで、銀行預金並に安全であり、かつ有利ですよということで貯蓄優遇ということで言った。これは営業政策上、当然のことだったと思いますけれども、時代が大きく変わってきている場合に、僕は、委員の意見で「わかりやすく」というのは非常に重要な点だと思います。
それからもう一つは、証券貯蓄という形から、貯蓄商品ではなくて投資商品であるということになってきた場合には、やはり株式並の扱いをすることにウエートを置くのは一つの流れであると思うのです。ただ、いまお伺いすると、構成によって株式投信も、株式、社債、その他、いろいろな問題が出てくるということになってきますと、非常に複雑になってくるわけです。要は、一つの商品として成立するためには、投資家にとってきわめて単純でなければいけないということがあります。この論点の中にもありますように、いまの証券投資信託に対する課税の方式は、僕に言わせると、ちょっと時代遅れではないかという感じはしているのですが、では、これをどう整理するかということになりますと、いま、僕も証券界なり投資信託業界に意見を聞いております。
また、これを販売するほう--受益者、投資家に接点を持っている証券会社、銀行も売っております。銀行の話は僕は聞いておりませんけれども、その辺が必ずしもまだ一致していないという点もありまして、これを理論どおりにやるのか、あるいは、その課税方式が古いのかということも含めて、大きく時代が変わっているというときに、再考すべきではないかというのが一つです。
もう一つは、委員の御意見の2番目の論点指摘ですが、事務局として、こういう方向は考え方として正しいと思われるか。その場合に、実務的にワークする方法ができるかというような御検討はされているのか。あるいは、いま証券界でもいろいろな検討はなされているようですけれども、次回までには、もう少しした方向性なり、たたき台としての意見が出ることを僕も期待はしているのですけれども、まずその前に、事務局としてこの2番目の委員の見解をどうお考えになるか。あるいは、これが実務的にワークするようなことができるかどうかということをお伺いしたいと思います。
〇事務局
すみません、いまの2点目というのは、数字の2でございますか。
〇委員
そうです。数字の2で、「収益に配当課税(総合課税)をしつつ、譲渡損益を見るという方式であれば、少なくともバランスはとれる」、こういうことです。要するに業界としては、損益通算をぜひしてもらいたいという意見が非常に強いわけですね。その問題です。
〇事務局
私のほうからあまり割り切った御説明をするのがよろしいのかどうかわかりませんので、いままで、もってまわったような御説明をさせていただいていますけれども、伺いますと、いま、株式投資信託の運用が不振で、損を抱えている。したがって、その損について、株のほうである程度配慮がなされたようなことが、株式投資信託にもできるといいのではないか、というような御議論があると思います。
一方、収益については、株のように、配当だから総合課税というのではなくて、いまの利子のような源泉分離課税で済むというほうがいいなというお考えの方もいるようでして、業界の中でも、収益分配の源泉分離課税の簡便性をとるのか、損をしたときの損の見方を重視するのかというのが、分かれている。我々としては、先ほどの概括表でご覧いただきましたように、利子並課税であれば、公社債と同じような整理をさせていただきたいし、株式並ということであれば、配当については一般の配当と同じような課税をしたらどうなのかなというふうに思っております。そういう意味では委員の2番目の指摘は、私どもも同感のところがあるわけであります。
それで、いまの「実務的に」という御質問の趣旨が、もう一つ私はつかめなかったのですが。
〇委員
例えば株式譲渡益課税のときは、野村証券ですが、「マイアカウント」というのが出た。名前がよくないから、マイアカウントという名前はやめろというふうにしていますけれども、それと同じように、その中に全部金融商品を組み込んでやることができないかということを、いろいろ検討しているようでありますので、そういう意味で申し上げたわけです。
もう一つ、これは考え方ですけれども、僕は、投資信託については上場投信ということ、ETFということをずいぶん早くから主張してやってきたのは、これ、100%株ですから。そうすると、証券投資信託も面倒くさい問題が全部なくなるということ。もう一つは、従来の証券投資信託が非常に運用成績が悪い。日経平均なりTOPIXよりもパフォーマンスは下にいっているわけです。アメリカではそんなことはあり得ないわけです。ファンドマネジャーは全部クビですね。
そうしたら、せめて株価平均並の成績になるという意味も含めまして、両面から私は強く主張していたのですが、そういう意味では公社債投信の場合も、はっきりと公社債--しかも、ポートフォリオは内外の債券を全部組めばいいわけですから、100%全部公社債投信にしてしまうほうがかえって商品設計としたらいいのかもしれない。これは、ファンドマネージメントをやる会社のマネジャーの話ですから。そういう考え方が一つです。
といって、税制によって商品設計がいろいろ変わる、これはあり得るわけです。税はいつでも変わり得るわけですから。中国の例を見ればわかるように、あそこでいろいろなことをやっても、法律一つで全部変わってしまうという問題があります。そうすると、やはり新しい時代の商品設計に合った税制を考えていくほうが、面倒ではありますけれども、自然ではないか。そういう考え方を持っておりますので、どちらをとるかということだろうと思いますけれども。
〇委員
直観的に、理論的に言うと、収益源泉別というのはすっきりしていますよね。アメリカでもやっているし、ほかの国もだいぶやっているというので、可能性があるかな、どうかなと。いまの委員の御説明によると、簡便性というところをとると、土台これは論外ですね。
〇委員
論外です。
〇委員
実務的にはそもそもできないだろうという意味で論外ですね。理屈の世界はまあとして。
〇委員
そうです。
〇委員
そうですか。それを考えれば、選択肢はかなり狭まってきますね。
〇委員
これは、直接担当しているところからお聞きになったらいいと思いますが、僕の感じでは、投資家に「これはいいですよ」といって説明するのは非常に無理ではないかと思います。ETFのようなものは非常に簡単ですね。
〇委員
ちょっと教えていただきたいのですが、証券税制を取りまとめて、いま、法案が通ったのかな……。それで、私が先ほど株式並と申し上げたのは、あのときの株式に株式投信というのもすべて加えてセットにすべきだと思うのですけれども、そのときに何か実務的に不都合はあるのですか。
〇委員
私もよくわかりませんけれども、全くないと思います。ただ、業界の当事者としたら、株式というから株式投信も当然と考えてお願いをしていたら、中身を分解するとこういうことだということで、これは大変だということになって、当惑しているというのが現状だと思います、はっきり言いますと。
〇事務局
いまの株式並と言うときに、この株式投信の位置づけですが、一つは公社債投信があって、これは、まさに公社債にしか運用しないということが決まっています。もう一つ、逆の極にETFがあって、これは、株式そのものがバンドリングされた形で上場されて、これが流通するという形になっているわけです。その間にこの株式投信というのがあるわけです。
その中で、例えば株式並みになったときに公社債投信との関係。公社債投信というのは公社債しか運用しない。しかし、株式投信は、例えば株式を1%だけ運用に組み込んでいて、99%公社債やっていても、これは株式投信です。それを、利子所得、配当所得、株式並、株式並ではないというふうに区分せよということは、本当言うとなかなか難しい問題があると思うのです。
これをぎりぎりやっていくと、たしかに前回のここの御議論でありましたように、経済学者の方々から見ると、いまの税制の考え方というのはわからない、素直にそのまま経済の実態を反映していないというふうに、まさにいま委員からあったように、法人税ならばそれに近いところへ来るわけですけれども、所得税、法人税で考え方が違っておりますので、これはかなり根本的な問題に行き当たる問題であるわけです。
いずれにしても、私どもとしてこの問題、さらに言えば、この前ありましたように総合課税の問題をどうするか、さらには、金融所得として二元的所得税論の問題、そこまでいかないとおそらく経済学者の先生方からはなるほどなというふうに言っていただけない面は、何か悔悟が残ってしまうのではないかと思っています。ただし、これは言うべくして簡単な話ではございませんし、いずれにしても、所得税の見直しの中でこういった議論がまた取り上げられると思います。ただ、年末までという当面の短いタイムスパンでは、それはとても考えられないとしたときに、現行の所得分類なり、所得分類に応じて総合課税もしていないという税制の中で、どう考えていくか。戻りますと、公社債投信に対する課税と株式投信に対する課税がどれほど違っていいのかどうか。片方でETFがあるわけです。そういったことも含めて御検討願えればと思っているわけでございます。
それから、株式に対する課税につきましては、前回ここで御議論いただきまして、申告分離課税一本化となったわけでございます。そのとき業界の方々から一番抵抗があったのが、すべての方々にこれから株式で譲渡益が生じた、それから、100万円控除とかそういったものの適用があって、なおかつ利益がある方については申告していただく。これが大変だ、大変だということで、これがなかなか売りにくいのだという話がある。それで、今回、この株式投信についてどういうふうに考えるか。これは、期中に収益が生ずる、さらには解約したときに収益が生ずる、それを申告していただく、そういう形にするのがいいのかどうか。それとも、個別の株式と違って株式投信についてはもうちょっと初歩的な段階なのだから、もっと違ったやり方がいいのかどうか、そういった論点もあろうかと思います。そういったことを総合的に考えて御検討願えればと思っております。
もう一つ、ついでに言わせていただきましてよろしいでしょうか。先ほどの株式投信の考え方ですが、私どもの目から見ると、例えば個人投資家が株式を買う、社債を買う。個人投資家は、それぞれの金融資産が持っているリスクに対して直面するわけでございます。それに対して、株式投資信託というのはいろいろな意味でリスクが軽減されている。一つには、先ほどの事務局の話の繰り返しになりますけれども、基本的には専門家が運用するというのがあるし、専門家は、当然、運用対象を分散してそれによってリスクの軽減を図る。
さらに、もう一つあるのは、税制面から言えば、現行の所得税、法人税の考え方をもとにいたしますと、少なくとも個人投資家が直接資産運用した場合には、所得課税しか考え方は適用できないわけですけれども、その考え方自身を直せという話は別にいたしまして、株式投資信託をファンドという運用する形によりまして、損益通算とか、いろいろな繰越しの問題とか、すべてここでワンバッファーが置かれているわけです。したがって、個人投資家の直面するリスク--リスクがあることは当然なのですが、リスクに対して税制としてどういうふうに配慮するかということは、一つ違いがあるということもまた事実だと思っています。
したがって、例の1兆円ファンドみたいなものが大きく基準価格を下げるまでは、この株式投資信託に対して、解約したときの損失をどう見るかという議論すらあまり出てこなかったのは、正直なところ、株式市場がかなり堅調に推移し、また、受託者責任に応じて専門家がきちっと運用なさっていれば、また、投資家の方々がある程度利益を得たときに解約していくとなれば、実際問題としてそういう問題は顕在化しなかったということもあるわけです。そういった面も含めて、御検討願えればと思っているところでございます。
〇委員
二つありまして、公社債だって、社債だって、国債だって、マーケットで日々クォートされているわけです。ですから、価格変動リスクは持っていますから、公社債投信と株式投信とを分けるという理由が私はまずわからない。
それから、事業持株会社が認められ、金融持株会社が認められた理由というのは、それぞれの事業会社にしろ、金融法人にしろ、いろいろな形の問題に対処するために、第二次世界大戦後の日本の歴史の中で幾つかあったけれども、リスクの遮断を通じて経済社会に対する挑戦を支援することが重要だ、ということから国会を通っているわけです、この90年代に。ということはどういうことかというと、株式投信で幾つかあるだろう、中でリスクがお互い相殺されているではないかとか、そんなことをいまの政府が言うような話ではないでしょう。とにかくリスクの遮断については、いろいろな工夫をやった上で、なおかつ、それでも取りきれていないリスクがある、社会的にとらなければいけないリスクが、現社会においては取りきれていないわけです。ファンドマネジャーも稚拙かもしれないし、あるいは、彼らをして働かせる枠組みがまだ十分できていないということもあるでしょう。
しかし、いずれにしろ問題は、リスクに対してより社会全体が取り組めるようにするためにどういう仕組みがあるのかを、我々は今日、そしてこれから議論するわけだから、株式投信だったらと、これで見せていただいたこういう形で、いろいろ通算しているではないかというのは、私はちょっとロジックとして聞けないというふうに思っています。
〇事務局
誤解があるといけないのですが、リスクがないということはもちろん申し上げないし、リスクに対して対応しなければいけないのでしょうが、税制というものを全く同じように扱うかどうか。経済実態が同じなら基本的に税制はできるだけ同じように扱うと。できるに越したことがないのは事実だと思います。
しかし、同時に、税制面から見た評価というのもあると思います。ほかの全体の枠組みの中で、なかなか難しくなったとき、別の道も選べることがあるのではないかということで、それだけを申し上げたかったわけです。私自身もこれは非常に難しい問題なので、すみません、言い方がわかりにくくて恐縮ですが、経済に対する見方と、税制からの評価というのは別の問題かなという気がしております。
〇委員
非常に難しい議論だと思いますけれども、いまお話を伺っていて、私として幾つか考えていることは、こういった幾つかの商品に対して税制の違いが生じた場合に、それをどういう論拠で説明するかということですが、まず、商品の比較基準をどういう点からとるかということ。それから、課税の根拠と投資家への影響という三つの面で、この税制の違いというものを整理する必要があるのではないかというふうに思うわけです。
具体的に申し上げますと、先の委員の御意見の中では、配当と譲渡益という二つのバランスと、現行制度にするか、あるいは配当を総合課税で譲渡益を見るという方式、この二つの御提案があるわけですけれども、これによってどういった形で投資家に影響を及ぼすかということ。投資性向の中で、配当性向と譲渡益性向というのがあると思うのです。つまり、配当好みになるか、譲渡益好みになるかということについて何か影響が生じるか、生じないかという点。
それから、いまお話を聞いていると、公募型投資信託は、投資家の側は必ずしもリスクを買っているという意識があまりない可能性があって、では何を買っているかといいますと、金融サービスを買っていると。つまり、リスク軽減をするファンドマネジャーがいて、その人の能力、サービスを買っているというふうに考えると、半分は投資の結果なんだけど、半分はサービスの結果を買っているわけだから、明らかに株式のノウハウを個人投資家としてお持ちの人とはレベルが違う。したがって、カバーしている投資家の範囲も違うということになれば、公募型投資信託と株式の間で明らかな税制の違いが生じるのは、私は論拠があるように見えるんですね。
結果的に言うと、先の委員の案でいくと、現行制度が比較的ぴったり来るという面がありまして、利子と総合課税の間にまた新たな税制を設けるよりは、利子というレベルの課税が、配当課税に総合課税を課すというよりはバランスがとれているように見えているわけです。
もう一つ気になるのは、投資家への影響というところですけれども、例えば株式投資であれば、配当部分と譲渡益課税のところで税制を変えるということはある面で影響は出ると思います。どちらを重視しているかということについて、影響は出てくるだろうと思うのですけれども、公募型の場合、配当の部分と譲渡益の部分で、譲渡益のほうは非課税となっています。こういうふうな分け方が投資家にとってピタッとくるかどうか。これは私はちょっと疑問なんですけれども、こういうとらえ方がぴったりくるかどうか、ここの結論が必要なのかなと。ちょっとまとまらないのですけれども、そういう感じもしました。
〇委員
これは非常に大きい話にもつながっているし、しかし、2週間で答えを出さなければいけないと。ちょっと論点を整理して、いま何ができるのかということをしないと、議論が拡散してどうしようもなくなるのではないかと思います。それで、いまできることを考えますと、整合性と言っていると何も進まなくなりますから、大きな証券税制改革の中でこれを位置づけて、株式に直接投資するのと、投資信託でやることの整合性をどう図るかという点だけを考える以外にないと思うのですけれども、そうなると、前回の証券税制でやったのは、再来年から変わったあとで、損益通算ですね。いまの5ページの表を見まして、現実として一番ずれている当面の問題は、「譲渡損はないものとみなす」、ここのところではないかと思います。
実際、1兆円ファンドは半分ぐらいになっているわけですから、非常に大きな損が出ているわけです。個人投資家がそこを通じて証券市場に入ってきて、実際は損を被っているのをどう処理して、個人投資家の信頼をつなぐかという問題に、集約されるのかなという気がします。株式市場の拡大ということを考える、そういうオリエンテーションで今年の改革を考える、そして証券税制との整合性を考えるということであれば、そこのところをどうするかということだけに集中したほうがいいのではないかという気がします。関連で、利子並課税をどうするかというところまでいくことが2週間でできるのかどうか、という問題ではないかという気がするのですけれども。
〇委員
譲渡損益のところだけを考えるということですね。
〇委員
それが一番現実的な話ではないかと思います。できるのかどうかわかりませんが。
〇委員
株式投信のいまの課税が、公募型については預貯金類似の貯蓄性を有するものとされて、利子並課税にしていたこと自体はおかしいのではないか。株式投資信託というのは株に近い性格のものであって、私自身は、委員のおっしゃっている2番目の議論のほうが感覚的には近いかなという感じがするのですが。
〇委員
2番目というのは後半ですか。
〇委員
2番の後半です。ただ、株式並というふうに考えても、いままで何人かの方が御指摘になったように、株式投信と株というのは相当違っていて、資金をプール化して、それをファンドマネジャーがモニタリングして、むしろ個人の投資家の代理人としてプロがいろいろな情報技術を駆使して、個人に対して分配を提供していくと。さっきおっしゃいましたけれども、金融サービスの基本的な大きな方向感を示す、そういう方向だと思っているんですね、株式投信みたいなものというのは。
そういう意味で、現在、日本の個人がどんどんリスクをテイクしていかなければならないといっても、現実的に個人個人が、情報の非対称性もあって、株をどんどん買っていくというような状況ではないので、おそらく一番入りやすい入口はこういった株式投信になっていくと思います。そういった場合に、株式と同じような課税でいいか、もっと優遇するのかどうなのか、そういうことが論点としてあるのかなということが一つです。
もう一つは、配当所得とか、利子所得とか、こういう分け方をしていくこと自体には違和感がすごくあります。さっき御説明もありましたけれども、配当所得と仮に位置づけても、いまのような局面ではものすごく譲渡損が大きくて、最初の意味での配当というものはほとんど勘案されていないような収益分配金--収益分配はないですけど、キャピタルロスとかキャピタルゲインの動きによって収益分配金が左右されている商品だということがまずありますし、それから、公社債投信とのハイブリッドってどんどん出てくると思うんですね。
そういうことを展望していきますと、利子所得と配当所得ということでがっちり分けていく考え方というのは、早晩行き詰まってしまうことが考えられる。これは、どんどんデリバティブで収益の分配をスワップして、いくらでも新しい商品をつくれますので、利子とか配当とか、そういうやり方で縛っていくのは、大きな金融の流れを考えると、たぶん2回では議論できませんけれども、絶対行き詰まることは見えてくるなという気がしています。
〇委員
全くおっしゃるとおりだと思います。ハイブリッド商品が出てくる時代に合っていないというのは先ほど申し上げたとおりです。
あと、公社債投資信託については損益通算という話は、従来何もなかったのですか。僕はいま、最大のリスクは債券だと思っております。最大のリスクじゃないのは株式だと思います。例えば中期国債ファンドなんて、いまやったら、商品としてリスキーでとてもできないということでやめてしまっているわけです。0.1 ~0.2%くらいの商品をやっていたら、早晩……。経済財政諮問会議の中期計画、幾らぐらいを出してくるか知りませんけれども、いま言われているのは、5%ぐらいの金利は遠からずという意見が非常に強いわけですね。そうなったら大暴落で、株式どころではないですよ。六・一国債のときの二の舞になるということがあります。そうなりますと、公社債投資信託についても、その辺の問題をどう考えるかということは非常に重要な問題ではないかと思います。これは、ファンドマネジャーがいくら先物でヘッジするとか何か言っても、大勢には抗し得ないという問題もあろうかと思いますので、一応問題だけ提起しておきます。
〇事務局
幾つか御議論で出ました点の中で、法制的なところで御説明する必要がある点が何点かございましたので、申し上げたいと思います。
一つは、委員から、今回の法案との関係で投信がどう取り扱われているのかという御議論がございました。今回の法案は、譲渡益課税についての処理を法案化させていただいておりますが、したがって、上場型のETF、株のみに投資されているものについては株並ということでございますので、もろもろの措置はその法案の中で講じられているということでございます。つまり、株式譲渡に類似するような商品であるところのETFについては、今回の法案で処理がなされております。
現在御議論いただいていますのは、譲渡益というよりはむしろ収益、配当がどうかというところでございますので、今回の法案には入っておらないという点がございます。それが第1点。
それから、公社債につきまして、当然譲渡があり得て、そこに価格の変化があるという点がございます。これは、いま利子のほうは源泉分離課税をしておりますので、源泉分離課税ですと、その利払いを受けたときに、保有していた方から全額源泉分離課税で課税をするというふうになっております。仮に期中で売却したときに、そこで譲渡の損益を認識するという話になりますと、源泉分離課税で全額利子課税をするということはできなくなって、保有期間に応じて利子課税も按分していくことになるわけです。法人課税でありますと、おそらくそういうことで、それぞれの利子の経過部分につきまして十分に認識して処理をするというふうになります。個人にそこまでできないというようなこともあって、公社債については、利子の源泉分離課税で、元本については非課税にするという話になっておりますので、譲渡益について課税に取り込むという話になりますと、利子のほうの源泉分離課税がおかしくなると申しますか、決定的にリンクする話なのかなというふうに思います。
それから、今回の議論で、株式投信の運用損の話が出てまいりました。そのとき譲渡の御議論がございましたけれども、先ほど、もう一つの論点として出てまいりましたことと関係いたしますが、株式投信の場合、基本的には解約で収益の配分を受けております。受益証券を譲渡する、しないという局面ももちろんございますが、解約の面がございますので、受益証券の譲渡については、現在は利子並ということで非課税のほうに入ってまいりますし、解約のほうは課税の中に入っておらない、そういう関係がございます。したがいまして、譲渡の部分と解約の部分、実務的に違う面がございますので、ちょっと申し上げました。
〇委員
もう一つ、念のためにお聞きしておきたいのですが、委員のペーパーの下から2行目に、「収益に配当課税(総合課税)をしつつ」とありますけれども、これは、別に総合課税を無理にしなくてもいいということではないのですか。総合課税という言葉のあやですが。つまり、株の配当自体は、事実上、ある部分は源泉分離に近いですよね。そういう意味で例えば収益についても、10万円とか、何万円かまでは事実上源泉分離ということであっても構わないわけですね。
むしろ問題は、インカムゲインのほうの課税ではなくて、キャピタルゲインのほうの課税をするのか、しないのか。繰延べをするためには、当然、課税をしなくてはいけない。それをするためには申告させなくてはいけない。そこら辺を投信でやれるのかということは、一つの問題なのかなというふうに思います。ちょっと問題を整理するために申し上げているだけなのですが。
〇事務局
総合課税のところはまさにおっしゃるとおりでして、たぶんそういうつもりでお書きになっていると思いますが、配当所得の通常の課税方式を適用されるということだと思います。それから、インカムゲインとキャピタルゲインですが、通常、株式投信の場合は、俗な言葉で言えば、例えば100万円を預けて運用してくださいと。一定期間置いて、その運用成果が上がった、上がらなかったは別として、解約して返していただきますということです。したがって感覚的には、キャピタルゲインというよりも、100万円預けて120万円だと。収益を分配してもらうわけですね。100万円預けたところ、どうも運用がうまくいかなかった。その結果、それが80万円まで目減りしてしまったと。いわばマイナスの収益みたいになるのですが、その上で元本と合わせて返してもらったということで、キャピタルゲインという言葉が、株を譲渡したときの……。私どもはどうしても税制の頭で考えてしまって、そっちに毒されているかもしれないので、経済学的な意味では一緒ではないかというのもわからないわけではないですが、言葉の使い方というのでしょうか、どちらかというとマイナスの収益の分配的なイメージでとらえられてしまうというのが、税制の感じだということだけ申し上げさせていただきたいと思っております。
〇委員
ちょっと混乱してわかりにくくなったのですが、解約であろうがなかろうが、解約した段階で損が出たとしますね。そうすると、技術的にこういう中ではそれは見れないと、そういうお話ですか。
〇事務局
譲渡所得の場合は、譲渡損というのがあります。買値があって売値があって、マイナスになった場合、譲渡損を生ずる。株式の場合はどうしているかというと、株式の譲渡所得については、それが益があれば通算するし、今回の措置では引き切れなかった分については3年間繰越しを認めているわけです。
ところが、解約した場合、マイナスの収益分配となりますと、例えば、委員が別の委員に100万円貸しましたと。ところが、別の委員は返してくれなかった、ゼロになってしまった。仮にそういう状態のとき、それをどう考えるかという問題と近いところがあるのです。預けました、どうも運用がうまくいかなかった、80万円しか返してもらえなかった。これを譲渡損として認識できるかという問題がある。片方のほうは、収益に対して配当課税されている。それと、このマイナスの20万というのをどういうふうに考えるか。これ、所得税では難しい問題だということはあります。譲渡による譲渡損とか、譲渡益課税というのは誤解を招くのですが、投資信託を解約したときに損が生じた。この損は、税制的に見れば譲渡損とは基本的に認識していないということなのです。
〇委員
何損ですか。
〇事務局
これは、まさに目減りしたということで、所得の範疇の外に入ってきているという……。これは先の委員のほうが適当かもしれませんが、私どもはそういう認識です。これが、前回もここで議論がありました、目減りというもの。目減りにも2種類あって、評価の目減りは、法人課税においては評価損を立てるけれども、所得課税では全部やらない。しかし、実現した目減りと考えます。
例えば、これを実現した目減りと考えれば、この20万円をどう処理するか。これは譲渡損だから、例えばどこと通算するのかと考えると、ほかの投信で儲かりましたと。120万円。これと通算できるのかできないかというと、一般的にはできないと考えるのが所得税の考え方です。
〇委員
そうすると、委員の書かれている2の、「利子並課税を行いつつ譲渡損益を見る」、あるいは「現行制度(利子並課税をしつつ、譲渡損益を見ない)」。こういう譲渡損益を見る見ないという範疇の中に、そもそも公社債投信でロスを出しているという問題は入ってこないのですか。
〇事務局
委員が、「譲渡損益を見る」ということをどういうふうにお書きになられたかというのは委員にお聞きするしかないのですが、先ほど、私募の話をしました。10ページをご覧いただければ、「私募型に対する課税」というところで、「解約・償還による収益」とございますが、「解約・償還による収入のうち、元本を超える収益分配部分は配当課税の対象とする」、これは当然の話です。しかし、「元本に達するまでの金額については、株式等に係る譲渡収入と見なす」と書いています。
例えば、100万円を私募でやって、120万円になりましたと。これは配当課税20万円が対象になるということは上に書いてあるわけです。ところが、80万円になった場合に、100万円が元本ですから、100万円に達するまでの金額については「譲渡収入と見なす」となっているわけです。したがって、80万円は譲渡収入ですから、譲渡収入であれば、必要経費、取得費用とかあるわけですから、100万円になるわけです。したがってマイナス20万円が譲渡損。厳密な意味での譲渡損と見なしているというのがこの私募の考え方です。
〇委員
株式と同じですね。
〇事務局
株式と同じという言い方がいいのか……。ただし、この譲渡損は、例えばほかで株式についての譲渡益がありました。株を売ったときに利益が出ましたと。それとの通算は認められるという形になるわけです。
〇事務局
ちょっとよろしいですか。前回もお話ししたのですが、実は所得税の一番根幹の部分でございまして、もっと簡単な例で申しますと、一番いい例が絵画を買ったと。100万円の絵画を買って120万円で売れたら、これは譲渡収入でございますね。収入から支出を差し引いて譲渡益課税になるわけです。ところが、この絵画が偽物であった。そうすると、ゼロになって売れない。これは譲渡損になりません、譲渡ではありませんから。自己責任で自分の世界では損にも立てられないわけです。だから、贋作と知って、誰かをまただまして例えば10万円で売った。100万円で買ったものを10万円で売って、90万円の損を立てれば、これは譲渡損になるのです。
同じような意味でゴルフ会員権などでは多くあるわけです。ゴルフ会員権を造成前に100万円で買った。造成がうまくいって売れて、自分はゴルフもしないのに稼いだ。〇〇で有名になりましたけれども、ああいう場合には譲渡益になります。ところが、そのゴルフ会員権はバブル崩壊でパーになった。売れない。実はこれは所得税の世界では損失とは認識しない。同じ問題が根っこにあるわけです。
ですから、ここでもわざわざ「譲渡収入と見なす」と書いてあるところに、そのテクニックが入っているわけです。ぎりぎり言えば、これを譲渡収入と見なすかどうかという扱いの話はテクニックとしてあるかもしれませんが、このあたりは、ありとあらゆる「資産」と言われるものに共通の範疇を持っていることになります。今後、いろいろなデリバティブの商品が出て、絵画が出てくる、何が出てくると、もしなったとすると、実は全部共通の問題として出てくるということがこの問題の根幹にあるということを、前回もお話ししたのです。非常に難しいのですが、そこの問題がある。そればかり難しいと言っていてもしようがないですから、私募のような手続きでやった例はあるということをここで見せてはあります。
ただ、ここの問題は、むしろ問題は公社債投信ということになってくると、本質論にどんどん抵触していくということになると思います。これが、個人が事業でやっている場合には事業で通算になるのです。これは所得税の世界の一番根幹なんですね。内と外。法人税の場合は事業しかありませんから、外しかないのですが、所得は内と外があって、家計の経費と事業の経費との違いになってくる。この辺の非常に難しい扱いがあるのだと思います。むしろ先の委員にお話しいただいたほうがよろしいだろうと思いますが。
〇委員
そこら辺の話をあまりやりすぎると、まさに投資信託という、株よりは素人向けの資産に対する税制ということは、一般大衆は違和感を感じることになりかねないので、そこら辺の問題もあろうかと思います。
不手際で時間が延びておりますが、会長はどうしてもとおっしゃっていますから終わりますが、その前に、どうしてもおっしゃりたい方がいらっしゃれば。
〇委員
譲渡損の場合には、私が譲渡損を被ったら、相手方に低い簿価で引き継がれて、また値上がりしたら、相手方は取り戻せます。相手方に対する課税という形で取り戻し得る可能性はありますよね。解約、元本割れのときには、そういうのはないから消えてしまうんですね。だから、両者は全然違う話だと思うのです。間違ってませんよね。
〇事務局
初めに御説明した、「前回の議論(メモ)」というところに、解約と譲渡は同じかどうかという御議論がありまして、持っている人にとってみれば、ある種同じ面がございますが、全体として見れば、引き継がれるか、引き継がれないかという違いがございます。あるいはファンドのほうから説明すれば、解約すると、お互いに抜けてファンドが小さくなって終わりですけれども、譲渡であればその債権関係は残ったままですので……。ファンドと申し上げるよりは、個別の貸付債権だとしますと、貸付債権を返してしまえば債権関係は終わりますけれども、貸付債権を隣の人に売れば、債権関係は残っていますので、そういう意味では明らかに違いがあります。いま委員がおっしゃったとおりで、そういう意味では解約と譲渡と、一面のところは同じ点がございますけれども、全体で見ますと違ってくると思います。
〇委員
一つだけ、いまの事務局の御説明で非常に驚くのは、いまここで個人を投資者にしようとするときに、そのマーケットでのプレーヤーが、一方で法人があり、一方で個人があるときに、課税関係が、法人がプレーヤーになったときと個人がなったときでは、著しく個人に不利になっているという印象を非常に強く受けました。いま短期的にやる問題ではないですけれども、そこの手当てがないまま個人を参入させていいのかなという感じがします。
それから、金融技術がいろいろ進んでくると、利子、配当、譲渡、解約が違うという区分自体が、機能しなくなっているという感じが非常に強くしますので、中長期的にはこの問題は避けて通れないなという感じがします。
〇委員
個人が株を買ったときと公社債投信を買ったときは、損が出たら、公社債投信を買ったほうが不利だという理解でいいのですか。
〇事務局
いまの意味は、解約に伴って、例えば100万円投資したのに90万円しか戻ってこなかったということですね。その10万円については、少なくとも公社債投信につきまして、見ておりません。
〇委員
見てもらえないけれども、株の場合には、直接なら通算できると。
〇事務局
そのとおりです。
〇委員
そこが違うわけですね。
〇事務局
はい。
〇委員
株が燃えてしまったら、ということなのだと思うんですね。燃えるとか、盗まれた場合、法律関係が厄介で……。
〇事務局
倒産とか。
〇委員
ゼロになってしまったときですね。倒産ですね。
〇事務局
はい。
〇委員
燃えるはちょっとあれか。すみません。
〇委員
この小委員会は後半になると盛り上がってしまって、なかなかしまりがなく、終わらないけれども、これから年末ですから、総会をやって起草委員会をやるという段取りになります。そこで1分だけお願いです。
ここの小委員会の議論をどういうふうに総会、起草に入れていくかという問題は、私、会長として責任がありますので、お願いですが、きょう、非常に難しい問題がいろいろ出ました。とてもではないけれども、小委員長に総会で報告してもらうときに、全部は入れられないと思いますが、次回27日に、ことし最後の金融小をやります。午後は総会です。そうすると、その午前中の議論が非常に重要で、主要な論点で、ここまでやってけりがつかない、あるいはこれはなるべく直近でやらなければいけない、あるいは中長期に繰り越してもいいというあたりを、ちょっと整理して小委員長から総会に出してもらわないと、またばらばらの議論になると困るわけです。ぜひ、やりたいことをしっかり言ってもらって、総会にも言い送ってもらって、ぜひ今後の議論にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇委員
それは、ぜひひとつ。業界として本当にどういうあれを望んでおられるのか、それも……。
〇委員
具体的に今年じゅうにはできないのだから、どこに問題があるかということを整理してもらえばいい。
〇委員
私は業界代表ではないですから。ただ、業界には物を言う立場におりますので、論点整理をきちんとさせるというふうにします。
〇委員
基本的には、株式並課税をやるのかどうかということなのではないでしょうか。
どうもありがとうございました。次回は、11月27日午前10時から開催します。事務局とも相談して、総会に報告するための小委員会としての意見の方向を出していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、きょうは、どうもありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。