企画会合(第24回)議事録

日時:平成19年11月16日(金)13時30分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

委員

ただいまから税制調査会の第24回「企画会合」を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

議事に入る前に、一言申し上げますが、本日は前回と同様に、自由な意見交換を行うために、会議は非公開とし、企画会合終了後の記者会見で、私から会議のことについて、若干の説明をさせていただくということといたします。

議事録につきましても、通常どおり公表いたしますけれども、前回もそうですけれども、発言者名を伏せた形で公開するということにさせていただきますので、よろしくお願いします。

また、これも前回と同じでございますけれども、お手元にお配りしている資料は情報管理の観点からお持ち帰りにならず、席上に残しておいていただきたいと存じますので、御協力のほど、是非お願いをいたします。

本日、お配りしている資料でございますけれども、「答申(案)」、それから「審議において出されたその他の主な意見(案)」、これも案でございますが、それに加えまして、「参考資料(案)」という冊子を用意しております。

これは、これまでの毎回の審議で出された資料から、答申本文のバックデータとなるような資料をまとめたものでございまして、答申とセットで公表することを予想いたしております。

なお、このほか、本日御欠席の委員、それから出席されておられます委員から意見書の提出がございましたので、これもお手元に配付しております。

本日の議事について申し上げますが、前回、13日火曜日の会合で、私より答申をお示しし、それに対して、皆様方からたくさんの御意見を頂きました。会合が済みました後、頂いた意見につきまして、委員や主査の方々に協力いただきながら検討いたしまして、前後のつながりや、全体のトーンを見ながら変更した方がよかろうと判断したものなどを修正させていただきました。

本日は、前回から変わった部分について、最終確認をしていただき、実質的に答申内容をかためたいと考えております。

その上で、次回、11月20日火曜日の場では、異議なく答申の決定という運びにしたいと考えておりますので、よろしく御協力をお願いしたいと存じます。

早速審議に入りたいと思いますが、本日の審議の進め方については、既に答申案については前回で読み上げさせて頂いておりますので、本日は、読み上げは省略いたします。

前回からお示しした案から変わった主な点について、御説明したいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

委員

それでは、ただいまお話がありましたように、皆様方から前回の会合で貴重な御意見を多数頂きました。本当にありがとうございます。

それで、頂きました御意見を、会長と主査の方々と、それに私とで繰り返し検討をする会合を持ちながら、前回お示しした案文を修正させていただきました。それがお手元に行っております答申案でございます。至りませんけれども、私が代表して説明させていただきます。

パラパラおめくりいただければ、おわかりいただけますように、前回から変わったところについては、削除の印ないしは下線で表示してございますので、それを参照にされながら説明を聞いていただければと思います。

可能な限りいただきました御意見を尊重して修正をいたしましたけれども、全体の流れの中で収まりがどうしても悪いものにつきましては、先ほど資料として御説明していただいた、その他の意見の中にとりまとめさせていただいております。

お手元の答申案をおめくりいただければと思いますが、前回お示ししていなかったんですけれども、今回の答申案には、答申全体の表題を付けさせていただいております。その表題は、「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」というのを答申の表題にさせていただければと考えております。

同時に「はじめに」を付けさせていただきました。この「はじめに」は、委員の皆様方からこの答申の位置づけ、特に20年度改正とどういうふうに関連しているのかという御質問があり、これについて御説明をしていただいておりますが、現在の状況では、20年度改正で行うべきものと、そうではないものとの区分がかなり難しいところもございますので、全体の答申の位置づけや、税制調査会の政府に対するスタンスを示すという意味でも「はじめに」という序文を付けさせていただいているところでございます。

「はじめに」を見て頂きますと、一番最初に「本答申は、平成18年11月の諮問に基づき、中長期的観点から、あるべき税制の全体像について基本的な考え方を示したものである」。表題を説明するように、税制の全体像についての基本的な考え方を示したものだという性格づけをいたしております。

その後、経緯を書かさせていただい上で、段落を開けて「なお」のところから、20年度改正の関連を説明しておりまして「なお、本答申は、平成20年度中に期限の到来する事項や」、これは御案内のとおり、金融証券税制やそれから研究開発投資減税を含む政策税制というものの期限がまいりますので、20年度中に期限の到来する事項や、更に新制度施行への対応が必要な事項を含め、これは公益法人制度の改革などが行われますから、それを含めて議論した結果をまとめているというふうに謳って、本答申を盛り込んだことについては、20年度以降、こうしたことを鑑みて、どのようなタイミングで行うかということについては、政府において適切に判断されることを求めたいというふうにしております。

そして、最後の3行でございますけれども、抜本的な税制改革は、その前から見ていただければ、改革は遅れれば、遅れるほど解決困難な課題がふくれあがってしまう。抜本的な税制改革は国民的合意を得て、できる限り速やかに実施に移される必要がある。この答申が道しるべになり、今後、あるべき税制の構築に向け、各方面において建設的な議論が展開されることを強く期待したいというメッセージを伝えております。

そういう序文を付けさせていただいているということをお断りした上で、2ページからの「第1 総論」を見ていただければと思います。

総論につきましては、委員の皆様方から頂いた御意見は、1つは、この総論の分量が多過ぎるのではないかという意見を頂きました。

他方でもって、このぐらい説明をしないと、全体の趣旨に関わるということによって、むしろもう少し丁寧に説明した方がいいのではないかという御意見も頂いておりますので、趣旨を鑑みまして、各論の方と重複するところは削除させていただきました。

しかし、総論、各論それぞれが一つの読み物としてでき上がっていた方がいいと、私ども検討して考えましたので、総論としてまとまりがあるという要請が必要だと考えて、重複部分は可能な限りにとどめております。

2ページ目、削除をしている点は、委員の方々から説明としては、やや古いのではないかという御意見を頂いたところですけれども、真ん中辺り「第二は」というところですが「冷戦終結やIT技術の発展に伴う」を削除させていただいております。

更に、終わりの方の段落ですが、ここはストックの財政の厳しさ、債務残高のみを書いていたのですけれども、フローの財政の厳しさも書くべきではないかという御意見がございましたので、それを付けさせていただいて、更に、国際比較などで、財政の厳しさをここで図表などで示すべきではないかという御意見も頂いたのですけれども、それは先ほどの資料集をここと同時にくっつけますので、答申と同時に付ける資料集の方で国際比較などについては見ていただくということにさせていただければと思います。

全体として、後半の下の、最後から3行目辺りの訂正ですけれども、これは財政状況の厳しさを先送らないという趣旨が少し薄いという御意見がございましたが、それを入れさせていただいているところです。

3ページ、ここはいずれも表現が不適切だという御指摘を頂いたところを取り入れて、真ん中辺りですが、男女とも、それから、むしろ男性、若者、高齢者などというようなところを削除させていただいて、表現ぶりを改めさせていただいたというところが3ページ目です。

4ページの真ん中辺りですが、社会保障制度を信頼に足る制度として維持していくという表現だったのですが、もともと社会保障制度の信頼が崩れているときに、どう対応するかという趣旨の御意見を頂いたので、ここは福田総理大臣の所信表明演説からそのまま採らさせていただいて、社会保障制度を将来にわたり、持続可能で安心できるものとしていくことは、極めて重要でありという表現ぶりに改めさせていただいたところです。

5ページ、期限など、明確に時期や工程などを表示すべきではないかという御意見を多数頂きましたので、できるだけ期限、時期などを明記できるところは加えております。そこで加えておりますのが、上の方の平成21年度までにという時期を明確にしているところです。

更に、後半の段落ですが、国・地方、それから前は企業等と入っていたのですが、公といいますか、これもなかなかどういう言葉を使ったらいいのかわかりませんが、御意見をそのままちょうだいいたしまして、民間公益セクターとさせていただいております。

最後の6ページ、これは前の4ページの中ごろの表現ですが、社会保障が主要な役割を果たしているという表現と統一させていただいたという修正です。社会保障が主要な役割を果たしていると、それまで中核という表現ぶりを改めさせていただいております。

更に7ページ、これはいずれも委員の皆様方から前回お出しいただいた御意見を踏まえて、趣旨を取り入れて修正させていただいているところですが、7ページ目の後半でいけば、技術を加え、それから創業支援は重要であり、エンジェル税制の活用などもというところを補って改めさせていただいたというところです。

8ページ、ここをバサッと切っているのは、先ほどの各論との重複の関係でバサッと切らさせていただいている趣旨です。

それから、これも委員の方々から御指摘いただいたんですが、社会参加という言葉を、やや語感の感じもございますけれども、前も参画という言葉を使っておりますので、社会参加ということではなくて、参画に改めさせていただいた。

更に御意見を頂いた趣旨を入れて、中ごろですが、納税者が身近なところで税を納め、その使途をチェックすることの意義も大きいということで、分権の意義をここでまた書いているというところです。

9ページまでの総論については、以上が主要な修正点でございます。主要のというか、ほとんど御説明させていただきます。時間もございますので、少しはしょらせながら説明させていただきますが、10ページから始まる各論をご覧いただければと思います。

各論のうち「1.個人所得課税」の修正点ですけれども、ここの修正点は、わかりやすく説明したり、それから方向性を出すというところが主な修正点でございます。

11ページ、配偶者控除について、さまざまな御意見が出ましたけれども、必要性などの意見についての、つまり現行制度を維持すべきだという意見については、次のように修正させていただいております。

夫婦は、生活の単位で、基本的単位であり、またということを付け加えさせていただいたということです。

12ページはございません。

13ページ、退職所得のところですけれども、ここは退職所得課税について、少しわかりやすく説明をして解説を入れております。つまり、勤続20年を境にして、1年当たりの控除額が急増するという仕組みや、勤務年数が短期間でも所得の2分の1に課税されるという現行の仕組みを見直しというように、少しわかりやすい説明を加えているというところです。

13ページ、14ページ、ここら辺は表現ぶりでございますけれども、14ページの方で修文をいたしましたのは、少し方向性を持たせるという意味で、世代間、世代内の公平の観点から適正を図ることを考慮すべきであると、問題であるという指摘だけではなくて、少し考慮すべきだという方向性を持たせて表現を変えさせていただいております。

真ん中ごろですけれども「(6)所得控除と税額控除」についての修正が中ごろにございますけれども、これも方向性を明確にするという意味から、考慮に値すると、少し表現ぶりを改めさせていただいているというところです。

15ページについては、委員の皆様方から、いわゆる給付つき税額控除を導入するという議論について、注意すべき点を幾つかちょうだいいたしましたので、それを付け加えたというのが修正点です。

4行目辺りですが、既存の給付に加えて、説明として各種の低所得者対策との関係を踏まえ、これは既に各種の低所得者対策を地方自治体等で実施しているという御意見を踏まえた表現を改めさせていただいたところです。

それから、少し下の改正も同じことで、とりわけ正確な所得の捕捉方法をどう担保するかという論点があるということで御指摘頂いた追加の論点を加えさせていただいているということです。

15ページの下の「(8)個人住民税」の「<2> 寄附金税制のあり方」という点ですけれども、ここは委員の方々から頂いた御意見のうち、わかりやすくという点を考慮いたしまして「控除方式については、納税者にとって」という句を挿入させていただいているのと同時に「現行10万円の適用下限額については、大幅に引き下げることが適当である」ということを追加させていただいた。これは説明を加えるという意味で行っております。

それから、ここでは寄附金と「ふるさと納税」を別立てにすべきだという御意見なども頂きましたが、これについては、寄附金課税の方でもう一度盛り込むということを行うという修正を行っております。

以上が個人所得課税ですが、17ページから始まる「2.法人課税」のところをご覧いただければと思います。

上の方で削除してあるところは、総論との重複の関係でもって削除したものでございますので、重複の修正をさせていただいたということです。

それから「(2)法人実効税率」については、法人実効税率についての方向性やメッセージが明確ではないという御意見がございましたので、18ページの(2)の下線が引いてあるところは、全部修文で動かしたところですが、それから(3)のところの下は削除してありますけれども、ここを削除し、その趣旨をも(2)の方に移しながら全体を整理して、そして方向性を出すというように修文をいたしました。

それが、18ページの修正に関わっているところでございまして、それから17ページの削除も同じ趣旨でございます。

18ページの方、ちょっと目を通していただければと思いますが、企業の負担を軽減した場合のマクロ経済の影響については、設備投資等を通じて、家計部門の雇用や所得に及ぼすプラス効果が期待される一方で、税収に伴う財政赤字の拡大を伴うマイナス効果もあり、明確な結論は得られなかったとしながら、方向性を出す意味で実効税率の引き下げについては、当調査会の議論において、法人課税の国際的動向に照らし、必要との意見も多かったが、厳しい財政状況の下、課税ベースの拡大を含めて対応する必要がある。それまでの間においても、経済活性化に向けた不断の取組みが必要であるということは言うまでもないという表現に変えさせていただいております。

19ページまでの法人課税については以上でございますけれども、次の「3.国際課税」については、特に修正した点はございません。

「4.公益法人税制」の方をごらんいただければと思いますが、21ページ、これは「第三に」の前の「第二に」というところの下側ですけれども、これは他の法人とのバランスを勘案する趣旨を盛り込まないと意味がわかりにくいという御趣旨を踏まえて修正させていただいておりますが、それ以外、かなり大きな修正をしておりますけれども、この点は、新しい制度の導入や、それから先ほど言いました、個人住民税の叙述などを盛り込むということを踏まえて、新制度と、前に書きました個人住民税との関連づけたという修正でございます。ほぼ新制度の展開などに伴う改正点については、頂いた御意見を取り入れて修正させていただいていると思っております。

それから、23ページの「5.消費課税」の方にお移りいただければと思います。

消費課税の方では、幾つか表現が不明確だと御指摘頂いた点について、中を削除したり、修正をしたりしておりますが、大きな修正点は「(1)消費税」の「<3> 消費税と再分配」の関連において、消費税というのには、逆進性がないとは言えないのではないかという御意見がございまして、それを踏まえて修文をしたところですけれども、これについては、主査である委員から少しコメントをいただければと思います。

委員

それでは、23ページ~24ページですが、念のために「<2> 使途」のところも申し上げますが、これは前回消費税の福祉目的化というのと、それから[2]の小節の下から2行目ですが、消費税の社会保障財源化という言葉がかぎ括弧の中で2つ異なる表現が出ているのでどうなんだという御意見がありましたので、上の方の消費税の福祉目的化という部分は削除したということです。

それから、一番大きな修正は、先ほど説明の委員からもありましたが「<3> 消費税と再分配」のところの逆進性をめぐる議論ですが、それが23ページ~24ページにかけて、かなり大幅に修正しております。

ただ、修正といっても、実は上の段落というのは、23ページの一番下からですが、若干読み上げますと、消費税については、所得に対して逆進的であるとの指摘がある。これは勿論もとからあった文章ですが、こうした指摘は、十分念頭に置く必要があるが、その次にあるべき再分配政策を考える上では、一税目の負担のみに着目するだけでは不十分であり、以下、1つの大きな段落、つまり24ページの「なお」という新しい文章が始まる上まで積極的な意義づけが行われるべきであるという部分は、実は前回のドラフトにも基本的にあった文章でございます。

ただ、順番が変わって、この段落が後の方にあったんですが、まずは、消費税と所得分配、こういうことについて考えるときには、一税目だけ、この場合には消費税ですが、その中だけで考えることには限界があって、要は社会保障あるいは税全体の中で考えなければいけない。それが一番大きな論点だということで、<3>の中の一番上にそれが来ている。

その上で、なお書きでありますが「なお」の次の節、下線が引いてある大きな段落ですが、ここも全く新しいことでは必ずしもないんですが、読み上げます。

「なお、長寿化、経済のストック化、働き方の多様化といった経済・社会の構造変化の中、『一時点の所得』の水準という一つの尺度からのみ担税力を評価することは必ずしも適当でなくなっている。例えば、かつての所得で蓄積したストックを取り崩して豊かな生活を享受している者と、現在は一定の所得があるものの将来の不確実性や老後生活に備えて質素に生活している者がいたとする。この場合、前者について、現時点の所得に対する消費税負担率が後者より高いからといって、経済力が乏しい者により重い負担を求めているという『逆進性』の弊があるとは必ずしも言えない。一方では、稼得された所得はいつかは消費されるとの考えに立てば、消費は『一時点の所得』よりも生涯を通じた経済力をより正確に反映していると考えられる。これに比例的に負担を求める消費税は、むしろ負担の公平に資するとの見方も可能である」。

ここの部分は、御承知のとおり、委員の方々の中でも大変大きな議論があって、本日配付されています、委員のペーパーの中にも、2枚目ですかね、消費税のところで、逆進性の問題というのが再度提起されているわけでありますが、生涯所得という表現がわかりにくい。その他の議論も全体を踏まえてです。

しかしながら、この政府税調としては、要するに所得再分配を考えるときには、一税目の中だけで考えるのには限界があるんではないか。もっと大きな度合いで考えなければいけない。これは、私は正しい論点だと思うんですが、先ほどもお話ししたとおり、そのことを、まず<3>のところで述べて、次に個別消費税に関して逆進性ということが言われるわけであります。

これは前回の会議でも申し上げましたが、逆進性ということが問題になるのは、要するに経済力が弱い人がたくさん税を負担しているんだと、勿論そこに問題がある。逆進性という言葉の問題として逆進性が挙げられるときの問題点は、経済力が弱い人がたくさん税を負担しなければならない。それはおかしいではないか、そういうことであるわけですけれども、ここで第2の段落で言っていることは、そのこと自体は確かに大きな問題なんだけれども、経済力というのをそもそもはかるときに、一時点の所得というのがある人の経済力をはかるのに適当な尺度なのか、必ずしも適当な尺度ではない。これが、この税調でも大竹専門委員から報告していただいたときに、なされた一つの大きなメッセージだったと思いますが、また、そのこと自体は、私は正しいと思いますので、そのことを1つの例のようなものも挙げながら、今回、丁寧に説明したつもりです。

消費税そのものが逆進的かどうか、それは逆進性という言葉が、一時点の所得との対比で使われるべき言葉、さまざまな議論があったんですが、余り逆進性という言葉そのものにとらわれて、それが本来提起している問題からずれていってしまっても、言葉じりをとらえた議論になってもおもろくないということで、ここでは経済力をはかる尺度として、一時点の所得というが本当に適当なものなのか、必ずしもそうではないんだということを述べたということ。これは私は世の中と対話する上でも、世の中あるいは多くの人にこういう論点があるんだということは知ってもらっていいんではないかと、そういうことをきちんと説明するのは政府税調の役割ではないかと考えて、このような修正文にいたしました。少し長くなりました。

委員

どうもありがとうございました。以上が消費税の修正点でございます。

27ページ「6.資産課税」。「(1)相続税」関係で<1>のところですが、上のイのところを修正させていただいておりますけれども、これは、実態をわかりやすくする説明を入れただけでございます。死亡件数、死亡者のうちの4%程度が課税されているという実態を説明したという修正だけでございます。

それ以外、資産課税はございませんで、32ページ、そこから「7.納税環境整備」が始まりますが、納税環境整備の関連では、32ページで、基礎年金番号についての信頼が揺らいでいるというか、そういう御意見がありましたので、ちょっと順番を逆にさせていただいて、最初の案は基礎年金番号と住民票コードというふうに表現していたのですが、住民票コードと基礎年金番号というふうに順番を変えさせていただいた。

あと、最後の33ページの「(5)広報・租税教育」について、最後から2行目の段、教育現場の理解を得ながらというのは不必要だという御意見がございましたので、ここを削除というふうにさせていただいたというところでございます。

以上、御説明いたしました点が、答申案を修正して新たに皆様方にお示しした、修正した箇所でございます。

この案を委員の皆様方には、これから御審議いただいて、本日、とりまとめるべく御尽力いただければ幸いに存じます。

以上でございます。

委員

どうも、ありがとうございました。

それでは、ただいま説明がありました前回からの修正部分を中心として御意見をお願いしたいと思います。

最終段階に入っておりますので、御意見はできるだけ具体的な提案、文章、こういうふうに変えろとか、はっきりとした形の御提案をしていただければ、私どもとしては、大変ありがたく存じます。どなたからでも結構でございますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

委員

時間が貴重なので、(1)の「抜本的な」のところの3ページ目までなんですが、ここは確かに中長期なんですけれども、会長にとっても初めての答申でもありますし、来年度税制改正に直結するものが1つ入っているわけでございますので、3ページ目の下から3行目「成長力強化」というところの後に、点として、民間公益活動の活性化というものを入れて、会長としてというか、我々全体ですけれども、数年後、確実に1つは、この中で達成したというものがあるようにした方がいいのではないかと思います。

ほかにもあるんですが、改めて意見を述べさせていただきたいと思います。

委員

大変御配慮いただいてありがとうございます。とりあえず、私の方に預けていただいて、持ち帰った上で何人かの方の御意見も伺った上で決定したいと思います。

念のために申しますと、普通の年というか、普通の状況であれば、スケジュールは何月ごろに事件が起こってというのは、大体予測ができる。特に与党、政府内のことであれば予測ができるはずなんですけれども、今年はタイムスケジュールを予想することが非常に難しいというか、不可能な事態になっております。

したがって、ここは中長期的に大事な問題を取り上げている、しかし、そのタイミングが合っていない。よい例えかどうか分かりませんが、お前は大きくなったら働かなければいけないんだぞ、結婚しなければいけないんだぞ、子どもを産まなければいけないんだぞということで、そのときはそうしろと書いてあるわけで、結婚する前に子どもを産むべきかどうかとか、そういうことまでは書いていないということで、これはやむを得ないことだと思いますので、そういう意味で、タイミングについては詳しいことは言えない、また言っても余り意味がないかもしれないと思いましたので、こういう形で収めさせていただいたということで、できれば御了解頂きたいと思っております。

ほかにいかがでしょうか。

委員

7ページの企業の活力を高めるというところが弱い。特に中小企業の分野、エンジェル税制の活用などによりといいますけれども、エンジェル税制も余り使い勝手がよくないというのが現状でありまして、これ以外に何人もの方と、私もほかの方もきっとお話になられたと思いますが、今、廃業率の高い中で、中小企業の中、技術を持った中小企業が起業をしていく、後押しをするための仕組み、ですから、新しい会社をつくるときの、具体的に将来の基幹産業を担うようなテクノロジー分野の中小企業への直接投資に対しては、減税措置を講じ、我が国の将来の産業に活力ある21世紀をつくることに税の仕組みを当てる。国税としての法人税のみならず、地方法人税についても、同様の措置を検討することは考慮に値するとか、何かもう少し前向きな中小企業の人たちが何かリスクを取ってやろうということの背中を押してやるような文言を入れるのがいいと思います。

これは、何回も議論があって、本来、本論に入っているべきなのにもかかわらず、ほかのその他意見のところでも弱い書き方しかしていませんから、入れられれば入れるべきだと強く思っております。

委員

これについても、もし2、3行で入るような案で、今、お話になったと思うんですけれども、何なら後で書いたものでもいただければ、参考にさせていただいて、ただし、取扱いについては御注意ください。

どうぞ。

委員

3ページの下から3分の1ぐらいのところで、むしろ女性、若者、高齢者など国民一人ひとりが潜在能力を発揮するチャンスでもあるという部分。御意見があって削られているんだと思うんですが、私はむしろは要らないと思うんですけれども、女性若者高齢者を初めとする、国民一人ひとりが潜在能力を発揮してというふうに言った方がターゲットがはっきりして望ましいんではないかと逆に思うんですけれども、いかがでございましょうか。

委員

これは、私の記憶では、むしろ男性が潜在能力、例えば家事を手伝うとか、そういうことをしていないのが問題だという発言をすぐ後にやったので、そういう形で、男女のことは、上の方も外したんですけれども、こういう形にさせていただいたので、女性の方から見れば、男性の方がよっぽど社会に適合しておらぬというのは、かなり事実だと思いますので、いかがでしよう。「むしろ」は、もう削ってありますしね。

委員

意味は、これからの少子高齢化というのを考えましたときに、女性がどれだけ働いていただくか。

委員

労働力としては、女性が労働力をもっと上げてほしいというのはわかりますけれども。

委員

それから、ニート、フリーターの問題。それから60歳台の人たちの高齢者の活用、これは社会全体として非常に重要なんだと思うんです。その重要性を主張されている文章ではなかったのかなと思うんですが、家事労働を男性がやれという話と、ちょっと一緒にされるような次元の表現なのかなと思うんです。

委員

しかし、家事労働を男性がやることによって、女性が外に出ることもできるわけですから、それはやはり平等に取り扱うべきだと私は思っています。御意見があったことをもう一度考慮いたします。もう少し考えさせてください。

どうぞ。

委員

5ページの下から4行目のところに、少子化対策の財源について、次世代の負担で賄うことがないよう、現時点で手当てすることが重要であるというふうに入っているのですが、私は、次世代の負担で賄うことがないよう、現時点で手当することが重要なのは、高齢者と、現在、生きている人に対する給付であって、これから生まれる人については、幼いときは稼得能力がないわけですから、将来収入から税金を取って、幼いときにそれなりのケアが受けられるようにと、まだ借金でやるということは正当化できる。むしろ正当化できないもの、今の生きている人のためのお金を孫からその下のまだ生きていない人、生まれていない人から取るということが問題なので、この1行というのは、どちらかというと、一番上の段落の「さらに、医療、介護等の社会保障給付の公費負担については」というところに続けて、将来時点で必要な負担増がさらに拡大することから、世代間の公平に反することとなることも十分留意する必要があり、財源については次世代で賄うことがないよう、現時点で手当することが重要であると、これを上に移して、少子化対策について、特にそういうふうに厳しいことを書き込む必要がないんではないかというのが私自身の意見でございます。

委員

私ばかり反論する必要はないんですけれども、上に書いてある多様な保育サービスの充実などは、現時点から手当することは必要。上の3行目に書いてある例は、保育サービスの話なんです。

それから、ここは現時点だけで手当をしたら、後はおしまいということではないということは勿論です。

委員

全般に財政規律が、今、非常に求められているというのはとてもよくわかるので、ただ読んでいる分には、それほど強い違和感はないのですけれども、ただ、強調すべきはどちらかというと、高齢者に対する給付をしっかりと、今の税金で賄う必要があるということであって、これから生まれる子どもに対する対策というのを、今の税金で必ず賄いましょうということを強く明記する必要があるかなということについては。

委員

これから、子どもの数を増やすためにも、保育サービスが充実している体制を採ることは、もう必要ない。こういう意味で書いているんだと思います。

また、これも皆さんのほかの方の御議論も、私だけがしゃべって、これ以上は出さないことにして、どうぞ、御意見を言ってください。私は、もういいです。お聞きして、そういう形で少し考えさせていただきます。

どうぞ。それから、もし採用されなかった場合にも、こういう意見があったということは記録しておきます。

どうぞ。

委員

29ページなんですが、事業承継税制のことですけれども、ここに、他方、同族株式を遺産として残すものは、平均的に見れば、相続税の課税対象の中でも富裕層に属していることにも留意する必要がある、とあるわけですけれども、ただ、同族株式というのは、換金性がないわけです。それを納税するためには、結局廃業して、それで納税せざるを得ないということで、結局廃業が増える。そして、そのことがひいては地方がだんだん活力を失っていくというところにつながっていくのではないかというような思いがしておりますので、こういうふうに書かれると、何かいかにも同族株主というのは、非常に税金を納めていないというような感じがするんです。

ですから、実態はそうではなくて、同族株式というものが、例えば担保力もありませんし、市場性がないということは換金性がないわけですから、どうしようもないと、財産として高い評価を受けたとしても、現金化できないという問題がありますので、その辺を少し書きぶりを配慮していただけたらありがたいと思います。

もう一点は、31ページなんですが、納税環境整備の基本的な考え方のところなんですが、税制について、いろいろありますが、これに何も異論はないんですが、この前のとき、19年度の答申のときには、透明な税制というのがあったんです。透明性を高めるという問題があったんですが、その言葉が今回抜けてしまっているように思うんですが、皆さん、例えば増税になるにせよ、何にせよ、少し透明性があれば、国民の皆さんも納得ができるわけですけれども、いつの間にか、勝手にいうと何ですけれども、知らない間に上がってしまったということに対して、非常に国民の皆さんとしては不愉快というのか、納得できないという問題が多くありますので、税制改正に当たっては、やはり透明性を高めるという言葉を、是非入れていただきたいと思います。

委員

透明性については、また、預かりまして検討させていただきたいと思います。

もう一つの方のことについては、この文章の影には、統計データがあったと思います。全体としてどのぐらい高いかということが含まれている。そういうデータに基づいて書かれたものということでありますけれども、そのデータについても、もう一度チェックをしてみます。

委員

問題は、ここのところが、そういう富裕層だという事実はあるんだと思うんですが、ただ一方で、現に使われている事業用財産ですので、生産できないんです。生産できないにもかかわらず、生産価値みたいな形で評価をされて、それで相続税負担をする。10%だけ軽減されているんです。

ですから、そこのところが問題だという議論ですので、留意する必要があるが、一方で、その評価が事業用財産であるにもかかわらず、生産価値を基本とされていることに伴い、過重となっているのではないかとの指摘もあったとか、こういうふうな反対からの見方も一つ触れていただく必要があるんではないかと思うんです。

議論として出てきたのは、相続税の非上場株式の評価について、事業用財産であるにもかかわらず、少しきつ過ぎるんではないかというのが、問題指摘ではなかったかと思いますので、その点が脱落してしまっているというところが課題だったのではないでしょうか。

委員

どうぞ。

委員

さんざん、この議論はここでしたわけで、2つあると思うんですけれども、この事業承継をここでどう書くかというところで、上の方で、1行目、2行目で、中小企業の事業承継における相続税負担については、雇用確保や経済活力の維持の観点から配慮が必要だと。

一方、そうではない、特にここでは事業用資産を持たないもの、あるいはその他給与所得者と、持っていない人とのバランスが必要だということ。

御指摘の点は、ある点で、非上場株式ではありますけれども、その評価というのは、基本的には所有している資産の価値を反映したものですね。ですから、今の委員の御指摘の点は、この答申のどこで反映しているかというと、やはりそのこと自身の問題がどこで受けるかといえば、やはり中小企業の事業承継税制において、それが政策的に雇用確保や、経済活力の維持というところから、どれだけ御指摘の点が効果があるかというところで受けている。そういうふうな形でこの文章を書いたわけです。御指摘の点は、最初の2行のところで受けていると、私は理解しています。

委員

申し訳ありませんが、お預かりさせていただいて、御一任させていただきたいと思います。

委員

先ほど中小企業の点をお話ししましたけれども、大企業の点も少し話をしたいと思います。

7ページ、経済社会地域の活性化の一番下の段落の「企業の活力については」のところですが、法人課税のあり方云々のところがありますけれども、ここに1つの文章として、これを全体読んでいますと、税金を上げて課税ベースを増やさざるを得ないというのはわかりますけれども、やはり法人税についても、ここから入れたらいいと思いますけれども、国際競争力を考えた場合、税率が中長期には下がることが望ましい。

ただし、法人税率は下げても、税収は上がるという仕組みを検討する。そして、また、税金が下がって、税引き後に利益が上がった場合、配当金ではなしに、労働者、勤労者への所得分配が増えるような仕組みを取るというニュアンスの文章を、この中に簡潔に入れるのは、非常にいいと思います。

委員

考えさせていただきますが、私個人の考えを参考までに申しますと、賃金については、政治サイドに関わらないで、自由な市民社会における存在である労働組合と企業がお話しになって決めるのが、一番経済合理的だというのが、私の考えですので、しかし、ほかの意見もあるということはわかっておりますから、もう一度検討させていただきます。

どうぞ。

委員

あと、御趣旨は、前回も御指摘頂きましたので、その他意見のところには改めて収録させていただいております。

委員

委員が、先ほど最初に指摘された点なんですが、7ページの下のところ、どういうふうな案を出すかというのがありますけれども、私は割とよく書いていただいたなと思いますが、ただ、エンジェル税制の活用、独特の言葉の使い方があるんだろうと思って、私はよくわからないんですけれども「税制の活用などにより」となると、そのあるがままのエンジェル税制をみんなで使おうよといっているように聞こえてしまうんです。エンジェル税制を変えないとだめなんです。もっと改善してほしいという言葉を入れていただきたい。

エンジェル税制だけでなくてもいいと思うんですが、例えばエンジェル税制を使うのであれば、その委員もおっしゃいましたけれども、もっと使いやすいように改善して活用するという意味にしていただきたい。

委員

いちいち反論するのが、私の仕事ではないと思いますから、簡単に言いますと、エンジェル税制は、ほとんど同じものが日本にもイギリスにもありますが、イギリスに比べて、大体何分の一しか利用されないんです。普及度がいかにも低いんです。その点も含めて活用という言葉があったんではないかと思いますが、御意見は承りましたので、検討します。

委員

使いやすくしないと、せっかくあっても似て非なるもの。

委員

本当は、なぜ、使いにくいのかというところから議論しなければいけないんですね。

委員

答申案の2ページ目の後段に少子高齢化絡みの話が書いてありまして、4ページの「1.国民の安心を支える税制」で、基本的なトーンは税制と社会保障を一体的に考えることの重要性というふうに私は理解しましたが、従来、どちらかというと、税制は税制、社会保障は社会保障という形でそれぞれ分離して議論するきらいがあったということで、今や、もうそういう段階ではない。要するに、税制と社会保障は密接に関連しているんだ。それを切り離して議論することが今や不適切だということをもっと強調した方がいいのではないか。むしろ、両者を一体的に考えることの重要性を訴えるメッセージを、もし可能であればどこかに追加してほしいというのが1点目のお願いです。

2点目は、この答申本文ではなくて、その他少数意見で構わないと思うんですけれども、一体的な議論の中で、多分、今回の税調でほとんど議論しなかったと思うんですが、税金と社会保険料の一体徴収の問題です。多分、国税当局は、私の知る限りでは消極的だというふうに理解をしておりますけれども、世界の流れは、少なくとも私の理解では、税金と社会保険料は一体徴収の方向に向かっているということだと思います。アメリカが先鞭をつけたんですが、それ以外の国でもそういう方向に向かっているということなんです。やはり、各国とも国税当局の税の徴収における能力だとか、あるいは事務の執行能力は社会保険料を徴収するところとは比べ物にならないほど高いし、信頼性も高いということだと思うんです。

それから、税金の無駄遣いをやめるということで徴収一元化というのがあるのではないかと思うんです。その徴収一元化に向けた議論について、少数意見でも結構ですから、そういうことに触れていただけないかということです。

日本を念頭に置くと、特に法人からいろいろな形で徴収するものについては一体化をまず最初にやる価値があるのではないかと思うんです。特に国民年金の保険料だとか国保の保険料とはまた別で、後回しでいいと思うんですけれども、少なくとも厚生年金の保険料等を始め、あるいは政管健保、組合健保の保険料等は税務当局が徴収する体制の議論をもう少ししていいと思うんです。今年6月に終わった通常国会で一つの区切りみたいなもので整理できたんですけれども、あれはほとんど議論がなくて決まってしまったということだと思うんです。本当にあれでいいのかというのが、やはりもう一回、議論をし直した方がいいと思います。

特に国保の保険料を滞納して、あるいは徴収が非常に難しいところだけ税務署に渡してもすごく変則的な話だと思うんです。むしろ徴収一元化とか一体化の話を議論する必要があると考えておりますので、その点を、少数意見の方で結構ですから、盛り込んでいただければと思います。

以上です。

委員

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

委員

7ページの下から8ページの3行目までにかけての議論が、特に法人の負担の在り方で社会保険料と法人税の負担とを併せて国際比較などすべきだということで、資料も出していただいたと思うんですが、その点が削ってしまった後、どこかに書かれているならいいんですけれども、書かれていないんだとすると。

委員

法人課税ですか。

委員

法人課税の方に書かれていて、ちょっと見てみたんですが、余り書かれていない。

委員

先ほどの御指摘は、法人課税の方の社会保障負担と併せて検討してきて、必ずしも高くはないというような叙述に。

委員

17ページの下に書いてあるので、重複を外したということですね。

委員

そうです。

委員

わかりました。

委員

それから、委員の御意見については、御趣旨はよくわかっておりますが、社会保障と税の問題を一体化させるというか、これは有機的に関連付けなさいということであれば、今回の目玉である安心ということの税制の中で書いてあって、これは表現が一体化とちょっと違う意味かもしれませんが、役割を適切にするという表現で書かせていただいておりますので、表現ぶりは考えますけれども、御趣旨は後のところで繰り返し強調しているところだというふうに御理解いただければと思います。

委員

私が独りでしゃべってしまったみたいで申し訳ありませんが、大変長い間といいますか、24回も御議論をいただいて、何とか早くと言っては申し訳ありませんけれども、結論を得て、いろんなところから次々とこういう答申が出てくる時期に入りつつありますので、私どもの言わば中立的な、政府の中ですけれども、その中で有識者を中心につくっているものとしては早いうちに出して、あとは党税調その他が議論をして、更にお役所も議論をしてというような形になると思いますので、できればそろそろこれをもって閉幕という形に、全く閉幕するわけでは決してございませんけれども、調査会自体は残って、ずっと、いつでも動けるような形になって存在するわけでありますけれども、もしできましたら、こういう形で、今日、御意見のあったところについては更に十分再考させていただくつもりでおります。

まだ予定していた時間がもう少しありますので、それでは、委員どうぞ。

委員

消費税も上げる、相続税も見直して、増税増税の感じがしますから、やはり異論がある税金を上げる以外に、国民の人たちがこれはよくやってくれたと思うような、少数意見に書かれている、例のファンドの投機的な資金に対する国際投機税。これは反対する人は多分いない。

委員

私は反対しています。

委員

委員が反対されているんだったら、ちょっとやりにくいですけれどもね。

委員

余りにもムーディーに金融性悪論というものが非常に強く出ている。これはやはり問題であって、金融はやはりファイナンスエンジニアリングの発達によって非常に大きく変わっているわけですから、過渡期においていろんな問題が起きるのは当たり前で、それを乗り越えていくことによって変わっていくのであって、税金で活動自体をこの段階で水をかけろという議論には私は賛成していないんです。

その他の意見には書いてあると思います。

委員

その他の意見にはあります。

委員

私は、金融は非常に重要だけれども、これはあくまで産業を興すための脇役として重要性を持っているにすぎないと思っておりますので、金融エンジニアリング等々はどんどん発達しても、これはゼロサムゲームであって、幾らやっても何の価値も生み出せないと私は感じております。

ですから、産業のための脇役としての金融ということでいろいろな税の仕組みをつくっていくのはいいと思いますけれども、金融を野放しにするような仕組みにするのはよくないと思っています。

委員

金融について、いろいろ規制といいますか、例えば透明性を増大させるというようなことは非常に必要なことだと私も思っております。ですから、やはり高度のコードをきちっとすることは大変重要だと思います。

金融は、直接産業には影響しないかもしれませんけれども、やはり資源の配分をする、投資先を配分するという大きな仕事をしているわけで、例えば私、よく言うんですけれども、1990年代の日本は投資が少なくて、成長が低くなったということでも必ずしもなかったんです。90年代を通じて、設備投資のGDPはアメリカよりずっと上回っていたんです。彼らは、日本は投資の効率が悪い。そういう言い方をしている。

私は、そういう見方も一理あると思っていますので、金融だけで世界は生きていけない、産業がなければ生きていけない。これはそのとおりでありますし、はっきり言って、趣味としては産業の方が好きです。しかし、それと経済の機能とはまた、はっきりとは税金をかけるところまで考えていないんですが、これも持ち帰りまして、主査の方々の御意見もお伺いしたいと思っています。

どうぞ。

委員

随分昔に、こういうのはトービン、サマーズの流れのタックスなので、私は印紙税とか有価証券取引税をどうのこうのというときに、デリバティブ等について、要するに課税逃れのデバイスとして用いられるものですから、それから、利益自体に課税する云々というのは難しい、要するに所得課税が機能しないんです。そういう逃れるのが簡単になってしまう。

だから、企業が悪いと言うつもりは全くなくて、これは非常に大切なものだと思うんですけれども、そういうことを考えると、ある種の流通税、印紙税辺りが一番いいと思うんですけれども、少し軽目のものをかけるのはいいことだという考えはずっと前から持っていたんです。いずれ、またそういうものが出てくるときはあると思いますので、悪いからというのではなくて、少しちょうだいという、それはあってもいいのかなという感じはいたします。ですから、同意いたします。

委員

オランダのネットワースに対する非常に低率の課税とか、そういった形で資産課税というのはいろんな工夫の仕方がある。それは金融についても当然あると思っております。

私ばかり言っていて申し訳ありません。まだ多少時間がございますので、どうぞ。

委員

20ページの「3.国際課税」なんですが、第2段落、外国税額控除制度の説明の一番最後の、これが結論的なものだと思うんですけれども、「このような諸外国の動向についても注視していく必要がある」と書いてありますが、この表現だと余りに弱いのではないかと思うんです。注視するだけで終わってしまうようなものですから、注視しながら、やはり、その方向に向かって努力するとかという、もう一歩進めるような表現に改めていただいたらありがたいと思っています。

委員

預からせていただいて、検討してみます。ほかに御意見はありませんか。

委員

案文の修正を求めるわけではないんですけれども、これを記者会見しますと、大体、多分、見出しとしては、個人は増税、法人は減税というトーンが出てくるのではないかと思います。会見があれば、そうではないんだ、消費税の増税は社会保障財源を稼ぐもので、法人税を下げるのは課税ベースの拡大とワンセットで、成長力を担保するためのものだという意見をにじませて、是非、会見をしていただきたいと思います。

委員

大変ありがとうございます。私も、所得税のところの書き方なんですけれども、控除の問題は給与所得がどうのこうのといろいろ書いてあります。しかし、あそこで言っているのは、給与所得控除の上限が青天井なんです。5%で、何億円の給与をもらっても、その分は5%で一律に控除されている。そうすると、所得の非常に高い人が残ってしまう。

そういうところを直したらどうでしょうかという提案で、むしろ所得の分配をより公平に近づけるための増加であって、それは当然、消費税のように、それがすっかり社会保障に向かっているというような形ではないけれども、そういう形で、むしろジニ係数を低くするための手段として、ある意味で考えているということで、それはそうなんですが、所得再分配機能の強化と言うと何か取られそうな気がするというのは非常に恐れております。前のサラリーマン増税もそういった印象でもって、非常に膠着したということがありました。

私も失言が多い人間ですので、大分心配しているんですけれども、お志は本当にありがとうございます。

委員

今回の答申を見させていただきまして、いろいろ私も申し上げさせていただいたことをかなり取り入れていただいた感じがしておりまして、大変満足しております。ただ、先ほど委員がおっしゃったことに通じるんですけれども、企業の活力のところでもう少し踏み込んだ強さがメッセージされてもいいのかなと思います。

7ページの一番下の段落の「企業の活力について」のところですが、やはり1990年代のアメリカであれだけスモールビジネスが増えて、その主流が中高年と若きMBA、女性という、この3つに代表される人たちが多くの企業をつくって、そこで中小企業、500人以下の法人が圧倒的な雇用を吸収した。そういうふうな流れを考えると、これから大量の団塊の世代が退職していくわけで、そういう意味では、企業の誕生をもっと促すというメッセージを入れていただいて、やはり廃業率が依然として開業率を上回っているという具体的な数字をここで繰り返し強調していただいた方がメッセージになるのかなと思いました。

委員

ありがとうございました。御意見は是非、もう一度検討してみます。

委員

18ページの上のところ、新しく入ったといいますか、これは移したんですか。

委員

移したんです。

委員

消費税のことは広く薄くという方向性があると思うんですけれども、同じことは法人税についてもある程度あるわけで、この一番上の3行の書き方ですが、企業の税負担を軽減するとプラスの効果が期待される。それと対比させられているのが赤字の拡大に伴うマイナスの効果で、片方は経済発展の話で、片方は国側の事情の話なので、やはり、それは減税すればマイナスになるのは当たり前の話なんですけれども、片方で経済活動にプラスの効果があるのであれば、異質のものを並べてというのがどうなのかという気がしました。

この審議会には、財界を代表するこの分野の論客の方がいらしていて、それで、これというのも、減税しろと正面になかなか書きづらいあれはあるんだろうとは思いますが、広く薄くという方向は法人税にもあるわけで、課税ベースの拡大の方は触れられているわけですから、ここのところは、いろいろ考えてみたんですけれども、本来、比較してはいけないものが、我慢なさっているんだろうとは思うんですけれども、私が言ってもおかしいんですが、表現の問題だけですが、ちょっと気になったという感じはあります。

委員

財政面から見たら、財政赤字は税収減の分は増えるわけです。他方で、その効果があって、自然増収が増えるということだってあることはあるというわけですから、非常に微妙なことを説明しているので、これはもとのペーパーも見て、再度チェックしてみましょう。

委員

よけいなことを言って済みません。

委員

どうぞ。

委員

ちょっと細かなことになるので発言のタイミングが難しかったんですけれども、21ページで、随分入れていただきましてありがとうございます。前回、申し上げて入っていないところについては繰り返しませんが、微妙に似ているように聞こえるかもわかりませんが、考え方が違いますので、お許しください。

「第一に」と「第二に」の間ですけれども「講じるべきである」の後に次を入れていただきたいんですが「また、公益目的事業財産に関する各税目についての税理論との整合性については、今後とも着目していく必要がある」。前回は短期的な話を申し上げたんですが、今回は短期、中期、長期を含めての話ということで、違う意見だということで御理解いただければと思います。

それから、24ページの上から2行目なんですけれども、これは私が前に指摘しましたが、平成16年11月の答申から、この部分は後退しているんです。16年11月の答申については、税制全体、それから、歳出で見ていこうというのとプラス、民間非営利セクターといいますか、民間公益セクターのことが触れられていますので、ここは是非「考慮に入れなければならない」の後に「更には民間公益セクターの役割の広がりにも期待する必要がある」というのを入れていただけたらと思います。

後先になって申し訳ないんですが、これも前回言った意見と違うんですが、似たように聞こえるかもわかりませんが、15ページの「<2>寄附金税制のあり方」の4行目でございます。「寄附金税制の仕組みは」の前に「都道府県域を超える寄附を含めた」というのを入れていただいて、その上で、その前の行の「その際、『地域社会の会費』としての」という部分を取った方がいいと思います。

といいますのは、これは福田総理から「あるべき税制」という言葉を頂いておりまして、ここの部分について、法人住民税と個人住民税の違いが明らかに大きな矛盾を抱えたまま、それについて一切触れずにこういうことを書くのであれば、この「都道府県域を超える寄附を含めた」を入れることによって、例えば条例などで地方公共団体が決めるときに、この「都道府県域を超える」ということも選択肢にあるんだ。言い換えれば、地方公共団体の独自の考え方によりオプションが増えるんだという点が加わるものではないかと思います。

更に、誠に申し訳ないんですが、先ほど委員を立てたのがまずかったかなと思うんですが、実を言うと、この寄附金に関しては数年前の税調の考え方からすると180度変える答申なわけです。今回、税調の答申でここまで踏み込むのは初めてでございます。平成17年の基本的考え方というのはあるんですが、あれは基礎問題小委員会とワーキンググループの名前で出しているもので、政府税制調査会という名称で出すのは初めてでございまして、これはいろんな国が、政府とビジネスセクターと、もう一つのセクターである民間公益セクターの拡大を期待しないと、何でもかんでも政府に期待して、政府がどんどん大きくなってしまう。

前回もある委員から、今回はそういう意図はないと思うんですが、何となく読んだ印象として、大きな政府を志向するのではないかというような印象を与えかねないという御指摘もありましたので、それはそうではなくて、民間でできる公益的な活動はしっかりやるんだという点で、やはり3ページ目までに、これは税調としても歴史的な転換であるので、是非入れていただきたいというふうに、ちょっと重なりましたが、再度お願いしたいと思います。

以上でございます。

委員

たくさん御意見を頂いて、ありがとうございます。また考えさせて検討させていただきますが、早いかもしれませんが、もし、ほかに御意見がなければ、そろそろ3時になります。

それでは、どうぞ。

委員

皆さんからいろいろ貴重な意見が出ているんですけれども、私はやはり、この17、18ページの「2.法人課税」が気になっておりまして、前回との比較におきましても「(2)法人実効税率」の実質的な企業負担のところが、実質的な企業負担という項目も消しておいて、その上で、(2)の1~2行目は「我が国の法人実効税率につきましては、国際的に見て高い水準にあり、引き下げるべきとの議論がある」ということも消してしまう。こういうことですね。

それで、17ページの一番最後のところでは「社会保険料負担を考慮した実質的な企業負担について、モデル企業をベースとした試算においては、我が国の企業負担は国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た」ということをかなりここで言い切ってしまわれているわけです。ということは、今回の答申においては、結局、今の法人実効税率というのは国際的に見て、ほかとのバランスにおいては決して高くない。したがって、それを引き下げるような方向で検討する必要は全くないということを、どうしても、この答申からは読まれてしまうと思います。

一部、政策減税のような研究開発税制、これは今、私どもも主張しているところでございまして、18ページに多少は出ているんですが「(3)経済活性化と政策税制」の一番最後から4行目の「また、法人実効税率の引下げについても議論することが必要であると考えられる」も消えてしまっているということは、議論する必要はありませんということにつながってしまうと思うんです。

その理由として、一番最後に「税収減に伴う財政赤字の拡大に伴うマイナスの効果もあり、多角的な分析が必要であることにも留意すべきである」ということすら消えてしまっているということは、明らかに今回のこの答申案においては、法人実効税率については議論すべき必要もない。ましてや、引き下げる方向についても考える必要はありませんということを少なくとも今回の修正案では読み取れてしまうんですが、そういうことを今回の答申案が明確におっしゃる意思があってこういう修正をされているとすると、かなり重要なところが変更になってしまっているという気がするんですが、その辺はいかがなんですか。

委員

それでは、私から少し事情だけ御説明しておきますけれども、ここに書いてあるいろいろな実証研究、国際比較、その他は、実は昨年度からの宿題なんです。昨年度の税調のときに、既にこういう問題はやらなければいけない、やるということを言っておりましたので、それについて行われた結果は必ず、一応、出てきたレポートはこういう内容であったということは言わざるを得ないという立場がまずあります。

そして、17ページについて言いますと「我が国の企業負担は国際的に見て」云々、これはここでもデータが出されて議論されたところですけれども、これは例えば、経済財政諮問会議でつくった資料でも、日本の法人税率に社会保険料を加えたら大体同じになるというような結論が出ていますので、そういう数字が出てくることも事実なのではないかと私は思っております。

そこで、ここでは特に注を付けておりまして、日本は現在の社会保険料であればそれほど大きな差はないというのは、私の見た、あるいは間接的に見たレポートに書かれている数字が正しいとすれば、そういう結論になるわけですけれども、日本の方は厚生年金の保険料については平成16年から0.354%毎年払っていくということが既に決まっているわけですから、それをどう評価するかという問題があるので、そこに備考が入れてあるわけです。これは改訂版で付け加えております。

それから、上の方のことは、結局、両面の効果がありますということは論理的にそのとおりであって、明確な結論として、どちらがプラスになるか。自然増収、設備投資が行われることによってGDPがプラスになる成果、それによる税収増と、法人税減税の税収減がどれくらいの大きさになるかについては、余り確たる証明ができなかった。これは研究の報告としては仕方のないところだと思います。

そうではなくて、こういうことを言うといろいろありますけれども、学問は尊重しなればいけないけれども、政策は学問の結論がはっきりするまで待っておれというわけにもいかないということは事実であって、それについては、例えば法人課税の国際的動向を見るとか、これからの日本の企業の、例えば海外への出し方を見るとか、そういうことによって政策的な結論はむしろ総合判断に任せざるを得ないというところが真実のところではないかと個人的には考えております。

書き方の問題については、御指摘で、誤解されないようには注意したいと思います。

委員

それは、今、委員のおっしゃるようなこともそれなりに理解はしているつもりではございますけれども、これはまだ立証するといっても、現実に各国とも法人実効税率の減税については政策的なものとして動いておりまして、御承知のように、ヨーロッパでも平均的に30%、アジアでは20%台というところが続出しておりまして、そういうところと比較をして、今のこの日本の実効税率がこういう社会保険のところまで含めると、競争力上、ほとんど不利ではないというところまで言い切ってしまうことは、やや私は暴論ではないか。

ですから、もし、そういうところまでお話があるとすれば、やはりそういうことは議論がかなりあって、当面としては、そういうことまでは今回の答申の中では踏み切れなかったというような表現をしていただくのならば、それはそれでやむを得ないかなとも思うんですが、ここでこの結論だけ拝見すると、その議論はやめましょう、いましばらくは日本としては税制の不利はないんだということを言い切ってしまっているような印象をどうしても与えて、これはマスコミなどから見ますと、今回の税制調査会の考え方の非常に大きな変更だという受け止め方をすると思うんです。その辺は、私は相当心配いたします。

委員

御忠告いただいたことについては、私も十分心配ないとは思っておりませんが、過去において、こういう調査をすると言っている以上は、結果は報告しなければならないということは一方で必要なことですから、その点も踏まえていただいて、もう一度、多少とも再検討させていただきたいということでお願いします。

どうぞ。

委員

関連なんですが、17ページにグローバル化ということで書いてあるんですが、2番目のパラグラフだけなんです。実際、アジアの税制とかいろいろ費用をかけて、わざわざ御出張されて調査されたわけです。

それで、ビジネスをやっていますと、ドイツがどうのこうのという話、ヨーロッパがどうのこうのという話も大事なんですけれども、やはりBRICs、特に一番最後のCです。アジアの、インドの、あるいは中国のパワーというのは猛烈なわけです。勿論、個人的なものもありますけれども、1991年以降の日本の「失われた十年」というものの主たる原因は、東西冷戦が終わって東側が市場経済に参加して、いまだにデフレが終わっていなくて、日本のプライムレートはあんな状態で十数年置かれているわけです。その原因というのは、やはりアジアのパワーというのが非常に大きいわけです。そのことを、この2番目のパラグラフで「ドイツにおいては」という、この例だけで終わってしまうのは、ビジネスをやっている人たちには納得いかないのではないかと思います。

ある派遣業のテレビのコマーシャルを思い出すんですけれども、職を求めて、ある若者が、おばあちゃんとか弟とかが背中に乗っかっていて、ぶるぶる震えながら電話しておるんですけれども、やはり彼だけが支えてはいけないと思うんです。国際競争で生き抜いて税を払うというのは重要な役割ですけれども、もうちょっと上に乗っかっていて、上手にタックスイートする必要はあるとは思うんです。しかし、その稼いでいる、ぶるぶる震えている若者が、やはりアジアの20%、15%という税率がどんどん動いているわけです。そこのところがこう簡単に終わってしまって、したがって、社会保険料を含めれば、まあまあわからぬよというようなぼかした言い方というのは、議論してきたこと、調査してきたことと私はずれるような気がしております。

委員

いろいろ議論が出てきて、そもそも、ベンチャーのところでまず企業の話があって、それに対して何がどれだけ是正できるか。あとは、先ほどの委員の御指摘になった国外所得免税の話。これをどうするんだ。それから、一番大きな話になるんでしょうけれども、税率をどうするのか。いずれも、代弁はできませんけれども、お話を聞いていると、企業の話、国外所得をどう扱うかという話、それから、税率自身の問題。聞いていると、いずれも今回、この税調で答えを出したわけではない。

ただ、この書きぶりとしては、税調としては税率を下げて、非常にうまいことが起きて、それで税収はプラスになるんだというようなところまではさすがに書けない。そのエビデンスはないというバランスだと思うんですけれども、私が今、お聞きして思っているのは、それを含めて、つまり、今、少なくとも3つ、4つ、非常に大きなところをこれからこの税調でどう考えていくか。もう一つ足せば、さんざん議論したのは、課税ベースを広げて税率を下げるのか、あるいは政策的な減税でどうするのか。恐らく、1%、2%ではない、それ以上大きな税率の見直しをするというときには、相当思い切ったことをしなければいけない。

論点は出てきていると思うんです。だから、それを引き取って、これから検討していくというのが我々の状態ではないのか。それをどう書き込むか、書き込まないのかは会長の方に引き取っていただいてお考えいただければと私は思います。

委員

エビデンスベースドポリシーというのは非常に大事だと思うんですけれども、参考資料が添付されているんですけれども、その39ページ、40ページ、41ページの中で書いてあることと一貫していれば、私は結論部分についてはコメントはないんですけれども、あくまで、やはり会長が今後記者発表する中で説明責任を求められているときに、今の減税したときのエビデンスがないといいますか、ここで社会保障料を含めた負担がどうのこうのというのは41ページの資料のことなんでしょうか。これは、やはり危ないのではないですかという心配だけをしておきます。

委員

法人税のところで何人かの委員の方々がおっしゃっている意見で、問題は(2)で、確かに、この17ページから18ページに至る(2)は、文章として読んだときに全体の流れがややはっきりしないというのは何人かの委員がおっしゃったとおりだと思います。

その委員がおっしゃっていた意見で言うと、18ページの最後の段落で「法人実効税率の引下げについては、当調査会の議論において、法人課税の国際的動向に照らし、必要との意見も多かった」という一つの文章があるわけです。しかしながら、これがマルで終わって、次にもう一つ「したがって、将来に向けて総合的に検討していくことが必要」とかと言えば、これはこれで一つの流れがすとんと行くんだろうと思うんですが、そうならないで、これは文章が切れないで「が」で終わって、それで課税ベースを広げるみたいな話になって、更にその間に政策減税でしたか、そういうようなことも考えるというような話で次の方に行ってしまうという辺りが、要は、この(2)の中での文章の流れというのが、確かに一つ、例えば環境税などと比べても、メッセージというか、ややはっきりしないところがあると思うんです。そこの辺り、文章を整理するということはしてもいいのではないかと私は思います。

委員

24ページの上段で、修正した文章の中ですが、上から4行目に「低所得者ほど社会保障の受益が大きく」というメッセージが書いてあるんです。これは恐らく、参考資料の50ページの所得再分配調査結果報告書を読み取った記述だと思うんですけれども、要するに受益のところを見ますと、所得200万円以下のところだけ少し高くて、あとは大体並んでいるんです。「総じて低所得者は社会保障の受益が大きく」という形で書けばいいと思うんですが、そこから後はほとんど同じという感じだと思うんです。少し神経質に文章を手直しする余地があるのではないかということだけ申し上げておきます。

委員

17ページの(1)の第2パラグラフ、だから、(2)とここが必ずしも同じようなことを言っているかどうかということで(2)の表現がちょっとということだと思うんですが、(1)の第2パラグラフのところでは「法人実効税率のさらなる引下げが求められている」と言い切っていまして、それから「ドイツにおいては、法人税率の引下げが予定されている」とかなり強く出していて、ただし、課税ベースを多少拡大し、その次がポイントだと思うんですが「付加価値税率の引上げを実施している」ということで、大きな方針はここに委員がおっしゃるような方向は出ているんだけれども、それとの関連で(2)の表現だということなのかもしれません。

だから、第2パラグラフはかなり大胆に言い切っていると思うんです。

委員

ここを整理すればいいんです。

委員

ほかに御意見はございますか。どうぞ、お願いします。

委員

些細なことなんですけれども、11ページの「<1> 配偶者との関係」ですが、全体の書いてある内容については、私はこのとおりで満足しておるんですが、非常にこの配偶者控除の問題はデリケートな問題なので、時間をかけて国民的合意を取りながらこういう方向へ進んでいくということになるかと思うんです。

理解を促すという観点からすると、やはり文言の使い方というのが非常に重要で、<1>のイですけれども「経済的価値等があることを考慮に入れると、配偶者について特別な配慮を行う必要はない」と書いてしまうと生木を裂くような書き方なので「考慮に入れると、あくまで個人単位課税を基本とすることが適当である」とか、やはり、あくまで個人個人が活力を持って社会参画をするという前向きな表現で是非書いていただければありがたい。

それから、ニの2行目の末から「夫婦は生活の基本的単位であり」。ここは私も同感です。その次に「夫婦は引き続き、担税力の面で配慮が必要な関係であることなどを考えると」。この「配慮が必要な関係であること」というのが既定路線、原則になってしまうので「配慮が必要な関係であるという考え方などもあり」というふうに、そこは幅を持たせていただいた方がいいのかなと思いました。以上です。

委員

これは、要するに配偶者がただ飯を食っていると書いているのと同じですから、大変失礼な言い方なんだと思います。こういう文章が過去の税調の報告に入っているんだと思います。

委員

ちょっとしつこいようなんですけれども、もう一度だけ発言の機会を与えていただきたいんですが、法人実効税率につきましては、確かにドイツなどの例を見れば、その前に付加価値税の引上げなどを実施しているというようなことがございます。ただ、今の日本の中で、法人実効税率を下げるために言わば消費税を上げる。そういうことで財源を求めていこうというのはなかなか国民の合意は得られないだろう。これはそうだと思うんです。ですから、そこについては、私も決して、まず消費税を上げて、それをお見合いにして法人税率を下げろというようなことを申し上げるつもりは全くないんです。どちらかといえば、触れておりますけれども、課税ベースを上げていくことによって、そこである程度の財源が平均して出てくることの方が非常に大事だと思うんですが、その辺のことを主張していただいて、法人実効税率を下げるとすれば、そういう方向に行くんだということをはっきりさせていただいた方がかえってわかりやすいのではないかという気がするんです。

委員

よろしければ、そろそろという感じがいたしますので、まだまだ御意見もおありかと思いますけれども、この辺で議論を打ち切らせていただいてよろしいでしょうか。

御審議いただきました答申案につきましては、ただいまの議論を踏まえまして、私の方でまたいろいろな中で御意見を伺いながら、必要に応じて修正させていただきたいと思います。

そして、次回の20日火曜日の会合に皆様に御報告し、それで最終的に答申として決定したいと思っております。また、審議において出されたその他の主な意見とか参考資料も、もう一度、更に整理した上で、答申に添えて御報告したいと考えております。

誠に勝手でございますけれども、答申につきまして、表現ぶりが中心になると思いますけれども、私に御一任いただければ大変ありがたいと考えておりますが、ひとつ、皆様よろしくお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

委員

1つだけ、余計なことで申し訳ないんですけれども、総理から「国民の目線に立って」というお言葉を頂いておりますので、会長に一任いたしますけれども、エコノミストの目と国民の目というものの違いは当然あるわけで、そこでエコノミストの目で書いていただくのは構わないんですが、そこについて十分に国民の目でわかる、誤解の与えないようにくれぐれも、重ねて、しつこいんですけれども、お願いいたします。

委員

どうもありがとうございました。それでは、御一任いただきましたので、とりあえず、私の方で答申を固めていく作業をさせていただきます。

次回は、11月20日火曜日の午後2時から3時までの1時間、場所は本日と同じ場所で総会を開催することにしたいと思います。

最後になりますけれども、冒頭でも申し上げたかと思いますが、本日の資料は前回と同じように、お席に残しておいていただきたくお願いいたします。

それでは、本日の企画会合はこれで終わります。お忙しいところ、熱心に御議論いただきまして誠にありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本文中の○付数字の標記は、<○>にて標記致しました(内閣府のアクセシビリティによる)。

本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。