企画会合(第23回)議事録

日時:平成19年11月13日(火)13時30分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

委員

時間になりましたので、ただいまから税制調査会第23回企画会合を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中をご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

本日の議事について申し上げますが、本日から答申案について議論していただきたいと思います。

審議に入る前に、答申とりまとめまでのスケジュールを申し上げたいと思います。前回も申し上げましたが、本日と次回、16日の金曜日を次回に予定しておりますが、そこで答申案について議論し、11月20日の会合で答申を決定したいと考えております。このスケジュールを念頭に置いてご議論をいただきますようによろしくお願いいたします。

また、これも前回申し上げましたけれども、自由な意見交換を行うため、昨年と同様、会議は非公開とし、企画会合終了後の記者会見で私から状況を説明させていただくことといたします。

議事録については、通常どおり公表いたしますけれども、これも昨年の例と同じで、発言者名を伏せた形で公開するということにしたいと思います。

なお、お手元にお配りしてあります「答申(案)」「その他の主な意見」の資料は、情報管理の観点からお持ち帰りにならず、席上に残しておいてご退席いただきたいと思います。どうかご協力をお願いいたします。

それでは、本日の審議に入りたいと思いますが、お手元の「答申(案)」については、前回までの議論を踏まえ、神野代理や主査の方々にご協力をいただき、私のほうで起草したものでございます。また、これまでの審議で出された主な意見のうち、「答申(案)」に記述していない事項は、「審議のおいて出されたその他の主な意見」として、エッセンスを列挙した資料をお配りしていると思います。

本日の審議の進め方ですが、まず、事務局に「答申(案)」全体を読み上げていただき、その後議論をしたいと思います。

「答申(案)」等をご覧いただきますと、大きく総論と各論に分かれております。お手にとってみられるとわかりますが、1ページから9ページが総論でございまして、ここではまず初めに〔I〕で抜本的な税制改革の背景を述べ、〔II〕で改革の視点や方向性を示すことで、改革の全体像がわかるような形にしております。続きまして、10ページから32ページが各論で、主として税目別に記述しております。

それでは、まず、事務局から「答申(案)」全文の読み上げをお願いいたします。

事務局

(「答申(案)」全文の読み上げ)

委員

どうも、長い時間の読み上げご苦労さまでした。聞いていただく方もご苦労さまでした。

私といたしましては、先ほど申しましたように、11月20日の火曜日に答申を正式に決定したいという段取りを考えております。その場合のことと関連しまして、「答申(案)」についてのご意見は、極力本日の会合ですべてお聞かせいただきたいということを希望しております。したがって、次回の金曜日の会合では、本日のご意見を踏まえて修正した分をご確認いただくということで、実質的に答申を固めるという段取りで進めていきたいと考えております。非常に限られた時間の中でできるだけ多くの方にご発言いただけるように、発言は簡潔にしていただくようご協力をお願いいたします。

審議の進め方でございますけれども、効率的に進めるためにいくつかのパートに分けて、順次ご意見をいただきたいと思います。具体的には、まず総論の部分についてご意見をいただきます。次に各論に入り、案に沿ってまず個人所得課税をやり、次に法人課税と国際課税と公益法人課税をまとめて議論し、続いて消費課税と資産課税と納税環境整備をまとめて議論したいと思います。ただし、途中退席しなければならない委員の方は、いずれのパートでも構いませんので、ご発言いただきたいと思います。たくさんご発言くださいといいながら、効率、効率と言っていて矛盾しておりますけれども、どうぞよろしくご協力いただきたいと思います。

それでは、まず総論部分から始めます。ページでいうと1ページから9ページでございますけれども、ご意見をお伺いしたいと思います。どなたからでも結構です。どうぞ。

委員

子どもへの視点が入って大変いいのですが、1ページ目の真ん中の「第二」にところのグローバル化は、全然子どもの視点が入っていなくて、冷戦の終結なんて遠い過去の話でありまして、グローバル化というのはもうギブンですから、いきなりグローバル化でもいいのではないかと思います。

それから、2ページ目の1行あけてあるところから3つ目の段落に「これらの人々の」というのがありますが、そこにぜひ「官民二元論を超えた一層の社会参画」という形で、これまでの税調のここのところのトーンからいうと、何でもかんでも政府に頼っていくことから脱却して、極力歳出を抑えるというトーンがあったと思いますので、「官民二元論を超えた」というのを入れていただけたらと思います。

それから、5ページ目でございますけれども、上から7行目ぐらいの段落に「社会保障制度は」というのがあって、「国民が広く公平に負担を分かち合って」というのがありますが、ここも「国民が広く公平に、あるいは自ら進んで負担を分かち合って」ということにしたほうが、これまでのトーンと整合性がつくのではないか。

さらに次の段落でございますけれども、「現在の少子高齢化」というところです。「国・地方・企業等が」となっていますが、企業はビジネスのセクターですから、ここは「国・地方・民間公益セクター・企業等」という順番になるのが国際的なこういうレポートの最近のトレンドだと思います。

それから、6ページ目の上から4行目でございます。ここも「歳出と適切に役割を分担しながら」とありますが、歳出だけでやっていけば、とてもではないけれども大変なことになりますので、「歳出と民間公益セクターによる役割」とか、こういったものも入れていただいてはどうかと考えます。

それから、8ページ目で、最初の段落の「社会の活力は」というところでございます。「自発的に社会参加」ということになっておりますが、2ページと合わせるのであれば、「社会参画」ということで、2ページとの連動をここでとるということがいいのではないかと思います。

以上でございます。長くなって申しわけございません。

委員

ほかにいかがでしょうか。今のに関することでも結構ですし、どうぞ。

委員

大きく2点あるのですけれども、1ページ目のところで、大前提として財政が非常に深刻であるということは、これはもちろん、ここにいらっしゃる方はみんな認識していらっしゃるし、国民の中でもだんだん認識はできているとは思うのですが、時々、えっと思う人が知らなかったりということもあって、一つ思ったのは、GDP比は必ず出てくるのですが、これは何か決まり文句みたいになっていて、でもこれがすごく高いということをやはり皆さんに知っていただく必要があるので、例えばOECDの平均はどれぐらいだとか、あるいは日本は例えばEUに参加しようと思ってもできないわけですよね。多分、今後100年ぐらい頑張ってもできないぐらいの非常に深刻な状況にあるので、そこまで言う必要はないにしても、例えばEUの平均はこれだけですとか、何らかの形で財政が非常に重要な局面にあるということをわかりやすく説明する必要があると思います。

それに関連して、「公平に分かち合う」という言葉は非常に重要だと思うのですけれども、もう一つ、将来世代に先送りしないということももうちょっと言ってもいいかなと思いました。このレポートの各論の中には少し出てくるのですけれども、総論のところは割合と「公平に分かち合う」という言葉があって、それはそれでいいのだけれども、決意も込めて、「先送りしない」ということももう少し言ってもいいかなと思いました。

2点目は地方分権に関してで、主に8ページのところですが、私自身は、地方分権、それから地方への税源移譲というのは、地方の活力という観点のみならず、税源を地方に移譲することによって、使い道を地方で決めていく、つまり歳入と歳出を近いところで行うことによって、税の使途が監視しやすくなる、それによって納税の納得感が増すという部分は、かなり大きいのではないかと思っております。ですから、もう少し地方への税源移譲とか、その場合に安定的、継続可能な仕組みを作っていくことの重要性ということをきちんと強調した上で、それが適切な監視をしやすくなることと、納税の納得感が増すということを、もう少し強調していただければと思います。

委員

多分、皆さん、あれもこれもみんな書いてほしいという声が出ると思うのですけれども、私は特にマスコミの目で見ると、いかにも長いので、むしろ重複の部分と思われるようなものは、どんどんばっさり削っていただきたいなと。特に総論が1ページから9ページまであって、これだけで本論みたいな感じがするので、総論部分でもせいぜい5ページ以内ぐらいまでに収めてもらったほうが。

第一の読み手は、たぶん新聞記者ということになるのでしょうから、そういう意味から見ると、全体に重複している、例えば少子化の話とか、グローバル化の話とか、社会保障の話とかは、いろいろなところに出てくるものですから、どこがどうとはちょっと言えませんけれども、私に一日も時間をいただければ半分ぐらいに削ってもいいのですけど、そういうわけにもいかないでしょうから、何とかそういうことも考えていただきたいなと。それだけです。

委員

総論部分、非常によく書けていると思いますが、7ページ、確認でございます。この2のタイトルが「経済・社会・地域の活力を高める税制」ということで、地域が入っている。ところが、第1パラグラフ、第2パラグラフのあたりに「経済と社会の活力」と言っていて「地域」が入っていない。この辺がどういう関係になっているのかということ。

それから、8ページにいくと、表題では「地域の活力」ということがうたわれているわけですけれども、8ページの下から2番目のパラグラフでは、「地方の活力」という言葉が用いられている。そうすると、「地方の活力」と「地域の活力」は同じなのかどうか。この辺のところが少し読み手としては気になったということです。

委員

1点だけなのですけれども、2ページの第4パラグラフの「最近では」というところの5行目に、「むしろ女性、若者、高齢者」というふうになっているのですが、女性と若者の間に「男性」も入れていただきたいということがあります。なぜかといいますと、潜在能力は家庭でずいぶん発揮していただきたいなという願いがあります。

それから、同じことなのですが、斜め上に「社会の価値観が多様化し、男女とも」というふうになっているのですけれども、「男女とも」というのを削ることはできないでしょうかということです。非常に目立ってしまうので、ご検討いただければと思います。

委員

「経済・社会・地域の活力を高める税制」という7ページのところはよく書かれていると思うのですが、一番下のパラグラフの中に、中小企業とベンチャーというのがあります。ベンチャーは1行しかないのです。もう少し創業を支援する税制とか、そういう形で強調してほしいなと思うのです。

ちょっと申し上げますと、米国も日本のような苦しい時期が75年ごろあったわけです。そのころからの復活の仕方を見ますと、やはり新しい企業のメタボリズムというか創業が、ベンチャーなんかもそのジャンルに入るのですが、そういうものの活力が非常に貢献したわけでして、日本も今いい方法が見つからない中で、先ほどのようなOECDと比べて、借金だけでなくて、創業率とか新しい産業の貢献率とかも惨憺たる状況があるので、そういうところも本当は比較した表現を入れながら、「我が国の将来を支える産業を生み育てるため」のあたりのところに、「創業率を上げる」とか、「創業を支援する」とかという言葉を入れていただきたい。単なる「ベンチャー」というだけでなくて、そういう表現に変えていただきたいなと思います。

委員

いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。

委員

1ページ、これは委員もご指摘なさったのですけれども、GDP比の国・地方を通ずる債務残高だけで財政の厳しさを訴えようとしているのですけれども、本来ですと、歳入に占める税収の割合とか、つまり赤字国債のウエイトがいかに高いかということを触れておいたほうがいいのではないかという感じがいたします。ストックだけで財政の厳しさを言えるかなということが一つです。

あとは、「資産価格の変動が経済・社会に与えるインパクトも大きなものになっている」というのは、まさしくそのとおりなのですが、委員がおっしゃっておられたようなファンドの悪い動き、そういうのについては触れなくていいのかどうか、というのがちょっと気になったということでございます。

委員

私のほうの考えは、委員と同じく、短くすると。

それから、ポイントはまず2011年の基礎的財政収支の均衡化、これにめがけて財政的なものを適正化するというところをまず第一に強調する。そればっかりでありますと、何か増税、増税だというふうにみんな思って、夢も希望もなくなりますので、それが達成できたら、今度は2020年ぐらいまでには、いろいろな税目で税率を安くするというような国に持っていくのだということを、今から謳ってもいいと思います。

ただ、いろいろ税目を見ていっても、人口も減っていくし、高齢化だし、個人所得税等々は伸びが望めませんので、やはりここは法人税だと。法人税ということになりますと、これは税率を上げていくと、いろいろな点から皆さん議論が出尽くしたように、活性化が損なわれますので、税率を下げても税収が増えるという、この辺のところを一回研究するということ。要するに、2ページ目の真ん中にも、「今日の我が国は、かつての高度成長期のように、先進国へのキャッチアップを行う位置にはなく、最先端の技術革新の分野でフロントランナーとして熾烈な国際競争に勝ち抜かねばならない」というふうに書いてありますけれども、まさにITの基幹産業の次の時代を作っていくようなテクノロジーの分野の中小企業、これは委員の言われたような、ベンチャーと特に切り分けなくても、テクノロジーを開発する中小企業に対する投資減税等々を積極的に行うことによって、付加価値の高い企業が日本に集まってくるような仕組みをどうやって作るかというような観点を入れることが重要だと思います。

それから、増税、増税のところで消費税、相続税もいろいろなものを基準を変えていくと、いっぱいありますけれども、やはり委員がリマインドしていただきましたような、皆、国民感情及びアメリカ、ヨーロッパの人も含めて、今、ヘッジファンド等々の多国籍のファンドが国際的な投機によって巨額な売却益を税金も払わずに取ることに対しては、非常に嫌悪感を感じていると思いますから、ここをまさに指摘することによって、次のG7ぐらいでは、日本が主導してドイツやフランスのような国々と共同してこういったものを国際的に作り出すのだ、というような案とか方向性だけでもここに書くと、非常にインパクトのある、翻訳されて世界に報道されるような税調のレポートというふうになると私は思います。

委員

「国民の安心を支える税制」ということから始まります4ページ以降ですが、ここで書いている安心というのは何のことをもって安心というのか。社会保障がセーフティネットを担保するのだみたいな表現があったりして、現在の社会保障の状況が国民にとってどんなイメージになっているのかということが一切ここには触れられていなくて、社会保障は非常に大切なセーフティネットだという、最初にそういう決めつけのような観念ありきである。ですから、社会保障に関する現状認識、例えば年金の記録漏れの問題、来年3月までなんていうお話がありますが、それが実際にちゃんとできるのか、できないのかということ等を含めて、それから、今、未来永劫みたいな非常に安心な、サステイナブルな年金ができているなんていう言い方をされる方もおりますが、国民のどれぐらいの人たちがそんなふうに思っているのか。

そういう意味では、今、政府でも、あるいは与党でもいろいろな議論を始められているように、今の制度では社会保障制度としてここにいろいろ使っておられる、例えば「信頼に足る」とか、「国民の望むような社会保障制度全般」とか、そういう言葉はありますが、そもそもそういうものは何なのだと、どうすればできるのだということのアプローチがないまま、いきなり消費税が財源としていいのだという書き方で、政府税調の報告は昔からそういうことなのかどうか私はよく知りませんが、これを読んだ時に、国民はどんな社会保障を想定してこんなことを言っているのだろうかという疑問を持つのではないかなと。

そのことの関連ですが、5ページに、「当調査会としては、後述する消費税の特徴を踏まえ、こうした財源としての消費税が重要な役割を果たすべきであることを指摘しておきたい」と書いてあるのですが、これは後でまた議論させてもらえばいいのかもしれませんが、消費税の特徴というところ、あるいはその下の逆進性についていろいろ書かれておるくだり、こういう認識で本当に間違いないのですねということも含めて、私はそこに非常に大きな疑問があると思っておりますので、ここのところの後述云々、あるいはこの2行は、2行全部というか、こういう書き方自体がいかがなものかなと思います。

とりあえず、ここのところについては以上です。

委員

今の点について、何かご発言は。では、お願いします。

委員

社会保障については二つのことがあるのではないでしょうか。つまり、一つは、社会保障が全体として見てフィナンシャルに持続可能でないという一つの問題、財源が足りないという問題と、それから制度にかかわる具体的な諸問題がありますね。例えば保険料の徴収の問題、いわゆる社保庁問題、それから委員が今ご指摘なりましたけれども、例えば記録の問題とか、そうした問題がありますよね。その時に、我々税調として後者のことを、こういう問題もある、ああいう問題もあるということを次々に挙げていくというのが、どうなんでしょう、そもそも税調の答申というのは、そういうことを論ずる場なのかというと、それは必ずしもそうではないのではないか。私たちの税調は、やはり税のところが一番大きいわけですね。

ですから、社会保障にかかわる、先ほど私が二つの大きな問題と言った時の先ほどの前者は、どうしてもやはり財源論のところになる。財源がきちっとすれば、それで今の日本の社会保障がピカピカになるかというと、もちろんそうではなくて、先ほどの後者といいますか、社会保障の具体的な制度的な諸問題ということも、もちろんきちっと整備しなくてはいけない。それはもとよりそのとおりなのですが、ここでは、我々の答申では、税調としての守備範囲ということから、こうした議論になっているというふうにご理解いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

委員

ほかには、なるべく簡潔に短い時間でお願いします。

委員

じゃあ、いい姿が想定されていないのに、お金の用意だけする、税収をそのために用意するということだけが税調の役割だとおっしゃるわけ?

委員

同時並行じゃないでしょうか。国全体としては、当然、同時並行に社会保障の問題というのは改革が進められなくてはいけないということなのでしょう。しかしながら、その同時並行の中の、先ほど二つの問題があると言ったわけですが、我々税調としては、そのうちの一つのところにとりわけ深くかかわっている。税の問題を議論しているわけですから、当然、財政論のところに深くかかわることにならざるを得ない。私自身はそういう理解をしています。

委員

一応、私の責任でまとめたということになっておりますので、私からも一言だけ申します。

委員のおっしゃる、今の社会保障制度自体が相当問題があるぞといいますか、虫食っているぞというか、そういうことは非常によくわかります。だからそこはちょっと考えさせていただきたいと思いますが、ここで書いているのは、もっと危機感を持っているわけで、このぼろぼろの社会保障ですら、人口が減ってきて高齢者が増えていけば、維持できないんですよね、今の財政では。そういう危機感に立って書かれているものである。決してその事態を見落としてはいないつもりである。高度成長期ならもっともっといい社会保障をよこせということになるのですが、それは今のこのあやしい社会保障を守ることですら、今の財政には非常に厳しいという現実からスタートしているということで、委員からご注意のあった点については、十分配慮したいと思いますが、一応私の弁明だけお耳に届けておきます。

ほかの方からどうぞ。

委員

関連です。5ページの2行目に、問題点の指摘の一つとして、「年金記録に関する問題の解決をはじめ」と書かれているのです。ですから、ここのところを委員がおっしゃっていられるような、どう書くかはあると思いますが、社会保障の課題みたいなことをちょっと触れておくということで解決がつくのではないかと思います。

委員

先ほどの議論にも関係するのですけれども、今回の総論は、今回の税調が社会保障費の増大だとか安定的な社会保障制度の維持に対して、じゃあ負担をどうするかということをきちんと問う税調の答申になるはずなのです。もとの意味からいうと、総論でなぜそういうことが必要なのか、財政の問題、社会保障の問題をきちんと書くにはある程度長くなってもやむを得ないかなという感想です。 先ほど言われたように、全体として長いということであれば、各論でグローバル化とか社会保障の問題が何回も出てきますので、総論できちんと記述しているところは、各論では省略していく方法がいいのかなと思います。

もう一点は、消費税が重要な役割を果たすべきであるということが、総論の多分一番注目されるポイントではないかと思うのです。じゃあ、税調としてそういうような負担のあり方、負担増を含めた改革をどうするのだ、いつの時点でやるか、ということがポイントになるわけですが、これは感想になりますけれども、5ページのところにいくつか言葉が入っていますね。「早急に財源を確保すべきである」と。それから、その下の段落で「出来るだけ早いタイミング」だというくだり。あと消費税のところにも入っていますけれども、そういう言葉を加えたというのは、この答申を読んだ人が、じゃあいつやるんだねということがありますので、こういう表現が織り込まれたほうがいいのかなと思います。

委員

なるべく今日中にたくさん意見を聞きたいと思っておりますので、もしよろしければご発言ください。一応総論はよろしいでしょうか。 当初の予定では、3時から10分ぐらい休憩と思っていましたので、質問がまだ残っているかもしれませんが、10分ぐらいここで休憩を取りまして、15分に再開するということにします。

ありますか。

委員

後ろには具体的に環境のことが少しあるのですが、総論のところで「持続可能な経済」とか「環境と経済の両立」というようなことが一切なくて、少し気になります。喫緊の課題の第1位にあると思いますので。

どこに入れたらいいのか、先ほどから考えていたのですけれども、あまりいい考えが浮かばないのですが、考えられる場所としては、7ページの第2パラグラフの最後ぐらいに、「自然環境の悪化を食い止める持続可能な経済への舵取りも必要である」というようなことを1行入れていくのも手かなと考えています。

委員

どうもありがとうございました。 総論のところは、この税調の答申と国民とのいわば出会いの場ですから、要求といいますかご意見は多分二つに分かれていて、ごく大ざっぱに言ってしまうと、出会いの場なのだから少し親切に解説してあげなさいというご意見と、もっと簡潔にわかりやすく切ってしまいなさいというご意見があったと思います。それが非常に大きな点だと思いますので、各論のほうのリードといいますか、前文というか導入部分との重複などを調整させていただいたり、あるいは説明その他については、あまりこれ以上は残したくないので、別途、注、その他など工夫するというようなやり方、それから、ご指摘いただきました様々な表現ぶりなどについては、検討させていただきますけれども、私のほうで気がついていたところなどもあるのですが、後ろであまり内容がないところは、重要であった課題だとしても、なかなか書きにくいとか、いろいろ事情があって外しているところもございます。

それから、委員の地域とか地方とか社会とかというのは、実は地域社会ということをどう扱っていくか、つまり同じ言葉で統一したほうがいいのか、ある時は「地域社会」と言って、ある時は「地方」と言ったほうがいいのか、大体イメージは同じだけど、というところをちょっと使い分けたりしているところがございますので、表現ぶりは直させていただきたいと思っております。

委員

それでは、私からもう一言だけご説明させていただきたいと思います。いろいろ比較したデータなどもあったほうがいいではないかということでしたけれども、事務局のほうで参考資料集的なものをまとめています。それがまとまったあとで、引用するなり、要約をこちらへ移すなり、そういうことをその場でのちに編集ができるだろうと、時間的な問題がちょっとありますからわかりませんけれども、その方向で作業は進めていただいています。

委員

ちょっと一つだけよろしいですか。

先ほどもちょっとご意見があって、これは各論まで全部読んでの問題でもあるのですけれども、ご方針でそういうことであるということならばこれは一つの考え方であるのですが、時系列が何にも入っていないわけですね。ですから、これは来年やるのか、再来年やるのか、5年後にやるのか、あるいは10年先にこういうことになればいいというのか、その辺が、中期的な抜本改正についての考え方ということではあるのでしょうけれども、やはり最低ここまでには解決しなくてはいかんよというような、そういうものがないと、ここの危機感というものが現実に伝わってこないと思うのです。その辺をどう考えるかというのは、多分、この税制調査会の非常に重要な、皆さんの合意が得られるならば、ポイントになるのではないかという気がいたしました。

委員

どうもありがとうございました。

それでは、休憩に入ってよろしいでしょうか。10分間休憩いたします。

(休憩)

委員

それでは、審議を再開させていただきます。

個人所得課税の審議に入ります。ページでいいますと、10ページから16ページまでということで、ご意見をお願いします。大体20分ぐらいで終わりたいと思っております。

どうぞ、どなたからでもご発言ください。

委員

11ページの配偶者控除のところです。これは賛成なのですが、イロハニの順番を逆にしたらどうか。つまり、配偶者控除をやめるために子育て支援に充てるというエクスキューズみたいに読めてしまう。もうちょっと広く言うと朝三暮四みたいな形なので、子育て支援にシャープに効果を与えるためにはどう考えるのかという視点から、いろいろ控除を考えて、例えば高所得者にも恩典がある配偶者控除等について、こういう形でするというふうにしたほうがいいのではないかというのが1点。

それから、15ページですけれども、この個人住民税のところが所得税との並びからいうと、<1>のところまではいいのですが、<2>のところが全然並びが違いますので、それにふるさと納税と寄附金とがごっちゃになっていまして、読んでいて大変混乱を起こすと思います。その点で別立てにしたほうがいいのではないか。さらに、別立てにした時も、ふるさと納税といわゆる寄附金については分けて、寄附金税制については、あとの公益法人制度のところで触れたらどうだろうかと思っています。

さらに、もしそういう形であれば、寄附金税制について、前段の部分で公正ということをうたっているわけでございますから、寄附金税制で個人住民税だけ取り出して議論するというのが、私は公正なのかどうかということについて大変疑問に思っていますので、その場合は、個人住民税ということではなくて、住民税における寄附金税制のあり方として考えてはどうだろうか。特にここで問題になっていますのは、16ページの最後のところ、個人住民税の前ですけれども、都道府県域を超えた住民税の寄附金税制のあり方ということを、はっきり明示的にうたったほうがいいのではないかと思います。また長くなりましたけれども、以上でございます。

委員

ほかの点でいかがでしょうか。どうぞ。

委員

今日は委員がいないのですが、委員とも議論したことがあるということで発言させていただくのですけど、全体として(8)までよくまとまっていると思うのです。14ページで(6)税額控除を取り出した。ここで最初のところ、「所得税においては、従来から」云々で、第2行目で、「一定額を所得から差し引く所得控除による対応を基本としてきている。他方で、財政的支援という意味合いの強い税額控除は、税額から一定額を差し引く負担調整の仕組みである」。

ここで税額控除というのは、確かこういう議論があったと思うのですけど、配当控除もあるし、外国税額控除もあるし、その場合、配当控除が財政的支援だという人はいないし、外税控除も財政的支援という人はいないはずです。だから「他方で」というところからですけれども、「このほか所得税の負担調整としては、税額から一定額を差し引く税額控除がある」という客観的な議論にすべきなのかなと思いました。

それから、第2パラグラフは、税負担から見ると、こういうことはいろいろなことがありますよと。

「諸外国においては所得控除から税額控除へ移行する国も見られるところである」の「ところである」というのは、もうこういう役所的な言葉はいいだろうと。それは全くテクニカルなことですけれども、前のほうは、そういう議論を確かしていたし、私もそういうふうに考えていたということで、ここは修正したほうがいいのではないかというのが私の意見です。

委員

今の点はいかがでしょうか。どなたか。よろしいでしょうか。

それでは、どうぞ、お願いします。

委員

今の点ではないのですが、11ページ、税率のところで、「税率やブラケット幅については、所得再分配機能が適切に発揮されるよう」という具合に書かれていて、ここは累進度を高めるというようにも読めるのです。そこで、12ページの特定扶養控除のところで、上から三つ目のパラグラフ、「また、年齢16歳以上」のところの4行目で、「近年の累次の税制改正によって累進構造が緩和されてきたことや」という具合にあって、緩和されてきたので、もうそういう意味合いは薄れているのではないかということが書かれていて、11ページではまたさらに累進税率構造を強めていこうという方向性が見えるので、ここは何か矛盾をしているような気がいたします。

それと、給付つき税額控除の話ですが、これも一つ非常に重要なのは、所得の捕捉がきちっとできるという前提がなければ、非常に大きな不公平を生むという可能性がありますので、ここはぜひ、「といった論点を踏まえ」という中に、そういう所得捕捉をきちっとする体制を整えるということの必要性を入れていただかないと、給付面でもまた不公平が出てくるというような気がいたします。これはやはり所得捕捉がきちっとできるという前提で議論をしていかないといけないのではないかと思います。

委員

15ページの(8)の個人住民税の<2>の寄附金税制ですけど、<2>の最初のパラグラフの最後3行目ぐらいから、「なお、効果のわかりやすさという観点などから、控除方式を税額控除方式とすることについて検討する必要がある」と。ここはもう少し親切に、前のほうで所得税のほうは所得控除と税額控除の、コンテクストは違いますけれども、いきなりここで「なお、効果のわかりやすさという観点」というのは、もう少し言葉を使ったほうがいいのかなと。

あと、官邸での議論の時に、住民税の寄附金控除は全部税額控除にするのかという質問を委員がされたと思うのです。ふるさとの場合には税額控除で、そのほかの目的の地方における寄附金税制も税額控除でやるのか。その部分は、ここに書き込む、書き込まないよりも、ここの考え方だと、所得税に関しては所得控除ですよね。住民税に関しては全部税額控除にしてしまうのかというところは、読み手としては疑問が残ると思います。

二つです。

委員

まず、10ページの「個人所得課税の現状」のところの第2パラグラフの最後のほうの行、「全体として、諸外国に比べ負担水準が極めて低くなっており、その財源調達機能や所得再配分機能が低下している」というこの分析ですが、財源調達機能が落ちていることの原因のもう一つ大きなポイントとして、低所得層の増加という問題が大きくかかわっておりますし、トータルでいえば、労働分配率がずっと下がり続けているということもこういう現象に影響を与えているわけですから、そういう現状認識を入れておいていただくほうがいいのではないかという議論が出てございます。

あと、今、税率やブラケット幅のことについてご議論がありましたが、その次の11ページに、最高税率について書かれておるパラグラフで、「見直すべきといった意見も出されており、さらに検討を深める必要がある」ということですが、「出されており」のあとに、「最高税率について引上げの方向で」ぐらいの表現をぜひ入れていただくべきではないかと、そんなふうに申し上げておきたいと思います。

委員

ただいまの意見、違う意見もあるということで申し上げておきたいと思います。この税調でも、以前、日本の実像という議論があったと思うのですけれども、そこでも、いわゆる結果平等ではなくて、機会均等ということが現在の社会において言えるのではないかという議論がございましたし、それから、先ほど出ました税率を引き上げるということが、税収の増加に直接結びつくのかどうかという、この検証も必要で、現実にレーガン税制でも、税率の引下げが税収の増加をもたらしたということも言われておりますので、この最高税率のところだけ、特に必ず引き上げるべきだということをこの税調の答申に盛り込むべきかどうかということについては、別の意見もあるということを申し上げておきたいと思います。

委員

10ページの委員の指摘にも関連するのですけれども、所得税の問題点は、結局、課税最低限が社会保障水準、例えば生活保護基準などに比べて高すぎるのではないかというような議論もありますので、そういう意味からすると、所得税の負担をしている人が減ってきているといいますか、そこのところを一つ指摘をしておく必要があるのではないかと思います。

それと、書くのは非常に難しいのですが、生活保護との関係などに対する認識を税調はどう考えたのかというのが、回答がないものですから、この点についてどのように考えるか。「その他の主な意見」を見たのですが、どうもなさそうなので、その点についても若干の問題点として認識をしておく必要があるのではないかということでございます。

委員

ふるさと納税のところですけれども、これは寄附金税制の中にとけ込んでいるので別立てという委員の意見、私も賛成です。その際、実はふるさと納税の議論の中に、個人住民税にとどまらず、所得税についても控除を考えたらどうかという議論がありましたので、個人住民税というブラケットの中にとけ込まさずに、(9)として、ふるさと納税として、所得税についても一定の控除を検討すべきではないかと、こういう議論があったということは紹介してもらいたいなと思います。

委員

私も今のところについては、寄附金税制を個人住民税だけに押し込めるという形ではなくて、全体の議論ですので。たまたま現在議論されているのがこの個人住民税ですけれども、今の国税のほうも含めての議論は非常に大きな議論ですので、これはやはり別枠かなと思います。 もう一つは、今回、全体について非常に細かく書いておりますけれども、いわゆる給付つき税額控除、これについて今まで言葉としては語られているのですけれども、こういう形で項目として取り上げられたことは多分ないと思うのです。

そういうことからすると、全体を見ますと、ほかのところは何回も議論されているのですけれども、ここは非常にクローズアップされて、ある意味で期待感を持たれて表現される可能性はあるのですが、実はあとのほうで、「その制度化の可能性や課題について」ということですので、十分研究するという前提ではありますけれども、15ページの上から4行目あたり、「社会保障政策の観点から、既存の給付との関係」というのがあって、既存の給付というと、制度がそういくつもないわけですけれども、実際には税を払っていない方への低所得者対策は、自治体の現場に行くと、何千という制度がそれぞれあります。無数のそれぞれの低所得者対策との整合をとるという莫大な、というよりもすべての制度を全部洗い直さないと、なかなか到達しないということ。これは現場からするとそうなのです。低所得者対策の中でも、これまでについてはこういうサービス、公共料金を下げるだとか、それは実際にはものすごい数があるのです。ここら辺、「既存の給付」だけではなくて、「既存の給付や各種の低所得者対策等との関係」ということでないと、非常に簡単に考えられると困るのかなと思います。実際には大変な数があります。税金を払っていない人への段階ごとの所得の差については、非常に細かな刻みのサービスというのが、現場に行きますと無数にあるということ、そこのところについてご理解をいただきたいなと思います。

委員

課税最低限と税の話はいろいろあると思うのですけど、例えば失業保険をもらっても、それもある意味で課税ベースに入れてもいいわけですよね。生活保護をもらっても課税ベースへ入れてもいい。たしかアメリカの場合は、委員がいるから、AGIに失業手当も最初は入ってきたと思いますけれども、実際事実で、だから失業手当もみんな一応収入だとして、それから調整するということも別に考えられるから、その議論は、ここで今課税最低限との兼ね合いで云々という議論をするだけの準備がないというのが僕の感じですけど。

委員

アメリカは、留学すると奨学金も申告しなければいけないですよね。いろいろいただいたものも課税ベースの中に入る。どこまでというのは、アメリカでどうなっているか細かいことはともかくとして、入れるという前提のもとでないと、給付というのは難しいということですよね。

委員

いや、課税最低限。

委員

そうですね。もらうほうもちゃんとカウントしませんとね。

委員

ですから、そういう意味からしますと、課税ベースの議論が実をいうと十分にされていないのではないか。所得税の議論をきちっとしていこうとした時に、課税ベースの議論をきちっとしておく必要があるのに、それが抜けちゃっているなという思いなのです。委員がおっしゃっておられるように、いろいろな仕掛け方があろうと思いますから、そうすると課税ベースはどうするのかという議論と、それから最低水準をどうするのかという話が出てきますね。

委員

今の問題と関係がなくてよろしゅうございますか。

委員

はい、どうぞ。

委員

やや細かい問題なのかもしれませんが、配偶者控除のところです。これは、教育の崩壊というのが大変大きな社会問題になっていて、税と直接関係ないと言ってしまえばそうなのですが、こういう教育の崩壊を税制面でもある程度是正できれば、それは望ましいと考えているわけです。いずれにしろ、ここでお話しになっていることは、家事労働から解放されて、むしろ配偶者、これは男であろうと女であろうと、どんどん社会へ出て働けと、働く方向を促進するということだろうと思います。それは一つの考え方なのですが、一方で、親が子どもを本当に立派に育てて、それで社会に返してやる、そういう意味での家庭教育の重要性というのは、これは計り知れないほど大事なわけですね。これは夫がやろうと妻がやろうといいのですけれども。

ですから、そういう視点を少し、11ページでいえば、「他方で」ということを書いてありますが、何かないと、そういう視点を全く欠いて、ただ夫婦共働きをしていくのが今の潮流なのだから、その潮流の中で配偶者控除は要らないよということだけでは、私はやや視点が不足するのではないかという気がしております。

委員

所得控除と税額控除、それから給付つき税額控除というふうに並んでいるわけですけれども、これについて何かご意見がありましたら、ぜひこの機会にご発言いただきたいと思います。

委員

給付つき税額控除というのを本当に議論すると、大変だと思うのです。だけど、ある意味、そういうことをやっている国があるので、日本としても、今後、社会保障制度と所得税との一体化なども含めて議論していかなければならない時期に来ているというぐらいの読み方で、私は今後の検討課題というように捉えていますので、これでいいのではないかと思います。ただ、具体的に議論しますと、本当に大変な問題は出てきますので、これはゆっくり時間をかけてやらなければいけないとは思います。

委員

私自身は、この給付つき税額控除ということのコンテクスト、枠組みというか文脈よりも、消費税の位置づけみたいなものの観点で考えていて、特定の低所得者層にだけ給付つき税額控除をやるというようなことのアイデアではないもので、こういうような書き方をされた時に、消費税の逆進性の対応ということで、一つはこうした給付つき税額控除の活用というのもあるのだろうと私自身は思っています。

委員

今の議論の関連なのですけれども、やはり課税最低限と生活保護の水準とか、そこの整合性の問題というのがまず今の問題として存在していますので、本当はまずそこについての議論を進めていくのが大事だろうと思いますし、そこの議論というのは、今後非常に重要なのではないかと考えております。

委員

先ほどの配偶者控除の問題なのですが、配偶者控除を見直すという背景に、別に家庭教育を軽視するという意味は全然含まれていませんで、働いているお父さん、お母さんも、外で収入を得ていない方も、みんな家庭教育は必要だという前提のもとで、しかし、それを女性だけに割り当てるということの危険性があって、そして現状としては、そういう見方から見直しを図るべきという意見を私も以前出しましたので、これはそういう意味がないつもりで発言しましたという点と、先ほど順番を変えたほうがいいのではないかというご意見があったのですが、そもそも、男女共同参画という大枠の中の議論としてあって、そして、子育て支援というのは、ある意味では別の種類のものだとは思うのですけれども、しかし、税の財源をそこで見直した場合に、それを子育て支援に充てるというのも一つの案だということで4番目にあるという、この順番どおりで私はいいと考えています。

委員

それでは、そろそろ時間です。この問題はまたやりたいと思います。私自身も所得控除と税額控除については、多少言いたいこともありますけれども、それはまたの機会にして、次の話題に移ります。

委員

一言だけ。今の配偶者控除の問題ですが、「夫婦は引き続き担税力の面で配慮が必要な関係であり」とだけ、さらりと書いてあるんですね。税調は家庭だとか夫婦関係だとかというのは、ばらばらなほうがいいというふうに結論を出したと思われる可能性があってもいいのか、というのがちょっと気になります。ですから、もうちょっとここのところは丁寧なほうが望ましいのではないか。エクスキューズならエクスキューズらしくしておいたほうがいいと私は感じました。

委員

ここは非常に微妙な問題であるということは、私も理解しております。ただ、議論の筋もありますので、またあとで少し頭を冷やして私も考えてみます。

それでは、法人課税、国際課税、公益法人課税の審議に移りたいと思います。17ページから20ページまでですが、ご発言のある方はどうぞ。

委員

17ページから18ページに法人課税のことはかなり詳しく書いていただいているのですが、そこの表現ぶりを見ますと、例えば「法人実効税率の更なる対応が求められている」ということで、これは誰かから求められているということで、結局、これは税調としてどうするかということではないし、(2)のところの2行目にも、「引き下げるべきだという議論がある」というのですが、議論はあるというだけで、それをどうするかということは何もないわけです。途中のもう少し下のほうへいきますと、この法人税率は必ずしも高くはないよということもありますし、18ページの(4)の前のほうのところで、「法人実効税率の引下げについても議論することが必要」だということはありますが、プラス効果もあるけれどもマイナス効果もありますということだけで、税調としての方向性というのが全くここからは見えてこない。議論はしたけれども、いろいろな議論があるから、これからですねというだけなんですね。ですから、当然、この1、2年でどうこうなることはないと思うのですけれども、やはり日本が成長するためには、どうしてもここは避けて通れない議論になりますので、中期的には下げるべき方向だということで、ぜひ検討するのだというトーンを、やはり税調としては出していただけたらありがたいと思います。

委員

あとでまた次の案を作る時にもう一度考えさせていただきたいと思います。ほかの点でいかがでしょうか。どうぞ。

委員

今のご意見にある意味サポートなのでございますが、総論の7ページで、「経済と社会の活力を高めることと財政健全化の双方を、車の両輪とする」といった時に、いわゆる活力を高める税制で何を言っているかというと、中立的な税制をベースにしていきましょうというようなことがトーンになっていると思うのです。そうすると、法人課税についても、中立課税としての方向性をやはり示すべきなのではないか。一つは配当二重課税の問題もそうですし、それから、資金調達の方法も、借入れとエクイティのファイナンスのことの話もありますし、そうすると、例えば包括的事業税みたいな考え方や、キャッシュフロー法人税のような考え方の中立課税という観点で見た時に、現行の法人税制をどういうふうにこれから考えていくのかという方向性が中立課税の方向性でいくとすれば、そういうような方向も一つの道としてあるのではないか。

もう一つは、そうした中立課税の例外という形で、ある一部の業種というのでしょうか、IT産業であるとか、中小企業であるとか、そういうものを例外的に、中立課税から外れてという言い方はおかしいのですが、中立課税の考え方を逸脱したとしても、それが活性化につながるのだというようなことの補強がやはりどこかで必要なのではないかと思いました。

委員

委員からのお話、お立場上はよくわかりますが、私は前から申し上げておりますように、税というのは税目間でバランスだと。その時々のいろいろな産業、企業の状況なり、家計の実態なり、そんなものをバランスさせて見ていくべきであり、もう一つは、財務省のほうからの資料でも、社会保険料等を含めてみた時の負担率というのは、日本はそうひどいポジションにあるというご報告でもなかったし、こういう状況下では、未来永劫にということではございませんが、今の国民の感覚等を含めますと、法人実効税率をさらに引き下げなさいというサイドがみんなの実感からというふうには思えない。

もう一つは、18ページの「地方法人課税」のすぐ上のパラグラフですが、「その際」というのがあります。「企業の税負担を軽減した場合のマクロ経済への影響については、設備投資の拡大が家計部門の雇用や所得等に及ぼすプラスの効果がある」と書いてあるのですが、こういう実感が最近非常に弱くなっているわけでして、成長したら、その成長の成果がトリクルダウンしてくるのだなんていうけど、ちっともトリクルダウンしてきませんで、家計の状況等は9年連続可処分所得マイナスみたいな状況を続けているわけでして、こういうプラスの効果があるという認識だけでは最近はどうもいけないのではないかなと、そんな印象を持っておりますので、この辺の表現を少し工夫していただけないかなと思います。

委員

委員のお話も非常によくわかっておるつもりでおります。一つは、社会保障負担を入れてという時には、日本は今の段階の社会保障負担はまだ低いのですけど、これは予定として、あと何年でしたか、これから上がり続けるわけですね。海外では社会保障を含めて付加価値税に切り替えようとしている国もある。こういう状況もあります。委員の言うことは全部間違っているとか、そういうことは言っていないので、若干のコメントです。

もう一つは、賃金がなぜ上がらないかというと、やはり日本の今の資本の利益というのが海外でかなり上がっている。国内の賃金になかなか反映していない。こういう状態もあるという説もあって、若干の裏付けもあると私は思います。だから、その点はまだいろいろ議論しなければならないと考えているということであります。絶対このまま変えないということではなくて、ご忠告はありがたく受けとめます。

それでは、ほかにございますか。どうぞ。

委員

結局、法人の税負担はどうすべきなのかというのが、やはりどうしても見えないですね。

委員

そうですね、このままだとね。

委員

これは今の状況の中では仕方がない面もあるかもしれませんけれども、諮問はやはり経済の活性化ということでありますし、ある程度そのあたりが見えないと、結局、この答申を見ると、総論のところでは税率を引き下げるべきだという意見がある。しかしながら、財政状況を考えると課税ベースを広げる必要がある。そこで、17ページの上から2つ目のパラグラフでは、「法人実効税率の引下げ等の更なる対応が求められている」ということで、引き下げるべきであるという話が出ていて、そして、そのあとの(2)のところでは、課税ベースとか社会保障負担を考えると、別にそれほど国際的に高いわけではないという具合になっている。ここで止まっているわけです。そうすると、日本は法人関係税はもう今のままでいいというように読めてしまいますし、それはそのように読めばいいのかというと、ちょっとメッセージとして行ったり来たりというか、非常にわかりにくくなっていますので、このあたり一定の方向を出されたほうがいいような気はいたします。

委員

今のこともわかっているつもりです。総論のほうでしたか、課税ベースを広げる必要があるということがありますが、それは法人税関係の税率を下げるためには、さっきお話のあった中立的なところにも引っかかってくると思うのです。

委員

アメリカのパネルの中で言っているキャッシュフローの場合は、逆に課税ベースを狭める、いわゆる資本投資はすべて初年度損金算入にするというようなやり方も一つあるわけで、課税ベースを広げるというような形の中立のいき方、それで税率を下げるという考え方と、税収が同じであっても課税ベースを狭くして、初年度の設備投資について、初年度に全額損金算入して、税収を一定にするには税率を上げざるを得ないような場合もある。その辺は哲学の問題になってくるので、ここはまだ議論がこれから必要だろうと思います。

委員

私が中立と言ったのは、主として特例措置、それを省くという点で課税ベースを広げるという考えがあるということを言いたかったということです。

委員

20ページでございますけれども、真ん中よりやや上に、「第一に」というところがございますが、これは追加をお願いしたいと思っております。このあとに資産、つまり物の寄附についても、その役割にふさわしい措置が必要であると。さらに、先ほど申し上げた住民税のところはこちらに持ってきて、「寄附金に対する住民税については、個人、法人一貫した公正な対応が必要である」と。これは極めて常識的なことを申し上げていますので、反対意見があれば今言っていただければと思っております。今のは「第三に」のあとですね。失礼しました。

それから、「第一に」のあとは、「また、税を考える上で、公益目的事業財産というこれまで存在しなかった財産が法的に整備されたことを踏まえ、様々な税目についての一貫した取扱いについての配慮が必要である」ということも入れるべきではないかと思います。

それから、4があるのですが、第5とするか、4を入れるかどうかですけれども、ここは国民の視線という意味では、移行した法人が一般法人になることもございまして、その点について、「移行によって一般社団、一般財団になる法人の公益目的支出計画に関する税の取扱いについても検討が必要であろう」ということで、ちょっとコメントしておくのが大事なことではないかと思います。具体的にどうせよということではございませんが、そういった面も配慮しているということが大事ではないかと思います。

それから、全般的に「公益社団・財団法人」という表記になっていますが、ここは正確に「公益社団・公益財団」とか、「一般社団・一般財団」という形にしていただかないと、読んだ方がわかりにくいかと思いますので、よろしくお願いします。

委員

これは意見というより質問に近いのですけど、地方と都市の格差のところ、それに関連して、法人住民税と法人事業税の法人二税の扱いのところがあまり書かれていなくて、総論のほうでは、都市と地方の格差があって、この「国民の懸念に真摯に対応することが大きな課題」と書いてあるのに、今、新聞で話題になっているこの法人二税の格差の話、これを全然書かないということでいいのかどうか。それに関連してですけど、23ページのほうでは、地方消費税のところは重要な役割だということが書いてあるから、これを拡充すればいいと、そういう考え方で整理したという理解でいいのか。その辺の、これは質問でもあるのですけれども。

委員

関連して。私も、書き方がなかなか難しいから書いていないのかもしれませんが、やはりこれだけいろいろな議論が出ているわけですので、法人二税の格差論について議論をしたということが出ていないとおかしい。

ただ、適正な法人二税の課税権の帰属がなされているのかどうかというのが問われているのであって、格差自身が問われているわけではないんです。ですから、課税権の帰属を適正にするための今の指標だけでいいのか。これは委員も指摘されたのですけれども、今のような指標だけでいいのか、それとも課税権の帰属の分割基準のあり方が正しいのかどうか、というような形でのアプローチは十分あり得るのではないかと私は思っております。

あと若干触れさせてください。

18ページの真ん中に政策税制について触れられていて、いわゆる研究開発とか生産性の向上とか事業の効率化というのが書いてありますけれども、ベンチャーだとか起業に対する政策税制の活用というのがあまり強調されていないのです。私の提案としては、本当はそういうベンチャーとか起業に対して投資をしたら、最初は費用化してしまって全部落とす、しかし、将来利益が上がったら取り戻すというような制度を考えていただいたらいいのではないか。そういうことを考えた時に、ここだけではちょっと読みにくい。ですから、そこは明確に触れていただいたほうがありがたいと思います。

それから、委員のお話ですが、公益法人課税について触れられましたので、私も20ページについて触れさせていただきますと、一つは、二のところで、「一律の取扱いとすることは適当でなく、態様に応じた措置を講ずべきである」と書いてあるのですが、何を言っているのかわからない。それで、これは社会福祉法人だとか宗教法人だとか、他の法人の取扱いとのバランスを考えろとおっしゃっているのではないかと思うので、それだったらそういうふうに書いたほうがいいのではないかと思います。

それから、住民税について、法人と個人の取扱いが違っているというのは、実をいうと、住民税の法人課税は、制度的に取扱いを変えているつもりはなくて、法人税額が課税標準になっていることに伴って、仕方がなく配慮がされてしまっているという結果になっているのであって、もし地方団体との受益関係を無視した、公益法人だから税額控除、所得控除なんかはともかくとして、配慮をするのだということであるのだとすると、その点についての留意点を明確に書いておいていただいて、少し技術的な調整をする必要がある。受益や応益性を考えた調整が必要だということを、きちんと述べておいていただく必要があるのではないか。そのように思います。

委員

今回、消費税の引上げという問題があって、負担増の問題が出るわけで、その観点からいうと、総論で書いてある「国民・納税者の信頼を得る公正な税制」というのは、極めて重要だと思うのです。

その観点でちょっと触れさせていただくのは、18ページの地方法人課税です。最後のところにありますように、事業税にかかる社会保険診療報酬の特例措置、「税負担の公平を図る観点から、速やかに撤廃すべき」とあるのですけれども、これは国税の問題もあるわけです。我々はよくどうかということを新聞で書いたりするのですけれども、やはり一種の優遇税制ですね。社会保険診療報酬にかかるみなし概算経費ですよね。これは前から言われているのですけれども、なかなか医師団体が強くて改まらないのだけれども、こういうように負担を求める時には、そういうような優遇税制についても、踏み込んで見直すべきであるということをきちんと書かないと、公平な税制を求めるといっても、税調はそういう問題について触れないではないかということになりますので、これに触れていないのはどうかなという気がしました。

委員

それはテクニカルなことですぐ答えられないと思うのですけれども、社会保険のお医者さんたちの所得の概算というのは、昔からこの税調で何十年もやっていて、大分是正されたという気はしていたのだけど、そこはどうですか。

事務局

所得税のほうは、概算経費率の制度になっておりまして、確か昭和63年でしたか、概算経費率の適用の上限を5,000万円につけたということがございまして、それ以来で来ております。そういう意味で、大きな不公平のところはないということですが、ただ、概算経費率の制度そのものはまだ残っておりますので、その部分においてそういう制度がまだ残っているということは、私どもも認識としては持っております。

委員

委員が言われたことに関連して、もっとあとのほうでもう一回申し上げたいのですけれども、やはり一番理想的なのは、グローバル化の中で、競争が激しくなっている中で、どうやって日本の企業がまともに戦えるかということが非常に重要だと思うのです。イコールフッティングとまで言っているわけですから、せめて方向性だけは明確に語っていただきたいなと思います。

政治情勢がいろいろあって、それがすぐに動かないのであるならば、やはり政策税制ということになるのだろうと思います。そういう中で、やはり研究開発税制と起業を促進するということですね。頑張れる人に頑張ってもらおうという制度をぜひ作ってもらわないと、消費税だけでは、この国は多分もう破綻しているわけですから、頑張りたいという人をもっともっと頑張るような制度を作らないと、この国内で仕事をする若者は減ってきますよ。もう少なくとも絶対数が少ないわけで、こんな魅力的でない国はない。それは対内投資が米国や中国と比べて12分の1という、こういう情勢の中ですから、消費税をやっと動かしたところで、世界は5年ぐらい先に動いていっている。何も決められない状況の中で、決められるところから急いで、それこそ時間軸の記述が非常に乏しいのですが、そういうところからやっていただきたい。メッセージを明確にしていただきたいと思います。成長とか明るさとか、そういうことがないと、「ああ、消費税だけが増えるのね」ということでは決してよくないと思います。

委員

大変いいご発言をいただいていると思っております。地方税の問題については、議論をしても、おそらくこの中でも議論が始まったら終わらないという、先生方のいろいろな論説も拝読したのですが、皆さん違う意見を持っていらっしゃるようで、これはまとまるのかなというのが私のほうの心配でありまして、しかし、お話がありましたように、ここでも、まとまらなかったらまとまらなくていいから、どういう議論だったかという形の整理で、どこまでできるかという形にさせてほしいと思います。かなり難しい問題だなと、門外漢の私には感じられるということです。できるだけのことでリライトを検討してみたいと思います。

それでは、国際課税については特にご発言がありませんでしたが、よろしいですか。どうぞ。

委員

今の論点をさらに強調したいと思いますけれども、やはり次の時代の産業を創る、そういう企業を、ベンチャーまたは中小企業が担っていくところに関しては、税の面でも、中立性を逸脱しても、そこに資源が投下されるような仕組みを作っていくというのは、非常に重要だと私も思います。

次の時代といっても、産業というのはすべてテクノロジーをベースに生まれてきて、それが製造業になり、そしてでき上がったものがサービス業に伝播していきますので、技術をもって新しい何らかの産業を作っていく中小企業、そういった会社を起業することに対する投資減税、投資をエクスペンスとして認める。これは起業をする人たちのやる気を起こさせるとともに、今、こういうテクノロジーのベンチャーというものは非常に逆風にあえいでいます。というのは、企業会計基準でも減損会計や時価会計等々がありますから、3年も4年も5年も時間をかけて新しい技術を育てて、実際実用化していくというようなことをあえてやるような、そんなバカバカしいことはもうしないという世界的な傾向がベンチャーの中にもずいぶん出てきています。

ですから、アメリカもヨーロッパもこういうことはしないような状態に今なっている中で、もし日本がこういった制度を作り出すとすれば、日本人だけでなしに、いろいろな国の人たちも日本の制度を利用したいと思うようになるでしょう。それからまた別の効果もあります。これは税の関係とはちょっと違いますけれども、日本をはじめとして現在の過剰流動性のようなところから、サブプライムとかいろいろなマネーゲームが世界ではびこっておりますけれども、こういった税の恩典を作ることによって、例えばタンス預金を持っている人たちも、今でしたらマネーゲームのような金融商品に投資せざるを得ないところ、もし税の恩典等を提供し、そのお金を新しいベンチャー、中小企業の投資に吸い寄せることができるのならば、これは将来の産業を作り上げるために民間のお金を有効に使うという循環機能を税が主導することになるでしょうから、これも非常に大きなメリットを持つようになると思います。

委員

消費課税、資産課税、納税環境整備のほうに移りたいと思います。ページでは21ページから32ページまでということです。よろしくお願いします。ご発言いかがでしょうか。

委員

消費課税について2点あるのですが、一つは、22ページのところです。消費税というのは逆進的であると。これはいいのですが、その次のところで、逆進性とも言えないのだよという説明が書いてあるのですけれども、私は説明に無理があるような感じがして仕方がないのです。そこで、これは取ってしまって、再分配政策を考える上では、ほかの税のことも考えたほうがいいよと言ったほうがわかりやすいかなという気がしているのです。なぜかというと、逆進性といった時に、所得とか消費というのは、その年度のことで一応考えているのが、ここでは、それではだめなのだ、もっと長い期間で考えなさいということで、税制の考え方からするとどうかなと思ったからです。

もう一つは、インボイス方式の23ページのところですが、ここでの書き方は、「『インボイス方式』の導入が不可欠となろう」というのが10行目ぐらいに書いてあります。金曜日にいただいた資料では、不可欠であるというふうには書いていなかったのではないかと記憶しているのです。その検討も必要であると。インボイスの長所、短所というのがあるわけですから、やはりこれは今までの出てきた資料とちょっと違うかなと思います。

委員

22ページの2行目から5行、例が書いてあるのですけど、これは非常に極端な事例を二つ並べて合理化しようとしているので、やめたほうがいいのではないかと思います。例えば、ここでまともに考えますと、高い所得水準のもとで所得税を高く払った人が貯蓄をして、それで消費をするのが何が悪いのだというふうにも言われかねません。ですから、逆な例を出すならもっとスマートな例を出さないと、これはちょっといかがかと思います。

委員

大体、所得税を払ったあとで消費税を取られているのですから、これも二重課税かもしれません。どうぞ。

委員

お二方から22ページの上の部分についてのご指摘がありましたので、そこは私も同様に、こういうことまでしてこのことを書かなければいけないのか、読み方によっても、逆進的ではないと税調は主張するのかというふうに受けとめられかねないのではないかと思います。 それから、22ページの下のほうに、「極力単一税率が望ましい」とありますが、ここまでの議論をしてきたのだろうかと。私も全部出られない時もありましたので、そういう場があったのかもしれませんが、「望ましい」ということは結論ですよね。

それから、前のページになりますが、21ページの「使途」のところの消費税の福祉目的化が予算総則に明記されていると、こう書いてあるから明記されているのでしょうが、今、消費税の税収から見たら、それ以上にこういう分野に使っているから、全部使っているのだよということが言えないことはないかもしれないけれども、一種のレトリックみたいなことで、国民はどう受けとめるのでしょうかねと、ちょっとそんな感じがいたしましたので。

委員

消費税のところの今の全体のトーンとしては、福祉目的という、どう見てもそういうふうになるわけでありますが、これについては、どちらがいいとかではなくて、税調として、今度はこの消費税議論が具体的になった時に、消費税は増税になるとすると、福祉目的税化という前提で議論するということになるのでしょうか。このあと実際にこういうことがさらにもうちょっと迫ってくると。

委員

私の理解している限りでは、福祉目的に使うということは決めてあります。今でもすでに予算総則に載っているわけですけれども、それは目的税にするとまでは書いていないというのが現状だと思います。今後はどっちへ行くかはまた先の話で。

委員

今の消費税の成立の範疇であって、これを例えば大幅に増やす場合も、それをそのまま長々踏襲されるのかどうかというのは、もう一度議論があるのではないかなと思います。どちらがいいとかではないのですけれども。

委員

21ページの「使途」のところの文章を見ていただくと、要は、<2>のパラの最後にありますとおり、そうした考えを社会保障財源化ですが、「選択肢の一つとして幅広く検討を行うべきである」と。つまり、有力な考え方として、そうしたいわゆる福祉目的税化、いわゆるですが、そうしたものをアウトライトで否定するのではなくて、一つの考え方として十分に考慮に値するではないかと、こういう言い方をこの答申では書いてある。そういうことですね。

もう一つだけよろしいでしょうか。22ページの逆進性のところですが、税だから1年間の中でそもそも考えるのだというお話もあったのですが、我々は必ずしもそういう考えだけではないでしょうというのが前提なのです。つまり、逆進性という言葉は、要するにわかりやすくいえば、金持ちよりは貧しい人が税をたくさん負担する、こういう緩やかな言い方をして、それが逆進性だというふうに考えているわけです。それは必ずしも1年間の中で考えるのが、しかも1年間の所得で考えるのが本当に合理的なのかどうか。そもそも論なわけです。

それで、1年間のいわゆる所得ということではなくて、むしろ生涯所得、ライフサイクルで考えたほうが、つまり豊かな人、貧しい人、それをライフサイクルで考えたほうがずっと合理性があるではないか。それがそもそもの出発点ですので。

それで、生涯所得ということから考えれば、いわゆる消費税、とりわけ生涯消費ということから考えれば、逆進性ということは必ずしもないということで、もともと一時点での所得に対するものとして、「生涯所得」というのがキーワードで、あるいは「生涯の消費」と言ってもいいのかもしれませんが、それがキーワードだったんです。ところが、この税調の議論の中で、「生涯所得」という言葉がわかりにくいという議論があって、それで経済学者やエコノミストの間では「生涯所得」なんていう言葉はよく使われている言葉だと思うのですが、しかし、確かに世の中と対話する時に、「生涯所得」という言葉はあまり馴染みがないということで、それでこんな例を出したところが、スマートでないというご意見もございましたので。

ただ、逆進性については一つの大きな論点なのです。つまり、確かに一時点の所得ということからいえば、消費税に逆進性あり、そのことは確かに間違っていない。しかしながら、繰り返しになりますが、そういう形で逆進性というものをはかって、消費税は逆進性あり、したがって悪という一直線の従来の議論でいいのかというのが我々の問題提起なのです。そこをどうするかということです。もう一度会長ともご相談して考えてみたいと思います。

委員

今のに関連してですけれども、逆進性という意味は、委員が使っていらっしゃるような意味には今使っていないわけですよね。所得の少ない人が消費をした時に、消費税として取られてしまう。それが逆進性だというふうな形で使っていると思うのです。それを別の意味に置き換えて逆進性がないというのは、ちょっとわかりにくい議論かなと思ったわけです。

委員

委員がおっしゃるとおりなのですが、ただ、現在行われている議論の前提は、今年の所得が高い人は経済的な強者という前提があるのではないでしょうか。やはり逆進性の議論をする時には、誰もが経済的に強い人が税をよりたくさん負担する、経済的に弱い人は税の負担が小さくていいと、こういう前提のもとで、逆進性というのは問題だということですよね。したがって、逆進性の通常の議論とおっしゃる時には、各時点での所得というのが、その高低が経済的な強弱をかなり正確に表しているというのが前提だろうと思うのです。そのことが例えば高齢化社会の中でよく言われるように、必ずしも高齢者すべてが経済的な弱者ではないという議論がありますよね。そういうようなこととも関係して、先生が指摘されたいわゆる従来の議論というのが、本当に合理的で正しいのかという問題があるのです。

委員

今の委員のお話をよしんば議論の一つだということで受けとめるにして、ここにこういうふうに例示も含めて書くほどの、お考えとしての論理の正鵠性というのでしょうか、そういうものがきちんと検証していただけますかと。大竹専門委員のお話もあとで二、三度読ませてもらいましたが、大竹専門委員ご自身も、一方で所得階級別に見たアプローチのところではそういうことが言えます、けれども消費階級別に見た時には、そうは言えない面もありますということをご本人も言っておられる。そういうことも含めまして、常識的には、これはマスコミの皆さんからもコメントをいただいたらいいのだろうと思いますが、消費税には逆進性ありと、ごくごく単純な算数論でしかないとおっしゃられたらそのとおりかもしれませんが、そういう中で、この税調としては、逆進性がないということなのですと、そう捉えてこれからこの問題を考えていきますというところを明確に言い切っていいのですかと、失礼な言い方だったらお許しいただきたいけど、いろいろな議論に耐えていけるのですかと、その辺を思うからいろいろこだわって申し上げているわけであります。

委員

次の件に移ってよろしいでしょうか。相続税の問題と事業承継税制の問題をちょっと触れさせていただきます。

25ページ、まず、「近年地価がバブル期以前の水準にまで下落し」ということですけれども、もう東京はバブル以上になっているところも出てきておるわけですよね。そういった点からすると、もう大分時代が古いのではないかなということでありまして、その辺を問題とさせていただきます。

それから、一番最後のところに、「相続税の負担水準をこのまま放置することは適当ではなく」という、これはちょっとおかしいのではないのか。そういうように不動産も非常に下がってきたわけですから、そういう点からすると、これもちょっと問題ではないのかなと。

それから、裕福な資産を持つということが非常に悪なのか。社会主義国家ではなく、資本主義国家であるわけですから、そういった点からすると、富裕層はあっていいのではないか。その富裕層があるから、先ほども出てきたベンチャー投資だとか。ベンチャーといったって、最初は個人が投資するのですよね。そういうところにも投資ができて、そしてそれが成長していくということになるわけです。最初から会社がすばらしいものになって、ファンドが投資するなんていうベンチャーはありはしないわけでして、そういった点からも、やはりある程度富裕層を作ることによって、そういうものをバックアップできるのだということを忘れないでいただきたい。

それから、26ページ、「居住等の継続に配慮した現行の各種特例は、現行課税方式の下では居住等を継続しない他の」云々とあって、どうも公平の面から問題として考えられるというのですが、じゃあ、その居住を継続するということは問題なのか。先日もちょっと出ましたけれども、相続税を払うために家を売却しているという例は非常に多いわけです。私も福田総理の自宅の目の前をいつも通りますけれども、あの辺、ちゃんと立派な家がたくさんあったのが、今はもうなくなりましたよ。緑が全部失われました。そういうように、こういうことも非常に問題ではないのかと思います。

それから、次に事業承継の問題ですけれども、27ページ、「同族株式を遺産として残す者は、平均的にみれば、相続税の課税対象者の中でもさらに富裕層に属していることも留意する必要がある」ということですけれども、そうではなくて、やはり株式の問題を言っておるので、これが富裕層だということに決めつけられるのは非常に問題だと思うのです。企業を存続するために、事業承継税制というものは確立すべきであって、特に先般も非上場株式の問題に触れておったと思いますので、ひとつその辺を考慮して書いていただきたいと思います。

委員

先ほどの議論を蒸し返して恐縮なのですけれども、先ほど逆進性の議論は、前回、この議論がこちらで出ました時に私もちょっと発言させていただいて、生涯所得というのがちょっとわかりづらいのではないかと申し上げたのですけれども、いずれにしても、逆進性そのものの定義が、何に対する逆進性を言っているのかということもありますし、所得というのはもともと非常に抽象度が高いわけです。課税の面で考えられている包括的所得というのは、本来はいわゆる含み益といいますか、未実現のものも全部含んで、それを所得というふうに称しているわけです。おそらく生涯所得というふうな発言をされていた考えは、そういうものも含めた理想的な所得を考えたら、逆進的とは言えないのではないか。

いずれにしても、逆進性の定義もした上でないと議論ができないし、所得も定義した上でないと議論ができないわけですけれども、ここで言いたいことは、担税力というその点に着目して見た場合に、消費は担税力の指標として、現在ではかなり有力な指標になっていると、それが言いたいことなのかなと思うのです。ですから、書きぶりはまた工夫する余地はあると思いますけれども、言いたいことはそういうことだと。

したがって、単年度の所得が高くても担税力がない人もいるし、低くても担税力がある人もいるでしょうと、それがここのエッセンスだと思うので、書きぶりについては、まだ工夫の余地があると思いますけれども、そういう趣旨だと私は理解しているのですが。

委員

小さいことですが、28ページの上から4行目、証券税制の関係で、ここだけが「平成20年度改正では」と出てくるのですが、あとは一切20年度と出てこない。これだけが急に20年度とボンと出てくる。全体のトーンからすると、若干不自然な感じがする。あとは全部中長期で、これだけがたった一つ出てくるというのは。

委員

2点だけですが、細かいところから、まず22ページの改行を加えてくださいという事務局から説明があった「格差の広がり(「ジニ係数」の上昇)」ということなのですが、格差の尺度はいろいろあると思うので、「ジニ係数の上昇などで示される格差の広がり」というほうが本当なのではないかということです。

委員

「など」を入れればいいですか。

委員

ええ、括弧書きの場合では「など」でもいいかと思います。

それから、今、時間軸の話があったのでございますが、5ページに、これは委員各位がどういうふうにお考えになるかということなのですが、中期答申というような話のお言葉もあって、2011年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化するということが中期的な目標ということなのですけれども、これはもう眼前に迫っているのではないか。そうすると、税調として、消費税等のことについても、これはどうするのだといった時の工程表なり、先ほど来、委員からもありましたように、私たち納税者が納得するといった時の前提条件として、やはり社会保障制度が信頼に足るものであるということを示すことが大前提なのだということを示しておかないと、やはり私たち納税者は納得できないのではないか。

それは、委員がそれはそれということなのですが、そもそも論でいくと、この論調で全部いくと、高福祉高負担の国を目指すような書きぶりにも見えてしまう。国のあり方として、社会保障制度の国民負担率ということで考えた時に、どうするんだと。ここは確かにこの政府税調の役割ではないにしても、そこもやはり重要になってくるのではないか。格差の問題といった時に、これはもとの総論に戻るのですが、真摯にいろいろなことをこれから対応する、国民の懸念に真摯に対応するといった時に、この願意は、やはり委員がおっしゃられていることも含まれているのではないか。

そういう点でいうと、納税者の納得ということで、昨年来、新たな政府税調がスタートした時も、やはり納税者の納得ということが重要だと。ところが、その時に財務大臣のお言葉だと思うのですが、それは党税調がやるのだと、政府税調は納税者が納得ということについてはとやかく言うな、原理原則論だけ言え、というようなご主張のように私は受け取れたので、そこはやはりちゃんとやっておいていただいたほうがいいのではないかというのが個人的意見です。

委員

消費税と社会保障のところ、とっても重要な問題であると思うのですけれども、今ざっと見た限りでは、4ヵ所は少なくとも出てくるのです。まず総論の5ページの下から5行目のところ、社会保障制度の持続可能性云々で、「消費税が重要な役割」と、ここで一回出てきて、それから21ページのちょうど真ん中のところで、「消費税は、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしい」と言い切っていて、そのちょっと下の「使途」のところでは、「選択肢の一つとして幅広く検討」という引上げの話。それから、22ページに来ても、また真ん中のところで、「消費税の役割について、より積極的な意義付け」云々と、こう出てくるわけです。

これは書く記者が迷ってしまいますよね。どこで見出しをとるか、どこを引用するか。「税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしい」と言い切っているところが一番明快なので、私だったらここで書いちゃおうかなと思うのですけど、何か行ったり来たりしている感じがして、こういうところはキーになるセンテンスですから、パシッと一回腰を決めて書いてあげないと、すごく迷うということが一つ。

それから、「社会保障財源化」という言葉が1ヵ所だけ出てきまして、それから、その上のほうには「福祉目的化」という議論も出てくる。これは見出しのところですから、「福祉目的化」というのは今までの話で、税調の答申では「社会保障財源化」という言葉を編み出したのだよと、こういうふうにするのかどうか。これも同じようなことを言っていて、私もどこがどういうふうに違うのかよくわからないぐらいですけど、はっきりと、ここは見出しの言葉なので、「社会保障財源化」というふうにもう言い切るのか、あるいは「目的税化」とかいろいろな言い方もこれまでもあったわけですけれども、ここははっきり決めたほうがいいのではないかと思います。

それから、3点目、引上げについては1ヵ所だけ、21ページのところで、「消費税率を引き上げていくことによって」云々と出てくるわけですけれども、この引上げという話と、それから、今まで縷々言った、総論から来た財源の中核を担うにふさわしいという議論がやや混在しているので、引上げという議論と社会保障財源の中核に位置づけるという議論を、すっきりわかりやすくどこかで整理して書く必要があるのではないかなと思いました。

委員

23ページのインボイスのところです。7行目のところで、「他方で免税事業者が取引の中間段階から排除されかねないとの懸念もある」、これはそのとおりなのですけれども、例えば帳簿方式の場合には、一方で免税事業者が有利になっているという問題があるわけです。それから、この排除されかねないので、だから免税事業者を選択しないのがインボイスのメリットだという考え方もあります。ですから、確かに懸念なのですが、これだけを取り上げて懸念だという形で書くのは、ちょっとバランスが悪いのではないかという気がいたします。ですから、もしこれを書くのであれば、「その他の主な意見」のところに書かれたほうがいいのではないかというような気がしております。

委員

何かご説明ですか。どうぞ。

事務局

先ほど、金融所得課税のところだけで20年度というのが明示されているというご指摘がございましたので、その関係でちょっと事務局から補足をさせていただきたいと思います。

今の時点で骨太なメッセージを出していただくという中で、20年度でどこまでやるかというのは、この答申の中に今区分して書いていただくのが難しいという状況、これは私ども悩ましいところでございます。その中で、この金融所得課税については、昨年来の経緯もありまして、昨年、かなり明確なメッセージを出していただきました。20年度にはぜひやるべきであるというようなことで、ここに書いていただいていると承知をしております。それから、それ以外のところで、例えば公益法人課税のところでは、来年の年末には新しい制度が立ち上がりますといったことも、それぞれ各論の中で書いていただいておりますし、あるいは道路特定財源のところでは、閣議決定を引いておりますけれども、20年度においてというようなことが閣議決定の文章の中にございますので、そういうのを引かせていただいているということで、可能な限り、時間的の感じを出すということで、ここではこういうふうな書き方をさせて頂いていると承知しております。

委員

23ページの道路特定財源のところ、6行ですが、これは暫定税率はそのままで変えないと。「この『具体策』に基づき、道路整備の必要性」以下、これは意味を解読するのが私の認識レベルでは難しいのですが、道路特定財源を維持するつもりなのか、一般財源化するのか、どっちが書いてあるのですか。

委員

これだけ読むとなかなかわかりにくいということはある、今の文章に対してはいろいろご議論があるだろうとは私も思っておりました。ただ、これについては、率直に言えば、この調査会で議論がまだまとまっていない段階なのです。だけど何か書いておかなければという意識があったと思いますが、事実はそういうところがかなり多いと思います。調査会としてもなかなか意見が出しにくいところ、中の議論として、議論はしても、なかなかそこら辺は難しいかなというところもあるということで、とりあえず穴埋めしてあるというふうに考えています。

どうぞ。

委員

31ページの納税環境の整備で、こだわるようなのですが、基礎年金番号というのはもう破綻してしまったんじゃないでしょうか。5,000万件も行方不明ができちゃって、照合ができるかできないかということが大問題になっているのに、基礎年金番号が基礎になりますよというメッセージを税調が今の段階で出すのでしょうか。これは非常に、税調の認識は何だということを問われかねないのではないかと思います。その点だけです。何も住民基本台帳をベースにしろとか何とかまでは言いませんけれども。

委員

28ページの金融所得課税、全体としてはこのとおりでいいと思うのですが、配当課税の上から10行目ぐらいのところで、「現行制度は妥当であると考えられる」と書いてあるのですけれども、今、例えばIMFの方のお話を伺っても、いろいろ国際的にも動きがあり、また、その競争力の観点で考えれば、例えば法人税段階で支払利子の問題などをどう考えていくかとか、いろいろ議論が今後もあるような感じがしておりまして、ここの書きぶりは少し工夫しておいたほうがいいのではないかなと感じました。

委員

もう時間はオーバーしているわけですけれども、せっかくの機会でありますし、大事な機会でありますので、残り時間は限られておりますけれども、全体を通じてこれだけは言っておきたいという方のご発言がありましたら、どうぞお願いいたします。

委員

道路特定財源の読み方ですけど、これは暫定税率維持だけど、その維持するに当たっては、中身はどうするかは聞いてみよう、と明確に読めるのではないですか。

委員

誰に聞くんですか。

委員

暫定税率を維持するにせよ、ただ、何に使うかという具体策については、閣議で出てきた具体策というのが出てくるというわけですから、その具体策を税調も見てみようと、そういうことだと思いますけれども。

委員

道路特定財源にするか、一般財源にするかは、その話を聞いてみた上での話だということですか。

委員

一般財源化というか、暫定税率は維持するという前提で、ただ、何に使うかという具体策は見てみる。税調が全部一般財源にしろとかいうところまで今回踏み込んでいませんよということで、歯切れは悪いけど、まあいろいろなことを考えましょうということだと思うのです。

委員

そういう議論だったら、暫定税率維持についてもいろいろな議論が出てくるわけで、構造改革してくれと思っている人はいっぱいおるわけ。どういう使途になるかわからんけど、ふにゃふにゃ言うしかしようがないなんて、そんな議論ならなかなか通らんじゃないの?

委員

しっかりしているところもあるんですが。

委員

私はその辺が非常にこの問題の重要なところだと思いますし、それならそうで、政治の世界でも政府税調の議論の限度を超えていますと。

委員

ここは一応、閣議決定されていますと書いてあるのです。それは前提としていますと、税調の答申としては。

委員

閣議決定というのは、どういう中身ですか。

委員

閣議決定というのは、暫定税率を維持すると。

委員

そうなんだけど、それを一般財源化するか、道路特定財源でやるのかについては、何か与党間の調整でもいろいろあって。

委員

では、事務局、どうぞお願いします。

事務局

前回、消費課税の時に、資料をもってご説明をさせていただきました。18年12月8日に閣議決定というのをご紹介させていただきます。 道路特定財源の見直しに対する具体策ということでございまして、あの時は1から4まで読ませていただきました。ちょっと今日は時間もございますので簡単にご説明しますと、1は、真に必要な道路整備は計画的に進める。そのために今年中に、今月ですか、中期的な計画を作成するという話が1ポツ。

2ポツがここに書いてございますような話でございまして、20年度以降も厳しい財政事情のもと、環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率以上にする。

3番目が、一般財源化を前提とした国の道路特定財源の見直しについては、所要の法改正を行って、毎年度の予算で道路整備がすでに義務づけているスキームを改める。

最後に、国民の要望の強い高速道路料金の引下げなど、国民の理解を得ることをする、といったようなことが閣議決定でされておりまして、ここの文章については、そういうことを踏まえて書かれているのではないかと考えます。

委員

要はどういうこと?

委員

まあ、書き方はまたいろいろ考えますが、結局、今のところ、この調査会の議論としても、その閣議決定をとりあえず受けて、それが具体的に今後どういうふうに発展するかによって、また次のことは考える。今のところは、これぐらいしかまとめられないということだと思います。

委員

余計なことかもしれませんが、平成17年6月の答申を経験した者としましては、当然、あるべき税制を議論しているのですけれども、その時の状況と大変似ているのではないかと思います。つまり、いつ具体化するかはわからないいろいろなことについて議論して、今度発表するわけでございますけれども、その時に、くれぐれも国民の目線に合わせた形で、国民感情を逆なでしていないかどうか、ぜひそういった目でもう一度ご覧いただきたいと、特に会長にお願いしたいというふうに申し上げます。

委員

ご指摘のありました時間軸については、私も非常に、いわば難儀しているわけですけれども、従来というか、普通の状況であれば、何月にこういうことがあってという全部スケジュールがあるわけです。その中へ受けて答申が出せるわけです。しかし、現在の状況というのは、非常に動揺しているわけですね。その動揺している中で、だからといって出さないということではなくて、動揺はあるけれども、一通りその中でもこういうことは問題であろうということは、一応取り上げているという形にしたいということが一応の私の出発点でありました。

それは短期か中期か長期かというふうに分けることもなかなか難しいわけですけれども、中期だと思っていたものが短期になったり、長期になったりするというのが、スケジュールがはっきりしないということなのです。いろいろな客観的な状況が動くということですので。ただ、いろいろスケジュールが変わっても、税調がこういうことを言っていたということができれば役に立つ、あとで見て役に立つ、状況が少し変わっても役に立つ、という形で何とか叙述をしていけないかと、こういうことが一つあります。

それから、確かに問題があるのに、議論が税調として完全には難しいというところもあったと思いますけれども、今までのお話を聞いておりますと、これはこの答申に加えられなかった意見というのも別途用意するつもりですから、ある意味で、はっきりした形での主張を中心にもう少し盛り込みたいということは、検討するに値するというふうに考えております。

それで、時間がもうなくなってしまっておりますので、ご発言がなければ次のことに。はい、どうぞ。

委員

32ページですけれども、「学校教育の中で行われる租税教育について、教育現場の理解を得ながら」とあります。これは理解を得ながらでなければできないですか。むしろそれは取っちゃって、「一層充実する必要がある」というふうに強く打ち出していただいていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

委員

結構だと思います。ただ、実際は理解を得ないと進まないだろうと思いますが、こちらの態度はそういうことで結構だと思います。

それでは、本日、長い時間をおかけして申しわけありませんでしたけれども、本日いただいたご意見を踏まえまして、また委員や主査の方々にご協力いただいて、私のほうで答申案を修正させていただきたいと思います。

次回の企画会合では、できればその修正後の答申(案)について、修正部分を最終確認していただいて、実質的に答申を固めたいと考えております。その上で11月20日の会合で正式に決定したいなということで段取りを考えております。

具体的な会合の日程でございますけれども、次回は11月16日、午後1時半から予定しております。時間については、3時間の時間確保をお願いしておりましたけれども、できれば2時間程度で上げられればありがたいなと考えております。

次々回は今のところ11月20日、火曜日、午後2時から3時までを予定しておりますが、最終的な正式な日程は事務局よりご案内させていただきます。

最後に、冒頭で申し上げましたけれども、本日の資料はこの場に残して帰っていただきたいと思います。これは税調の中で議論したということを確かめておくことで、家へ帰ってそのためにいろいろなところから影響が加わるということがないためにしていることでありますので、ぜひご協力をしていただきたいと思っております。

それでは、どうも長い時間、大変有益な議論をしていただきまして、ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本文中の○付数字の標記は、<○>にて標記致しました(内閣府のアクセシビリティによる)。

本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。