企画会合(第22回)議事録

日時:平成19年11月9日(金)13時30分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

香西会長

ただいまから「税制調査会第22回企画会合」を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、本日の議事について説明いたします。

本日は前回11月5日に開かれました会合に引き続きまして、これまでの議論を整理したものを基礎として、更に議論を深め答申のとりまとめの方向に向けた審議をしていきたいと考えております。

前回は総論を中心にしまして、そのほか個人所得課税、法人課税と議論をしたわけでありまして、本日は前回の続きで国際課税、公益法人課税、消費課税、資産課税、納税環境整備について御議論をいただきたいと思います。

また、前回欠席された方もいらっしゃいますので、その議論が一巡した後で、最後に前回の議論と今日の議論を含め、全体を通しての御意見をお受けする時間を設けたいと考えております。

私の考えといたしましては、前回と本日の会合で答申とりまとめに向け、皆様のひととおりの御意見を伺いたいと考えておりますので、できるだけ多くの方に御発言いただけますよう、よろしくお願いしたいと思います。

次に審議に入る前に1点御報告をいたします。

前回の会合のときにも最後に一言申し上げましたが、昨日、経済財政諮問会議に私が呼ばれまして、そこで税調の審議状況等について報告し、意見の交換を行ってまいりました。お手元に私が提出した資料、これはコメント的に書いたものと、これまでの審議の主な意見というものと2通りございますけれども、それをお配りいたしました。

また、民間議員からの案でもお手元にあると思いますけれども、諮問会議の民間議員の案としての税制に対する意見が集約されたものの提出がありました。

議論といたしましては、私から最初に御報告をし、諮問会議民間議員の意見につきましては、伊藤隆敏議員から御説明がありました。

その後、経済産業大臣と財務大臣からコメントがありました。もし必要であれば御説明いたしますが、全体としてその後若干の意見の交換があったというわけでございます。

総理からは少子高齢化が本格化するので、成長力を強化する体制を整備することが大事である。社会保障の将来のあるべき姿をわかりやすくする上で、必要な安定財源を確保することも非常に重要であるといった御発言がありました。

当税制調査会に対しては、先の2人の大臣もそうでありますが、皆様熱心に審議をしていただいていて、感謝している。答申に向けてよろしくお願いしたい。その際には国民の立場に立った議論を積み重ねてほしいといった旨のお話がありました。

正確には記録しているわけではありませんが、そういう流れであったと私は記憶しております。

もし御質問がなければ、本日の審議に入りたいと思いますが、本日もパートを切って審議をしたいと考えておりまして、審議状況によって長短は適当に調整してまいりたいと思いますが、先ほど挙げた残っている主な意見のまとめ、それぞれの分野について20分程度で議論をやりたいと。一旦休憩をし、再開後全体を通じて、各分野が全部終わった後で、また全体的な御意見を承りたい。これは先ほど申し上げたとおりであります。

それでは、資料の「総5-4」と書いてある15ページをお開きいただいて、国際課税と公益法人課税、これは15ページ~17ページまででありますが、この2項目をまとめて20分くらいの時間で御意見、御質問をお願いしたいと思います。

国際課税関係でありますが、中里委員はまだ見えていらっしゃらないですね。

それでは、もう一つの公益法人課税の問題について、水野委員からコメントをいただきたいと思います。

水野特別委員

それでは、公益法人課税関係につきましては、16ページをごらんいただきたいと思います。

ここで私が前に御報告いたしましたのが、いわゆる公益法人制度改革で昨年公益法人三法というものができまして、公益法人の新しい仕組みが整ったわけですが、それに対応して税制の改正を考えなければいけないということが前提になっております。

これは平成20年度改正ということで是非お願いしなければいけない問題でございますが、こちらに出ております意見を簡単にコメントさせていただきます。

いわゆる公益法人制度改革に通じる考え方ですが、「民間が担う公益」と書いてございますが、これからますます民間の団体による公益的な活動、公益サービスといったものが一層重要になるという前提の下で、公益法人というものを考えて、新しい制度がつくられているということでございます。ここは重要性について、税制の構築も目指すべきであると書いてあります。

(2)のところで、従来の公益法人という名前を多少変えまして、公益社団法人、公益財団法人という呼び方になっております。これの課税の在り方をどうするかということですが、従来は33業種につきまして、収益事業課税を行うという基本的なことがございまして、それに軽減税率である22%を適用するという仕組みでまいりました。

それを前提にした新しい公益社団法人、公益財団法人について、どういう課税を行うかということですが、それについていろいろ意見が出されております。

特に注目いただきたいのは、公益目的事業という言葉が何か所かに出てまいりますが、これは公益法人三法の方の用語ですが、いわゆる公益目的を遂行するための事業ということで、公益目的事業という言葉が法律用語としてつくられまして、そこから生ずる収益の問題がございます。

これとちょうど対照される形で収益事業といっておりますが、正確には収益事業等と呼んでおりますが、公益目的事業に当たらないものが収益事業と呼ばれております。

これと今まで法人税法の上で33業種について収益事業と呼んできて、それにのみ22%の課税を行ってきたわけですが、この辺の整合性をどう保っていくのかということも技術的ではありますが、公益法人の税制改正については留意いただきたいところでございます。

基本的にはこの一番最初のポツにありますが、これは1つの考え方ですが、公益目的事業から生ずる所得については、これは公益三法の上で収入が費用を上回らないということ。公益活動ですので、儲かるというのは前提になっておりませんので、収入が費用を若干上回る程度、下回ってしまいますと、事業がつぶれてしまいますので、相応に生ずることが前提になっているわけですが、それを考えると、非課税とするという考え方が出されております。

香西会長

本日はかなり議題が重なっていますので、簡潔にお願いします。

水野特別委員

失礼いたしました。もう一つは、公益認定を受けない場合の一般社団法人、一般財団法人ですが、こちらの方は本当に新しくできる制度になりますので、課税の在り方、いろいろ御議論いただいております。

あと公益法人、それから公益的な活動になくてはならないのが寄附金の問題でございますが、寄附金は主に支出した側ですが、どういう取扱いをすべきであるかといった論点がございます。

以上でございます。

香西会長

どうもありがとうございました。それでは、16ページ、17ページの範囲で御意見のある方、挙手をお願いしたいと思います。

出口特別委員

まず最初に混乱が生じやすいんですが、「ふるさと納税研究会」が、「ふるさと納税」というのを寄附として整理したように、納税と公益寄附金というのは、考え方によっては非常に近い関係にありまして、言ってみたら兄弟姉妹の関係にある。ところがこれまで公益寄附というのは法律的になかなか曖昧だったんですが、今回ここにありますとおり、公益目的事業財産という非常に法律で明快に定義された財産が出てきた。

これに対して従来の法人税法上にある概念ではございませんので、政府税調として、この法律の趣旨に沿って明快な答申を書くということは非常に有意義ではないかと思っております。

個別のことで言いますと、16ページの(2)の下から3つ目、それから一番下のポツでございますが、収益事業等から生ずる事業の50%は強制的に公益目的事業財産に繰り入れることになっていますので、ある意味では50%を収益事業等からひきはがすと。言ってみると、そういう状況でございますので、この点について新しい考え方を打ち出すべきではないか。

今申し上げたとおり、公益目的事業財産というものが、明らかに私有財産でもなく、明らかに誰かの個人に帰着するものでもなく、公益のためだけに使われる財産でございますので、当然それに応じた固定資産税等の考え方をしっかりと検討していくべきではないかと思っております。

細かなことは多々あるんですが、もう一つだけ、17ページの(5)の「その他」というところがございますが、この譲渡所得非課税という租税特別措置法第40条のみなし譲渡所得のことだろうと思いますが、これは非常に大きな特典のように感じますが、これは戦後の資産インフレを基にした資産の価値変動に伴ってできている制度で、こういったことについては、租税回避その他いろんな活性化を考えて、21世紀にふさわしい、あるいはこの公益法人改革にふさわしいものにしていったらどうかなと思っております。

細かな点では指摘したいことは多々あるんですが、とりあえず公益寄附というのは言ってみたら、第二の納税みたいな感覚ではないかなと思っておりますので、その点御検討いただけたらと思っております。

香西会長

ありがとうございました。いろいろと細かい御意見等は、場合によってはメールか何かで御連絡いただくようにお願いしまして、ほかに御意見のある方、お願いします。

原特別委員

まず公益目的事業から生ずる所得と、その他の事業から生ずる所得について分けて、なおかつ公益目的事業から生ずる所得については収入が費用を上回らないとか、こういう実際運営をしていくと、後から辻褄をわざわざ合わせなければいけなくなることをつくっておいておきますと、運営上非常にめんどうくさい公益法人にならざるを得ないわけでありますから、もっとシンプルに公益目的というものに認定する第三者機関の認定を得た公益社団法人、公益財団法人は、あらゆる収入において、別に収入が費用を上回らないとかいうのは関係なく、課税をしない。

その代わり、今、財団法人、社団法人というのは理事会、評議会というのがありますが、理事会は評議員を選び、評議会は理事を選びという、この辺のガバナンスが非常にいいかげんなところが圧倒的に多いです。

ですから、経営陣であります理事や評議員を選ぶ統治の仕組みを根本的に変えるということ。

また、理事長以下理事は、給料を取らない。または非常に少ない金額に抑えるといったことを規定するようなことによって、公益を目的とする社団、財団法人がその目的を実行するための財源を自ら稼げるといったことに関しては、もっと自由度を提供するような形にするべきだと思います。

また、内部留保についても、課税をしないわけですから、収入が費用を上回らないとかいろんな細かいことを気にしながら運営しなくても、例えば10年後に何百億円要るからそれまではずっとためていこうとか、自由な経営ができるようなタイプのものに、税の面から後押しするような仕組みをつくってやると、私は制度法律等々が変化していくと思います。

香西会長

どうもありがとうございました。ほかに今の問題、それ以外でも結構ですが、御発言ないでしょうか。よろしいですか。

井戸特別委員

公益社団とか公益財団につきましては、第三者機関が認定して、それで公益性を担保するわけですので、原委員おっしゃったように、公益法人としての活動から生ずる収入があっても、それは課税のベースから外すとする方がわかりやすいし、シンプルなんじゃないかと私も考えます。

それから、一般社団や一般財団が、他の学校法人や社会福祉法人等とのバランスをきちっと考えておく必要があるのではないかと思いますので、もし列挙主義をそのまま他で採られるならば、収益事業課税方式を採らざるを得ないのではないか。

本当は私は実を言うと、この社会福祉法人とか学校法人などについても、公益目的事業財産とその他財産に分けて、その他財産については通常の課税、公益目的、つまり社会福祉法人目的とか、学校法人目的というようなものについては課税ベースから外すという公益法人に準ずる取扱いの方が望ましいと思いますけれども、そこまでの議論になっていませんので、列挙主義のバランスを取らざるを得ないのではないかと思って、御意見を申し上げました。

香西会長

どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

神野会長代理

国際課税の方で何かございましたら、このまとめでいいかどうか。

香西会長

15ページですね。中里委員はいらっしゃいませんが、何か御意見があればこの機会におっしゃってください。専門家でなくても、問題を感じているいらっしゃる方がありましたら、どうぞ遠慮なく手を挙げてください。

原特別委員

これは今週の月曜日にも少しお話しさせていただいたように、国際間における今一番問題になっているのは、投機的ファンド、石油価格にしても、途上国の実需から来る石油価格は50数ドル台に対して、ヘッジファンド等が介入するがために、100ドル近くまで値段が上がっています。こういったウォールストリートを中心とするファイナンシャル・エンジニアリングのグループは、各国の課税の仕組みの誤謬性をうまく使いながら、課税されない形でタックスヘイブンを使っているわけでありますから、これを苦々しく思っているのは、日本国民だけではなしに、ヨーロッパの諸国民もいるでしょうし、アメリカでさえ中産階級等はこれを苦々しく思っています。

ところが、アメリカはある理由で自ら法制化できない立場でありますので、ウィンドフォール・プロフィットと言いますが、こういったものに対する課税の仕組み、これを金融投機税と私が前に仮に提唱いたしましたが、こういった新しい税目をつくり、日本の政府も財源がないわけでありますので、消費税その他もろもろのものを上げる前に、この国際金融投機を行っている人たちから大きなキャピタル・ゲインを取り戻すといったような仕組みを提唱することを、特に欧州の中でもこういった流れに非常に協力的だと私が感じますドイツやフランス、イタリアといった財務省、税務当局と連携しながら取っていくというタイプのものを国際課税の新しい提案として加えていただくことを御検討いただければありがたいと思います。

香西会長

ほかに御意見をどうぞ。

田中特別委員

この国際課税関係の中での海外の子会社からの配当でございます。前にも議論しましたように、現在は外国税額控除というのが適用されておりますが、そのうちで法人事業税は適用から除外になっております。すべての配当については、法人事業税が適用されております。大体実効税率ベースで4.3 %くらいになり、かなり大きな負担になっております。海外での内部留保がどんどん今積み上がっておりますが、それを日本に還元するためには、少なくとも法人事業税の取扱いというのを是非前向きに御検討いただけたらと思います。

以上です。

香西会長

事務局の方で、現在政府の立場から言って、今まで出たような質問に対して何かコメントがありましたら、教えてください。いかがでしょうか。発言ありましたら、どうぞ。

よろしいですか。それであれば、そういう御意見があったということにして、また、別の機会に改めて少し検討するということにしたいと思います。

中里委員がおられる場でも議論しておくということにしたいと思います。

それでは、この2つが終わりましたので、次は資産課税で18ページから21ページということで、これも20分という制約の下でできるだけ議論を終わりたいと思います。多少、私の進行係としてのエゴでありますが、そう考えておりますので、その時間をなるべく守る範囲で御意見、御質問も簡略に要領よくお願いしたいということであります。

資産課税については田近委員がいろいろ御努力していただいていますが、特に発言がなければ、直接各委員から御質問でも結構ですが、一言おっしゃるのであれば、一言お願いします。簡略に。では、井戸委員どうぞ。

井戸特別委員

今の田中委員のお話、ちょっと理解できないのは、事業税の外国からの配当については、事業税の課税対象になっていないんじゃないかと思っていたんですが。

田中特別委員

今はなっていると思いましたが、違いますか。

井戸特別委員

二重課税を事業税から排除するために、国外の配当とか利子は課税対象外にしていたはずなんです。追って事務的に回答させていただければと思うんです。

事業税は国内源泉所得が基本的に課税対象になっていまして、国外の所得は基本的には、国外からの所得だということで事業税の課税対象外になっていたと理解していたものですから、事務当局、後から説明してください。

香西会長

そうですね。事務当局で後から、今日でなくても間に合うかどうかわかりませんが、もしお答えがあればお伺いしたいと思います。

飯塚特別委員

今のに関連して、2001年から2003年、2004年くらいにかけて、海外の法人に利益が圧倒的に留保されているんです。1,000 億くらいだったのが2兆数千億と20数倍になっているんです。これはいろんな理由があるんだろうと思うんですが、日本が余り成長していなくて、海外の方が事業チャンスが多いということはあるんでしょうが、二重課税のことがあると言われていましては、これは経産省もそういうデータを出されていますが、きっちり調査をお願いしたいんです。私は二重課税が法人事業税絡みであると聞いておりますので、是非きちっとした調査をお願いして、日本企業が海外で利益がこんなたまっていくんではなくて、今、日本は貧困化が起こっていると思うんです。海外でのビジネスにシフトしてくるので、ここは重要なポイントなんじゃないかと感じております。

香西会長

ほかに御意見があればお願いしますが、中里委員がお見えになりましたが、これまでの間に現在、投機ファンドが、例えば石油価格等について悪影響を及ぼしており、タックスヘイブンを利用したのとほとんど同じようなことをしている。そういうことも踏まえて、金融投機税というのを検討すべきであるという御提案がありました。もし何か御意見があれば御発言ください。

中里委員の御意見はよろしいですか。

中里特別委員

もうちょっと考えてみます。申し訳ございません。

香西会長

それでは、今日のところはそういうことにして、先に進みましょうか。

それでは、次に移りまして、資産課税のところですが、いかがでしょうか。御質問、御発言等何でも結構です。

増渕委員

金融所得課税の一体化というものが資産課税関係の中に1項目としてあるわけですが、証券税制の問題が、この税調の場以外のところでかなり議論があるやに報道されていますが、昨年来のこの税調の場での議論は、多くの方が優遇というか、軽減税率について期限が来たときに更に延ばすという話ではないんではないか。しかし、同時に金融所得課税の一体化という言葉の中で、実は人によってイメージしているところが若干違うところがあるような気はいたしますが、いずれにしても、今よりも損益通算の範囲が拡大するということは入っていると思います。そういうことがイメージされていると思うんですが、私はこの条件づけをするわけではありませんが、金融所得課税の一体化ということを、何年も言わばお題目的に言っているだけでは、そろそろ具合が悪いのではないか。より具体的な話になるように、どういう表現が工夫できるのかわかりませんが、是非そういうことを証券税制の問題との関連で入れていただきたいなと思います。

香西会長

いかがでしょうか。御意見がありましたら、どうぞ。

井上特別委員

相続税の関連でございますが、考え方として、資産を個人で継承するということは相ならぬ、再分配をすべきであるという考え方が非常に強いようなんですが、小規模企業、個人企業ともにありますが、その資産を持って初めて事業が成り立っているということになろうかと思うんです。

ところが、その資産というものを相続税として取るということになると、根本的なものが崩れてしまう。

それから、均分相続ということも一つの大きな問題がありまして、不動産の均分相続によって非常によく聞くことは、兄弟間の訴訟によって不動産を売却せざるを得ないということで、結局、それから事業をやむなくやめざるを得ない。また縮小せざるを得ないという例が非常に多くあるわけです。

そういうことで相続税の問題は、金融資産と不動産資産の2つをある程度分けて考えるような仕組みができるといいのではないかなと思います。

やはり中小企業の底上げ、要するに活力強化ということにおいては、事業用の資産、これは再度申し上げておりますが、ここには余り具体的に書かれておらないわけですが、中小企業経営者の事業承継においては、その事業資産に係る相続税というものは、ともかく非課税にすべきである。特に株式については、ヨーロッパは80%という話がありますが、私から言わせればこれはゼロにすべきだというふうに思います。

それによって事業を承継させて、その事業を活性化させ、次に大きくしていくということが大事だろうと思うわけですが、この19ページに書いてありますが「親族間の相続(世襲)よる事業承継をことさら支援することは疑問」だという、これは非常におかしい考え方だと思うんです。

子どもは小さいときからその事業を見て、子どもはその仕事を継承して、俺は頑張るぞとなるのが事業承継で、小さな会社は大体それが普通なわけです。それがだんだん減ってきているということも最近は聞かれますが、親族間での事業承継は非常に大事なことで、それをもっともっと助成するべきと、逆に私は思っています。

それが非常に中小企業を継続させる大きな基になるんだと思っておりますし、廃業率を減らせると思います。そのバックアップを是非ともよろしくお願いしたいと思います。

香西会長

ほかに御意見をどうぞお願いします。

飯塚特別委員

廃業率を余り上げないようにということも大事なんですが、それとペアで創業率の話をしたいんですが、前回も申し上げたんですが、元気の出る税を手当しないといけない。つまり成長ということの中に、創業を支援するという税制を是非お願いしたい。エンジェル税制みたいなものもあると思うんですが、これが19ページ辺りと、12ページから13ページの辺りで議論されるように2つにまたがっているんだろうと思うんですが、イノベーションを支える構造というのはどこにあるのかなという議論が非常に大事な時期だと思うんです。

日本は三重苦というのを抱えていて、グローバル化とか少子化とか、国家の巨大な債務とかがあるわけですが、少子化という中に、人間の少子化だけではなくて、企業が非常に少子化の国なんです。新しい事業が興らない。アントレプレナーを育てる仕組みが全然できていない。OECDの国々の中でもおしりの方から数えた方がいいような数字がたくさん並んでいるということで、これはどこに入れたらいいのか。創業時にかなり近い人たちが創業者を支援していくというときの、これは証券税制でもないのかもしれませんが、いずれ証券で利益が得られる場合もありますので、関わると思うんですが、そうした貸付金ではなくて、やはりエクイティーを使うべきだと思うんです。日本は非常にそれが遅れているわけですが、そういう支援の仕方について向上するということで、エンジェル税制と言うと、お金持ちをあたかも支援するがごとき大変間違ったあれがあるんですが、言葉はそれしかなければそれでもやむを得ないんですが、それを充実することをお願いしたいと思います。意見として入れる場所は13ページ付近なのかどうかよくわからないんですが、是非お願いしたいと思います。

香西会長

どうもありがとうございました。いかがでしょうか。どうぞ。

上月特別委員

事業承継税制について、先ほど井上委員からお話がございましたが、19ページの「事業承継税制」の2つ目の黒ポツなんですが、「事業用資産を持たない給与所得者とのバランス等課税の公平」という話があります。しかし、事業用財産というのは、これは確かに財産評価をすると評価額はあるんですが、それを売ってしまうと事業が継続できないんです。特に非上場株式等の事業用資産というのは、これは市場性がありせんし、換金性がありませんということで、事業を継続する限りは事業用資産であったとしても、仕事をしている限りは財産価値として評価できないという側面がございます。

中小企業というのは資本と労働が一体化しておりますし、直接資本を入れるということができませんので、間接融資に頼らざるを得ないということで、借入金の依存体質ということで、その上に大体社長というのは連帯保証人になるという状態が今の実態ですので、そういう中で事業用財産、特に非上場株式等が相続が発生したときにどれだけの担税能力があるのかということを言われると、これはほとんど担税力はないと思います。

ここは並列に2つ書いてありますが、この考え方は少し事業をしている者から考えると違和感があると思います。

香西会長

ほかにいかがでしょう。高木委員どうぞ。

高木特別委員

企業の世襲というか、オーナーの皆さんの御一党さんがまた事業を承継されるという。だから、企業の世襲ということと、事業を継続するということは、そもそも違う話であるはずで、土地への優遇措置が8割減額されているから、株も8割減額せいという御意見があるようですが、一部オーナー企業の優遇措置という感覚を与える制度設計についてはいろんな異論が私はあるんだろうと思います。

勿論、今、中小企業は景気回復の取組みもなかなか進まずきつい状況にあり、労働者の雇用もいろいろ影響を受けているということは私も承知していますが、一部オーナーの人たちの優遇措置というふうに受け止められたら、この制度はおかしいという批判を免れない面があるんじゃないかと思います。

香西会長

ほかにいかがでしょうか。

原特別委員

先ほど増渕委員のおっしゃられた金融所得課税の一体化について、毎年答申の方に出てきてはなかなかうまく実行されないという理論的な背景を今回はもう一つだけ加えれば面白いかもしれないです。

というのは、金融工学の発展によって、金融所得の中の配当金、金利、譲渡所得等々は税率を変えておくと、デリバティブを使って税率の低いものに組み替えられていくという傾向が大変強くなってきていますから、これを「証券税制の軽減税率は、景気が落ち込み」云々ということをやったとしても、もはや世界のファイナンシャル・エンジニアリングの世界の中でこういう理屈は余り通らない。ですから、すべて一体化する方がよけいなファイナンシャル・エンジニアリングをやるグループに、くだらない商品を開発させる時間と無駄を与えることもなくなりますので、一体化するべきだという論理的な論証を今年は1つ加えればいいかと思います。

香西会長

いかがでしょうか。どうぞ。

井上特別委員

先ほど高木委員からおっしゃられたことに対する問題なんですが、やはり中小企業、小規模企業にしてもそうですが、その企業が活力を得て拡大化することによって雇用も確保され、賃金も上げられるということになると思うんです。そのためにも事業承継というのは必要なんだということであって、何か個人の企業は個人で搾取してというような感覚に受け取られておられるような気がして、そういうふうに聞こえますので、ちょっと反論をさせていただきます。

香西会長

高木委員どうぞ。

高木特別委員

御反論を受けましたので、要するに企業の世襲と事業継続は別だということをはっきりさせて、一部オーナーの皆さんの、承継される人たちの特別なレベルでの優遇措置にならないようにしないと、普通に財産を相続する人たちから見たら、何でそうなのという話になりかねないんじゃないかということを心配している。

先ほどのお話を聞いていて、事業資産を売却しなければならないケースがあるというお話、どのくらいあるんですか。

井上特別委員

私の知っているところでも数件あります。そのために会社はつぶれる寸前になっています。もしあれでしたら、御紹介いたしますが、それも一例ですが、非常に多くそういう問題が起こっていると聞いております。数は確認しておりません。

高木特別委員

もう一つ、中小企業の事業承継に関します税制優遇措置、この10年ほどいろんな制度が講じられてきましたが、廃業率の反転というのは実際それによって得られているのかどうか。政策効果としてどうなんですかという議論なども私はあると思うんです。

井上特別委員

それはいろいろな問題があろうかと思います。今の下請取引適正化の問題だとかいろいろとありますが、非常に今、中小企業は厳しい環境にあるということは事実でありまして、それをよくするためにどうするんだと。それが政府としては頑張っていただいておることだと思うんですが、ともかく中小企業が雇用2,800万人抱えているということであるし、付加価値としても58兆円を生んでおるという事実は否めないものだと思っていますので、それをどういうふうにしてもっと活力を与えるか。活性化させるかということにいろいろな面で対策というものも打たれていると考えております。

香西会長

この問題にばかり議論しているのも時間がありませんが。

高木特別委員

今の井上委員の言う論理もわからないでもないというか、中小企業をもっと元気にして、社会的にも大きなポジションを占めているわけですから、それを元気にする政策は私ども大賛成です。それは何もオーナー企業だから応援するという問題ではなくて、中小企業政策全体の中で中小企業を強くするには何をしたらいいのか。中小企業の力量を底上げするにはどうしたらいいのかという議論でやるべきであって、ちょっと違うんじゃないかなという感じもしています。

香西会長

上月委員どうぞ。

上月特別委員

今、親族間という話が非常に多く出ているんですが、必ずも親族間に限らないと私は思います。非上場株式というのは、例えば親族以外の方が事業を承継される方が受け取ったとしても、税制として別の形で考えてあげる。普通の譲渡ではないという形で、事業承継を考えていかないと、現実に今どうなんだとおっしゃっていますが、地方ではそういうことで、相続の時点でうまくいかないと、それでやめてしまって、そこで資産を処分して、兄弟で分けてしまうということでかなり事業数が減っているのは事実なんです。

ですから、それが地方の活性化に資していない非常に大きな問題になっていると、私は自分が地方で見ていて、肌で感じるものがありますので、これをお願いしたいと思います。

香西会長

私、この点については、更に最終の結論になったときには文章を考えて諮ることになると思いますが、こういう結論にしようということでは決してないんですが、やはり事実をはっきり、もっと証明できるようにした方がいいんじゃないかということです。一番大事なのは事業が継続する。もしくは新しい企業が増えるというところが日本の活力としては大事なわけで、世襲でもいいんですが、その世襲が公益的に考えても、公の利益から考えても非常いいんだということの証明も必要です。

例えばある期間までは税金はまけてもらっている。では、その後にはどうなっているのかとかいう調査とか事実とか、そういうことを組織的に集めて運動されたら、ガバナンスの在り方とか、例えばその地域、地域でそれが非常に喜ばれていることとか、そういったようなことについてもう少し説明力を増やすような形にして議論をしないと、かなり感情的な議論になってしまうということをむしろ懸念しておりますので、この点は将来的には事実をもう少し丹念に比べていくような仕組みを税調としてもこういう問題については、もう少し事実に即して間違った判断をしないようにするということが大事だと思います。

さっきの公益法人にしても、全く税金を払わないというのであれば、誰が監査するのか。監査の仕組みはあるわけですけれども、会計検査院が監査するのかどうかとか、何かの仕方で公益性をはっきりと証明していく仕組みが必要でありますから、それと同じような感じがあると思います。

事業の承継は私も必要だと思うし、承継しなくてもだれかが引き継げばそれで承継だということなんです。例えば別の産業に移ったって、そこで事業が続けばいいわけです。国民の立場から言えばそういうことだと思います。

勿論、家族制度に対する評価があって、これは1つの社会の安定的な制度だからそれを守るのだという見地もあっていいんですが、それがどういうふうに機能しているかということは、御提案される方も、それを受ける方ももう少し客観的な議論ができるようになることも大事で、今からでは間に合わないかもしれませんが、そういう体制を税調としてはだんだんつくっていくということが必要ではないかと、私は感想としてそう思っております。

井戸特別委員

会長一言だけよろしいですか。

香西会長

どうぞ。

井戸特別委員

21ページの法人税の減価償却制度と固定資産税の評価が二本立てになっているので、一本化すべきだという意見が書いてあるんですが、法人税の償却資産は、費用化をどうしていくかという観点で100%償却まで去年の税調で答申をまとめていただいて、実施することになったわけですが、固定資産税の評価の方は、資産価値をどのように評価していくかというのが基準ですので、100%償却という考え方は固定資産税の評価に採りようがないんです。残存価値が必ず残っているから、償却資産がまだ廃棄されないで動いているわけですので、

そういう意味での評価の違いというのを反映した評価があってしかるべきではないかと私は思っています。

併せて二重手間だとおっしゃるんですが、固定資産税の評価は非常に単純な評価ですので、ソフトなども随分できていますので、それほど事務負担で御迷惑をかけてはいないのではないかと、課税する立場だからお前はそう言っているんだろうと言われるかもしれませんが、そういう面もあるんだということも御認識いただきましたら幸いです。

基本的には費用化の話と資産評価という問題とはどうしても違う面が出ざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。

香西会長

それでは、今の議論で21ページまでカバーしたということにしてよろしいでしょうか。  資産課税はこれでよろしいですか。特に御意見はありませんか。  それでは、納税環境整備、22ページ~24ページまでを議論したいと思います。どなたからでも結構です。

井戸特別委員

納税者番号制度なんですが、納税者番号制度は積極的に検討すべきだと思うんですが、23ページの上の表現を見てみると、「その際、『基礎年金番号』や『住民票コード』だけでなく、『社会保障番号』も視野に入れながら、検討していく必要」と書いてあるんですが、こういう発想が間違っている。つまり、年金番号制度はでたらめだったし、社会保障番号でメリットとして挙げられていることは、実を言うと住民基本台帳番号制度でメリットとして挙げていることと全く同じなんです。

しかも住民基本台帳制度がベースにあれば、二重付番とかは絶対にあり得ないんです。

ですから、納税者番号制度は同じ番号を使うかどうかはともかくして、必ず住民基本台帳番号制度をベースにした番号制度にしていかないと、番号が二重付番されたり、欠缺したりということがあり得るということをきちっとここで認識しておいていただく必要があるのではないかという意味で意見を申し上げます。

ただ、今の個人情報保護の関係が「ワッ」となっていたときにこの議論がされたものですから、がんじがらめに法律がなっていまして、なかなか利用がしにくい形になっていますが、法律などは実情に応じてどんどん変えればいいわけですから、そういうベースが既にあるということをきちっと認識して納税者番号制度を構築していくようにすべきだと思いますし、そのことが社会全体としてのコスト低減につながる。こんな番号をじゃかじゃか積み重ねていくことによって、二重、三重のコストを積み重ねていっていることになりますので、住民基本台帳番号制度をベースに置いて、その上でどんな活用を図るかというのを考えるべきだという提案をさせていただきます。

香西会長

ほかに御意見のある方どうぞ。

吉川委員

今の御意見について、私の理解は社会保障番号、いわゆるソーシャル・セキュリティー・ナンバーというのは大切でつくろうではないか。その際にそれを根こそぎ全く新しくつくろうというのでは必ずしもなくて、今の御意見のように住基ネットの番号が現在ある番号制度の中では一番いいんではないかというのは、恐らくそのとおりだと思うんですが、それであればそれをただ転用して、逆に言えば住基ネットの番号をソーシャル・セキュリティーの番号、納番、名前が用途によって違いますけれども、制度そのものは別に全く新しくつくろうということを考えているわけではないと思います。

香西会長

ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

一部の市町村で住基番号についてはかなり制約を置いているところが問題であったということを聞いたことがあるんですが、もう大体全部片づいているんでしょうか。

井戸特別委員

まだ残っているところがございます。大阪のある市などは、今ごろになって抜けるということをやろうとしているんですが、それは実現はしていません。今の時代の中で、相当理解が進みつつあるし、余りにも制約し過ぎているのが問題なのではないか、私はそういうふうに認識しております。

香西会長

これには罰則、租税教育等もございますけれども、23ページ「罰則」について、これは長い間据え置かれてきたわけですが、56年に脱税違反の懲役刑は現在の5年に引き上げられましたけれども、そのままになっているということについてどう考えるかということ。

それから、租税教育と広報の在り方ということについても、ここでは触れられておりますので、もし御意見があればお願いしたいと思います。

出口特別委員

次のところで、しかも細かいところなんですが、広報に移ってもよろしいでしょうか。

香西会長

どうぞ。

出口特別委員

租税の広報自体も重要ですし、税調の広報もすごく重要で、重箱の隅をつつくようで申し訳ないんですが、広報のところに書いてありますので、23ページの一番下のポツに、具体的な法人名が出てくるんです。

香西会長

法人会ですか。

出口特別委員

ええ。法人会ということで、これは民間等によるという形で、非常に細かいことを言うようですが、まさに広報のところでこういうのが出てきますので、ちょっとあれなんです。

何でもかんでも国家がいろんなことをやっていく時代は過ぎたということは十分に認識していった方がいいのかなと思っています。

香西会長

ほかに御意見のある方はどうぞ。

それでは、24ページまで一応パスしていったと考えてよろしいでしょうか。

猪瀬委員

済みません。5ページのところにちょっとだけ戻っていただいて、地方分権の推進ということですが、地方税財源の在り方としては、地方分権の推進という項目が入っていますので、地方税、地方交付税、国庫補助金という順番に優先すべきであるという一言を入れていただきたいです。

つまり、地方税、地方交付税、国庫補助金という順番で優先するというのが地方税財源の在り方であると。地方法人課税の税収の配分に水平的な調整が必要とありますが、水平的な調整というのは主体は誰なのかがわからないので、ちょっと意味が不明だと思います。

以上です。

香西会長

今の御意見を含めてほかにも御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

よろしいですか。最後に残っているのは消費課税でありますけれども、そちらに移ってよろしいでしょうか。1ページから5ページがその問題の、これまでの発言の要約でございます。

資料「総5-5」です。「これまでに出された主な意見等(消費課税関係)」というのが「総5-5」という形で出ております。この1ページから6ページまでです。

1つは安定的な財源確保と消費税の特徴ということで、そこに幾つかの議論が出ています。消費税が安定的な財源確保にふさわしいかどうかということだと思います。

2つ目の「<2>使途」としては、消費税の使途をどういうふうに限るか、規定していくかと、どういうふうなところに使うべきかという議論でございます。

それから「<3>消費税と再配分」というわけでありまして、例の逆進性の問題をどう理解するかということについて、これまでもいろいろな御意見があったというわけであります。

例えば、軽減税率、物によって食料品の税率を低くするとか、そういったようなことを含めて、逆進性の緩和もしくは減殺につながるような措置として何を考えるべきかということも含めて、そういった消費税の問題を議論していただきたいというのが、2ページから始まるんですけれども<3>のことです。

「<4>制度の信頼性・透明性を高めるための取組み」でありまして、これはいろいろこれまでも努力されてきたわけでありますけれども、インボイス方式の導入ということが、検討課題であるということで、この場合、仕入税額控除がより複雑化するとかしないとか事業者負担の軽減の観点がどうかとか、いろいろ制度を信頼させる、従来のように、免税点や簡易課税制度といったようなことは大分整理されてきたわけですけれども、これから更に消費税が例えば、インボイス方式を採っていくというような形になると繁雑になるという議論もないことはないと思いますので、そういったことが問題になると思います。

それから地方消費税について、これを高めることが地方税減税にかなう方向だという御議論とか、これは地方の税目としてふさわしいという御議論もありますし、何と言いますか、ここは福祉サービスを実際に行うのは地方団体であるという御議論が並んでおります。

それから、道路特定財源、これは間接税というものがあるわけですけれども、これについても、最後に出ておりますので、そこのところを一括して議論していただきたいというふうに思います。

とりあえず「(1)消費税」のうちの<1>のところ、1ページ目ですけれども、御議論がありましたら、発言のある方は手を挙げていただきたいと思います。

高木委員、どうぞ。

高木特別委員

これはまたエモーショナルと言われるかもしれませんが、私の印象なんですけれども、何か消費税の税率アップを議論することを国民の多くはもう容認したんだみたいな前提の議論になっているのではないか。私はそこまでの認識はまだできておりません。そういう意味では、国民の理解が進んでいるという前提の議論ではないかという危惧を少し持っておりますことをまず申し上げさせていただきたいと思います。

社会保障と消費税の関係等も、経済財政諮問会議でもそんな議論をなさっておられるという報道がございますけれども、年金なら年金について国民が今どういう不信感を持っているか、これは記録の問題だけではなくて、制度のそもそも論についても、今の制度で本当に将来的にもサステーナブルな制度であるという意味での納得をみんながしているかしていないかということも含めて、例えば、福祉目的税型ならいいだろうみたいな御意見もありますけれども、その辺も制度に対する信頼、納得みたいなものがあってはじめてその財源をどうするかという流れで議論がされていくべきではないか。

そういう意味では、ちょっと言葉が過ぎたらお許しをいただきたいんですが、最初に消費税率アップありきの議論みたいな印象がしてならないということを、まず1点申し上げたいと思います。

2ページにも触れてよければ触れさせていただきますが、2ページの<3>の「消費税と再配分」の2つ目のポツ「『生涯所得』で再配分所得を考えることは重要であり、消費に対して比例的に負担を求める消費税は、『生涯所得』に対しては必ずしも逆進的とは言えない」。これは、多分、大竹先生のレポート等を踏まえてお書きになられている部分だろうと思いますが、私ども、前回のこの税調会合以降、もう一度大竹先生のおっしゃった議事録等も読ませていただきましたが、大竹先生も、御自身の御発言の中で、これはいわゆる消費階級別で見てそっちを優先させたんだと、それで間違いないんだと思うけれども、一方で、所得階級別に見たらそうではないというような面もあるという御発言もされておられ、香西会長もにわかにこういうことで本当に論理的に精査できたものかどうかということについて、御疑問を呈されるような発言もされておるような記録がございますが、そういう意味では、この論理で、逆進的とは言えないという一種の広報がなされていくとしたら、本当にそうなのかというところを含めて、ちょっと危ういなという気がしてなりませんので、こういう議論のとらえ方はどうか。

それから、この間、吉川委員の御説明もございましたが、高齢化だから、消費税に依存して安定していると、安定しているというのはどういう意味かと言ってブレイクダウンしていくと、取りっぱぐれがないということだろうと思うんですが、そういう中で、消費税に依存度を高め、一方で所得税等のフラット化と並存させる、そういう観点から言えば、所得再配分機能というのは、一層その機能が劣化するという方向を我々は指向しようとしているのかと、そんな議論もあるのではないかと思っております。

香西会長

どうもありがとうございます。

吉川委員どうぞ。

吉川委員

それでは、今、高木委員がお話しになったことについて、私もこの消費税のところの主査を仰せつかりましたので、もう一度発言させていただきたいんです。

高木委員の御発言の前提には、やはり日本の社会の中でしかるべくパブリックセクターによって再分配が行われなければいけない、それは勿論大前提だと思うんです。そうした思いは、私個人的には共有しております。その上で、今回のこの税調の議論の大前提は、税のところだけで再分配の問題を考えるのには限界があるのではないか、やはり社会保障と併せて再分配機能というのを社会全体で確保しなければいけない、これがまず大前提であるわけです、税の世界の中だけです。

ですから、私たちは社会保障をサステーナブル、持続可能にするためには、やはり消費税というのが中核的な役割を果たさなければならないのではないかというのが考えなんですが、先ほど高木委員から消費税というのはとどのつまり、わかりやすく言えば、取りはぐれがないようにということではないかという御発言があったかと思うんですが、それはひっくり返せば、社会保障で、どう言うんでしょうか、払いっぱぐれがないようにするためには、それをきちっと持続可能にするためにはどこかで取りっぱぐれがないようにしておかなければ収支勘定が合わなくなっていつかもたなくなっちゃうわけです。社会保障で給付をするわけですから、これは年金だけではない、医療保険も介護保険も。ですから、それをセットで考えて私たちがこれを社会保障プラス税でこの社会全体の再分配機能をどのように評価するか、こういうふうに考える必要があるのではないかというのが私たちの考えなんです。

香西会長

どうぞ。

増渕委員

私も高木委員が言われたような感じといいますか、要するに消費税についての国民的な意識が、言ってみれば簡単に消費税は上がるんだぞというものを受け入れるという感じになっていないのではないかということは、私もそのとおりだと思います。

一方で、ここのまとめを読んでいますと、負担増のみの消費税引き上げには反対というようなことが書いてある一方で、消費税を端的に引き上げるべきであるというような表現はなかなか見当たらないのかなという、そういう意味では非常に中核的な役割を果たすべきであるとか、そういう表現はあるんですが、そういう形に引き続きなっているなという気がいたします。

これまでの議論の中で、大勢といいますか、多くの方が言われたことを私なりに消化しますと、1つ前提として財政の全体の姿と展望というのがあったと思います。そのことは、消費税だけにかかわることではないので、消費税のところで書かれていないのはある意味当然かもしれませんが、しかし、それがベースになって、将来的に社会保障の給付というものを非現実的なほど大幅に削減でもしない限り、あるいは社会保障給付について今程度のトータルな給付を維持するだけのためにも、歳入というか財源面で積極的な対応、言うなれば消費税を今の水準に維持するというのではなくて、引き上げていくということが必要だという考え方が多くのこの場の委員の方の考え方であったように思いますので、そういうメッセージ、そのためにいろいろな工夫なり説明の仕方なりが必要だということも当然あるわけですが、そういう意味でのメッセージということで言うと、この場の議論での空気といいますか、この議論での集約という意味では、もう一つ踏み込んだ表現があってもいいのではないかという印象を私自身は受けました。

香西会長

ほかに、どうぞお願いします。

岡田特別委員

今までの議論のレベルを下げてしまうかもしれませんが、実は、私は消費生活センターの相談員をやっておりまして、全国550ぐらいの消費生活センターがあります。そこで、消費者から毎日いろいろな相談を受けているんです。その相談員が内閣府の発表によりますと、3,700人ぐらいいるということなんですが、私たちはいろいろ法律が変わったり、いろいろな制度ができてくるとそのたびにいろいろな研修を受けているんです。ただ、税制に関しての研修というのは本当に受けていないんです。

ですけれども、消費税の上がったときとか、消費税のことに関しては、つけ焼き刃的な研修を受けて、そして、金融庁のQ&Aみたいなのが出てきて、そして、当然その時期は消費者から、消費者から税金に関して相談というのはセンターに入ってこないんですけれども、消費税に関しては入ってくるんですね。普段勉強していないものですから、私たちも自信がないので、やはり関係のところへ振っちゃうという状況なもので、いつまで経っても相談員が税金に関して詳しくならないんですが、そういう相談員の意見という形で今日お伝えしたいと思うのは、消費者の中では、まあまあいろいろな知識を持っているし、常識も持っているし、制度に関しても理解があると思うんです。ただ、そういう相談員ですら、やはり消費税は何で上げなきゃいけないのとか、それから、軽減税率がどうして通らないのとか、実際に、前に3%から5%に上げたときに、福祉に使うと言ったのにあれはどうなったのとか、そういう質問をしてくるんです。

ということは、一般の国民というのはもっとわからないということなんですけれども、その意味で、先ほどもありましたけれども、ここで議論して、私もここへ参加させていただいて、本当に消費税に関してもほかの税金に関しても勉強させていただきました。ですから、ここで議論されていることが、国民に伝われば、国民の理解というのは全然違ってくるんですね。ですから、新聞を見ていますと、一方で消費税を上げなきゃいけない、一方で上げなくていいという議論が出てくると、そうすると、国民は一体全体どう考えればいいのかというのが現状だろうと思います。

ですから、福祉の関係に関しては、絶対にどこからか持ってこなきゃいけないというのはみんなわかっているんですね。ですけれども、何でそこに消費税が出てくるかというのがまず知らせなければいけないのではないかというふうに思います。

1つ提案なんですが、先ほど啓発、教育というのが出てきましたけれども、もし可能であれば全国3,700 人いる相談員に対して、税金の啓発講座をする、そうすることによって、毎日私たちは何十人の消費者と接点を持っているんです。そこで私たちが税金に関して消費税も含めて理解して説明をすれば、随分国民に周知徹底するかなというふうに思いますので、提案なんですが、私たち国民生活センターとか都道府県で、それはもう大変な講座があるんです。その中に税金の講座を、消費税が上がったときだけというのではなくて、コンスタントに入れていく、そうすることによって国民に対しての税金の認知、周知度というのは違ってくるのではないかというふうに思います。

香西会長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

井上特別委員

今、消費税を上げるという環境整備はまだまだできていないのではないかと、非常に景況観が悪いということも非常に大きな問題でして、特に中小企業の景気が悪いという、いつまで経ってもマイナスからプラスに転じられないという現状なわけです。そういう中にあって、やはりこの川下の連中がこの厳しい競争の中で、仕入にかかる消費税分すらも価格に転嫁できていないという、その辺が一番深刻な問題なわけでして、こういうものが転嫁できるような状況になれば、それはある程度環境の整備ができてくるだろうというふうに思うんですが、その点が一番大きな問題ではないかというふうに思っています。その辺をよく考慮していただきたい。ですから、将来的には当然上げなきゃいけないということははっきりわかっておりますが、タイミングの問題だというふうに思います。

香西会長

どうぞ、お願いします。

井戸特別委員

猪瀬さんの発言に次いで発言するようで恐縮なんですが、地方分権を推進しようとすれば、一番自由に賦課徴収して、それで住民の監視の下に使うという意味での地方税の充実が不可欠だ、そういう意味で、順番は地方税、地方交付税だとおっしゃったんだと私自信は理解しておりまして、そういう意味では、地方分権が21世紀の日本の在り方だとすれば、そういう流れの中では地方税の充実が基本課題になっているんだということを是非触れておいていただく必要があるのではないかというのが1つ。

それとの関連で、では、どういう地方税の体系が望ましいのかということがありまして、やはり法人二税には過度に依存すると、非常に不安定な税目なものですから、そういう意味で過度に依存しない税体系、例えば、我々は特に知事会の議論としては、法人二税の一部と、消費税1%分ぐらい地方に消費税を回していただいて、そして、その代わり法人二税を国税に移すというような税目転換を提案していますが、これも1つ考えられるのではないか。

ただ、法人二税要りませんと言っているのではなくて、法人も市民、住民ですので、そういう意味では、一定割合の法人税の収入は勿論確保されていなくてはなりませんけれども、消費税のウエイトをもう少し高めていただくというのは1つの方向づけなのではないかというふうに考えて提案をさせていただいておりますので、これも御留意いただきたいと思います。

それからもう一つ、法人税の負担水準等についていろいろな議論がありましたけれども、前回発言ができませんでしたので、発言させていただきますと、一般的、一律的な水準を見直すということもグローバル化の中で議論が随分展開されましたが、効果的なのはやはり政策税制、投資促進のための政策をどうつくっていくかとか、先ほども触れられましたように、起業を促進するための政策をどうつくっていくかというような観点での政策税制の中で検討を進めていくというのが今の時代の現実的な選択だし、重要性が高いのではないか、このように思っております。

それから、突飛なことを言うようで恐縮なんですが、地方で医師不足なんですけれども、医師不足というのは実を言いますと勤務医不足なんです。開業医さん方も勿論都市部に集まられているんですけれども、その開業医さんとの所得格差が大体2倍ぐらいあるというふうに言われている。その原因をつくっております1つが、事業税の診療報酬の非課税の問題がありまして、開業医の皆さんの診療報酬は事業税がかかっていないという、これは昭和27年からの課題なんですけれども、診療報酬を上げない代わりに事業税を負けて、それがずっと続いてしまっているという課題なんですが、そういう所得格差を是正するために、これは見直していただいたらいかがかというふうに考えておりますので、その点も御留意を賜ったらありがたいと思います。

それと、道路目的財源は、触れていただいておりますが、地方の側は3割ちょっとしか道路目的財源は当たっていない、国はオーバーフローしていますけれども、地方は3割ちょっとしか道路目的財源、税金が当たっていないという実態にあるんだと。だから、もしオーバーフローするぐらいだったら、地方の取り分を増やしてほしいというのが、私たちの強い願いでございますので、この点も御理解を賜りましたら幸いです。

香西会長

どうもありがとうございました。

大分時間が経ってまいりましたし、かなり多くの方が御発言になりましたけれども、今日はできればとりあえずこれまでの議論の内容を要約した今の材料を使ってできるだけ多くの方から御意見を承っていきたい。そして、それは前回やったところでも今回やったところでも、あるいはそれとは関係なしに考えておられることでも結構だと思いますので、自由に発言していただきたいと思います。16時半まで時間が続くので、大体3時から休憩を10分取る予定にしておりましたので、その間にお考えいただいて、3時10分から再開いたしますので、その際、特に発言がまだない方も是非この機会に発言をしていただきたいと思いますから、よろしくお願いいたします。

それでは、10分間、休憩を取らせていただきます。

(休憩)

香西会長

10分を経過しましたので、ただいまから再開したいと思います。

今日の最後と言うか、今までは何ページから何ページというふうに領域を設定しておりましたが、勿論、何ページのことを議論するということで、どこからでも議論していただきたいと思います。

では、高山委員から始めて、こっちへ回っていくということにします。特にこれまで発言されていない方は是非この機会に御発言いただければ私の方は非常に安心できますので、よろしくお願いしたいと思います。

高山委員からどうぞ。

高山特別委員

先ほど高木委員から大変貴重な御意見をちょうだいしたと思います。おっしゃることいちいちもっともだと思うんですが、さはさりながら、税調として税を違った観点からくだんの問題を取り上げざるを得ないんじゃないかとも思っているわけです。

まず、最初に、最初に消費税の引上げありきではないかという誤解を与えかねないということなんですが、私のこの論点整理とか意見等整理を見た限りでは、すぐさま増税をしないさいということは書いていない。ただ、日本の今の財政の構造等を踏まえて、負担増を本当に先送りしていいんですかということを主張している、訴えていると思うんです。

負担増を先送りすることに仮に問題がないとすれば、給付を今から大幅に切るしかないですよということも併せてメッセージとしては伝えていると思うんです。

給付を大幅に切ることを皆さんが望んでいますかというと、そうでもないですねという整理だと私は思っています。

ですから、負担増先送りというのはよくないんじゃないというのがベースになっているんじゃないかと思うんです。

その次のステップとして、負担増、中身は何でやるんですかということだと思うんです。所得課税があります。資産課税があります。法人課税もあります。社会保障も含めて言えば社会保険料の引上げがありますね。それを相互に比較する中で消費税も併せて議論するということになっているというのが私の理解なんです。

ですから、最初から消費税だけを引き上げましょうと言っている議論ではないというのが私の理解なんです。

その際に、先ほどから特に年金をめぐって、制度への信頼が揺らいでいる。なかなか制度に対する納得が得られていないというのはおっしゃるとおりなんですが、では、年金を始めとする社会保障制度の信頼が確立されるまで、負担増の議論を封印していいのかということが同時にあると思うんです、それはそれで大事なことで、制度への信頼に、それはそれで関係部局に一生懸命やってもらうということだと思うんです。

同時に、負担増についても我々は理解を求め、その具体的な内容について相互に比較しながら何が最善かということについて議論していくということだと思うんです。

消費税について、特に先ほどの指摘の中で逆進性のところで御意見があったと思うんです。生涯所得に対しては必ずしも逆進的とは言えないという整理になっているわけですが、逆進性は全くありませんというメッセージではないんです。完全否定したものではないんです。ただ、従来消費税をめぐる議論で私の理解では余りにも逆進性を言い過ぎていたということではないか。判断基準、どこをベースにするという軸を変えることによって逆進性の議論というのは性格が変わるんじゃないかという問題提起だと思うんです。

生涯所得は確かに変わりにくいという面はありますし、確かにそうなんですが、生涯所得に軸を移したからといって逆進性が全くゼロになりますと言っているわけではなくて、必ずしも逆進的とは言えないという持って回った言い方ですが、逆進性ゼロだと言っているわけではない。逆進性は一部残っているという含みはこの中にあると考えています。

ただ、従来言われるほど、そんなに逆進的で悪い税金だというイメージではありませんねということを、新しいメッセージとして伝えたいということではないかと思います。

そういう意味で高木委員のおっしゃるのはもっともなんですが、税調としてはやや違ったスタンスで整理をしようとしているのではないかというのが私の理解です。

以上です。

香西会長

もし、今の発言に直接関係することで、ここで発言した方がいいと思う方は手を挙げていただいて、もしなければその順序で特に指名しませんが、こちらに回っていただくというふうにしたいと思いますが、関連発言の方、いらっしゃいますか。  高木委員どうぞ。

高木特別委員

今の高山委員のお気持はそういう面もあるのかという意味で理解できないわけではないんですが、例えば先ほど吉川委員も、所得再配分機能は社会保障の側でやるんだということになるんですか。そういう議論にしましても、基礎年金を全部税でやるのか、あるいは保険方式でやっていくのかによってその意味も大分違ってくるのかもしれませんし、そういう前提になる議論を少ししながら、一方で財源をどうするんだという議論。

私ども連合の方針は、今は基礎年金は全額税方式、というのは今の保険料方式だと無年金者がどんどんできてしまうという、そこのところはどうしても保険料方式では克服できないだろうと。その財源という意味で、年金目的税的な消費税型の財源を考えるしかないんじゃないというのは私ども連合の中のコンセンサスですが、そういうことに至る社会保障はどうするんですかという議論をしながら、この議論をしていかないと、国民の理解はなかなか得られないんじゃないですかということを申し上げたいわけです。

そもそも税でやるのか保険でやるのかという入口のところからまだ議論の整理かついていないだろうと私は認識していますが、そんなことも含めて意見を申し上げているわけでございます。

あとしゃべりませんので、一言だけ。

4ページの「道路特定財源」のところ、ポツが3つあるんですが、「現行の税率水準を維持するべき」しか書いていないんです。一番上のものは、「国民の理解が得られる改革を進めるべき」、これは何が言いたいんだがよくわからない表現で、暫定税率の暫定というのは何十年の話なのかどうか知りませんが、そういう意味ではここは本則返りをすべきだという意見は世の中に結構あるということを申し上げたい。

それから、一般財源化は私は反対。道路に対する需要はまだいろいろあるという。例えば今、原油価格があんな上がって、ポピュリズムがいいのかどうかわかりませんが、今、暫定税率を本則化するとガソリンの値段は30円くらいになるんですか。国民は喜びますよ。そんなばらまきみたいなことでいいのかという御批判があることは承知しています。

だから、ミャンマーのデモでも何から始まったか。ガソリンの大幅な引き上げから始まっているわけです。

そういう意味で日本の税制が苛斂誅求だとは申しませんが、たまには庶民が、これは政府はこういうことを考えてくれたのかみたいなこともあってもいいんじゃないか。

ここにはそんなことを書いてくれとは言いませんが、「税率水準を維持するべき」しか書いてないんで、暫定税率を本則に戻すべきだという意見も申し上げておきなきゃいかぬなということで申し上げさせていただきました。

香西会長

今の件について何かありますか。

猪瀬委員

関連してよろしいですか。

香西会長

どうぞ。

猪瀬委員

本則に戻したら道路はつくれなくなる。一般財源化もできなくなるけれども、道路もつくれなくなるということは御承知の上でおっしゃっているわけですか。

つまり、30円近くのものを下げるのはそれでいいけれども、それをやったら道路の需要と、少し余っている分の一般財源化とどちらもできなくなるわけです。

高木特別委員

現在の暫定税率で得られている税収で、余剰が出てきておる。それをほかの環境税的なものに使ったらどうかという今いろんな議論をしているわけで、では、余っているなら払っている人から取るのを少し減らしたらどうかというのはごく当たり前の筋道の議論だと思います。

猪瀬委員

それほど余っていないんです。そんな簡単ではないわけです。

それから、そういう議論は、たまたま今ガソリンが上がっているからということをおっしゃったが、それはハイブリッドの車に乗り換えるとか、企業もハイブリッドの車を増やしていくとか、そういう問題で解決すべき問題です。ハイブリッドの車だったら燃費は半分で済みますからね。そういう考え方をするのが民間のというか、今の時代の考え方だと思います。

高木特別委員

それも方向性という意味ではおっしゃられることはわかりますが、今ではハイブリッドの車に乗っている人がどれくらいおるんですか。毎日ガソリンスタンドでガソリンを入れている車の台数が幾らあるんですかということを現実に考えれば、ハイブリッドに乗り換えたらいいに決まっているかもしれません。環境という意味も含めてね。

猪瀬委員

先ほどの話、ついでに今おっしゃったから申し上げますが、基礎年金を税で賄うとおっしゃった。財源をきちんと言わないと、それは税調の議論になりませんよ。

この間のおさらいですが、11月5日に出た資料で、要するに、基礎年金と老人医療と介護で、大体平成11年度で8.8兆円かかっていたと。それが平成19年度で12.8兆円かかっている。消費税の税収は、これは財務省の取り分では、大体7兆円くらいでずっときているわけです。

そうすると、単純な計算で、この前出した資料ですね。大体平成11年度で1兆5,000億円くらいの隙間があったが、今は5兆3,000億円足りなくなっている。国の取り分と消費税の部分だけで5兆円足りなくなっている。無駄使いの問題もいろいろあるとしても、5兆円足りなくなっている部分についての埋め合わせはどこかで必要だろうということはこの前出ていたわけです。

それから、地方の消費税の問題で、今は消費税は5%あるが、その地方消費税が1%で、それから残りの4%のうちの29.5%を地方分として全体で消費税5%のうち43.6%が地方に行くと。これは地方の取り分で5.8兆円で、残りの部分が先ほど言った国の取り分が7兆5,000億、その7兆5,000億円の話です。その7兆5,000億円のうち、基礎年金と老人医療と介護だけで5兆円くらい足りなくなっている。この前出した数字では7兆5,000億プラス5兆、それで12兆8,000億です。5兆円くらい足りなくなっている。これは事実です。

それからさっき井戸委員が休憩の前に法人税と地方消費税を入れ替えるということを言っていたが、それはこの5%の幅をどうするかということを言わないでそれを言ってもしようかないでしょう。

つまり、前々から地方の取り分43.6%で、国の取り分が56%と読んで、この話というのは、余り論理的根拠があった痕跡はない。綱引きの結果の数字ですね。そういう部分を整理整頓した上で、地方消費税は幾らなんだと。来年に間に合う話ではないですよ。来年間に合う話ではないけれども、きちんとした筋を言わないとおかしな話でしょうと。それでいきなり来年の話で法人二税と消費税を入れ替えるとか、そういうのは小手先のやり方でしょう。だから、筋をきちんと通した言い方を井戸委員にはしていただきたい。

高木特別委員

発言しないでおこうと思ったけれども、いろいろ言われるものだから。

財源は先ほども抽象的に申し上げましたが、消費税型の年金目的税で賄うしかないだろうと申し上げました。

私どもシミュレーションしてみますと、3%くらい消費税率を上げたら、少なくとも年金に関する財源は賄えるだろうという試算をしております。

猪瀬委員

それは民主党に伝えた方がいいんじゃないですか。

高木特別委員

こういう場で何党がどうだという議論は私はしません。

香西会長

そろそろ次の方に発言を願いたいと思いますが、秋山委員、お願いします。

秋山特別委員

この後で話にくいですが、2点です。

まず消費税なんですが、前回も発言させていただきましたが、今回消費税につきましては、税体系の抜本的見直しという大きなテーマの中で、消費税というものの位置づけについて、触れるべきではないかと思っております。

高木委員を始めとして、一般消費者の方の御不安というのは、今の税体系しか基本的には見えていないわけです。ですから、今の枠組みの中で消費税を上げるということについては、取りやすいとろからまた取るのか的な感情的な不安というものが出ることについてはいたし方ないのかなと。

逆にそうであればなおのこと、これまで再配分機能と言えば主に所得税を中心に担ってくるものだと思われてきた部分が、これからは変わってくるんだと。どう変わってくるのかという部分につきましては、私は基本的に吉川委員がおっしゃったように税と社会保障の組み合わせで集めて、また再配分するということにしかならないのだろうなと思っております。

社会保障の部分についてまで税調でどこまで話せるのかという部分が非常にもどかしいんですが、少なくともそういう方向性とか枠組みについて消費税に関してはある程度踏み込んで話した上で、重要な基幹税と言うかどうかは別として、重要な機能を担うものとしてこれから考えていくべきだということは、是非答申の中で述べたいと考えます。

もう一点は、今回もう一度改めて意見の整理を見ましたら、キーワードであるはずの成長というキーワードに関する部分が力弱いのではないかと感じております。

経済の可能性とか、言葉として成長ということが出ているページを見ましても、非常に抽象的な付言、もしくは中小企業の活性化というようなことで表現がとどまっておりまして、先ほど飯塚委員がおっしゃったような新規創業支援とかいうことについても、これまで税調でも随分議論もしてきましたし、それについて大きな反対もなかったと思っておりますので、これについてはもう少ししっかりとした表現を書くだけの議論はしてきたと思っておりますので、追加していただきたいと思っております。

香西会長

どうもありがとうございました。

それでは、若林委員からお願いします。

若林委員

前回発言しなかったんですが、「ふるさと納税」について、政府税調はどういうメッセージを出すのか。これを見ていると、賛否同じような数出ているんですが、ネガティブな意見も出ていましたが、私自身としては是非実現してもらいたいという立場から発言したいと思います。

最初は受益と負担をどうするのかとか、税の分割をどうするんだろうと思っていましたが、寄附金税制ということでよくここまで来たなという感じがします。

これからのことを考えると、公がカバーする守備範囲というのはどんどん狭くなってくるし、その分、地域のNPO法人だとか、ボランティアが担うことになると思いますが、そこに寄附をするということは、一種の納税と同じような行為になるんじゃないかという感じがします。

税制上いろいろ学者の先生から見たら問題があるかもしれませんが、1つここは寄附文化を育てるという意味で是非積極的に実現をアピールしていただきたいと思います。

以上です。

香西会長

いちいちお答えするわけではありませんが、委員の中には税の理論から考えて問題があるという議論があることは事実でして、その方の御意見もまだ生きています。趣旨全体が悪いと言っているということのほかに、税法上の問題、あるいは税の在り方としての問題点を指摘されているということですので、これそれを突破するような立法になっていれば問題は解決するという状態だったと私は理解しております。

それから、杉山委員よろしくお願いします。

杉山委員

ここに来る前に昨年の答申を一通り読んできました。昨年の答申は消費税のしの字も入っていない極めてあっさりした答申で、去年の政治情勢とかあったわけですが、そういうような政治情勢にかかわりなく、本来税調というのは議論すべきことをきちんと議論すべきだと思います。

前回から私は参加しているわけですが、2回の議論を聞いて、かなり消費税のことを議論されていたというのは、本来の税調の機能に戻ってきたのかなと思うのであります。

2回しか議論していませんので、ちょっと評論家的になってしまい、偉そうなことは言えませんが、今回答申で一番注目されるのは、やはり年金を始めとした社会保障の可能性について一般の国民はかなり不安を持っているのです。政治上の大きなテーマであるということで、この問題について税調の立場からどう考えるのかということです。

もう一つは、社会保障の増大に伴って、財政が大変な状況になっているという、この2点を踏まえて、負担増というのは避けられないということですね。

先ほど増渕委員がおっしゃいましたように、消費税について非常に穏やかな表現を使っているんですが、増渕委員はもう少しはっきりしたメッセージを入れ込むべきだということで、大賛成で、引上げが必要なんだということをきちんと書くべきだと思います。

前回の議論でも負担増の話を盛り込むと、暗くなってしまうんじゃないかと。もう少し明るい話を書いたらどうかという点なんです。私はそうかなと思うんです。

どういうことかというと、国民が将来の生活はどうなるんだ、年金はどうなんだ、財政はどうなんだということを考えて、今やるべきことをきっちりやらないと、年金ももらえないとか、やはり不安があるわけです。そういう不安はきちんと負担をすべきことは負担をするということをメッセージとして出さないと、いつまで経ってもこれは日本全体が明るくならないんです。税の面ばかり議論するんじゃなくて、全体の議論をすることが必要かなと思うんです。

そういう意味ではきちんと今回税調が消費税の問題に、去年の答申と比べると格段に議論して、深まっていますので、是非そういうことをきちんとメッセージで盛り込んでほしい。

今マーケットが混乱しているとか、なかなか負担増の議論はしにくいという議論がありしたが、これは今からそういうことをきちっと議論したり検討しないと、日本の将来というのはどんどん少子高齢化が進んでいますし、社会保障の増大の問題、これは放っておくとどんどん悪くなるんです。そういう意味ではスピード感が必要だと思うんです。

更に先送りするとか、もうちょっと時間をかけて検討すべきかということではなくて、皆さん方税調という役割を担っているわけですから、ここはきちんと議論して、いつまでもこの問題について結論をあいまいにしていくということはおかしいと思います。

以上です。

香西会長

どうもありがとうございました。

それでは、北村委員、お願いします。

北村委員

目的を決めた税というのは数が少ない方が皆様方いいんじゃないかと思っていらっしゃると思うんです。そうでないと、非常に硬直化してしまうわけでして、今の消費税の議論なんですが、これは目的を定めた税にしようということですから、そうなってくると、将来消費税の分で社会保障費をということになると、社会保障の分が足りないと、安易に消費税を上げればいいという仕組みができてしまうという点は、私がちょっと問題点があるかなと思っている部分なんです。

そういうようなことがないようにするためには、社会保障費についてチェックする体制をきちっとつくっておかないと、せっかく決めたことが将来あだになって返ってくるということは避けなければならないと思っています。

先ほど吉川委員がおっしゃいました税と社会保障の保険料負担分、これは一緒にして考えていくというのは、勿論それは必要なことではないか。

社会保険料について払わない人がいるとか、徴収しないというのはもってのほかですので、そこはきちっとですね。このごろ日本国民、少しおかしいところが出ているなと思っているんですが、払わなければならないものは払わない。もらわなければならないものは、ものすごい勢いでもらうという形が出過ぎているかなという気がしますので、そこのところで、それもきちっと徴収できるような形を考えていく。だから、私は税の中に組み込んでしまってもいいのかなという感じがしております。

したがって、消費税を今の5%から上げるというのは、もうやむを得ないのではないか。私も消費税を目的税にしたくはないんですが、このように社会保障費が大きくなってしまって、そして少子化を迎える時期においては、それもある程度考えなければ仕方がないのかなと思っています。

したがって、この意見の中に、消費税は上げざるを得ないだろうというものが入ってくださると、いいんじゃないかなと思うんです。

そうなってくると、消費税の逆進性についてなんですが、確かにいろいろ説明して、逆進的ではないとか何とかということを言ったとしても、やはり逆進の部分というのは残るのであって、それは私はその他の税、例えば所得税、あるいは給付云々という話も出ていましたが、そういう面で手当をせざるを得ないんではないか。

やはり格差の拡大を防いでいくようなものを考えていくということが必要ではないかと思います。

香西会長

どうもありがとうございました。

それでは、こちら側に参ります。翁委員は今日始めての御発言だと思います。

翁委員

先ほど秋山委員がおっしゃったこととほとんど同じような内容になるんですが、税の全体像と将来展望というのが、この答申に見えてくることが重要だと思っておりまして、勤労者がだんだん減っていく中で所得税そのものの位置付けがだんだん細くなっていく。その中で所得税という基幹税的な役割が後退していく。それと消費税と社会保障で所得再分配ということを考えていくんだということが見えてくることが大事だと思いますし、そのときに所得税をどう設計していくかという議論だと思っています。

所得税については、消費税が将来的に上がらざるを得ないということを考えた場合に、どういう対応が必要なのかということで考えていく必要があるんじゃないかと思います。その点でここで整理されているような、子育て世代の税額控除を検討するとか、配偶者控除、扶養控除などを見直すというようなライフスタイルに中立的な見直しをやっていくことによって、所得の水準を見ても、全体として格差問題にも配慮しながら消費税のことも考えているんだということがトータルでこれを読んで見えてくる必要があるんじゃないかというふうに考えております。

あと成長の点については、秋山委員がおっしゃったとおりで、成長の視点というのも十分大事だということを指摘していただきたいと思います。

それから、金融所得については、先ほど増渕委員がちょっとおっしゃったんですが、やはり損益通算の拡大について、もう少し具体的な範囲とか仕組みといったことが見えてくるということがリスク資産への、一時的にはもしこれを同時にすると株式市場にも影響を与えるかもしれない懸念の声はあると思うんですが、そういったときに損益通算は実際にどうなるんだということがもう少し具体性を持って書かれていた方がいいのではないかと感じました。

以上です。

香西会長

ありがとうございました。

大橋委員、お願いします。

大橋特別委員

大変ありがとうございます。

皆さんの議論は大分盛り上がってきましたので、私の意見をお話しさせていただきますが、今の国民の関心と言いますか、姿勢が非常に内向きなんです。本当に国際的な関係とか国際社会の中で日本の百年と言わないまでも、十年の計で何を考えたらいいのかということの議論が非常に今は稀薄だろうと思います。

正直に申し上げて、そこのところの議論が明確にならないと、当面の自分の生活がある程度保障されれば、極端なことを言うと、子どものときも孫のときもどうでもいいという、そういう感じが出てきているんだろうと思います。

ですから、この政府税調は、例えば20年度の当面の議論をするよりも抜本的な税制の改正ということを視点に置く限りは、国際社会における日本の位置づけ、それを一定の影響力を維持して、日本の産業、あるいは日本の経済そのものが成長発展していかないと、国民の将来はないんだということを何らかの形で表現していただくことは非常に大事なんではないかと思います。

そういう意味では秋山委員が先ほどおっしゃった成長の問題というのは、1つ大きなポイントで、この経済の成長というものが結果的に国民の生活の向上につながっていくんだということを出していただいた方がいいんではないかという考え方をしております。

そういう意味では、法人税の税率というのは非常に重要な問題なんですが、今の政治情勢から考えて、この法人税問題をすぐに取り上げることが、企業を悪とする非常に変な風潮から、やや憚れるようなところがございます。

そういう意味では今回、近い将来には法人税の問題というのは取り上げざるを得ないと。国際情勢から見ても、社会の中で生きていくためにも、そこは避けて通れないんだということだけは触れておいていただいた方がいいだろうと。

当面の問題としては、それが難しいとすれば、やはり政策減税、ここでも随分議論になりました研究開発の促進税制、これだけは非常に大事だと。日本が技術と人材だけで生きていかざるを得ない現在の日本の、特に軍事力がない環境を考えれば、そこはどうしても避けて通れないし、やっていくことが国民のプラスになるんだということを是非触れていただきたいと考えております。

もう一つは、消費税、これは先ほどから給付と負担の問題が出ておりますので、多くは触れませんが、いずれにしろ消費税のアップそのものは、比率はともかくとして、現在の社会保障費のこれからの増大、ふくれ上がりを考えますと、やむを得ないということだけははっきりしていると思いますので、そこは明確にしていただいた方がいいだろう。

それは杉山委員も今おっしゃったように、そこのところを余り逃げてしまいますと、非常に政府税調としての使命を失ってしまうことになるんではないかと思っております。

あとは税率とか手法という問題があるんですか、これは私の考え方でございますので、皆さん方にまた御批判もあろうと思いますが、ヨーロッパ辺りでいろんな複雑な税率を考えて、軽減税率をやっておりますが、これもかなり複雑で混乱もしております。できれば、日本の場合には、はっきりと単一税率で進めていただくということの方が結果的には長くいろんな批判が尾を引かないでいくんではないか。

ただし、確かに逆進性の問題を100%否定されることではないとすれば、これは前回議論になったのかもしれません。私は欠席いたしましたので、給付つきの税額控除のところで場合によって、例えば生活保護の問題とか子育ての問題とか、そういうことに対する給付つき税額控除で本当に弱者である方々は救っていくということをはっきりさせていただいたらいかがかなと思っております。

金持ちには高い所得税をかけて取り上げてしまえと、これは簡単なんですが、ある意味では金持ちには早く金を使わせた方がいいので、使わせれば確実に消費税という形で国に入ってまいりますし、使ったものは必ず次の内需の拡大、再生産につながってくるので、日本の経済のためにもなるわけなんで、そこのところを余り所得のところでとっつかまえてしまえばいいというよりは、むしろ消費をさせてしまって、それを日本経済の成長に結び付けていくという方向の方が、今の税制よりは正しいんではないかというふうに考えます。

最後のところですが、岡田委員がおっしゃるように、今、国民がこれを本当に理解するのは難しいと思います。ここらいらっしゃる皆さん方はいろんな意味で、御意見は異論もおありになりますが、かなりのレベルの方ばかりですので、そこをどうやって本当に国民に理解させていくのかというのが一番キーになるんではないか。

実は最近の若者は御承知のように新聞は読みません。ここに新聞社の方がいらっしゃるので大変申し訳ないんですが、テレビも見ません。せいぜい見るのがインターネットをちょこちょこと見て、本当にタイトルだけ見ておしまいという方々が多いわけです。特に20代くらいの人は多いので、こういう人たちに理解させるということは大変難しいんですが、これをどういう形かでやっていかないと、ここでのせっかくの議論も本当に生かされないんじゃないか。

先ほど岡田委員がおっしゃったように、主婦の方々などに対しても、これは非常に地道な努力かもしれませんが、今、岡田委員が御提案されたようなことは私は大変貴重な御意見だろうと思います。

いずれにいたしましても、ここにはマスコミの方々、それぞれの新聞社その他に影響力ある皆さんが大変おいでになりますので、マスコミの影響力というのは、我々産業界にいる人間よりもはるかに大きいですから、是非その辺のことについて御賛同いただけるんでしたら、いろんなところでキャンペーンを是非張っていただくことで国民の合意を早く形成することが非常に大事だろうと思っております。

ありがとうございました。

香西会長

あと、残っている方を確認したいと思います。

長谷川委員、江上委員、中里委員、井堀委員、田中委員、その方々はまだ発言がなかったと考えてよろしいでしょうか。

それでは、長谷川委員、大変お待たせいたしましたが、よろしくお願いします。

長谷川委員

ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。

1つは、地方の議論です。猪瀬委員と井戸委員から提起された議論ですけれども、私もお二人の議論の方向に賛成でありまして、今、法人二税の地域間格差の是正をここでは水平的な調整というふうに書かれているわけですけれども、いろいろなやり方があるんでしょうけれども、一遍国が召し上げて分配するとか、あるいは地方が共同して税のような形、共同税のような形にして分配するとか、いろいろあるんでしょうけれども、これが井戸さんもおっしゃったとおり、大きな地方分権の流れをこれから進めていくと、そうでもしないと日本経済のスリム化なり効率化が進まないという観点からすれば、むしろ地方消費税の役割を重視すべきだと。地方法人二税のところをいじっていくと、地方税の受益と負担の関係があいまいになりはしないか。

例えば、ずばり言えば、愛知県はトヨタで税収が上がっているけれども、その一部を工場がない鳥取や島根に持っていって、それで受益と負担の関係が鳥取、島根で完結するかと言えばそんなことはないだろうと。

それから、逆に例えば、亀山がシャープで税収を上げているけれども、ああいう地方の努力というのを受益と負担のところを断ち切る方向で考えていくと、ああいう努力を疎外することになりはしないかということから考えれば、やはりあの地域社会の会費であるという原則から考えれば、地方消費税の役割を高めていく。それは猪瀬委員が言ったとおり、やはり消費税全体の税率引き上げを考えるのであれば、その方向の中で、地方消費税についても上げていくということを考えるべきであろうと。

それから、消費税の中に、結果として地方交付税として地方に回っている分があるわけだけれども、あの辺は国民の側から見るととてもわかりにくい、つまり、一部が地方消費税としてストレートに回り、その一部、1%ぐらいが一旦国が取った上地方交付税として回すということがどうもわかりにくくて、それなら、それはまとめて地方消費税という形にしてもいいのではないかと、その方がはるかに国民の目から見たらわかりやすいというふうに思います。

いずれにせよ、その地方間の税収の不均衡の問題は、法人二税のところで手を入れて直していくという方向はちょっと違うのではないかということが1点目のことでございます。

2点目は「ふるさと納税」ですが、これは前回も申し上げたんですけれども、ここには書かれていないんですが、1つは、これは納税意識を高める上で重要だということを前回申し上げました。それは是非どこかで触れていただきたいということが1点。

もう一つは、このふるさと納税というのは、やはり国民の方から、この地域はいいな、この地方はいいなというところに集まるような仕組みなので、逆に言えば、自治体から見ればうちの町はこんなにいいことをやっているし、こんなに努力しているよという自治体間の行政の改善競争を促すという部分があると思います。なので、その自治体が自立して競争していくという方向を促すという意味で、この「ふるさと納税」の仕組みは大事だと、そのことも強調したい。

ただ、田近委員などもおっしゃったとおり、では、その仕組みが税額控除というやり方がいいのかという疑問が出されていると思いますが、この寄附税制を使ったというのは、当初、住民税の分割ということで議論したら、それは受益と負担の原則から言っておかしいのではないかということになってとても難しいねということになったので、寄附税制を言わばちょっと借用して、仮に借りてやれば、実質的に「ふるさと納税」が当初目指したものができるのではないかということで、こういう整理になっているわけなので、寄附税制の体系そのものから見たらおかしいのではないかと言われれば、それはそうかもしらぬけれども、「ふるさと納税」の理念から言えば寄附税制の体系で合っているかどうかということで議論したわけではなくて、それは単に借りたにすぎないということを強調しておきたいと思います。

3番目に申し上げたかったことは成長との問題でありまして、やはり経済成長の大事さということが弱いと思います。なので、一番最初の税制改正の背景のところにある総論のところで、是非やはり経済成長と財政再建というのは、車の両輪であるということをどこか一番冒頭の方で入れ込んでいただきたいということでございます。

以上です。

香西会長

それでは、江上委員から、お願いします。

江上委員

私も、消費税につきましては、吉川委員から先ほど丁寧に御説明いただいたように、前回も私が発言させていただきましたけれども、持続可能な社会保障をきちっと国が守っていくということで消費税を上げていくんだということを今回の答申の柱、安全安心な税制の再構築ということをメッセージにするということが重要だと思います。このことが多分一番大きなメッセージになるのではないかと思います。

国民の御理解についてですけれども、ちょうど2日前でしたでしょうか、朝日新聞で、消費税値上げについての納得できないというのは50数%になっておりましたけれども、その後、記事をよく見ますと、必要であるというふうに答えた人は40数%で、自民党支持者では48%、民主党支持者では43%という数字が出ておりました。思ったより私は必要であるという認識を示した人が高いというふうに思いました。

納得できるかというと、恐らく多くの方は納得できないけれども、不可避的に仕方がないと、こういうふうな認識ができつつあるのではないかと思います。

ですから、国民のそういう感情を考えるよりも、やはり目的に向かって強いメッセージをきちっと出すということの方が重要だと思います。

それから、2番目に申し上げたいことは、成長というお話が大橋委員から出ましたが、成長と表現するのがいいのか、活力と表現するのがいいのか、やはりその柱を1つしっかり据えておくということで、そこでは個人の能力発揮がよりしやすいということで、配偶者控除の問題もきちっと入れる、それから、付加価値を高めていくとイノベーションを創出していくという観点から、先ほど井上委員や飯塚委員が言ったような創業税制、とにかく圧倒的に雇用の多くを占めるのは中小企業なわけでして、雇用の場を創出するためには、中小企業に対する何らかの支援の仕組みというのは非常に重要で、そういう意味では、今、これだけ廃業率が依然として変わらない状況で、創業率が上がらないというのは、やはり異常な構造になっていると思います。

それから3つ目なんですけれども、私はこれから小さな政府でやはり個人や企業やあるいは非営利団体や中間法人、そういったところで力を発揮していって、公共を担うんだという市民力の形成、こういうふうな1つの考え方が重要ではないかなと思います。

そこで1つ思っていることは、「総5-4」の17ページで、公益法人課税関係のところですが、「(5)その他」というところで、「新設される法人が、相続税、贈与税等の租税回避に使われることを防止するための措置についての検討が必要」ということがあるんですけれども、勿論、確かに租税回避に、そういうふうな印象がある法人もあるわけですが、しかし、これから美術でも音楽でも芸術でも文化でも教育でも、やはりある程度いろいろな形の公益や非営利の法人がさまざまな活動を展開して、そういう部分の底支えをしていく流れが必要なので、ここは逆にきちっと法人が本来の目的で活動できるかということを監督するというところをむしろ強化する方がいいのではないかというふうに思います。

それからもう一つ、次のページの相続税なんですけれども、自分は全然資産とは関係ない暮らしをしているんですが、今回の相続税の記述を拝見してみますと、比較的資産再分配機能の強化とそれらを超えた格差の固定化を防止と、あるいは相続時により広く税負担で社会保障の分もというような、比較的相続税についてより強化するような論調の記述が多いかなと思うんです。

私は勿論、基本的な再分配機能を持っているということは理解、承知しておりますが、しかしながら、相続税を余り強化する方向になると、いろいろな弊害も出てきている。例えば住宅地では町並がどんどん小割の住宅になり、緑がなくなり、空間的に非常に逼塞したような環境になり、そういうようなところで、私は相続税ということが、資産を継承していくということが持つ文化的な意味、環境的な意味ということも1つあると思います。

それからまた、よし、事業家になろうというような、あるいはお金を儲けようと、そういうような職業や事業創造に対する大きな個人の動機ということも非常に重要で、どうせ取られちゃうんだったら、なるべくサラリーマンでずっといてというような思考の人が非常に増えているわけです。

そういう意味では、相続税の扱い方というのは、もう少し長期的に大きな国ということで考えると、違った見方もあるのではないかと思う。そういう点もちょっと留意していただきたいということです。

同時に、事業承継税制についても、先ほど井上委員がおっしゃっておられたこと、私も賛成です。雇ってほしいという労働者ばかり増えて、経営者が全然増えなかったら困るわけです。雇用の場がなくなるわけで、そういう意味では、経営者を育てるということは非常に重要であって、中小企業における承継の問題というのも、単に税を取るという観点からだけではない考え方ということも非常に重要だと思います。

それともう一つ、租税教育の件なんですけれども、先ほどの資料の中にも、小学校からというような話がありましたけれども、教育基本法も改正されまして、公共意識の涵養ということも大きく位置づけられております。それからまた今、大学の進学率は50%ぐらいになっているということで、大学を出た学士というのは一体何なのかということで、学士力というもののアウトカムのベンチマークを今検討しておりますが、その中に21世紀型市民力の形成というものを入れております。

そういう意味では、これから公共を担うのは国民一人ひとりなんだということを教育各団体で、納税教育という形で加えていくということは、私は大変重要なことではないかと思います。それがむしろ徴税コストの低減につながることになり、また、政治、選挙等の投票行動の向上にもつながるというふうに思います。

以上です。

香西会長

どうもありがとうございました。

それでは、中里さん、お願いします。

中里特別委員

税額控除については、「ふるさと納税」であっても、給付つき税額控除であっても、租税制度の全体の中から比べれば、何というのか、筋の悪い話だというふうに思います。これは出と入りをごちゃまぜにする議論でございまして、余り理論的には説得的ではないわけです。

特に、給付つきの税額控除はあり得ない話ではないかと思います。というのは、例えば、税額控除でも何でもいいんですが、払った税金の一部を返すのはよろしいんですが、払っていない人に返すというのはこれは税金の世界ではございません。

そうすると、払っていない人に税金を税務署が返す手続を用意するためには、国民全員を申告納税制度の世界に引き込むとか、恐ろしい手続が要るわけで、具体的な手続なしにフィーリングでそういうことをおっしゃっていただきたくないということです。可能な制度を仕組んでいただいた上でおっしゃっていただきたいと思います。無理だと思います。

逆進性という言葉がいっぱい出ましたけれども、これは所得を基準として考えるから逆進的になるので、逆進的とおっしゃる方は、消費を基準とした租税負担の分配よりは、所得を基準とした租税負担の分配の方が正しいということを暗黙どころか明示的な前提としているわけですが、それが正しいという保証はどこにもない。まさかそうは書けないから、吉川委員は生涯負担という言葉でそれを置き替えたんでしょうけれども、所得もないのに消費ができる人ほど恵まれている人はいないですね。

所得がないのに消費ができるというのはいっぱい持っているということですから、そういう人から税金取らないで、例えば若い人が働き始めて、少ない給料でそこから所得税をというのは、これはちょっと論理が逆転しているので、消費も所得と同じぐらいには、担税力の基準として、望ましいということは認めざるを得ないと思うんです。あとは組み合せの問題になってくると思いますので、どちらがいいという議論をしても始まらないので、所得の方が常に正しいという議論は、それは20世紀前半の議論ではないかというふうに思います。

それから、消費税について、消費税導入のころにはすべての県議会等で反対の決議をなさってくださったわけですよね。その地方団体が、今や法人税を引き渡すから、消費税をちょうだいとまでいうようになったということは、かなり井戸委員とかの御努力のためだと思うんですが、これは浸透してきた、そして、いろいろな努力をなさったと思うんです。総務省を始めとして、これは大きい。

それから、先ほど高木委員おっしゃいましたけれども、労働組合も消費税導入のころは絶対なしだとおっしゃっていたのが、今は年金制度を支えるためには消費をベースとしてということがあるとおっしゃっていたということですから、かなりこれは消費税、それは消費税と呼ぶかどうかわかりませんけれども、御理解が深まっているということで、あとは国民にそれをわかるようにどう説明していくかという、そういう問題になってくるというふうに思うわけです。

この中で相続税の上を上げろと必ずしも書いてあるわけではなくて、少し基礎控除をというようなことを書いてあるわけですが、消費税をもし上げるのであれば、相続税で補ってバランスをとるというようなこともここには含まれているわけで、相続財産をゼロにするほど取ってしまえと言っているわけではなくて、消費税の欠点を補うという雰囲気の相続税の増税論が、増税論というのか、適正化論が入っているんだろうと思います。

それから、活力の話ですが、これは所得ベースよりは消費ベースの方が企業は投資支出に課税されませんので、これ自体が活力になっているというふうに私は受け取っているんですが、ちょっと考え過ぎかもしれませんが、恐らくそれは経済学的には事実なのではないかというふうに思います。

ですから、時期も来ているし、雰囲気も整っているので、あとはいかに説明していくか、その努力を怠ったらどうにもなりませんけれども、十分にそれは可能な時期に来ているんだろうというふうに思っています。

香西会長

どうもありがとうございました。

井堀委員、お願いします。

井堀委員

国民の安心という観点から、社会保障の財源として消費税を抽出するということを基本的な手段の柱のトップに据えるということは、今は政治環境の下ではある意味で最善肢かなという気はしますが、若干、私が気になっているのは、国民の安心という場合の国民というのは必ずしも同質ではありませんので、ここで余りそれを強調すると、結果としてそれによってむしろ負担増だけが増える人が当然出てくるわけですけれども、そういう人たちから見ると、必ずしもそうとは言えないのではないかという気がしますので、もう少し、ある意味でドライにして、例えば、2ページの後ろから3番目のポツは「国民の安心のために真に必要な給付のための財源を先送りすべきではない」と書いてありますけれども、これは要するに、将来の人たちの負担を軽減するために今、消費税を上げましょうということですから、将来性ではプラスになりますけれども、今の高齢者の人は確実にマイナスになるわけで、それを全体の国民の安心という形でサポートするには、今の高齢者の人たちは、多少負担が増えても、将来のことを考えると、日本全体にとって必要だというメッセージをもう少しはっきり出さないと、これで全部の、ほとんどの国民が消費税を上げることによって安心が増えるという形にはならないのが現実ですので、その辺りもう少しドライに、できるだけ書いた方がいいのではないかという気はします。むしろ、余りバラ色の夢を与えない方がいいのではないか。

もう一つは、消費税と社会保障の関係で言いますと、社会保障の、あるいは消費税の問題で、国民の多くが反対というか、若干抵抗している点というのは、必ずしも財源面のコストよりは社会保障の給付自体が今非常にいいかげんというか、問題がありますので、仮に消費税を上げることによって財源が充実したとしても、その使い道に関して今のままで本当に大丈夫なのか。

特に、保険料という形で今取っているわけですけれども、その保険料の一部は賦課方式で今の高齢者の人に回っていて、残りは積立方式で自分の老後に回っているというのが混在しているので、要するに、保険料を払っている人は、それは全部自分の老後のために担保されているという具合に思い込んでいるので、昨今の未納の問題にしても、年金記録の問題にしても、自分が払った保険料だから返せと言っているわけですけれども、実際には自分が払った保険料のほとんどは今の高齢者の人に回るようなシステムになっているので、そこの給付のところの賦課と、積立の部分をやはりすっきり分ける形にしておかないと、幾ら財源を充実しても、特に若い人から見れば少子高齢化で賦課の部分はどんどん減っていくというのは、幾ら財源を消費税から入れても同じですので、ここは税調の話と若干飛びますけれども、安心ということを前面に出すのであれば、年金の賦課と積立が混在している部分をいかに今後解決していくかというのが大きなポイントだと思います。

それから、消費税の使い道なんですけれども、消費税は社会保障に当てるというのは、大枠ではいいと思うんですけれども、必ずしも社会保障だけがこれからの重要な問題でもない。

財源面から言いますと、1つはこれまでの大幅な巨額の財政赤字をどういう形で償還していくか、当然そこにも財源が必要になりますし、それから経済活性化のためにほかの税を減税するとすれば、その一部として当然消費税の増税分を割り当てるとか、つまり、法人面での課税の減税とそれから消費税付加価値税の増強というのは、ほかの国でもこの税調のあれでも書いてありますけれども、ドイツとかあるいはシンガポールとか、いろいろな国で標準的な税制改革のパッケージの1つになっていますから、必ずしも、要するに消費税を増税した分をすべて企業課税の減税に回すと言っているわけではないんですけれども。

香西会長

最後よろしいですか。

井堀委員

その点から、要するに、消費税の引上げ部分というのは必ずしも社会保障に限る必要はないのではないというのは1つです。

それから最後ですけれども、これは定量的な何らかの数字がある程度あった方がいいのではないかと思うんです。

例えば、消費税例えば1%で2.5兆というのは大体わかっているんですけれども、例えば、相続税の課税最低限、これをどのぐらいいじるとどのぐらいの税収が増えるかとか、あるいは、所得税だと控除を、ここでは配偶者特別控除の話とか、配偶者控除の見直しの話も出ていますけれども、それを仮にやめるとするとどのぐらいの税収が入るかとか、ある程度のいろいろな税制改革のオプションが幾つか出ているわけですけれども、それが全体の税収にどの程度の定量的な重みになっているのかというのがある程度わかれば、あるいはこれは企業関係でも研究開発投資にしても、あるいは法人税の引上げにしてもいいんですけれども、いろいろな税制改正オプションごとの大まかな税収に与える効果があれば、どの程度、それぞれを比較したときに何が重要かというのを定量的に判断ができると思いますので、これは全部書くのは非常に難しいと思いますけれども、ある程度大まかでわかるところに関しては定量的な数字もところどころに入れておいた方がいいのではないかと思います。

以上です。

香西会長

では、田中委員で最後にお願いします。

田中特別委員

それでは、皆さんが総括的なお話をなさったので、ちょっと個別の細かいことをお話しさせていただきます。この資料の消費税関係の3ページ目の真ん中の「<4>制度の信頼性・透明性を高めるための取組み」というところでございますけれども、この免税点制度、あるいは簡易課税制度というのが平成14年に大幅に見直されまして、それなりの大きな効果があったということで、そのときの御説明で、たしか全法人の、正確には覚えていませんが、大体20%ぐらいがこの制度を受けているというふうに覚えていますけれども、大体その水準が果たして妥当なのかどうかという検証が必要ではないかと思います。

というのは、その3つ下に「事業者免税点制度あるいは簡易課税制度についても、引き続き必要な見直しが行われるべき」と書いてありますけれども、これは特に次善的なもので、当然経済状況等々が変更いたしますから、それに合わせてそういう見直しが必要だという提案だと思うんですけれども、今まで消費税の制度の中でやはりこの辺の制度というのは不公平感を生む温床の1つになっていると考えておりますので、その辺の公平性を保てるような透明なる制度にするように、十分なる検討が必要ではないかという気がいたします。

もう一つは、法人税関係でございます。これは今までここに触れられておりませんけれども、減価償却制度でございます。これは今年の税制改正の目玉といたしまして、40年ぶりぐらいに抜本的な改正が行われまして、欧米並みの国際的にも遜色のない水準になったというふうに評価はしております。しかしながら、幾つか積み残しの課題がございました。

例えば1つは、耐用年数の区分が日本ではまだ400近くあるということでございますので、その辺を大くくりにすることによって、我々の実際の実務処理上の効率性、簡便性を高めていただきたいということでございます。

もう一つは、耐用年数の実態に合った見直しということです。昨今の技術進歩に伴いまして、実態の耐用年数とかなりかけ離れておりますので、その辺を合わせていただくことによって、更に更新の意欲がわいて、設備投資が促進されるのではないかというふうに考えております。この辺は国際競争力の維持という点からは是非必要ではないかということでございますので、せっかく今年の減価償却制度の見直しでそこまでやっていただけましたので、積み残しの課題を是非20年度の改正の一部に盛り込んでいただくとありがたいなと、その2点でございます。

香西会長

どうもありがとうございました。一応御意見は一巡したということにさせていただきたいと思います。

実は、私も意見を言っていない最後の一人なんですけれども、今までお聞きした意見も相当多種多様でありまして、これで果たしてまとまるのかなということもあります。私、何か言えと言えばいろいろな破壊的なことを言いそうなので本日はもう口をつぐんだまま終結させていただきたいと思います。

この辺で一応終わりということでございますけれども、今後のスケジュール、やり方について、御説明をいたします。

来週からは、いよいよ答申案の審議、答申案を起草して、その案を皆さんにお示しして審議をする、企画会合に答申案をお示しして、これまでいただいた御意見を答申案の形にして御議論したいということでございますので、これまでの意見をできるだけ答申案に組み込んで一応答申案の素案という形をとりまして、そこで企画会合の御意見を聞くということで考えております。

具体的な案のつくり方でございますけれども、神野会長代理や税目ごとの審議で司会進行をお願いした主査の方々に御協力をいただきまして、僣越でもありますが、役目柄仕方がないと思いますので、私の方でと言いますか、私の責任で起草をして、次回の企画会合に御提示したいというつもりでおります。

具体的な日程でありますけれども、11月13日の火曜日1時30分から4時30分まで、その次は11月16日午後1時30分から4時30分までということを予定しております。

非常にうまく行けば、これでできれば議論を取りまとめたい、できれば、11月20日頃を目指して頑張ってみたいということで今は考えております。できるだけ精力的に御努力をいただきたい。事務局の方もいろいろ御迷惑をおかけすることになるわけですけれども、とにかく一度そこでやってみたいということで、また、その文章を含めた一応の素案について今度は逐一御議論をお受けしたいと思っております。

また、その段階に入りましたら、いろいろな御意見が出てくることもあり得ると思いますので、それを承りながら、できれば最終案を早く見たいものだというつもりでおりますので、来週もひとつよろしくお願いをしたいということでございます。

原委員、どうぞ。

原特別委員

今、11月20日を目途にとおっしゃいましたが、20日も会議を予定されると。

香西会長

これは2回の会議でどういうことになるかということですが、一応やる予定にはしております。20日にやる予定です。

原特別委員

20日は何時からですか。

香西会長

まだ時間的には決まっておりませんので、来週中に。

なお、来週からの企画会合でございますけれども、答申案の審議ということになりますので、昨年と同様に、記者の方々の傍聴は御遠慮いただくこととさせていただきたいと思っております。企画会合の終了後には一応記者会見で私より議論の概要を説明させていただくという形で、前年のしきたりを踏襲したいというふうに思っておりますので、取材の皆様にもよろしく御協力をお願いいたします。

それでは、本日の企画会合は終わりますので、お忙しいところを長い時間御努力いただきまして大変ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本文中の○付数字の標記は、<○>にて標記致しました(内閣府のアクセシビリティによる)。

本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。