企画会合(第21回)終了後の香西会長・吉川主査記者会見録
日時:平成19年11月2日(金)16時02分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇司会
ただいまから、第21回企画会合後の記者会見を行います。
まず初めに、吉川委員が主査として本会見に出席させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
〇質問
3点いずれも香西会長にお願いします。
まず1点目は、今日の会合で、吉川先生が消費税引上げはやむなしとお話しされまして、多くの、まあほとんどの委員の方だと思うんですけれども、その意見に賛同しますというお話をされていました。こういう状況になりまして、また先の話をして申しわけないんですが、答申に何も反映されないという選択肢があるのかどうか。要するに答申にどういうふうに、内容は別にしても、ある程度触れざるを得ないのではないかと私は考えるんですが、いかがでしょうか。
2点目が、最後に会長が、ただ、引き上げるにしてもいろんな条件があるんだろうというお話をされてましたが、あの場面では少し短かったので、補足的にいろんなことがあると思いますので、お話を願えればと思います。
それから3点目。次回、総理官邸で税調をやるということなんですけれども、そのお話はどのように進まれるのか。それから、これは公開されるんですか。我々は見ることができるんでしょうか。
この3点をお願いします。
〇香西会長
会議の状況については、皆様もご参加というか、傍聴というか、聞いていただいてますので、それが反映して答申が書かれることになるだろうということは当然のことだろうと私は思います。
ただ、今日の会議の読み方は人によってまた若干違っているかもしれないし、いろいろなことがありますけれども、会議の議論では少なくともこういうことが言われていたといったようなことが、その影響が全くないような答申というのは書けないでしょうということだろうと思います。
それから引上げにはいろいろ条件があるということがありましたけれども、実際にどういうふうにやるかということになると、これはかなり具体的な条件があって、景気がどうなりそうかとか、いろんなことを考えなければできない問題であると。それを今から全部洗いざらいに言って、税調の中で議論した結果でそのままいくということには必ずしもならないぐらい、考慮しなければならない点はたくさんあるだろうと。もちろん政治情勢というのも考慮されるんでしょう。最終的に決着がつくまでにはですね。
それから官邸はよろしいということで……。
〇事務局
本日2時に各クラブに貼り出しをしていますが、オープンです。
〇質問
内容はどうなんですか。
〇事務局
今日の論点のお話等ございますので、総理が発言されたり……。
〇香西会長
ご挨拶があることは間違いないと思います。時間的にそんなに長い時間はとれないだろうということもあらかじめご了解ください。ということです。
〇質問
今のやりとりとちょっと重なるんですけれども、両先生にお伺いします。今日の議論、社会保障の安定的な財源を今後確保していくためには、消費税を上げるという、そういう選択しかないという意見が大勢を占めていました。一方で、逆進性の問題どう考えるかというのはいろんな意見があったのと、目的税化についても幾つか異論があったかと思うんですけれども、全体的な今日の議論の受けとめ、どうなのかということと、今言った目的税化とか、逆進性の問題とか、軽減税率の問題とかも含めて答申にどのように盛り込んでいく方向なのか、お考えをお聞かせください。
〇香西会長
会議の最後に申しましたように、これまで主として税目別に毎回議論をしてきたのを一応一巡したという形になっております。そういう機会もあるので、ほぼ一巡して、これからは答申に向けてといいますか、最終に向けて議論は始めることになる。私たちの税調はですね、そういういわば節目に当たりますので、総理いかがでしょうかというふうにこちらからお願いしたというのが実態ですから、これからはそういうまとめのほうに入っていくことになります。
それはどういうふうにやるかというのは、まだ具体的にピタリとシステムができ上がっているわけではありませんけれども、38人ですかね、現在。その全員がいつも評定するということでは難しくて、やはりこれまで問題提起をやっていただいた方を中心に、答申案というんですかね、それも素案というか、最初のドラフトのようなものをそれぞれつくっていただいて、それを相互に検討し合っていって、だんだんと文章的にもまとめていくという、どの程度の時間がかかるかわかりませんけれども、そういうことだと思います。
そのために、これまでのいろんな議論、企画会合における議論、それから前の専門委員の証言といいますか、分析、そういったことをもう一度選んで、そういった形の要約的な、こういう問題があったということを忘れないように、そういった議事の記録といいますか、それを事務的にまとめてもらっている段階で、それと、先ほど言いましたように、ある程度起草にとりかかっていただける方をお願いして、ドラフトを何回も書きかえる。それはお互いに分野が違っていても調整しなければいけませんし、それからまた場合場合に企画会合という形のものもやらなければいけないわけですから、企画会合規模の会議も開かれるということでしょうからかなりの時間がかかるわけですけれども、方向としてはそういう方向を考えています。
〇吉川主査
私のほうからも少しお答えさせていただきますが、まず第一に、今日の税制調査会と私の論点メモとか私見との関係なんですが、税調のときにも、私、だめ押し的に強調させていただきましたが、論点メモはあくまでも問題提起で、とりあえず論点を整理して問いかける。したがって、それは中立的な、あくまでも問いかけであると。
それに続いて、一本線を引いて、私の私見として、個人的な見解として意見を述べさせていただいたわけです。幸いなことに、今日の税調で比較的多数の方、私の私見、つまり、私の意見、個人的な見解に確かに賛成してくださったと思います。
しかし、もちろん、とりわけ消費税を上げる必要があるかということについては、慎重な意見、あるいは反対のご意見というのもあったと思います。今日ご欠席の委員の方から、文書で、いわば反対意見のようなものもいただいております。
そこで改めて、今日の会合を終えて今私なりの整理をしますと、こういうことだと思っています。つまり、今の税制改革の一丁目一番地は、やはり税の改革だけではなくて、社会保障と一体で考えると、社会保障制度の将来と一体でこれを考えなくちゃいけないという、これはコンセンサスなのではないでしょうか。また、私も個人的に、それはぜひともそういうことが必要だと考えております。
その社会保障制度のあり方ですが、さまざまな議論があって、今日の会合の中でも、委員の方から、消費税を上げる必要はあるのだけれども、社会保障の給付を効率化していくことはやはり重要なことなんだというご発言も、今日の会合でもありました。私もそのとおりだと思います。
私なりに別の表現で言いますと、私的な意見というところで、とかく所得の分配、ジニ係数なんかそうですが、お金、所得の分配、インカムの分配ということだけに注目がいきがちだけれども、考えてみると、メリットといいますか、ウェルフェア、厚生の格差、あるいは分配というほうがさらに進んで重要な論点なのではないか。そういうふうに考えますと、高齢化社会の中で、税だけで分配の問題、公平の問題、格差の問題を考えるのには限界があって、社会保障と一体で考えなければいけないと、こういうことですね。これは、私、たしか私的な意見のところで、例えば所得水準が全く同じでも、片や元気な人と片や病気の人と、ウェルフェアの格差というのはやはりあるじゃないか。こういうことも考えなければ、高齢化社会における公平とか安全・安心ということは確保できないのだと。こういうことを申し上げたわけです。
それで、最終的には消費税との絡みで言えば、今日の多くの委員の方のご意見では、社会保障と一体でどれぐらい再分配がなされているのか。消費税なら消費税がどれくらい社会保障に使われているのか。また、いわゆる消費税の逆進性との関係で言えば、今日の論点整理では、一時的な所得に対する概念として生涯所得という概念を出したわけですが、どうもこの生涯所得という概念が必ずしもわかりやすくない。これが本当にすぐにすべての人に理解されるのかというと心もとないと、こういうご意見もありました。
したがって、私自身は、今日の会合を終えて、もう少し事実とか、消費税が社会保障の関係でどういう役割を今の日本の中で果たしているのか、こういうところを税調としてもきちっと丁寧に説明する必要があるのではないか、こんなような感想を持っております。
〇質問
会長に重ねて伺います。さっき吉川先生もご指摘のように、消費税というのは100%満点のものではないんですけれども、やっぱりこれからの社会保障費が増えるということを考えるとメリットがあって、それを国民に説明する必要があるのではないかというお話がありましたけれども、今日の課題であった消費税、皆さん、増税はやむなしという意見が多かったんですけれども、会長はこの消費税増税についてどういうお考えなのか、改めて伺えればと思います。
〇香西会長
大体基本的には吉川委員のご意見に私もほぼ同感しております。これは国際的にもそうだという話も、今日の吉川先生のつくったグラフの中にも入っていましたけれども、結局やっぱり消費税というのは広い意味で付加価値税の一つだと考えていいと思うんですけれども、付加価値税というのは、あれは何年ぐらいからですかね。非常に短い期間でここまで大きな、130カ国ぐらいが採用しているぐらいに急に大きく、特にEUが中心になってやってきたわけで、福祉の財源としては、理屈を全部うまく整理して言うことは僕にはまだできませんけれども、歴史的経緯をたどれば、基本的には、それ以外に、あれだけの集金力というんですかね、それを持っている、そして国民に広く福祉を分かち合う、分けてお互いに福祉を高め合っていくということをするについてはやっぱり不可欠な手段だろうと。歴史的な判断から言えばそういうふうになるのではないかと。
そのほかに、もちろん、今日いろいろお話があったように、特に日本のように、少子高齢化が非常に激しくなってきますと、やっぱり現役世代というのもかなりきついわけなので、そこばっかりに税金をかけると、負担させるということは非常にかえって不公平なことになるということもありますから、現在の消費税、あるいは現在の社会保障の保険料とか、それが非常にいいというか、問題がないということではなくて、やはりそれを少しずつでも問題があれば改善していくということ以外にちょっと具体的に置きかえるものというのはないんじゃないかという印象を持っているということですね。
ただし、今日の議論も、吉川委員も今言われましたけれども、実態はどうであるかということについては、私もまだ勉強するんですから。しかし、これは今年度だけの問題ではありませんから、私はともかくとして、税調全体としてもやはり消費税の研究はこれからも続けていくことになると思います。
〇質問
香西会長にお伺いしたいんですが、先ほど税率の引上げの時期について、景気の動向等々いろんな問題があるというご発言があったかと思うのですけれども、それと、景気動向と関係なく、09年度の基礎年金の国庫負担割合の引上げということが決まっておるのですが、これにあわせて消費税率を引き上げる必要があるというお考えなのか、もしくはそれは答申にそういった時期も含めて反映させるというお考えがあるのかお聞かせください。
〇香西会長
しかし、それだって若干まだ時間の幅はあるわけですよね。延ばせという人もいるわけですから、簡単には結論は出ていないと思うのですが、しかし、政府が約束したことを守るということは、特にこれだけ借金をしている政府の信頼性のためを思っても非常に大事なことであるということは間違いないでしょうね。しかし、だからそれがすなわち何年何月にというところまでなるかどうかということについては、私にはまだ考えついてない、いろんな条件をいざとなればもう少し考えてみなければならんだろうということだと思います。
〇質問
会長、最後におっしゃった、国債残高を減らすためにと言うといろんな抵抗があると。そこのところを突破するためにはいろいろまたお知恵を借りないといけないというふうな趣旨のご発言をされたと思いますけれども、今回の消費税引上げやむなしというのは、あくまで社会保障の増大に備えるためであって、今問題になっている財政再建の話とは切り離してやるべきだというふうなご説明だったと思うんですが、その点はいかがなんでしょうか。
〇香西会長
どういうことかご質問の趣旨がよくわかりませんが。
〇質問
ごめんなさい。今日の税調での議論は、社会保障のために消費税上げるのはやむなしという議論だったと思いますが、最後の会長の発言は、それだけではなくて、財政再建を見据えた対応が必要なんじゃないかというニュアンスが入っていたのかなあと受けとめたんですが、そこはいかがなんでしょうか。
〇香西会長
簡単に言えば、そういう意見があるわけですよね。私の意見では必ずしもありませんけれども、国債残高がこれだけ大きいということは一日も放置できないはずではないかと、こういうご意見はいろいろ新聞等にも散見されるところだろうと私は思います。ところが、それに対してそういう説得をしようとすれば、これは説得をすると言ってごまかすとかそういうことじゃないので、そういうことに国民の支持が集められるようにするための条件は何かと。ただ知恵を出して、ごまかし方を教えてくれと言ったつもりはないので、どういう条件があればそういうことが国民に納得されるのかということが問題なんですね。
社会保障について、必要になったんですと言えばわりかし好意的に迎えられるということは、これは世論調査なんかにも出ているわけです。もちろんそれも、先ほどありましたように、いろんな問題があって、そう簡単ではありませんけれども、国債残高のほうの話になると、これは社会保障に使うんですということではないとして考えているとすれば、それはまたそれでどういう条件を整えたら国民に納得してもらえるかということも考えなければならなくなるだろうと、こういうことを予想してというか、心配しているということであります。
〇質問
今回の建議については、議論があった社会保障に関して必要だというご趣旨で、財政再建の話は切り離すということでしょうか。
〇香西会長
考えておりません。やっぱり答えは税をどうするかということですから、こういう必要があるからこういう必要にということで、それはどちらかに限定するという気持ちはありません。まだ今のところ私にはありません。税のほうから言ってこれぐらいということで考えていくということも必要なわけでして、何のための増税かというか、社会保障を幾らにするかとか、国債残高の減少、削減をどのぐらいのテンポでやるかということは直接、税の問題ではありませんから、それはほかのところでもいろいろ議論されていく。そういった中で我々は税のほうから考えたことをご報告する、こういうことだろうと思っています。
〇質問
ちょっと重ねてお伺いしますが、今日の議論では、社会保障のための消費税引上げはほとんどみんな必要だという考えで一致していて、答申でもそういうことを書く方向だとは思うんですけれども、一方で、それを国民にどう理解してもらうのかということについてはいろんな意見があったかと思います。逆進性の議論も、いや、大したことない、こんなのとるに足らないという意見から、日々、スーパーでいろいろ、どこで買うか考えている人からすればこれは結構大きな話なんだという意見までいろいろあって、ここは非常に、答申の書きぶりでもどうするか大事なところかと思うんですが、国民への理解、どう納得を得るか、ここは、会長、今どのようにお考えでしょうか。
〇香西会長
今日の議論をお伺いしていて、先ほど吉川委員も言われましたけれども、事実をやっぱり再確認するということが非常に大事だなと。これについてはいろんな研究もあるわけで、そういったもののサーベイからもう一度少し復習していろいろ組み立ててみるしか、ちょっと考える対応はないと思いますね。
〇質問
香西会長に、もう今まで何度も、何人も伺っていることをちょっとまとめてで恐縮なんですけれども、これから来週以降、答申に向けて本格的な議論に入っていくということなのですが、こと消費税率の引上げの問題ですね。今、逆進性の問題であるとか目的税化の問題、今日はいろいろ議論が分かれたところだと思うんですが、そこの部分、ある程度具体的に、方向性というのは、例えば逆進性をどういうふうに解消していくのか、あるいは目的税化するべきなのかそうしないべきなのか、そこら辺も答申に何らかの方向性を出したいというお考えでしょうか。
〇香西会長
結論が出れば、皆さんが一致する答申案が書ければ、そこに皆が一致した意見で、これでいいと決まればそれは書かせていただくということになるでしょうし、議論がなかなか分かれていれば問題点の指摘に終わるということになるでしょうし。
いずれにしましても、今日非常に大勢の方が吉川委員の提案に同感したというのは非常に大きな流れなんですね。日本において、日本でこれまでやってきたような社会保障制度を少なくとも維持してほしいという方が非常に世論調査を見ても多いと。しかし、高齢化、少子化がどんどん進んでいるわけですから、それを維持することだって大変。一人当たりは変わらなくても、どんどん高齢化したら、もらう人は増えていく。そうするとどこかで税源が必要で、それは保険料がいいのか税がいいのかということになってくるわけですよね。つまり、働き手が少なくなってきている中でもらうほうの人は増えてくるわけだから、何か財源が必要なわけですね。
それについて、引上げやむなしという方も、長い目で見たら、なかなかほかに手はちょっと考えられないなあというのは多くの方の感想であるわけですけれども、例えば社会保障制度にもう少し改革が行われる可能性がないのかとかそういったところまで含めていくと、あまり早く引上げやむなしと、こう言っちゃうと、逆に日本の経済のためにプラスにならないこともあるわけでして、私としては、税調の中にはそういう期待もまだ残っている。それから歳出のほうをむしろ抑えたほうが大事なんじゃないかという議論も起こっている。国債がたくさんたまったのは、誰が発行したかというと、それは歳出があって発行したわけでしょうから、そういう議論もあるわけなので、答申までの間に、そういったことについても、ほかにどんな手があるかと。
それは、私だって税を増やすのが仕事というようなサディストではないわけであって、あがけるだけあがいて、あがいてあがいて仕方がなくなってから初めて増税というふうに落ちつくわけですから、答申に向けてさらに議論も深めるし、いろんなアイデアも聞かせていただいて、事実も調べたいしということで、そういったことをあがきにあがいて、最後にどうなるかということがわかるのは答申のときということにするのが当然私たちの立場だろうと。そういう意味では、委員の方々の考え方はだんだん固まっているんだろうなと。それは時期が近づいているわけですから、そうしてもらわないと、いつまでたっても小田原評定になっちゃうので、それはできないわけですけれども、私の気持ちとしては、今の段階で、もうこう決まりましたよと言うつもりはないということです。
吉川委員のお話は、一つの大きな傾向についてのお話として、そうだろうなと思うけど、まだ一縷に何かあるかもしれないと思っている面もないというわけにはいかないので、それを探すのがまた税調の仕事でもあるわけですから。最後になってくればですね。私としてはそういう気持ちでおりますし。
例えばこの間のあの富田さんの報告に対しても、増税とは書いてないですね。収支の不足と書いてあるわけですから。収支がバランスするためには、増税だけではないわけですよね。支出を抑えるという手だって論理的には残っているわけですから、そういう点で、あまり簡単に増税やむなしというふうには私は思いたくないと。まだまだのたうち回る時期があると、こういうふうに考えております。
〇質問
香西先生にお伺いしたいのですが、あがけるだけあがいてと。その上で増税ということだと思うんですが、先日から諮問会議とかで、成長率とか歳出削減の度合いによって随分増税の幅が変わってくるという試算がいろいろ出ているかと思うんですが、名目の成長率のことで、今週の日曜日だったかと思うのですけれども、テレビ朝日の番組で竹中元総務大臣が、名目で3%の成長というのが非常に控え目な数字だと。大体3%と2%で区分けして場合分けしていると思うんですけれども。諮問会議の試算だと。2%というのは大体政策が失敗した場合だと。今、先進国は5%成長ぐらいだと、こういうようなお考えを話されているんですが、香西会長、この点についてどうお考えになられますか。
〇香西会長
大エコノミスト、大政治家の意見にコメントするつもりは私には今ありません。ごめんなさい。
〇質問
香西会長にお願いします。
ちょっと同じような質問になってしまうんですけれども、今会長がおっしゃっていたことを聞いていると、増税の前に歳出削減を徹底することが必要だと。今、例えば与謝野さんなんかのグループは、歳出削減もしなければいけないけど、今はやっぱり増税なり歳入のほうに手をつけないともう間に合わないのではないかという話もいろいろ出始めているんですが、会長のお考えというのはそれとは若干異なるというイメージなんでしょうか。
〇香西会長
税調が増税をしなければならないと考えるというのはむしろ最後だと思っているんですけどね。主税局というのは大体は減税をするお役所だったんですよ、日本では。シャウプ調査団が来たとき、あの占領軍に向かって減税を最後まで頑張ったし、それから昭和三十何年かの税調答申の中には、税収は国民所得の2割を超えてはならないというふうに、そういう上限を決議したことがあるわけなんですね。
つまり、私はやっぱり、税を預かる人間としては、最大限、税を取り過ぎないといいますか、何でもいいから、とにかく、ほかに手段があるんならそっちでやっていただいてということでないと、税というのは人の財布に手を突っ込んでとってくる権力そのものですから、その権力の行使に対しては、役目柄としても慎重でなければならないし、それはまた従来もそういうふうに税の当局はやってこられたと。その伝統は私は守ったほうがいいのではないかと思っているということです。
〇質問
ちょっと重なるような質問になってしまうかもしれないんですけれども、今日の議論で、引上げの時期とか幅とか、そういう話は全然なかったかと思うんですけれども、そういう問題というのは政府税調としてはあまり触れないおつもりなのか、それとも、これから詰めの議論というか、そこの中で議論していって、答申で言及する可能性があるのかというのはどうお考えでしょうか。
〇香西会長
これは、答申案がだんだんまとまって出てきて、中で議論して、これを答申に含めようという合意ができれば入れるでしょうし、そこまでやらないでというか、そこはある程度非常にきわどい判断がたくさん入るわけですから、それは執行責任を持っている人に委ねて、その方々の参考になるような考え方だけを書くということで、むしろ中立的な機関としての、執行機関ではない我々の立場としてはそっちのほうがいいのではないかと、こういう考え方もあり得るわけですから、それはそのときの議論の成り行きで、税調なりの意見調整がどういう形で進むかと、こういうことだと思います。
〇質問
今日のやりとりに限らずのことでちょっと香西会長にお伺いしたいんですけれども、そもそも税調の役割というのは何ぞやというところにもかかわる話ではあるんですけれども、今、税制改革をめぐる政治状況というのが非常に混迷していまして、民主党が参議院では第1党を持っていて、なかなか法案も簡単に成立させるのは難しいという状況があり、その中で、特に皆さん方関心を持っている消費税の問題については、とりわけ考え方がかなり与党と民主党の間で違うという状況があります。
そういう中で、政府税調は9月以降、こういういろんな幅広い議論をやってきているわけですけれども、答申というのはあくまでも政府への提言だとは思うんですけれども、そういう政治的な実現性みたいなものは全く考慮しないで、あくまでも皆さんがここで議論しているような、それぞれの良心に従って意見をおっしゃっていると思うんですけれども、そういったものを集約して、それは提言としてまとめて、あとそれをどう実現するかは政治の世界、民主主義とはそういうものだとよくおっしゃってますけれども、政治の役割であるという切り分け方を考えているのか、それとも、答申の中にはある程度やっぱりそういう政治的な実現性も考慮した上でどういう提言を書いていくかということも考えていくということなのか、会長のお考えはどちらに近いでしょうか。
〇香西会長
それは答申原案ができ上がってからみんなで議論して決めることで、どっちの方向で徹底すべきだというふうには考えてないと思いますね。議論として。もちろん、専門家の立場ですから、技術的なことでもしっかり詰めなきゃいけないとか、そういう専門家の倫理というのはあるわけですね。しかし、幾ら専門家でも、自分の考えたことは、これがいいと思うことが実現されることはうれしいわけですから、そうすると、政治情勢を全く無視するということでもないかもしれない。
それは結局、その議論が行われて、どれぐらいみんながそれを強く、また弱く議論して、結論があってもまだいろいろ、分かれた意見があるのかないのかとか、どれぐらい統一的な意見でまとまるのかといったようなことも含めて、答申の案ができたときに決断すべきことで、あらかじめ、今の政局はこうだからこうしようということもないし、だからといって、自爆覚悟と言っちゃおかしいですけれども、これは今の政局にはとても合わないけれども我々はやるんだというふうに、それは必要な項目であればそうするでしょうし、だけど、そうでないのに肩を張って無視していくのがいいとみんなが思うかどうかということが問題で、あらかじめ方針が立つものではなくて、結局でき上がった答申の中身にどれだけの、そこへ会議の、調査会の意向を吸収する中心として焦点を当てることになるような形の議論が成立したかどうかと、その結果によるのだろうと私は思っております。
〇司会
ほかにございますか。よろしいですか。
それでは、これで記者会見を終了させていただきます。
〇香西会長
どうもありがとうございました。(了)