企画会合(第17回)終了後の香西会長・水野主査・中里主査記者会見録
日時:平成19年10月12日(金)16時20分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇司会
それでは、ただいまから第17回企画会合終了後の記者会見を行います。
まず始めに、本日、水野委員と中里委員が主査として本会見に出席させていただきますので、よろしくお願いいたします。
〇質問
水野先生にお伺いしたいんですけれども、今日の公益法人の関係で、「資料(公益法人課税・寄附金税制)」の6ページに、平成17年6月の基礎問題小委員会のワーキンググループの討議が出ているのですけれども、今日のお話はまだその前段階だとは思うのですけれども、1つ、学校法人、社会福祉法人、宗教法人を当面現行どおりとするというところ。それから「営利法人と同等の課税とする方向で検討」、これは2番目の●の三角の2番目ですね。それと寄附金税制のあり方、一番最初のところ、「基本的に寄附金優遇の対象法人として取り扱う方向で検討」と。この3点についてはおおよそ流れ的にそういう感じかなという気は勝手に私はしていたんですけれども、先生のほうとしてはいかがでしょうか。
〇水野主査
今ご指摘いただいた6ページ、これは平成17年ですので、大体2年前ですから、状況は少しは変わっておりますが、今のところ、特別法による学校法人、社会福祉法人、宗教法人等はそのままの状態で、新たにできる公益法人の課税関係を考えると、こういうことではないかと思っております。
それからその後の、この当時は非営利法人と言っておりましたけれども、新しくできる一般社団法人、一般財団法人、これがいろいろ多様な性格を持っておりますので、極端なものは株式会社と同じように、そこまでいくか分かりませんが、株式会社のようないわゆる法人税、普通法人のような取り扱いを受けるかもしれませんし、また他方で、先ほどお話ししましたけれども、公益認定は受けなかったけれども、公益的な活動が多いもの、これはやはりそれなりの、公益社団法人・財団法人に似たような取り扱いをできるだけ受けるようにすると。これが基本的な方向ではないかと思っております。
〇質問
あと寄附金税制のほうなんですけれども。
〇水野主査
そうですね。寄附金税制につきましては、ここでは「公益性を有する非営利法人」と言っております公益社団・財団法人につきましては、これは特定公益増進法人の中に加えると、こういう方向で大体方向は進んでいると思います。
〇質問
今のに関連してなんですが、寄附金税制のその対象がそうすると変わってくると思うんですけれども。数としてですね。今大体特増で900ぐらいあろうかと思うんですが、2万5,000が、厳密な数字はとてもわからないと思いますが、特定公益法人、認定、公認される新しい公益法人のほうに移行できる法人の数がですね。いろんな条件あると思うんですけれども、50%。これはどれ位になりそうだというような見込みがあるのでしょうか。
〇水野主査
この点については、来年の12月1日から公益認定開始ということですが、どのぐらい、まず今ある公益法人が公益認定を求めてくるかと。これもちょっと予想できないところですが、さらに各都道府県でも公益認定等委員会と同じようなものをつくりますので、そうしますとまた……ただ、国が所管しなければいけないものは七千幾つあると思いますので、そのうちのどのぐらいが公益社団・財団法人として残るか、ちょっとまだ全然わからないところですね。
いずれにしましても、特定公益増進法人のような、寄附者にとって有利な扱いをするということは、平成17年のこの「基本的考え方」のときから方向として出ておりますので、ですから、簡単に言うと、特増みたいなものが増えるということは確かだと思います。
〇質問
そもそものことで、どういうご認識なのか、水野先生と香西先生それぞれにお尋ねしたいんですけれども、今日の公益法人の課税の議論を聞いてますと、かなりいろんな意見が出ていて、2年前に政府税調でまとめたこの報告書に対しても結構異論が出ていたように聞こえたんですけれども、この2年前に出した考え方というのは、今後も、今の税調でもこれに沿って検討していくという方針であるのか、それともこれはもうニュートラルで、メンバーも変わったし、時期も変わっているから、また別途こういうことも、ここに書いてあることの是非も含めてきちんともう一回議論し直すということなのか、どちらなんでしょうか。
〇香西会長
私はまだ、前のときのことは理解していませんので、ちょっと申しわけないけど、水野先生からお願いします。
〇水野主査
確かに、おっしゃるように、このワーキンググループの時代と今とで違いますので、何よりもう、いわゆる公益法人3法ができ上がりまして、それとともに用語がかなり変わっているわけですね。かつて非営利法人と呼んでいたものは、これは公益社団法人、公益財団法人と一般社団法人、一般財団法人というものに分かれて、特に重要な点ですけれども、公益事業目的というのが公益認定を受ける法人の中心になっているわけなんですね。ですから、このワーキンググループの基本的な考え方に対して異論があるというよりも、新しい取り扱いについてはどうなんだと。おそらくそちらのほうでの質問が、あるいは意見が多かったのではないかと思っております。
〇質問
つまり、焦点になりそうなのは、公益認定を受けなかった一般の社団や財団に対する課税をどうするかというところだと思うんですけれども、この一般というところを、言葉は違いますけれども、2年前のこのペーパーにあるように、公益性を有する非営利法人以外の非営利法人で、しかも会員のために共益的活動を行うものでもないというところについては、営利法人と同等の課税とする方向で検討とあるのですけれども、つまり、これは、同窓会みたいなものを除けば、一般社団、財団も営利法人と同じように30%の税率がかかるというふうに読めるんですけれども、その考えは変わってきたということなんでしょうか。それとも、私の、もしかしたら誤解があったらそれはご指摘いただきたいんですけれども、どのように理解したらよろしいんでしょうか。
〇水野主査
このワーキンググループの●の2番目からも読み取れると思いますが、新しい法律の公益社団、財団法人以外のものにつきましては、やっぱり多様なものがあるということですね。非常に株式会社に近いような法人から、公益認定を受けてないけれども公益活動の比重の高い法人まであるわけです。ですから、これを1つにまとめて課税するのは無理なので、何らかのグルーピングがなされるのではないかと思いますが、その点では、この●の2番目の考え方が変わっているわけではなくて、基本的にはこの方針に従ったものになると思います。
〇質問
すみません。ちょっと私の理解が浅いのかもしれませんけれども、今のご説明で、何で基本的にこの方針なのかというのがちょっとよく理解できなかったんですけれども、そのグルーピングがされるというのは、つまり、最初おっしゃったように、公益認定を受けないものについてもかなり営利的な色彩が強いものから公益的色彩が強いものまで幅広いということは、それはそのとおりだと思うんですけれども、さらにその中に、一般財団、社団の中にまた幾つかのグループをつくって、それで公益性の高いものは、収益事業は課税するけれども、それ以外は非課税にすると。で、営利性が高いものについては収益性が強いので、全部普通の法人、株式会社と同じように課税すると、そういう分け方がされるんでしょうか。
〇水野主査
具体的にどういう課税の方式がとられるかはこれから検討することですけれども、結局、新しい公益社団、財団というのは、公益目的事業の比率が50%以上でなければならないという数字を置いているわけですね。ですから、そこまでたどり着かなかったという法人もやっぱり出てくるわけですね。その途端に普通法人並みに扱うというのは、やっぱりこれはちょっと不合理だろうと思いますが、これからどういう形の課税の仕組みを考えるか。これは非常に、今よく分からんと言われましたが、こちらもまだそこまで議論してないので、これからの課題ですね。
ただ、公益認定を受けられなかったものはみんなもう普通法人ですと、そういうのは、私の個人的見解ですけれども、逆に少し乱暴ではないかなと思っております。
〇質問
それと、今日は議論が途中で、時間の関係で終わってしまった印象があるんですけれども、また引き続きこの議論は税調のほうでやっていこうというご予定なんでしょうか。
〇香西会長
どういう形でかは別として、20年度の税制改革の中に入ってくるとすれば、もう一度、体制というか、結論ははっきりさせたほうがいいだろうと思っております。どういう形になるかは私もまだ予想はできませんけれども、詰めるべき問題があれば、それを詰めた上で答申するという形になるだろうと思います。
〇質問
会長にお伺いしたいんですが、本日の議論とはちょっと話がずれるんですけれども、今、道路特定財源の話がいろいろ話題に上っているかと思うんですけれども、一般財源化というところと、あと暫定税率の2つの部分について会長のお考えをお伺いしたいのが1点と、今後の政府税調の中で、道路特定財源について議論をして何らかの意見をまとめ上げていくというご予定というか、お考えがあるのか、その2点をお伺いします。
〇香西会長
私の考えは、今はまだないかもしれないし、あったとしてもあまり言いたくないというか、まだ言うべき段階ではないと思います。というのは、税調はまだその議論はしておりませんから。これもやっぱり20年度税制改革の中の一項目として答えなければならないということであれば、何とか、どんな形で議論するかは別として、それなりの、税調としてはこう考えるということを答申の中に書き込むということにはなるだろうと思います。
〇質問
また今日の議論と離れてしまって恐縮なんですけれども、香西会長にお伺いしたいんですが、自民党のほうで財政改革研究会という形で、社会保障と税の議論というのが今週スタートしましたし、また政府・与党でも、社会保障と税の議論というのがこれから協議会を設けてスタートするということになっているんですけれども、このように、政府・与党とか、あと与党・自民党とか、そういったところでいろいろな場で税のあるべき姿どうなのかというような議論が始まるんですけれども、改めて会長、こういったいろいろな場で税の議論が始まっている中で、政府税調として、税の抜本改革に向けてどのような議論を進めていくべきとお考えなのか、ちょっとこのタイミングでもう一度お話しいただけますでしょうか。
〇香西会長
私は、政党のなさることに一々私がコメントするというつもりはないということですね。それは政党は政党で当然ご関心もお持ちなはずですし、繰り返し言ってますけれども、憲法によれば、税の話は全部法律になるわけですから、それは国会議員の方々が関心を持っていただいて当然のことです。税調としては、その中でそういった政治的な動きは、もちろん、それで盛んに政治的な議論が行われて、いろんな議論が行われること自体は歓迎したいと思いますけれども、税調自身として途中の段階でいろいろ口をはさむということは考えていないわけですが、しかし、税調、私どもとしても、それは諮問の項目にも入っている問題であれば、合格するか落第するかわかりませんけれども、答申はそろえて出すということになるだろうと、こういうことだと思います。
〇質問
香西会長に、多分、過去何度か同じような質問が出ているかと思うんですが、またいろいろ動きがあったもので、改めてお伺いします。
地方間格差の是正について、法人2税の配分を見直すという考え方が一方であって、官房長官も前向きな発言をしているんですが、一方で総務省は、それをやると税の応益原則というものから外れてしまうのではないかということで、地方消費税をもっと見直したほうがいいという考え方が、両方ありまして、会長、現時点でどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
〇香西会長
私がどれに賛成する賛成しないということを言うのはまだ早過ぎると思いますが、諮問会議では、確か3つの案のどれかになるだろうと言っていて、今お話しになった税源を交換するという話と、それから割り振りを変えるという話と、それからあとは交付税でという話もあったかと思いますが、それはそれぞれ、いいところもあれば悪いところもある可能性はありますので、その辺は、私個人の意見というよりは、議論するなら、一度税調の議論をやっていただいた上で、意見がまとまれば申し上げるということかと思います。
〇司会
これで記者会見を終了させていただきます。ご協力ありがとうございました。
〇香西会長
どうもありがとうございました。今日は難しい問題というか、専門的な問題だから、私の出番はないと思って安心して来ていたんですけれども、いつもながら、どうも失礼いたしました。(了)