企画会合(第15回)終了後の香西会長・水野主査記者会見録
日時:平成19年9月18日(火) 16時23分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇司会
ただいまから第15回企画会合終了後の記者会見を行います。
まず初めに、本日の会議でご案内のとおり、水野特別委員が主査として本会見に出席させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
〇香西会長
それでは、水野委員のことを一言だけご紹介申し上げます。
現在、一橋大学大学院法学研究科教授ということで、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、私とは違いまして、かなりのベテランで、もう10年ぐらいやっていただいているかと思います。ふるさと納税や公益法人の租税、その他について、主要な役割をなさっていらっしゃいます。租税法等については、大変な権威でいらっしゃるということであります。
私のほうからはそれだけです。どうぞよろしくお願いします。
〇司会
それでは、ご質問のある方は挙手をお願いいたします。
〇質問
水野先生にお尋ねしたいのですけれども、今日の個人所得課税の議論は非常に発言も幅広い内容にわたっていて、何か方向性をまとめるという段階ではないように感じたのですけれども、今日の議論をどのように受けとめられたのか、ご感想をお伺いしたいのと、もう一つ、次回以降、非常に幅広い議論の中で、どういったポイントに絞って議論をしていこうとお考えなのか、この2点についてお聞かせください。
〇水野主査
今日は、初めに若干お話ししましたように、総論的なことについてということで、逆に裏返して言いますと、あまり各論から入って個別の論点について議論をするというよりも、まず、基本的な論点を認識していただきたいということで、そういう私の報告から始めたわけです。
非常にさまざまな議論を出していただきましたが、感じましたことは、典型的に所得の再分配の問題など、あるいは個別的には少子化、さらに男女共同参画社会ですけれども、税制の役割と、それ以外の歳出等の、税制ではカバーできない問題があるということ、こういうことを委員の多くの方が認識して、それを発言されたなと感じております。
今後は、また会長先生にいろいろお伺いしながらまとめていかなければいけませんが、非常に幅広の論点を出されましたので、その中でどういうふうに収斂させていくか、まず論点をまとめた上で検討したいと思っております。
〇質問
それと、今後の議論の進め方全体について、会長にお尋ねしたいのですけれども、今日配られた紙に全部で6つのテーマが出ていて、各委員が中心になってということですけれども、一応、これが基本的なくくり方であって、これを一巡させて、それをもう一回回してというイメージなのでしょうか。なぜこういうことを聞くかというと、地方税とかそういう切り方はしないのかどうかということを疑問に思ったものですから、法人2税の配分のルールとか、あるいはふるさと納税というと、それぞれ法人課税でやったり、個人課税でやったり、分かれていくと思うのですけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
〇香西会長
それでは、私からですが、今のところ、この6人の主査を一応お願いしました。だから最低これはやります、ということは決まっているということであります。
おっしゃるように、これだけでいいのかどうかということは問題がありまして、例えば今日も税体系の問題はどこで取り上げるのかという議論はすでに出ておりました。税体系は結論までには考えなければいけないことでありますし、そこへ行くまでに、例えば地方の問題はいろいろ大きな問題となってくる可能性もあります。論理的に言っても非常に大事な問題である。これはすでにいただいている安倍内閣の諮問でも、地方分権の進展等の関係も含めるということになっておりました。そういうことに対応することも必要なことであると書かれておりますから、個別の議論、この6つの枠の中でその問題がある程度収斂する程度に議論が進めば別ですけれども、進んでいなければ追加するということもあり得ると考えております。
〇質問
自民党総裁選が始まりまして、両候補者とも消費税に関して議論を進めたいというお話をされていたのですけれども、どちらがなられても、そういう方向になるとは思うのですが、新しい総裁の下で税調の論議というのはどのような影響を受けるか、どのように会長がお考えか、香西会長にお伺いできますでしょうか。
〇香西会長
税調はそもそも総理大臣の諮問に答えるということで設立されて、ベースがそこにあるわけですから、総理大臣がお代わりになったということで、税制調査会に対して新しい総理大臣としてご意見があれば、当然、申し出られるというか指示があるだろう、自分はこう考えているということのお話があるだろうと考えております。
ご要請があれば、諮問ですから、それに対して、肯定的か、否定的か、懐疑的か何かわかりませんけれども、とにかく我々なりの結論は出してお答えするということになるわけですし、諮問自体を追加とか変更ということでなくても、そういうお話があれば、当然、それに対してある程度の対応、つまり、いい悪いとか賛成反対とかでなくて、とにかくそれについての税調の議論を行う。そして、その結果をまとめてご報告するということは、当然の義務であると考えております。
〇質問
ちょっと話が変わるのですが、香西会長が一番最後に、社会保障の将来像を政府で検討中だというお話をちらっとされていたと思うのですけれども、これはどこでどういう形で今やっていらっしゃるのでしょうか。
〇香西会長
私自身もよくわからないのですけれども、将来像ということよりも、むしろ今後の財政の見込みですね。決算がまず出て、それから介護とか医療についての見通し、そういったことが議論されているはずだと私は理解しておりますが、どこでやっているかというところまでは、私はよくわかりません。当然、担当省が関与しているだろうと思っております。
〇質問
たびたび恐れ入ります。さっきの総裁選の前のお話でお伺いしたいのですけれども、先週の税調の会合で、本格的な検討に入るということでした。その翌日に突然の形で安倍総理が辞任を表明されて、今こういう事態になっているわけですけれども、そのことに対する感想、特にその前の週に一度会長が官邸に行かれて、今後の議論の進め方について、ご報告して了承を得て始めたという経緯があったと思うのですけれども、その一日後にこういう事態になってしまったことに対する感想をお尋ねしたいのと、総理が交代したことによって、税調の議論の進め方に何か影響があるのか、この2点についてお聞かせください。
〇香西会長
税調に影響があるかどうかは、新しい総理大臣に聞いていただくしか私には答えようがありません。
私個人はどう感じているかといいますと、安倍総理には、個人的には非常に残念だったろうと同情申し上げている、とだけしか言いようがありませんけれども、いずれにしても、例えば今日やったような議論は、税体系のあり方全体をどう議論するかということとは関係がなくても、やっておかなければならない議論ですから、そういう点では、そこで考えた今後のやり方というのを続けていくことが、むしろ時間の節約といいますか、新しい総理が決まって、新しい方針が出るまで寝ているよりは、役に立つ選択であろうと考えております。そういう点では、別に損をしたというふうには考えていないということです。
〇質問
そうしますと、新しい総理が諮問をやり直すなり、何か新たな指示があれば、それは当然対応されるというのは先ほどお話がありましたけれども、それがあるかどうかは別としても、当面の予定どおり、税体系の抜本改革ということで、主要税目すべてについて、これまでどおり議論していく姿勢であると、そういう理解でよろしいのでしょうか。
〇香西会長
基本的にはそういうことだと思います。もちろん、新しい内閣の陣容が決まりましたら、関係の大臣や関係者に対しては、税調は今までこうしてきていますということを、報告をすることは当然報告をして、その際、いろいろな希望や指示があるかもしれない。そうは思っておりますけれども、それ以上特には考えておりません。
〇質問
そうしますと、最後に次回以降の日程がまだ見通しが立たないというお話がありましたけれども、これは、来週に新しい内閣ができることと関係があるということなのでしょうか。
〇香西会長
その関係はないと思います。来週については、今、主査と最後の詰めで、引き受けてもらいたいということで説得中でありますから、それができるかどうかということのほうが、来週、あるいは次の会合のスケジュールにとっては、我々が直接タッチしているのはその段階であります。
〇質問
そうすると、この中のどのテーマを次の回でやるということは決まっているということですか。
〇香西会長
どれをやるかということについて、最終調整をしているとお考えください。
〇質問
先ほど別の方から質問のあったことで、きちんとお答えがなかったようなので、再度お尋ねしますけれども、今、自民党の総裁選の中で、福田さん、麻生さん両候補とも、表現や言いぶりは違いますけれども、消費税の税率引き上げについて検討していくお考えを言及されています。このことについて、会長としてはどのように見ていらっしゃいますか。
〇香西会長
消費税を含めて税体系を議論するということは、前回の諮問に書いてあることでありまして、そこから特に変更はなかっただろうと、今のところ、そのところを取り消されたことはないと、こういうふうに考えております
〇質問
今日の議論の中で、やはり税体系というのを考えると、もっと簡素化していくべきだという話の中で、香西先生は前からおっしゃっていましたけれども、控除の見直しが委員の中からたくさんご意見があったと思うのです。この方向性は、今後基本になって収斂していくと考えてもいいのでしょうか。
〇香西会長
今日は、水野先生のプレゼンテーションは、会議の席でもご説明がありましたけれども、控除の問題といったようなことについては、第2ラウンドで考えている、言いたければ意見を言ってもいいと、こういうのが今日の約束でありまして、水野委員からそれについて本格的に構想なり何なりというものは今日はなかったわけですし、やっていけばその問題は当然政策的に大きな問題ですから、議論になるだろうと私は考えているわけですけれども、今のところはそういう段階であります。議論はその前で一応止まった、あるいは意識的に止めて、次の会議に期待を持たせたというか、皆さんにその点を今日の議論も含めて考えてもらいたいということだと思います。
〇質問
そうしますと、次回以降は、これは別に水野先生の場合だけではないのかもしれませんが、その分野分野の主査の方が、個人的な見解も含めて、こういう改革の方向性があるだろうというようなものをたたき台として示して、それについていろいろ賛否両論議論をしていく、そういうやり方をとっていくということなのでしょうか。
〇香西会長
終結的にはそういう段階にいかなければならないわけですが、とりあえずのところは、これは水野先生だけではなくて、少なくとも二巡ぐらいはしたいという希望がありますから、第一巡目に何を出されるということは、主査の方にお任せして、しかし最終的には、具体的な答申あるいは全体像につながるように考えてほしいということを希望しているわけです
〇質問
議論の最後のほうで、香西会長が感想というか、ちょろっとおっしゃっていた中で、「負の所得税」の議論をしたほうがいいということをおっしゃっていたと思うのですけれども、これはどういう意味合いでおっしゃったのですか。所得税の課税のあり方を考える中で、こういうやり方は非常に有力であるというか、望ましいというふうに会長自身が考えているということなのでしょうか。
〇香西会長
日本でそれが実現するかどうかとか、実現すべきかどうかということについては、一切言っておりません。ただ、所得税のあり方として、累進課税によって高い所得の人の所得を取り上げて所得再配分をするという、まあ、取り上げるだけなら再配分にはならないのですけれども、平等を保つということのほかに、最近特にブレア内閣とかクリントンとか、そういう人たちがやったことは、下のほうにインセンティブを与えるということです。つまり、日本でいえばニートのような人たちですね。そういう人たちに、働いたらそれについて、むしろある程度所得に対してプラスをしてもいいと、それぐらいの考え方をしている。これは日本でも議論がありまして、国会でも質問が出ております。民主党からです。そういった時にもいろいろ議論があったわけですけれども、まあ、こういう考え方もある。
ただ、下のほうを引き上げるというのは、税金だけの話ではなくて、「負の所得税」というのは一種の社会保障的なこともやるということですね。一定の所得までは引き上げるということですから、そういう点では、税制そのものの問題かどうかというようなこともいろいろ議論になると思います。
したがって、これはかなり面倒な問題だと思いますけれども、そういうことについても、どこまでいくかはわかりませんが、一応、議論はしてみてもいいのではないか。英米だけではなくて、韓国もやるそうですから、そういうことも一応は考えてもいいことではないか、議論は少なくともしておきたいなと。結論は直ちに出るかどうかはわかりません。
〇司会
よろしいですか。
無ければこれで記者会見を終了させていただきます。(了)