企画会合(第15回)議事録
日時:平成19年9月18日(火)14時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇香西会長
それでは、ただいまから「税制調査会第15回企画会合」を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
前回の企画会合におきまして、今後の税調の進め方について自由討議をしていただきまして、税制全般にわたる具体的な議論を開始する。特に税目ごとの審議を行っていくという方針を確認していただいたところであります。
今後この方針に沿って審議を進め、あるべき税制について、その方向性をお示しするようにしたい。そういう政府税調の役割を果たしていきたいと考えております。
本日の議事についてでございますけれども、本日から税目ごとの審議を行っていきたいと思います。
まず、前回の企画会合で御了解を得たところでございますけれども、審議の進行等をお願いする主査の方々について、御報告をさせていただきたいと思います。
お手元に1枚紙の資料がございますけれども、そこに五十音順で担当の主査の方のお名前を書かせていただいております。井堀委員には法人課税。田近委員には資産課税、経済・財政総論。辻山特別委員には納税環境整備。中里特別委員には国際課税。水野特別委員には個人所得課税及び公益法人課税。吉川委員には消費課税ということでお願いをいたしました。この方々には大変な御苦労でございますけれども、前回申し上げましたように、御担当の主査には各回の問題提起、司会進行をお願いしたいと存じます。
具体的には審議において、まず始めに主査の方から、その税目についての主要な論点を提示していただき、その後、事務局からその論点に関する制度の概要やこれまでの議論、過去の税調答申等についての報告を受け、その上で議論を行ってまいりたいと考えております。
また、会合終了後には記者会見が予定されておりますけれども、主査の方にも同席していただきたいと思っております。
各主査におかれましては、なにとぞよろしくお願いいたします。
前回申し上げましたように、まずは10月中に各税目について一巡させ、審議の状況を見極めながら、10月以降更に審議を進めていきたいと考えております。
本日はあらかじめ御連絡を差し上げたとおりでございますけれども、個人所得課税を議題といたしまして、審議を行います。主査には水野委員にお願いをしておりますので、水野委員からよろしくお願いいたします。
〇水野主査
それでは、ただいま香西会長から御指名をいただきました私が、個人所得課税について簡単な報告と進行係を務めさせていただきます。
本日は第1回目でもありますこと、それから個人所得課税というのは、論点が非常に多岐にわたっておりますので、まず個人所得課税の総論的なお話というものをしたいと思っております。
具体的には所得税の仕組み、全体としてその中での負担水準の問題、税体系全体の中での所得税の位置づけ、こういったものを概観して、更にはできましたら、社会構造の変化に伴う新しい課税上の問題、こういったものについて御紹介できたらと思っております。
やはり皆様御関心の向きは、所得控除の問題、それからよく裁判例に出てくるところではございますけれども、所得の区分をめぐった問題などございますが、あとで自由討議の中でそういう論点について御意見を言っていただいても結構ですし、また、第2回目、これは10月以降ということだと思いますが、その中で検討・議論する機会をいただきたいと思っております。
なお、金融所得課税につきましては、金融課税の一体化ということがございますが、これは田近委員のところでやっていただくということになっております。
そこで早速私のレジュメでございますが、多少ほかの資料に比べると小さくて、字の薄いものがございます。「企画15-1」というものですが「『個人所得課税に関する現状と課題』第1回」といたしました。これについて10分くらい御説明させていただいて、あと、財務省、それから総務省の方で適宜補足的な説明をいただきたいと思います。
まず第一に所得税の状況ですが、現在の所得税制に至る改正の過程について、詳しくは後でお話しいただきますが、幾つか挙げております。
1)が「消費税採用にともなう税制の抜本的改革(昭和62、63年)」。消費税は非常にわかりやすいのですが、平成元年から実施になりまして、その前の数年、いわゆる抜本的な税制改革ということで、さまざまな改革が行われておりますが、典型的なのは、当時マル優とか特別マル優とか財形といったような預貯金の利子に対する、これはほぼ非課税の取扱いが認められていたわけですけれども、今日にありますように、20%の比例税率という新しい仕組みが採用されました。
更にこの消費税採用に伴って、人的控除の引上げ、中には特定扶養控除といった、実質教育費控除的なものを持った控除も創設されております。
2番目のターニングポイントですけれども、平成6年に消費税率の引上げについて決定がなされました。私が税制調査会に参加したのは平成6年ですが、当時は今日のように消費税の税率を上げるということに対する非常に強い抵抗があったというよりも、確かに抵抗はあったのだと思いますけれども、それと並んで大きな課題は地方消費税をどうするかということで、2つの省の間で随分大きな議論があったということでございます。
これは消費税を現在の5%まで引き上げるということになったわけですが、注目されますのは、それに伴って人的控除が更に引き上げられている。それから、給与所得控除の引き上げも行われているということでございます。ですから、こういうバランスが取られているということであります。
それから、3番目が定率減税、これが平成11年以降ですけれども、特別減税、それから恒久的減税ということで、所得税の税率も含めまして、税負担をどんどん緩和して、当時の経済情勢に対応するという試みが行われたわけですが、平成17年、18年と2年かかってこれを廃止するという状況になっているのが現在でございます。
「4)配偶者特別控除」、最近の傾向ですけれども、配偶者特別控除(上乗せ分)の廃止。更に年金課税。従来公的年金等控除、これはむしろ給与所得から移しまして、非常に控除額を大きく認めるという方針で雑所得に入れたわけなんですが、年金課税を見直して、この控除額を引き下げるということが行われております。
「(2)所得税の負担水準等について」につきましては、後で財務省の方で御説明いただきたいと思いますが、若干お話ししましたが、所得税率がどういう経緯をたどっているかという問題。
それから、負担水準、更に所得税の割合が全国民所得の中でどのくらいであるかという、これの推移などについてですが、これは後でお話しいただきたいと思います。
それから「II 所得税の基本的仕組みと特色」につきましては、後で御説明いただきます資料「企画15-2」の中の30ページ、これは財務省でつくっていただいている資料ですけれども、「所得税計算の仕組み(イメージ)」というものがございます。
基本的にまず所得税の計算は収入金額から必要経費等の控除を行うということになっております。この収入ですけれども、基本的には所得の区分と呼ばれておりますけれども、次のページにはっきり出ておりますが、所得税は10種類の所得に分かれております。先ほど申し上げましたように、この所得の区分というのは非常に歴史がありますが、所得の性格の違いに応じまして、計算の方法が違うし、あるいは課税の方法が違ってくる。典型的には給与所得と事業所得を比べていただくとはっきりしますけれども、給与所得は源泉徴収というものでほとんどカバーされている。
他方で事業所得というのは、必要経費の実額の控除を行っているといういろいろな違いに基づいて、我が国では所得の区分を行ってまいりまして、現在では10種類の所得に分かれております。
レジュメに戻っていただきますと、「II 1)個人単位(稼得者課税)」となっております。いわゆる課税単位ということでございますけれども、我が国では基本的には夫婦を考えた場合に、稼得に応じてそれぞれが納税義務者となるという仕組みになっております。 これがアメリカ、ドイツとかになりますと、夫婦単位で課税をする。ここに大きな違いが見られるわけですけれども、この違いが主に次回ということになると思いますけれども、それによって世帯としての税負担が大分変わってまいります。それが例えば最近よく言われます男女共同参画社会で配偶者が社会的進出をする場合に、税制がどういう影響を与えるか。更には婚姻に対する中立性という問題もございますが、カップルであっても結婚したら、それによって税負担が増えてしまうと、これは結婚を阻害してしまうという問題が出てまいりますが、そういう意味で納税義務者をどうとらえるか。個人にするか世帯にするかということ。それも所得税の基本的な仕組みですが、いろいろな論点を持っております。
4)ですが、「様々な所得控除」が、同じ控除と付いておりますけれども、必要経費の控除とは違いまして、なかなか理由がはっきりしないものが出てまいります。よく担税力を減殺するからという言葉で説明されますけれども、こういう説明は特に経済の先生には受けないわけです。
それから、政策的な寄附金控除などもそうだと思いますが、誘導的な目的で認められる控除というものもございますが、これをどう考えるかというのも、しばしば議論されるところでございます。
5)の「損失や損益通算の問題」ですが、今からもう一度戻るのもあれですので、簡単にお話しさせていただきますと、この10種類の所得の中にはマイナスになる可能性のある所得、事業所得とか不動産所得といったもの。更に譲渡所得もそうですけれども、こういうマイナスの所得が出た場合にどうするかというのが損益通算の問題でございます。
特にこれは非常に技術的ではありますけれども、最近よく裁判例に出てまいりますけれども、あえて損失を出しまして、それによって所得を圧縮する。場合によっては海外の信託や組合などを使ってそれを行うというところまで広がっていく非常に大きな問題でございます。基本的な仕組み、特色は以上のとおりでございます。
それから「III 所得税の原則と目標」、これはほかの税目にも関連いたしますけれども、基本的に所得税についても、所得の再分配機能、更に公平・中立といった原則。それから、当然ですが、財源の調達機能というもの。
特に言われますのは、歴史的に所得税は大体19世紀の終わりから20世紀の初頭に各国で採用されまして、この100年の間に急速に税制の中心になってきた。そこから先ヨーロッパではそれに付加価値税がとってかわるということがありますけれども、非常に税制として考えますと、消費税と言うか、付加価値税と並んで新しい税制ですけれども、基本的にはこういった原則に支えられて構築されなければいけないと認識されてきたわけです。
最近では格差の問題ですけれども、地域の格差、それから個人の格差といったいろいろな問題が、特に再分配機能に関連して出てきております。
2ページ目の一番上に(2)として、1行だけ出ておりますが、「税制改革の目標としての包括的所得概念から、二元的所得税や支出税の考え方へ」と、いわゆる年度年度の税制改正のみではなくて、いわゆる中長期的に税制改革と考える場合には、必ず理念としての税制というものが存在するわけですけれども、これは典型的な例を挙げますと、シャウプ勧告のときには、この包括的な所得税というものが紛れもなく理想として存在していたわけです。そこでシャウプ使節団はあらゆる所得は課税の対象に含まれるべきであるということを理念として勧告を行ったわけですけれども、最近では特に金融関連所得を中心に、言わば足の早い所得、これを国際的な競争力といった観点から考えて、更に電子化等が進んでいる時代から考えてみますと、まともに課税しようと思ってもなかなかできないということで、ここには二元的所得税と書きましたが、金融所得と勤労所得とを分ける方向で、むしろ所得税の改革を考えるという考え方が強くなってきているのではないか。あるいは並行して出てきているのではないかと思われます。
「IV 社会構造の変化に対する今後の課題」は、典型的には少子高齢化という問題がございます、これはいろいろ既に議論されてきておりますけれども、更にもう少し詳しく見ますと「)男女共同参画社会」ですね。これは具体的には夫婦の課税のあり方。先ほど申し上げました課税の単位をどうとらえるかということに密接に絡んでまいります。それから、所得控除をどう考えるかというもの。これによって夫婦がどういう形態で社会に参加できるかということに影響を及ぼすということでございます。
「◆)就労形態の変化と税制」ですが、ここに書きましたのは、順番に見てまいりますと、既にこれは法人税法の改正で採用されておりますけれども、利益連動型給与ですね。給与というのは、従来は定期定額と言われておりましたが、その人の努力によって企業の利益が増加したと認められる場合に、この利益に連動させて給与を支払うと。こうなりますと、一部は利益の処分を受けているような形になりますけれども、こういった給与形態が出てきております。
2)は就労形態ですけれども、必ずしも会社に行って、そこで労働に従事するというのが伝統的な就労の形態でしたけれども、自宅で仕事をするホームオフィス、あるいはスモールオフィス、会社とは別に自分が仕事をする場を持って、そういう形態で働く。こうなりますと、言わば雇用契約なのか、請負なのかだんだん区別がつかなくなってまいりますが、そういう就労形態も出てきております。
3)が「終身雇用の変化と退職給与等」ですが、典型的には外資系企業の採用などに見られますけれども、労働法も改正されて、3年の任期付きとかいうものも認められてきておりますが、従来の終身雇用、それに伴って退職所得が支払われると。これが言わば短期的なサイクルで勤務先を移っていくという場合に、特に退職給与などはどういう意味合いを持ってくるのか。そういう論点がクローズアップされてくるわけでございます。
それから、4)は「家族形態の変化と人的控除もしくは課税単位のありかた」。先ほど何度かお話ししましたので、省略いたします。
これは法人課税との接点ですが、「)あらたな事業体への対応」ということですが、最近、特に裁判例にも出てまいりますけれども、組合なり信託といったものを使って、投資家から集めたお金をプールしまして、特に海外で事業展開、投資活動を行うということが見られるようになっております。これは主に国際課税の方からやっていただいた方がいいかと思いますが、基本的には我が国の所得税、あるいは法人税の仕組みの中に組合の課税をどうするかという規定を持ってはおりません。信託につきましては、昨年末に信託法が全面改正されましたが、それに対応する税制というのもできておりますけれども、いずれにしましても、いろいろな事業体というものが目立つようになっているのがここ5年、10年の傾向ではないかと思います。
それから「v)電子化にともなう納税のありかた」、これは納税環境のところでお話しいただきますが、いわゆる電子申告などが入ってまいりますと、特に還付申告が非常にスピードアップするということ。それから給与所得について、現在認められている特定支出控除といったものがありますけれども、コンピュータを使うと、必要経費を実額で認めるということも考えられるかなと、そういう意味で電子化というものを挙げておきました。
「V 個人住民税-地方税」の問題でありますが、所得税とほぼ重なっている点が多いんですが、所得割と均等割というものがあります。
それから、そこに「前年所得課税」と書いておりますが、皆様御承知のように、いわゆる住民税の場合には、前の年の所得を基準に課税をする。これは毎年毎年少しずつ定額で給与が移行していれば問題ないわけですが、職場を変わったりしまして、急に所得が減った場合に、前の年の所得で課税されますので、非常に負担感が強くなるということは前から言われておりますけれども、前年課税を現年課税にもっていけるのかどうか、あるいはそうすべきかどうか。そういう論点が出ております。
「2)個人住民税の原則・役割」として、よく言われますように、応益課税、それから負担分任です。地方自治体というのは、住民のクラブのようなものであるから、その会費を負担すべきであるという趣旨で、国税としての所得税よりも基本的に所得控除の金額を抑える仕組みになっております。
それから、所得再分配。これも税源移譲のときに変更されたわけですが、住民税、地方税には、いわゆる所得再分配機能はそれほど期待されてはいないということで、10%の比例税率に一本化されたということです。
以上、個人住民税の問題について、また総務省の方で補足していただきたいと思います。私の話が長くなってしまいましたが、引き続いて財務省、総務省の方、お願いいたします。
〇星野税制第一課長
税制第一課長の星野でございます。私の方からは「企画15-2」の資料に基づきまして、今の水野委員の説明に補足して、事実関係を御説明いたしたいと思います。
19ページ、水野委員から近年の所得税の改正のあらましについて御説明がございましたけれども、ここに書いてございますとおり、所得税につきましては、3回の大きな税制改革、減税が行われた後、平成15年以降は課税の公平化、適正化という観点から若干の負担増をお願いしているという流れになっております。
抜本的税制改革で税率構造の累進緩和、人的控除額の引上げ、配偶者特別控除、特定扶養控除の創設などを行いました。
平成6年に同じく税制改革を行い、平成11年以降は定率減税等を行っているわけでございます。
20ページ、今申し上げた主だった税制改革につきまして、その改革の背景とか基本的な考え方を併せて書かせていただいております。
21ページが、個人所得課税の税率と適用範囲、いわゆるブラケットの変化のイメージを並べたものでございます。
一番左側が昭和61年分でございますけれども、例えば一番上を見ていただきますと、所得税と個人住民税合わせて当時は88%というのが最高税率だったわけですけれども、これが現在50%ということになっておりますし、ブラケット、例えば所得税ですと、61年のころは15段階だったのが、現在は6段階になっているということで、基本的に税率を引下げ、階段の刻みの幅を大きくし、フラットにしてきているということがおわかりいただけようかと思います。
その結果、22ページですけれども、課税最低限につきまして、例えば夫婦子供2人の給与所得者で申しますと、昭和61年のころが235万7,000円だったのが、現在は325万円になっているということでございます。
23ページ以降が、先ほど申し上げました最近所得税で行われた課税の適正化措置について資料を載せさせていただいております。
配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止を平成16年1月に行っております。
それから、高齢者にも適切な負担を求めるということで、老年者控除の廃止、公的年金等控除の見直しといった年金課税の見直しを平成17年に行っておりまして、更に定率減税の縮減廃止を18年、19年と続いて行っております。
税源移譲について、最近行ったところは御案内のとおりでございまして、その関連の資料を28ページまでお付けしているところでございます。
戻っていただきまして、2ページから18ページまでが、個人所得課税及び所得税の負担水準についての計数的な整理をしたものでございます。
まず個人所得課税の負担水準について、初めの方に幾つか資料が載っているわけでございますけれども、2ページを見ていただきますと、これは対国民所得比で見た個人所得課税を含む各種負担率の推移でございます。
今申し上げたような税制改正の経緯で個人所得課税の負担水準というのは、基本的には下がってきているということでございまして、1990年度の10.4%をピークに、現在は7.6%という水準になっております。
例えば社会保障負担率が徐々に増えているとか、租税負担率を見ていただきますと、近年の景気回復に伴って、法人税収が伸びたことに伴って、租税負担率が上がってきているというのと対照的に、基本的には個人所得課税は割と低い水準で推移をしているということでございます。
この7.6%という国民所得比を国際的に見ますと、3ページはよくごらんいただいている「国民負担率の内訳の国際比較」の表でございますけれども、各税目別に見ていただくと、一番左が日本で個人所得課税7.6%ということでございまして、各国と比較しても、低い水準になっております。消費課税などは低いというのはよく言われております。見落としがちでございますけれども、個人所得課税についても、各国に比べてかなり低い水準だということが見ていただけるかと思います。
4ページ以降11ページまでは、個人所得課税で見た負担水準とか各国比較の表でございます。
4ページは、横軸に給与収入をとり、縦軸にそれぞれの収入に応じた納税額を給与収入で割った率を順番にプロットしたものでございます。いわゆる実効税率の推移でございまして、先ほど申し上げた3回にわたる減税に伴って、徐々に負担水準が下がって、フラットになっているということが見て取れようかと思います。例えば61年と平成6年分を比較していただくと、その間にちょうど抜本的な税制改革の所得税の減税があったわけですけれども、その中低所得者のところがかなり大きく減税されているということが見て取れようかと思います。
その後、平成6年分と10年分を見ていただきますと、これが平成6年以降の税制改革の影響が出ているわけでして、むしろ中堅所得者以上のところの負担軽減が図られているということがおわかりいただけようかと思います。
いずれにしても、現行、税源移譲後を見ていただきますと、かなり以前と比べてフラットな構造になっているということでございます。
5ページは、これを各国比較をしたものでございます。ぱっと見るとなかなかわかりにくいんですけれども、例えばイギリスやドイツのカーブを見ていただきますと、1,000万円以下のところで、収入が増えるとぐっと税率カーブが立っているという構造がおわかりいただけようかと思います。
日本の場合は1,000万ちょっと超えるくらいまでのところを見ていただくと、基本的には税率のカーブが割と寝ていて、だらたらと負担水準が上がっていくという構造になっているということがおわかりいただけようかと思います。
御案内のとおり、欧州については、個人所得課税ではなくて、消費課税の負担水準が非常に高いわけでございまして、そういった国と比べても、個人所得課税の負担のカーブがこのような寝た形になっているということについては、日本の負担のあり方として特徴的なことだということが言えようかと思います。
6ページ以降は負担額につきまして、各給与収入別にどのような時系列を取っているかという話です。
7ページ、8ページが各国比較で個人所得課税の負担額を並べたものでございます。見ていただきますと、各給与収入別に見ても、日本の負担額については、各国よりも基本的には低い水準だということがおわかりいただけようかと思いますけれども、8ページの方、3,000万以上になると、それなりに日本も負担を求めているということで、1,000万以下の部分ではかなり低いんですけれども、3,000万以上になると、各国と遜色ないということが見て取れようかと思います。
9ページ以降、これが単身の給与所得者についてまとめたものでございます。先ほどの説明とほぼ同じようなことが言えるわけでございますけれども、各種控除が抜け落ちている分、割と直接的に税率の話が出てきているということでございまして、9ページ、10ページの各国比較を見ていただいても、日本の実効税率カーブがかなりフラットで寝ているということが端的におわかりいただけようかと思います。
12ページ以降が所得税について、同じように負担水準を見たものでございます。12ページから18ページまで所得税の関連でございます。
12ページは負担率でございますけれども、直近の税源移譲によって個人所得課税に占める所得税の負担割合が以前よりも下がっているということが見て取れようかと思います。13ページが夫婦子供2人の場合の実効税率のカーブでございまして、これもずっとフラット化してきている。
続いて各国比較を見ていただいても、所得税については、もっと如実に出ているということがおわかりいただけようかと思います。
以下、同じような資料でございますので、参考にしていただければと思います。
資料30ページ以降は、先ほど水野委員の説明の中でも参照されましたとおり、所得税の基本的な構造について基本的な資料を付けさせていただいております。最初の数ページが所得税の仕組みでございます。34ページ以降が課税ベース、控除の関係の資料を付けさせていただいております。
控除の関係は、まず人的控除の話から始まりまして、それ以外のその他の所得控除の概要、各種所得に関連する控除ということで、給与所得控除と退職所得控除について、39ページ、40ページに付けさせていただいております。
41ページ、42ページは税率構造に関係する資料でございます。現行の税率構造を41ページ、各国比較が42ページでございますけれども、各国の税率構造についても、基本的にはフラット化が進んできているわけでございます。
ちなみにイギリスは今10、22、40という3段階を、2008年の4月から20%と40%の2段階にするということが、政府の方から一応発表になっているということでございます。
43ページが「所得税の限界税率ブラケット別納税者(又は申告書)数割合の国際比較」をしたグラフでございまして、これを見ていただきますと、納税者の大部分が日本の場合、5%ないしは10%という低い税率が適用になっているという特殊な状況にあるということがおわかりいただけるのではないかと思います。
44ページ、45ページは、所得税の中に占める一部の高所得者の納税者が全体の税負担の結構な部分を負担する形になっているということがおわかりいただける資料を付けております。
例えば44ページですと2.5%にしかすぎない高所得者の納税者が全体の4割に当たる税を負担しているということがこれでおわかりいただけるのではないかと思います。
47ページ以降では最近の所得課税をめぐるさまざまな環境変化についての参考資料でございまして、以前この税調でも御紹介をしたことのある資料でございます。
47ページのジニ係数の変化につきましては、これは最近発表になった数字でございますので、簡単に御紹介をいたしますと、17年の数字で見ていただきますと、当初所得のジニ係数が0.5263ということで始めて0.5 を超えたということが特徴的でございます。これは以前から税調でも議論がございますとおり、高齢者世帯の増加とか単独世帯の増加といったようなことが背景にあるわけでございますけれども、社会保障による改善度が年々上がってきておりまして、社会保障及び税によって再分配された後のジニ係数が0.3873ということで、この水準についてはほとんど変わっていない。社会保障による改善度はかなり高くなっているということでございます。
一方、税による改善度につきましては、今まで説明したとおり税の再分配機能が余り発揮されていないということで、ほぼ横ばいになっているということが見て取れようかと思います。
私からの説明は以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。
それでは、引き続き総務省の方からお願いいたします。
〇原田市町村税課長
9月15日付けで市町村税課長を拝命しました原田でございます。よろしくお願いいたします。
私の方から資料「企画15-3」という「個人所得課税(地方税)」の資料について御説明をさせていただきたいと思います。
1ページ、税源移譲後地方税の中で、全体40兆円強の地方税収の中で個人住民税が12兆5,000億円、31%を占める、非常に地方税の中でも、これまでにも増して基幹税と言えるような位置付けになっているのが、地財計画上の数字として見て取れると思います。
2ページ、先ほど財務省の方からも御説明がありましたように、累次の税制改正も踏まえた税収の推移でございます。62年、63年、6年、11年といったところが大きな改正がありまして、特に現在平成19年は税源移譲がありましたので、非常に高く伸びておることが見て取れようかと思います。
3ページは個人住民税の仕組みという資料でございます。先ほど水野委員からもお話がありましたように、資料の一番上に書いてあります「広く住民が地域社会の費用を分担する」というのが個人住民税の性格でございます。負担分任でございまして、この個人住民税には市町村民税、都道府県民税の2つがございます。それと市区町村なり都道府県に住所を有する個人が納税義務者でございますけれども、伝統的にそこにありますように、定額の負担を求める均等割と、所得金額に応じた負担を求める所得割という2つのものがございました。
4ページ、近年はこれに加えまして、都道府県民税の中に利子割、配当割、株式等譲渡所得割というものが創設されておりまして、これらを合わせまして、個人住民税となっているというところでございます。
5ページ、基本的には所得税と同一の計算を初めのところでいたしまして、所得控除から先ほどの負担分任という個人住民税の性格に応じまして、基礎控除額が所得税に比べて各種控除が小さくなっている関係上、独自の計算をしておるところでございます。
6ページ、そのような結果、課税最低限が、先ほど御説明のありました所得税で、例えば夫婦子2人の給与所得者は現行所得税の課税最低限は325万円でございますけれども、個人住民税は270万円という課税最低限の水準になっておるところでございます。その意味では課税ベースは若干広くなっているところでございます。
7ページ以下は人的な控除についての説明をさせていただいております。
なお、9ページをごらんいただきますと、さまざまな所得控除の中でも、※を付けたように所得税と全く同様の計算方式を使っておる控除と、その下にあります生命保険料控除に代表されますように、独自の水準で控除額を設定している2つのものがあるところでございます。
10ページも先ほどの負担分任ということに関係するところでございますが、さまざまな控除につきましても、特に下の方の参考を見ていただきますと、所得税で政策的な控除をされておるものでも、負担分任という性格を加味しまして、個人住民税では同様の制度を設けていないもの。こういうように違いが控除の中ではところどころであるところでございます。
12ページ、個人住民税の最近の主な改正事項を平成11年度改正以降、幾つか掲げさせていただいております。定率減税の創設・縮減・廃止。それと最近で言えば平成18年度改正の10%比例税率化というところが非常に大きなところであろうかと思っております。
この点、水野委員からも少し御指摘がございましたので、関係資料を付けておりますけれども、資料の18ページ、税源移譲に伴いまして、個人住民税が10%の比例税率化になりましたので、その税源移譲をした結果、税収額の変化はどのようになったかということでございます。
ここにございますように、比例税率化前のままで税源移譲した場合の姿が現行でございます。10%の比例税率化した後の姿が比例税率化後ということで、黒い棒グラフになっておりますけれども、見ていただきますと、比例税率化後は最高と最低の人口1人当たりの税収額の比でございますけれども、格差が3.2 から2.7 に下がっておるということで、税源の偏在度が縮小しておるところが、このグラフからも、見て取れようかと思います。その意味では、この比例税率化が偏在性の縮小につながったということでございます。
説明は以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。ただいま個人所得課税について、総論的なお話をさせていただきましたが、これから自由討議ということで、御質問、御意見などを承ればと思います。更にはこれからこういう論点について議論していただきたいというお話でも結構ですので、よろしくお願いいたします。
〇上月特別委員
お伺いしたいんですけれども、前年個人所得課税の論点整理がされましたね。あれはどのように引き継ぎされるのか。全然引き継ぎしないで、また一からの議論を始めるんでしょうかということをお伺いしたいんです。
〇水野主査
課長、お願いします。
〇星野税制第一課長
今日の配付資料でも「企画15-4」という資料で、参考資料として、これまでの平成14年6月の基本方針以降、何回かに分けて出されております政府税調のお考え、答申などにつきまして、各論点に沿って、どういった御指摘がなされているかというのを当方でとりまとめさせていただいた資料を配付させていただいております。
今、お話のありました論点整理につきましても、個人所得課税に関する議論としては、いろいろと網羅的に御指摘をいただいているところでございまして、当然のことながら、これまでのこういった議論を踏まえて、御議論いただきたいという趣旨で、お席に配付させていただいているということでございます。よろしくお願いいたします。
〇水野主査
初めにお話しておけばよかったのですが、今、星野課長からありましたように、参考資料「企画15-4」に「近年の答申における個人所得課税に関する主な指摘事項(金融所得課税を除く)」にまとめてございます。ただ、この会合でどういうまとめ、答申をつくっていくのかというのは今後の課題だと思いますが、参考程度と言うと失礼ですが、参考にはなろうかと思います。
あといかがでしょうか。
〇神野会長代理
私、個人的に考えている問題点を3つばかり申し上げたいと思います。
1つは、所得税が国際比較や税体系を見てもやせ細り過ぎです。私は増税をしろとまでは言いませんが、消費税の取扱いを含めて、少なくとも個人所得税の実質的な累進性を確保するという改革は焦眉の改革になるのではないか。これは1つの問題点です。
もう一つは、それと関係しますが、資産所得と勤労所得の取扱いですけれども、我々の財政学では累進性、つまり実質的な金持ちが多く負担するということと、デフェレンシエーション、差別性ですね。資産所得には重く、勤労所得には軽くというのが所得税の原則であると言い伝えられ、それを守ってきたわけです。
このやり方ですけれども、1つは、所得税の中で完結をする。控除を使ったり、あるいは資産所得に重い税率を適用したり、勤労所得に軽い税率を適用したりして、所得税の中で完結をしてデフェレンシエーション、差別性を実現するというやり方と、もう一つ、補完税として純資産税、富裕税と訳されたりしますネットウェルス・タックスを兼ね合わせて、所得税に純資産税をかみ合わせて差別性を実現しようという2つのタイプがあるわけです。
これは常識になっているんですが、今、ここでいろいろ変化が出てきていて、事実上、資産課税を補完するというやり方で差別性を保っていた国、ドイツやフランスもそうですけれども、代表的にはオランダとスカンシナビア諸国と言われてきたわけです。
このオランダとスカンジナビア諸国が、今みたいな補完性をやってきた国が二元的所得税とかボックス・タックスとか、ここでも議論したような形で、資産所得と勤労所得の取扱いのやり方を変化させているわけです。
したがって、ここでもこの議論は大きな課題になっていくだろうと思いますが、日本では純資産税がない。私は地価税を廃止するときに、地価税は純資産税にした方がいいと思っていたんですが、日本のように純資産税がない国は、二元的所得税やボックス・タックスから学ぶということに関しては、かなり慎重に前提条件が違うという点を考慮した方がいいと思います。
この点はオランダはボックス・スリーをOECDに対して所得税だと報告しているからああなっていますが、実際には資産税だと報告すれば資産税になってしまうわけです。税体系のあり方とリンクして、高額所得者の負担のあり方その他を考えていく必要があるんじゃないかというのが2点目です。
3点目ですけれども、少子化対策など税制面で家族のあり方について考慮しなければならないとすれば、特にヨーロッパ諸国、私が見ているドイツなどでは、この間ずっと家族が多い人、子どもが多い家族を軽くし、子どもの少ないというか、単身者を重くするということを長年打ってきたわけです。今日の資料で見ていただいても、例えば財務省が用意していただいた「企画15-2」の14ページを見ていただいても、例えば1,000万円のところで、ごく単純にですが、子どもが2人いる家族でいけば、ドイツは1,000万の人が12.1%負担しているわけです。
17ページは、子どものいない人は28.2%ですから、倍どころではないわけです。ところが日本の場合には、2人子どもがいる家庭の場合には、5.9%で、17ページを見ていただければ、8.7 にとどまっているということですね。
だから、余り目先のことよりも、家族が非常に多くなっている家庭に対して負担を軽くする。あるいは逆かもしれませんが、1人の人を重くするということ。戦争中に日本は独身者税というのを考えたことがありますけれども、それを含めて、少し所得税の構造を考える上で、今は少子化対策は非常に重要になっているので、控除その他全部入ってきますから、考えた方がいいのではないかと思います。
3点だけ、気がついた点を申し上げました。
〇水野主査
ありがとうございました。あと、いかがでございましょうか。
〇吉川委員
幾つかありますが、先ほどの水野委員のお話でも、今日は所得の捕捉の問題が出なかったんではないかと思うんですが、やはり所得税を考えるときには、そもそも所得の捕捉がどのくらいできるかというのは非常に重要な論点だと思います。
本日既に出ている話では、例えば金融所得について、非常に足が早いという表現だったかと思いますが、それが二重課税、金融所得は別枠でやろうという流れの理由になっているということだったかと思うんですが、金融所得は別にしても、いわゆる所得の捕捉ですね。
これは御承知のとおり、従来から「クロヨン」あるいは「トーゴーサン」という言葉で日本では表現されてきたと思うんですが、私自身も大分以前、確か浜本主税局長、国税庁長官の時代にデータをいただいて、同僚と「クロヨン」「トーゴーサン」の推計というのをやったことがあるんですが、当時やってみると、やはり「トーゴーサン」で出てくるんで、びっくりしたことがあるんですが、この問題があると思います。
関連して、資料がわかれば、いつかこの税調で教えていただければと思うのが、現在所得税を払っている人がどういう人であるか。その属性を少しまとめた資料を見せていただけないか。現在の就業者というのは日本では六千何百万人いると思うんですが、そもそも六千数百万人いる日本で働いている人、その中でどういう属性を持った人か。性別もあるかもしれません。年齢、職業、その他どういう人がどれだけ所得税というのを払っているのか。そのクロスをある程度集約した資料というのを教えていただければと思います。これが第1点です。
第2点は、所得税というのは、ある程度累進構造を持っている。今、神野会長代理からそれは少し強めた方がいいかもしれないというお話があったんじゃないかと思いますが、いずれにしても、累進構造の下で、所得再分配効果というのを我々期待しているわけですが、そのこと自体は私も否定しない。
しかしながら、今日も水野先生が言及された、いわゆる格差問題。これは日本の格差が広がっているというときに、その大きな原因が高齢化であるということを考えると、所得税だけによる再分配効果よりは、いずれにしても、社会保障と切り離せない問題なんじゃないか。
つまり、高齢化を主因とする格差問題。これに対処するためには、勿論、税が全く関係がないと言っているんではなくて、税も大事なんですが、プラス社会保障との組み合わせで考える。これは我々の税調でも従来から言ってきていることだとは思うんですが、改めて高齢化を主因とする格差の問題に社会全体として的確に対応するためには、いわゆる税の世界の中での伝統的な再分配だけではなく、社会保障、これも年金だけではなくて、医療保険とか介護保険という、いわゆるインカインドというか、お金ではなくて、具体的なサービスによる再分配効果、こうしたものも含めて総合的に考えなければいけないんじゃないかということです。
〇水野主査
ありがとうございました。今、特に吉川委員から指摘された、いわゆる所得税を支払っている人がどういう属性であるか。個別の所得に対する税収はどのくらいというのは出ていますが、星野さん、この点いかがでしょうか。そういう資料というのは善処していただければと思います。
〇星野税制第一課長
こちらで整理いたしまして、次回の機会に御説明させていただきたいと思います。
〇水野主査
よろしくお願いいたします。
〇翁委員
1つは、神野会長代理がおっしゃった点とも関連するんですが、水野委員も御指摘になっておられるように、これからの社会構造の変化、高齢化・少子化の傾向と御指摘になっていますけれども、これから人口構造がどう変化していくかという観点をきちんと踏まえて議論していく必要があると思うんです。
特に将来的にはデモグラフィックな要因で、現役世代というのが非常に大きく減っていくということが展望されています。内閣府の今年の5月の推計ですけれども、今を100とすると、給与所得というのは、2050年くらいになると6割くらいに減っていくという推計も出て、それはかなり先の話ではございますけれども、やはりこういった現役世代に負担が偏る負担構造というのは是正していかなければいけないと思います。
これは消費税を含めた税体系全体の議論でもありますし、また、所得税の中でも例えば現役世代と高齢世代の負担のあり方とかにも関わってくる論点ではないかと思っています。 もう一つは、これはかねてからいろいろ議論があって、なかなか実現していないことでございますが、個人の選択を阻害しない中立的な制度とするということで、所得税のさまざまな控除とか非課税措置というのをきちんと見直していくということが非常に重要である。その課題は引き続きあるのではないかと思っております。
〇水野主査
ありがとうございました。今日は第1回目ということで、いろいろ論点を出していただいております。更に御意見等をいただけたらと思います。
松田委員どうぞ。
〇松田委員
吉川委員の最初の御指摘と重なるんですけれども、やはり所得の把握が十分できないというところが、日本の所得税体系全体を歪めている部分はかなり大きいと思います。事業所得者の所得把握が十分にできないというところから始まって、給与所得控除が過剰になっているわけです。そういった意味ですごくねじ曲げていると思います。これは事業所得者の所得把握をもう少し進めることを考えないと、制度が歪んだままで行ってしまう。それを考えると、納税者番号、政府税調は導入に消極的過ぎたんじゃないかと、ここ数年思います。やはり納税者番号を使ってもう少し個人の所得というのが把握できれば、例えば負の所得税、今まで非課税だったところから納税に切り替わるところを、マイナスの所得税を使ってならすとか、いろんなこともできる。そういう新しい試みをやる前提として、所得の把握というのが重要なわけですから、ここは本当に絡ませて納税環境の整備と所得税を本当に絡ませてやらなきゃいけないと思います。
もう一つ言うと、納税者番号で所得情報を収集して、消費税の納税状況とをクロス・チェックすることによって、個人事業主の所得の捕捉を進めるというのが前提じゃないかなと思います。
〇水野主査
ありがとうございました。今、御指摘の点、先ほど吉川委員の言われた所得の捕捉の問題につながる問題ですけれども、納税環境の整備ということで、また議論いただきたいと思いますが、場合によっては、それに関連する資料というのは、星野課長どうでしょうか。直接というのは難しいと思いますけれどもね。
〇星野税制第一課長
納番の関係につきましては、また、この納税環境整備の議論が行われるときに、これまでの議論等を整理をいたしまして、辻山委員とも相談をして、どのような説明ができるのか、準備をいたしたいと思っております。
それから、今の松田委員から御指摘のあった負の所得税の関係で、所得の把握という議論でございますが、これは参考でございますけれども、例えば納番を導入しているアメリカなどで、こういった就労税額控除といったような制度を導入しているわけですけれども、例えば世帯ごとに所得を把握をして、適正に税額控除に係る給付を行うというのはなかなか難しいということをアメリカの方からも聞いております。いろいろ過誤納の関係で、不正受給の問題等々があって、納番があるから、ストレートにうまく把握できるということでもなさそうだという話も聞いておりますが、そういった問題も含めまして、どういった関係になるのかとか、納番で一体どこまでのことができるのか。松田委員からも御指摘のあった情報収集なども絡めて、どういった議論の整理になるのかということにつきまして、納税環境整備の中でもう一度整理をさせていただければと思っております。
〇水野主査
よろしくお願いいたします。
ちょっと戻りますが、先ほど翁委員から個人の選択を阻害しないような税制ということで所得控除のあり方、それから非課税の所得についても、次回十分御議論いただきたいと思います。
いかがでしょうか。井堀委員どうぞ。
〇井堀委員
翁委員の点と関連しているんですけれども、これから所得課税の話をするときには、少子高齢化の関係で、勤労所得が相対的に減少していって、個人所得というのは基本的に勤労所得を中心の課税ベースですから、それに依存しているときに、必要な税収が確保できるのかどうかというのが1つの大きな点だと思います。
それと関連しますと、社会保険料がこれから2017年までは毎年上がっていくわけですけれども、社会保険料が上がっていけば当然それは所得税の課税ベースから見ると、すべて控除されるわけですから、ますます所得税収か減っていくわけです。
そういう点から所得税をどの程度安定的な税源として確保していくのかというのは、年金の保険料をどれだけ課税ベースから控除するかという問題も含めて、少子高齢化の中で大きな論点かなと思います。
もう一つ、今、指摘された中立性の話なんですけれども、これも少子高齢化の観点から、中立性のときに悩ましいのは、子どもを持つか持たないかの意思決定に関して、税制が完全に中立的とするのかどうかという点だと思うんです。完全に中立的にすると、それに対して何らかの政策的な配慮をすべきではないかという議論になり得るわけですが、どこまで税が子どもを持つことに関して、政策的にも配慮するのかというのは、個人の意思決定の中立性どういう具合に絡めるのかというのも論点かと思います。
それから、先ほどから出ている捕捉の問題ですけれども、捕捉の問題も子どもに関連することは、これは1つの考え方ですが、所得が捕捉しにくいとしても、子どもをたくさん抱えている人とそうでない人の場合には、所得の信頼性に関して若干の差があって、同じ低所得者であっても、子どもがたくさんある人は本当に経済的に大変だろうなというのはある程度の蓋然性でわかるとしても、子どもがいない人で所得のない人の場合は必ずしもそうでない可能性もあり得ると。これは年齢層とかもありますので、子どものあるなしというのは、ある程度その人の客観的な所得の捕捉の信頼性の一つの代理変数だと考えれば、韓国のように、子どものある人に限定して何らかの政策的な配慮をするというのは、ある意味で公平性にかなっているのかと。いわゆる税額で控除するというんですけれども、そういう議論もあり得るかと思いますので、この点は少子高齢化の中で所得税でどこまで政策的に配慮するかということだと思います。
それから、神野会長代理から出てきた公平性の話なんですけれども、所得税は累進的であるというのは、確かに財政学では1つの大きな論点なんですが、この累進性の話というのは、必ずしも所得税だけで累進的であるから、垂直的な再分配が図られるとは言えなくて、社会保障も含めたトータルな、いわゆる負の所得税もそうですけれども、トータルでネットで見て、それぞれの所得階層の人たちがどの程度のネットの負担をしているかということで再分配というのは図られるべきだと思いますので、単に所得税だけで累進的にしても、所得税のそもそも課税ベースがこれからどんどん減っていけば、余り効果はないことになりますので、トータルで見た社会保障、その他の税を含めた形での再分配をどの程度考えるか。その中で所得税の所得再分配の役割をどういう具合に位置付けるかという議論が必要なのかと思います。
もう一つ、質問なんですが、住民税の地方税のところで「ふるさと納税」に関する議論が紹介されるとよかったんですが、この「ふるさと納税」の話はかなり煮詰まっているような報道も聞いているんですけれども、この話はここでは取り上げないんですか。質問です。
〇水野主査
今日は総論、一般論的なお話だということで、「ふるさと納税」の最後の答申がこれからということもありますが、今、簡単に原田課長、状況説明などいただけますでしょうか。
〇原田市町村税課長
現在「ふるさと納税」の研究会、今週も第7回目の会合をすることにしておりまして、場合によってはもう一度するかしないかという状況でございまして、水野先生にもメンバーに入っていただいておりますけれども、まだ今日の段階で御説明するには少しタイミング的に早いのかなということで御説明は省略させていただきました。
基本的に「ふるさと」にいろんな意味で貢献したいという気持ち、また、ライフサイクルを通じた税負担、いろいろな御議論の中で、初めは税をいろんな形で分割して納めるというお話から議論が始まって、さはさりながら制度的には寄附金控除という制度をいろんな意味で活用しという議論でほぼ収斂しかかっておりますけれども、まだまだ技術的に控除の仕方と言いますか、それと下限・上限といった技術的なところで、まだ、少しいろんな議論をさせていただいておりますので、報告書がまとまった段階で機会をいただきまして、また、御報告をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。田近委員どうぞ。
〇田近委員
上月委員の方から、今まであるべき税制の議論をしてきて、それとのつながりは何なのかという御質問があって、私が申し上げたいのは、資料を用意していただいて、何を我々の前提とすべきなのか。日本の所得税とはこういうものなんだと。事実の問題ですから、理解を共通にして、改革すべきものは改革していく。そのコンテクストで恐らくあるべき税制というは何を議論したのかという順序立てだと思うんです。
資料を数ページめくっていただくことになるんですけれども、日本の所得税をどう考えるのかということを、仮にこんなふうに議論して、共通な理解が得られるのでないか。得られなければなぜかというところが1点。
続いて何が問題かというのは出てくるんでしょうけれども、そういうことでちょっとしやべらせていただくと、私はこう思うんです。
日本の所得税の特色は何かと言ったときに、やはり所得控除の問題が重要だと。星野課長の使われた資料の35ページを見ていただきたいんですけれども、非常にわかりやすそうでいてわかりにくいというのは、どうしてかというと、長さが割合で書いてあって、金額がえらく違うわけです。一番上が325万で一番下が2,000万ですから、お金の長さではなくて割合の長さだということをまず理解してもらうと、これは給与所得ですから、比較的簡単な税金の計算ができて、700万で夫婦子ども2人で、子どもの1人は特定扶養親族だと。この700万の給与収入の家族で、要するに給与収入が700万円あって、263万になってしまう。なぜ減ってしまうかという典型的な控除、これ以外にも生命保険料控除もあるし、いろんな控除があるかもしれない。仮にこれだけ使ったとして、課税所得263万というのは、更に小さくなる可能性はある。これだけは引けるという意味だと思います。
それが2,000万になると小さくなって、課税所得は大きくなるんですけれども、注目点は、所得が大きくなるにもかかわらず、給与所得控除が、これは本当に見にくいんです。一番上が115万で一番下が270万ですから、倍以上なんですけれども、にもかかわらず給与所得控除が大きな割合を占めている。勿論、2,000万になれば課税所得が大きくなりますけれども、相対的でも控除がある。
その結果、日本の所得税で何が起きたのかというのが、44ページと45ページの図は同じような図なんですけれども、説明が時間がなくて早かったのでわかりにくかったかもしれませんけれども、この44ページの図は重要な図だと私は思っています。昔自分が作ったからというわけではないんですけれども、なべてみると重要だというのは、どういうことが書いてあるかというと、一番左側に330万までの世帯を考えると、その人たちが、納税者の割合が79.9%もいた。けれども払った税金の割合が23.8%だと。頭と比率的に払えば下の人数比率と税金を払った比率が同じになる。真ん中の330万から900万の人たちは世帯で言えば17.6%だけれども、払った税は36.8%。ところが、900万以上で取ると、世帯の数は2.5%だけれども、払った税金は39.4%。それをもう少し給与所得の所得階層別に見たのが45ページになるわけです。
これは給与所得というものすごく均一的な所得で見ているわけです。その場合でも、仮に2,000万だと0.5%の人たちが全体の16.4%を払っている。だから、日本でどうしてこういう構造になるかという原因の1つは、700万の辺りで見ていただくとわかるように、控除をがっぽり取っているからこうなる。
したがって、最高税率の議論云々とありますけれども、この負担の世帯数の割合と払った税金の割合から、これ以上更に上の方で税負担をするかしないかというのはこういうところで決めていくんだろうなと思います。
税率に関しては、43ページに書いてありまして、日本は特色があると思うのは、これもちょっと見るとわかりにくいかもしれませんけれども、世帯だと思いますけれども、世帯のうち日本は5%の限界税率に占める割合が5割以上。10%が8割くらいということで、事実は事実ですから、非常に低くして、そしてほとんどの人たちがこうなっている。だから、この税率構造とさっきの控除構造を重ね合わせれば、世帯人数の割合と税金を払った割合がああなるということは出てくるわけです。
今度は住民税との兼ね合いで私は共通して理解しておくべきだと私が思うことですけれども、同じ資料の41ページ、これは横軸に給与収入で比較的濃いのが所得税、そして10%で270万とか立ち上がってフラットなのが住民税。ここで指摘すべきだと私が思うのは、たまたまこれは夫婦子ども2人の給与所得世帯ですけれども、住民税と個人所得税の課税所得をどう考えるかというのは、今日直接出ていませんでしたけれども、大きな問題だと思います。
あと申し上げれば、所得税の負担の問題では、現役世代と高齢者世代、年金世帯との同じ所得でも税負担がどう違うのかという表も出す。
幾つかそういう我々の議論にとって、私の見方を言ったわけですけれども、日本の税制はこういうものだと。それを改革する上で戦略的に議論するような、皆さんそうお思いになるかもしれませんけれども、それぞれ御理解いただいていると思いますけれども、そういう情報を共有すべきだと。
そこまで言った上で、やはり日本の所得税の根っこの問題というのは所得控除の問題だし、給与所得控除が、さっきの図が見にくいというのはそういう意味なんですけれども、最高所得のところまで上がっていくというところは、控除で見た部分の日本の大きな問題だと思います。
最後に苦言みたいなことで申し訳ないんですけれども、資料を見ていて、各国比較は重要だと思うんですけれども、要するに、これは夫婦子ども2人の世帯とか、何とか世帯を出してきて、税率を適用して負担が幾らということを言っていて、それはそれで重要ですけれども、要するに法律を図に書いただけですね。
我々はこの手の議論で見たいのは、いろんな世帯が現実にはいるわけで、そういう現実にいろんな世帯がいる中で、仮に所得別に見たら負担の実態はどうなっているんだろうと。そこである控除を減らしてみたら、税収がどのくらい増えるんだろう。やはり制度を数字に直すということは最初にやるべきことでしょうけれども、制度を数字に直しただけでは、実態がわからない。
先ほどの世帯と負担の比率でも、使っているデータが例えば民間企業の実態とか、税から見ると非常に狭い範囲、狭いというのは非常に概念的ですけれども、部分しか使っていないという意味で、やはり今後の税制改革の議論をするときには、やはり日本の家計が実態としてどう税金を払っているんだと。先ほど捕捉の問題がありましたけれども、民間企業と申告所得の両方を兼ね合わせた分析が必要だと。
2番目は苦言ですけれども、あえて苦言を言ったわけです。改革を議論するときには、もう少し実態の数字が要るだろうということで、日本の所得税をどう考えるのかということに関しての私の考えと、あとプレゼンテーションのことで意見を言いました。
以上です。
〇水野主査
ありがとうございました。
星野課長、今、田近委員からありました年金世代と現役世代の所得税の状況、これは何か準備いただけますでしょうか。また、御検討ください。
もう一つが、民間企業の実態等を使って、いわゆる現実がどうなっているかというお話、これもすぐに出てくるかどうか難しいと思いますが、御検討いただければと思います。
手を挙げていただいていますので、先に挙がりました横山委員お願いします。
〇横山委員
財務省が用意してくださった「企画15-2」の3ページ、所得課税ということで、特に個人所得課税について今日は論点になっているわけでございますが、所得課税と言ったときに、法人所得課税との重みの分け方というか、これを各国比較を見ていただければわかるように、我が国だけ法人所得課税が際立っている。国民負担率のところで見てもですね。そうすると、所得課税として、法人段階でとらえるのか。個人段階でとらえるのか。
そういう点で考えたときに、日本は法人所得課税にかなりウェートを置いているんではないか。このこと自体いいのかということについてどう議論していくのか。
とりわけ法人段階と個人段階での課税のあり方論みたいなことを考えますと、課税哲学にも結び付いてくるんではないか。これは先ほど神野会長代理から出された二元的所得税の考え方、あるいは水野委員のプレゼンテーションの中でも言及があったわけですけれども、この二元的所得税の考え方をどう私たちの税調では位置付けるのかということも、重要になってくるのではないか。
そうすると、勤労所得と資産所得の課税のあり方論として、分離所得税の考え方を考えていくときに、最適課税論の考え方でいけば逃げ足の早いという話も出てきているわけで、そうすると、そもそも中立性とは何かというと、2通りの考え方がある。これは十分注意していただきたいんですけれども、均一課税であれば中立的だという考え方と、差別課税にする。
いわゆる非弾力的な課税をしても、個人の選択行動を歪めないような課税ベースには重課していくというような形の差別課税論の考え方、最適課税論の考え方で行くのかと。同じ中立でも全く違ってくるので、この辺はやはり注意していただきたいと思うんですが、最適課税論の考え方で行きますと、やはり資産性の所得よりも勤労所得に重課することが望ましいという考え方になる。
ところがこれは、神野会長代理がおっしゃっているように、人々の公平課税としてどちらの方が受け入れやすいかと言ったときに、勤労所得を軽課して、資産性所得に重課すべきではないか。この辺の同じ分離所得税体系で行くにしても、税率構造がかなり違ってくるという点で、この辺も議論していかなければいけなくなるということで、これから議論がなされていく必要があるんじゃないかと。
私としては個人的な考えなんですが、今のグローバル化社会の中で、法人所得課税に余り依拠していく体制を取ることは、私は避ける必要があるんではないか。そうすると、個人所得課税を強化するか、消費課税を強化するかという方向になるんだろうと。全体として、消費課税か所得課税かというものの考え方の中でどの程度のウェートの配分であれば納税者が納得できるのか。この辺になってくるのかなと思います。
以上です。
〇水野主査
ありがとうございました。それぞれ別の税目ですね。消費税、法人税のところでもやはり議論していただきたいと思いますが、高木委員、お願いいたします。
〇高木特別委員
お願いですが、田近委員もおっしゃったように、所得階層別の世帯数というか人口数といいますか、そういうものの時系列的な推移を最近10年間くらい取っていただいて、そういう中で可処分所得というのかそれにつれて変動しているかとか、あるいはジニ係数は老人世帯の増加だと吉川委員はおっしゃったけれども、もうちょっと違う面もあるんじゃないかなといろいろ思ったりしている部分もありますので、そういう社会的な所得配分みたいなもの人口推移とがどう関わっているのか。そうなれば当然所得税額、住民税額がどう推移しているのか。それぞれの税率の適用対象数はどのくらいになっているのかというのをマトリックスのようにしていただいて、整理していただくわけにはいかないだろうかというのがお願いの1点でございます。
それから、今日の財務省でお作りいただいた資料を見たときに、課税ベース等も含めて、給与所得だけの負担率だとか分配率の計数を出しておられますが、これは最近一部のマスコミの皆さんの論調の中にも、家計に利子配当所得等が回り始めたという論調の記事もあり、我々のところでデータがありませんので、どの程度回っているのかというのをいろいろ調べたり、その算定がなかなか難しいんですが、例えば給与所得3,000万の世帯と500万、700万の世帯で、例えば金融所得に関わる出費がどれくらいなされ、それによってどのくらいの利得を得ているのかという面も含めて負担率というのを考えていかなければいけないのではないかという思いも非常に強いんです。
私、昨年もこのデータを是非作ってくださいとお願いをいたしましたが、データがあったのかなかったのか、そういう表をお示しいただけませんでしたので、是非今年はそういう意味で、ある種のシミュレーションになるかもしれませんが、そういう目で見た負担率等の指標というかデータを是非作って見せていただきたい。
以上2点お願い申し上げたいと思います。
〇水野主査
ありがとうございました。なかなか利子所得というのは金融所得ですから、源泉課税するとともに、支払調書は免除とか、いろいろ面倒なところがあって、把握しにくいと思いますが、星野課長の方で善処していただけますでしょうか。
〇星野税制第一課長
ちょっと検討させてください。
〇水野主査
では、今の高木委員の御要望は受け止めました。
〇高木特別委員
どうぞよろしくお願いします。
〇水野主査
上月委員どうぞ。
〇上月特別委員
先ほど来所得の捕捉の問題がずっと出ているんです。私などは現場にいますと、事業所得者というのはどんどん減っていっています。しかも、事業承継の問題で、子どもが後を継いでくれるかというと、皆さん継がないんです。そういう事情が今どんどん出てきているんです。しかも、今は基礎控除というと、事業所得者の場合ですと38万円です。これで果たして本当にきちっとした生活ができるのかという問題もあります。
先ほど「トーゴーサン」というお話がございましたが、もしそういう資料が、こういうふうになっていますという、今、吉川委員からお話がございましたけれども、資料があるんだったら、一度拝見させていただいて、そういう説明を皆さんにしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇水野主査
上月委員も何か具体的に、例えば事業所得者についてはこうであるとか、何か御意見ございますか。
〇上月特別委員
我々が関与している事業所得者というのは、ほとんどが青色申告ですから、それはきっちりできていますし、特に最近は書面添付制度だとか、いろんな制度がございますので、65万円控除というのもありますので、それなりに非常に厳しく、今はIT化がどんどん進んでいますので、そういう形で確実にやっていますけれども、全部見ているわけではないですので、そういう資料があればと思うわけです。
〇水野主査
ありがとうございました。では、田中委員どうぞ。
〇田中特別委員
もう既に何人の方からお話がありましたけれども、最高所得に適用される限界税率というお話でございます。これは昨年の税調でも議論がありまして、今話題になっている格差解消のために、再分配機能を維持するために、累進性は維持するということで行われているわけです。結果として日本は世界でかなり、先ほど田近委員からお話がございましたとおり、高所得者に対してはかなり高い水準になっているということです。
今話題になっている法人税というのか引き下げをしなくちゃいけない。これの主な理由の1つは、国際的なイコールフッティングを意識し、国際的な競争力を維持するのと同様に、個人所得課税につきましても、国際的なイコールフッティングというのも忘れてはいけない要素ではないか。
日本の優秀な人材がこのために一部海外に流出するとか、個人の働く意欲というのを損なうということで、資源配分効率性のために、是非その辺も考慮していただければなと思います。
以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。
では、永瀬委員どうぞ。
〇永瀬特別委員
これからの少子高齢化社会を考えますと、女性の就業を抑制しないということと、それから子どもを持つコストを一部は社会的に負担するということが重要なのではないかなと思います。先ほど翁委員から控除の見直しという話がございましたが、現実に有配偶女性の賃金データを取ってくると、年収103万ぎりぎりを稼いでいる人が多く、103万以上階級は大きく減少します。これほど大規模に税制等諸制度の影響によって有配偶女性の年収調整が行われている国は他に余りありません。有配偶女性の年収のヒストグラムを見ると、90から103万程度の度数がきわめて大きく、103万以上ではぷつっと減少するというヒストグラムをしております。
有配偶女性でも正社員についてはそういう年収分布になっていません。正社員の場合には、税金のために労働時間を減らそうとか増やそうということは考慮の外でしょう。しかし時間単位で自分で時間を選んで働いている場合には、非常に敏感に世帯の実質手取りを増やすような調整が行われるわけです。
この就業調整の問題は私は日本の女性労働にきわめて大きい問題だとかねてから思ってきました。この歪みは是非修正していく必要があります。ただ、それは働くパート女性に対して増税をすべきという意味では決してありません。子どもを育てることが実質的に容易になるという形に、社会的な配慮ルールをかえていけばいいと思います。ただ制度変更がされれば、具体的に、損をする人、得をする人、損を就業調整の解消でカバーできる人、できない人、いろいろな凹凸は出てくるだろうということは考えられますので、実際に制度変更がどういう凹凸もたらすと考えられるかをデータを見て丁寧に考えてみることが必要なんではないかというふうに思います。
同時に、就業調整を解消する制度変更とともに、前にも申し上げましたけれども、正社員と非正社員との賃金格差を埋めるような労働法の施行が行われる必要があります。同じような仕事をしているとしても両者の差は現状では大きいのです。ですのでこういうルール変更をともなわないと、主婦への優遇がなくなるだけ、となり、主婦層に大変不満が強い改革になるのではないかなと思います。
先ほど子どもを持つことを税制がどう配慮するのかということで、子どもを持つ世帯を優遇すると、それは税の中立性という概念にもとるのではないかという見方もあるということが示されました。しかし私はそのようには考えません。例えば「企画15-2」の14ページの図をご覧ください。これは大変面白い図なのですが、これはある一時点で、スタティックに、ある人の年収が500万とか1,000万の場合に、その税負担はどうかを示したものに過ぎません。男性については、この図は稼得能力と税負担を示し、負担の公平性を示す図として有効でしょう。ですが、女性の場合は子どもを持って仕事を辞めるという人が大変多いわけです。そうすると、収入そのものが、それまで例えば700万のブラケットにいた人が子どもを持ってゼロに動くかもしれないわけですし、実際そういう女性は多いのです。つまり非常に大きい私的コストを伴って子どもを持っているが、それが社会的になんら考慮されていないことを見落とす図となっております。つまり、ただ単に一時点の収入と負担の状況をスタティックに見て、中立性を語ることは、子どもを持つ世帯について、大きい負担の不公平をみのがすことになる可能性があると思います。
そして、14ページの図で見ますと、日本は随分税金が低いけれども、ほかの国は随分高いんだなという印象があります。私は他の国の状況について、最新の情報を今知っているわけではありませんが、今日この会議に来る前にイギリスのホームページを見てまいりました。子どもと所得課税ということで検索をすると、子どもを持った場合には、こういう税金上の考慮があるよ、またこういう社会保障からの給付もあるよということが、税制、社会保障、それぞれ別に提示されるというのではなく、両方について一度にだっと出ているホームページに簡単に行き着きます。子どもを持つと、税金で多少の考慮をしてもらう、というだけではなくて、子どもを持って収入が減った場合には、社会保障給付や税制からの給付を受けられるという面も、ホームページに提示されています。
つまり、公平性ということを語るときに、単に税率負担と年収だけで比較して、一時点での収入に対する整合性があればそれでいいとはいえないということです。子どもを持った個人や世帯の視点から見ますと、公平性、担税力の概念はもっと全然違うことなのではないでしょうか。社会保障から来る給付も税金負担の免除も、みんな一緒の目線でとらえるべきと思われます。子どもを持って女性が仕事を辞めるということは、まさに収入の大きな下落でありますが、そういう女性が多数を占めるのが日本の現状です。そういった日本の現状を踏まえた上で、子どもを持つ負担を社会的にどう担うかという問題を考えるとどういうことになるのかを考え、その上で、子どもが一定年齢以上になった有配偶女性については、就業抑制的しない枠組みを、また子どもがいる世帯が負担する子どもコストを社会的に一部負担するという枠組みが必要ではないかなと思っています。勿論、世代間の負担と給付の問題ですとか、消費課税という新しい財源についても今後考えていくべき非常に重要な点だと思いますけれども、税金だけでなく、社会保障からの給付も総合的に勘案し、子どもを持つ負担の社会的な連帯、および、有配偶女性の就業調整の解消を目指した税制と社会保障の制度を考えていくべきと思います。
以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。先ほど少子化の問題についても、いろいろ税制だけではない問題があるというお話でしたが、今、永瀬委員のお話でも、女性の社会進出、子育ての問題と非常に絡みますけれども、単に税率、あるいは所得控除だけでは済まない様々な諸制度の問題があるということです。こういうのをどう議論していくのかというのは今後の課題だと思います。
秋山委員どうぞ。
〇秋山特別委員
今年辺りからは、税体系の抜本的改革という大きな課題をいただいている中で、少し長いスパンで、今日は所得税ということですので、考えてみますと、翁委員から御指摘がありましたように、今回いろいろお示しいただいたデータとかを拝見しますと、少し問題意識として強く感じますのは、これまでの税調の答申などのいろんな要点の中で「企画15-4」の資料の一番最初の「個人所得の現状と課題」というところに、基幹税としての機能が非常に衰えてきている。これの回復に取り組んでいく必要があると書いているんですけれども、そもそも人口が減る。それから勤労者数、あるいは勤労者の割合が減っていく。その結果として、トータルでの勤労所得が減っていくということがある程度わかっている中で、所得税、特に勤労所得に所得再分配機能を求めていくということ自体が、これから先の時代を考えたときに、もしかしたら、そこの見直しも必要なのではないかという印象を持っております。ここについては、私自身精密なデータで見ているわけではないので、誤解があったら大変申し訳ないです。
そのように考えてくると、いろいろ控除の問題等ありますが、今回の議論を各税項目の各論から、今日は所得税、それから次は法人税という話で進んでいくと思うんですけれども、どこかのタイミングで税体系トータルとしてどう今後考えていくのかという議論を是非ともしてほしい。これは以前から申し上げておりますし、前回も御指摘があった部分なんですけれども、できればいきなり各税項目から入るよりは、どこかの早いタイミングで、幾つか主だった論点が出たタイミングで、全体的な話が整理できると非常にいい議論ができるのではないかなと思っております。いずれにしても、財源調達機能とか、所得の再分配機能、これはどういう形で実現していくのかということが重要だと思いますし、そういう中で所得税に非常に期待値が低いのであれば、一方で法人税も現実問題として上げにくいというのは私自身も感じておりますし、そうなると、ある程度間接税で集めて、それを社会保障とか福祉サービスのような形で国民に還元していくというような絵が見えるような話も必要なのではないでしょうか。以上でございます。
〇水野主査
ありがとうございました。やはり消費税というものを中長期的、もう少し早いかもしれませんが、頭に置いた場合に、所得税の果たす役割が非常に重要、それを検討しなければいけないわけです。
先ほど井堀委員が所得再分配、これはトータルな観点から見なければいけないと言われていましたように、今、秋山委員から御指摘のような観点から個別の税目に加えて、相対的に議論するということも必要です。
辻山委員どうぞ。
〇辻山特別委員
今ちょうどお話が出たところなんですが、今日、水野委員のペーパーの中で、所得税と言うと、よく包括的所得概念というものが指摘されて、特に戦後シャウプ税制で理想的な税制として指摘されていたわけなんですけれども、社会情勢の変化というものを考えてみた場合に、包括的所得概念自体もいろいろな見直しの時期に来ている可能性があるなと思うんです。
それは2つの意味ででして、要するに、シャウプ税制の時代というのは、富というものをはかる場合に、みんなはゼロからスタートするという時代だった。この間資産形成が個々の家庭、あるいは個人でも進んできて、特に家計に蓄積された資産というのは無視できないところに来ていると思うんです。
ですから、所得だけで経済力というのを必ずしもはかれない時代が来ている。よく支出税へという話がありますけれども、この支出税自体が、実は所得を捕捉する概念、消費型所得ということも言われていて、所得か消費かという二者択一ではなくて、所得の捕捉、あるいは所得というものを経済力と考えると、その捕捉手段として消費というものが注目されているという考え方もできるのではないかなと思うんです。
それから、資産蓄積の中で資産課税の問題、あるいは資産所得課税の問題、こういうものも大きな比重を占めてきている。
今、秋山委員がおっしゃったように、所得税の問題は勿論重要なんですけれども、全体の中で担税力というものを、税全体の構造の中でどう考えていくのかということを早目に議論した方がいいのかなという印象を持ちました。
それから、ちょっと気になりましたのは、103万円の壁というのがあるんですけれども、今日のペーパーの24ページにもありますように、私は必ずしも税の問題なのかなと思います。特に上乗せ部分が廃止されておりますので、なだらかに階段状になっている中で、税の問題というよりは、パーセプションが定着しているためにそういう部分が実際にあるのかもしれませんけれども、実質的な問題として家族手当の問題とか、保険料の問題とか、税がダイレクトにこの103万円の壁にきいているとは思わないんです。
〇水野主査
永瀬委員、補足をどうぞ。
〇永瀬特別委員
確かに家族手当の問題が大きいと思います。ただ税制面でも配偶者控除がなくなっていくときに、妻の税率だけでなく、加えて夫の税率で世帯の税金が増えていく構造がありますから、103万を超えた点では、自分だけでなく、少なくとも夫の税率をプラスした値で税率が上がり、特に税率が高くなっているということは確かです。これは税制上の歪みです。税理士の上月委員もうなずいてくださっております。この制度上の歪みは事実としてあると思われます。
〇辻山特別委員
この図で階段状の右側の103万円から141万円に、そういうインパクトがないように税制改革。
〇永瀬特別委員
配偶者特別控除という制度ができる前は、世帯手取りが実質的に減っていました。しかしこの制度の創設で逆転現象はなくなっています。なくなってはいますけれども、税率を見れば、103万を超えた点で、妻だけでなく、夫の税率が妻の年収に(世帯としては)合計としてかかってきます。つまり103万円を超えてしばらくの年収幅では、妻だけでなく夫税率を合わせたかなり高い税率が課される設計になっています。
〇水野主査
ありがとうございました。よろしいでしょうか。
〇大橋特別委員
今日は水野委員のお話を始めとして、財務省や総務省の御担当の課長からのいろいろなお話で大分勉強になったんですが、いずれにしろ今の個人所得課税ということだけ考えてみても、今の体系というのは、かなり複雑になっておりまして、控除の項目もたくさんあるし、一方で課税の種類もたくさんあるし、この所得課税を抜本的に改正しようとしていくと、国民の理解をどう得ていくのかということを考えていく場合には、今の体系そのものがトータルで見ると複雑になり過ぎているんではないかと私は考えています。
原則の中に中立とか簡素という問題があるんですが、もう少し全体が国民のレベルで見て、プロに専門家の皆様の理解ではなくて、一般の納税者から見て非常に理解がしやすいような簡素なものに、もう少し所得課税についてもしていくことが結果的に国民の理解を得られるようになるんではないか。
今までは消費税ということよりも、この所得税の方をほとんど中心に税体系というものが出てきたために、その都度そのときの政治情勢とか、国民の要求というもので、言葉悪く言えばつぎはぎ的になってきているところがあるだろうと。そういうものを本当に一遍今後の少子化、あるいは高年齢層の増加、そういう大きな環境の変化に基づいて、もう少しゼロベースで本当に考えてみて、簡素なものにして、それについて政府の税調としても、国民の理解が得られるようなものにしていくというやり方が何か必要かなというふうに私は考えております。
一方で消費税の方もいろんな複雑なことよりも、どちらかと言えば、割合単純な形にしておいて、弱者に対してのいろんな給付とか控除ということは必要だと思いますけれども、いずれにしろ、この所得課税については、全体としてシンプルにわかりやすいものにしていただくことが、政府の税調としては大きな仕事になるんではないか。これはある意味ではプロの方からご覧いただくと、非常に素人の意見で、そんなこと言ったって無理だよと言われてしまえばそれまでなんですが、私の感想としてそういうことを申し上げたいと思います。
〇水野主査
ありがとうございました。今、大橋委員が言われましたように、大きな税制改革と非常にいろいろ問題を抱えているときは、必ず他方で簡素化という目標を持つわけですので、非常に重要な目標でもありますので、これは頭によくとどめておきたいと思います。
では、申し訳ございません。短くお願いいたします。
〇御船委員
配偶者控除などの問題で、これが実は金額というよりも、結構象徴的な意味というのがすごく果たす役割が大きいと私は考えておりまして、この配偶者控除というのを導入したときと、今が非常に変化している中で、これは本当に真剣に議論すべき内容だと思います。
〇水野主査
ありがとうございます。いろいろ御意見をいただいたり、資料と申しますか、データのことにつきまして、御注文もいただきましたが、残念ながら時間が来てしまいましたので、また第2ラウンドのところで御意見を伺いたいと思います。
それでは、香西会長よろしくお願いいたします。
〇香西会長
本日は大変活発に御議論いただいて、大変ありがとうございました。これで第1回がとにかく滑り出したことで大変よかったと思います。
私の立場から一、二コメントをさせていただきますが、まず全体像から早く議論したいという話、これは何のためにやっているかというと、別に各論をやるためにこの税調があるわけではありませんので、それは当然そういうことを考えております。ただ、いきなり抽象論というか、イデオロギー的な議論になってしまわないために、例えば所得課税、法人課税等について、これはそんなにたくさんあるわけではありませんから、幾つかのアイテムについてしっかりやっておくということも1つのやり方であろうと思っておりますが、当然1つの構想、税体系の問題にそれがつながっていくことは、今日の議論を聞いて私は非常にそれを感じました。所得税1つやってみても、これだけ消費税がすぐ問題になってくる。こういうことは御議論の中で出てきたわけでありますから、そういうことで私も順序の点については、スケジュールを完全に決めておりませんけれども、あるところまで行ったら全体の問題、あるところに行けばまた個別に行くというフィードバックの過程をうまくやっていきたいと思っております。
所得税に関して、いろんな御議論が出て非常に私も勉強させていただきましたが、1つだけ、こういう観点もあるかなと思っていること、あるいは今日議論する余裕がない、あるいは今日は議論しないと水野委員から決められたことですので、議論するつもりはなかったんですれども、所得税というのは、所得再分配に非常に役に立つというのは、大体高いところからたくさん金を取れという話だったと思うんです。それが、だんだん、日本もそうですが、世界的に所得税の位置というのがなくなってきているということもどうも事実らしい。
それに対してある種の復活の動きとして何があるかというと、さっき神野会長代理からもお話があったように、例えば富裕税という形も勿論あるわけでしょうが、同時にアメリカやイギリスでやっていることは、むしろ下を引き上げるインセンティブを所得税の中に織り込もう。これはある意味で負の所得税ということにもつながります。アーニング・インカムのタックス・クレジットというやり方で、これは日本でそういう還付ができるのかということとか、いろいろ問題もありますけれども、これは同時に社会保障で本来やるべきことではないかという議論も出てくると思いますが、これも今日は議論しませんでしたけれども、やはり税調としてはその議論も一言やった上で、最終結論の方へ持っていくことになるんではないかと私は考えているということであります。
それは単なる私の感想でありまして、会長がそう言ったらそうするということではなく、そういう議論をする必要があると申し上げたということで御了解いただきたいと思います。次回以降のスケジュールにつきましては、現在事務局で精力的に整備しているところでありますが、残念ながらまだ次の回について、この席で御報告するだけ調整が進んでおりませんので、決まり次第、事務局から御連絡をしたいと思います。
本日の「企画会合」はこれで終わりますが、大変有意義な会合であったことを感謝いたします。
どうもありがとうございました。
〇大橋特別委員
ちょっとお願いがあるんですが、今、一番最後にお話のあった、次回の会合の日程なんですが、これは大変皆様お忙しい中をスケジュール調整をされているんだと思うんですが、委員の皆さんもなかなか調整が大変だろうと思うんです。ですから、例えば何曜日の何時はとりあえず空けておけとか、そういうお話をいただかないと、どうしても皆さんの中に欠席が増えてきて、十分な議論ができなくなる可能性があると思うので、次回もまだ決まっていないということになりますと、我々としても調整が難しくなるので、御事情はよくわかるんですが、何とかその辺のことも前広にお決めいただければありがたいと思います。
〇香西会長
御指摘は全くごもっともだと思いますが、実際上、次は何をテーマにするかというのはいろいろお願いしているわけで、準備がすぐにはできていない。
それから、客観的に例えば社会保障の将来図が、これは政府の中で作業を進められているはずなんですけれども、それに基づいてと考えていると、なかなか決まらないという状況もあって、非常に難しいということでありますので、公式的には私はいつということは申し上げられませんが、これまでの慣行的な考え方としては火曜と金曜日の午後、2時~4時というのが、全部やるということになりますと2回やるわけですが、そうではなくて、そのどちらかに大体今まではなっていたと。これからもそうするということは必ずしもお約束できませんが、経験法則としてはそういうことになっておるということだけ、とりあえず申し上げておきたいと思います。できれば次回もその範囲に入るところで何とか収めていきたいと思っております。
どうも本当にありがとうございました。
〔閉会〕
(注)
水野主査発言の『◆)就労形態の変化と税制・・・・』の◆は、ローマ数字小文字3を示す。
本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。