企画会合(第14回)終了後の香西会長・田近部会長記者会見録

日時:平成19年9月11日(火)15時57分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

司会

それでは、第14回企画会合後の記者会見を行います。

初めに、会長、部会長からコメントございましたら、お願いいたします

香西会長

特に申し上げることはありませんが、これでお約束どおり、秋以降具体的な論議に入るというスケジュールにやっと追いついたということであろうと思います。

質問

今日の議論の中で、抜本的な税制改正の中にどこまで盛り込むかは別にしても、終わりといいますか、一番最後のスケジュールなんですけれども、ここをどこら辺に持ってこようかということのお話が若干薄かったように思うんですけれども、その点について、会長の認識があればお願いいたします。

香西会長

抜本的改正がいつごろあるかとかいうことになりますと、最終の過程としては、当然、国会の審議というのがあるわけですね。したがって、実際にそれが実現するのはいつかとか、そういう話については、私は何も情報を持っておりませんし、答える立場にありませんと言うしかありません。

私のほうはそれではどうするかというと、税調としては、例年の慣行でいけば、大体10月、11月ぐらい、私は経験ないので、間違っていたら田近さんに訂正してもらいますけれども、一案をまとめて提出して、あと党税調や内閣や、それから各党の議論があって決まっていくということであったと。そのとおり今年もいくかということについては、私には全く、その最後の段階の国会の審議についてはコメントする能力もないし、気持ちもありませんけれども、しかし、一応従来やってきた大まかなスケジュールを念頭にやっておいたほうがいいだろう、あるいは一応税調としては議論しておいたほうがいいだろうということを、同じ期間で一応終わるというぐらいの作業準備をするということしか、ちょっとほかに考えようがないということですね。某大臣が言われたそうですけれども、シミュレーションやったら幾つも出てきて、やらないのと同じになるということだろうと思います。

質問

今のお答えで補足でちょっと教えていただきたいんですけれども、イメージとしては、11月末ごろに答申の形でまとめるということでよろしいんですか。

香西会長

答申は要らないと言われるかもしれませんから何とも言えませんけれども、答申がまとまる、書けるような状態で終わりたいと思っております。

質問

それと、今後の議論の進め方は、今日もいろんな議論がありましたけれども、委員の中には、政治情勢を踏まえて、現実的なことも考えなきゃいけないんじゃないかということを念頭に置いたような質問もありましたけれども、最終的にどういう結論になったのかちょっとわからないまま終わってしまった印象があるので確認したいのですが、政府税調としては、今後、消費税を含む抜本的な改革に向けた議論を主要なすべての税目についてきちんとやっていって、年末に向けた答申の中に方向性を盛り込みたいと、そういうお考えでよろしいんでしょうか。

香西会長

もちろん、政府のほうから、こういう問題もやってくれとか、いろいろ注文がつく可能性はないわけではありませんから、もうそれで決めてしまっているというわけではありませんけれども、諮問があったわけでして、それを一応こなしておくことは、それがそのまま使われるかどうかということは別として、我々の義務だろうと思っております。

質問

今日、香西会長のほうからお話がありました「今後の議論の進め方」で、各項目で主査さんみたいな形の方を任命されるというお話がありましたけれども、具体的に、この主査さんというのは大体どれぐらいの人数になって、どういった項目を今後どれぐらいの会議の日数をかけて議論していくのかということについて伺えればと思います。

香西会長

主査の方と申しましたけれども、どちらかといえば、今考えているのは、学識経験者の方で、その分野についてかなりオーソリティとか、経歴もあるし、実力もあるし、深く研究もしておられるという方をお願いしていこうということであります。簡単にいえば、消費課税とか、企業課税とか、国際課税とか、そういったような項目が、幾つぐらいになりますかね、7つ8つぐらいは、考えていれば当然出てくるわけですね。それから、かなり、来年度というか、今年度問題になるであろうと思われる問題もある。例えば公益法人の問題とか、すでにステージには、登場してないかもしれませんけれども、今年中にいろんな新しい制度ができるといったようなものもありますから、そういったものを取り上げてやっていきたいと思っております。

そういう中で、今日、吉川さんからいろいろお話がありました。あれは我々ももちろん非常に関心がありますけれども、諮問会議等でも非常に大きなテーマでしょうね。歳出歳入一体改革ということですから、私たちのほうは、特に税のほうからそれをどういうふうに考えたらいいかということを中心にしながら、しかし、結論としては、吉川先生がおっしゃったように、ある種の数字の問題になり得る問題なのですね。その数字をどういうふうに並べるかということのロジックについては、いろいろちゃんと議論しておきたいと考えております。

質問

すみません、たびたび。会長にご所見をお伺いしたいんですけれども、昨日始まりました国会で、安倍総理の演説、今日も出てましたけれども、そこに税制改革に取り組む姿勢として、従来、平成19年度を目途にというような表現がいろんなところで出ていたんですが、今回の演説には、その19年度目途という目標時期がなくなっている事実があるわけですけれども、その点について、昨日、与謝野官房長官が記者会見で、政治情勢などを踏まえた高度な政治的な判断ですというご説明がありました。

会長にお伺いしたいのは、参議院での与野党逆転が念頭にある発言だと思うんですけれども、こういう政治判断というものが年末までの政府税調の議論の進め方に影響があるのかどうか、あり得るとしたらどういう影響があるのか、どのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞かせください。

香西会長

私は、与謝野長官がどういうふうにお答えになったかわかりませんが、いろんな話、人の話みたいなことになるけれども、財務大臣も会見されておられるわけだし、これは今日でしょうか、それから幹事長もお話があったわけですよね。それぞれ皆さんのおっしゃっていることを聞いていると、19年度ということはもうやめたという形で除かれたというふうにも読めないところもあるわけですよね。ですから、我々としては、新しい作業計画を立てる必要、じゃ私たちが例えば平成20年度を目途にと書きかえるというわけにもいかないわけでして、与えられたスケジュールの中でできるだけのことをしておけば任務は果たされるわけですから、その点について特に、19年度を目途にしちゃいかんというふうに言われて削られたわけでもないだろうと。そういうふうには理解してないわけですけれども、しかし、総理はそれとしていろいろな政治情勢をお考えになってそういう表現をされなかったということでしょうから、それはそういう政治情勢なんでしょうかなあと思っているというだけしかお答えすることはありません。

質問

期限をいつというのが、今もし政治状況で決められないにしても、例えば証券優遇税制ですとか、期限が迫られているものもあると思うんですが、先ほど、項目幾つかに分けてというお話もありましたけれども、優先順位をつけて話していくというお考えなんでしょうか。

香西会長

何というか、そういう出てきたテーマについて、やっぱり政府税調は非常に伝統のある会議、諮問機関ですから、税制調査会というのはそういうことについて従来も常に新しい提案をしたりコメントをしたりしてきているわけですね。そういう伝統は、今回はそういうことしないで、フリーでパスしたという形はとりたくないと思います。だから、それが問題になれば、夜でも臨時集会でもやって議論した上で、一応我々のリアクションは提起していくというふうになるだろうと思います。今から、それがいつだとか、どういう形になるかということはちょっと何とも、シミュレーションが余りにも複雑になって答えが出ないと思います。

ただし、今お話しになった金融所得課税という問題については、政府税調としては、私はいなかったんですけれども、昨年も非常に議論をなさった上で一つの結論に達しているわけですし、今日の田近部会長の整理においても、非常に大きな問題であると位置づけられている。

それは単に証券業界を支援するとかなんとかいうことよりも、むしろ、もう少し大きな資金の、資産の使い方というか、リスクテイクということですね、もう少し言い方を変えれば。去年の言い方では、「貯蓄から投資へ」と言っていたと思うんですが、やっぱりそういう大きな仕事というふうに考えていて、どの業界にプラスになるからということだけで議論しているつもりは私たちにはないと私は思っているんですけれども、よろしいですか。それは非常に重要な問題だと思ってますから、それが明日までにやってくれと言ったら、急遽、今晩でもやってもいいというぐらいの問題だと思ってます。

質問

確認なんですが、今の証券税制でもう一度お伺いしたいんですけれども、基本的には昨年の議論を踏襲なさるというお考えなのかどうか。

それからもう一つ、本格議論のキックオフということで改めてお伺いしたいんですが、今後の安定財源に向けた消費税率の引上げについて、香西会長、どのようなご意見をお持ちか、教えてください。

香西会長

もう去年どおりであるということだったら、会議は別に招集しなくて、それより先に決議してもいいわけですが、それはしてないわけで、やっぱり問題が出れば、それはもう一度議論はするわけです。けれども、私は参加していなかったけれども、いろいろな記録などを拝見すると、非常に熱心に検討した結果が昨年の結果であったということは否定できないのではないかと思います。

それからもう一つ、安定財源の問題については、今日も、消費税というのはそれに対してやっぱりふさわしい税だと、それを国民も理解しているんだから、内心はかなり理解されているんではないかというような判断の方もいらっしゃったわけですね。消費税を含めて議論するということは前の諮問にも書いてありますけれども、消費税というのは一つの有力な選択肢であるというところはもう言うまでもないと、それは常識的なことだろうと思います。諮問だったか、総理の演説でしたでしょうか、要するに、薄く広くみんなが負担する税だと、だからいいんだということをおっしゃっている。

そういうことは事実ですけれども、しかし、例えば何年度からそうするとか、来年するとか、再来年するとか、必ずするとか、それはまだ言い切れないというところがあって、それは1つは、政治的にどうなるかということについては違う話になりますし、それから我々は政治をするわけではないけれども、しかし、それは他の方法というのがある。あるいは何かの形で、例えばインボイス方式を本当に入れるとか、益税をどうするとか、今日も議論が出てましたけれども、そういうことをやった上でなら、話が違うとか、いろんな議論がありますので、今の段階で、一言で消費税を上げればいいんですよというふうに、消費税を必ず上げましょうとか、そういうところには議論はまだ至っていないと、そういうふうに思っています。

質問

ちょっと確認、同じような質問になってしまうんですけれども、最初のほうで、基本的には、会長が従来どおりのスケジュールで出せるものは出していきたいというふうにおっしゃいましたけれども、それは来年度の改正で必要なものと中長期的なものと両方あると思うんですけれども、これは基本的に両方盛り込んだものを出したいというふうにお考えなんでしょうか。

香西会長

ある意味で、作業としては両方とにかく手をつけておきたいと思いますね。ただ、それで審議で簡単にまとまるかどうかとか、そういうことはちょっと今の段階では予想できないかもしれませんから、作業としては、一応去年いただいた諮問にあるような項目については、つまり、抜本的ということについてやっぱり議論しておきたいと思います。我々の審議の状況の進捗いかんですけれども、それに応じてその取扱いを決めていくということになると思います。

質問

もう一つ、すみません。さっきも、政府税調は伝統あるとか、会長おっしゃいましたけれども、今こういう政治状況の中で、従来は政府税調と与党の税調というのが基本的に税を決める存在であったわけですけれども、今は諮問会議が出てきたりとか、今後は、野党と協議するのかわかりませんけれども、何らかの形で民主党もかかわってくるでしょうし、そういう中で、政府税調の存在が相対的に低下しているんではないかという見方もあるんですけれども、そういう見方については会長はどういうふうにお感じになってますでしょうか。

香西会長

2つの政党が熱心に税制について大いに議論すると。そして、できれば国民の目の前で、つまり、国会において税制を決めていくということが実現したら、それは非常にすばらしいことであって、私は別に政治家でもありませんから、伝統を守りたいということは、別段、権力を誇示したいということでは決してないわけですね。それは我々の仕事が専門家としての意見をまとめてみるということだということで、それは、過去において税調は非常に権威があるように言われてましたけれども、税調の答申をずっと読んでみると、あっ、これまだやってないなというのがいっぱいあるわけですよね。現に、さっきの金融税制もそうかもしれませんし。

それはまあしかし、憲法によって、税制は法律で決めると。条例も入るわけですけれども、法定主義となっているということは、国会が決めるということははっきりしているわけで、それに何か権力闘争をするなんていう気持ちは全く私にはありません。むしろそれは専門家としての立場を守りたいということだけであります。私はあまり専門家でもなくてすまないんですけれども、これは緊急な人事の結果でありまして、ご勘弁願います。

質問

ちょっと確認なんですが、今日いろいろ委員の方からご意見出ましたけれども、今後議論すべき課題、具体的な課題として、田近先生から出されたこのペーパーに載っているようなテーマに特に反対の意見はなかったように思うんですけれども、具体的な今後議論していく税目というか、論点というのは大体ここら辺で一致したという認識で、そういう理解でよろしいんですか。

香西会長

一致したかどうかわかりませんが、田近プランが一つのリファレンスといいますかね、そういうものとして大体受け入れられたんじゃないかというふうには思っておりますけれども、中身のこととか、そのどれを重視するかとか、そういうことはまたやっていかなければいけない。

それから、もう一つ言えば、税体系、個別税制の問題もやっぱり個別にやって、ここではやや、目的とか、効果とか、そういうことで分類されている面がありますけれども、それはこの制度としてどうかという問題がかなり出てこないとちょっとこれからの税調のタイミングに合わなくなってくるということはあります。大体そういうことで、関心事という点について言えば、ほぼ認められたのではないかなあと私は思っております。

質問

確認なんですが、先ほど7つ8つに分けて主査を立てると言ったのは、こちらの「今後の審議に向けて」のペーパーのAからEまでの中を7つに分類してというようなことでよろしいんでしょうか。

香西会長

一応主査としては項目別の方が多いわけですね。ただ、財政総論というんですか、歳出がどうで、どういう形で歳入がどうなるかとか、そういう項目というか、これは税目別ではありませんけれども、ややそういったテーマも入るだろうと。ただ、それは我々だけで決めるわけではないものですから、いつできるかとか、相手もありますので、簡単には決まりませんけれども、基本的には、主査は税目を担当しているというふうに理解していただければと思います。

質問

税目なんですけど、先ほど幾つか、所得課税、法人課税ですか、それから公益法人の問題とかおっしゃってましたけれども、まだ7つ8つ、ほかに幾つかあると思うんですが、参考までに、どういうものがほかにあるのか、ちょっと具体的にお教え願えないでしょぅか。

香西会長

そうですね。まあ消費課税というのもあり得るでしょうね。どういう形かわかりませんけれども、それは議論としてはあり得ると思いますね。これは担当者とか、いろいろ話し合いがまだ完全に終わっておりませんから、今全部と言われてもちょっと難しいところがあります。お約束できないです。

質問

それと、これは田近先生にもお伺いしたいんですけれども、田近先生の「今後の審議に向けて」というのは、税目別に整理されたものではなくて、税制が目指すべき目標みたいなもの、あるいは期待されている役割みたいなものに応じて切り分けた感じで、幾つかの税目が複数にクロスオーバーしているような感じだと思うんですけれども、これは各税目とどのようにかかわっていくものなのか、イメージが私よくわからないので、どのようにお考えになっているのか、お聞かせ願えるでしょうか。

田近部会長

これは今後の審議に向けて税調で議論を立てていくテーマを書いたわけで、具体的な税制改革ということは、今ご指摘のとおり、これを各税に翻訳しなきゃいけないということだと思います。したがって、これからは各税と制度に基づいた議論をしながら、または、ある意味で最終的にはそこから、仮にですけれども、こういうAからDまで掲げられたテーマに対して各税がどう答えたかというフィードバックも最終的にはあるということで、これからはこういうテーマを各税でどう翻訳して表現するかということだと思います。最終的には翻訳がまたこういう形で戻ってくるというふうな行き来かなと私は思ってます。

質問

答申の目次のたたき台みたいなイメージなんでしょうか、そうすると。

田近部会長

それは、これからまさにこの各税の議論をして、何が出てくるかということだと思います。

香西会長

さっき項目別と言ったかもしれませんが、これからの会議は、原則としては税目別ということになっていますので。毎回のテーマはですね。その点は、項目別と言ったようですから、ちょっと訂正をしておきます。

司会

よろしいですか。

それでは、これで記者会見を終了させていただきます。(了)