企画会合(第12回)終了後の香西会長記者会見録
日時:平成19年6月8日(金)16時24分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室
〇司会
ただ今から記者会見を行います。質問のある方は挙手をお願いいたします。
〇質問
今日は非常に幅広いご意見があって、会長として、これをどう総括されて、今後の議論にどう活かされるのかという点を教えてください。
〇香西会長
何回も会議の席で言いましたけれども、今後は、調査分析の仕事から、だんだんと答申をつくっていく、政策論議に入っていくということが必要ですので、一つは、それをどういう体制で分担しながらやっていくか。大きな会議だけではなかなかできないと思いますので、問題別になるのか税別になるのかわかりませんが、そういう組織を新しく考えなければならないだろうと思います。
それと同時に、今日、需要が強かったのは「大きな絵」ということであります。これはたしかに必要であると思います。ただ、あそこでいろいろ出たような哲学の問題というのは、下手をしたら神学論争になったり、イデオロギー的になったりしても困る。我々は、実現可能性といいますか、実際に組み立てて税制として稼働するところを確認しないと、税調としての役割は果たせないと思いますし、そういうことと大きな絵というのはなかなか結びつかないところがあると思います。しかし、どういうふうにするかわかりませんけれども、ある種のグランドデザイン的な、可能性のある問題整理を考えて、それについてみんなで議論していただくという体制をとるしかないだろうと。
そういう点ではある時期に、今後の税制、今回の税制改正についての考え方とでも言うのでしょうか、中身はまだ何も考えていませんけれども、そういったものをとりあえずつくって、それについてご議論していただく。今日の要求に応えて議論を終結に持っていくには、それ以外には方法はないだろうということですので、この夏休みのどの程度までかかるのか。秋になると時間はあっという間に過ぎますから、時間的にもかなり詰まってきているわけですが、そこは何人かの方にいろいろ相談しながら、私も参加して、グランドデザインのスケッチをまず考える、こういうことになるだろうと思います。
財政学者の方に聞くと、そういうグランドデザインというのはできないものなのだそうで、そんな簡単にできるようなことは言わないほうがいいと口止めされているのですけれども、しかし、何かドラフトがあって議論を始めないといけないだろうというのが私の見通しです。
〇質問
今のお話にもありましたし、会の中でもございましたが、今後のスケジュールについて伺いたいと思います。まず、7月でとりあえず調査分析に関して一線を引くとおっしゃいましたけれども、そこでこれまでの議論をまとめられたりするのか。また、それは今おっしゃったグランドデザインのスケッチとどういう関係にあるのか、教えていただけますか。
〇香西会長
部会の正式の報告というのは、答申ができてから後でゆっくりと整理してもいいわけです、記録としては。ですからやるとしたら、グランドデザインというか、全体像を考えるための整理をする。しかし、それはそちらのほうのスケッチができてしまえば、その中に埋もれていても仕方がないものということになるだろうと思います。
ただ、今日の部会長の総括もある意味でそちらの方向に少し向いていたと思いますけれども、全体の考え方にはどういうところが今までの議論の中から埋め込まれていくか、そういう途中段階の設計があるだろうと思っています。ですから、これは時期にもよりますけれども、答申の大きな方向性というのを考えて、それが哲学だけではなくて、ある程度は現実の提案になったようなものを何とかつくり出しておく。それを皆さんで議論していただいて、哲学だけというよりは具体策もくっついたもので議論していただくことが一番いいのではないか、税調の本来の仕事に近いのではないかと私は考えています。できればの話ですけれども。
〇質問
それは時期的にはいつ頃ですか。9月とかそのあたりの意味ですか。
〇香西会長
これは早ければ早いほうがいいに決まっていますが、私は、7月いっぱいで切りかえができれば一番いいと思いますが。
〇質問
ということは、8月。
〇香西会長
8月になったところで、後半の審議体制と、その審議体制で議論になる、やや共通的な、マニフェストではないですけれども、何か地図みたいなものができてくれば一番いいだろうと。それより早くすることはかなり難しいのではないかと思います。
〇質問
その際の組織というのは、今ある調査分析部会とは別にまた部会なりをつくると。
〇香西会長
調査分析部会は存続はするのですけれども、例えば専門委員などについても、本来、専門委員は企画会合には入っていないわけですが、非常に専門家です。この問題についてはこの人の意見を聞きたいということは当然あるわけでしょうから、再度、人的にも配置を考え直すということになると思います。
〇質問
あと一つだけ、広報広聴会についてはどう考えていらっしゃいますか。
〇香西会長
広報広聴会は、特に部会を設けて広報広聴部会という形ではなくて、企画会合の中で処理しようと思います。つまり広報広聴を専門とする部会というのではなくて、企画会合の中で、まずどんなテーマで、どこの場所へ行って、どういう人と議論するか、それにふさわしい委員を何人か選んで出す。海外調査のときと同じ形ですね。あなたはちょっとドイツへ行って見てきてくださいというのと同じような形になるのですけれども、日本のどこかへ行ってこういうことを議論してきてほしいとか、そういったテーマ、時間、どこでやるかとか、そういうことが決まれば、別にそのための部会がなくても、2~3人のチームでやっていって成果を上げていただければありがたい、こういうふうに思っております。
〇質問
実際にその地方に行かれるのはいつ頃だとお考えでしょうか。
〇香西会長
これも難しくて、ある程度議論が進んでいないと、哲学論争をそこでやってみるということではないと思うのです。やはりある程度の税制改革の中身的なことについてでないと大方の関心を呼ばないでしょうから。それがかなり具体的になってある程度意見がまとまってくれば、原理原則で議論することはもちろんできるのですけれども、例えばこういうことはどうか、という程度には例が出せる状態のほうが望ましいだろうというふうには思います。
〇質問
そうすると、11月とかそれぐらいのイメージですか。
〇香西会長
だから、時間があるかないかということが問題になると思います。なるべく早くやりたいのは当然のことですけれども。
〇司会
ほかにございますか。
〇質問
最初の質問の補足でお尋ねしますが、今日、これまでの議論と、今後の進め方について、意見というか注文のようなものがいろいろあった中で、できるだけ早く税調としてもある程度の方向性みたいなものは示したほうがいいという意見がありました。それと、これは政府・与党の姿勢を批判しているように私には聞こえたのですが、参院選の後に議論を先送りしたことについて、本質的なことから逃げている、国民の間に不信感があることに注意して議論していくことが大切だ、というようなご意見もお一人の方からあったわけです。
これまでも何度もお尋ねしたことでありますけれども、選挙の前に調査分析だけやって、国民として税制がどう変わるのかということが現実に見えないわけです、普通の方には。そのことを政府税調の役割との関係でどのように思っていらっしゃるのか、改めてお尋ねします。
〇香西会長
私個人としては、率直に言ってまだ何にも考えていない段階で会長に就任したわけであって、この半年間勉強させていただいたことは、それがなければ何も言えなかっただろうということですから、個人的に調査分析からスタートしていただいたことで非常に喜んでいるわけです。非常に利己的に言えばそういうことになります。
もう一つ、これは私だけの考えかもしれませんが、選挙というのは政党にとって非常に大事な仕事であって、それは政党が自分で考えてしっかりやって、戦って、その結果が次の政権に結びついていくと思うのです。ということは、二つの政党、三つの政党、あるいは四つの政党それぞれが最善の知恵を絞って、ある党はこうで、ある党はこうだという作戦を選んでいるということ、それについては、民間の評論家なら批評してもいいのだろうと思いますけれども、私どもがそういうところを批評するということではないと思っています。私たちはいわばテクニシャンの集まりなわけですから、それに応じてしっかり考えていくということで、その結果として、税に対する国民の理解というか考え方が非常に傷つけられるということはあるかもしれない。しかし、国権の最高機関である国会議員になる人たちがそういう作戦を選んだということですから、それは国民が投票という形で直接批判できることであって、その結果を見たいというのが私の率直な感想です。
別の言い方をすれば、自分の仕事は、本当の意味での政争に巻き込まれることではないと思っております。それは新聞がご批判になったらいいことであって、それは政党と国民の対話のあり方なのであって、日本民主主義の根幹なのです。それについて、学者が、評論家が、エコノミストがとやかく言うことはないはずです。日本の民主主義は、先生が生徒に教えるようなことを要求している民主主義であってはならないと思っているわけで、私は、そういう議論には参加しないというつもりで初めからおりました。
以上であります。
〇質問
さらにお尋ねしますけれども、民主主義との関係というのはわかりました。それは政党に対するご意見として承りますけれども、では、政府税調というのは国民から一体どんな役割を期待され、どんな議論をしてほしいと思われているのか。そういう国民からの目線を受けて、これまでの議論の進め方、あるいは、選挙の前までに専門的な調査分析を中心にやってきたわけですけれども、そのやり方に何らかの改善点や反省点があったのか、なかったのか。その点ではどうでしょうか。
〇香西会長
国民は合理的な税制を提案してくれることを期待している、というふうに私は考えています。そのために調査分析をしっかりやれというふうに諮問されているわけです。こんなことはかつて例がないのではないかと思います。私は、そういうことをやっていくことが、長い目で見て、日本の税制を合理化していく上では非常に大事なことだと確信しているものですから、それに100%努力をしてきた、こういうふうに言いたいと思っています。
〇司会
ほかにございますか。
〇質問
今日のやり取りの中で、経済財政諮問会議または民間議員ペーパーについてのやり取りを、メールが来なかったという件も含めて、今回、改めて会長はお話しされていました。これは聞きようになっては、「骨太」に関心を示していらっしゃらない政府税調の委員の方に対して、いら立ちを示したようにも受けとめるのですが、会長の真意がどの辺にあるのかについて教えていただきたいのが一点です。
もう一つは、ちょっと聞き違えたかもしれないのですが、髙木さんが、財政審のやり取りの中で会長が怒っていらっしゃったとおっしゃっていました。これはどういうことなのか、ご説明いただけないでしょうか。
〇香西会長
まず、前のことについて言えば、私は会議の席でも申しましたけれども、政府税調が税の議論を独占する、自分たちの縄張りに入ってきた者にけしからんと言って喧嘩するということは、我々の使命ではないと思っているわけです。憲法によれば税は法律で決まるのですから、これは国会、それの議員を出すところの政党が関心を持って決める力もあるということ、私はそれが憲法の建前だと思っているわけです。
そうすると専門家として言えることは、そういう考え方もあるかもしれないが、それではこういう問題があるよということで、合理的な制度というのはこうではないかとか、その議論には論理的に言ってこういう問題があるのではないかとか、そういう点で合理的な案をつくって出すことが我々の特別の課題であって、それ以外は一国民として言えばいいことだと考えております。むしろそういう立場である者が言うよりは、国民の立場から、その政党の選挙政策がいいか悪いかとか、そういう批評は投票によって表されていることであって、それでいいのではないかというふうに考えています。
もっと率直に言いますと、私は諮問会議とはぜひともうまい形で協力したいと思っています。つまり、税調がいろいろなことを主張していく上で味方をつくりたいわけでして、そのためにはできることなら彼らの支援を得たいと思っています。そのかわり我々ができることであれば、彼らの希望に応えられることがあったら努力していきたいと私は思っています。それは簡単に言えば、伊藤隆敏さんと八代さんが民間議員の学識者ですけれども、私は2人の経済的見識・学識を非常に尊敬していますから、できれば手を組んで仕事をしたい、こういうふうに考えていることは事実です。私はそうですが、しかし、税調の中にはそうでない方もいらっしゃるだろうから、そういうご意見があればそれはそれで何とか処理したい、こういうふうに考えているということであります。
もう一つ、財政制度等審議会においては、歳出を削減することが大前提であることは考えておられたわけであります。歳出削減につきましては、2006年の骨太方針に集約された与党の案、5年間に14兆もしくは11兆円を削減すると。これは、従来、政党がこれだけ具体的な削減案を出したことは恐らくないのではないかと思うぐらい、よく詰めていただいた案であるわけです。
問題は、そういうふうに削減することについては案があるわけですけれども、そこに全く書いていない新しい歳出項目ができたらどうするか。新しく出てきた案は、それが必要なら全部税金で見ろということなのかと言われると、それはちょっと待ってくれという気持ちがありました。しかし、そのことは最終案では非常に明快になっておりまして、新しい支出が出てきたら、当然、歳出のほうで何かほかに削れるところはないかというのを探す。その上で、なおかつどうしても仕方がないというときには、「安定的な財源を」というふうにきちっと書いてあります。我々のほうに来た諮問、その他においては、できる限り徹底した削減をした上で、と。そういう点では新しく大きな要求が出た場合には、当然、歳出面においてもその努力をしていただくことがないと、そっくりそのまま税金で取ってくれと言われても、それは国民の信頼が得られるかどうかということもあるわけですから、そういう点について配慮してほしいということをお願いして、最終案では、私の考えていた以上に丁寧にそのところを書いていただいたということで、満足しております。
〇質問
ちょっと細かい点で教えていただきたいのですけれども、先ほどのやり取りの中で最後に香西会長は、執行体制について非公式に研究会を来週に立ち上げてというようなお話をされていました。この組織がどういう位置づけで、人数とかも含めてどういうものなのか。それから執行体制といっても、納税者番号とか、脱税を防ぐとか、いろいろあると思います。具体的にどういったものについてどのように研究を深めていって、その研究結果を、いつ頃、どういう形で税調の議論にフィードバックしていきたいというお考えなのか。現時点でのイメージで結構なので、教えていただきたいのですが。
〇香西会長
非公式にと言っているわけで、正式の組織をつくるつもりもないわけです、今の段階では。今後、答申型の組織に変えていくときに、一つの部会というか、一つの委員会になるのかどうかとか、すぐにも発車できる体制ができるのだったら、短い期間かもしれないけれども、一つ部会をつくることも、まだ決してはいないわけです。したがって、まだ、どれだけの人数で何をやってということはなくて、むしろ何人かの人で集まって、物語的にそういうことをいろいろ議論するところから始めましょうということで、何人ということも考えておりませんし、興味のある人が何人ぐらいいるかということを私としては探りたいということです。
テーマについても、大ざっぱに言えば、納税者――納税者と言ってはいけないという話もありましたから難しいのですが、執行面とか、あるいは納税者の意識、そういったことも何か調べられたらいいだろうと思っています。これも、単に世論調査をして、どういう税がいいですかなどと聞くのだったら税調は要らなくなるんですね。おまえら考えろと言われて、世論調査をして答えはこうでしたというのだったら税調は要らないわけです。そうではなくて、もう少し深層というか、人々の考えはどういうふうな発想で、なぜそういうふうに判断しているかということを、多少分析的にとらえるような仕事ができれば税調らしい仕事になるだろう。こう思っているのですが、それができるかどうかは、その道の専門家等いろいろな方の意見があるでしょうから、いろいろ聞いてみましょうかと、全く手探りの状況である、こういうことであります。
理想的には、少なくとも後期の答申用の一つのグループに発展できれば一番おさまりがいいなと思っていますけれども、これから手をつけるわけで、ベテランがいるわけでもないと思います。そこまで大丈夫と見込んでいいかどうかということも実はまだ自信がないわけですから、ほかの方に入ってもらいたいというか、参加者がどれくらいいるか知りたいので、つい、いかにも今すぐ立派な研究会が始まるかのような説明をしてしまいましたが、内容はそういうことでやろうということであります。
〇質問
今のお話を聞いていましてちょっとよくわからなかったのですが、納税者の意識を探ると。これは非常に大事なテーマで、かつ、確かに難易度は高いと思いますが、そこを最大の力点に置きたいというイメージなのか。それとも、これまでの税調でも、例えば納税者番号制度はどうなのかとか、徴税体制の効率化、かつ租税回避がない仕組みとか、いろいろやってきたものがあると思います。そういう実務的な話を中心にやろうというお考えなのか。その辺はどんなイメージでしょうか。
〇香西会長
なるかどうか、なれるかどうかということを、これからタッチして、当局者とも議論して、どういうことになっているのかとか、そういった勉強もしたいと思いますし、特に納税者番号については、今日も配られたように諮問会議からは強い希望が寄せられているわけです。納税者番号をしっかりつくりたいと書いてあります。これは検討するわけですから、検討してやれないとか、あるいはやらないほうがいいとか、いろいろな議論があり得るわけですけれども、少なくとも検討についてはそれは含まれる。一応向こうの意見がそういうことであれば、とにかく検討して、だめかだめでないか、やるかやらないかということは、税調としてはこう考えるということは言わなければいけないだろう、こう思っています。
いろいろな領域については、参加者の興味とかそういうこともありますし、以前の答申をどう取り扱うのかというのも、今日、林委員からご質問があったわけです。それももちろん頭に入っているわけで、繰り返しになるのか、前はこう言ったけれども、現在はこういうふうに変わってきたからこうだという形になるのか、それはケース・バイ・ケースで考えるということだと思います。
〇質問
もう一つ、本来税調が考えることとはちょっと次元の違う話かもしれませんけれども、今日の最初のほうに、住民税の税源移譲と定率減税の廃止の広報の今のやり方を総務省の方から説明を受けて、それに対して二人の方から意見がありました。一人の方は、髙木さんだったと思いますけれども、こういうやり方はよくないのではないか、表現の仕方が悪いのではないか、国民感情を逆なでするようなものではないかみたいな注意・批判があり、それとはまた別に佐竹委員が、自治体運営をやっている現場の声だと思いますが、定率減税を先に大きく書け、だからわからないではないかみたいなのがクレームの大半で、それが国民の一般の意見のようですねというような感想をおっしゃっていました。
今回の総務省や自治体がいろいろつくっているパンフレットとか広報関係の資料を見て、定率減税の話と税源移譲の話が十分誤解なく理解されるものになっているかどうか、どのような感想をお持ちなのか、ちょっとお聞かせください。
〇香西会長
この問題は、やはり会議のときに委員からその広報活動はどうなっているかというご質問があったので、今日は事務局の方に来ていただいて、どうなっているかということをご説明いただいたわけであります。それに対するご批判がありましたけれども、これは担当者もいるところでのご批判でしたから、税調自体としてすぐどうこうということよりも、既に実行された担当部署のほうで、今後、どういうふうにそれを活かしていただけるかということを見ていく段階だろうと私は思っております。
〇質問
会長の個人的な感想としてどうでしょうか。
〇香西会長
少なくとも所得税と住民税を合わせた税負担は同じことですよということについては、かなりの理解が既に得られていると思います。それだけの効果はあったのではないかと考えております。定率減税の書き方がけしからんとか、そういうご議論はあるわけですけれども、税源移譲というのは定率減税と少し違う次元の話であります。これは所得税と住民税の間の振り替えだということですが、それは専門家にそう言われても、全体としてはわからないではないかというご議論は確かにあり得たわけですから、それはそれで注意すべきことだと思いますけれども、制度変更の趣旨はわかっていただいた。つまり住民税と所得税の入れ替えである、増加減は原則的にゼロになるということはご理解いただけたのではないか。
どこかの調査では、6割ぐらいは知っているとか、何かそんなことも出ていたように思いますが、従来にはない程度の広報活動であったことは間違いないわけです。かなりお金もかけているということです。それはそれなりにやってよかったことではないか。これからもそういう体験を積み重ねた上で、改善の余地のあるところは改善していくことになるだろう、そういうことを期待しております。
〇司会
ほかにございますか。
〇質問
先ほどの、来週立ち上げられるという非公式な会合の部分の確認なのですが、これが後期の答申用のグループに発展できればというふうにおっしゃっていました。そうしますと、そのグループで執行面とか納税者の意識などもやった上で、大体の方向性ですとか、グランドデザインみたいなものをやっていければというイメージと思っていてよろしいですか。
〇香西会長
グランドデザインというのは、納税環境だけではなくて、もっと大きな税体系のことを皆さんおっしゃっているというふうに理解しています。だから、そちらはそちらでやるのですが、そこで徴税なり納税なり、出てくる人間の顔が見えるようでないといけないという議論は結構強いわけです。過去の例でも納税者番号とかいろいろな点で書いてあるのですけれども、今回やって何か役に立つというか、生産的な結果が得られるという目途がつけば、正規のグループとして、グランドデザインの中は主として税体系の問題なのですけれども、その中へその視点も入れられればもっといいのではないか、こう思っているわけです。
今すぐそうなるのか、もう一年、二年勉強した上でまとめないとなかなか具体論が出てこないのか、それはやってみないとわからないものですから、まだ確定しているわけではない、こういうふうに申し上げているわけです。できれば答申の一部に、税体系論のグランドデザインももちろんですが、そのほかに、執行面でのいろいろな問題について意見が言えるぐらいにまとまってくれればいいなと、こう思っているわけでございます。
〇司会
よろしいですか。
なければ、これで記者会見を終了させていただきます。
〇香西会長
どうもありがとうございました。(了)