企画会合(第1回)後の本間会長記者会見録

日時:平成18年11月9日(木)16時55分~
場所:中央合同庁舎第4号館2階共用会議室

司会

それでは、ただいまから、税制調査会第1回「企画会合」終了後の本間会長の会見を行います。

本間会長

本日は、今後の年度改正等の審議の前提として、経済、税財政の現状、経済活性化等に向けた、税制上の取組みの全体像について審議を行いました。いろいろなご意見が出ましたけれども、その前に、お手元に資料があろうかと思います。財務、総務両省の事務方から、今の経済の動向、これまで行ってきた税制の推移等も含めて説明がありまして、それを前提にしながら質疑応答をしたということであります。

委員からいろいろな議論が出ました。まず現象的な話からお話しさせていただきたいと思いますけれども、これから年度改正をしていく前提としての税収の動向も含めて、これまで、ご承知のとおり2001年から2006年にかけてプライマリー・バランスを改善してきたわけであります。歳出・歳入の両面にわたってどのような効果がその中で生じているか、あるいは、歳出・歳入の中身がどの程度貢献しているか、こういうような問題について踏み込んだ形で分析すべきだし、今後もしなければならないのではないか、こういうもっともな意見が出ました。

とりわけ、最近、新聞等は皆さん、自然増収といいますか、税の動向について報道がなされている向きもあります。税調の委員から、それは一体どうなっているんだというようなご意見も出まして、事務方からは「一切お話ししておりません」、こういうような話までございました。税収の直近の動向、来年度の動向というものが、来年度の税制改正のまさに量的な部分に関係する面がありますから、そこのところの情報が欲しいという委員があると同時に、しかしこれは、政府全体で、経済の見通しでありますとか、今、財務省を中心にして現実の企業からのヒアリング等の作業をしているところであります。それを途中で発表することはいろいろな副作用も伴うということで、我々はいくぶん議論しにくいなという感じを持ちながらも、そこの部分についての今の段階での不透明さということで、今後どうするかということは、フラストレーションを各委員が持ちながら議論をしていたという部分も率直に言ってあったと思います。

この辺のところは、今年どうするかということはおそらく無理でありますし、作業を今詰めている段階でありますから、この点について今年どうということではないと思いますが、来年以降の状況の中では、この点についても改善できるかどうか、少し検討の余地があるかなという具合に考えました。

それから、経済活性化や経済成長については、その必要性について各委員から賛意が表され、それを具体的にサポートする論議がございました。しかし、そこで留意点としては、今のような経済状況の中で、今後議論される大きなテーマである法人課税のあり方が、国民経済に対してどのような影響があるのかということをきちんと分析し、そして、わかりやすい国民への説明の仕方を工夫すべきではないか、こういう問題点の指摘がございました。

これは私ども非常に頭を悩ます部分でありますけれども、今の安倍政権の中で、この2年間は離陸期間として、成長のエンジンである法人に対する国際的なスタンダードの要請に対する対応、こういう議論がある一方でいわゆる格差の問題等がございます。その関係をしっかり説明しなければ、なかなか賛同が得られないのではないか。そこの工夫をすべしと、こういう問題であるわけですけれども、これを今から2、3週間の間でまとめなければならないということで、総論的な部分の年度改正に対する意味づけというものを至急やらなければいけないと同時に、具体の年度改正の議論についてもディテールを含めてやらなければならない。こういう、我々新税調のメンバーにとっては最初からハードな仕事をしなければならないということであります。

例年、年末の年度改正は、わりと技術的に、項目の中でテクニカルに「法人課税について」という具体的な記述だけで済ませている部分もあるわけですが、起草委員等と協力しながら、総論的な部分でその意味づけというものをいわば頭出しとしてやっていく作業をしたいと考えています。

もう少し具体的に申し上げますと、企業収益が改善している中で、法人関係の減価償却等の部分のところで改正した場合に、それが国民経済に対してどのようなインパクトをもたらすのか、労働所得に対してどのようなインパクトをもたらすのか、配当所得に対してどのようなインパクトをもたらすのか、内部留保等を通じて設備投資に対してどのような影響をもたらすのか。さらには法人税の減免が製品価格等を通じて、消費者との関係でどのような--帰着と言っておりますけれども、最終的な負担、あるいは負担の軽減が国民生活にどのように影響を及ぼすかということを、我々時間がありませんけれども、総論的な部分のところを工夫すべし、こういうことであります。

ひとことで言えば、基本的な税制改革というものは来年以降、我々は本格的に議論をしたいと思っておりますが、その考え方と年末における年度改正の位置づけをクリアにする工夫が必要だということが、各委員から出されたということであります。これはもちろん、格差、分配問題などに対してもそのような説明ぶりをどういう具合に考えるか、あるいは、安全・安心等への問題をどのように記述するかということを、これから皆さんと議論をしながら整理してみたいと考えております。

それからもう一つ、税の議論だけでいいのか、というご指摘がございました。どちらかというと税調は、自分のテリトリーでわりとこもった形で議論してきたというのがこれまでだろうと思います。例えば今日出た議論の中では、社会保障制度の関係で、こちらがいじれば向こうが変動する、向こうが制度改正すればこちらにもはね返る、こういうような問題がある。そういう点では全体の構図の中でそれをどういう具合に分析・調査、あるいは説明をしていくのか、こういうことは必要ではないかと。

あるいは道路特定財源の問題で、財政審は、この問題は税調の問題だというような振りを西室会長がされたそうでありますけれども、我々は従来、特定財源は歳出の部分のところであってあまり議論しなかったわけですが、こういう問題についてどのような触れ方をするのか、あるいは触れずに済ませるのか、今後、こういう問題も検討しなければならないということであります。要するに、税制と関連するテーマとの接合性というものを工夫して考えていく必要がありはしないか、こういうことでございました。

それから、グローバル化の中ではこれまで、実効税率という形でわりと形式的な比較として国際比較をされるわけですけれども、その意味するところをもう少し突っ込んで解析をしていく必要性があると、こういうこともかなり多くの委員から指摘をされました。

ここは今後は、税調のメンバーは専門家もいますので、しっかりとバランスシートとかP/Lを踏まえながら、ミクロ的に分析するテーマになっていくということを、私、皆さんにお願いしたわけでありますけれども、例えばアジアと比較するという視点も今日の一つのポイントでございました。

我々は、ヨーロッパというものを念頭に置きながら、あるいはアメリカというものを念頭に置きながら形式的な実効税率を計算するということであったわけですけれども、現実に企業経営をされている方々からは、アジアとの関係をどう考えるのか、表面税率だけでは現実はわからないと。向こうに行ったときに、利益処分の問題等も含めてまさにパイオニア・ステータス、そこに進出した企業に対して時限的に認める、そういう特別措置等もあるということもご指摘がございまして、比較の対象をどうするかという問題と同時に、比較の技術的な手法の問題についても今後さらに突っ込んで議論をしていこう、こういうことを皆さんで確認したわけであります。

今申し上げたとおり、今日の議論は実質的に第1回目でございましたので、総論的な、あるいは今後の一体的・抜本的な改革の議論と年度改正という差し迫った問題の中で、いろいろ議論が出たわけでありますけれども、我々としてはぜひ当面の年度改正に向けて、今後、集中的に議論を整理してまいりたいと考えております。

その上で、今日の議論を踏まえて、19年度の税制改正で取り上げるべき課題を私のほうから提案いたしました。

1つ目は、国民生活に関係する税制。

2つ目は、新しい法律的な改正が税にはね返ってくる部分がございます。例えば信託法でありますとか、さまざまな技術的な問題が出ておりますので、そのような法改正に伴って税制へのリパーカッションをどのような形で整備していくか、こういうことも一つグループとしてやりたい。

3つ目は、経済全体の活性化ということを直接的に議論しなければならない、こういうことでございまして、これから3回、グループ・ディスカッションとしてこの3つの括りの中で議論をしようと。

もう少し具体的に述べますと、14日には、国民生活に関係する税制として、金融証券税制、個人住民税、納税環境整備等に関して議論をする、こういうことであります。15日には、信託法などの新しい動きに対応するために、信託税制、三角合併、国際課税等を中心にして議論をする。21日には、企業活動などの経済全体の活性化策に対して、減価償却制度をはじめ、先ほどから議論が出ております法人税の実効税率の問題なども、おそらく議論の対象になってくるのだろうと思います。

基本的にグループ・ディスカッションというのは新しい仕分けでありますけれども、新しい税調のメンバーは、それぞれ非常に専門性の高い方々がメンバーの中で比率を高めております。その意味で関連のメンバーに今の3つのテーマに入っていただいて、そして専門性の見地からいろいろご議論賜わって結論を出す、こういう形でやってまいりたいと思います。グループ・ディスカッションは、今日のように全員に正式に出席を要請するというやり方ではなくて、この分野で専門性の高い方々には「ぜひ出てください」というご案内を出すと同時に、一般的な総会等の会合のように、お時間があればそれにかかわりのないメンバーでもぜひご出席ください、というのがこのグループ・ディスカッションのイメージであります。

今日、大体そのような議論が展開されて、非常に有益な全体会合であったと理解しております。

私のほうからは以上です。

司会

では、質疑に入りたいと思います。

質問のある方は挙手をお願いします。質問の前に、社名とお名前を言っていただければと思っております。

どうぞ。

質問

まず最初に、会議の公開の仕方ですが、今回は傍聴が許されなくて、これまでの税調であれば、総会で年末の審議の様子もほとんどわかったわけです。基本的に総会を公開するということなんでしょうけれども、今回は「企画会合」ということで公開されないと。ほとんどこの状態が続いていくわけですが、議事録自体は公開されるのでしょうか。

本間会長

はい。

質問

いずれにしても傍聴はできないわけで、情報開示がかなり後退したという印象があります。この前の総会の際にも委員から、「国民の納得を得ないといけない」ということが盛んに言われていましたが、その一方で、傍聴させずに公開しないというのは、どういう判断でしょうか。

本間会長

いえ、我々は情報公開を制限するという意図は全くないのです。基本的に、今オガタさんがおっしゃったとおり、情報公開を、広報・広聴機能を高めるという意味で今後しっかり取り組んでいくというスタンスを維持しているわけで、総会は、インターネット、傍聴、記者会見、議事録、全部フルセットでやります。これは、前回7日と同じような形でやるということでありますが、今日のこの「企画会合」というのは、従来の言い方では小委員会というカテゴリーとして位置づけております。したがいましてインターネットと傍聴について、小委員会はこれまで専門的なものだということもあって公開してこなかった。そういう意味ではこれは、これまでと同じという具合に理解していただければと思います。

今、私がここで記者会見をやっておりますし、議事録は当然のことながら公開いたします。公開するときに、名前は、いろいろお立場があって発言しづらいということも従来言われておりましたので、名前は伏せる、こういうことで進めてまいりたいと考えております。グループ・ディスカッションについても、従来の小委員会と同じ扱いをしていくということでございますので、これについては記者会見をし、議事録については公開し、名前は付さない形でやる。

したがって私どもは、変更したというふうには思っておりません。

広報・広聴というのは、我々、今日の議論の中でも国民を説得するために非常に重要だということを言っております。これについては、直接的にヒアリングする機会を多面的にやってまいりたいと思っておりますし、記者の皆様にはその媒体としてお願いすると同時に、直接的に我々も広報・広聴の機会をこれまで以上に増やしてまいりたいと思っております。

質問

関連で、総会は公開するということでしたけれども、総会の回数自体は年度改正で減るわけですよね。この前1回やって、あと1回やるのかやらないのか。やるにしてもその程度になるわけですよね。そうすると会議の内訳自体が、前はみんな総会でやられていてその審議の形が見えたわけですけれども、これから総会の数がかなり減って、それ以外のところは見えないということになりますか。

本間会長

全体の総会の位置づけの問題と、年度改正における総会の位置づけ、ちょっと区分しなければいけないと思っています。今、私が事務方と調整しているのをご紹介しますと、グループ・ディスカッションを3回に分けてやる。最終的な答申の前に、その3回やったグループ・ディスカッションの報告を総会としてやるということであります。グループ・ディスカッションの報告は、起草委員の方が論点の整理と年度改正に向けての方向性について要約してそれを示し、総会の中でご議論もしていただく、そういうスタイルをとってみたいと考えております。

その上で、11月末か、あるいは集約の議論の論点が多いというようなときは、12月の初めに最終的な答申をまとめるということですから、あと2回総会を年内にやる、こういうことであります。

質問

グループ・ディスカッションは何回やるのでしょうか。

本間会長

今申し上げたように、3回やります。14日、15日、そして21日にあります。

質問

それでおしまいなんですか。

本間会長

はい。これも新しいスタイルで、税調の委員の参加型方式をとりたいと思っております。14日、15日、21日のときには、起草メンバーの中核になっていただく方々が皆さんに議論の紹介をする、こういうやり方でやりたいと思っております。

質問

もう1点だけ。法人税の実効税率のところの資料を見ると、以前とちょっと違っていて、以前は、アメリカの部分でニューヨークが入っていて45.95%だったと思うのですが、それが抜けて、日本の標準税率、39.54が入っていたと思うのですけれども、それが抜けていると。これで見ると、アメリカは少し低くて日本は少し高い。日本は高い数字が残って、アメリカは低い数字だけになっている。これは、法人税率を下げていきたいということでこういう形の資料をつくられたんですか。これは会長の指示か何かで変更されたのでしょうか。

本間会長

いえ、私の指示では全くないです。これは、国税のところの資料と地方税のところの資料で、違った州を採用しているのはいかなる意味なんだということも今日の議論で出ました。深い意図はなかったのだろうという具合に私は理解しておりますけれども、このやり方であらかじめ何か印象を与えようという意図は全くないということであります。

重要な論点は、これが一体いかなる意味を持っているんだということを、もう少しきちんと分析する必要性があるというご主張が非常に多かったということです。これは皆さんご承知のとおり、課税ベースの扱いとかいろいろな要素に絡んできておりますし、それから実態的に、パイオニア・ステータス、先ほどもちょっと申し上げたように、扱い方によってどうなるかとか、本当の意味での実効税率というものが一体いかなる意味を持つかということも含めて、来年以降の分析・調査の拡充の中でしっかりとした分析をしようと。こういうことでこの点について、従来こうやってきたよね、というぐらいの理解の仕方しかしていないという具合に理解をお願いできればと思います。

司会

ほかに質問ございますでしょうか。

質問

資料の最後に少子化対策の税制があります。少子化については、一応19年度予算に合わせてと書いてありますけれども、税制面では、税調で具体論を今回は議論するおつもりなのかどうか、それとも来年以降の抜本改革の中で考えていく課題なのか、そこの点についてお願いいたします。

本間会長

これは、歳出面で少子化対策についてどういう具合にするのがいいのか、あるいは税制面でどのような対応をとるのがいいのかということは、まだ政府全体でも詰めきれておりませんし、我々も就任して新体制が発足したばかりでありますから、税の問題でこれをどうするんだと、こういうことは議論されていないわけでありますから、当然のことながら、この問題を拙速に結論を出すことは……。少なくとも新メンバーの中では、検討する必要はあるけれども、今年どうだ、というような強い意見はなかったということです。

これをやろうとしますと、所得税の控除方式のあり方に関連する問題ですから、その点では我々はじっくりと勉強し、そして結論を出す、こういう形で私自身は進めようと思っております。

質問

今日、会長が指示をされたという検討項目は、国民生活関連というのが具体的にどういうものなのかということ。あと、所得税についてはないのに、14日に個人住民税の検討をされるということですけれども、具体的に個人住民税のどういうことをやられるのか、教えていただけますか。

本間会長

今の最後の個人住民税の問題は、境さん、必要性についてちょっと説明してくれますか。

境企画官

国民生活に関係する税制ということで、個人所得課税関係を広く取り扱いますので、その意味で地方の個人所得課税ということで個人住民税を総括的に挙げております。その中で個人住民税にかかわるさまざまな問題について概略をご説明し、委員の中でご議論をいただくということで、特に個人住民税のどの問題をということではなくて、地方の個人所得課税として個人住民税を挙げている、こういうことでございます。

本間会長

こういう項目は、事務方がミニマムで議論の素材として考えてほしいということを言っているわけでありまして、おそらく議論の中で、こんな問題テーマを取り上げるべきではないかとか、いろいろなことがグループ・ディスカッションの中で出てくるのではないかと思っております。ですから国民生活に近いということは、要するに個人課税のレベルの問題をそういう括りの中でやっている、こういう具合に理解をしていただければと思います。金融・証券税制の問題については、個人の貯蓄手段の中でどう位置づけるかという問題ですから、やはりこれは国民生活に関係していると。こういう括りであるということです。

質問

少子化対策にも絡むのでしょうけれども、控除の見直しというのはそこに含まれるのかどうか。

本間会長

これは、根源的に所得税の問題、個人住民税の問題も含めて控除制度をいじるということになってきますと、かなり本格的な作業をしなければなりませんし、それが何を意図するものであるかということを国民に説明する必要性があると思っております。したがいまして私は、この問題は本格的な税制改革の中で議論をして、今までの租税特別措置的な形で期限が来るものに対してこれに対応するという、どちらかというと受身のパッシブなイメージでとらえているということです。

司会

ほかにございますでしょうか。

質問

今日いただいた資料に固定資産税のことが書かれているのですけれども、固定資産税について、今日、何か議論があったのかということと、それから、会長ご自身の、現状の固定資産税、ここを変えたほうがいいのではないかというような個人的な思いがおありになるようでしたら、ちょっと伺いたいと思います。

本間会長

固定資産税が唐突に出てきたというイメージがあるかもわかりませんけれども、これは減価償却制度との絡みで出てきているわけでありまして、法人税の減価償却制度と固定資産税の減価償却の扱いが共通する部分と、共通していない部分があるということを事務方から説明がありました。その意味で減価償却制度が変わっていくと、その変化が固定資産税のところにはね返るのかどうかということがおそらく問題になるということで、ここの項目が挙がっていると。こういう具合に理解していただければと思います。

質問

固定資産税そのものを今回の税制改正の議論で積極的にやっていこうとか、そういうことではないということですか。

本間会長

全くそういうことではありません。

質問

最初の質問と関連して基本的な話なのですが、この「企画会合」の位置づけを教えていただきたいのと、それから、ここ何年かは総会と基礎小と一緒にやってそれで公開されているというケースがありました。今日、特に年度答申の具体的な話まで踏み込んでいないのであれば、一緒にやって公開するという選択肢もあったと思うのですが、なぜそういうふうなことをやらなかったのかということです。

本間会長

基本的に我々も走りながら考えているみたいな部分がありまして、第1回目の実質的な議論の中で、いわば委員の方々に対するブレーンストーミング的な要素もありますし、それから、大所高所からの税調への思いとか、どうあるべきだとか、こういうような議論もあるのだろうと思っておりまして、その意味でこれからどうするかというのをもう少しフリーに議論してみたらどうかということで、全員を対象にして、ここで言う「企画会合」を今日設定したと。私も、最初から公開してもいいのかなと思ったのですが、人によってはびっくりしてしまうような方もいらっしゃいますので、まあ、今回はソフトに入っていこうということで。

この位置づけがずっと続くとは、私、全く思っておりませんで、この1カ月の間における暫定的な措置としてお考えいただければという具合に思います。今日も各委員からご意見を賜わって、今後の運営のあり方について、ここを強調すべきだとか、分析をきちんとすべきだとか、いろいろなご議論がございました。できるだけ早い時期に私から「会長メモ」というような形で、今後の進め方、部会をどうつくるかとか、タスクフォースをどうするのかとか、そういうものを整理して、総会の中で何を扱い、そして、このような部会などをどのように組み合わせていくかについて、まず私から提案をして、進め方について年内に皆様にも説明できる状況をつくりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

質問

「企画会合」というのは基本的に委員全員が参加する会合になるのですか。

本間会長

はい、そうです。全体の議論がこれからどう進んでいくんだということをイメージしていただくと同時に、企画の内容について各委員からご意見を賜わるということで、ネーミングも初めは企画会合という形ではなかったのです。もう少し実務的な名前だったと思います。実務会合というようなイメージで最初の位置づけはあったのですが、企画という言葉を使ったので、ちょっと誤解を与えたかもわかりません。

質問

グループ・ディスカッションの3回目で実効税率の議論を対象にするというお話でしたが、これは年度改正への反映も視野に入れた議論になるのでしょうか。

本間会長

そこまではまだ我々は分析できていないということが……。実効税率の計算の手法はこれでいいかとか、皆さん専門家でおわかりのとおり、昔、実は主税局と経団連の間で実効税率をめぐる非常にシビアな議論まであったわけです。ただ、私のように税理論あるいは実証研究をやっている者からすると、それもナンセンスな議論だよねと。もっと会計上の整備も含めて、実際にどこで負担したときにどうなるかというようなことを、しっかりとした算定方式、基本構想との関係の中でやる必要性があるということは、各委員もそういうことも含めて言っております。そういうことをしっかりやるということで、来年度以降に私どもは--グループ・ディスカッションで「早くやれ」という議論も出てくるかもわかりませんけれども、私個人としては、もう少ししっかりとした勉強をした上でこの問題については結論を得べきではないか、こういう具合に考えております。

司会

ほかにございますでしょうか。

質問

今回、スケジュールが年度改正までに5回ですよね。この5回でかなりの項目をやっていかなければいけないというスケジュールについては、会長はどういうふうに評価されていますか。

本間会長

いや、それはもう大変な、最初から非常に重い仕事だなあと思っております。これはご承知のとおり、新体制の発足が非常に遅れたということが影響し、年度改正とそれが重なったということで、こういう特殊なシチュエーションに私どもは追い込まれたのだと思いますが、そこを嘆いていてもしようがないわけでありまして、タイトなスケジュールでありますし、項目についてもなかなか重いテーマもあります。しかし5回やると同時に、起草グループを設定して、我々はしかと、まず最初の仕事に取り組んでいきたい、こう考えています。

質問

具体的な答申のとりまとめに向けた最後の仕方なんですけれども、これまでは大体年末の最後に3回ぐらい、答申案を討議する総会というのがあって答申になっていたと思うのですが、今回のスケジュールを見ると、3回グループ・ディスカッションをやって、次は総会ですよね。そこで素案が出てくる……。

本間会長

いや、出ません。中間の総会で、各グループ・ディスカッションにおいて出された意見を、整理した形でありますけれども、文章化をせずにその総会に出して、前広に政府のご意見等も承りながら、そのあとで起草委員会がこれを文章化していく、こういう段取りでやろうと思っています。

質問

それで、起草委員会が起草したものが次の総会でもう答申になるわけですか。

本間会長

「企画会合」をもう一度開いて、フィードバックさせてまとめたものを--これはおそらく、コアメンバーは大変な作業を強いられると思いますけれども、委員とも頻繁にやり取りを個人的なレベルでもやりながら、意見を賜わりながらやる。こういうことで進めたいと思います。

ここは、前回の総会のあとでもご質問をいただきましたけれども、もちろん事務方の意見を十分に参考にすることは前提ですが、委員が起草メンバーとして直接的に執筆をする。そして総論的な位置づけについて、なぜ今年それをやるんだということについても書くべきだというご意見がございましたから、例年の年度改正のレポートとはだいぶ違う形になるのではないかと思っております。従来は、要するに最初に総論的なバックグラウンドみたいなものを書いて、そのあとも税項目に従って技術的に書くという形になっておりますけれども、その書きぶりも、これから起草委員会あるいは企画会合等でご議論をいただきながら進めてまいりたいと思っております。

質問

もう1点、先ほど法人税のところの絡みで、総論的なものも盛り込みたいというお話だったと思います。総論を書いた上で減価償却とかを位置づけたいということだと理解していますが、そうすると総論では、今後の法人税の改革の方向性みたいなものが見えるような形にしたいということですか。

本間会長

ここで言う総論は、今のご質問のような書き方はあると思うのですけれども、今日、議論で出たのは、年度改正で法人税の減価償却等を見直していくことが、国民生活に対してどのような意味を持っているかということを十分に整理して書く必要性がある、ということを皆さん指摘されて、そこで理解が得られないといろいろな批判が起こり得るのではないかということで、法人税全体の設計を総論として書くということではなくて、法人課税のありようが国民生活に対してどのような意味を持っているかということが、一つ我々の説明責任のありようとして必要だと。こういうことで、今、私は総論というのを少し限定的な形で使ったということです。

質問

今、スケジュールのご紹介で、かなりタイトな日程ですけれども、今後、政府で今検討課題になっています道路特定財源については、政府税調では取り扱っている時間はもうないということの理解でよろしいでしょうか。

本間会長

先ほどちょっと紹介しましたけれども、ある委員から、道路特定財源をどうするんだと、こういう議論がございました。財政審などは税調というような言及まであったそうですから、それを指摘されると、そうだよね、特定財源は税の問題だよね、という部分が雰囲気として各委員の中でございましたので、この扱いについてはグループ・ディスカッションの中で検討してみたいと思います。表現ぶりの問題について、どのように前向きのメッセージを出していくかということは、各委員の議論に最終的に依存するものだと理解しております。あえて避けるというような話ではないということであります。

質問

グループで言うと、1番目、3番目、どこのイメージでおっしゃっておられるのでしょうか。

本間会長

いろいろな問題に関連するということで、活性化、道路の問題等ありますから、3番に位置づけるということでございます。

司会

ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本間会長の会見を終了いたします。どうもありがとうございました。(了)