企画会合(第1回)議事録

日時:平成18年11月9日(木)14時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館第一特別会議室

委員

それでは、時間がまいりましたので、税制調査会第1回企画会合を始めさせていただきたいと思います。お忙しい中をご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

すでに皆様にはご案内を差し上げておると思いますが、当面、この年末の19年度税制改正に関する審議について議論をさせていただきたいと思います。この審議については、税制全般にわたる分析や答申のとりまとめに向けた作業を行うための企画会合、審議テーマに応じてグループに分かれて専門的な分析を深めるためのグループ・ディスカッション、これを開催したいと考えております。

なお、各テーマごとのメンバーにつきましては、私からご案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、答申のとりまとめに向け、素案審議に当たっては何人かの起草メンバーを指名させていただいて、たたき台となる案文の作成をお願いしたいと考えておりますので、この点につきましてもよろしくお願いいたしたいと思いますし、起草メンバーのご依頼をさせていただいた方々には特段のご協力をお願いいたしたいと思っております。

議事に入る前に、会議の公開について申し上げたいと思います。この点につきましては、内閣府の企画調整課長から説明させたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

事務局

内閣府官房企画調整課長でございます。

税制調査会の議事規則につきましては、前回の会議でお配りさせていただきましたけれども、公開とされております。したがいまして、総会は公開といたしますけれども、会場の都合によりまして、内閣府、財務省、総務省の記者クラブに所属する報道機関と各省の幹事の方々が傍聴できるということといたしたいと思っております。

また、議事規則では、議事録は公表することとされておりますので、総会の議事録は、発言者の名前入りで、内閣府、財務省、総務省のホームページなどを通じて公表いたします。また、総会は、会議の模様をインターネットで中継することを原則といたしたいと思っております。

次に、企画会合とグループ・ディスカッションにつきましては、委員の間で十分に議論を練っていただくという観点から、総会と異なりまして、報道機関並びに各省幹事の方のご出席についてはご遠慮いただくことといたしたいと考えております。

ただし、議事録につきましては、議事規則の規定に基づきまして、後日公表されることとなりますので、あらかじめご承知おきいただきたいと思います。

なお、自由かつ闊達なご審議を確保するために、議事録の発言者の氏名につきましては明示しないということでやらせていただきたいと思っております。

なお、総会、企画会合、グループ・ディスカッションにつきましては、会議終了後、原則として記者会見を行いまして、議論の模様についてはご紹介させていただきたいと考えております。

以上でございます。

委員

今の説明に対しまして、何かご質問等がございましたらお願いいたしたいと思いますが。

この情報公開のルールで今後進めさせていただきまして、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

ありがとうございます。それでは、本日の審議に入ります。

委員

会長、今の取り扱いは従前とは変わってないのですね。

委員

はい。ただ、グループ・ディスカッションとか、レベルが違う企画会合とか、幾分は違った部分はありますので、これを図表にして、今のご質問に、どこが違うのか、整理して次回の会合にお配りいたしたいと思います。よろしゅうございますか。

委員

はい。

委員

それでは、本日の審議に入ります。

本日は、今後の年度改正等の審議の前提として、経済・税財政の現状、経済活性化等に向けた税制上の取組みの全体像について、事務局から説明していただき、質疑応答を行いたいと思います。

その際、税調の運営のあり方について、第1回の総会でもご議論をいただきまして、非常に有益なご意見等も賜ったわけでありますが、あのときにまだご発言をいただいていない方々もいらっしゃいますので、ご遠慮なく、第1回目だということで、高い立場からの問題点の指摘もしていただきましたらありがたいと思います。その上で、活性化等の議論についても触れていただきましたら好都合でありますので、よろしくお願いいたします。

それでは、主税局調査課長、自治税務局企画課長、それぞれ説明をお願いいたします。

事務局

主税局の調査課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私のほうからは、「経済活性化等に向けた税制上の取組みの全体像等」という資料に基づきまして、最近の経済動向ですとか今後の政策運営の全体像、また経済活性化に向けた税制上の取組みなどについて、簡単にご説明いたしたいと思います。

1ページをご覧ください。まずマクロ経済の動向を見ますと、現在の景気回復、2002年から始まっておりまして、民間需要中心の息の長い回復を続けております。景気回復の長さという点で見ますと、本年10月で、戦後最長のいざなぎ景気に並んでおります。2006年度の数字を見ていただきますと、これは政府経済見通しの数字でございますが、実質1.9%、名目2.0%でございます。政府としては、企業部門、家計部門ともに改善が続き、民間需要を中心とした持続的な成長が実現していくという見方をしております。

なお、7月に内閣府の経済動向試算が出されておりますけれども、それによりますと、2006年度は実質2.1%、名目2.2%とされております。また日銀のほうからは、10月に「展望リポート」が発表されておりますけれども、その中で政策委員の見通しの中央値として、2006年度の実質GDP成長率は2.4%という数字が示されております。

ちなみに、民間のエコノミストも、おおむね2%台半ば前後という見通しを示しているところが多うございます。

2ページをご覧ください。企業部門の動向を見てみますと、2002年度から増益に転じておりまして、その後も好調さが続いております。企業部門は、バブル崩壊後の負の遺産であった3つの過剰、いわゆる過剰雇用、過剰設備、過剰債務をリストラを通じて解消いたしまして、着実に体質が強化されているということがあらわれていると考えられます。収益水準はバブル期を超えて高水準を続けております。

3ページをご覧ください。好調な収益状況を背景として、設備投資も増加しております。昨年までは特に製造業の伸びが目立っておりましたけれども、このところは非製造業においてもしっかりとした伸びが見られているということがおわかりいただけるかと思います。

4ページをご覧ください。世界経済の順調な成長のもとで輸出も堅調に伸びております。特に対米、対中国を中心として伸びております。ただ、米国経済が減速していることもございまして、世界経済の動向の影響については今後留意をする必要があろうかと思います。

5ページをご覧ください。続いて家計部門でございます。企業部門の好調さが家計部門に波及してきておりまして、消費の動向を見ますと、基調としては増加を続けていることがわかります。消費を支えておりますのは、基本的には賃金、雇用環境の改善ではございますけれども、ただ、この夏、梅雨明けがおくれたことなど天候不順の要因もございまして、足元、やや弱めになっております。この後申し上げるとおり、賃金がそれほど伸びていないことも消費の伸びの鈍化の懸念要因になっていると考えられます。

1枚めくっていただきまして、賃金でございます。企業の人件費抑制の姿勢を反映して、2004年度までは厳しい状況が続いておりましたけれども、2005年に入りまして若干の増加に転じております。しかしながら、あまり力強い伸びではないという傾向が見てとれると思います。

1枚めくっていただきまして雇用でございます。雇用情勢も着実に改善してきております。足元、9月では完全失業率は4.2%、これは98年度以来の水準でございまして、ピークは2002年度の5.4でございますけれども、そこから着実に減少してきております。それから有効求人倍率、見ていただきますと、1.08倍ということになっておりまして、これも92年度以来の水準でございます。最悪期は99年度の0.49倍でございますので、そのころから比べると相当改善が進んでいるということがわかります。

最近、失業率の低下がややとまっておりますけれども、これは景気回復に伴いまして、いい職を見つけるようにしようといういわゆる自発的失業が増えていることも要因だということが指摘されております。

それから、1枚めくっていただきまして8ページ、原油価格でございます。経済の先行きに関するリスク要因として言われておりますのは原油価格、ご承知のとおりでございます。原油価格、やや落ちついてきておりますけれども、引き続き高い水準にございます。

それからもう一つの懸念要因としては、9ページ、米国経済でございます。住宅投資の減速を一部反映して、成長が一時期に比べて減速してきております。今後、住宅部門がさらに落ち込んだり、また原油価格が再び高騰したりして消費に悪影響を与えるようなことになりますと危険でありますけれども、今のところはソフトランディングを予想する向きが多いということでございます。

10ページ、景気の関係、最後でございますが、月例経済報告を載せております。以上のような経済の動き、足元の経済指標を踏まえまして、内閣府のこの10月の月例経済報告では、経済の基調判断として、景気は回復している、先行きについては、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる、ということでございます。

以上が最近の経済動向でございますけれども、バブル崩壊後の長期のトンネルから抜け出して、いわば筋肉質の経済構造となった日本経済が今後取り組んでいくべき課題は何かということで、それを示したものが、今年7月に出されておりますいわゆる骨太の方針だと言えようかと思います。

1枚めくっていただきまして11ページでございます。ここに、7月7日に閣議決定されました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」、骨太方針の柱立てを載せておりますけれども、今後10年間を「新たな挑戦の10年」ということで位置づけておりまして、3つの優先課題を示しております。1つが「成長力・競争力強化」、2つ目が「財政健全化」、3つ目が「安全・安心で柔軟かつ多様な社会の実現」という3本柱でございます。

骨太の方針の中でも書かれておりますけれども、この3つの課題は相互に関連し合うものでございまして、中長期的に成長力、競争力を極大化することに最大限の努力を払いましょうと。そして歳出・歳入一体改革を着実に推進していきましょうということが骨太の方針の中に書かれております。言いかえると、経済と財政を一体的にとらえて改革を進めていくことが必要であるということが示されているわけでございます。

1枚めくっていただきまして、この点に関連して、今国会で、安倍総理が今後の経済政策運営に関しまして所信表明の中でどのようなことを言っているかということをご覧いただきますと、一昨日の総会の諮問内容にもあらわれておりましたけれども、今後、わが国が繁栄を続けていくために、安定した経済成長が続くことが不可欠であるという認識のもとで、キーワードとしては、イノベーションの力とオープンな姿勢、それによって日本経済に新たな活力を取り入れるということを掲げておられます。

また財政再建との関係では、真ん中に書かれておりますけれども、「成長なくして財政再建なし」の理念のもとで、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出削減を徹底するということを強調されております。

一番下のパラグラフですけれども、このような改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するために抜本的・一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにするという考え方が示されております。

1枚めくっていただきまして、それでは、今申し上げました、今後税制改革を考えていくに当たって、税制を取り巻く現在の日本の経済社会がどのように変化しているかということを踏まえていく必要があるのではないかと考えられますけれども、この点に関して、ご参考までに、平成16年6月に、税調の基礎問題小委員会で、「わが国経済社会の構造変化の『実像』について」というリポートがまとめられておりまして、そこで示されたものをここに要約して載せております。

ちょっと見てみますと、幾つか項目が挙がっておりますけれども、要約して申し上げますと、まず1点目としては、人口については減少局面に直面していると。経済については、労働力人口の減少とか家計貯蓄率の低下などを通じて、供給面からの制約が生じるおそれがあるといったようなことが挙げられようかと思います。

2点目として、家族の形、家族の構成とか、働き方の多様化といったようなことで、大きく、家族、働き方が様変わりしてきていると。また、人々の意識を見ても、これまでの、例えば総中流意識みたいなものと違ったものが生じてきているというような変化が見てとれるということでございます。

それから3点目に、グローバル化、国際的な相互依存関係が深まってきていること、また財政事情の深刻化といったようなことも指摘されております。今後ともこうした側面を踏まえて、税制について考えていく必要があると考えられます。

それでは14ページでございます。ここからは少し財政の状況について見てみたいと思います。「一般会計における歳入・歳出の推移」ということで、皆様よくご承知のとおり、歳出と税収の規模を比べますと大変大きなギャップ、財政赤字が毎年発生している状況でございます。赤字分は公債発行で賄われておりまして、将来世代に大きな負担を先送りしております。

グラフを見ていただきますと、平成2年度以降徐々にこのギャップが大きくなってきているということが見てとれるわけですけれども、歳出については、バブル景気が崩壊した後、不況からの脱出のために、公共事業の追加を行ったこととか、あと、近年でいうと、社会保障関連の予算が大変伸びているということで、歳出が伸びている一方で、歳入は、景気低迷と減税に伴う税収の落ち込みが要因でギャップが大きくなってきているということでございます。

一番下の数字を見ていただきますと、一般会計歳出に占める税収の割合の推移が書かれておりますけれども、直近でも、その割合は6割弱にとどまっているという現状でございます。

15ページをご覧ください。わが国の財政は、国・地方合わせて、債務残高がGDP比、これはOECDの統計ですけれども、175%ということになっておりまして、財政健全化を着実に進めたほかの国と比べますと、例えば2番目に悪いイタリアでも120%程度、そのほかのヨーロッパの国、アメリカは50~70%程度でございまして、わが国は先進国中最悪の借金大国になっているということでございます。

16ページを見ていただきますと、他方、国民負担率、税金+社会保障負担を加えた負担が国民所得に対して占める割合でございますけれども、わが国、一番左にございますが、37.7%ということになっております。ほかの国を見てみますと、先進国、大体50~60%程度、高福祉の国スウェーデンでは71%に達しております。

アメリカは31.8%でございますけれども、これは国民皆保険ではないことがございますので、別途、民間の医療保険に加入しなければなりませんので、私的な医療支出分を考えれば、必ずしもわが国よりも負担が軽いということでもなかろうかと思います。したがって、全体として見ると、わが国は実質的には先進国中最低の水準にあると言ってもいいような負担になっているわけでございます。

17ページをご覧ください。こうした状況を踏まえて、小泉内閣のもとで財政健全化に取り組んできたわけでございます。ここのグラフは、国・地方合わせた基礎的財政収支の対GDP比でございますけれども、基礎的財政収支は、もうご案内のとおり、政策的支出を、新たな借金に頼らずに、その年度の税収等で賄えるかどうかという指標でございます。

見ていただきますと、小泉内閣のもとにおいて財政健全化に取り組んだこと、あと、近年、景気の回復に伴って税収が伸びてきていることや、定率減税の廃止等々によりまして、徐々にこの基礎的財政収支の改善が見られているところではございます。ただ、まだ依然として全体としてマイナスの状況でございます。地方についてはプラスになっておりますけれども、国については大幅な赤字になっているということがグラフからおわかりいただけようかと思います。

18ページをご覧ください。それでは、その財政健全化について骨太の方針ではどのように書かれているかということでございます。小泉内閣の財政健全化を第I期と位置づけまして、それに続く第II期、第III期の目標を骨太では示しております。第II期、これは2010年代初頭まででございますけれども、この目標として、2011年度には、国・地方の基礎的財政収支を確実に黒字化するということが書かれております。そのために対応が必要な額を16兆5,000億円と骨太では試算しておりまして、このうちの大体7~9割ぐらいを歳出削減で行うという方針が示されております。

それから財政健全化の第III期でございます。これは2010年代初頭から2010年代半ばにかけてでございますけれども、この第III期では、債務残高のGDP比、これを安定的に引き下げること、そのために基礎的財政収支の一定の黒字幅を確保することが必要だということが書かれております。

19ページをご覧ください。同じく骨太の中で歳入改革について書かれております。最初のポツを見ていただきますと、今申し上げた要対応額と歳出削減額との差額については、主に税制改革により対応すべきということが書かれております。

それから、見ていただきたいのは2つ目のポツのところで、今後、中長期的にわが国税制に求められる基本的・政策的な課題として4つ挙げられております。1つ目は社会保障給付、これが増加が見込まれることから、この社会保障給付の財源を安定的に確保すること。特に2009年度における基礎年金国庫負担割合の引上げ、3分の1から2分の1に引き上げるための財源を確保すること、ということが書かれております。2点目が、わが国経済の国際競争力を強化し、その活性化に資すること、3番目として、子育て支援策等の充実に資すること、4番目として、地方税源の充実を図ること、ということが書かれております。

また、このページの一番下でございますけれども、基礎的財政収支の黒字化が達成できたとしても、その後さらに、国・地方それぞれの債務残高GDPを発散させず、安定的に引き下げることが必要ということがここにも書かれておりまして、次のページの冒頭、これらを考えると、今後の税制改革では、2011年度単年度における目標が達成されさえすればよいというのではなくて、改革後の税制が構造的持続的に上記の中長期的な目標を達成し得る体質を備えなければならないということが指摘されているわけでございます。

1枚めくっていただきまして21ページでございます。それでは、今後の税制改革に関しまして、安倍総理が今国会でどのようなことを答弁されているかということを簡単にご紹介したいと思います。本会議での答弁が最初に載っております。前半部分はほぼ所信と同じことを述べておられまして、歳出削減を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、抜本的・一体的な税制改革を推進すると。

3段落目のところに、今後の、どういうタイミングで議論を行っていくかということに関して、「現在の諸情勢を勘案すれば、19年度予算の歳出削減の状況、来年7月ごろに判明する18年度決算の状況、医療制度改革を踏まえた社会保障給付の実績等を見る必要があり、これらを踏まえて、税制改革の本格的・具体的な議論を行うのは来年秋以降になると考えております。

また予算委員会のほうを見ていただきますと、終わりから4行目ぐらいのところですけれども、先ほど申し上げました足らざる部分に関しては、先ほど議論しました基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に上げる財源ですとか、今後増えていく社会保障費とか少子化対策、あと地方の税源の充実といったものもありますし、また国際競争力というものも考えなければいけないと。そういうことを勘案して、来年の秋以降に抜本的な税制の改革を議論しなければならないと考えております、ということを述べておられます。

1枚めくっていただきまして22ページですけれども、ここからは成長力・競争力を強化するために掲げられている課題や取組みについて見ていきたいと思います。先ほどご説明しました骨太の方針の3つの柱の第1番目、成長力・競争力強化の中でどういった施策が挙げられているかということを要約して載せてございます。

大きく2つに分かれておりまして、いわゆる経済成長戦略大綱の推進による成長力の強化というのが1点、それから第2点目として、民の力を引き出す制度とルールの改革ということが書かれております。いろいろなメニューが載っておりますけれども、幾つか税制にも関連した項目が挙げられておりますので、簡単に触れさせていただきたいと思いますが、左側の「国際競争力の強化」の中で、[2]として「アジア等海外のダイナミズムの取り込み」という項目がありまして、その2番目に、-「グローバル化に対応し、公正で活力ある経済社会にふさわしい制度の整備を行う。アジア等との租税条約のネットワークの充実等に取り組む」ということが書かれております。

それから右側を見ていただきますと、「生産性向上の5つの制度インフラ」というのが(5)で書かれておりますが、これの[2]に「生産手段・インフラの革新」という項目がありますが、ここに「国際競争力強化等の観点から、生産手段の新陳代謝を加速」ということが指摘されております。それから[5]の「経営力の革新」というところで、三角合併ですとか信託制度、そういった組織再編の制度基盤をつくるということが書かれております。

それから2の(3)に「公を支えるシステム改革」という項目がございまして、この中に「公益法人制度改革とNPO等の活動の促進」といったようなことが書かれておりまして、今申し上げました項目というのは税制にも関連してくるのではないかと考えられます。

1枚めくっていただきまして23ページでございます。ここから若干、競争力・成長力強化に関してどのような措置がとられてきたかということを個別具体的に見ていきたいと思いますけれども、成長力・競争力強化と自由でオープンな市場整備のためにとった措置として、まず15年度、18年度の税制改正において、大規模なIT投資促進税制とか研究開発税制、あと、IT投資促進税制を引き継いで情報基盤強化税制というものをつくっております。

右側に研究開発税制というものが書かれておりますけれども、それまでは試験研究費の増加額分だけ適用されていた制度を試験研究費の総額を対象とできるように制度を拡充いたしまして、研究開発のインセンティブを高めようとした改正を15年度に行っております。具体的には試験研究費の総額の8~10%を税額控除できる制度を恒久制度として創設いたしました。さらにその下、18年度のところを見ていただきますと、増加型と総額型の2つの税額控除制度を統合いたしまして、それぞれ、増加分については13~15%の税額控除、総額については8~10%の税額控除を認める制度に改組しております。

それから設備投資税制のほうは、15年度にIT関連設備の取得をした場合の特別償却、または税額控除制度を3年間の時限措置でつくりまして、これを18年度の税制改正で廃止し、産業競争力の向上に役立つ一定の情報セキュリティ対策に対応した設備の取得に絞り込んで、2年間の時限措置を新たに講じております。これらの制度によりまして、研究開発の投資について、かなり順調に伸びていると考えております。

1枚めくっていただきまして、法人税率について簡単に申し上げたいと思います。法人税率につきましては、昭和50年代、引き上げる局面もございましたけれども、昭和60年代以降は順次引き下げてきております。特に昭和63年の12月にいわゆる抜本改革を行っておりまして、そのときに法人税率の基本税率を42%から37.5%に引き下げましたけれども、最近では、平成10年度改正で経済活動に対する税の中立性を高めて、企業活力を国際競争力を維持できるようにするという観点から、1つは法人税の課税ベースの大幅な見直しを行いまして、それにあわせて基本税率を34.5%に引き下げました。さらに平成11年度改正で、そのときの景気情勢の配慮も含めて、国際水準並みの税率の引下げという観点から、課税ベースの見直しは行わずに、基本税率を30%に引き下げるということを行ってきております。

この結果、25ページをご覧いただきますと、法人所得課税の実効税率、国際的に見ますと、国・地方合わせたわが国の法人実効税率は、アメリカ、ドイツと並んで若干国際的には高い水準になっておりますけれども、国税のみで比較いたしますと、ドイツよりは高いけれども、アメリカ、フランスなどよりは低いといったような水準になっております。

1枚めくっていただきまして26ページでございます。次に減価償却制度についてご説明をいたしたいと思います。減価償却制度、ご案内のとおり、期間損益を適正に計算するために、固定資産の取得価額を使用期間に応じて費用配分する制度でございます。減価償却費として損金経理をした金額のうち、法人が選定した定額なり定率の償却方法によって、耐用年数に応じて計算をした償却限度額に達するまで損金額に算入するというものでございます。

ただ、この減価償却制度につきましては、近年、償却資産の使用の実態ですとか、諸外国の制度を踏まえて、企業の国際競争力の観点から見直せという要求が出てきております。日本のところを見ていただきますと、端的に諸外国と違っているのが、償却可能限度額が、ほかの国は100%ですけれども、95%と。残存価額についても10%ということになっておりまして、諸外国と違っております。

1枚めくって27ページを見ていただきますと、具体的にそれではどういう償却方法になっているというかということでございますが、この図を見ていただきますと、例えば法定耐用年数10年だとすると、法定耐用年数経過時点、10年たった時点で、残存価額を10%残した金額まで償却すると。その後、償却可能限度額95%まで償却できるということになっております。残った5%については実際に除却するときに損金で落とせるということになっていて、これが諸外国と違うのではないかということでございます。

それからあと、特に技術革新の早い分野の設備につきまして、耐用年数をどう考えるかといった点についてもいろいろ指摘がなされておりまして、現在、関係省庁と共同で、減価償却資産の使用実態について調査を実施しているところでございます。

1枚めくっていただきまして28ページでございます。租税条約でございます。オープンな市場を整備して、海外との投資交流を促進させるという観点から、具体的には、投資収益に対する源泉地国課税を引き下げていくということを行っております。現在、租税条約につきまして、わが国は45の条約、56カ国適用しております。最近の動きを見ていただきますと、若干字が細かくて恐縮ですが、一番下、最近の動向の欄の中を見ていただきますと、2004年の3月に、アメリカとの間で租税条約を全面改正いたしまして、新租税条約を発効しております。

これに続いて各国と精力的に見直し作業を行っておりまして、今年の6月には、インドとの間で改正議定書を発効させた。それから10月には、イギリスとの間で新租税条約が発効したところでございます。さらに7月に、フランス、フィリピンとの間で条約改正交渉が基本合意に達しております。あと、現在、オランダと条約交渉中でございまして、それから産油国からの証券投資などを呼び込むためにいろいろ検討してきましたけれども、一昨日、11月7日に、UAEとクウェートと条約締結交渉を開始することを公表したということでございます。

その後、対内直接投資、対外直接投資の最近の残高の推移についてつけてございます。もちろん、これらいろいろな要因が組み合わさっていることとは思われますけれども、今申し上げた租税条約による投資環境の整備も貢献しているのではないかと考えております。

31ページをご覧ください。証券税制についてでございます。少子・高齢化ですとか、貯蓄率の低下の中で、企業にうまく資金を流すことによって成長力、競争力を支えていくということが重要でございますので、個人金融資産の効率的な活用ということが経済活力維持のかぎになると言えようかと思います。

こうした観点から、ここに書かれておりますとおり、経済活力維持のインフラとして、証券税制の改革を恒久的措置として進めてきております。平成13年度から16年度にかけて改正を順次行ってきております。大きく分けて3つの視点で行っております。1つは、金融商品間の課税の中立性・均衡化を図るということでございます。具体的には、上場株式などの配当ですとか譲渡益の税率を利子並みの20%に引き下げて、課税方式を均衡化するということを行ってきております。

それから第2点目に、わかりやすく簡素で利便性があるということでございまして、これは証券会社に設けた特定口座の導入によりまして、一定の上場株式の配当譲渡益につきましては、税務署に申告せず、源泉徴収のみで納税が完了することが可能になるように、平成14年度、15年度で改正を行ってきております。

それから3番目に、一般個人の投資リスクへの配慮、軽減ということで、上場株式などの譲渡損の繰越控除制度を平成13年に設けたりとか、あと、公募の株式投資信託の解約・償還損益を株式譲渡損益との通算を可能にしたというようなことを15年度に行っております。

これらは金融商品間の垣根の低下ですとか、グローバル化の中での海外の資金シフトのおそれですとか、勤労性所得とのバランスといったようなことに留意しながら改正を行ってきております。

それからもう一点、2として書かれておりますのは、時限的な景気対策、市場対策として証券税率の優遇をしているということでございます。上場株式等の配当、譲渡益に対する時限的な優遇税率として、5年間、20%を10%に引き下げるという措置をしております。

次のページを見ていただきますと、具体的に棒グラフになっております。網掛けの部分が主な金融商品、実際に適用されている税率でございますけれども、この中で、上場株式の配当、それから上場株式の譲渡益につきましては、本則20%のところを、配当につきましては、19年度までの5年間、10%にすると。譲渡益についても、19年分まで10%にするということになっておりまして、これらの措置については、それぞれ19年度末に期限が到来するということでございまして、これらにつきましてどのような取扱いにするかということを検討する必要があると考えております。

それから最後に、少子化対策に若干触れたいと思います。これは骨太の3つ目の柱、「安心・安全の確保と柔軟で多様な社会の実現」の中にも書かれておりますけれども、ご承知のとおり、今、山のグラフのちょうど一番てっぺんにありまして、すでに人口減少社会が現実のものになってきております。昨年の合計特殊出生率1.25ということで過去最低を記録しておりまして、このままでいくと、100年後には、中位の推計でも現在の約半分の6,400万人程度になるというようなことが見込まれております。中位推計が前提としている合計特殊出生率は、下に書いてございますけれども、1.39ということでございまして、現在よりも高い数字であるということにも留意が必要だと思います。

34ページを見ていただきますと、こうした現状を踏まえて、政府においても少子化対策についていろいろ検討しております。出生率の低下傾向を反転させるということで、少子化の背景にあるいろんな社会意識ですとか、家族の問題とか、若い世代の不安感といったようなことにどう対応するかということで、少子化対策についていろんな検討が行われてきておりまして、ここに書いてございますのは、6月に少子化社会対策会議において「新しい少子化対策について」ということがとりまとめられておりまして、今後これに沿って、子育て支援策に関する種々の施策について検討を進めていくことが必要だと考えております。

この中で、19年度予算編成過程において必要な財源の確保とあわせて施策を検討するということと、あと税制面においても、少子化対策を推進する観点から必要な措置を検討するものとするということが指摘されております。

私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

委員

調査課長、ありがとうございました。それでは、企画課長お願いします。

事務局

引き続きまして、「地方税財政関係資料」に基づきまして概略ご説明申し上げます。

1ページをお願いいたします。平成元年度以降の地方税収入の推移を見たものであります。バブル経済崩壊後の景気低迷や減税などの影響がありまして、地方税につきましても低迷しておりましたが、ここ数年、景気回復の影響などもありまして、税収は増加傾向にございます。

2ページをお願いいたします。公債費を除く地方の一般歳出の推移を過去10年間にわたって見たものです。歳出の抑制によりまして、平成18年度で見ますと65.6兆円となっておりますが、この規模はほぼ平成4年度から5年度ぐらいの水準にまで下がってきております。この歳出の抑制は、社会保障などの増分はありますが、主として人件費や地方単独施策の抑制を図ることにより行ってきたものでございます。

3ページをお願いいたします。地方財源不足の推移と主な要因を分析したものでございます。折れ線グラフが財源不足の変化、棒線グラフはその要因を示しております。平成5年度はほぼ収支均衡の状況にありましたが、平成6年度以降、大きな財源不足を生じるようになり、平成18年度で8.7兆円となっております。その要因といたしましては、歳出の増要素と歳入の減要素があります。歳出面では、大きなものはこの棒線グラフの一番下の黒い部分でありますが、これは社会保障関係費の増でございます。

それから一番上の少し薄い黒の部分、これは公債費の増です。バブル経済崩壊後、景気対策として地方債を活用して公共投資を拡大しました結果、元利償還金が大変大きな負担になっているということでございます。

歳入面では、中ほど、斜線部分と、その下の薄く塗られた灰色部分でございますが、減税と景気低迷による減収がそれぞれ大きな要素となっております。

次に4ページをお願いいたします。ストックとしての借入金残高の状況でございます。平成18年度末で204兆円と見込まれております。平成3年度の約3倍の水準にまで増加しております。

次に5ページをお願いいたします。これは平成17年度決算見込みによる地方税の税収内訳でございます。左のほうを見ていただきますと、地方税合計で約35兆円、都道府県税では約15.2兆円、うち法人二税、法人住民税と法人事業税でございますが、この2税が約4割近くを占めております。また、市町村税では約19.5兆円、個人市町村民税と固定資産税で全体の約4分の3を占めております。

めくっていただきまして6ページをお願いいたします。これは平成16年度で見ました国と地方の税源配分の状況でございます。国民の租税は、平成16年度の決算で見ますと、国税と地方税でおおむね6:4で分け合っております。他方、左下を見ていただきますと、国民へのサービス還元では、そのウェイトがちょうど逆転して、国4、地方6となっております。

なお、右上のほうを見ていただきますと、所得税から個人住民税へ3兆円の税源移譲が来年から実施されることになっております。移譲後の国税、地方税の割合はおおむね56:44程度になると見込まれているところです。このような地方税収入と地方歳出の乖離をどのように考えるか、また、この乖離を縮小すべきではないか、今後十分にご議論をいただければと思っております。

めくっていただきまして7ページをお願いいたします。今ほどご説明しました国民へのサービス還元につきまして、財政支出の面から、国・地方の役割分担を行政分野ごとに見たものでございます。

めくっていただきまして8~9ページをお願いいたします。左端が地方税全体、それから地方税の主な税目につきまして、人口1人当たり税収額を、全国平均を100といたしまして、都道府県の区域単位でその格差の比較をしたものであります。法人二税などでは、ちょうど中ほどでございますが、最高の東京と最低の長崎の間で6.5倍の格差がございますが、めくっていただきまして次のページの自動車税や軽油引取税などを見ていただきますと、逆に東京が最低となっております。

税源の偏在の度合いがどの程度あるか、経済集積や経済活動などの関係もございまして、地域間である程度の偏在は避けられないものでございますが、地方税の充実を図る場合には、このような状況を踏まえまして、偏在度の小さな地方税体系を検討する必要があると考えているところでございます。

次に、10~11ページをお願いいたします。先ほどもお話ございました今年の骨太方針でございますが、囲みの中を見ていただきますと、地方分権に向けまして、今後、関係法令の一括した見直しなどにより、国・地方の役割分担や国庫補助負担金の見直しなどを行うことになっております。地方税については、下線を引いておりますが、国・地方の財政状況を踏まえながら、交付税、補助金の見直しとあわせ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図ることとされております。

次に12ページをお願いいたします。地方分権改革の経緯を掲げております。一番下を見ていただきますと、先ほどご説明申し上げました骨太方針に基づきまして、地方分権改革推進法が今国会に提出され、現在、審議が行われております。

次の13ページでございますが、これが今申し上げた法案の概要でございます。この法案は地方分権改革を進める手順や推進のための体制を定めたものであります。まずは地方の役割を強化するため、国と地方の役割分担のあり方などを検討し、その具体的な見直しに応じまして、補助金、交付税、税源配分等の見直しを検討することとされております。

次に14ページをお願いいたします。法人二税、事業税、住民税の税率の推移でございます。二重線のところ、法人二税の実効税率でございますが、下の(注)1にも書いてございますように、法人事業税が損金算入されることを調整した上で、法人住民税と法人事業税の税率を合計したものでございます。昭和62年度以降、税率を下げてきている状況にございます。

なお、平成16年度以降の税率につきましては、資本金1億円超の法人の税率となってございます。

次に15ページをお願いいたします。法人所得課税の実効税率の国際比較をしたものでございます。先ほど国税の説明がございましたので、重複は避けますが、資本金1億円超の法人の場合、例えば一番左側、東京都では事業税、住民税に超過課税を行っておりますので、地方税の実効税率は12.80%となります。超過課税がない場合は、その隣、11.56%となります。

なお、各国のうち、アメリカのニューヨーク市では、(注)2のところにもございますように、州の法人税、市の法人税によりまして、地方税の実効税率は16.85%となってございます。

次に16ページをお願いいたします。16ページは法人税と固定資産税におきます償却資産の考え方の違いを説明しております。固定資産税は資産課税でございます。資産の保有と行政サービスの受益関係に着目いたしまして、資産価値に応じた税負担を求めるものでございます。その資産価値を求めるために減価償却を行います。使用されている限りは一定の資産価値が存在するために、評価額の最低限度を設けております。償却のあり方によりまして、継続的に毎年減収が発生、後年度において取り戻せない結果となります。

これに対しまして法人税での償却制度では、先ほどもご説明ありましたように、取得価額を一ときに費用化するのではなくて、期間収益に対応して使用期間にわたって費用化していくものでございます。損金算入された減価償却部分というのは後年度に繰延べで課税できるわけでございます。資産の取得価額の費用配分をいつ行うかという問題でございまして、固定資産税と異なっているということでございます。

囲み記事の※印のところに出ておりますが、固定資産税の評価においては、法人所得課税では認められておりますような特別償却、あるいは割増償却などの措置は行っていないところでございまして、法人税、法人課税とは異なる取扱いがなされているということでございます。

次に17ページでございますが、主な金融証券に係る住民税の状況でございます。これらにつきましては、所得税のほか5%の住民税が課税されているわけでありますが、現在、軽減税率が適用されている上場株式等の配当や譲渡益につきましては3%となっておりまして、先ほど国税のほうからご説明ございました10%の内数となっております。

以上でございます。

委員

企画課長、ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務方の説明に対するご意見、あるいは質問等でも構いませんし、今後の税調の運営のあり方等についても幅広くご議論を賜りたいと思っております。どなたからでも結構でございます。

委員

今の「経済活性化等に向けた税制上の取組みの全体像等」についての14ページですが、「一般会計における歳入・歳出の推移」という、これは平成17年度の歳出総額が85兆円になってますが、当初予算レベルではたしか82兆円ぐらいだったと記憶しているのですけれども、もちろん税収も44兆円か45兆円だったと記憶してますが、税収は49兆円で、4兆円か5兆円伸びたのですが、この決算ベースで85兆円になっているということは今僕初めて知ったのですけれども、これはどのような経緯で、税収が増えると実質的に歳出が自動的に増えているのかどうかよくわかりませんので、説明いただきたいのですけれども。

委員

この点について、調査課長。どうですか。

ちょっと趣旨を把握した上で、後でもいいですから、答えてください。時間が少ないので、ほかの方の意見を賜りながら。

事務局

ちょっと調べまして、後ほどお答えしたいと思います。

委員

お願いします。どうぞ。

委員

初めに、前回というのは一昨日のことですが、発言いたしませんでしたので、ごく手短に税制改革についてどう考えるべきかということについての私の考えを申し上げた後、1点質問をさせていただきます。

税制改革全体についてでありますが、前回もいろんな意見が出ておりまして、その中で特に国際競争力についての配慮ということを言われた委員が多数おられたと記憶しております。先ほどご説明いただいた資料の中にもあるわけですが、これからの日本の経済にとっての与件といいますか、制約条件というのを考えるときに、グローバライゼーション、グローバル化の進展ということは一つの大きな与件であろうと思いますので、国際競争力等への配慮というのはそこから来ている話だと思いますが、しかし、経済活動にとっての制約条件というのはそれだけではありませんで、たくさん掲げてありましたけれども、私は、少なくとも大きなものが、同程度に重いものが3つあると思ってます。

1つはグローバル化、しかし、2つ目は日本における少子化、高齢化の進展と総人口の減少、それから3つ目は、それにもかかわらず、世界全体としては、人口が急激に増える中で、おそらくさまざまな資源の限界というものを意識せざるを得ないのではないか。資源という中にはエネルギー、水、空気等も含めての話でありますが、税制を考えるときに、そういう経済活動にとっての非常に重い与件をそれぞれバランスよく考えて、どういう税目でどの程度の税収を上げていくべきなのかということをバランスよく考える必要があるのではないかと私は思っております。それを全体のご議論していく中で意識したいということであります。

質問でありますが、地方税と地方の歳出と、それから地方の基礎的収支として、これは最初の資料の17ページにある数字との関係がちょっと私よくのみ込めないものですから。地方の基礎的財政収支は若干黒字なのでしょうか。地方税収というのは35兆円程度、地方の公債費を除く一般歳出は65兆円程度というのはどのように理解したらいいのかちょっとよくわからなかったので、それを教えていただければと思います。

委員

今の後半の部分のところについても、すぐ答えられますか。

委員

関連するので。

委員

どうぞ。

委員

国税資料の17ページの地方の基礎的財政収支が黒字化しているというのは、見かけ上はそうなっているわけですよ。つまり、国から地方に、財源対策を講じた上で、現ナマがいってますので、その現ナマ分が加算されますから、見かけ上黒字になってます。ただ、実質的に国が講じている地方財政対策を考慮しますと、まだ基礎的収支が、形式的には黒ですけれども、実質的に好転しているということではないというのが1つです。

細かい数字になりますから、私もちょっと材料持ってませんので、後で提出してもらったらいいと思いますが、特に知事会で、私ども、いろいろ昨年来議論しましたときに、この見かけ上の基礎的財政収支が黒になっているということをつかまえて、地方財政は非常によくなったということを随分宣伝に使われました。したがって、私自身も大分反論を加えておりますが、そういう国と地方との財政構造を見極めていただかないといけないので、骨太方針も国・地方一体としての基礎的収支の改善を目標にしているということが1点です。

それから歳入・歳出のギャップは、国の場合は財源として赤字公債の額を非常に問題にされますが、地方の場合は、もともと赤字地方債というのは出すことができないことになってまして、建設地方債、つまり、建設事業は使用期間が長いですから、その使用者に負担を長期間化するためには、時の世代の人たちだけで整備するのではなくて、使用期間に応じて使用できる世代の人たちで負担できるようにしようと、こういう発想でできてますので、そういう建設地方債については財源扱いしてますね。通常の財源扱いしている。それが基本的にギャップで埋めているとご理解いただいたほうがいいと。補足することは補足してください。

委員

今、委員から地方側のご見解の一端を披瀝していただいたのですが、このような技術的、あるいは数字的な問題については後で一括して答えるように、今回できる部分のところについてはしてください。それから今のように、解釈が少し国と地方で分かれるような部分がございますので、その辺の解説的な部分についても、機会があれば、また資料等を提供していただければというぐあいに思います。

どうぞ。

委員

全く違う話でよろしいですか。

委員

どうぞ。

委員

私、景気指標でいうと遅効性の指標で、前回の会議で言うべきことを今になって言わなければいけないのですけれども、今回諮問、随分考え抜かれたものだなと思ったのですが、何かひとつ胸にストンと来ないところがありまして、それはなぜかというと、やはり10月9日の北朝鮮の核実験で日本の風景は変わったということなのですね。それで、例えば負担しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対して税制を考える、そうではないのではないか。隣にああいう国がある。そういう国からどう日本を守るかと。そういうことのためにも税は必要なのだと。僕は、真っ先に税はそういうところに必要なものだと思います。そういうことをこの答申の中にもできれば入れられないかなあと思います。

役に立たない命令をして、NHKのブランドを泥にまみれさせることよりも、ずっと日本国民の意思を外にアピールすることにもなると思いますので、答申の、今回、税制改正の意義の中でそういった部門もできれば入れられないかなと考えております。

委員

ありがとうございます。

委員

先ほどの委員の指摘と関連するのですけれども、最初に説明いただいた活性化のほうの資料の14ページで、要望ですけれども、これから議論していくときに、やはり税収の動きというか、それをここで、委員の間で状況に関する理解をシェアしていくことが重要だと思います。いいときも悪いときも、例えば所得課税、特に法人税収というのはものすごく変化してきて、そしてそれがある意味で追い風になったり、目先、それが非常に悪くなるので真っ暗に見えちゃったりするわけで。この14ページの表、これからまさに資料も用意されるし議論するのでしょうけれども、その前に、そういうために申し上げたいのは、まず当初予算と補正予算の関係をしっかりしてもらいたいと。結局、それが疑心暗鬼になって。先ほどの委員のご質問はおそらく、当初と補正の違いで、そして上がってきちゃった税収は補正で使ってしまうかもしれない。逆もまたあるわけで、悪くなっちゃったときにそれが赤字になっちゃう。そういう非対称的な問題があるので、特に、過去、バブルの前ぐらいから10年ぐらい、そういう情報が欲しい。第1点です。

第2点は、これもこれから出てくると思いますけれども、また前の税調でも多少やりましたけれども、税収の変化がどのように起きているのかというのも見せてもらいたいと思います。この辺はいろいろ腕の振るいどころだと思います。途中で改正しているので、その改正の姿もうまく反映させてもらいたい。

それから第3点は、近年いろいろ議論されはしましたけれども、税制はある意味というか、見直しされた点があって、恒久的減税の定率部分を直したり、あるいは課税ベースを広げたり、そういう努力も進んできたわけです。したがって、それが今ここに来て追い風の一端になっているという事実もあると思います。したがって、その改正の効果というのも見せてもらいたいということで、要望を具体的に申し上げますと、言い出すと切りがないですけれども、一般会計、地方それぞれとしても、そのほかのいろんな特別会計等は入れないとしても、国、地方の一般会計で、当初、補正の関係、予算の関係を見たい。それから歳出、歳入です。それから税収の変化の、ぜひ分解した要因分解も我々は共有すべきだと。それから近年の行ってきた改正が一体ここに来てどういう効果を生んでいるのかというのも見たい。それは、今、恒久的減税を申し上げましたけれども、ある意味で僕は画期的だと思うのですけれども、景気が悪かったときに、研究開発減税というのを、世界的に見てもものすごい減税をしたと。今までは研究開発費の増分に対する税額控除だったのを根っこからやった。これは世界的に見てもものすごい研究開発に関するサポートだったと思います。またITについては、個人的には必要だったかどうかと考えますけれども、その辺の効果もあるので、ぜひそれを次回以降見せていただきたいと思います。

委員

ちょっと私のほうから整理するために事務方にお願いをいたしたいと思います。今のお話は、実態の把握について少しマクロベースと制度財政との関係の中でもずれが生じている。例えば14ページは一般会計ですけれども、特別会計どうなっているのだとか、国民経済計算の中で一体それがどのように位置づけられているのかとか、そのような問題が1つあるわけです。それから国と地方の財政の状況の把握においても、委員のやりとりの中にもありましたとおり、プライマリーバランスの整理の仕方について、これは議論の余地ある部分があって、それをSNAベース上の扱い方と制度上の扱い方のどこにポイントがあるか、これもきちんと調べて、次回以降、報告をしていただきたいと思います。

それから制度改正に伴うものと景気の上昇に伴う効果というものを分けて、きちんとこれも情報として提供していただきたい。そのことがこれからグループ・ディスカッション等でやるときに判断の材料にもなってくる部分がありますので、したがって、今までのデータの部分のところから少し踏み込んだ形で整理をしていただきたい。これは、今日、内閣府のほうからも審議官に来ていただいておりますから、経済財政運営のところでもそのような議論があったわけで、ぜひ協力しながら資料を一体的な形で出していただきたい。これで今のご疑問等がかなり緩和できるのではないかと思いますので、ぜひ作業としてお願いをいたしたいと思います。

それから効果の問題について、ただ今委員からのご指摘のとおり、非常に重要なポイントがIT減税等があるわけですが、これは総理からも調査・分析をしっかりやれというご下命がありますから、税調においてもこれから委員を中心にしながらそういう点もしっかりと分析していくという我々の役回りもあるわけで、ぜひそこら辺のところも参加型でやりたいと思いますが、まず事務方としてそういうことについて、各国でどういう動きがあって、そしてどのぐらいの効果があったのか、さらには我々がどのような制度改正をして、そしてここに至っているのかということも材料としてまず整理していただければと思います。そういう問題についてはぜひお願いいたします。どうぞ。

委員

1つは全体の中期的な進め方の話ですけれども、今日の資料の21ページにもありますけれども、総理の方針というのは、来年の秋以降に抜本的な税制改革の議論をするということで、これは要するに、来年、参議院選挙の結果を見て消費税も含めた抜本改革の話をするということだと思うのですが、ただ、税調としては、来年1月から抜本的な議論をするというのが、前回、本間会長がご指摘された点だと思うのですけれども、そうすると、来年の1月から秋までの間はどの程度抜本的な税制改革の議論を踏み込んだ形ですればいいのかというのが若干疑問なので、その点を少し最初に理解しておきたいというのが1つです。

それからもう一つは、今の委員の話とも絡んでくるのですけれども、経済活性化との絡みで、今回の、特に今年度の年度改正でいろんな企業関係の減税等の税制改正の話がありますが、そのときに、それがどれだけマクロ経済に効果を与えているのかに関してのきちんとした実証分析が必要だと思うのですけれども、同時に、例えば16ページの国民負担率のところで出てくる法人所得課税の比率の話と、それから実効税率で出てくる法人の税率の話というのはどうも、よく出てくるのですけれども、かなりギャップがあるわけですね。

16ページで見ますと、日本はドイツに比べてはるかに国民所得の中で法人が占める割合は低いのですが、実効税率だとどうしても日本は同じ。これをどういうぐあいに説明するのか。これは要するに法人が実際に払っている平均税率と、それから税制上払うべきと想定されている税率というのがいろんな形でギャップが、課税ベースとか、それから政策減税等でかなりギャップがあって、それが結果としてその国の経済の活性化にどのぐらい違いが出てくるのかというのは非常に興味深い点だと思いますので、政策的な研究投資減税の効果もマクロ的にどうなるかということも重要だと思うのですけれども、そもそも国際的に比較したときに、どういうレベルでの税負担の違いが経済活性化にどう効いてくるのかについて、もうちょっと掘り下げた資料とか分析が必要だと思います。

委員

ありがとうございます。今の点の前半の部分のところは、つまり、1月以降、我々がどのような審議をしていくか。私、前回、抜本的な議論の準備をするということを申し上げたわけですけれども、今日のご議論も含めて整理させていただいて、それで私のほうから、こういうやり方でやりたいということをまず提案させていただいて、またご意見をいただくという形でやらせていただきたいと思います。

後段の部分は、これは事務方に今のところの説明をしていただくと同時に、これもご専門の委員を中心にしながら解析的にやっていくということで私はもう念頭に置いておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。つまり意味を、資料をパッと読んで直観的な意味だけではなくて、分析的な部分のところを相当我々がコミットしてやっていくということが今回の新税調の私はミッションだと思っておりますで、1月以降、調査分析の部会等も発足していただいて、そこで事務方と協力しながら、そういう点についても明確に説明していくと、こういうことでやってまいりたいと思いますので、その旨よろしくご了承のほどをお願いいたします。

どうぞ。

委員

14ページのところは17年度まであるのですが、18年度についても、この1週間以来、いろいろ自然増収の額について様々な報道が出ております。3兆円なのか5兆円なのか。そのことも含めて、先ほどの会長のおっしゃられた点を、ぜひ18年度についても、今走っているところについても含めていただきたいと思います。

委員

その点、事務局。

事務局

18年度に関していろいろ報道がなされているのは事実でございますが、私ども一貫して申し上げておりますのは、18年度の税収の見積もりの仕方として、1つは、非常に大きなぶれが生じますのが法人税収でございます。ご承知のとおり、今、中間決算の発表が順次行われております。私どもは、1つは、それを見極めないとなかなか、それ以外の有力な指標がないものですから、それはぜひ見極めないとそもそも進行年度自体が固め切れないという問題が1つございます。

それからもう一つは、全体の経済情勢、特に7~9のQEが11月半ばに出る予定になっておりますけれども、これは法人税収に限らず、総合的な経済の状況をあらわす指標でございますが、こういうものをどうしても踏まえた上で、18年度をある程度見て、さらにこの19年度、来年度の税収につきましては、従来からの政府の経済見通し、これは個別の消費の動向がどうだとか、雇用者報酬がどうだとか、生産の動向がどうだと。これを政府全体で12月初めごろから検討の上、内閣府中心にお決めになられる。その数字を私ども使って、19年度の税収を18年度の進行年度を見込んだ上でさらに見積もるという手順になっているものですから、途中の段階でなかなか、それとは全く別の弾性値みたいなものでえいやっと置くというような機械計算は今までもいろんな形で出しておりますけれども、具体的な見積もりとしては、タイミングとして、しかるべきそういう手順を経た上でないとなかなかお出しできないという点はぜひご理解いただきたいと思います。

委員

今の委員の問題点は、我々が、これからどういうぐあいに議論の中で理解しながら進んでいくかということと非常に関連してくる部分がございまして、実はこの資料をつくるときに、私、事務方と、14ページの部分ですけれども、18年度のところが予算値で出ておりまして、これが下になっているので、これ出したらちょっとミスリーディングだぞと、これはおそらく上のほうにいくだろうということで、これは17年度で閉じた形になっております。したがって、本当はもう、委員がおっしゃるとおり、わかれば、ここに描き込んで、あるいはトレンドを示せるようなことができればいいのですが、今の政府全体でのシステムを、今事務局がおっしゃった部分、つまり、内閣府が来年度の予測をミクロ的に主税局を中心にしながら積み上げた部分とどう整合化をとりながら、来年度の見通しを予算の中に入れ込んでいくかということが、これまでルーティン化されておりますので、その辺のところをどのように我々が、速報性をもって議論ができれば一番いいと思っておりますが、なかなか難しい点もあるということが今の答えだと思います。どうぞ。

委員

私もメディアの人間なので若干疑問に思っている点は、この1週間来、ちょっと報道が相次いでいるのですね。これはとても国民の関心が高い。つまり、成長なくして財政再建なしと言って、その結果、今走っている予算を見ると、現実に相当な自然増収があるなということは初めの会合でも会長みずから言及されておられるとおり。これについて国民の関心は非常に高い。これを受けて、さてこれから増税するのか減税するのかという議論を立てていくわけなので、そこについてのお話がやはりある程度、腰だめであっても、なければ、ちょっと判断が難しいよなということが1つと、それと、1紙だけが書いている話ではなくて、複数の新聞が自信を持って書いているようですから、これは一体じゃどこから出てきたんだということにも、私はメディアの人間として疑問に思わざるを得ないので、事務局のお話はお話でわかるのですが、そういうことで今見ているぞということだけ申し上げておきたい。

委員

今日、私、実は事務方と打ち合わせるときにも、今の問題、申し上げまして、情報管理もどうなっているのだと。あるいはこちらに知らせる前にどこかでリークしているのかとかいうような話の雰囲気すら感じられる部分もありまして、これはよくないなあということで見ているわけですけれども、ぜひこの点についてもう少し事務方から、公式的なお話は伺ったけれども、これから議論していく中で、そこら辺の部分のところの審議のありようについて少し工夫も必要かなという感じを受けております。後でまた私のほうが事務方と調整をして、それで、今の委員のポイント、非常に重要だと思いますので、私もぜひ今後の審議の中で反映させたいと思っています。

どうぞ。

委員

先ほど、R&D費の減税というものの効果を見たいという話がありましたけれども、確かにそういうものを分析的に見たいなというのが非常にあります。

それと、これも類似の、ちょっと関連したお願いなのですが、13ページにもありますように、グローバル化というのは一つのキーワードで、実際事業をやってますと猛烈なインタフェースの大きさというのはアジアなわけですね。圧倒的にアジアなわけで、もちろん発展途上国と同じ条件にするわけには当然いかないわけですけれども、ドイツ、フランスとの比較もいいですけれども、これから深くかかわっていく人たちとのイコールフッティングがどのぐらいノンイコールフッティングなのかというところを知りたいのですね。かなり差があるだろうと思います。ここを明確に認識して、これでいいのかという議論を私はしたいなと思っています。よろしくお願いします。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

第1回の会長のごあいさつを伺いまして、身の引き締まるような思いとともに、汗をかけということでございましたので、自分なりに何が汗かけるか考えてまいったわけでございますが、少なくとも中長期的に見れば、国民負担率が低い状態で財政赤字が大きいということですから、難しいといえば難しいのですが、簡単といえば簡単。その中で何が一番大変かというと、会長がご指摘になった広報広聴機能。先ほどの新聞の話は広報機能かと思うのですが、広聴機能に関して、これはぜひ具体的に、ここで空手形を切ると大変なことになりますので、きっちりしていくようなことができないかと思いまして、私は前から委員をしているのですが、財務省にインターネットで意見を寄せられるコーナーがございまして、これについて事務方が随分努力されて、分厚い資料が届きましたので、私なりに汗をかくことは何かということで、それを精いっぱい全部読みました。

その中で非常に簡単な質問を総務省さんにさせていただきたいのですが、その中であった中で、総務省さんの資料の14ページの法人事業税でございますけれども、これが現場ではなかなか捕捉が難しいのではないかというようなご指摘が、広く国民というか、徴税側のほうから来ているのですけれども、この点についてどのようにお考えなのか、1つ伺えたらと思います。

委員

今すぐ答えられますか。

事務局

都道府県税課長でございます。

法人事業税、それから法人住民税両方、地方の法人課税でございます。それぞれの課税の対象はそれぞれ都道府県、市町村に事務所が存する企業、法人ということになります。この課税資料といたしましては、国税のほうで申告のありましたものを国税と協力しながら対象としているということのほかに、当然、管内の市町村、都道府県内、ほかにも市町村でございますと固定資産税等々の課税資料もございますので、その辺を見ながら捕捉に努めておるというのが現状だと存じます。

委員

今の答えでいいですか。

委員

どうも国と地方の連携がうまくできてないのではないかなというようなご指摘もありますので、この点も踏まえながら今後検討していただきたいと思います。この点は実は広報公聴機能という点から言うと、私は非常に大きなことだと理解しておりますので、よろしくお願いします。

委員

それでは、どうぞ。

委員

財務省のほうでおつくりになられた資料の5、6、7ページあたりについてちょっとお願いをしておきたいと思います。例えば「民間最終消費支出の推移」ということで、2005年、2006年――2006年のところが見通しなのかどうかあれですが。この間、定率減税の2分の1カットがありましたが、ここのところでカーブがちょっと折れていることと、定率減税を半減したこととの因果関係あたりがどうなのか、分析されたものがおありになるのかどうか。

それから賃金のところも、このカーブだけ見せられて、これで賃金の推移ですよということではあまりにも皮相的な話になってしまうと思います。例えば労働分配率がどうなっているのか、あるいは増分した付加価値の中の配分構造がどう変化しているのか、財務省でおつくりの法人企業統計等を分析していただくとすぐそういうデータも出てくるはずですから、そんなことも含めて、例えば付加価値配分構造が非常に大きく変化していることが、5ページの例えば「民間最終消費支出の推移」にどういう影響を与えているのか。例えばですね。そんな分析もぜひなければいけないのではないかと。

それから付加価値配分構造の関係で言えば、例えば2001年と2005年ぐらいを比較してみましても、株主への配当は3倍近くになっているはずでございます。そういう配当政策の変化が法人税にどんな影響を与えているのかとかいう分析も当然おありになるはずだと思いますが、その辺についてもぜひよろしくお願いしたいと。

それから7ページの表の有効求人倍率、1.08、ご同慶の至りというわけにはいかないのだという認識をしております。1.08という数字の中身をずうっと見ていただきますと、例えばフルタイマー、正規社員雇用のところは0.6台をずっと続けていると思います。1.08まで上がってきているのはパートタイマーとか派遣等、いわゆる非典型の人たちの拡大再生産が続いているという、そのことがさっきの6番目の給与のカーブにも当然かかわってきているわけでございまして、いわゆる低所得層の固定化、拡大化みたいなものが税の関係でどんな影響をトータルで及ぼしているのか、その辺についてもう少し突っ込んだ分析をしていただきたいと思います。

それから最後に、かつてどなたかからお聞きしたのですが、法人税の実効税率をめぐる議論がいろいろありますと。国民負担率の側のデータを見ると、さっきどなたかからご指摘あったように、こんなことなのという何かチグハグさみたいなものも感じるわけですが。財務省の方でシンクタンクかどこかにご依頼になって、条件を一定にして、同じビジネスモデルを同じような環境の中でそれぞれやったときに、それぞれの国でどういう実効税率になるのかという調査をおやりになっているという話をかつて聞いたことがありましたが、それがもうできておったら、その結果、内容をお教えいただけないかと。

これも実効税率、さっき他の委員もおっしゃったように、アジアと比較するのはどうかなという議論も私どもしないでもありませんが、ですから、法人税の実効税率をめぐるデータの整理の仕方については、やはりその都度その都度妙な数字が出てくるみたいな不信を持たれている面があるのではないかと。そういう意味ではぜひその辺の整理をお願いして、もしそういう調査した結果がもう出ているなら、どこかで教えてほしいなと思います。

委員

今の点につきましても、事務局と、それから今回委員にご就任していただきました皆さんのご協力、あるいは外部の方々の助力も含めて、少し包括的に検討する機会を来年始まりましたすぐにでも、新年でやりたいと思っておりますので、ここはまだ暫定的な今の状況の中で、実効税率等の部分、事務局、今の質問に対する答え、暫定的に持ってますか。

事務局

資料につきましては、もちろん、会長とも打ち合わせの上で、できるものは極力提出するようにいたしたいと思います。

それから1点だけ、今日ご説明しております実効税率の水準の表と、それから国民負担の内訳としての法人所得税の負担、これは基本的には課税ベースを、実効税率のほうは表面税率、地方税と国税だけの税率だけを総合したものでございますが、負担となりますと、根っこの課税ベースを考えなくてはいけないわけですが、その課税ベースを含めたものが国民負担率のほうの数字にあらわれているものですから、そこに基本的な違いがあろうかと思いますが、いずれにしても、いろいろご要望ございましたので、改めてちょっと会長とも相談させていただいた上で、できるものはなるべく対応したいと思います。

事務局

ちょっと補足させていただきますと、今局長から申しましたとおり、課税ベースの違いということで、先ほど日本とドイツの違いということでご指摘いただいたわけでございますけれども、この資料に使われている日本の課税対象となっている法人数というのは約250万社でございますが、これに対してドイツが約72万社ということでございまして、課税対象の数が違うというのが一番大きな違いでございますが、またその辺整理してご説明させていただきたいと思います。

委員

事務方にも努力していただいて、我々も、専門家の方々も多くいらっしゃいますので、精度を上げる、そして世の中にきちんとしたインフォメーションを与えていくということを今後努力するということでよろしくお願いをいたします。どうぞ。

委員

今お答えがあったので、それでよろしいだろうと思いますけれども、負担率が低くて、しかし税率は高いというのが一見矛盾のようですが、先ほどのように、課税される納税者の数が違うとか、それから課税ベースでこれは極端に違うと思いますし、それからもう一つは課税漏れが起きているということの3つが原因だと思います。

そのときに非常に重要なのは、例えばドイツが法人税を25%に引き下げる。しかし、同時に付加価値税上げるのと、それからもう一つは、オルタナティブにうまくタックスを入れるという動きに出たわけで、アメリカもそうですし、損失の利用についてある程度制限を、制限と言ってはいけませんが、租税特別措置のあまりに乱用的な利用とか、それから損失を人為的につくり出してどうのこうのという動きに対応するために、一定程度のそれに対応措置をとるというのは、これこそ世界的な傾向だと思いますから、その中で一番効果が高い、しかも執行上問題が、要するに国税にあまり負担もかからないし、納税者にも負担がかからないのはオルタナティブミニマムタックスのような考え方だと思いますので、その発想について簡単にご説明いただいて、あと、アメリカ以外の国でどんな感じでというところについて、簡単な整理をわかりやすく、やたら複雑な制度のものですからわかりやすくできるかどうかわかりませんが、ポンチ絵で示していただけたら議論の参考になるのではないかと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

全体に関して3点ほどお話をしたいと思います。今後議論をしていくときに考えるべきポイントの1つ目は、財務省さんのつくられた資料の13ページとか22ページに大きな考えるべき要因というのが挙げられているのですが、その中に資源の問題とか環境というのがあまり入ってないのですが、当然、今後の成長ということを考えていったときに、長期的にサステイナブルな成長を遂げていかなければいけないということは非常に重要で、しかも高齢化、少子化ということで、いろんな意味で生産性、効率を上げていかなければいけないと。

環境の問題というのは、どちらかというとその企業にとってコストというふうにとらえがちなのですが、それをうまく有機的にして、サステイナブルな成長をきちっと促すような何か仕組みがつくれないかということを、重要ではないかと思います。

それから2点目ですけれども、国税と地方税のバランスをどうしてもディスカッションしていかなければいけないというときに、前回も多くの方が、税制の議論に関して説明をしていく、開示をしていく、それで国民に納得してもらうということの重要性をご指摘され、私もそのとおりだと思います。

そのときに、もう一つ考えられるポイントとしては、できるだけ歳出が国民とか現場に近いところで決定されるような仕組みに近づけていくという観点ではないかと思います。当然、税制調査会のミッションは歳入のほうですから、歳出までいじるというのはとても無理なのですけれども、何か関連する項目が出てきた場合には、歳出、歳入を一体化という、一体改革というお話もありますので、できるだけ国民に見えやすい形で使われるような税制改革をしているのだということが心がけていくべきではないかと思います。

それから3点目は、今、格差社会の問題が言われてますけれども、例えば、いわゆる格差というと特にアメリカなんかは日本より大きな格差がありますけれども、それを社会的に1つ補っているのが、高額の所得のある方が寄附をすると。それでバランスさせているというのがございまして、日本ではそういった寄附に対する税額控除というのはかなりまだ制限的なのですが、今後、もちろん22ページの中にNPOとか公共法人制度というのは書いてありますけれども、格差ということを考えた上でもそういうことを考えていってもいいのではないかと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

前回欠席してしまったので、こういった論点が出てしまったかもしれませんけれども、ちょっと本日の資料を見た感想で申し上げたいと思うのですが、最後のほうに、人口動態の総人口の変化が書いてございます。33ページにございますが、私は、今後、税や成長のことを考える上では、この人口動態の変化というのをきめ細かく見ていくことが非常に重要ではないかと思っております。

例えばこれは非常に中長期的な観点ですけれども、短期的な観点に立ちましても、団塊の世代の大きな動きというのがもう早速始まりまして、それがおそらく退職金という形で消費を底上げしたり、または企業の人件費の負担減というような形で企業にも影響してきたり、そういった形で経済成長にかなり影響を与える。同時に、財政面から見ても、どんどんそういった人たちが給付世代になっていくということで大きな構造変化が起こっていくということだと思いますので、そういった、総人口だけでなくて、人口動態全体がどういうふうに変化していくのかというのを注意深く見ていく必要があると思います。

同時に、団塊の世代、ジュニアの人たちというのが、これから例えば少子化対策をとろうといった場合に大きな世代になっていくわけですけれども、それがあまり遅い対応になって、税で対応しようと思っても、それが遅くなってしまってはやはり効果がないですし、そういった動きをきちんと見て議論しておく必要があるのではないかということです。

それから人口動態の中長期的な視点としては、生産人口と従属人口の比率が長期的に見てどのように変化していくのかということも、国民全体の負担のあり方というのを考える上で非常に重要だと思います。保険料なのか税なのか、また所得税、消費税、どのように組み合わせていくのか、そういったことはやはり人口動態とも切り離して考えられるような話ではないので、そういったこともきちんと見ていくというのがやはり非常に重要ではないかと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

前回意見を述べませんでしたので、一言述べさせていただきます。

私、専門は社会保障の中で特に医療の経済分析をしております。アジアの医療制度などについても研究をしております。日本の社会保障に関しては、これはよく言われていることなのですけれども、80兆円という一般会計に相当する給付額があって、医療費はそのうち三十数兆円に上る給付額があると。一方、負担に関しては、今指摘ありましたけれども、税と保険料が混在していて、非常に問題点というか議論のポイントがわかりにくくなっている。ただ、一方で研究の蓄積というのも非常に進んでいますので、できるだけ実証研究の結果などに基づいた論理的な税制の議論を心がけていきたいと思います。

例えばたばこ税の議論などでも、価格の弾力性が一体幾つなのか、もし1よりも大きい場合は、税収というものは上がらないかもしれないけれども、たばこをやめることによって病気になる人が減って医療費は減るかもしれませんし、何かそういった、印象論だけではなくて、ミクロのデータに基づいた実証研究というものが、今蓄積が進んでいますので、先ほど幾つか議論出ましたように、マクロ的なバランスを考慮した国際情勢もかんがみたような議論ももちろん必要なのですけれども、やはりデータに基づいた論理的な丁寧な議論というのを心がけたいと思っております。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

細かい質問で恐縮なのですけれども、国の資料の25ページと地方の資料の15ページを見ていただきたいのです。同じ題名、タイトルで「法人所得課税の実効税率の国際比較」というのがありまして、同じアメリカで、国のほうはネバダ州を持ってきて、地方のほうはニューヨーク市を持ってきてますね。それで、ネバダ州を見ますと、何か日本と比べて、日本はもっと法人税率下げていいのかなという気がするし、地方のほうを見ると、ニューヨークと比べるとそうでもないのかなという気がします。これは別に意地悪な質問ではないのですけれども、どちらを参考にすればいいのか、どうしてこうなったのかよくわからないので、もしよければ教えていただきたい。

事務局

国の資料のほうから説明させていただきますと、アメリカは50州ございまして、各州でいろんな法人所得課税を持っておりまして、税率が全部違っております。そういう意味で、従来、国と地方をコンバインした税率を示す場合には、ニューヨーク州とかカリフォルニア州を便宜使っておりました。国税との比較をするという意味で、州税のないネバダ州を例示して見ていただいておるということでございます。

委員

よろしいですか。この問題については、また本格的な議論をここでやりたいと思いますので、よろしくお願いします。どうぞ。

委員

先ほど、会長から本格的な税制改革論議が年明けからというお話があって、このことに私は異論はないのですが、ただ、足元での来年度の改正というようなところで、法人関係の償却とか、あるいは証券税制とか、そういうことなのかと理解してますが、そういうことを議論するときにも、考え方については少し抜本的なことに我々の答申が踏み込まないと、国民の理解得られないのではないかと私は思います。

具体的には活性化ということなのですが、そのことに私は個人的にはもとより異存ないわけです。しかし、いわゆる活性化のための法人を応援するということは、これは言うまでもなく分配効果を持つ。人によって違うわけですよね、影響は。例えば、どうなのでしょうか、株式を保有しない高齢者の場合、日本の企業が競争力を持つということが自分にとってどういう意味合いを持つのか。自分はもうリタイアしていて上がりだということからすれば。例えば日本の法人が国際競争力を持っていて、したがって、日本の国土の上で雇用も生まれるということであれば、現役世代にとっては、その雇用がなくなるかどうかというのは大変大きな問題ですが、日本の高齢者にとってはおそらく、子供か孫の雇用、子供、孫のウェルフェアを考えるということなのでしょうか。

私が申し上げたいことは、日本の高齢者がセルフィッシュだということをもとより申し上げたいわけではなくて、当然、分配効果を持つということです。証券についても、例えば株式保有というのは、言うまでもなく、比較的高額の所得者に偏った金融商品である。こういうことですから、私自身は、法人、日本の企業の国際競争力が大切だと、もとよりそのとおりだと思うのですが、それに対する私自身の個人的な考えは、分配面を考慮したとき、不況もそうですが、経済の停滞というのは極めて逆進的な現象なのですね。

つまり、そのインシデンスというのは比較的所得が低い人たちに帰属する現象であって、マクロ経済全体が停滞するということは、所得という面で言えば比較的低所得の人たちにそのいわばしわ寄せがいくということですから、したがって、国際競争力を持つというのは、いわゆる勝組をつくるため、そのためというよりも、むしろ分配面でもいい効果を持つというのが私自身の個人的な考えですし、またアメリカ等についてはそういう実証研究もたくさんあるのですが、おそらくこの税調で法人を筆頭とした経済の活性化ということを言っていくためには、例えばということですが、私が今申し上げたようなことを少なくとも考え方として世の中に言っていかないと、法人を後押しする、さて証券税制はどうするか、そのようなところだけを、なぜ今のタイミングでそこだけをあれするのかというのは国民の理解が得られないのではないか。

そういう意味では、細かい消費税がどうこうということはともかくとして、大きな税というものの考え方について、なぜ年度内、来年度ですかね、年内に足元でこのような税制改正をする必要があるのか、またこういう結論を我々出すのかということについて考え方だけは少なくとも整理して、また、できればその傍証のようなものも用意しておくべきではないかなと私は思います。

委員

非常に重要な論点をご指摘いただきました。我々、次回からグループ・ディスカッションということで、途端に今のような格調高いお話から各論に入っていくわけです。減価償却をどうするのだとか、いわば生々しい話に入っていくときに、総論のところでやはり、今の委員の話もございましたし、先ほど他の委員がおっしゃったことも実は、法人のところをどういうぐあいにいじるかによって分配構造がどう変わるのか、そのような、あるいは帰属を将来どのような形で国民各層に利益、あるいは負担というものが及んでいくかということはきちんと整理しながら言わなければならないわけで、これまた起草委員を中心にしながら、今のご指摘も踏まえながら、傍証までというのは、もうすぐにというのはちょっと私もつらいなと、汗をかけといって冷や汗をかくような部分になってしまいますので、ちょっとそれは本格的には正月明けから精力的にやりたいと思いますが、メッセージ性、わかりやすさということが、総会のところでも、政府方面からも指摘されておるわけでありますので、ぜひ皆さんのお知恵をおかりしながら工夫をしていきたいと思います。どうぞ。

委員

今の委員のおっしゃられたことは非常に私も同感でございまして、前回の総会、初回の会合でも申し上げまして、課税哲学、課税の考え方ということをやはりベースに据えないと、短期的な、来年度改正を意味づけができないのではないか。そもそも法人税の税制における位置づけについて、これは専門の先生方もいらっしゃると思うのですが、シャウプ税制、あるいはシャウプ勧告のもとにおける包括的所得税という中での源泉徴収的な機能としての法人税の考え方、いわゆる統合的な考え方というのでしょうかね、そのような考え方から、竹下税制改革で配当の経過措置も廃止されて、いわゆる絶対的な法人税というような位置づけになってきていると。そういうときに、じゃ法人税のそもそも存在意義がどこにあるのかということについて、やはり私たちはもう一回考えておく必要があるのではないか。

そういう点でいきますと、税制改革の大きな流れは、これはご案内のように、総合所得課税の方向にいこうというような考え方と、支出税型の方向にいこうというような2つの大きな、カーター報告初めミード報告、いろいろな諸外国の研究、あるいはそういう委員会のアウトプットも出ているわけですね。そうしたときに、今回のいわゆる加速度償却なり初年度の全額償却というような特別償却制度の意義づけをどうやってするのかというと、包括的所得税の考え方からすると、やはりこれは原理原則に反するのではないかという考え方になるわけですが、いわゆるミード報告の中でも議論されましたキャッシュフロー法人税というような一つの理念形に近づくという観点からすると、企業会計原則とはちょっと別で、いわゆる税務会計、あるいは税法上の減価償却制度のあり方論としては理論的にはあるのではないか。そのようなことをどうやって考えていくのか。それは当然に、個人の支払い能力に基づくベースの税制にも影響を及ぼす。

こういう点でいくと、やはり帰着分析ももちろん重要な――帰着分析というのは、先ほどの委員が言われたインシデンスの話で、税制を変えることによってそれぞれの国民各層がどれだけ利害得失が生ずるのかということについての分析は必要なのですが、そうした損得勘定ではなくて、これは塩崎官房長官のご発言の中で、明るい改革論議をしたいと。これは新たな負担を求めないということではないのではないかと。どの程度の期間で税制改革の方向性を考えていくのかといったときに、これから21世紀の税制のあり方として、憲法論議もあるように、シャウプ税制の考え方で、それをベースにした修正、修正、修正を加えてきた法人税の考え方でいくのかどうか、この辺を考えていかなくてはいけないのではないか、このように思います。

長くなって恐縮です。

委員

では、どうぞ。

委員

すみません。体系的な意見を述べてなかったものですから。

まず国際競争力についての問題点をよく考えて議論する必要があると思うのですね。それは何かといいますと、今、法人所得課税だけの比較で議論してますが、法人のトータルな負担がどうなっているかというその実態を見た上で国際比較しないとナンセンスなのですね。例えばフランスなんかは所得課税は低いと、こうなってますけれども、賃金税がありますよね。賃金税入れてくると非常に負担が重いのですよね。それに耐えてきているわけです。

そういう企業負担の比較をしないで、単に法人所得課税だけの負担比較をして競争力を議論するというのはおかしいのではないかという点をトータルに、例えば日本の企業でも、景気が悪かったころは、財界も含めまして、雇用負担が大きい大きいと。その雇用負担の大きさの正規雇用ができない理由の一つに、社会保険料の負担まで言っていたわけですね。今あまり言われなくなりました。それは先ほど委員の指摘されているような雇用の構造が少し変わってきているということもあると思いますが、耐えられるからだと思いますね。逆に言いますと。ということは、そういう全体的な企業負担のあり方の是非を議論しないで、単純に法人所得課税の比較だけをして、競争力の云々というのはいささか分析が足りてなさ過ぎるという話になり得るなあというのが1つです。

それからもう一つは、これは他の委員もご指摘されたのですが、いつも競争力言うときに、韓国の企業がどうだ、台湾の企業がどうだ、シンガポールがどうだ、中国がどうだという議論をされるのです。それで先進国なんかの議論、されないのです。日本がそういう中国だとかシンガポールだとか台湾だとか韓国の企業と比較する是非をやはりきちんと議論しておく必要がある。物差しは何なのか。そこの点を抜きにして、単なる実態負担だけの議論をしてもらっては困るということを申し上げたいと思います。

3番目は、これはよく言われることですが、これは経産省ですが、地方法人課税があるから法人税を高くしてという議論をされているようなのですね。そんなナンセンスなことないので、もし法人の活動が地方で行われてないなら、そういう議論されたらいいと思いますが、雇用にしても、工場立地にしても、すべて法人の活動は地方も含めて行われているわけですから、それは国税、地方税、法人課税、どう配分するかという議論を適切に行うべきであって、一方的に地方だけに、おかしいのだというような指摘をされるのは、まあまあちょっとおかしな視点だろうと思いますね。それが1番です。

それから2番目は、格差の問題に関連していろんな税制上の問題が出ます。これは、私も前の税調でも指摘した話なのですが、老年者控除をやめるとか年金控除を縮減するとかしたことに伴って、税負担が、特に住民税の負担が急増しました。例えばある人なんか、もちろん、0から1万円になったといっても大変な負担ですけれども、1万円の人が10万円になったとか、こういう状況が現に出てきて、市町村の窓口はものすごい混乱しました。それが税だけの話ではなくて、社会福祉だとか、それから医療費の負担だとか、あるいは介護保険の負担だとか、障害者のサービス料の負担だとか、あらゆるところにずうっと伝導していくので、そこのところをやはり見ていかないと、税だけの、税の論理を貫徹すればいいという形だけの税制調査会での議論の仕方というのはいかがだろうかと思っております。

そういう中でいろんな格差論に関連して視点があると思っております。例えばCSR、企業の社会的責任に関連してご指摘がありました給付税制度をどう考えていくか。あるいは年金のあり方と課税の問題、非常に複雑なのですが、非常に重要な問題なのですね。これはほうっておけない。それからやはり証券等の配当課税は、今までは所得課税のあり方について、おっしゃいましたように、総合課税の方向をずうっと目指してきたと思うのですが、いつのころからかやめちゃっているのですね。本当にそれで正しいのかどうかという議論をきちんとしないと、格差をそのまま容認させるのかということとつながってまいりますので、その点も重要。

それから相続税です。相続税の負担がべらぼうに低くなってしまう。いつの間にやら。それはバブルのときの問題点を税制で解決しようとしたからなのですが、バブルが終わってからも同じ制度がそのまま続いている。その辺の問題点があります。これは格差という観点できちっと考えていく必要があると思います。

それから地方税のことを触れないわけにいきませんので、あまり詳しく言いません。課題として幾つかのポイントがありますが、1つはやはり、地方税への配分をどの程度とするか。私は、地方分権強化するためには配分を増やすべきだという主義なのですが、ただそのときに、東京都にばかり税金がいっても困るのです。ですから、その辺の地方税の配分と地域格差の問題をどう解決していくかということが非常に重要です。

それと、税収によっては、1人当たりで見ていただく、あの比較はあまり正確ではないのですけれども、1人当たりで見ていただいてもかなりの格差のある税目とそうでない税目があります。地方が現実に徴収する税目はできるだけ格差少ないもの。そして、交付税のように、プールにした上で配分するものは格差があってもいい。こういうタックスミックスを十分検討していく必要があるのではないか。

それから3番目は、といっても、地方税源だけで地方はやっていけませんので、地方交付税が非常に大事だということをまた強調させておいていただきます。

それから4番目ですが、もう一つここで重要な問題なのですけれども、競争力強化のインセンティブ効果が自動的に地方税に及んでしまっているのですね。今の所得計算上。私は、そこに地方のインセンティブがある程度入れられるような仕組み、構造というのをぜひ検討していただきたい、このように思っているのです。提案をしてももちろん結構なのですが、今はもう条例で操作できる余地がほとんどありません。条例で議論したからといっても追随をしているというのが普通です。したがって、構造上、例えば税源配分が6:4だったら、4部分は地方に一定の考え方で検討せよという基準をつくった上で、しかし、若干の地方の実情に応じた対応ができる、そういう配慮をぜひ制度として考えていただきたい、このように思っております。

委員

その話は、私は実は正月明け、各委員から、自分のお立場からそういう提案をしていただくような機会をつくって、きちんと議論するような舞台をつくりますから、今日はほかの方々もちょっと、時間がまだありますので……。

委員

ほんのちょっとです。あと、先ほど他の委員からの課税ベースの議論は同じだと思うのですが、国税、地方税ですね。法人関係税。さらに地方の独自性どこまで出すかという問題だと思います。

それから最後に、減価償却の議論に当たって、それこそ所得課税上の減価償却上の配慮と、それから固定資産税等の物税における価値をどう見るかという問題とは別だということはぜひご認識をしておいていただきたい。

委員

時間がもう来ておるのですが、今日まだご発言いただいていない委員に、やはり一言ずつちょっと今日はお話をいただければと思いますので。神野代理から最後締めていただきますから。右からでも左からでもどちらでもいいですけれども。

それでは、どうぞ。

委員

先ほど来、課税哲学というお話が出てますが、それはまた来年きちっとと会長おっしゃいましたけれども、19年度税制改正に当たってどういう方向でというか、一応そういうものだけは示していただきたい。その中で、今、格差の問題というのがやはりかなり起こってきておりますし、今、成長重点でかなりやられるということは、逆にいえば格差が当然拡大していく可能性もあるわけですから、先ほどどなたかからもご意見ありましたけれども、この辺をしっかり押さえていただきたいということと、それから今かなり意見出ました中で費用対効果というような話が出ておりませんけれども、徴税の費用とその効果という点も見逃してはいけないのではないかなと、そんなふうに思います。

ちょっとまとまってませんが、とりあえずそれだけ。

委員

ありがとうございます。それでは、どうぞ。

委員

3点あって、全部にお答えいただかないと思うのですけれども、1点は、1971年に児童手当が導入されたときに、やはり子育ての問題が非常に意識されたと思うのですけれども、税でやれることと、それから児童手当でやれることが効果はちょっと違うということがよくイギリスなんかでも議論されていたかと思います。ですので、保育所の補助金の問題もあるのですけれども、そういう少子化対策の中で税ができること、あるいは有効性ということを非常に考える必要があるのかなというのが1点です。

それから課税哲学というお話があったと思うのですけれども、一般の市民からすると、歳出削減、もうこれ以上できないのという議論が必ず出てくると思うのですね。ですから、歳出削減でもやはり無理なのだということを、なかなか難しいと思うのですけれども、かなりメッセージ性としてはそれを高くする必要があるのかなと思います。

それから今日資料でびっくりしたのが、イタリアの赤字、債務残高がわりあい抑えられていたというのでちょっと勉強不足だったなと思うのですが、なぜそれが可能だったのかということで、多分、歳出削減というのがかなりあったのかなと。だとすると、どういうふうなそこからの知恵がいただけるのかなということ。

3点、疑問と意見です。以上です。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

ちょっと関係ない話になるかもしれませんが、今日のアメリカの中間選挙の結果を見ていてちょっと感じたことなのですが、政府と民意とマーケットとの関係なのですが、もう改めて申し上げることもないですが、イラク戦争に対してストップをかけたいという民意が選挙の結果にあらわれたら、それに対してマーケットはものすごく白けているというか、冷静というか。つまり、民意はやはり政府に何らかのメッセージとして与える、国民が訴える、国民が求めるというものがあるのでしょうし、それに対して政府が何らかの反応というか、するのでしょうが、やはりマーケット、つまり、経済とかいったところは、何か恵まれた人たちだけの一つの格差の象徴的なものがあるのかなと。

ですから、今日他の委員からのご指摘にあったように、確かに持続的な経済の回復というのは数字にあらわれておりますけれども、それが果たして国民全体に、賃金だ、あるいは雇用だ、生活上の例えば最終消費の伸びだとかいう実態に必ずしもあらわれているのかどうかというのが、実際に数字として伸びていたとしても、国民の実感というか、感情として、生活感としてあるのかどうか。

そこへもってきて、法人税の減税、あるいは法人税に対する、あるいは法人とか企業、経済に対する優遇措置に偏ってしまう、あえて偏ってしまうような印象を与えてしまって、なおかつ選挙後に消費税の上げだとかいう話になった場合に、果たしてどこまで国民が納得するのかといったことをどうしても考えざるを得ないような、象徴的なアメリカの中間選挙の結果を見て私はそこまで見てしまったのですが、その辺あたりが、数字とかそういったものをもし提示していく上では、国民にどこまで納得ができるものとして材料として提供できるかということが税制改正を成功させる大きなポイントだと思いますので、その辺は心していかなければいけないなと私自身も思っているということです。

委員

ありがとうございました。どうぞ。

委員

資料をいろいろ見せていただいているのですけれども、1つ、グラフのところで私がちょっと理解できないのが、対前年比で出ているところとそうでないところがあるのですが、この対前年比と言ったときには、例えば賃金の対前年比の伸び率というと、前年上がっていて、また今度何%か上がっているというのと、基準年を置いたときの賃金の比率というのは何かちょっと違うのではないかなあと。それをどのように理解すればいいのかというのが、私、ちょっと専門家でないものですから苦しむところがあるのですね。

それからあと、こういうのを出していただくときに、先ほども出てましたが、ミクロ的な数値と、それから日本全体のマクロ的な、その中で法人による税が幾ら、個人が幾らとかいう、それからあと資産課税、消費課税、それから所得課税等と。で、必ず国際化を問題にするのだったら外国との比較。その外国が欧米なのかアジア圏なのか、先ほどもいろいろ問題あったようですけれども、そのような形で、常に過去の要するに時系列と、それから日本の中におけるマクロ、ミクロと、それから外国とというような形で、ちょっと素人にわかりやすいような形で出していただけるといいなと思います。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

先ほど私が申し上げたいことをすっかり言っていただいたものですから、その部分は省略したいと思うのですが、私たち国民にとって、経済活性化というのは、これはもう絶対あってほしいと思うのですけれども、その一方で、経済界が活性化することによって見返りを得る人と、そうではない人といると。これはおっしゃるとおりで、中で高齢者というのは働きたくても働けない。収入というのが出てこない。そうすると、そちらへの見返りというのがどのぐらいのタイムラグがあるのかなあと思うのですね。それはもうタイムラグとかなんとかではなくて、せっぱ詰まっているのではないかなと思いまして、ぜひとも高齢者がこれ以上隅っこに押しやられないような配慮をしていただきたいなと。今日の11ページにマルが3つ並んでますけれども、この一番最後の「安全・安心で柔軟かつ」、ここに最大の期待を持っていきたいなと思ってます。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

法人税につきまして、直近の大きなテーマだと思うのですけれども、大前提として、私も、先ほどの委員がおっしゃられた話はまさにそのとおりだと思っておりますので、その大前提は大前提とした上で、私自身が、小さい会社ながらも、日本以外に、中国、韓国、シンガポール、台湾、それからアメリカとヨーロッパに現地法人を持っております。分配効果を期待しつつ法人税を改革していくに当たって、やはり実効性のある内容をどうやって検討していくのかというふうに考えたときに、例えば本日の資料なんかで、法人税率の国際比較というような資料をよく見せていただいて、ここはまさに委員がおっしゃったとおりで、企業経営者の側からすると、法人税率を見て物事を決めるのではなくて、それを実際幾らになるのだという金額にして、幾らの投資をして、幾らのリターンをして、どういうふうにまたそれを次の投資につなげていくのかというような考え方をするのですね。

ですから、法人税率を見て、日本と同じぐらいに見えている中国が、実は一番ホットな地域に行くと、地区ごとに大変な優遇税制がある。しかもその優遇税制は3年ですとか5年ですとか期限つきですので、ものすごく、日本では考えられないような超大規模な工場が、5年の期限が切れるという理由で簡単に大規模な工場を別の場所に移してしまう。こういう現場感覚をぜひ議論の、グループ・ディスカッションの中などで反映させていかせていただきたいなと思っております。

委員

ありがとうございます。どうぞ。

委員

特に発言ということではないのですけれども、やはり歳入のことを考えて、さっき委員からも出ましたけれども、歳出の問題、これは徹底的にやはり追及していかなければいけないと。どうもそういう点では……。この間もマスコミにも出てましたよね。地方で、出勤もしてないのに賃金払われていたとかね。そういうことが許されていていいのかという問題もあるしね。教育の問題もしかり。東京都なんか、17人に1人の教員がいるような多くの教員を抱えてながらろくな教育してないとか、どうもそういう点においても、もっともっと歳出面を突っ込んでいかなければいけないということと、やはり経済の活性化によって税収を上げるという、これはもう非常に大事なことであるし、またグローバル化ということになってくると、最近、移転価格税制の会議だとかいういろんな問題が出てましたね。ああいうことができるだけ起こらないようにするにはどうするのかということもやはり突っ込んでいかないといけないと思いますので、できるだけ税率というものを並べるような方向に近づけるにはどうするのかということも必要だと思います。

それからあと、相続税が下がったからどうのこうのという問題もありますけれども、中小企業にとっては相続税というのは非常に負担が大きくなるわけですから、そういう点はやはりむしろもっと下げてもらいたいと考えてますので、その辺もご考慮をお願いします。

委員

ありがとうございます。先ほどから反論したそうな雰囲気になってますが、アジアとの関係、どうぞ。

委員

いいえ、反論というよりも、前回申し上げたのですけれども、税制というのは国民のエネルギーをどっちに導くかということだろうと思うのですね。ですから、税の簡単な数字だけの単純な比較をしていてもしようがなくて、この税制は細かいところで、今もいろんな話ありましたけれども、どういうことを誘導しようとこの国の人はしているのかということ、そういうことがちゃんと伝わるようにしないと、あっという間に空洞化、もうかなりしているのですけれども、ここはすごくポジティブなメッセージがあるのですけれども、実態はかなり危機感を持ってまして、そういうことに対してちゃんと歯どめをしていけるようにしないと、だから、単純なアジアとの比較ではなくて、アメリカはなぜあのイノベーションができているのかというのをよく研究したいですよね。アジアとの比較、アメリカの比較を、ワーキンググループでの議論になるかもしれませんが、そういうことでございます。

委員

ありがとうございます。それでは、代理、お願いします。

委員

申しわけありません。私、前回欠席してしまって、会長のお話をお聞きしていないので少しトンチンカンになるかもしれませんが、1つは、先ほど来委員がご指摘になっていることを私なりに敷衍いたしますと、私たち、税制を議論する者はいつも、効率と公平性をいかに融合させるかということに腐心してきたわけですね。経済を活性化させるという意味でも、この2つの価値基準をいかに融合させていくかという視点が欠かせないだろうと思います。

もう一つは、部分ではなく全体をというのでしょうか、ジグソーパズルの一つのところだけを見ていると全体の図柄が見えなくなってしまうということがございますので、一つの税をいじる場合でも、全体に踏み込んでいじるかどうかは別として、全体の図柄の中でどう位置づけるかということが重要ではないかと思います。

法人税も、先ほど来指摘されておりますように、社会保障負担、つまり、支払い賃金に対する負担がどうなっているのか。それから一番重要なのは個人所得税とどういう関係にあるのかということなどを含めて考えなければならないのと、あと、国民所得に対する法人利潤の比率がかなり違いますので、これは当然、単純に割ってしまうと違ってくると。

それから、ちょっとこれも余談なのですが、私の記憶に間違いなければ、国民負担率というのは利用料が入ってないですよね。利用料、手数料といいますか、手数料、使用料。あれがアメリカの場合にはかなり大きいので、国民負担率を入れて逆に定義し直すとかなり図柄変わってくると。ただ、税のように、みんなであまねく負担するのか、利用している人たちが負担するのかということが違い出てくるので、そこは大きく考えなければならないと思いますが、いずれにしても、全体性を見忘れないように議論していくことが重要ではないかと。

それから経済の活性化をするときに、3番目ですが、税を使うという、税の減税措置みたいなものを使うということであると、他の様々な手段、例えば補助金を出すとかいう手段とどのように効果が違うのかということも考慮しないといけないのではないかと。特にこれからのイノベーションとか新しい産業の創設とかいうことになれば、重化学工業ではない産業分野に入りますので、重要なのは人的投資ですよね。これは歳出でやるのかを含めて、租税を利用するのにどういう利用の仕方があるのかというのは重化学工業においては違うので、重々考慮しながら考えていく必要があるだろうと。多分、競争といってもまだないもので勝たないといけないので、既存の産業というよりも、まだない産業をいかに伸ばすのかということが重要になると思いますので、手段も少し考えていく必要があるのではないかと。

以上、3点ぐらい。

委員

ありがとうございました。時間が超過してまことに申しわけございませんでした。今後議論すべき要点がかなり明確に皆様のほうから出していただけたと思っておりますので、これをまた反映させながら質の高い議論に結びつけていきたいと考えております。

ただ、この後2週間ぐらいで、来年度税制改正において我々も答申をしなければならないと、こういう宿題を、我々、えらい早く出さなければいけない形になっておりまして、発足したのが11月7日で、答申を出すのが11月末だと、こういう非常に過酷な作業を我々に求めておりますので、その際に、方向性としての税制改革の考え方と今年取り上げるテーマとの関係づけ、ここら辺のところを少し工夫をさせていただきたいと思いますし、いろいろお知恵を拝借させていただきたいと思っております。今後それを精緻化して、根本論に立ち至ったリポートというものを、来年、我々、まとめていくということが本格的な宿題に対する回答になろうかと思いますが、ぜひこの2週間ぐらいの間でいろいろお知恵をおかりさせていただきたいと思いますので、作業の段階におきましても、ぜひご協力のほどお願いいたしたいと思います。

それで、まことに生々しい話に戻ってしまいまして格調低くなるということを、あえて私、ここで申し上げなければならないと思いますが、19年度改正に関する審議をこれから行っていくわけでありますけれども、その際に3つぐらいの分類があろうかと思います。1つは、期限を迎える税制措置の取り扱い。これは金融、証券税制などというのはその典型、10%優遇をどうするのだというのは今年結論をまずやらなければいけないテーマで、ここに対する議論の整理の仕方、それからほかの制度、これは信託法とかいろいろ法律の分野でグローバルスタンダードにあわせるというような観点から法改正がなされているわけでありますが、こういうものについてどこまで我々が税として年度改正において議論しておくか、こういうことが第2番目。

それから今日ご議論の主流になりました経済活性化に向けた喫緊の課題、これは方向性を見据えながら、じゃ来年どうするのだという部分でございます。減価償却なんかもこの問題に入ってくるということでございますので、こうしたグルーピングをグループ・ディスカッションとして、今の分類に従ってやらせていただきたいと考えています。次の3回をそのような形で、期限を迎える税制措置の取り扱い、それから制度の改正に伴う税制上の対応、経済活性化に向けた喫緊の課題と、こういう形でやらせていただきたいと思います。

そのグループ・ディスカッションについてでありますが、第1回目は、先ほどの国民生活に関係する税制の部分を、証券税制でありますとか個人住民税でありますとか、あるいは納税環境の整備等に関して、11月14日火曜日、午後2時から4時まで開かせていただきたいと思います。それから第2回目は、ほかの分野における動きを踏まえた信託税制、三角合併、国際課税等を中心にする論点について、11月15日の午前10時から12時まで開催させていただきたいと思っております。それから第3回目は、企業活動の経済全体の活性化などについて、減価償却制度を初めとする諸課題について、11月21日、午後2時から4時まで、会議を開催させていただきたいと思っております。

それから、その進め方でありますけれども、新税調はチームワークよく、全員参加型で汗をかくという精神に基づきまして、ぜひ皆様方の積極的な関与をお願いしたいと思っておりまして、第1回目は井堀委員、第2回目は中里委員、第3回目は田近委員にそれぞれの議事の進行と会議後の記者会見をお願いをいたしたいと、こういうぐあいに考えております。

それから内容にかなり広範な、あるいは制度的な問題もございますので、各回の議事が審議時間として長くなっていく可能性もありますので、ぜひその辺のところについても覚悟のほどをお願いいたしたいと思っております。今日またいろいろ税調の運営の仕方についてもご意見をいただきました。

どうぞ。

委員

ロジの関係なのですが、できれば、まだ固まってなくても、12月の頭ぐらいまでの予定日みたいなものがもしあるのであれば、できるだけお知らせいただけないでしょうか。これはもう皆様共通のあれだと思うのですが。

委員

ありがとうございます。その点、事務局のほうからしっかりと情報をインフォームするように、私のほうからも指示を出しておきますので。

委員

できるだけ早い段階でお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。

委員

わかりました。

委員

今3つに仕分けされたけれども、例えば財政審は、道路財源の財源化に向かって暫定税率をそのままにするしないは財政審の役割ではないと、それは税調の役割だと言って、西室さんはそういうふうに暫定税率問題、コメントされているわけですが、その辺はどこでやるのですか。

委員

今私が例示として挙げました問題以外に、今ご指摘のとおり、特定財源の問題も重要なテーマでございます。わりと今まで、特定財源は支出のほうの問題として歳出面で議論されることが多かったわけでありますけれども、私も事務方と相談している段階で、特定財源の問題についても触れなければいけないよねというようなことを申し上げておりますので、取り上げるべき項目につきましても前広に議論していただければと思っておりますので、ぜひ遠慮なくご議論をいただければと思います。

それで、今後の運営の仕方についてもいろいろサジェッションいただいたわけで、私の考えをもう少し後ろにやろうかなと思ったのですけれども、いろいろなご議論がございますので、早くこういうような形でやりたいということを、新年明けのやり方も含めて、私のほうから時間を見つけましてできるだけ早く皆さんにお示しして、またご議論いただきたいと思います。そうしますと、かなりイメージが固まろうかと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、熱心な企画会合でのご議論、ありがとうございました。やはりテーマが非常に広範であったということ、それからいろいろなコメントをいただきまして、30分も超過してしまいましたけれども、これが常態化する危険性もありますので、よろしくお願いいたしたいという具合に思います。

本日はお忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございます。

〔閉会〕

(注)

本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。