年内の議論における主な意見

平成12年2月29日

(注)本資料は、昨年総会に提出された「基本問題小委員会において出された意見」(総38-3の1、総38-3の2、総40-4、総40-5)及び「平成12年度の税制改正に関する答申」のとりまとめに先立って総会(12月7日)に提出された「論点整理メモ」等に基づいて作成されています。年内の総会及び基本問題小委員会において出された意見を、今後の検討の便宜のため、掲載したものであり、税制調査会としての意見を集約したという性格のものではありません。

個人所得課税

(個人所得課税の基本的考え方)

  • シャウプ税制以来50年が経過し、所得税の負担は国際的にも低い水準となっている反面、課税ベースが相当狭められている。もう一度、原点に立ち返った議論が必要ではないか。
  • 21世紀の税制を考えれば、税率構造のフラット化と課税ベースの拡大を行うべきではないか。
  • 所得税の税負担は低下してきているが、所得再分配等の機能は重要であり、税体系の柱としての所得税の地位は維持すべきではないか。
  • 今後、消費課税の充実は不可避であるとすれば、その場合、所得再分配機能を有する所得税や相続税等の役割はますます重要になっていくのではないか。
  • 人口構造や経済成長の変化の中で、税体系が直接税から間接税へシフトしてきたが、これを踏まえて、所得課税のあり方を議論すべきではないか。
  • 所得課税や法人課税の減税は既に限界に達しており、今後は、直間比率是正のためといった観点から減税するという議論は成り立たないのではないか。
  • これまで所得税・住民税については、減税を繰り返してきているが、これをいかに本来の姿に戻すかを考えていく必要があるのではないか。
  • 所得税、法人税等の直接税にどのように負担を求めるかについては、財政赤字の解消や福祉財源の確保を、全て消費税によって対応することは困難であることも踏まえて検討する必要があるのではないか。
  • 少子化や高齢化に対して、フロー(所得)だけでなく、ストック(資産)等も含めて、税制全体としてどのように対応していくべきかを幅広く議論すべきではないか。
  • 所得課税の税負担を考える際には、社会保険料の負担も考慮する必要があるのではないか。

(各種の所得)

  • 給与所得控除は、平均で収入金額の3割程度の水準となっており、諸外国と比較しても手厚く、日本独特のものであるため、思い切って見直す必要があるのではないか。
  • 給与所得控除を見直す際には、公的年金等控除等他の控除のあり方や税率構造など全体の税負担のあり方の見直しも合わせて行うべきではないか。
  • 給与所得控除や退職金課税は、雇用の流動化等の勤労形態の変化を踏まえて見直すべきではないか。
  • 給与と事業など、各種の所得の間には、いわゆるクロヨンの問題が指摘されていることについても留意する必要があるのではないか。

(控除)

  • これまで様々な世帯類型に応じて控除の数及び加算措置を増やしてきたことによって、制度全体が複雑になってきている。個人所得課税の抜本的見直しの一環として、簡素化等の観点から、控除のあり方を見直し、整理すべきではないか。
  • 控除は既得権益化しやすく、見直しは容易ではないが、社会経済の変化や制度の歴史的な経緯を踏まえ、考え方を整理して見直すべきではないか。
  • 控除のあり方については、納税者の税負担能力等にも配慮して、各種の控除ごとに趣旨、水準などを十分に吟味すべきではないか。例えば、年齢要件のみの控除等、所得や支出・負担の多寡と無関係な諸控除をまず整理すべきではないか。
  • 控除のあり方を検討する際には、世帯構成の変遷について留意する必要があるのではないか。また、これまでのように夫婦子二人の標準世帯のみではなく、夫婦のみの世帯や独身者にも着目して考えるべきではないか。
  • 課税最低限については、課税最低限の水準をどう考えるかという観点とともに、課税最低限を構成する各々の控除のあり方をどう考えるかという観点の2つの観点から検討する必要があるのではないか。
  • 政策上の配慮の手法として、所得控除等の税制面からの手当てと歳出面からの手当てを比較する場合には、税体系全体の中でのバランスとともに、所得分配面への影響の違いに十分に留意すべきではないか。
  • 配偶者控除や配偶者特別控除は、女性の社会進出への中立性の観点から、縮減すべきではないか。
  • 配偶者控除は、女性への配慮というよりは、むしろ独立した働き手としての女性の信用力の低下につながっており、問題ではないか。
  • 配偶者や扶養親族といった世帯類型に応じた税制面での配慮は必要ではないか。
  • 配偶者控除は、生計費への配慮という観点から設けられているものであり、多数の世帯に適用されており定着していること等からしても、現行の水準を縮減する必要はないのではないか。
  • 世帯構成等に応じた配慮は必要としても、現在の扶養控除は複雑に過ぎ、簡素化すべきではないか。
  • 現在、控除制度が複雑なものになっており、個人所得課税の抜本的見直しの一環として、簡素化等の観点から、そのあり方を見直すべきではないか。
  • 扶養控除については、児童手当との関連で議論があるが、基本的には個人所得課税の枠組み全体の中で考えるべきではないか。

(年金税制)

  • 年金課税のあり方は、多様な年金制度全般の見直しと関連して議論し、適正化を図るべきではないか。
  • 年金課税については、貯蓄との関係をきちんと整理すべきではないか。
  • 公的年金等控除については、その水準だけでなく、対象をどうするかということも含めて見直すべきではないか。
  • わが国の年金税制は、拠出・運用・給付の各段階において実質非課税となっており、その適正化を図るべきではないか。特に公的年金等控除については、世代間の公平の観点から、その水準はもとより、対象をどうするかということも含めて見直すべきではないか。

(金融税制)

  • 本年、有取税等の廃止とともに、申告分離課税への一本化といった株式等譲渡益課税の適正化が行われたが、これに伴い、これまで申告になじみのなかった納税者に配慮して、何らかの対応が必要ではないか。
  • 納税者自ら所得を計算して申告する申告納税制度の本旨から、株式の譲渡所得を特別扱いする必要はないのではないか。
  • 従来、住民税が非課税であった源泉分離課税を廃止し、申告分離課税に一本化することは、住民税の課税の適正化を図るためにも重要ではないか。
  • 株式等譲渡益課税の申告分離一本化に伴う株式の取得価額については、様々な方法により把握可能であり、このことをもっと一般に周知していくべきではないか。
  • 株式等譲渡益課税については、税率や課税方式を他の金融商品等との関係も含め議論すべきではないか。
  • 生損保控除については、これまでの税調の考え方に沿って、課税の公平、中立の観点から、そのあり方を見直すべきではないか。
  • 生損保控除は、個人の自助努力を引き出す観点から必要であり、引き下げるべきではないのではないか。
  • 国債の多様化の動きに対しては、税制としても必要に応じて適切に対応していく必要があるのではないか。
  • SPCなど集団投資スキームに対する課税にあたっては、その本質を見極めて、ビークルの特性に応じた適正な課税を行うことが重要ではないか。

(個人住民税関係)

  • 個人住民税収に占める均等割税収の割合は低下してきているが、個人住民税の基本的な柱としての位置づけを踏まえ、税率を大幅に引き上げていくべきではないか。
  • 均等割の税率の引上げは、国が標準税率を引き上げるのではなく、地方自治体の自主性に任せるべきではないか。
  • 均等割の税率の引上げは、国として上げるという方向を打ち出すことが必要ではないか。
  • 均等割は、人口規模別に税率格差を設けているが、行政サービスの水準等を踏まえて一本化していくべきではないか。
  • 生計同一の妻に対する均等割の非課税措置は、個人課税を徹底する観点から、廃止すべきではないか。
  • 所得割は、諸控除を整理して課税ベースを拡げ、税率をフラット化していくべきではないか。
  • 所得税と住民税の課税最低限は、かなり違ってもよいのではないか。

法人課税

  • 法人課税については、実効税率が大幅に引き下げられており、課税ベースの拡大・充実に努めていくことが必要ではないか。

(時価法等)

  • 企業会計において時価法が導入されるが、法人税においても有価証券やデリバティブ等の含み損益を含めないと、法人の企業活動の成果が所得にあらわれないのではないか。また、租税回避行為を防止する観点からも時価法を導入すべきではないか。
  • デリバティブ取引がヘッジ目的であるものについては、その評価損益をヘッジ対象資産の評価損益と相殺するような形で対応させる必要があるのではないか。

(会社分割)

  • 商法において会社分割法制の導入が進められており、税制の対応も求められているが、税制については、税の観点からしっかり検討する必要があるのではないか。
  • 会社分割については、税制としての対応を考える上で、商法や企業会計の考え方が明らかにされる必要があるのではないか。
  • 会社分割については、合併・現物出資等の資本等取引と整合性のある課税のあり方をどう確保するか、資産、負債や引当金等をどのように引き継ぐか、さらには所得税や法人税のあり方にも関わる株式譲渡益やみなし配当課税をどう考えるかということが問題になるのではないか。
  • 会社分割税制の検討に当たっては、租税回避の手段として利用されることのないようにすべきではないか。

(連結納税制度)

  • 企業の組織変更に対し、税制の中立性の観点から、連結納税制度の導入が必要ではないか。また、その導入を急ぐべきではないか。
  • 連結納税制度は、個々の法人を課税単位とする現行の体系とは全く異なる新たな課税体系を基本税制として構築するものであることから、しっかりとした検討が必要ではないか。
  • 連結納税制度を導入する場合、企業集団を単一の主体として捉えて課税を行うアメリカやフランスのような本格的な連結納税制度の導入を検討すべきではないか。
  • 連結納税制度の導入に当たっては、商法との関係、租税回避等の防止や導入に伴う税収減の問題など、法人課税小委員会において指摘されている多岐にわたる項目について、十分な検討が必要ではないか。
  • 連結納税制度の導入に当たっては、特に税収中立に配意すべきではないか。
  • 連結納税制度については、地方団体ごとの受益に応じた税源帰属など、地方税の問題について検討する必要があるのではないか。

(外形標準課税)

  • 外形標準課税の導入は、法人の受益と負担の関係を明確にするとともに、利益の上がっている中小企業の所得課税の負担も軽減され、全体に薄く広く負担することになるため、活力という観点から経済構造改革に非常に役立つのではないか。
  • 本年7月に地方法人課税小委員会が報告書を提出した法人事業税への外形標準課税の導入については、その実現に向けて様々な角度から検討を深め、できるだけ早期にその導入を図ることが望ましいのではないか。
  • 法人事業税の外形標準課税の導入は地方団体にとって重要な課題であり、外形基準の4類型など課税の仕組みや実施段階でどういう問題があるかということを含め、導入に向けて具体的議論を進めるべきではないか。
  • 外形標準課税は導入すべきであるが、その実施に当たっては、景気の状況等を考えるべきではないか。
  • 景気が回復し、税収が増えれば導入機運がさめるという過去の経緯等も十分に踏まえて慎重に検討すべきではないか。
  • 外形標準課税については、具体的な検討を進めることを通じて活発な議論を促し、国民の理解が一層深まるよう努めるべきではないか。

消費課税

(消費税・地方消費税)

  • 消費税は今後の財政再建を考えていく上で重要な役割を果たすべきではないか。
  • 所得課税や法人課税の減税は既に限界に達しており、今後は、直間比率是正のために減税とセットで消費税を充実するという議論は成り立たないのではないか。
  • 財政赤字の解消や福祉財源の確保については、全て消費税によって対応することは困難であり、所得税、法人税等の直接税にどのように負担を求めるのかも含めて検討する必要があるのではないか。
  • 消費税は、所得に対してはやや逆進性を有することや、貯蓄にはかからないこととの関係で、所得税の累進構造の強化や相続税等の資産課税の強化により所得再分配を図る必要があるのではないか。
  • 目的税化は財政の硬直化を招き、資源配分を歪めるおそれがあること、諸外国でも消費税等を目的税化している例はないこと、さらには消費税は税体系の重要な柱であることなどを考えれば、その福祉目的税化については慎重に考えるべきではないか。
  • 消費税充実の必要性への理解を深める上で、福祉目的税化にも意味があるのではないか。
  • 仮に敢えて福祉目的税化を行う場合には、負担を先送りするのではなく、福祉関係の歳出増と消費税負担との対応関係をはっきりとさせていく必要があるのではないか。
  • 福祉関係の歳出の見通しを明確にしながら、そのために必要な消費税の税率等のあり方について検討していくべきではないか。
  • 地方消費税を含め消費税収の4割強は地方の一般財源とされているが、仮に消費税を福祉目的税化する場合には、地方分を一般財源のままとするのか、福祉目的とするのかは大きな問題ではないか。
  • 地方消費税は、消費税創設時に地方間接税の廃止等に伴い創設された消費譲与税の廃止や住民税減税の財源として創設され、もともと一般財源であった経緯から、目的税化は適当でないのではないか。
  • 今後の福祉財源を確保するために、別途、消費税と同じ課税ベースに課税する新税を創設するといった考え方もあるのではないか。
  • 消費税の更なる定着のため、どのような点を工夫し得るかが中期答申に向けての検討課題ではないか。
  • いわゆる逆進性の問題については、社会保障対策として必要な手当てをしている点に留意すべきではないか。
  • 課税ベースの広い消費課税としての消費税の性格上、食料品の非課税やゼロ税率は問題が多く、その採用は認め難いのではないか。
  • 食料品等に対する軽減税率は、標準税率が欧州諸国並みの二桁に達する場合には検討課題とも考えられるが、少なくとも標準税率が一桁の間は単一税率を基本として議論すべきではないか。
  • 軽減税率を適用することについては、課税ベースの広い消費課税としての基本的な性格に反するほか、経済取引に及ぼす影響も大きいなど問題が多いのではないか。
  • 消費税が充実してくると食料品の軽減税率の議論が出ると考えられるが、その場合、EC型のインボイスが必要となるのではないか。ただし、免税事業者からの仕入れは仕入税額控除ができず、取引から排除されかねないなど、与える影響が大きいのではないか。
  • 仕入税額控除の方式については、実際に仕入先から転嫁された税額に応じた適切な仕入控除税額を正確に把握するために、事業者番号を付けたインボイス方式に改めるべきではないか。
  • インボイスの導入により、簡易課税制度も基本的に不要となるなど制度の透明性や信頼感が高まるのではないか。
  • 消費税率を上げる際には、免税点の引下げや簡易課税制度の見直しを行うべきではないか。
  • 申告・納付回数は、二度にわたり見直されているが、消費税率が上がる際には、滞納している事業者の実態を踏まえつつ、滞納の未然防止の観点から更なる見直しを検討すべきではないか。
  • 商品購入時の価格表示方法については、消費者の便宜を図る観点から、個々の商品について消費税を含めた最終的な支払総額を表示する「総額表示方式」を広める方向で検討する必要があるのではないか。

(特定財源等)

  • 特定財源制度については、財政の資源配分調整機能が損なわれるため、歳出の削減・合理化を前提に絶えず見直しを行う必要があるのではないか。
  • 道路特定財源は、財政の硬直化を招くものであることから、一般財源化の方向で検討すべきではないか。
  • 道路整備はまだ不十分であり、その必要性や受益者負担の観点から道路特定財源は堅持すべきではないか。

資産課税等

(相続税)

  • 少子化や高齢化に対して、フロー(所得)だけでなく、ストック(資産)等も含めて、税制全体としてどのように対応していくべきかを幅広く議論すべきではないか。
  • 今後の相続税のあり方を考える場合に、まず相続税の課税根拠をしっかり議論する必要があり、最高税率の水準のあり方も課税根拠をどう考えるかで変わってくるのではないか。
  • 相続税の見直しは、今後、個人所得課税の抜本的な見直しとの関連において、課税ベースのあり方等とともに全体として議論すべきではないか。その際、ストック化の進展にも留意すべきではないか。また、相続税の検討に当たっては、単に税負担の問題だけでなく、同世代間の機会の平等をどう考えるかといった視点も必要ではないか。
  • 今後、消費課税の充実は不可避であるとすれば、その場合、所得再分配機能を有する所得税や相続税等の役割はますます重要になっていくのではないか。
  • フローへの課税については、フラット化により可処分性を高める必要があるかもしれないが、相続時点のストック課税としては再配分機能を堅持した方がよいのではないか。
  • 所得税のフラット化が進んでいる中で、相続税の負担をこれ以上軽減する必要はないのではないか。
  • 過去3回の減税により、課税ベースも狭くなるなど税負担は緩和されており、税率全体の引下げを考える必要はないのではないか。
  • 相続税の問題は必ずしも景気と直接関係あるものではないので、むしろ長期的な視点に立って議論するべきではないか。
  • 仮に最高税率の引下げを行う場合には、例えば海外への資産移転など、租税回避行為を防ぐ方策についても併せて検討すべきではないか。
  • 相続税の富の再配分機能は維持すべきであるが、最高税率の70%は高過ぎるのではないか。
  • 中期的な相続税のあり方については、所得課税の抜本改革との関連で考えていくとしても、最高税率と事業承継の問題は短期的に考えていく余地があるのではないか。
  • 相続税はストック課税ではあるが、キャッシュフローがないために負担感を持つという点も考慮する必要があるのではないか。
  • ストック化の進展を踏まえ、課税対象を再検討し、ストックに対して広く薄く課税していくべきではないか。
  • 相続税には各国ごとに課税方式の違い等があることから、国際比較は非常に難しいのではないか。
  • 土地の特例については、資産選択を歪めていると考えられ、このような観点からの見直しが必要ではないか。
  • グローバル化の進展とともに海外への資産移転をどのようにフォローしていくかといった問題を考える必要があるのではないか。
  • 相続税のほか、印紙税、登録免許税といった税目も含めた資産課税等の税目は、貴重な税収源であり、基幹的な税目の税収では財政を賄いきれない中、税収減につながる議論は不適当ではないか。

(固定資産税)

  • 固定資産税は市町村税として最もふさわしい税であり、納税者の理解を深めていくためにも、負担の公平に向けた努力を行っていくべきではないか。
  • 地価が下がっているのに負担が上がるという声があるが、評価額が同じなら課税標準額が同じであるべきであるし、不当に低かった過去の評価を適正にしていく過程で地価とのタイムラグがあることも、やむを得ないのではないか。
  • 固定資産税は、市町村固有の安定的な財源であり、その安定性を損なうことなく、平成9年度評価替えによる負担の均衡化・適正化の方向を継続する前提で、さらに具体的な工夫をすべきではないか。
  • 各自治体によって財政状況が違うことや、地方分権の観点からも、税率は一律の標準税率ではなく、各自治体が自由に決定するようにすべきではないか。
  • 地方分権の趣旨からすれば、市町村が自らの判断で税率を決定すべきではあるが、現在は負担の均衡化・適正化を進めている段階であり、これが全国的にならされた先で議論すべきではないか。
  • 住民が応益的に負担すべき適正な水準を考えた場合、小規模住宅用地について価格の6分の1まで調整する必要はなく、特例の拡充前の4分の1に戻してよいのではないか。
  • 固定資産税の土地の評価や地価公示価格について透明性を高めるべきであり、また、負担調整措置は、極力簡素にしていくことが必要ではないか。

地方税全般

  • 地方分権推進一括法が成立したが、その附則にもあるように、国と地方公共団体の役割分担に応じた地方税財源の充実確保について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討すべきではないか。
  • 地方分権の進展に応じて、地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任を確立することが重要であり、この観点から地方税の充実確保を図ることが必要ではないか。
  • 国・地方の税源配分のあり方を検討するべきではないか。その場合、地方の主体性の確保に鑑み、地方税の基本となるべき所得課税である個人住民税により重点を置いて考えていくべきではないか。
  • 現在の財政状況を考えると、国から地方への税源の移譲は、事実上不可能ではないか。
  • 国・地方の税源配分のあり方を検討するに当たっては、その基本として、国・地方の財政機能の違い、行政事務配分等を重視すべきではないか。
  • 地方税の充実確保を議論する場合には、地方交付税のあり方も併せて議論すべきではないか。
  • 地方税の議論をするに当たっては、地方団体の課税自主権をどのように考えていくのか十分な検討が必要ではないか。

その他

(環境問題への対応)

  • 環境問題への税制面からの対応の基本は、汚染者負担の原則を踏まえて追加的な負担を求めることではないか。
  • いわゆる「自動車関係諸税のグリーン化」案は、環境関連税制の正しい方向への一歩とは言えず、また、環境問題全体を考えた提案になっていないのではないか。
  • 地球環境保護の観点から、環境負荷を与えるものに負担を求めるいわゆる環境税や、国・地方の環境対策の財源確保のための税制の活用などについて、本格的に議論すべき時期に来ているのではないか。
  • いわゆる環境税には、消費抑制のために非常に重い負担を求めるという考え方もあるが、環境対策の財源確保のために広く薄く課税することが現実的ではないか。

(NPO法人に対する税制)

  • これからの社会を支えていくことが期待されるNPOの財政基盤を確立するためには、税制上の措置が必要ではないか。
  • NPOに対する税制上の措置を検討するに当たっては、まずは実態把握を進めるべきではないか。
  • NPOに対する税制上の措置については、公益性をどう担保するかといった点も踏まえて検討すべきではないか。

(納税者番号制度)

  • 基礎年金番号に加え、住民基本台帳法の改正によって住民票コードが導入される運びとなったことを踏まえ、付番方式に関するさらなる検討が必要なのではないか。
    その際、改正住民基本台帳法の内容を踏まえ、基礎年金番号と住民票コードの付番対象者、民間での利用等の相違にも留意すべきではないか。
  • 納税者番号制度については、総合課税・分離課税等の課税方式の議論や、利子・配当、株式譲渡益等をはじめとした金融課税全体の議論との関連で検討していく必要があるのではないか。
  • 納税者番号制度については、「納税環境の整備」という観点も踏まえつつ、法定資料、記帳義務、資料徴求権限、手続規定、挙証責任等の広範な論点と併せて検討する必要があるのではないか。

基本問題小委員会