第14回法人課税小委員会 議事録
平成13年6月26日開催
〇委員
それでは、税制調査会第14回目の法人課税小委員会を開かせていただきます。きょうはお暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、参考資料 1の1ページ目右側の[連結課税所得の各種計算規定等]、ここを主として検討していただきたいと思っております。そこで、本日の議題、連結納税制度の枠組みに係る論点及び各個別制度の取り扱いについて、いろいろ議論も熱くなるかと思いますが、まず事務局のほうからご説明いただきたいと思います。
〇事務局
お手元にございます資料ですが、今ご紹介いただきました参考資料 1、これは主要検討項目、一昨年11月にまとめていただいたものを机上に配付させていただいておりますし、もう一つ、参考資料 2、これも前回お配りしたものですけれども、アメリカ、フランスの連結納税制度の概要をまとめたものでございます。適宜ご参照いただきたいと思います。
もう一つの資料「説明資料」、法小14と書いてございますが、これでご説明申し上げたいと思います。1ページめくっていただきまして「目次」のところをまずごらんいただきますと、大きく3つのパートに分かれておりまして、まず「連結所得金額及び連結税額の計算の基本的な仕組み」、それから2つ目に「連結納税制度に特有な事項」内部取引に係る利益・損失の繰延べ等3つほど掲げてございます。それから3番目といたしまして「連結納税制度における各個別制度の取り扱い」ということで、寄附金初め4つほどちょっと議論していただこうと思いましてお出ししております。
それでは、1枚おめくりいただきまして1ページ目、「連結所得金額及び連結税額の計算の基本的な仕組み」でございます。1つ目ですけれども、連結所得金額、これはグループ内の単体法人の所得金額を基礎にいたしまして、それに連結調整を加えて、連結グループを一体のものとして計算する仕組みとすることが適当ではないかと。アメリカ、フランス、本格的な連結納税制度、いずれもこういった仕組みになっております。
それから2つ目の〇でございますが、そういった基本的仕組みを検討するに当たりましては幾つか考慮する点があるということで、4つ掲げてございます。まず1つ目は、今の我が国の商法等におきます法人と株主、あるいは債権者との法律関係を見ますと、これは基本的に単体法人を前提としている。それから2つ目に、例えば連結グループを採用しておりますそのグループの親会社、これが吸収合併されてある会社に合併されてしまう。その会社は連結納税を選択してないということになりますと、そのグループ全体、連結納税制度が適用されなくなることがあり得る。それから、当然のことながら、子会社が例えば持株比率が落ちるということなどで連結グループから離脱することもあり得る。つまり、単体に戻ることが十分考えられるということでございます。それから4つ目に、今の税制を見ますと、租税特別措置法等たくさんありまして、例えば特定の業種等を対象にした税額控除制度などがある。
こういったことを考え合わせますと、「このため」のところですけれども、連結グループ内の各単体法人間の取引は時価でちゃんと行わないといけないのではないかということ、それから連結所得金額とか連結税額を調整して計算していくわけですけれども、その過程において、調整金額を各単体の法人に合理的な基準でちゃんと配分、チャージしておかないといけないのではないかということでございます。
1ページ飛ばしていただきまして3ページに参考で図をつけさせていただいております。親会社Aがありまして、子会社b、c、これが連結納税を選択したということですけれども、まず、それぞれ単体所得金額を上からはじいてきまして、そこで次に、単体ベース、個社ベースで調整すべき所得調整を行います。例えば内部取引の損益の調整なんていうのがここに当たるのだと思いますが、それを合算いたしまして連結所得が出てきますけれども、その前段階として、連結ベースで今度はもう一度調整しないといけないもの、例えば寄附金の損金算入枠だとかそういったことが考えられますけれども、そういった調整をする連結所得調整(2)の段階で、それぞれの調整額は各単体幾ら調整したのだろうと。ここで一応チャージをする。
その結果、右側のちょっと太い四角で囲んであります連結所得金額が出てきますけれども、これも結果として個々の単体分というのが観念上出てくる。それに税額を掛けると調整前の連結税額が出てきますけれども、それをまた単体に配分して、ここで連結税額調整、つまり租特の税額控除等ですけれども、特定の業種しか適用できないというようなものなんかが考えられますけれども、そういった個社単位で調整すべきものを調整し、それを合算した後、今度は連結ベースで調整しないといけない税額調整を行う。例えば外国税額控除とか所得税額控除とか考えられますけれども。またその段階で各個社単位に配分しておくわけです。
最後に連結税額が出てきて、最後、また配分額をそれぞれ個社単位で決めてやる。これを明確なルールで決めてやらないといけないというのは前回ご議論いただいたところでございます。どうしても租特があるものですからこういったわりとちょっと複雑な形にならざるを得ないわけで、ちなみに租特がなくなればもうちょっと簡単になると私は思っております。
それから2ページです。今度はちょっと角度が異なりますけれども、今度は税率の話です。法人の規模に応じて法人税率に格差が設けられておりますけれども、連結ベースで見る、連結所得金額に対する法人税率をどのように考えるかという論点があると思います。
それから最後に引当金、租特もそうですけれども、税法にいろいろな制度があるわけです。基本的には連結グループを一体として要件の判定、計算を行うのでしょうけれども、いろいろな制度の趣旨がございます。あるいは技術的な問題もありますので、そこら辺を十分検討して、それぞれにふさわしい仕組みとしていく必要があるのではないかという論点でございます。
それから4ページにまいりますけれども、「連結納税制度に特有な事項」として、1つ目「内部取引に係る利益・損失の繰延べ」でございます。まず連結グループの一体経営に着目して創設されるという連結納税制度でございますから、連結グループ内で行われる資産の譲渡等により生じた利益・損失は繰り延べるとするのが適当ではないかということでございます。
2つ目の〇ではどれだけの取引をその範囲にするのかということですけれども、基本的にはすべての内部取引を繰延べの対象とするべきであると考えられますけれども、納税者の事務負担等についても十分に配慮する必要があるのではないか。特に棚卸資産というのはかなり大きな金額を各社持っていると思いますけれども、それを内部取引損益として繰延べをするのかどうかといったところが論点になるのかと存じます。
それから5ページ目ですけれども、それでは今度は内部取引により生じた利益・損失を繰り延べるといったときにどういう方法で繰り延べるか。売り手のほうで繰り延べるのか、買い手のほうで繰り延べるのかということですけれども、一番最初に見ていただきましたように、時価でちゃんと取引するだとか、ちゃんと各単体に所得あるいは税額を合理的な基準で配分するということであれば、これは通常どおり、利益が生ずる側、つまり資産の譲渡等を行った側において繰り延べる方法が適当ではないかということでございます。
それから最後、その後、利益を繰り延べた後どういうふうに今度はそれを計上していくのかという問題です。これは資産がいろいろありますので、譲渡原価の計算、あるいは費用化の方法、これは有価証券から減価償却資産いろいろあると思いますけれども、そういった対象資産の種類に応じて繰り延べた利益をどうやって実現していくかというところは工夫していく必要があるのではないかということでございます。
6ページは簡単に図示したものですが、ポイントだけ見ていただきますと、(1)「内部取引が行われた時点」。これはP社が売り手で、S社が買い手なわけですが、譲渡原価60のものをS社に80で売ったと。このときには80と60の差が通常は譲渡益としてPに発生するわけですが、連結グループの中での取引ですので、これはこの時点では認識しない。繰り延べる。
下にまいりまして、S社がこれを外に 100で売ったという図になってますけれども、売ったときに、もとのP社の20を計上し、かつ、S社はP社から売ったときに取得価額が80ですから、80と 100の差20を、これはS社のものですけれども、これもこの時点で計上する。合計40ですけれども、観念上はPが20、Sが20ということになります。こういった方式が適当ではないかということでございます。
1ページめくっていただきまして7ページですけれども、「利益・損失の二重計上の防止」ということでございます。後でちょっと図を見ていただいて説明したいと思いますけれども、1つ目の〇ですが、連結所得金額として課税されました子会社の所得、あるいは連結所得から控除された子会社の欠損、これをその後に親が子会社株式を譲渡しますと、その株の利益、あるいは損失がもう一回課税される、あるいは控除されるということが起こりますので、それを避ける必要があるのでないかという論点でございます。
2つ目の〇ですが、それを避ける方法、この実質的な二重課税や二重控除を回避する方法としては、譲渡等を行う子会社株式の帳簿価額を修正したり、子会社株式の譲渡利益の額や譲渡損失の額を修正する方法が考えられるのではないかということでございます。連結財務諸表制度におきましても、そういった調整措置が講じられております。
8ページの図をちょっとごらんいただきたいのですけれども、子会社に所得が生じた場合と欠損が生じた場合、両方掲げてございます。左側の所得のところで見ていただきたいのですけれども、これは帳簿価額を修正するとこうなりますよという図でございます。親に所得 100があり、子に所得20があり、結局、連結所得金額 120になるわけです。親から出ている点線の下をごらんいただきたいのですけれども、もともとの子会社株式の帳簿価額が50としますと、ここで子会社の所得20を加えてやって帳簿価額を70にしてやるということによって二重課税が回避される。
逆にちょっと言いますと、まず親の所得 100、子の所得20で 120になっているところで、この20が1度カウントされているわけです。それから仮に帳簿価額を修正せずに50のままですと、実質、子会社には資産が20増えているわけで、この時点での株価は70になっているはずですから、子会社株式の帳簿価額、修正前が50、新しい時価70としますと、またここで株を売ると20が生じてしまうということで、20という子会社の所得が2回カウントされてしまうということで、ここに書いてございますように、帳簿価額を20上げてやって、2回目、株式を売るときの益が発生しないようにするという趣旨でございます。
9ページにまいりまして、次に「欠損金額の取扱い」。この欠損金額、ほかもそうですけれども、連結納税制度を導入する上で十分頭に置いておかないといけない重要な論点でございまして、平成11年の国税庁の統計でいきますと、単年度の所得が法人の所得30兆円、それから単年度の欠損金が33兆円、繰越欠損金が90兆円という状況にあります。こういったことをちょっと頭に入れて制度設計等を考えていかないといけないのではないかと思っておりますけれども、まず1つ目の〇ですが、ここで言っておりますのは、連結ベースの連結欠損金、これは単体と同じように5年間で繰越控除を行うこととするのが適当ではないかということを言っております。
それから2つ目、これは先ほど来何回か出てきておりますけれども、連結納税制度が適用されなくなることがある、あるいは子会社が外れることがある、単体課税に移行することがあるということを考えますと、連結欠損金額、繰越連結欠損金額、その控除額、各法人がそれぞれどれだけ貢献したのかとか、そういったことをちゃんとチャージしておく必要があるのではないかということでございます。
それから3つ目ですが、これは少し角度が違いますけれども、ある子会社が加入前に繰越欠損金額を持っていたと。それを取り込んで連結全体として所得を下げる。租税回避行為を防止するために、例えばその子会社の単体所得計算に応じてしか当該繰越欠損金は使えないというような、連結グループ外で生じました欠損金を連結グループ内に取り込んで行うような租税回避を防止するための万全の措置を講ずる必要があるのではないかという論点でございます。
10ページ目にはアメリカとフランスの連結グループ加入前の欠損金額の取り扱いについて参考資料でおつけしております。アメリカは1度ご説明しましたけれども、SRLYルールというのもございますし、株主持分が著しく変動した場合の繰越欠損金額の控除の制限措置、一般的な制度だそうですけれども、こういった制度もあります。フランスは子会社の連結グループ加入前の繰越欠損金は当該子会社の個別所得のみの控除に制限されるというルールになっております。
11ページは現行制度の概要を図示したものですので、ここでは飛ばさせていただきます。
12ページからは「連結納税制度における各個別制度の取扱い」ということで4つほど並べておりますけれども、まず「寄附金」でございます。ちょっと1ページめくっていただきまして13ページの現行制度をごらんいただきたいのですが、左側の枠の中に損金算入限度額の計算というのを一番下に式で書いてます。資本等の金額に 1,000分の 2.5掛ける、それに所得金額の 100分の 2.5を足して、それを2で割る、これが一般寄附金の損金算入限度額であり、また特定公益増進法人に対する寄附金も同額が別枠として使えるということになっておるわけですけれども、1ページめくっていただきまして、連結グループの一体経営に着目して創設されるという連結納税制度ですので、連結グループを一体として寄附金の損金不算入額の計算を行う必要があるのではないかと。
したがって、2つ目の〇ですけれども、損金算入限度額の計算の基礎となります、先ほどごらんいただきました所得金額、あるいは資本等の金額ですけれども、連結グループを一体として課税するのですから、所得のほうでいえば連結所得金額から、資本等の金額でいえば親会社の資本等の金額を基礎とするのが適当ではないかということでございます。
それから3つ目の〇ですけれども、前にも出てきましたが、我が国の商法等におきます法人と株主、あるいは債権者等との法律関係、これは基本的には単体法人を前提にしている。あるいは利益とか損失、あるいは資産・負債を特定のその法人に集めるということがグループ内で行われて租税回避を行うことを防止する、そういう必要があるということを考えますと、連結グループ内の単体法人間の寄附金は損金不算入とする必要があるのではないかと。でないと、これまで配分計算をきちんとしないといけないのではないかというふうなことになってましたけれども、最後、寄附金でポンとやると、そこがもう全然合理的な配分にならなかったり、ある意味では、本格的な連結納税型と言いながら損益振替型みたいなことになりかねないということでございます。
14ページ、「貸倒引当金」でございます。貸倒引当金につきましては、単体の法人が期末に持ってます金銭債権について確定した決算で損金経理した、その損金経理によりその計上を行うということが前提になってますので、単体法人が個別に計算した損金算入額を合算するということが適当ではないだろうか。
2つ目ですが、ただし、これも連結グループの一体経営に着目するという連結納税制度ですから、グループ内の単体法人間の金銭債権、これは貸倒引当金の繰入限度額の計算の対象となる金銭債権から除くのが適当ではないかということです。
それから3つ目、またさらに技術的になってしまいますが、貸倒実績率を用いて計算する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額ですけれども、貸倒実績率というのも連結グループ内の法人に対する売掛債権の貸倒損失、したがって貸倒実績率、これを除いて計算する必要があるのではないかということでございます。
15ページは今の貸倒引当金制度の概要を図示したものでございます。省略させていただきます。
それから「交際費」でございますけれども、先に17ページをごらんいただきたいと思います。交際費等の損金不算入制度を図にしたものですけれども、左側ですが、法人の資本の金額によりまして、5,000万円超は全額損金不算入、1,000万円超から 5,000万円以下は300万円という定額控除限度額がございまして、右の図もちょっとごらんいただければと思いますが、300万を超える部分と、300万に達するまでの金額のうちの20%分、これが損金不算入だという制度になってます。さらに小さくなりまして資本の金額が 1,000万円以下になりますと、この定額控除限度額が 400万円になるというような制度でございます。
前に戻っていただきますと、連結グループの一体経営に着目して創設される制度ですので、連結グループを一体として交際費の損金不算入制度を適用する必要があるのではないかと。先ほどごらんいただきましたように、損金不算入額が資本の金額により異なることになってますので、連結グループ一体だということ、あるいは法人数を増やせば損金算入枠を増やすことができるという問題があることを考えていきますと、親会社の資本の金額でこの損金不算入額を考えるのが適当ではないかという論点でございます。
18ページでございますけれども、租特のうち「特別税額控除」について論点を整理させていただいております。一番最初に申しましたように、租税特別措置があることによってかなり作業も大変ですし、制度自体も複雑になるので、租税特別措置の整理合理化が必要ですし、あるいは連結を選択したら租特の適用を認めないという考え方があるのかもしれませんけれども、ここで書いてますけれども、仮に増加試験研究費が今後も租特の一つとして続くとすればということでごらんいただきたいと思いますが、増加試験研究費、これも、基本はグループ一体経営ということですので、グループを一体として税額控除制度を整備する必要があるのではないかということを1つ目の〇に書いてあります。
ただし、2つ目の〇ですけれども、このグループを一体として試験研究費の増加額を考えていきますと、どれだけ増加したかということを計算していくわけですけれども、その比較になる対象の研究費の調整計算、これは法人がグループに入ったり出たりということが考えられますし、あるいは税額控除の配分の計算、これも各グループで全体で試験費が増加したとしても、各個別での会社がどれだけ伸びたかをどうやって計算するのだろうかというのは実は非常に複雑な点がありまして、そのグループ全体と考えるとかなり複雑にならざるを得ないのではないかと、そういったことにも留意する必要があるのではないかということでございます。
それから3つ目でございますが、これは頭打ちの金額、つまり、税額控除の限度となる法人税額を基準とした金額、今は、この制度ですと法人税額の12%が頭打ちになってますけれども、その頭打ちの金額を考えるに当たっても、連結税額を基準とするのか、単体で考えられるような税額を基準とするのかについては、当然のことながら、増加した研究費というのを連結ベースで考えるのかどうなのか、そこら辺と整合性のある制度にする必要があるのではないかということでございます。
それから最後にもう一つ、「設備投資に係る税額控除」、これも租税特別措置にたくさんあるわけですけれども、これを見てみますと、法人の資本金額、例えば中小しか適用にならないとか、業種が特定の業種だけだとか、さらには個別法で規定されております認定事業者、政策目的等を考えてそういう仕組みになっているわけですけれども、そういった個々の法人の属性に着目して講じられている税額控除がございます。これについてどう考えるかということでございます。
これはまさに個々で見ていかないといけないのかもしれませんが、2つ目の〇は、これも先ほど来出てまいります連結納税制度が適用されなくなることがあるとか、連結グループから子会社が離脱する、そして単体課税に移行することがあり得るということを考慮すると、税額控除額とか、あるいは頭打ちで、その年全部引き切れなかった繰越税額控除限度超過額、これについても各単体法人へちゃんと配分しておかないといけないのではないかということでございます。
それから3つ目ですけれども、加入前に頭打ちで引けなかった繰越税額控除限度超過額は、ある子会社が連結グループに加入してきたとすると、これは先ほどの欠損金の話と似ておりますけれども、それを全体の連結税額から引くというのは不適当で、その個別の会社の税額から引けるようにしておかないといけないのではないかという点でございます。
一番最後は増加試験研究費の制度を図示したものでございます。
以上でございます。
〇委員
ありがとうございました。きょうは、連結納税で一番中心と申しますか、連結所得をどういうふうに計算するかという極めて専門的、かつ技術的な論点についてご検討いただくわけですが、ご自由に、特に場所は区切らないでも、気がつかれたところからご質問いただければと思います。必要に応じて事務局のほうで説明を補足していただくということにしたいと思います。どなたからでもご自由に。
〇委員
それでは、連結法人税率、2ページになりますか、この考え方なのですが、はっきりいって中小法人をどうするかということに尽きるのではないかと思うのですね。連結グループを一体として行うという前提でここでの議論が進んでますので、それを前提とすると、やはり全体が中小法人に当たらなければ、当然そこでの税率になるであろうと。なおかつ、全体合わせても中小法人ということになるならば中小法人の税率になるだろうという形で、ここのところはいいのかなと。そのほうが論理的に一貫するのではないのかなと思います。
ただ、資本金の問題、中小法人がほとんどの場合、税率の場合、租特のような場合には若干従業員数とかいろいろなものがありますけれども、それはそれで全体として考えるとして、資本金の場合には、親の資本金をとるのか、あるいは最大の資本金をとるのかという問題はあるのですね。親が 1,000万円で、子が10億なんていうのもつくろうと思えばできる。そういう潜脱行為的なものを許すのかどうかという問題は残りますが、基本的には親の資本金というものがこの区分するものになるのかなと思っております。
〇委員
ありがとうございます。今の点、ご意見ほかにいかがでしょうか。例えば付加税の話とか、まだいろいろございますけれども。
〇委員
今の問題はおそらく、税率がみんなでも低い税率とか、みんなでも高い税率というときには問題になって、みんなでは高い税率で、個々別々には低い税率、あるいは中間の税率が税率というときに問題なので、全体が何百万円と区分けした場合に、初めの区分けではないときにそれをどうするかということと絡みますと、アメリカなんかの税率は、下のほうの刻みというのは下のほうのための刻みで、大きい人はみんな同じ、一番高い税率が適用されるというような、パニシング・エグゼンプションを逆にしたような考えがあるようですから、そういう点からいったら、一番上の税率でいくというのが一つの考え方のように思いますけれども、ちょっとそういう点が、2つがかみ合ってないときの問題が気になるということでございます。
〇委員
ありがとうございます。いかがでしょうか。税率の点、結構ですし、あるいはほかの論点でも……。
〇委員
次の4ページに書いてあります内部取引の利益・損失の繰延べのところ、2番目の○のことと関連しますけれども、基本的には、すべての内部取引を対象として利益・損失を繰り延べることが考えられると書いてありますけれども、租研なんかのあの案によりますと、棚卸資産の利益の繰延べという問題はむしろ調整しないで省略することを認めてほしいという考え方もあるようです。それはある程度、本当いうと、企業にとっては棚卸資産の繰延べを全部やらないということは大体損をするだろうと思われることを、短期だからという理由はありますけれども、しかし、それを簡素化等のためにあえてやらないということであるならば、それは何か認めてもいいようには思うのですが。
ただその場合に、大きい企業、ちゃんとした企業、ちゃんとやろうという企業と言ったらいいかどうかわかりませんが、ちゃんとやろうという企業がいて、それは棚卸資産の繰延べもちゃんとやるというときに、ちゃんとやろうとする企業はやり得ないのか、そういうふうに省略を認めることはいいですけれども、全体的に省略を認めるのか、選択的に、やる企業もありやらない企業もあっていいのか。私は、できたら本当は、あまりいろいろあったら税務やりにくいだろうという気はするのですけれども、そこはどうしたほうがいいのか、選択でいったほうがいいのか、選択なしの省略なら省略と言っていいのか、その辺少し議論があり得るような気がいたしますが、どうでしょうか。
〇委員
それに関してですけれども、まず一つの考えとしては選択制というのがあるのかなと。手間かけてでもやりたいところはやりなさいよと。ただし、その場合には事前に届け出をしなさいよと。一たん届け出したら、やたらのことで変えちゃいかんよというのが1つあるのかなと思うのですね。制度としてそういうのがいいのかどうかという問題はあるかとは思います。ほかとの整合性とかいろんなところから見て、可能ならばそれも一つの選択肢かなと。
もう一つは、ここまで理論的にきちっと連結納税ということの仕組みを、一体性を着目してやっているわけですから、やはり内部取引というのは消去するのが正当なのだろうなと。手間かかるかからないというのは、連結納税を選択した段階でもう手間かかることはわかっているわけですから、これも手間かかるからやらないというのは基本的にはまずいのではないのかなと。
ただし、例えば連結財務諸表を作成しているような会社の場合には一定の簡便法が認められているのですね。簡便法、決してめちゃくちゃな方法ではなくて、理論的に一応ある程度の仮定を持っての理論的な簡便法があります。
イメージとしては、通達の5-7の幾つだったか、原価差額の調整計算がございますね。それに類似する方法……類似するかどうかわからない、考え方としては近いやり方ですね。つまり、細かい配賦計算をしなくて、例えば仕入れの中に含まれる内部利益の額の割合、これで最終的な棚卸資産に含まれる内部利益を想定する。イメージ的にはそんなようなやり方で連結財務諸表をつくっている会社が多いわけで、それは会計上認められておりますし、一応理論的にもいいものと認められておりますので、そういう一定の簡便法をとることによって、強制的に内部利益、棚卸資産も含めて消去するということについての事務負担の考慮はできるのかなとは思います。
〇委員
選択制のお話も今出ましたが、選択自体がグループ全体なのか、それとも個別の会社ごとかということも大分問題があります。それからもう一つは、棚卸資産の取得価額というのは現行税制でもってかなり複雑でございます。仮に一番簡単な購入したような棚卸資産であっても、種々の購入の付随的な費用のほかに、販売の用に供するまでにかかった費用なども加算することになっているのですね。でありますから、もし本当に簿価移転みたいなことをやるようにすると、かなり税務調査などにおいてのトラブル項目になってしまうような気もしますので、私は、棚卸資産みたいなものはむしろ制度の定着のためには、この複雑なものは除いたほうがいいと思います。
〇委員
今の点ですけれども、これは経済界の多くの会社と議論しているのですが、大勢の意見は、原則は棚卸資産についても内部取引を除去する、消去するということであるべきなのではないかと。しかし、実務的にはこれは相当大変ですよということで、今先生のおっしゃった簡便法というのがありますねと。問題は、ですから、やる場合には簡便法にしてほしいという議論になるわけですね。
ですから、そのときに私は、簡便法というようなことが本当に税の公平とかいうようなことからいって許容されるものなのかどうなのかと。これは原則やるべきだというのは、きちっとやるなんていうことは大変な作業になるわけでありまして、簡便法が本当にとれるかどうかというのが一つのポイントなのではないか。これが1つ。
それから、やはりそういうのは無理だということになったときにどう考えるのだという議論でありまして、これは実態を私のほうで相当調べたのですが、棚卸資産をこのグループ内で移転した場合には、移転先でも滞留する場合は非常にまれでありまして、大体当該期の中でそれは外に出ているということなのですね。そういうことであれば、今先生おっしゃったように、これはもうはっきりいって対象にしないという考え方も十分あり得るのではないかと、こういう議論であります。
ですから、余程簡便なやり方で許容できるということか、あるいはもう実態に照らして棚卸資産についてはやめるということもあり得るのではないか。それは当局のほうで検討していただければいいということであります。
〇委員
租研でその関係のことを少し調べてアメリカに関して言っていることは、簡素化の趣旨から配当利子を除いて、後の内部取引については繰り延べせずに、取引期に計上する処理を内部取引の全項目または取引種類別の項目ごとに選択することができるようにアメリカでなっていると、こう言っているのですね。これは一種の選択制なのですが、しかし、全取引とか一定の取引とかいうとその範囲はいろいろのようですけれども、私はあまりそんな、全取引もいい、架空、一部分取引もいいとかいうと、簡便法といってもその種類が多くなって、あまり簡便でないような気もしまして(笑)、そういう意味で、どうしたらいいかと。やらないことにするというのはまた非常にあっさりした案であると思うのですけれども。だから、やらないことにするのか、やるのはきちんと、きちんとと言うとまた問題を生ずるかもしれませんが、やる方法とやらない方法と2つで、むしろなるだけ簡単にしたほうがいいのではないかと思われます。
〇委員
棚卸資産については納税者の種類によって随分と違ってくると思うのですよね。そのときに選択制というのも考えられるのかもしれませんが、あまりこういう制度に選択制を入れるよりは、棚卸資産は除外しておいて、納税者の事務負担等を考えてということでしょうから、よろしいのではないかと思いますけれども。そんなにマニアックに(笑)理論を美しくすることが重要ではない。何人かの委員がそうおっしゃるということであれば、もうこれはなしで(笑)、特にそんな大きな問題にならないのではないかと思いますけれども。
〇委員
ありがとうございます。今の4ページの内部取引の問題ですが、ちょっとこの表現の仕方ですでに方向を多少つけたような表現になっておりますので、これもお含みの上いろいろご検討いただけるとありがたいわけですが。今話の出ました棚卸資産、これが問題になるわけですけれども、かなり大方のご意見が一致しているような感じがいたしますが。
先ほど初めのほうにご意見出ましたけれども、特別の例外をつくる場合にどういう理由をつけるのかというところですね。例えばほかの例といいますか、簡素化という言葉を使うのがありますけれども、先ほどお話がありましたように、連結納税というのはそもそも難しいことをやるのが連結ですから、それに一度簡素化を入れますと、徹底するとドイツ、イギリス型にまでいってしまうわけですね。ちょっと私が申し上げるのはあれですが、やはり理由をきちっとした上で方向を決めるということが必要であろうと思いますので、そのあたりもよくご検討いただけたらと思いますが。
事務局では何か、よろしいですか。
〇事務局
選択制とか簡便法とかいろいろ出てきたのですけれども、委員のおっしゃるように、かなり期中で出ていく部分も多いとは思いますけれども、やはりかなり額の大きいものが翌期以降にグループから出ていくということも結構あるのではないか。そういった点もよく我がほうとして考えて制度をつくっていかないといけないなと思います。
〇委員
この点に関してですけれども、もう一つ、議論としては、棚卸資産同士というだけではなくて、この棚卸資産が、子会社が棚卸資産でありますけれども、それは親会社からの設備を発注していて、親会社に、ですから機械メーカーに設備を発注するという。親メーカーの親のほうは要するに設備になる。これは電力会社なんかはみんなそうだというわけです。そういうのをどう考えるのかですね。これは問題提起されているわけですが、当該会社は一々内部取引消去するのは勘弁してくれないかということなのですが、そういう問題をどう考えるか。これは問題提起にすぎないわけですが、あるということだけちょっと申し上げておこうと思った次第です。
〇委員
ありがとうございます。委員が言われるのは、いわゆる親会社で必要な設備はこれだけたくさんあるけれども、それを全部子会社が請け負ってつくって、子会社から見れば棚卸資産になっている、そういうようなケースもあると。そういう事例についても考える必要があるというお話ですね。
〇委員
その辺は技術的な面としてはいっぱいあると思うのですよ。例えばリース取引もありますし、それから今度の会社組織再編税制の非適格分割でもって、実際には時価譲渡となっても、内部取引だとそれが消えてしまうとか、いろいろなものがありまして、やはりその辺は付随的に調整していくという話になるのではないでしょうかね。
〇委員
外に本当に出ていくかどうかがポイントだと思うのですけれども、僕は単純に全部出ていってしまうのではないかとシンプルに考えていたのですが、もしそういう、ものによって入れろということであれば、また不健全ですよね。大量のものについてドンと何も出てこないで、そのまま翌期までというのは。それはだから、実態調べてみないと何とも言えないという感じなのでしょうかね。どうなのでしょうか。
〇委員
今のようなケースの場合は、そこでむしろ損益立てておいたほうが、繰り延べないで立てておいたほうがいいのではないかと思われるのですけどね。
〇委員
事務局のほうから。
〇事務局
やはりそういったいろいろなケースがあると思います。棚卸資産と十把一からげに言いますけれども、不動産だって棚卸資産の中にあるわけですし、いろいろ、今のプラントみたいなケースもあるでしょうし、よく実態をまたお聞かせいただいて検討したいと思います。
〇委員
そういうことで、いろいろな論点を出していただきましたが、今度は、では別の論点で……。
〇委員
7ページに利益・損失の二重計上の関係が書いてありますけれども、これはこの前も若干議論しました投資調整ともちょっと絡んで考えられる問題のように思いますけれども、ここに関して、7ページの(注)のところで、これについては差額相当額の売却損益を修正するということで、売却の段階、投資調整は事業年度末の段階ですけれども、ちょっと段階を別にして何か調整はしたほうがいいという構想のようですが、ただ私はこれのほうが、大体、私はどっちかというと投資調整はできたら簡素化のためにやらなくて済ませたいと本当は思っていたのですが、ここで二重計上の防止という観点からこういうことを考えるのであればやったほうがいいように思って、やるとすれば売却の段階でやったほう、ここに書いてあるような(注)のような方法がいいように思います。
〇委員
投資調整をやると極めて複雑な税制にはなるのですが、私もやらざるを得ないのかなと思います。それで、今の連結利益積立金のような概念を私は考えているのですね。個別の取引ごとに、各年度ごとに利益については利益積立金、欠損だったらマイナスという形で、税が当然配賦されたらそれをマイナスにするという形で積み重ねていくと、そうすると帳簿上、税務上の子会社株式簿価というものが把握できる。それを売却したときにそこの損益だけを税務上の損益として認識するという考えであれば、もちろん、社外流出、アメリカみたいにその分を加算するとか、いろいろな細かい調整は必要になって確かに複雑にはなるのですが、これをやらないと、やはり二重課税、あるいは二重控除というものが出てくると思います。
それからもう一つの問題、アメリカでの鏡取引といいますか、含み益のあるものを買収してきて、その含み益を実現させて投資簿価を高くし、それを売却したときに損失を計上すると、そうすると損の二重取りになるという形の取引、潜脱行為というのがあって、それによって売却損の否認規定というものができているわけですね。これを防ぐ方法としては、たまたまということはないですね、今回の組織再編税制でも、取得時の価格、含み益、含み損というものを把握するものが一部では選択的にありますけれども、取り入れられているというものを応用しますと、例えばある一定年月以内に売却して利益出したものについては投資調整をしないとかいうことを組み合わせると、売却損の否認規定も要らなくなる。つまり、理論的にはしっかりとその辺の投資額が把握できるということになるかと思います。
すみません。ちょっと専門的になってしまうのですけれども、その辺も含めて、この辺はきちっと理論的に通したほうがいいと私は考えております。
〇委員
アメリカの連結納税制度との比較ももちろんしなければいけないのですが、私、きのうちょうど大学院のゼミをやりまして、S法人について、先生のご専門ですが、法人側の損をどこまで株主のほうにもってこられるかというときに、あまりテクニカルなことをここで報告するのは避けますけれども、内国歳入法典の1366条のDの(1)と(2)というのがございまして、損を持ってくる場合には、自分のS法人に対する株式の投資額のベイシスを超えることはできないとか、いろいろ微妙な調整規定がございまして、それをめぐって、ギトリッツvsコミッショナーという、これは最高裁の判決がついこの間出ましたけれども、サーショーレーライ・ディナイドだったと思いますが、ですから、1999年の10thサーキットの控訴審判決がその最終審になるだろうと思いますが、こういうのを見てみますと、どうもそこをネグって二重控除という動きがあちこちあるみたいですね。だから少し幅を広げて、連結納税だけではなくて、S法人のほうもちょっと調べると随分いろんなせこいことをして税金逃れている方がいっぱいいるということが出てきますから、そうすると、先生おっしゃったような方針で、税務上の帳簿価額というのを、これは手続の問題にもよりますけれども、一定程度ベイシスというのをしっかりと把握していくということをしていったほうが、できる範囲ですが、よろしいのではないかと思いますけれども。
〇委員
ありがとうございました。あまり意見を言う立場ではないのですが、これは本当の所得の概念の基本的な問題であるわけですね。今お話出ましたけれども、ここでは連結納税ということでたまたま出ておりますが、先ほどお話があったS法人、アメリカの例ですが、我が国でも組合に課税しようとしたときにはこの問題が出てくるわけですね。組合の所得に課税したときに、では一人一人の組合員の持っている資産の取得価格をどうするか。あるいは、例えばこの間問題になりました法人の配当二重課税の問題。法人を組合として課税すると。それは組合員方式で課税するのは理論的にはすっきりしますけれども、なぜできないかというと、一番大きな問題の一つは、一人一人の株主の取得価額を修正していかなきゃいけないという、これが非常に問題があるのでできないと。
ですから、例えばここの、いわゆる投資修正と呼んだりしてますが、もしここでこれを非常に簡素な形でやったりしますと、これは組合課税にしても全部将棋倒しのような形になってしまうわけですね。だからここはかなりきちっと押さえておく必要があるのではないかということですが、ここでも多少トーンをつけて、7ページ、説明がなされておりますけれども、いろいろなご意見ありますが、事務局のほうではこの点について補足説明などいかがでしょうか。
〇事務局
特段ありませんけれども、連結納税の場合、S法人のほうも勉強したいと思いますけれども、これですと、親会社が1つで、100%子会社ということですので、わりとまだ帳簿価額の修正、それも毎期毎期別にやる必要はなくて、子会社株式を外に売るというときに、その時点で修正するという方法だってあるわけでして、当然、先生おっしゃるように、これでもって変なことにならないようにというふうには制度をつくらないといけないと思ってますけれども、アメリカみたいに、アメリカも実際本当にやっているのかどうかあれですが、毎期毎期やるというのはどうかなという感じは持っています。
〇委員
ありがとうございます。
〇委員
思いつきでものを言ってますのでいいかげんなあれだと思いますが、この資料に沿ってちょっと感想ですけれども、8ページの図で申しますと、これは左側の図と右側の図のどちらか一方だったら帳簿価額の修正は不要なはずなのですね。つまり、例えば左側だけの親子会社があるのであれば、連結しようがしまいが、これは二重の所得が増えたって、帳簿価額が50であれば子会社株式を売れば時価は70になっているわけですから、その20が要するに普通の取引であって。ですから、連結した場合に、私の理解では、なぜ帳簿価額の修正が必要かというと、右側と左側の両方の子会社が連結グループ内にあって、左側の20と右側の20が消えるものですから、ここで一遍消えたのに、その後、右側の子会社の株式だけを外に売ると、帳簿価額が50のままだとそこでまたロスが出る。これを防ぐために右側を30にしておく必要があるということだと思うのですね。
そうすると、今度逆の問題があって、例えばその両方、右側と左側を今のようにして修正した場合に、今度は左側で20を、配当をしまして、これは配当してからこの左側の配当後に子会社株式を外に売るということになりますと、これで譲渡損が出るとやはり困るということになると思うのですね。そこで、アメリカのように、そもそも子会社株式を外へ出したらだめよというふうにしてしまえばちょっとあれですけれども、ですから、その場合にはやはり、左側で配当した場合には今度は20を減額しないといかんと思うのですけれども、そういうことでよろしいのかどうかという、ご質問というか感想というか、そういうことです。それで一貫してやればそれで結構だと思いますが、アメリカのように、外へ出したらもうだめというのも一つのあれかもしれませんけれども、一般的な回避行為みたいな話はまた次回以降あるのかもしれませんけれども、さしあたりここで感じることはそういうことです。
〇委員
ありがとうございます。アメリカの場合は連結の要件は80%保有でしたね。日本の場合、今考えているのは限りなく100に近い場合だと思いますが、そういうところで外へ株式を譲渡するとかなり異例な、連結の対象から外れるという大きな問題も出てまいりますので、そのあたりが株式保有の割合とも関連してまいりますね。
あといかがでしょうか。今の帳簿価額の修正の話、それからその次の9ページ、欠損金額の取り扱い、これもまた非常に難しい問題でございますが、ここでもかなり、解説ではありますが、色づけがなされておりますので、それについてご意見などをいただけますとありがたいのですが。
〇委員
神奈川県の臨時特例企業税というのが総務省のオーケーが出まして、あそこで単年度黒字の場合には課税するという法定外の普通税ができるわけですけれども、あれがいいかどうかよくわかりませんけれども、しかし、単年度黒字の場合にある程度税金を納めていただくというのは、何もこれは地方税だけの話ではなくて、国税だってあり得る話で、連結のメリットというのか、連結をメリットと感ずるようなところが連結をするのでしょうから、その場合に、欠損金については多少制限するというのか、利用を制限するとかいうことも場合によってはあり得る。制度が簡素になりますし、付加税を課税するというのももちろんいいのだろうと思いますが、そのほかに欠損金のところで調整するというのも場合によっては考えてもいいのではないかという気がしておりまして、どうもこのままだと、一番上の○で、繰越控除については別にそのままという感じですが、別建ての考え方も、もうちょっと厳しくするという考え方もあり得るのではないかという気がしますけれども。
〇委員
青色欠損金自体は、事業年度を1年ごとに人為的に区切るということから生じる損益の差をなくする、平等化する、中立化するということから生じると理解しておりますので、そういう意味では青色欠損金は同じ事業体という、連続性がある限りそれを引き継ぐというのは当然かなというのが私の考えです。
さらにここで書いてある欠損金の引き継ぎの考え、アメリカ型にというか、フランス型に近いのかな、当然、単体で生じたものを連結納税のグループの中に入れるというのはよろしくないと。実態が違ってきますのでそれはあり得ないという考えで、これは私も賛成です。
なお、それを今までの5年間というこの制限の期間に区切るということも整合性からは適当なのではないかと。そして連結グループ内で生じた欠損についても、当然その前提として、欠損ならばそれを繰り越すということは、全体を一つのグループで考える以上、理論的にはそれが当然なのかなと考えております。
なお、租税回避防止行為のための制度、これはある程度、恣意的に繰越欠損を行うもの、例えば親を買うような場合が出てくるわけですよね。親が巨額な繰越欠損を持っていると。その親を買って自分のところの子にくっつけるということによって租税潜脱行為ということもアメリカで実例あるようですので、こういうものについては当然租税回避行為として除外、回避しなければいけない行為かなと思いますけれども、基本的な考えはこれでいいのかなと私は考えております。
〇委員
先生のおっしゃるとおりなのですけれども、事業年度ごとに計算することの必然的帰結として青色の繰越欠損金が生ずるのですが、法人税のもう一つの前提として、法人格ごとに所得を計算する。だから、親は黒字で子が赤字ということが起こってくるわけですね。その法人格ごとの区切りと事業年度ごとの区切りというのは全然独立した話ではなくて、両者は総合的に理解すべき話だと考えております。
片方を緩めるのであれば片方を厳しくするというのも、これは論理的に全然おかしい話ではなくて、もちろん両方緩めるという話もあると思いますが、両方厳しくするのは幾ら何でも何でしょうから、そこはバランスの問題として考えるというのもおかしな話ではない。つまり、法人格ごとの計算という大原則を破るわけですから、事業年度ごとの計算について、その分多少というのは別に、トータルとしてある程度合理的であればいいという。委員に怒られそうですが、そんな気がします。
〇委員
ありがとうございます。またこれは補足をさせていただきますが、連結納税の問題というのは、基本的な発想としましては、一つの企業グループが単体をなしているということがあるわけですが、実際問題としまして、具体的にでき上がる制度というのはある面では個別の会社の個性が生かされて、ある面ではそこが一つに統一されるというところで、どのぐらいの範囲で個別に扱われ、あるいは統合されるのかということですね。よくアグリゲイトとエンティティと言ったりするのですけれども、全部一貫した理論で、すべて単体だから、この連結所得そのものも単体のような形にして扱うということにはどうしても無理があるということで、個別の法人のものが生きてくるということもやむを得ない場合が出てくるわけですね。
そういうようなことでありますが、その取り扱いにつきましては必ず、どういう理由でこういうふうになったかというところまできちんと理由をつけた上で対応するような形をとっていくことになると思いますが、あとほかの論点等いかがでしょうか。
〇委員
12ページに寄附金の関係が出てきておりますけれども、特に3番目の○のところに、法律関係は本来は単体を基本にしているということから書いてあります。「連結グループ内の単体法人間の寄附金」という問題が一番最後に書いてありまして、これは損金不算入にする必要があるのではないかと書いてありますが、私はこれはこれでいいのではないかと。ただ、こうするということは、現在は連結グループの中の単体間の寄附金の限度額の範囲内であれば、引けるとかいったことになっているのが、こういうふうにすると今まで引けたのが引けなくなるというようなことは生じますけれども、それは連結ということの考え方の問題で、一応ここはこういう考え方で少し厳しくなる面があるような気がしますけれども、いいのではないかと考えております。
〇委員
私はよろしくないという意見なのですけれども(笑)、ここで寄附金の損金不算入にするというのは、趣旨はここにまさに書いてありますように、寄附金の受贈益を集めてきて、そして連結繰越欠損金のあるところにそれを持っていって、そして消すというような課税の回避行為が起こるということがやはり大変問題だということですよね。
それは全くそのとおりだと。それに異論があるわけではないのですが、考えてみると、これは受贈益そのものを連結一体運営という中で調整をするというか、受贈益と損金とを消し合えばこういう問題は起こらないのですよね。したがって、連結欠損金の控除も結果として発生しないというようにすれば、租税回避や欠損金の過剰利用というのもなくなるのではないかと。なぜそうしないのだと。そこのところはそうできないという前提だからこういう議論に発展するわけでありまして、いわゆる内部調整というのは、課税の繰延べというのが内部にとどまって発生しないからそれは認めないのだという思想に、私は課税上の思想から来ているのだと思いますが、あくまでもグループの一体性に着目して、中でいろんなことが起こるというのは、これはあまり議論……。やはり内部取引は消すということにすれば、そしてそういうものは繰越欠損金の利用に使わないということを、要するに使わせない、使わないということにはっきりしておけば、今個別に認めている寄附金の損金、これは今は限度額があるわけですから、それを一切認めないというのは私はちょっと無理があるのではないのかなあと。ですから、そこはもう少し、こういう課税回避が起こるというのは避けなければいかんことですから、工夫するとか再考していただきたいなあと私は思います。
〇委員
私も、委員と同じく、よろしくないと結論的には思っているものですけれども、なぜかといいますと、まず特定の利益を例えば子で欠損金を持っている加入したての会社に集中することで、その繰越欠損を使うというような租税回避行為を、逆にこの内部利益をグループ間の損益振替、これを認めないことで逆に回避できるということが生じるわけですね。つまり、ずうっと損を出しているところがあると。ここで寄附にするということは利益を認めるということを意味しますので、片方では利益で課税しますよ、そして出したほうでは寄附金として損金不算入にしますよということを意味しますので、もらったほうが非常に収益力の低い会社であった場合、加入前から持ってきた欠損金は、そのままでいるとずうっと控除できないことになりますね。
そこでそういうのを回避するために、そこに利益移転を行って、それで控除させるということができてしまう。もちろん片方では損金不算入になりますから、結果的には合わせた所得というものは同じになるのかなとは思うのですけれども、そういうことで逆に、そのことについて租税回避が起こるということはあまりないのかなと思います。
それからもう一つは、理論的にいって、親子、つまり連結グループ内での取引、これはやはり消去するのが、つまり事業部間というような形を、グループの一体経営に着目しているわけですから、グループ経営、その事業部間での振り替えということを意味しますので、やはり基本的には振り替え消去すべきだろうと。内部取引の消去を給付についてもすべきだろうと。
ただ、それを無制限に認めてしまうと、そのままグループから離脱したときに非常に大きな問題が生じてまいります。したがって、その寄附とか、それからもちろん定額譲渡もそれに一部含まれるのかもしれませんけれども、そういう寄附、一方の法人に特別な利益を与えた行為、これにつきましてはそのまま置いておきまして、そして離脱したときに合わせて課税するというのが例えばフランスの連結納税制度ではとっております。そういう方法をとることで、こういう不自然な寄附のグループ内での課税ということが避けられて、なおかつ、租税回避行為というものが防げるのではないかと思います。
〇委員
議論のやり方が少し違うような気がいたしておりまして、あまり欠損金の繰越控除と絡めて私は考えておりませんで、大分欠損金のことと絡めておっしゃったような気がしますけれども……
〇委員
書いてある。
〇委員
いや、この3番目について言うときに、利益を一法人に集めると。利益法人はみんな寄附をやって、統一グループ内でですね。で、利益をなくして、限度額があるとして引けるという前提の議論をしないとだめなのですけれども、ということで、連結税額の配賦にしろ、所得の配賦にしろ、それが認められた格好で構成している一つ一つの法人の金額の課税所得が一応決まっていくということを考えると、人為的にそこが行われて操作されて、そういうことが起こるのではないかと私は考えたのですけれども、どうでしょうか。そういった点から考えた場合に、やはり連結グループ内で勝手に、自由に所得をA、B間で配賦することを認めることはいかがかなという気持ちがするわけです。
〇委員
それについては、内部利益消去するわけですので、結局そういう内部取引はしなかったと同じことになりますので、そういう租税回避的な行為はなかったものとみなされますのでよろしいかなと思うのです。
〇委員
その寄附は?
〇委員
ええ。寄附をしなかったものとみなすわけですね。そしてそれは離脱するときに、そのまま離脱してもらったら困るわけですから、そのときに寄附金としてさかのぼって課税すると。それはした年度までさかのぼるか、その年度に課税するかという違いはありますけどね。
〇委員
この問題は、今、具現した受贈益というような、例えば金銭またはそれに類するもののやりとりだけ考えているようでございますが、実際にはグループ間においてはいろんなオフバランス的な利益の供与的なものがいっぱいあるのですね。たとえていうなら、人材を派遣したとか、技術・ノウハウを提供したとか、施設・設備を貸与しているときに低廉にするとか、あるいは原材料、あるいは商品等を言うなれば供給するとか、それから融資のあっせん、保証、それから納入先、得意先を分与してやるというようなこと。僕はほかのことで考えてこのことを羅列しているのですけれども、そういったようなことと、やはり現金、あるいは類似物のいわゆる寄附という問題になりますとちょっと意味合いが違ってくると思うのですね。ですから、その辺のところは、もしどうしてもそのようなことをやるのでしたら、現行の子会社のいわゆる救援の問題とか、あるいは無利息貸付の問題とか、9-4-1、9-4-2というのがありますけれども、この辺のところのものをもっと法定化してきちんと整備していった上で、今私が言った現物的な供与関係もあわせて整理すると、こんな分野が連結納税の世界では必要かなと思っているのですね。
〇委員
ありがとうございます。よく通達にもありますけれども……。
〇事務局
もしあれだとまた補足をしてもらいますが、内部取引の消去とおっしゃっているのですけれども、あくまで連結納税制度というのは内部取引から生じた利益・損失の繰延べなのですよね。寄附金を渡す行為というのはそういった繰延べをする対象になる取引ではないのではないかと思うのですね。金をもらったら、もらった側はそこでもうすでに受贈益は立っているわけです。あとはグループ内、出したほうは、これまで一般寄附金の枠が個体であったわけですけれども、それが連結ベースになって、連結を選んだからそれはないですよという世界なのではないかと思うのですね。
〇委員
事務局が言われるのは、結局、内部取引という意味をいわゆる資産の譲渡の関係、これを外す、これを……
〇事務局
そうです。ですから、定額譲渡のような場合はあくまで時価と簿価との差をどうするかという話と、それが渡した側で、もらった側は寄附金になると思うのですね。あとは金を渡した行為というのは、これは何回も繰り返しになって恐縮ですけれども、繰り延べるべき内部取引なのかどうかという整理をちゃんとしないといかんのではないかと思うのですけれども。
〇委員
今の使い方なども、ここでは連結グループ内の単体法人間の寄附金となってますから、ある程度、内部取引というよりグループ内取引とか、変えたほうが混乱を避けますかね。同じことかな。
〇事務局
グループ内取引でも、これは時価でちゃんとやっていれば、簿価と時価との差は繰延べになりますよというのは先ほどの内部取引損益の話で。これは出した側は多分、低額譲渡すると、その時価との差額というのは繰延べということになると思いますが、もらった側はその時点で、80の簿価のものを時価 100なのに80しかお金を払わなかったら、20はそのときにもうもらった側は受贈益が立つという世界ではないのかなと思うのですけれども。
〇委員
これは欠損金と密接に絡むお話ですけれども、9ページの3番目の○で、連結グループに加入した子会社の加入前の繰越欠損金額については、その子会社の単体所得計算においてのみ繰越控除するなどして云々の、租税回避を防止する必要があると、こう書いてありますよね。ところが、9ページの3番目の○の方式をとったとしても、子会社の単体所得計算においてのみ繰越控除するというふうに制限したとしても、寄附金集中させることによってそれを利用することが可能になるわけですから、やはりこれはもとから絶っておいて、受贈益課税、寄附金不算入というのも一つの思い切りではないかと思うのですね。
やりたければ出資すればいいのではないですか。出資すれば受贈益課税ないですよね。子会社に新株発行させて、親会社、引き受けたらいいじゃないですか。それは幾らでも金流し込めますから、それで稼いでいただいて、過去の欠損金消していただければよろしいので、そういう話ではないですか。寄附金でやるなんていうのは大体これからの企業経営のあり方としてちょっと格好悪いのではないか。一体だからいいのですかね。よくわかりませんけれども、一体であったとしても、それは税務上の話で、企業経営の問題としては、子は子、親は親で一たんけじめつけておくというほうがかえって、税務上一体処理するがゆえにきちんと「李下に冠を整さず」のようなことをしておいたほうがいいのではないかという気が、実務上のニーズどうだかわかりませんけれども、それによるのだろうと思いますが、へ理屈だけだとそんな気がするのですが、おかしいですか。
〇委員
ありがとうございます。今の委員の指摘の9ページ、いわゆる連結グループ外のときに持っていたものをどうするか。このSRLYルールという、先ほどちょっと事務局が言われましたが、これはこういう考え方での対処ということで補足いただいたほうがいいかなと思いますが、どうですか。
〇事務局
欠損金のSRLYルールですか。
〇委員
はい。ちょうど次のページに出ておりますが。昨年、会長と調査したときもさんざん……。
〇事務局
SRLYルールは、参考資料 2「アメリカ等の連結納税制度の概要」という資料の6ページにわりと詳しく出てまして、1のところですけれども、「子会社の連結グループ加入前に生じた欠損金について、連結納税申告における繰越控除の対象金額は、その子会社の連結申告年度における累積の課税所得に制限される」ということで、その下に点線で囲った枠がありますけれども、その適用例をごらんいただきたいと思いますが、これは括弧で表示してあるのは欠損という意味であります。X0年のところでは、親P、子Sそれぞれ個別納税申告を行っておりまして、親が 100の所得、子のSが 100の欠損でございます。X1年に連結納税申告を始めまして、その年に親が 100、子が30の欠損金、したがって、計のところをごらんいただきますと、70の連結所得になるわけです。
ただ、70から子の連結加入前に持っていた 100の欠損が使えるかというと、これは使えないということでバーが引いてありますが、(注1)をごらんいただきますと、この連結に入ってからの課税所得はゼロですので、この 100はこの年は使えないと。したがって、連結課税所得は70になると。
次にX2年度では、親が 100で、子が40で、合計 140の連結所得であったと。その場合に、子の元というか、加入前に持っていた 100が使えるかどうかということですが、まずその年、要するにX2年度で見ますと、X1、X2を通算しますと子は10しか貢献していないわけですね。課税所得としては。-30、+40で。したがって、この10だけ加入前の欠損金の 100のうちから使えるということで、結局10しか引けない。それで連結課税所得は130となると、こういった若干複雑な制度になっている。これがSRLY(Separate Return Limitation Year )ルールと言われているものでございます。
〇委員
ありがとうございました。それから先ほど委員がさっと言われたことのいわゆる寄附金の中身ですね。例えば無利息のローンでやるとか、債務免除をしたと。現在の通達では経済的な理由がある場合には課税しなくていいという形になっておりますけれども、そういったものも、はっきりいえば受贈益についていわゆる追い撃ちをかけるような形で課税してしまうということを避ける。単体同士の取引ではそういう扱いをしてますが、さて、これが連結になった場合はそういうのはどういうふうに考えたらいいのかなという問題ですね。いわゆる無利息、グループ内取引の問題、あとまたいろいろ債務免除、無利息で救援をするとか、あるいは先生言われましたように、親会社が子会社の従業員の給与を補てんするとか、いろいろな形で出てきますけれども、そのあたりは寄附金の中でくくって何らかの統一的なルールを出すのかどうか。先生ご自身はいかがでしょうか。
〇委員
この問題は次なることにも影響するのですね。親が子のほうにそのような支援をしたものについて、子が親のほうに製品などを納入しているときということを考えますと、ぐるぐる回りの現象が起きるのですね。それをきちんと対価でもって計算せんと、今度は子の納入価格のほうを大きくしなくてはいけない、こういう問題にもつながるのですね。それを寄附で仕切ったりなんかすると非常に複雑かつ難解なことになると僕は思いますので、この辺、答えは何も持ち合わせておりません。ただ、連結納税という制度を入れるに当たっては、今まで単体同士であったら一種の割り切りでもって処理できたものが、この辺をちょっと整理しておかなくてはいけない問題があるのではないかなということを今の議論の中から感じたのですね。
〇委員
事務局、どうぞ。
〇事務局
いわゆる子会社の支援損というのがありますね。窮地に陥った子会社。それは損金ということになりますので、ここの寄附金の議論とは別ではないかなとは思います。それは多分もらっても赤のままだからあまり関係ないのではないかなと。必要があればちょっと補足……。
〇事務局
ちょっとご議論の前提として一応最低限の話をひとつ補足させていただきたいと思いますが、先ほどからご議論出てますように、内部取引につきましては繰り延べる部分と消去する部分と2つがあるわけですね。連結財務諸表ではその2つをやっているわけです。連結納税制度におきましては、そのうちの繰延べだけを内部取引として調整するということになっているわけですけれども、今ご議論出てますのは、その繰延べの部分ではなくて、内部取引の消去の部分に関する話と関係して寄附金の話が今ご議論されているようにお聞きしておるのですが。
例えば片方が支払い利息出しますと、片方が受取利息出しますと、連結財務諸表ではこれは両方なしになりますよね。連結納税制度においてはこれは両方ありという前提で制度が各国ともできているわけですけれども、こういうふうに内部利益を消去するという話と、寄附金というのはいろいろなケースがありますが、例えば 100払わなければいけないときに 100払わなかったとか、あるいはもらわなければいけないときにもらわなかったとか、あるいは安く売ったとか高く買ったとか、そういうケースがあるわけですね。
だから、内部取引の損益を消去すべきかどうかという議論と、100やらなければいけないときに 100やらなかったと、こういう議論は性格がちょっと別ですので、そこのところは混乱してしまうと議論が非常にわかりにくくなるように思うのですね。だから、内部取引を損益を消去すればいいではないかという話と、確かに消去すれば損益はなくなるでしょうけれども、じゃ会社というのはその 100というのを、やるべきものをやらなくていいという話で、それで済むのでしょうかと。その辺はちょっと性格が違うように思うのですね。
だから、連結財務諸表制度と連結納税制度においては内部取引を消去するかどうか、する方法をとるべきかどうかという点が一つの議論として、論点としてあることは間違いないと思いますが、それとまた、例えば 100やらなければいけないものを100やらなかったと、それをそのままなしということでいいのかどうなのか、こういう話はちょっと性格が違う問題だと思います。
例えば離脱する予定の会社に負債を集めると。確かに集めるその反対勘定としては損益勘定が当然両方に立つわけですよね。損益勘定を消去すれば、それは損益としては両方表に出ないわけですけれども、それでは片方のそういう離脱する会社に負債を集めるということそれ自体は問題ないのかと。当然そういうふうにして会社の株式を譲渡すれば、株式は譲渡損が出るわけですよね。
だから、ご議論の前提としまして、内部取引の消去を行うべきか否かという議論と、わかりやすくいいますと、例えばもらうべきものをもらわなかったと、やるべきものをやらなかったという話というのはそのままでいいのでしょうかという話はちょっと性格が違うように思いますので、そこのところは少し別の角度からご検討いただいたほうがいいのではないかと思いますが。
〇委員
今の事務局のあれで思い出したことがあるのですけれども、これは先生多分ご存じだと思いますが、昔アメリカの連結納税制度について勉強したときに、あまり勉強してないのですが、かすかに記憶として残っているのですが、連結計算とは別に、移転価格みたいな調整について、親会社間と子会社間でちゃんとアームズ・レングスで取引が行われたものとして別建ての帳簿を用意しておくという、時価での取引が行われたものとして別建てに、子会社がいつ連結から離脱するかわからないので、連結納税とは別に個別の取引、適正に単体を前提として用意しておくという、たしかそんなのを何かで読んだような記憶があるのですが。それと同じ発想ということですよね。
〇事務局
そうですね。先ほどの棚卸資産の内部取引の繰延べなんかにはちょうど通ずる話ですけれども、ああいう話というのも、当然のことながら棚卸資産というのは取引の累積ですから、当然、取引が正しい価格で行われるということを前提にして初めて議論できる話ですので、先ほどの低廉譲渡もちょうど同じような関係で関連してくる話かと思いますけれども、アメリカのように、グループの中においても移転価格税制があると、そういうきちっとしたものを踏まえて期末の棚卸の内部利益を消去するとか、あるいは金額が高かった安かったとか、そういう議論とか、いずれにしてもその辺あたりを関連して議論されるものだと思いますので、そこは全体を踏まえて判断するということだと思いますね。
〇委員
今の事務局のお話というのは、説明資料の3ページでいうと一番上の単体所得金額のところにきちっとまず出てくると、こういうことになりますでしょうかね。それからいろんな調整が出てまいりますが、とにかく表にきちんとこういう形で数字が出て、あと必要に応じて調整を加えて一番下までいくと。その流れがこういうチャート図になるということですね。ありがとうございます。
〇委員
感想ですけれども、今先生に言われてしまったことの繰り返しですが、私も事務局が前のほうでおっしゃったことは、言葉を変えていえば、連結納税を設計する上での本質的な部分は何かということで、その一番本質的な部分というのは、一見矛盾するように見えるのですけれども、連結グループ内での内部取引にアームズ・レングス・ルールを厳守するということだと思うのですね。
なぜ一見矛盾するように見えるかというと、私も昔勉強して、先生ほど勉強してないですが(笑)、赤字の子会社と黒字の子会社があって、アメリカですと、合併すると両方が消せる。それから連結すると消去、わかりやすく言えば消せるのですね。しかし、黒字の子会社から赤字の子会社に対して 1,000円のものを300円で売りましょうと。これはだめ。 1,000円のものは1,000円で売らなければ売れない。なぜそこだけ厳しいかがよくわからなかったのですね。初めて勉強したときに。
しかし、その理由は、理屈の上でいうと、ここの最初のほうのページに、1ページか2ページかに子会社b、cというのがあるのですが、bとcだけだったらどうだということですけれども、bとcとの間では結局足せば同じですから、しかし、dというもう一つ子会社があった場合に、bとcだけで数字を変えることができますと、例えば 1,000円のものを1,500円で売ったとか、1,000円のものを300円で売ったとかいうのを自由に認めますと、その結果、非常に全体がずれてきてしまう。それはよろしくないということだと理屈の上では思うのですね。
したがって、1ページ目に書いてある「単体法人間の取引は時価で行う」というのは非常に重要な話で、日本は外のほうばかり、移転価格税制とか騒いでましたけれども、アメリカはこういう中でそれが貫かれている。
そのことはもう一つの側面があって、連結というのは出し入れ自由というか、要するに離脱が自由ですから、株を売る形でも離脱できますし、先ほどご説明ありましたように、上のほうが合併するとか、いろいろな形がありますので、離脱したときのことも考えなければいけない。常に法人格を全部で法人格否認して強制して縛りつけておくことはできませんので。その2つの側面からこのアームズ・レングス・ルールが要求されると思うのですね。
そうするとその先は、私も寄附金の性格をどういうふうに位置づけるかというのは複数の考え方があり得ると思うのですけれども、このアームズ・レングスの寄附とは何ぞやという、そういう連結のロジックから考えれば、これはおそらく、先ほど委員からご指摘あった出資金として扱うのか。ただ、これは擬制ですね。株は出ません。ただ、出ても出なくても同じ。特に 100%の場合には。さもなければ、なかったものとみなすということだと思うのですね。それが先ほどから委員もおっしゃった、要するに消去するということはそういうことだと思いますので、個別では認識することはあっても、連結との関係ではなかったものとみなすということになるのではないかと思います。
ですから、無利子の貸し付けとか何かにつきましても、あるいはそういうロジックで整理していけば、連結のほうの調整をやるということはあり得ると思うのです。それから援助みたいなものは比較的、これはそのままで特に問題はない。それはアームズ・レングスのものといいますか、ある種そういうものとして位置づけられるのかなと思いますけれども、いずれにしても、考え方としては、なぜアームズ・レングスのものが中で基準になるのかというところが制度をつくる上でかなりコアになるように感じます。
ちょっと理屈だけの話かもしれませんが。
〇委員
先ほど事務局が最後に言われた離脱予定子会社に一定の資産、負債を集めるというのは当然否認すべきことだというのは同感です。私が先ほど言ったのは結果的にそういうことを申し上げてまして、アームズ・レングス・プライスで親子間、グループ間でも測定するというのは当然の前提になると思います。それと乖離したとき、つまりそこに寄附が認定されたときというようなことになると思いますが、そのときの取り扱いをどうするかということに尽きるのかなと思います。親子間ですと、実務やっていて、委員もよくご存じだと思いますが、知らず知らずにアームズ・レングス・プライスを超えてしまうことはたくさんあります。実に。これはコントロールできないぐらいあると言ったらちょっとまずいことなのかもしれませんけれども、現実問題としてはあってしまうわけですね。
ですから、それを一々、100%子会社同士で否認すると、寄附として課税するというのもちょっとこの制度としてどうかなという気はいたします。もちろんわざとこういう離脱予定の会社に一定の資産、負債を集めるというようなことはあってはいけないことですし、これは否認すべきことだと思います。したがいまして、一つのアイデアとしては、そのアームズ・レングス・プライスを超えたもの、あるいは寄附として認定されたものについては、そのグループ内でとどまる限り、寄附として課税することはしないと。ただし、それを離脱したときに課税すると。
そこの技術で若干問題はあるかもしれません。例えば連結期間が5年、10年、15年という長い期間で、10年も15年も前の寄附をどうやって把握するのだということになってくると若干の問題が出て、一定の技術的な問題が出るのかもしれませんけれども、いずれにしても、グループにとどまる限り、そういうような寄附の損金不算入という規定はちょっと制度的になじまないのではないのかなという気がいたします。
〇委員
あといかがでしょうか。まだ意見の出ていない項目がありますでしょうか。事務局のほうで今までのところでチェックされてまだ論じられてないところというのは、交際費とか租特がありますけれども……。このあたりもじゃ一とおり、貸し倒れ、順番にやってご意見伺いましょう。
〇委員
一番最初に税率の点のご指摘があってご議論があったのですが、ちょっと確認というか、私が理解し損なったかと思いますが、例えば持株会社形態をとっていて、下に大企業があって、持株会社だけ見たら中小だというのはどうするというお話だったのでしょうか。
〇委員
そういう問題も起こり得るということで、これにどうするというのは……。
〇事務局
私、先生のご意見を聞いておりましたら、先生のご意見はグループの中で一番大きな法人が中小であれば全部中小だということですね。
〇委員
個人的には、そうです。
〇事務局
イコール、全員が中小であればということだと思ったのです。
〇委員
ここで結論を言うのはと思って……。
〇事務局
私も後で言おうかと思ったのですが、これは平成8年の法人課税小委員会でも税率のところに少し書いてますけれども、先ほど先生は、理屈として一体であれば、中小かどうかも一体で判断すべきだというお話だったのですけれども、中小の税率というのは別に理屈でできているわけではなくて、政策的観点から設けられているわけですから、連結を選んだところには、そこがもう基本税率を適用するという考え方も十分に成り立つのではないかと思います。
〇委員
理屈としては、事務局が言われるとおりあると思います。両方あると思います。なぜ中小法人に軽減税率をという、その趣旨に立ち戻って考えるときに、やはりこれは税ですので若干政策的な判断も必要なのではないのかなと。ということは、中小企業にとって、あるいはその団体にとって、連結納税が大企業優遇ではないかと根強い批判があるのも私も聞いておりますし、そういうことを考慮すると、やはり大企業優遇ということにならないためには、現行の理論的な枠内というものを、政策のですよ、政策の理論的枠内というものをある程度考慮する必要があるかなということを私は考えております。
〇委員
結論はいいのです。結論はいいというか、まだ理解してないのですけれども(笑)、理屈がよくわからないのです。理屈が通ればそれで結構なのですけれども。例えば一番上に中小がいて、自分1人の場合には軽減税率だったわけですね。100%子会社をくっつけた途端に軽減税率がなくなるというふうに今聞こえたのですけれども、その理屈が通ればそれはそれで結構ですけれども。ちょっと理屈を整理して……。
〇委員
回避行為の……。
〇委員
回避と言い出すと、それは後のほうで議論した寄附金からすべてについて回避行為はだめなのですね。ですから回避行為はいけないことなので、それ以前の、まず筋、連結納税制度のあり方としての理屈としてやはり筋が通っている必要が私はあると思うのですね。それぞれの項目。その上で、回避行為は当然禁止、防止しなければいけないことですので、ちょっと回避かどうかという話とは別に理屈を立てていただきたいという気がいたします。
〇委員
今の場合、さっきちょっと話が出たように、一番大きいのが高い税率の不適用になり得る法人であれば、全体が高い税率の適用法人だという考え方が1つあるわけですね。また委員がそれで少し気になられるのは、大きいのが大きいのになるのはいいとしても、小さいのは政策的に中小企業税制あるのだから、中小税率もあるのだから小さいので判定してくれと。だから、そこには意見が結局2つあって、高い税率、基本税率高いので、全部を課するけれども、中の小さいのは中小法人で課するという考え方とがあって、あとはあなたはどちらをとりますかということでしかないような気がして、私は大法人が中にあるのだったら大法人というほうですけれども、もう一つの意見は、中小法人は依然として中小法人という意見の人がいらっしゃるかもしれないということではないかと思いますが。
〇委員
よろしいでしょうか。
それでは、大分時間も押し迫ってまいりましたが、やはり確認しておいていただいたほうがよろしいと思います。今、寄附金までまいりましたので、2以下、貸倒引当金、それから交際費、さらに特別税額控除、これは少し色がついて、色といいますか、方向づけがなされてますが、こういったものについてもご意見があればいただきたいと思いますが、貸し倒れは最初のころにすでに……まだでしたかね。 何かご意見いただければありがたいのですが。
〇委員
特に租特にかかわるものの扱いなのですけれども、交際費だとか、寄附金だとか、貸倒引当金というのは、私、こういった考え方でいいと思うのですね。ただ租特は、これは一等最初に政策、税制の設立の趣旨に照らしてというのがどこかにあったと思いますけれども、制度の趣旨を踏まえというのがあったと思いますが、これはやはり個別にやらざるを得ないのではないかという感想を実は持っておりまして、特に試験研究費なんかは、研究開発オリエンテッドな会社というものをどんどん育てていこうということが、そういう政策が趣旨だったと思うのですね。
連結してしまって増加試験研究費の枠を設けるということになると、例えば同じような会社があって、それが非常に競争しているというときに、連結に入ることで競争力がなくなるというようなことは、当該会社にとってはおそらく選択できない話になると思うのですね。租特のよしあしは別ですよ。こんなの全部やめてしまえばこんな問題は起こらないのですけれども。ですから、試験研究という、研究開発オリエンテッドな会社については、少なくともいろんな競争の条件がイコール・フッティングだというのが非常に大事なことだと思うのですね。租特はすぐれて政策税制ですから、政策税制にかかわる租特はやはり個別のベースの議論だろうというのが実感です。
〇委員
今おっしゃったことに賛成ですけれども、個別の企業の戦略として何をやるかが、個別の企業が連結で一緒になったときに連結企業の戦略というのはどういうものがあるのか。だから要するに、相当、企業戦略的にここの会社がやるということでやっているわけですから、それを全部に適用してしまうと非常にイメージがはっきりしなくなりますよね。租税特別。だから、おっしゃるご意見に賛成で、という印象を持ちますけどね。
〇委員
釈迦に説法ですけれども、連結しようというのは、連結にぜひしてほしいということはただ1点でありまして、我々は分社したりそういうことで、事業の実態にあわせて経営組織を考えていこうということなのですね。これからどんどん分社したりして、いろいろ違う事業がありますから。ですから、そういうときに課税の中立性を確保していただければいいということなのです。
ただ、さっき言ったように、せっかく分社してやろうとしても、特に研究開発オリエンテッドな会社、これはもうとても一体では無理だと、分社してやろうと。しかし、これは連結納税の対象だというような。だけど、ほかにもそういう会社いっぱいあって、片方は便益を受けられて、片方は連結納税の中で便益を受けられないというのはちょっとやはりまずいのではないかと。そういうことであれば、それはもう連結しないということになると思うのですね。
〇委員
全部個別にやるのだったら、租特みたいなのを個別に使わせろということですな。
〇委員
租特はですね。政策税制は。
〇委員
だから政策税制をやめれば一番はっきりする。
〇委員
それは一番はっきりする。
〇委員
そういうことでしょうね。
〇委員
政策税制ですので、国の産業をよくしようということで多分、多分じゃなくて、動機としては大部分がなっているものだと思うのですね。ですから、そういうものについて、例えば、ここの連結納税の趣旨としては、事業部として、全体を一つの会社のように擬制してやるというのが大きな建前ですので、そうであったとしても、増加試験研究費を控除して試験研究費を増加させるべきだというふうに判断させるような租特の規定については、これは当然個別で判断してやるように逆に規定すればいいわけだと思うのですね。租特の個別の規定の性質に応じてやはりやるべきかなと。連結になっても個別でやるほうが産業育成に非常に効果あると思えばそうなるでしょうし、逆にそのことがほかとのバランスからいって極めてぐあい悪いと思えば、これは連結総体でもってやるように規定すればいいわけですので、それこそ規定の仕方いかんによるのかなと、私は率直な感想を持っております。
それ以外の部分、貸倒引当金とかそういうものについては全くこの原案のとおりに賛成でして、特に問題点というのはないものと考えております。
〇委員
租税特別措置について、子会社をつくるとその分だけ、一粒で何度でもおいしいというのはそもそもおかしいのではないですか。つまり、子会社aも租税特別措置、子会社bも租税特別措置、子会社cもと。1社でやったら1回しかとれないのを、子会社をいっぱいつくるといっぱい使えてしまうという制度自体が、つまり、今の租税特別措置法がおかしいと。
〇委員
それはいいですよ。別の話ですよ。
〇委員
いや、別ではないのではないですか(笑)。連結、一体だったら、1個だったら、いや、理屈の問題だけから言うとそういう考え方もできるのではないですか。どっちがいいか私はわかりませんけれども。
〇委員
さっきのは例があまりよくなかったのですが(笑)、100%子会社が外にあるというふうに考えていただいたほうがわかりやすいと思いますね。
〇委員
いっぱいつくると。
〇委員
それはだから、連結したいけれどもできないということになってしまいますよね。連結することで租税特別措置法の恩典を受けられなくなるというケースがあるのではないですかということです。
〇委員
もともと事業部でやったら1個しか受けられないのではないですか。だから……
〇委員
いやいや、100%子会社の外にある場合に連結しないということになりますよ。
〇委員
既得権だということですね。わかりました。
〇委員
いやいや、手放したっていいのですよ。しかし、ほかにもそういう会社があるのだから。同じ便益を受けている会社が。それはイコール・フッティングでなくなるではないかと。
〇委員
私も、何かよくわからないのですけれども、理屈で個別に計算するということは、個別に計算はするけれども、最初に表にありましたように、だから再配分して連結の中で考慮するということですから、税率でも同じ話があったと思って、理屈としては、1つ中小の軽減税率を受けている法人があるとしますと、中に入るとだめで、結論は私は先生のでいいと思いますけれども、外に置いておけばいいというのは税額控除と似たような話で、税率についてももう一遍、税率段階で3段階、再配分するかというのはロジカルにはあり得るわけですね。ですから、税率の場合の話と税額控除の場合の話というのは私は理屈は別であるべきだと思ってまして、そこは政府税調としては、私としてはきちんと出していただきたいと思います。もしそういう方向でいくのであればですけれども。
〇委員
ありがとうございました。ではこれを最後に……。
〇委員
いつもラストバッターみたいで。きょうの議論の中で、いわゆるかたくなな方向で持っていくのがいいのか、それともフレキシブルな方向でやるのがいいのかということも、いろいろなお話の中にあったと思うのですね。それがこの前の6月1日のときの基本的なフレームの中において、強制加入、しかも離脱、かなり不便かつ適用期間なしというような、非常に制度的に、一たん連結納税を選択してしまうと動きがとれないということになりますと、今みたいなもの、個別制度はかなりフレキシブルにつくらないといけないと思うのですよ。
ところが、加入は任意であるとか、あるいは適用期間を一応切って5年なら5年で見直しをするよということになると今度は多少制度が、入った以上は一体経営なのだと、一体経営に徹するから、個別経営が持っていたメリットは受けられないのだというぐらいな、総合方向性といいますか、こんなものもある程度必要ではないかと思っているのですが、次の機会にもまたいろいろと言っていただきたいと思います。
〇委員
ちょうど時間になりまして、非常に活発なご意見をいただきましてどうもありがとうございました。議論はまた次回も機会がありますので、思いついたところにつきましてはまた次回いただきたいと思いますが、次回はまた参考資料1のところの最後の4つ、租税回避、税収減の問題、他の税目、それと地方税、この4点を中心に引き続き検討いたしまして、合わせて全体をもう一度見直すという形にさせていただきたいと思います。日程はまだ決まっておりませんが、早めにお知らせするようにいたしたいと思います。
それでは、本日は非常に暑い中をお集まりいただきましてどうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
〔閉会〕
(注)
本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。