第12回法人課税小委員会 議事録

平成13年5月11日開催

委員

第12回法人課税小委員会を開催させていただきます。

本日は、フランスの連結納税制度について、実務的な観点を踏まえましてヒアリングを行いたいと考えております。もう一点は、3月に成立いたしました企業組織再編成に係る税制について、事務局からお話をしていただくということでございます。

まず第一に、昨年、この小委員会でもずいぶん時間をかけましたが、会社分割、合併といった組織再編成につきまして、「基本的考え方」をとりまとめていただきました。それをもとに、平成13年度税制改正法案として国会に提出されまして、3月28日に無事成立いたしました。この点について、あとで事務局より御説明いただくということです。

それから、フランスのほうのヒアリングですが、調査に行かれた先生方を忘れてしまってあれですが、フランスのほうにもすでに調査に行って、委員に御説明いただいたところだったわけですが、だんだん具体的にしてまいりますので、改めて、実務的な観点から見たらどうだろうということで、本日は、アーサーアンダーセンのパートナーのおふた方に御説明をいただくことになっております。よけいな話ですが、アーサーアンダーセンは、名前を変えてアンダーセンとなったそうです。

それから、議事録の公開、この点につきましては、本委員会、総会で議論いたしました。昨年12月13日の総会で、議事録を公開することになりまして、具体的にはインターネットになると思いますが、そちらに議事録は公表していく。ただ、たしか総会は名前入りだったかと思いますが、小委員会につきましては、発言者の氏名は明示されないということですので、特に御発言がシュリンクしてしまうというようなことがないようにさせていただきたいと思っております。

それでは、本日の議題、まず第一に、企業組織再編成の税制について、事務局に15~20分、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局

それでは、昨年御議論いただきまして、今回の13年度税制改正において整備させていただきました、分割、合併等の企業組織再編成に係る税制について御説明申し上げます。資料は、後ほど「法小12-1」というのを用いまして、内容について御説明申し上げたいと思いますけれども、まず、時間的な経緯から御報告いたします。

昨年のたしか3月17日だったと思いますけれども、法務省に来ていただいて、商法の改正案についてヒアリングをしていただいたのが、本格的な検討の初めだったと思います。それから、海外調査の報告等も含めまして、数回御議論いただきまして、昨年10月2日の小委員会で、「会社分割、合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方」というのをとりまとめていただいたところでございます。その翌日の10月3日に、その「基本的考え方」を政府税調の総会にお諮りいたしまして、了承を得たところでございます。

その後、事務局、我々で内容の詰め、条文化の作業を行いまして、具体的には、二つの法律、「法人税法等の一部を改正する法律案」、「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」、自治省のほうにも「地方税法等の一部を改正する法律案」がありますけれども、に条文化したわけでございます。年が明けまして、今年の2月6日にこれを閣議決定いたしまして、国会に提出させていただき、3月2日に衆議院通過、3日28日に参議院で可決成立の運びとなったわけでございまして、この4月1日から行われます企業組織再編成について、新しい税制が適用になっているところでございます。

具体的な中身は、もう御議論いただいた中身ですから、簡単にいたしますけれども、「法小-12-1」をごらんいただきたいと思います。表紙をめくっていただきまして、この新税制の背景ですけれども、国際競争の激化等、我が国企業の経営環境が著しく変化しているということで、企業組織の再編成を含む改革が課題だということで、そのインフラとして、柔軟かつ機動的な企業組織再編成を可能にする法制等の整備、具体的にはこの4月から施行になりました改正商法、これによりまして会社分割が新しい商法に盛り込まれる。そういうものの創設に合わせまして、新たな税制の枠組みを構築したということでございます。

2ページ目は、よくごらんいただいた表でございます。企業組織等に関連します法制企業会計の改正の動向。四角で囲っておりますところが、税制が対応してきたところでございます。

飛ばしていただきまして、3ページ目、この基本的考え方が、まさに去年秋、とりまとめていただいた骨格になるわけですけれども、企業の組織再編成による資産の移転取引等に対し、実態に合った課税を行うという点。それから、法人においては、移転資産に対する支配が継続している場合、株主におきましては、投資が継続している場合、そういった場合には課税関係を継続させる。具体的には、課税を繰り延べるという基本的考え方でございます。

4ページでございますけれども、これも基本的考え方に盛り込まれていることでございます。新しい商法に会社分割という制度ができるわけですけれども、それだけではなくて、合併とか、現物出資とか、組織再編成に係る税制の整合的な整備をやっていこうというのが今回の考え方でございます。なぜかというのが、この二つのマルに書いてあるわけです。思い出していただければ、会社分割というものは、合併と法形式は異なるのですけれども、経済実態が全く同じなものがある。分割型の吸収分割と合併、あるいは、分社型の新設分割と現物出資というものでございます。

もう一つ、改正前の税制では、経済実態が同じであるにもかかわらず、課税上の取扱いが異なるものがあったということで、例えば企業買収を営業譲渡で行えば課税がなされるのに対し、分割で行えば課税の繰延べが可能であった。そういったことがございまして、合併・現物出資等の既存の税制も改めて見直して、全体として整合的な考え方に基づいて新税制を整備したということでございます。

5ページ、6ページは飛ばしていただきまして、6ページは、従来ごらんいただいている、この4月から施行になっている商法の会社分割の形態の概要でございます。

7ページをごらんいただきたいのですけれども、今回の課税上の取扱いの基本的枠組みを表にしてお示ししたものでございます。課税の取扱いが問題になるのは、法人のレベルと株主のレベルと二つあるわけですけれども、法人につきましては、合併なり会社分割なりするときに資産が移転する。そういうときの資産の譲渡損益をどう取り扱うかという問題がございました。これは、原則、移転する資産に対しては譲渡損益を計上する、課税だということでございますが、特例として、新しい税制では、適格合併とか、適格分割という言葉を使っているわけですけれども、適格な組織再編成の場合には計上(課税)を繰り延べるという枠組みにしております。

株主のレベルでは、旧株と新株を交換という形になるわけです。旧株の譲渡損益について原則は計上であるけれども、株式だけを旧株主がもらう場合には、課税の繰延べをするという枠組みにしております。さらに、新しく株をもらった、あるいは資産をもらった中に、利益に当たる部分があれば、それは配当とみなし、原則は発生するけれども、法人のレベルで、移転資産の譲渡損益が繰り延べられるような適格組織再編成の場合には発生しない、こういった大きな基本的枠組みをつくったわけでございます。

8ページ目でございますが、では、適格組織再編成の要件とは何かということで、これも、おとりまとめいただいた基本的考え方に盛り込まれていたものを具体化したものでございます。区分のところをごらんいただきたいのですが、企業グループ内の組織再編成と、共同事業を営むための組織再編成と、大きく二つに分けまして、企業グループ内の組織再編成、具体的には、持分割合が50%超であれば、独立した事業単位の移転。この中身は、主要な資産・負債が移転するということと、人のメルクマールですが、従業者数の概ね80%以上が移転するという要件。それと、移転した事業が継続するという要件を付す。こういったことが満たされれば、課税の繰延べができる適格組織再編成になるという仕組みにしたわけでございます。

なお、持分割合が100%である場合には、上記の[1]、[2]は不要ということにさせていただいております。

もう一つのカテゴリーであります、共同事業を営むための組織再編成ですけれども、共同事業という中身が、そこに書いてありますように、事業の関連性があることに加えまして、大きなカッコで括ってある、規模が著しく異ならないこと、または常務クラス以上の役員の経営への参画、これのどちらかが満たされることとしております。その場合の要件としましては、企業グループ内の組織再編成と同様の[1]、[2]の要件に加えて、移転した資産の対価として取得した株式の継続保有という要件を付してございます。

なお、欄外にございますが、これも基本的考え方で盛り込まれているところでございますが、対価として金銭が交付された場合には、通常の資産の売買だろうということで、原則どおり譲渡損益を計上することになっております。

9ページ、10ページは、企業グループ、共同事業を営むための組織再編成のイメージ図でございます。9ページは、持株会社の中に法人部門、個人部門、ぶら下げているような銀行のグループがあるとすると、それを法人部門なら法人部門でまとめるときに、会社分割という手法を使うという例でございます。10ページで申しますと、例えば左の図ですけれども、A社、B社という会社の中から同じような事業を行っている部門を出して、新設分割という格好で新しい会社を共同でつくることが、共同事業の一つの例だという図でございます。

以上が、大枠の、どんな場合に繰延べができるかという要件のお話だったわけですけれども、11ページにまいりまして、いろいろな引当金とかございますけれども、では、それはどうやって引き継ぐのかというところも整備をする必要があったわけです。基本的な考え方として、適格組織再編成の場合には課税関係を継続するということで、各種の引当金は原則として引き継ぐ。そうでない場合には、他の法人への資産の譲渡と同じなので、原則として引き継がないという整理をいたしております。

12ページも、おとりまとめいただいた基本的考え方で御議論もいただき、とりまとめの中に書かれていることでございます。いろいろな組織再編成の手段、手法が会社分割ということでそろいますので、複雑多様な方法を駆使して租税回避の手段として乱用されるおそれが大きい。租税回避の防止措置を講ずるべきであるということで、二つ書いてございます。

一つは、繰越欠損金・含み損の使用制限、もう一つが、包括的な租税回避防止措置ということでございます。ここは若干細かくなりますので、少し省略させていただきますが、[1]のほうは、先ほど申しましたように、企業グループの中に入ってきますと、適格組織再編成ということで、合併の場合には、今回、繰越欠損金の引継ぎを認めることになります。繰越欠損金を持っている会社をわざとグループの中に入れて、それを利用するような組織再編成が行われるおそれがありますので、その使用制限の仕組みをつくったわけでございます。

具体的には、13ページにございます。一つだけ申し上げますと、新たにグループ内法人となった法人のグループ加入前に持っていた繰越欠損金については、例えば、適格組織再編成に当たり引継ぎを制限する。あるいは、加入後、繰越欠損金が出たけれども、もともと含み損のある資産をそのときに実現して、それが出てきたのだと考えられる部分の金額はやはり引継ぎを制限する、こんな措置を講じております。

以上、簡単ではございますけれども、新しい企業組織再編成に係る税制の御報告をいたします。

ちょっとあと先になりますけれども、国会の議論で出た質問なども御紹介しておきたいと思います。一つは、先ほど説明しましたけれども、8割以上の従業員の承継を適格組織再編成の要件としているわけでございます。これは、人員削減を税制面で支援することになるのではないかとか、あるいは、企業組織再編成に係る税制措置は大企業優遇ではないか、というような質問がありました。

財務大臣のほうからは、今回の改正は、柔軟な企業組織再編成を可能とするための商法改正が4月から施行されるのに合わせて、企業組織再編成全体の税制を整備するものであって、一部の企業のみを優遇するものではありません。従業員の承継についての要件は、通常の資産の売買と区別するための基準であって、企業にリストラの手段を与えるという性格のものではない。むしろ国際化が進む中、企業が円滑に組織再編成を行うことで、雇用の安定と改善に寄与するものと考えている、といったような答弁がなされております。

もう一つ紹介しておきますと、共同事業の場合の適格要件で、規模が著しく異なる場合でも、双方の企業の常務クラスの役員が経営に参画するということであればいいという要件があるけれども、仮装的に就任するといったような悪用がなされる懸念はないのか、執行面でも厳正に行うべきではないか、という質問がございました。これに対しましては、分割等の企業組織再編成は対応が区々である、したがって、課税逃れに使われないように一般的な規定も置かれている。後日、仮装的に短期間だけ常務クラスの役員にすることが判明したような場合には、適格組織再編成に該当しないということで、適切な課税処理を行うことになる、といったような答弁がなされております。

それで、先ほど3月28日に成立したと申しましたけれども、具体的にはお手元に、番号は付しておりませんけれども、「法人税法等の一部を改正する法律案要綱」、「租税特別措置法の一部を改正する法律案要綱」、「地方税法等の一部を改正する法律案要綱」が置いてあります。適格組織再編成等の要件も含めました骨格につきましては、「法人税法等の一部を改正する法律案」に入っているわけですけれども、これにつきましては、与党3党のほか、民主党と自由党からの賛成も得て成立したということでございます。

以上、企業組織再編成に係る税制についての御報告です。このあと、フランスの連結納税制度の概要について御説明をお聞きいただくわけですが、「法小12-2 資料-連結納税制度-」ということで、連結納税制度関係で、我々事務局がこれまでにこの小委員会にお出しした資料をまとめて置かせていただいております。

その中で、12ページに、一昨年の9月になりますが、フランスの連結納税制度について簡単に御説明した資料を載せております。記憶を呼び覚ますために、簡単にポイントだけ私のほうから触れさせていただきます。連結納税申告の選択ですけれども、フランスの場合は、必ず連結をしなければいけないということではなくて、連結納税申告を選択できる。それから、連結納税申告の選択は5年間有効。アメリカは基本的にずっと継続が原則ということだったと思います。

連結グループの範囲ですが、ポイントは、95%以上の株式保有関係であることと、子会社は連結納税申告の対象法人となることに同意したもの。したがって、親が子を選べるということでございます。それから、選択後も任意に離脱できるということ。

1ページめくっていただきまして、13ページ。ポイントは、単体所得をそれぞれの子会社が計算して、それに連結調整を行って連結の課税所得を計算し、それから税額を計算するという流れになっております。フランスの場合、連結納税申告書の提出、税額の納付について、親会社が一元的に義務を負っているというのが特色となっています。

その他のところですけれども、親・子の事業年度は同一でないといけないとか、アメリカの連結納税制度につきましては、投資修正といった、連結納税制度に連動して子会社株式の帳簿価額を修正するという制度があるわけですけれども、そういう制度はないというのが特色かと思います。

そういったことを念頭に置きながら聞いていただければと思いますし、16ページ以下には、一昨年の11月にとりまとめていただいた主要検討項目をおつけしております。これらもごらんいただきながら、ヒアリングをしていただければと存じます。

以上でございます。

委員

ありがとうございました。ただいまのが、この3月28日に成立いたしました法人税法の改正でございます。この点は、特に御質問などはなく、御報告だけでよろしいでしょうか。既にでき上がったものでございますので。

それでは、きょうのもう一つの議題でございますが、フランスの連結納税制度についてお話を伺いたいと思います。先ほど事務局から、前に検討したときの資料を御説明いただきましたが、きょうは、実務の上での観点を踏まえてということで、フランスの制度を中心に、場合によってはアメリカと比較しながら御説明いただきたいと思っております。

アーサーアンダーセンのパートナーでいらっしゃいますおふた方は、東京のアンダーセン税務事務所でパートナーとして国際税務に携わっておられます。きょうは、お忙しいところをありがとうございます。

では、よろしくお願いいたします。

参考人

御紹介いただきましたが、簡単に自己紹介をさせていただきますと、私、つい最近、ニューヨークから東京に戻ってまいりました。過去10年間、米国で税務業務に従事しておりまして、今回、フランスに関する経験は私自身ございませんけれども、米国での経験等を比較しながら御説明させていただきたいと考えております。

フランスの税制は、日本の税務と異なっておりまして、単体ベースの申告がどのように行われているかというところからそもそも違っております。今回、連結の部分に焦点を当てて御説明させていただきますけれども、もしかしますと、きょう、十分に御説明できない部分もあるかと思います。そのような場合には、持ち帰りまして、後ほど御説明を追加的にさせていただきたいと考えております。それでは、時間も限られておりますので、早速御説明のほうに入らせていただきたいと思います。

まず、現行制度について、これは、フランスのゼネラル・タックス・コード223 A~Uに定められております。1988年1月1日から導入。従来から連結納税制度自体ありましたけれども、非常に厳格な要件が課されておりまして、その要件を緩和する形で、当局の承認を得ずに申告が可能になったという経緯がございます。制度の導入時に関しましては、特にトランジショナリーなルールは設定していない。いわゆる経過措置等の適用はなかったと聞いております。実際にその制度適用時にあった欠損金については、新しく連結グループに入るときに適用されるルールと同様のルールがそのときに適用されたということです。

現行制度は、企業の経営組織に対する税制の中立性を確保すること、そして、フランス企業の競争力強化を目的として導入されております。原則として、法人のすべての所得がフランスの法人所得税の対象となっている法人に対してのみ適用となります。フランスの場合には属地主義をとっておりますので、国外で業務を行っている法人等については、一部の所得について、フランス国内で課税の対象になっておりません。そのような法人に対しては原則的に連結グループの中に含められない、こういうことでございます。

参考までに申し上げますと、別の条文、220条の規定で、フランス税務当局の承認を得ることにより、外国法人を含めて全世界の子会社に対して連結を適用するという制度も認められております。実際には、それほど数多くの法人が適用しているということではありませんけれども、実例としてはあるということです。

あと、外国法人のフランス支店とフランス法人の連結も例外として認められているということです。ちなみに米国の場合には、原則、米国法人というふうに限定されております。特殊な事情がある場合には、メキシコ、カナダの法人を含めるということもありますけれども、通常の場合には米国法人に限定されているという点で、フランスと米国の制度は多少異なっていると思います。

一定要件を満たす同一グループ内の法人は、個別申告に代えて連結納税申告の選択をすることができます。

95%の持株要件が、連結の一つの要件になっておりますけれども、これは、実務上の必要性に鑑みて設定されたという経緯がございます。もともとの立法者は、100%に限りなく近づけることを目指したそうですけれども、ほとんどのフランス法人は最低でも2人の株主を必要としていること。また、最も一般的なSAでも7人の株主を必要としていることから、妥協点として95%が設定されたというふうに聞いております。

持株要件を比較的高くするというのは、少数株主に対する保護という観点からも必要であったということを、うちのフランス事務所のほうから連絡を受けております。納税者は、グループ企業のオペレーションに対する課税の中立性を確保する目的で連結納税を行っているのが一般的です。

その次のカッコの中に「関連会社間取引」と書いてありますけれども、ここは、「グループ企業間取引」というふうに御訂正いただけますでしょうか。これは、用語を統一するというそれだけの意図でございます。

中立性に関しては、企業間取引に係る課税の繰延べ、さらに、グループ企業間の損益通算を中立性という言葉であらわしております。より具体的には、例えば債務免除、あるいは、損失のある法人に対して補助を行いたいといった場合に、連結納税が認められていない企業間の取引ですと、片方で益金算入をされると同時に、片方で損金不算入の適用を受ける。こういうアンバランスな取扱いが現行法であるのですけれども、連結グループの中に入っている場合には、原則、ニュートラライズ(中立化)されるということで、そのような手段に対しても有効であるということです。

ちなみに米国の税制上は、連結のグループ内での債権債務の免除の部分についても、やはり相殺しますという規定があるのですけれども、いわゆる債務免除、補助する場合には、米国の税法上は108 条という条文がございます。債務超過の場合、債務超過の金額まで債務免除については課税所得の中に繰り入れない、あるいは、資本金に組み入れた場合には、当然のことながら非課税として取り扱われるという規定が、連結のルールとは別個用意されております。そういう意味では米国の税法上のほうが、グループ間企業の取引に関しても手厚い保護がなされているのではないかというふうに思います。

地方自治体では、法人所得に対する課税が行われておりません。フランスは地方税がございません。そのため、連結納税を行うことによる地方税への影響がございません。米国の場合には各州が異なったルールを定めることができますので、そういう意味では、連結を行うことによる影響が多少出てくるのですけれども、自治体の申告業務という意味では、連結グループ内の各法人が単体ベースの申告書をつくりまして、その申告書を各州税のスターティングポイントとしています。

多くの州の場合には、連結課税所得を州税の計算のスターティングポイントにしておりますので、米国の税法上も単体の申告書を作成する必要性がございます。あと、フェデラル・コンフォーミティー・プロビジョンといいまして、連邦税制で規定されている制度をそのまま取り込んでいる部分が多うございますので、実際に課税所得の計算をするときに、独自の計算を最初からするということではなくて、一度、連邦税の課税所得を計算したところから各州に必要な調整を加える、こういう手続きをとっております。そういう意味で、フランス、米国ともに、単体ベースでの申告書は作成されております。

現行制度に関するコメントということですけれども、持株要件を90%に下げてほしいという強い要望が実務界にありまして、実際には、長期にわたってロビー活動が行われていると聞いております。

グループ内法人の組織再編(合併、分割等)が行われた場合、消滅法人が課税年度開始時に遡及して連結グループから除外されたこととなります。この際に、中立性の観点から、繰延べ、あるいは相殺されていた所得の一部分が実現することになりますので、合併、分割といった組織再編の観点から、現在の連結納税のルールが実情に適していないといった指摘も実務界のほうからなされているところです。

現行法上、5年間の連結納税期間中については、課税年度の変更を行うことができません。この点についても、変更してほしいという要望が出ていると聞いています。

このページで追加的にコメントさせていただきますと、米国の場合には、連結グループが一度外れますと、5年間は中に戻ってくることはできません。フランスの場合には、外に出てもまたすぐに戻ることは可能です。ただ、現行のルールの中では、グループ外に出た時点で実現した繰延べ利益の部分について、もう一度繰延べの効果を適用できるかというと、そういう効果はありません。一度出てしまうと、過去繰延べていた部分については実現してしまいます。戻った時点では、もう一度フレッシュスタートというところで制限が加わっております。

連結納税の条件・範囲ですが、連結納税を行うことに合意した子会社の同意書を添えて、連結納税の申請を連結事業年度開始前に行うことが必要となります。株式所有を通じ、議決権及び配当に対する権利の双方の95%以上を直接、間接に所有することが連結グループ構成の要件となります。

米国の税制では、80%で、内容的には議決権とバリュー(価値)という概念が導入されています。今後、日本企業も、例えば優先株を数多く発行するとか、トラッキングストックを発行するといったような実務を考慮した場合に、議決権、配当権、配当権の部分で縛りを入れるということは、企業の活動に対して制限が加わるのではないか。そういう意味では、価値の概念を導入しているアメリカの税制のほうが、より柔軟であると言えるのではないかと思います。

あと、親会社が他の法人に発行済株式の95%以上を直接、間接に保有されていないということが必要です。当然のことながら、親会社が95%所有されていますと、他のグループの子会社ということになりますので、一つのグループの中に二つ以上の連結グループをつくることはフランスの税制上は認められておりません。

例外規定として、法律上の要請で一瞬95%を超えたというような場合には、所定の要件を満たすことによって、従前どおりの取扱いを行うことが認められております。

子会社の連結のほうですけれども、持株割合が95%を下回った場合には、課税年度開始の日に遡及してグループから除外されることになります。持株低下の理由が、従業員によるストックオプションの行使である場合には、例外規定として、年度末までに持株要件を回復している限りにおいて連結グループ除外の適用はございません。

期中に95%の持分を取得した場合には、連結納税は翌年からの適用となります。米国は、期中の参加・脱退を認めております。ただ、日本の場合、確定決算主義との関係がありますので、途中の事業年度を区切ることには無理があるのではないかと思います。

連結納税を行う法人の課税年度は、フランスも同一である必要があります。親会社は、課税年度終了前に翌課税年度に連結納税を行う子会社のリストを課税当局に提出する必要があります。リストの提出が行われなかった場合には、前年のリストに記された法人が連結の対象となります。

フランスの場合、申告期限は3カ月です。決算日終了後3カ月以内に申告を行い、申告期限の終了した翌月の15日までに納税を行う必要がございます。連結納税と単体の納税とでは、申告期限に違いはございません。ですから、一般的なグループ会社の合意事項としまして、子会社に対して一定の期日を設定しまして、いついつまでに子会社の課税所得を確定するようにということが、グループ間の中の合意事項としてなされているというふうに聞いております。

連結調整項目との関係から、子会社のほうから連結調整に必要な情報を吸い上げる手続きを導入しているということです。例えば、インターカンパニーのサブシディー(補助)があったり、免除があったりした場合、一定の内容のものについてはスケジュールを付けることを要求されております。そういう意味では、日本の税制上も、別表等を作成する形で対応する必要があるのではないでしょうか。

それから、グループの会社の中で申告の期限との関係で問題になっているのが、税金の支払いの資金をどうするのかと。多くの場合、親会社から子会社に対して請求書が出されて、子会社のほうからその資金を親会社に拠出するような形になっています。日本の場合も、純粋持株会社等が増えた場合、その納税資金をどのように拠出するのかということについて問題になる可能性がありますので、その辺の対応も考える必要があるかと思います。

決算年度に関して、補足いたしますと、12月末法人に関しては申告期日が4月30日まで延長されております。

次のページ、お願いいたします。連結納税グループの課税所得の計算。連結納税グループ内の各法人の単体所得をまず合算しまして、連結に係る調整を行い連結課税所得を計算いたします。連結に係る調整に関しては、グループ内法人の営業損失、譲渡損失に係わる調整と、連結納税グループ法人間の取引に係る調整に大別されます。

「単体所得を合算し」ということですけれども、各子会社は単体の申告書を所轄の税務署に提出する必要がございます。これは、実務的な観点からいきますと、持株が変動した場合、年初にさかのぼりまして連結グループから除外されるというルールがございますので、あとから調査の過程で、グループ外に含められないといったような場合も含めて、各子会社の申告が必要となっていると聞いております。

各所轄の税務署では、申告の時点で、法人が連結納税を行っているかどうかを必ずしも確認はしていないというふうに聞いております。

次のページをお願いいたします。二つの大きな調整項目のうちの一つ、グループ内法人の営業損失・譲渡損失に係る調整。これは、連結納税期間中の営業損失、譲渡損失は基本的にすべて親会社に帰属するため、各子会社で損失の計上は行われません。

1992年の税制改正でなくなりましたけれども、従前は各子会社で発生した連結期間中の欠損金のうち使用されなかった金額について、子会社が連結グループを脱退するときに持っていけるというルールがございました。この際には、未使用欠損金の150%を親会社が所得として取り込むことが要件とされておりましたが、このルール自体は92年の改正でなくなっております。現在は、欠損金に関してはすべて親会社が引き継ぐことになりますので、各子会社は連結グループを脱退するときには、自己の欠損金であっても、それが仮に連結納税期間中に使用されていなかったとしてもグループ外に持っていくことはできません。

ちなみに米国の税制の場合には、選択をすることによって子会社の欠損金を連結グループに再帰属させることができます。1502条-20(g)というセクションで、リ・アトリビューション・ルールという、選択を行うことによって子会社の欠損金を親会社に再帰属させることが認められております。

連結納税グループ加入前に発生した営業損失、譲渡損失については、各子会社で使用することが原則となります。したがいまして、連結グループの他のメンバーの所得に対して適用することは認められません。

米国の税制上は、SRLYルールという非常に特殊な計算を行うルールがございます。米国税制上は、当年度の課税所得損失をグループ内で全部相殺した上で、なおかつ損失法人が所得がある場合に限って、連結グループ加入前損失の使用が許されています。フランスの場合には、まず最初に、自分の連結加入前欠損金を合算前の課税所得と相殺することが認められています。その上で各グループ子会社の所得が合算される。そういう意味では米国とは順番が逆になっております。

ただし、フランスの場合には、単体の申告書の作成上は欠損金の適用を非常に有利に行うことができます。まず、減価償却を計算する前の課税所得を計算して、そこに繰越欠損金がある場合は繰越欠損金を適用して、なおかつ、所得がある場合には、その所得の範囲で減価償却を計上します。損失を喪失するような形での減価償却の金額は、将来は期限なしで繰延べができることになっておりますが、連結グループにひとたび入った場合には、この順番が変わりまして、通常の所得を計算して、減価償却を計上して、そこで課税所得があった場合にはじめて、過去の年度からの繰越欠損金の使用が認められる、こういう順番になります。

ですから、単体で利用できる欠損金の金額は、連結グループに入ることによって著しく制限を受けます。欠損金の繰越期間が5年であることを考えますと、いま、米国の欠損金の繰越しは20年認められておりますので、どちらのルールが有利なのかということについては、たぶん、フランスのほうが要件的には厳しいのではないかなと感じております。

連結納税グループ加入前欠損金の利用は、連結納税グループ、法人間取引から発生した所得を控除した後の所得に対してのみ適用となります。減価償却の順番とは別に、債務免除とか、固定資産の譲渡損益とか、いわゆるグループ間取引を全部除外しまして、そこで出てきた課税所得に対して加入前欠損金の適用をすることができる。

ちょっとおわかりにくかったかと思いますので、もう一度、ここの部分を繰り返します。単体ベースでは、欠損金の金額を減価償却前の所得に対して適用します。その上で減価償却を計上する、こういう順番になります。ただ、連結グループの中に入りますと、欠損金を適用する前にまず通常の課税所得を計算する。それから減価償却を計上します。さらに、連結グループ間で、例えば債務免除が行われた場合の免除益等については除外を行います。その上で欠損金の適用を行うことになります。

連結納税を行うことによって債務免除等が行われても、最終的にはグループ間ではニュートラライズされますので、積極的に免除等を行うケースが出てくるかと思うのですけれども、そのような所得の部分に対しても欠損金の使用を認めますと、欠損金の使用を自由に認めることになりますので、企業間取引から発生する、ある程度恣意的な所得の部分については欠損金適用の前に除外をしておく必要がある、こういう制度になっております。

続きまして、次のページ、連結納税グループ加入前、長期譲渡損失についても他のグループ法人の長期譲渡所得との相殺が認められない等の制限がございます。ここには入っておりませんけれども、連結納税グループの法人間取引の調整としましては、グループ内貸金に対する貸倒引当金、グループ内債務免除、補助に対する相殺規定、それから、固定資産、投資有価証券等の譲渡に対する内部利益の控除、配当の控除、役員報酬の取扱いに対する損金不算入の規定、あと、子会社株式取得に関連して発生した金利。これは、子会社株式取得金利ということでいろいろな本に書かれていますけれども、実際には、同一のグループに属する法人間で株式の取得をした場合です。グループの外の第三者から株式を取得したところが含まれるのではなくて、いわゆるグループ内の取引でもって、別法人を傘下におさめて連結納税を開始するという場合に発生する金利部分についての否認というふうに理解しております。

次に、連結所得に対する課税に入りたいと思います。連結ベースで所得が発生している場合には、親会社に対して課税が行われます。連結ベースで所得が発生しなかった場合、セービングが発生した場合にはどうなるのかということについては、一般的にグループの会社の間で取決めが行われておりますが、4通りの対処の仕方が認められているということです。

一つは、セービングについてすべて親会社に帰属させる方法。これは、親会社のブック上もその分の利益を計上するそうです。

二つ目の方法としては、リザーブを立てて繰り越します。セービングの部分の利益を打ち消すような形でリザーブ(準備金あるいは引当金)を立てまして、将来、損失法人の欠損金を相殺することによって得たベネフィットを相殺するような形で所得が発生した場合には、その引当金を親会社レベルで取り崩していくという処理が認められています。

それから、セービングの部分の金額、このネットのセービングをグループの会社の中で按分する方法。あとは、各社別に納税債務と欠損金によるベネフィットをグロスで認識して配分する方法、これが認められています。ベネフィットを親会社から子会社に対して提供した場合には、フランスの税法上は、子会社に対する補助というふうに認められます。いわゆるサブシディーと認められます。結果として、連結グループ内にとどまる限りにおいては中立化されますので、課税所得に対して与える影響はございませんけれども、子会社が連結グループを脱退することになった場合には、提供された部分が益金として計上されますので、後日、課税所得の中に含められる取扱いになります。

連結ベースで損失が発生している場合、欠損金については、原則5年間の繰越し、3年間の繰戻しが認められています。ただし、連結グループ組成前の単体申告書への繰戻しは原則認められておりません。

注書きで書いてあまりすけれども、連結前の年度の欠損金の繰戻しと、還付税額、繰越税額を連結子会社が有する場合には、その金額を親会社に対して売却することができます。と申しますのは、子会社が連結グループの中に入った時点で、子会社の持っている税金は基本的には使えなくなりますので、その部分の権利を親会社に移転する必要があります。移転を行ったことによって、親会社は、自分のグループの未納税債務に対してその金額を充当させることができます。

ただし、子会社がグループを去った場合には、親会社は連結納税債務に充当することはできませんので、全部充当し切れずに繰り越している部分があれば、それは最終的に親会社に対する還付という形になります。

一定の要件を満たす長期純連結譲渡益に対しては19%の税率で課税が行われます。これは優遇税率です。税引後の譲渡益相当額は親会社の財務諸表上、特別準備金としての引当が行われます。この特別準備金としての引当というのは、将来ここから配当が行われた場合に追加の課税が行われる、そういう税法上の要件を満たすために、基本的に低税率、免税所得に対しては引当金等の設定を行った上で管理をすることが、フランスの国内法上要求されている、こういう事情によるものです。

長期純連結譲渡損は10年間の繰越しが認められております。連結納税グループ内の子会社各社は各々フランス法人税法の対象となり、単体申告書を作成し申告を行う義務があります。これは先ほど御説明したとおりです。

親会社は、連結納税を行う子会社の所得を通算し、連結課税所得を算出し納税を行います。ミニマム税、前払配当税、付加税、これらの税金をすべて含めて、親会社が納税義務を負っております。

ただ、納税に関して申し上げますと、グループ内の各子会社はこの納税に対して連帯責任を負っております。これは米国の税法上も基本的には同じです。連結グループ各社は、親会社の払う税金に対して連帯責任を負っているという点では、米国、フランスとも基本的にルールは変わりないと思います。

親会社は、連結納税開始後にメンバー各社で生じた税務上の属性の所有者となります。このルールゆえに、子会社が脱退した場合には欠損金等を引き継ぐことはできません。米国の税務の場合には、基本的には属性をある程度子会社に帰属させることを認めておりますので、その辺、ルールが異なるかと思います。

親会社は、グループ会社間における事前の合意書に基づいて各子会社が連結納税をしなかった場合に負担すべきだった税額を、各子会社に対して請求する必要があります。精算が行われない場合、あるいは精算額に過不足がある場合には、親会社から子会社へ、あるいは子会社から親会社への補助が行われたものとして、サブシディーという言葉を使っていますけれども、サブシディーが行われたものと見なされます。

次のページにいきます。連結納税制度が不適用となった場合の取扱い。不適用となるケース、これは、連結納税制度の更新がなされない。5年間の契約期間がありますので、この契約の更新を行わなかった場合には連結納税を継続することができなくなります。親会社が唯一の連結グループメンバーとなった場合にも、連結納税はできなくなります。連結グループが連結納税制度の適用要件を満たさなくなった場合、95%の持株要因、この適用を受けた場合に不適用となります。

不適用となった場合には、子会社脱退時と同様の連結再調整の手段が必要となります。連結再調整は、連結納税制度が不適用となった事業年度の親会社の損益に基本的には取り込まなければなりません。連結期間中に発生した純損失で繰り越されたものについては、親会社の不適用となった事業年度もしくは翌事業年度の利益から控除することが可能となります。

連結グループからの脱退時の取扱い。脱退事由としましては、親会社の子会社に対する持株割合が95%を切ってしまった場合、子会社の事業年度が変更された場合、親会社が特定の子会社を連結対象としなくなった場合(選択)、子会社が親会社に対して脱退したいということで、両者の合意で脱退するケース、子会社が解散した場合、子会社が他の法人形態へ組織変更した場合、子会社の本店が海外へ移転した場合。

これは、追加的な説明が必要かと思うのですけれども、フランスは原則本店所在地主義でございます。ですから、フランス国内に本店がある場合にフランス法人として認められるのですけれども、外国法人でも活動の実質がフランス国内にある場合には、フランスの居住法人として取り扱われます。この関係から、こういうふうな規定が条文上入っております。

あと、子会社が買収された場合、子会社が脱退した場合において、子会社によって所有されている他の会社も、当該他の会社の株式が他のグループ会社に譲渡されない限り、脱退することとなります。言ってみれば、子会社が脱退した場合は子会社の下にある孫会社も一緒にくっついて出ていく、こういうことになります。

脱退時の取扱い。脱退子会社の損益は、脱退事業年度における連結課税所得の計算上考慮されません。これは、年の頭にさかのぼって脱退するということで法制上構成されておりますので、そこには入らないということです。あと、脱退事業年度については連結の再調整が行われます。これは、グループ内の資産移転に伴う譲渡損益の消去処理の取消、債務免除・補助等に関連して行われた調整項目の取消、これが行われます。原則的には、過去5年間にさかのぼってこの調整項目が行われますので、5年を経過したものについては調整の対象とはなりません。

税務調査及びペナルティー。頭に「原則として」という言葉が入っておりますけれども、お手数ですが、この「原則として」というところを取り除いていただけますでしょうか。連結グループメンバー各社が税務調査の対象となります。必要に応じて課税当局は親会社に対して二次的な税務調査を行う権限を有しております。欠損金の繰越しは5年間認められておりますので、法定時効(3年)経過後に欠損金の利用が行われるということがあり得ます。この場合、課税当局は、一般時効の規定にかかわらず欠損金の発生した年度の調査を行う権限を有しております。

連結グループの中には、当然、利益が出ている法人、損失が出ている法人、双方あるわけですけれども、グループとして損失がある場合には、利益が出ている法人に対しても、その年度に対してグループとして損失のある年度にさかのぼって調査をする権限を課税当局は持っております。

親会社は、税務調査の結果賦課された追加税金・ペナルティー等の支払義務がございます。親会社は、追加税金・ペナルティー等について、追加課税所得の帰属する各子会社へ本来子会社が連結納税をしなかったとした場合に負担すべきであった金額に相当する金額並びにこれに対応するペナルティー等を請求します。請求しなかった場合には、補助、サブシディーという取扱いになります。

この点に関しましてはフランス国内にも議論がございます。連結した結果に対するペナルティー及び利息、加算金等については、個別の申告ベースで計算すべきなのか、連結ベースで計算すべきなのか、さらに、子会社にその結果を帰すべきなのか、親会社が負担すべきなのか、というところについては議論がございます。例えば欠損法人の調査が行われて、結果として欠損金の金額が一部否認されてグループ全体として課税所得が増えてしまったという場合、本来子会社が負担すべきであった税額というものは発生しておりません。更正後でも発生しておりません。このような場合にどこが負担すべきなのか。一般的な議論との均衡がとれていないのではないかということで議論があるということです。

あと、フランスの税制に関するところではないのですが、フランスの税制を一般的に見たあとに雑感として感じたところをコメントさせていただきます。

日本の税制上、確定決算主義というのが原則としてとられているわけですが、ここへの準拠をどうするのか。フランス型が確定決算主義に反しているとは思いませんけれども、いろいろなことを検討する必要があるのではないかと思っております。例えば、親会社が連結納税債務を負担することとした場合、親会社の単体の財務諸表上、納税債務の計上を行うのか、それとも、子会社との契約に基づいて子会社に割り振るような形にするのか。この辺のグループ間の割り振りをどうするのかということを決める必要が当然出てくると思います。

いまの続きになりますけれども、タックスシェアリングを一般的に行う場合、子会社との間で未収、未払いといったものを認識するのか、法律上の権利・義務のような形でそこを考慮するのかどうかということも検討課題ではないかと思います。

税務上の属性、例えばグループの欠損金とか、繰越税額控除等を、親会社あるいは子会社の決算上どのように取り組むのか。フランス型の場合には、基本的に全部親会社に計上するという話になっておりますけれども、子会社に対する権利をどこまで認めるのかということは重要な論点かと思います。特に少数株主がいるような場合、少数株主の権利の保護も考えないといけませんので、子会社として発生した欠損金を無条件に親会社に帰属させることは、法制面からの検討が必要なのではないかと思います。

それから、配当可能利益の算出に対する影響。これは、親会社でもろもろの利益を計上する場合、当然、配当可能利益の計算というのは親会社の単体の財務諸表上で計算されることになりますので、この辺に対する影響として、どこまでそれを対象として計算するのかという問題が出てくると思います。

確定決算主義ということですので、株主総会までに決算を確定させないといけません。そういう意味で、連結グループ間の相殺とか、連結グループとの間での債権債務の取扱いをどうするのかといったようなことを株主総会までに確定させる必要がある。時間的な問題も考慮する必要があると思います。

先ほどちょっと触れましたけれども、純粋持株会社の納税資金の負担をどういうふうに考えるのかということ。連結開始の時期、期中取得法人の連結グループ加入と確定決算主義。これは、確定決算主義をとる限りにおいては、期中加入・脱退は認められないというのが筋ではないかと思いますけれども、米国型との比較という意味ではこういうポイントも指摘されるのではないかと思います。

地方税の影響は、フランスの場合には基本的には地方税はございませんでしたので、連結の部分は全く問題はありませんでしたけれども、連結調整に関連して発生する項目、あるいは税務上の属性の帰属のさせ方等によっては、地方税の課税所得の計算等に影響が出てくる可能性も当然出てきます。企業の規模という点で考えたときに、単体ベースで見るのか、連結ベースで見るのかという問題も考慮する必要があるのではないかと思います。

手続き面での関係から言いますと、青色申告の問題があるかと思います。グループとして選択をするのか、あるいは、取り消された法人がグループ内にあった場合、全体としてどういうふうに考えるのかということです。

それから申告期限について、単体と連結、これを同一にする必要があるのか。フランスの場合には同一になっておりますし、米国も基本的には変わりはないのですけれども、同一にした場合に、時期的なものがどうしても出てきます。各グループの中でその辺は調整をつけるということで、法的には一切触れないのか、あるいは、単体ベースの申告書の提出期限と連結ベースの申告書の提出期限をずらすのか、といったようなことは一つの考慮点かと思います。

予定納税の方法。親会社が子会社を含めて予定納税を一括納付するのか、その場合にはどういう手続きで行うのか、決算等をどの程度取り込んでいるのかという実態にもよりますけれども、多くのグループ企業の中にはそのような数字を迅速に出せないケースもあるかと思いますので、その辺の手続きをもう少し簡便にする。例えば前年の所得に基づくとか、米国型の方法、あるいは課税所得が一定の金額を超える場合には見積もらなければいけないとか、何らかの手続きが必要になってくるのではないかと思います。

税務調査に関連して申し上げますと、重要子会社の所轄が親会社の所轄と違った場合にどうなるのか。フランスの場合には、所轄の違いは税務署の間で連携を行う、いわゆる情報の提供はある程度行うということを聞いております。その時効の考え方。

あと、税務調査を行うに当たってグループとして影響のない項目というのがいろいろ出てくると思うのです。結果として、譲渡損益についてグループ内で相殺されてしまう場合、国税の観点からの税務調査上は大勢に影響はありませんと。ただし、地方税、個々の法人ベースで見たときには課税所得が大きくぶれる項目が当然出てくると思います。このような部分をどういうふうに律していくのか。単体ベースの申告書が実際に行われたとしても、調査の実務の過程では、連結グループ内の取引で大勢に影響がないということになると、そういう部分に対してどの程度調査の拘束力が出てくるのかなというのは、間接的な影響として考えなければいけない項目かと思います。

それから、会計方針がグループ内企業で異なる場合の取扱いをどうするのか。例えば、有価証券について常に時価評価をする。その中で含み損がある、含み益がある部分について、異なった会計方針を適用している子会社を設立して移動してしまった場合、どういう取扱いにするのかということです。

連結グループの考え方に対して、先ほど、優先株とか、トラッキングストックをどういうふうに考慮するのかという話をしましたけれども、もう一つ、米国の税制上あります、コンストラクティブ・オーナーシップとか、アトリビューション・ルールという、グループ内での株式の持合いをどういうふうに計算に入れるかという問題があります。

例えばPという親会社がありまして、Pの下にS1、S2という会社があります。PはS1の80%を所有しています。S2もPが80%を所有しています。残りの20%はS1とS2が相互に持ち合っている場合に、実質的にはS1、S2はPの下の100%の子会社になりますけれども、親会社が直接持っている持株という点では80%に下がります。このようなケースをどういうふうに取り扱うのかという、相互に持ち合っているケースの場合の考え方が日本の税法上はクリアになっていないのではないかと思います。

連結納税前発生欠損金、その他、税務上の属性の使用に関する制限を、条文上規定するのか、それとも、運用面で律していくのかという問題もあるかと思います。

含み損失、含み益を有した法人が連結グループに加入したときにどういう対応をするのか。アメリカの税制の場合には、ビルトイン・ロス、ビルトイン・ゲインというのはSRLYルールの対象になります。制限が加わるわけですけれども、フランスの場合には、特にそういうルールがございません。

すみません、ちょっと訂正させていただきますと、ロスの部分についてはあるそうです。ただ、ゲインの部分については特段の規定がない。ルールとしてどういうルールになっているかといいますと、連結グループに加入する前に、資産、負債に関してリバリュエーションを一度行います。リバリュエーションを行って、未実現の利益、未実現の損失があることを把握する必要が原則的にはある。

このリバリュエーションの手続きを行わなかった場合、グループ内に入って仮に損失が実現した場合--例えば、含み損失のある不動産を持ったままグループに入って、グループに入ったあとにその損失を売却して損失が実現したようなケース。このような場合には、課税当局はビルトイン・ロスの部分に対して否認することができるそうです。ただ、ビルトイン・ゲインについてはどうするのかということについては明確な規定はございません。言ってみれば、その部分は裁量に任されているということです。損益両方ある場合には、基本的には相殺することになると思うのですけれども、どういうふうな手続きでその辺の数字を追っていくのかというところまでは確認ができておりません。

それから、企業再編税制との整合性をどうするのかというのも一つの問題かと思います。フランスの税制を見てみますと、企業の再編が行われることを前提としてつくられた連結納税制度でないような感触を受けます。私のカウンターパートでフランスでいろいろ説明してくれましたパートナーも、グループの中でのリストラクチャリングについてはいろいろ要望があるということをはっきり言っております。今回の連結納税というのは企業再編税制と一つのセットになっていると思いますので、その辺、両方の制度をそごのないような形で組み合わせていくというのは非常に大きなポイントになるかと思います。

グループが解散したとき、メンバーが脱退したときの税務上の属性の処理をどうするのか。これは、メンバーが引き継ぐ場合の確定決算主義との関係をどう考えるのか、あるいは、親会社に帰属するという法律にした場合、子会社のロスを本当に親会社に帰属させることができるのか。これは、税法の規定だけの問題なのか、それとも、そのほかの法律上もそういうふうな取扱いを行うのか、といったような問題があるかと思います。

あと、投資調整を行うのか。米国の税制上は、子会社が利益を上げて連結所得を計上した場合には、投資調整ということで子会社株式の簿価が増えます。子会社に損失が発生して、その損失が連結グループの中で使用された場合には、使用された金額まで子会社株式の簿価が減額されます。

フランスの税制上は基本的にはそういう取扱いになっておりませんので、ゲインが出た場合は二重課税が起きる可能性はあります。例えば、その子会社で利益が出て、留保された利益をそのままにした状態で子会社の株式を譲渡してゲインが出た場合、留保利益の部分に対しては二重課税が起きているわけです。あとは、営業権とか、実際に利益の出る体質ということで無形資産の価値が増えたと。この部分については二重課税ということではないと思うのですけれども、子会社がグループの外に出るときに、いままで計上された利益がすべて配当されているかというとそういうことはございません。企業内部で再投資されている部分も当然あるわけですから、そういう意味で、投資再調整を行わない、特に含み益がある場合には二重課税が行われる部分が出てくる。全額ではないにしろそういう部分が出てくると。

では、ロスが出た場合。子会社に欠損金が発生しまして、その欠損金を連結グループで利用しましたと。投資調整が行われずにその子会社を外部に売却した場合、そこで子会社株式の譲渡損というのが発生します。ただし、フランスの税制上は、この譲渡損の部分については二重にならないように制限をする規制が行われているそうです。これは、法律上、手当てされているということです。

ちなみに米国の場合は、利益が出た場合には課税所得が入るのですけれども、損が出た場合には、子会社株式の譲渡から発生した損失については取り込めません。言ってみれば簿価が消えてしまいます。ただし、先ほどお話ししました、使用できなかった欠損金を再帰属させることで、その部分についてはロスが取り切れなかったということがないように保護されていると考えております。

内部取引の話ですけれども、有形資産の売却に関連して譲渡損益をとるということは全く問題ないのですけれども、インベントリー、棚卸資産関係についてどこまで内部消去をするのか。フランスの法制上は簿価取引が認められているそうです。ただし、簿価で行うのではなくて、一般的には利益をのせていると。通常の企業間の取引のような形で処理をしています。

というのは、少数株主がいる場合には、当然、企業として利益を追求しなければいけませんので、税法上認められているからといって、その部分の簿価で移動するということ自体は株主の利益を損ねるという考え方から、原則利益をのせている。購入側で棚卸資産として残っている部分については、内部利益が企業内に留保されることになるわけですけれども、その辺について特に相殺、消去等は行っていないということです。

私、米国でやっていた経験から言っても、アメリカの税法上は、サービスの部分とか、ロイヤリティーの部分とか、棚卸資産も含めて有形資産の譲渡については、原則的に法律上手当てされておりますけれども、実務面でどこまでやっているかというと、必ずしも全部が全部相殺されているわけではございません。制度的にそこまで細かいものを設けたとしても、運用、あるいは企業のレベルでも、行政の面でも、ついていけないというのが実態ではないかと思います。そういう意味でどこかで線引きをしなければいけない、どこで線を引くかというところが一つの判断の基準ではないかと考えています。

以上で、制度的な部分での御説明を終わらせていただきます。

委員

どうもありがとうございました。さまざまな項目にわたりまして、レジュメに沿ってお話しいただきましたが、中にアメリカとの比較も加えていただき、さらには、今後の日本の連結納税を仕組んでいくに当たって留意すべき点などお話をいただきました。

いまの御説明に対しまして、質問、御意見などございましたら、どんどんお話ししていただきたいと思います。

委員

含み損益の問題で、ロスの場合には否認の規定があるということですが、ゲインの場合には、裁量とおっしゃったかと思うのですが。

参考人

原則的には企業の資産について再評価を行うということですので、含み益、含み損の部分について企業としてはっきりとした数字をつかんでいる場合においては、その部分について当局もその数字を尊重する。

ただし、再評価を行わなかった場合、連結グループに加入するときに、含み益と含み損両方存在した場合で再評価を行わない状態でグループに加入して、その資産を譲渡しましたと。そのときに出てきた益の部分について、課税当局としては何ら手を打つ必然性はないわけです。企業としてやるべき再評価をやっていなかったということですので、その部分については特に何もしない。税務の運用面で、損の部分については否認するけれども、益の部分についてはそのままいってしまう、そういうことです。法律的にそうなっているというふうに聞こえたかもしれませんけれども、これは運用面での話であって、法律面での話ではございません。

委員

リバリュエーションですよね。そのときには評価益、評価損、これは課税されるのでしょうか、それとも把握するだけなのでしょうか。

参考人

実はその点、私もはっきりと確認がとれませんでした。当初、課税をされるような説明を聞いたのですけれども、あとから受けました説明では、実際問題として、外部に資産を譲渡して実現したときにその部分を相殺するという下りがありまして、一般的な概念から考えて、外部に資産を譲渡していないのに実現したという考え方をするのはたぶん誤りなのではないかと思います。そういう意味では、内部で、含み損益の部分の金額を確定しておいて、実際に企業グループ外部に資産が売却された時点で、連結グループに加入されたときにあった含み損益の部分について調整を加えるというのが手続きなのではないかと思います。

この点、確認をとっておりましたが、きょうの説明会までに間に合いませんでしたので、後日、再確認のあとフォローアップさせていただきたいと思います。

委員

リバリュエーションについてすごく疑問に思うのですが、相当規模の会社、当然あるわけですね。そういう会社が、まぁ子会社の単位でしょうけれども、レバリエーションを加入のたびに行うのはきわめて難しいと思います。そういうことは実際に行われるかという質問は、こういうところでは……。

参考人

私もその件に関して聞きましたら、アプレーザルの手続きというのがフランス国内ではかなり一般化していますということで、説明としては、アプレーザルを行うのが一般的なのでやっていますと。やらない場合には、先ほどのような不利益を受ける可能性があるので、企業としてやるべきところについてはやっています、というのが答えでした。

ただ、実際どの程度やるのかということについて考えてみますと、非常に難しいですね。フランスの場合、特に任意での加入と脱退を認めていますから、いままで入れてなかったグループが突然入るといったときに、例えば10年、20年、持株関係があった会社が連結グループに入るといっただけでそういう評価を一々するのかということについては、実務面、どの程度まで対応できているのかなという疑問は私自身も持っております。しかし、カウンターパートのフランス事務所の説明では、原則的にとっているという話でした。

委員

もう一つ、投資調整の話です。これも非常に重大な問題を含んでいると思うのですが、二重課税の可能性があるということでした。二重課税の場合、脱退前に配当をとってしまうということで、二重課税をかなりの部分防げますよね。

参考人

それはそのとおりですね。

委員

それから、ロスの場合に二重控除の制限はあるという話ですけれども、アメリカの税法で損金不算入制度があるというのは、例えば子会社を買ってその含み益を実現させて、投資簿価を上げて、それを売却したときの損失の実現を防ぐため、ということですよね。

参考人

すみません、もう一度よろしいですか。

委員

アメリカでの損金不算入の規定の趣旨ですが、要は、加入するときの含み益を利用して、売却して投資簿価を上げて、本来ならば損にならないはずの損を脱退時に実現させてしまう、ということが現実に起きるわけですね。そこで、しようがなしに、理屈をちょっと抜きにして、損金不算入という規定を設けたというふうに理解しているのですけれども、フランスの場合にはそういう規定はないのでしょうか。そういう場合は想定していないのでしょうか。

参考人

それはちょっとわかりかねます。確認はいたします。

ただ、損失の部分については、親会社のほうで基本的には繰越欠損金等の金額についてはとっていくということで、二重にならないように、ここの部分については特別なルールがあるということで、具体的にどういうケースをカバーしているのかというところについてまでは確認しておりませんので。

委員

フランスの場合、その辺がアメリカと違ってある程度アバウトで、導入しやすいと。アメリカのようにガチガチで大変なことにならないというイメージを持っていたのですけれども、逆に、それがためにすごくいろいろな問題が起きるような気がするので、その辺を……。

参考人

先ほどの件ですけれども、フランスの事務所の人間の説明も同じで、配当してしまえば二重課税部分については避けられるのではないかという話はあったのですけれども、剰余金の金額を全額配当するケースというのはたぶんあまりないと思うのです。実際には、配当せずに再投資に回す、いわゆる資産を購入するというケースも当然出てくるわけですから、その結果として資産が増えて、企業のバリューが上がっていると。利益から企業が資産を購入していったような部分については、当然、二重課税の問題はあると思います。無形資産の価値が上がりました、営業権的な部分として価値が上がった部分については、親会社としてもともと課税を受けていない部分ですから、そういう部分についての二重課税は心配する必要はないと思うのですけれども、剰余金の金額が全部親会社に配当されるという前提はたぶん難しいと思いますので、そういう意味で、譲渡したときについて二重課税がある程度起こるということになるのではないかと思います。

委員

いかがでしょうか。どうぞ。

委員

投資調整の話ですけれども、アメリカの税法では、投資調整についてかなりやる場合を考えているんですね。フランスで、この場合にだけ投資調整をもってきてやるということにすると、あまり徹底しないような気がするのですが。

参考人

すみません、御質問の趣旨は、アメリカのほうではガチガチに投資調整を行う。ところが、フランスは……。

委員

フランスは、ここだけ投資調整をすることにして、配当の支払いとかそういうことに関して何もしないで、ここだけをやるというのは片手落ちではないかという気がするのですが、その辺はどうですか。

参考人

ルールの詳細がわかりませんので、どういうふうな計算をして二重の控除を避けるのかということについては、いま、残念ながら御説明することはできません。話を聞く限りにおいては、いまおっしゃいましたアバウトな設定の仕方になっていますので、細かいところの調整まで行われているとはとても思えませんし、実際に行政面でどこまで二重の控除が防げているのかということについては疑問です。実際に二重控除をとることは可能だとフランス事務所の人間は言っておりましたので、法律上ある程度規定されていたとしても、それを抜ける方法があるというふうに私は理解しております。

委員

フランスで投資調整をやるようにちゃんと規定すれば、かなり細かくいろいろなことを規定しないと……。

参考人

そうですね。1カ所だけというわけにはいかないですね。

委員

それから、もう一つ、最後にインベントリーの話をなさいましたね。私、実はフランスに調査に行ったのですけれども、会社分割のほうを主として調査して、連結のほうはそれほど聞きませんでした。しかし、連結のほうで、インベントリーの調整の関係が調査に行ったときも話題になった。そのときの話では、フランスはインベントリーの利益の排除をやっていないと言われたけれども、実際上はそもそも排除してあると。さっきは、排除してあるけれども、それが必ずしも徹底的ではないみたいな話だったのですけれども、私が聞いたのでは、逆にかなり排除してある。だから、フランスだけやっていないというように考える必要はなくて、フランスも、アメリカ並みのインベントリーについての間接利益の排除はやってあると考えていいのではないかという話を聞いてきたのです。

その辺、さっきのお話では、そうなっているけれども実際はそうやっていないのか、何もしないでも排除しているよということ自体がおかしくて、ちゃんと排除するようにしないといけないと、そう思われたのか、その辺がよくわからなかったのですが。

参考人

私が話をしました、あるいは、送ってもらいました資料で理解しているところでは、インベントリーに関する内部利益の相殺等の処理は一切行っていないということです。簿価での譲渡が税法上は認められているけれども……。

委員

それが行われているので、簿価での譲渡で、実際上は行う必要がないのだという話を僕らは聞いたように思うのです。

参考人

税法上は、内部利益をのせずに簿価ベースでの移転ができるけれども、税法以外の法律上、例えば少数株主等がいるような場合について、企業としての利益を計上しないことになるわけですから、その部分については法制上問題があるので、一般的には売価の数字を使うような形での取引が行われているというのが聞いた説明です。

委員

実際上、簿価での取引が行われているのか、あなたがおっしゃったように、そうは言いながらも、実際は間接利益が入っているから、同じようにしないとまずいということなのか。そのとき条文を見ていまして、フランスの一般何とか法の何条とかで、簿価でよろしいというのが書いてあると。これをやっているから、あまり起こることはないのだという話を聞いたように思うのです。そこが、条文上はどうなっているかということと、実際上はどうなっているのかということですね。

参考人

条文上は原価での移動で大丈夫だということです。

委員

そういうふうに聞いたように思うのですけれども、そこをちょっと……。

参考人

わかりました。

委員

いまの、インベントリーについては簿価での譲渡が認められているという御説明ですが、これは認識として、内部取引消去の一つの形態ではないのですか。内部取引については考えていないというのであれば、結局取引した価格ですから、ステップアップされているはずですよね。それなのに簿価でいいのだというのは、これ自体が内部取引消去ではないのですか。

一般にアメリカでは、取引があっても取引がないものと見て、もとの持ち主に財産があるようにやりますけれども、フランスは、財産は動いているけれども、取得価額はついている。こういう形で内部取引を消去しているというふうに読むことができるのではないですか。その内部取引の意味ですけれども。

参考人

そこは確認いたします。ただ、その部分との絡みで、私はVATの話も聞いたんですね。もしそこで内部利益が除かれていたとするならば、では、VAT上どういう影響があるのかという話をしましたところ、VATの課税というのは基本的には企業単位なのです。連結グループを構成しているか、していないかにかかわらず、各企業の売却した部分についてVATが原則的にはかかわっていく。ですから、企業単位でかかわるという観点から考えますと、一部について簿価で移していますと、その部分だけバリューが低くなります。そういう意味で、基本的には右の会社から左の会社に移るということはあり得ると思います。

私が受けた説明では、原則通常の取引をするというふうな話でしたので、VAT上もそれで問題がないのかなという理解をしたのですけれども、いずれにしましても、その点については再度確認した上で回答させていただきたいと思います。

委員

そのTVAの話を聞こうと思ったのですが、いまお話がありましたので、それはいいです。

9ページですが、連結税額の負担についてのセービング。これは四つの取扱いがあるのですけれども、下のほうに、欠損金の繰戻しがありますね。これも、実態的には税の還付ですからセービングになるのですが、ここでも四つの取扱いが働くのでしょうか。

参考人

この部分については、連結納税を開始する前に、例えばある子会社が欠損金を繰戻しの申請をしたとか、あるいは、そのほかの理由で、翌期に繰り越される税金、還付を受ける税金を持っていましたと。その状態で連結グループに参加したときに、翌期に繰り越される、あるいは、将来に充当されるべき税額の部分をどう考えるかという問題なのです。

結論から申しますと、親会社と子会社との間で合意する価値を見つけて、要はその権利を売買するらしいです。その結果として、親会社は子会社の受けるべき繰越税金の金額を、グループ全体の納税額に充当することが可能になるということです。もしかすると、例えば1000フランの繰越税額があって、その部分を800フランで買うかもしれませんし、1000フランで買うかもしれない。そこの差額の部分については、子会社と親会社との間での利益のやりとりという形になると思いますけれども、原則的には、子会社から前払いの税金を買い取るというイメージになりますので、その四つの処理とはちょっと内容が変わってくると思います。

委員

ただ、連結グループに入ってしまってから、いままで黒字だった会社が急に赤字になったと。それで結果的には取戻しがきく場合がありますね。その場合はどうなのですか。

参考人

連結グループの中に入った場合の欠損金というのは、グループに入る前の利益に繰戻し……これは制度的にできるのですか。

委員

利益もそのグループの中に入っていてですよ。そのときの話です。

参考人

わかりました、連結グループの中に全部入っているという前提ですね。

委員

そのとおりです。

参考人

当然、四つの処理になると思います。

委員

そうですね。その延長線ですが、四つの取扱いにつきまして配当可能利益との関係はどうなりますか。

参考人

配当可能利益の計算は単体ベースで計算をするということです。連結を行わなかったとした場合に出てきた金額を基本的にはベースにすると私は聞いています。この部分の処理というのは連結に関連して出てくる処理ですので、そういう意味でどういうふうに配されているのかというのは明確ではございません。申し訳ございません。

委員

はい、結構です。

委員

いまの点、ちょっと確認させていただきます。先ほど、最後の方で御説明がありましたけれども、アメリカ合衆国では配当二重課税の調整をしておりませんが、フランスでは、アボワーフィスカルですか、前払法人税という形でグロスアップで救済するわけですね。いまのお話ですと、それは単体ベースでやる。子会社は子会社、親会社は親会社と。あるいは親会社のところだけでやるのでしょうか。

参考人

連結グループの中での配当の部分に関してですか。

委員

はい。

参考人

それは親会社のほうで全部まとめてやるというふうに理解しています。

委員

あと、いかがでしょうか。

委員

1ページ、もしわかれば教えていただきたいのですけれども、最初のところで、現行制度を1988年1月1日より導入と。そのあと、「従前の制度をベースに」ということは、適用要件を緩和して導入されたのが現行法であって、1988年以前から連結納税制度はあったということですか。

参考人

そういうことです。

委員

いつごろからというのは。

参考人

1966年……ちょっと正確な年度は覚えていないのですが、60年代です。

委員

ありがとうございました。たしか僕の記憶では、会社法上、連結決算を定めたのはフランスは遅くてたしか1980年代なんですね。それから、日本の企業会計原則に相当するプラン・コンタブル・ジェネラルが連結のルールをつくったのはもっと遅れているんです。そうしますと、連結納税制度と商法、国の基本法との関係というと、日本は今回間に合うかどうか知りませんが、要綱か何か出ているようですけれども、間に合わなくてもいい例が一つあるのかなと、そういう感じがいたしました。

参考人

いまの点で、まさに商法が株主の権利関係について連結と調整をしているかどうかという点で、先ほど話がありましたインベントリーの内部取引の部分ですけれども、あそこも我々がフランスのカウンターパートから聞いているところは、簿価の引継ぎということを税務上は決めていますと。現実の問題として、例えば名義株主のみが存在するような形で100%を切っているという状態であれば、権利関係はあまり調整する必要はないと思います。しかし、そうではない、実際に少数株主の持分がある、利害相反する人がいる場合には、簿価ベースでやるということを、もし税務上でベースをキャリーオーバーするだけだということであれば、その後、グループ外に物が出て実現したときに、そのうちの少数株主持分に対応する部分は、もとの少数株主に「あなたの権利がある資産ですよ」ということで返すという調整を要請されるのかという話ですね。だから、まさにいまの商法と税法の前後関係というのはいろいろなところで関係してくる問題だと思います。

委員

そういうことでやるならば、単体決算までの取引は通常の販売価格でやっておいて、いわゆる連結ベースになっての調整でもって原価取戻しという形にはできないのですか。

参考人

そういうシステムになっているとは聞いておりません。

委員

エコノミスト的な質問をしますと、要するに連結をとるか、単体をとるか、申告書はそれぞれつくるわけですね。そうすると、どっちが有利かということはある意味非常にはっきりするのですが、もうちょっと長い期間をとったときに、ほかのケースが発生したときに不利になるというケースはあるわけで、納税者自身に選択の幅はかなりあるはずで、あとは説明者の方に伺うというよりは、税務当局がある程度わかっているはずですよね。税務当局の側は、申告が出ているわけですから、単体でやるか、連結でやるかというのは選択がきくわけです。納税しているほうはどっちかを選ぶわけで、どっちが有利かという話はもともとあり得るわけですね。そこのところで、どの程度使われているかということが結果的にはわかるのではないかと思うのです。だから、説明者の人に伺っているというよりは……。連結納税はどの程度使われているかということはかなりわかる話で、そうすると、実態的な判断として、有利、不利かということはある程度わかるという感じがするのですが、それはピントがずれていますかね。

参考人

正確な数字は聞いていないのですが、企業グループの中の半数以上は連結納税を採用しているというふうには聞いています。

委員

そうすると、かなり採用しているということですね。

参考人

はい。

委員

ある意味ではかなり有利になっているということですよね、簡単に言えば。わかりました。

委員

こういう税法は租税回避行為というのが出てくると思うんですね。フランスに対する私のイメージでは、特にと言ったらあれかもしれませんが、そういう実例を何か御存じだったら……。もちろん、包括的な租税回避防止規定はあるだろうと思いますが、どんなような規定の仕方かというのをもし御存じでしたら。

参考人

ごくごく当たり前の規定の仕方をしてありまして、意図的に……。

委員

それに関して、判例とかそういうのは。

参考人

判例まではないのですけれども、ごく当然のことが書かれていて、条文上はアーティクルL44・タックス・プロシージャーと。これは課税当局内部の通達のようなものではないかと思います。それで、実際に物の売買がないにもかかわらず売買が行われたケース、架空売上、あとは、租税回避の意図を持って行われた取引というふうに非常に一般的な話で、ただそれだけなのです。

このケースの場合には、ペナルティーとして、回避された税額の80%、それと利息をかけることができる。これは、連結納税に関する租税回避行為だけではなくて、一般の取引に関しても、かかる租税回避行為に適用される法律が連結上も適用されている、こういう説明になっております。

委員

きょうのレターの中になかったのですけれども、いわゆる資本金とか、金額とか、売上金額などによって税制上の措置が変わっているケース。例えば中小法人の軽減税率があると聞いているのですけれども、日本で言う交際費、あるいは寄附金でもあるわけですが、軽減税率以外にはないのでしょうか。

それから、親会社が大企業であるというケースであればしようがないと思うのですが、グループ全体が中小企業であるときに、連結を構成したときに軽減税率が使えなくなるかどうか、この辺を教えていただきたいのですが。

参考人

残念ながら、いまは回答を持っておりません。企業のサイズが小さい場合に、与えられているインセンティブがなくなるかどうかという質問に対しては、ケース・バイ・ケースだという回答を得ています。ですから、小さい企業に対して優遇税率を適用するケースもあれば、企業が連結グループに入ることによって消滅するインセンティブもありますと、そういうざっくりとした説明で、具体的に、ではどういうものについては消滅して、どういうものについては消滅しないのかというところまでは確認ができておりません。

委員

いかがでしょうか。

委員

税額の配分に絡む問題ですが、フランスは、連結申告書を未提出の場合には、個別の申告書に出した税額のほうを納付させるということが言われております。また、親会社の納付と子会社の納付との関係について、例えば配分基準が過少配分になっていたような場合には、廃止とか、連結納税の終了の際に5年分を寄附金として親会社の課税所得に加算すると。

納付しなかったらあくまで連結でとればいいという気もするのですが、日本でもやはり、連結納付額を納付しなかったらば、個別申告の税額を納付しろとか、ずっと過少の未配分額という概念があって、それを5年分は親会社の益金にして親会社に持たせてしまうと。私からすると、連結としたら、連結をとればいいのではないかという気がするのですが、連結をしていても個別申告に戻ったり、個別申告でいったり、そういうことはあるのですか。

参考人

御質問の内容に対する回答になっているかどうかわからないのですけれども、過少の場合のサブシディーのお話ですね。これは、基本的には親会社がグループ全体を代表して納税をします。その際に、親会社が納税した納税資金というのは、基本的に各子会社に請求書を出すわけです。そこでは負担を求めます。その負担を求める金額は、原則的に、各子会社があたかも連結グループに入っていなかったとした場合に納める金額を払います。ただ、必ずしもすべてのグループ企業がそういうふうな取扱いをしているわけではなくて、例えばその中に欠損会社があることによって、税額が少なくなりましたと。少なくなった結果として、本来子会社が負担すべき金額よりも少ない金額を請求した場合には、親会社から子会社に対するサブシディーがあったと。そのサブシディーというのは、日本の概念でいきますと、寄附金みたいな考え方でよろしいかと思うのです。

個別企業として取り扱った場合にはどういうことになるかというと、寄附金を受けたほうは益金に入ります。寄附金を行ったほうの法人というのは、損金不算入の規定の適用を受けます。ところが、これが同一の連結グループ内部の話なので、相殺を行って両方の効果をなかったものとしましょう。ただし、連結子会社がグループの外に脱退した場合には、過去5年間にさかのぼってニュートラルにした部分の効果を打ち消しますよと。5年前にさかのぼって、連結することによってニュートラライズされた部分の効果を打ち消すということです。ですから、もともと子会社がグループの外にいたとしたならば、本来負担すべき金額は幾らであったか、あるいは、他の法人から受けたベネフィットの金額について、課税所得の中にグループとして取り込みますということです。制度的にはそういう趣旨の内容だと理解しています。

課税所得の計算という観点にもう一度さかのぼりますと、各子会社が自分の部分については原則責任を持ちますよと。ただ、節税の効果が出た場合には、すべてその部分については親会社に帰属することになります。だから、利益が出ている子会社にしてみると、グループを出たときに罰則規定はあっても、自分のところがベネフィットを受ける規定は原則ないというのが出資制度的な内容だというふうに理解しています。

委員

私がなぜそのことを聞いたかというと、日本でもそんなことが必要なのか、日本がそう考えるのかどうかとちょっと思ったものですから。フランスの制度は、あなたがごらんになって、きわめて合理的ですか。(笑)

参考人

その内容というのが制度全体の問題だと思うんですね。グループの中に出たり入ったりを無条件で認めていますから、有利なときだけ入れて、そうでないときだけ出すということを避けようとするためには、ある程度の期間グループの中にとどまってくださいという形の歯止めを入れないと、法制としては成り立たないと思うのです。そういう意味で、都合のいいときだけ入ってベネフィットをとりました、ニュートラライズした上でグループの外に出た、ということに対する歯止めとしてそういうルールがあると思いますので、そういう意味で私は合理性があると思います。

委員

フランスではね。

参考人

はい。ですから、日本の税制も出たり入ったりを認める、あるいは、任意でもってグループ企業を認めるということを適用するのであれば、一定の期間内にグループの外に出た場合には、過年度にさかのぼってその効果を否定するという構造にしなければ、税収確保という観点からは望ましくないのではないかと思います。

参考人

いまのお話というのは税法面から見たらそうでしょうけれども、企業の活力を上げるという点からすると、再編に対して足かせになってしまうこともあるわけですね。その面もあると思います。

委員

いまの点ですけれども、アメリカは選択は任意だ、しかし、対象会社については全部強制。フランスはそこは任意になっているということから、そういう議論が出てくるわけですね。そういうことから言うと、なぜ、フランスが強制をとらなくて任意にしたのか。そういう考え方の背景とか、歴史的な背景のようなものがあるのかどうか。その考え方なのですが、考え方が違うということなのか。

私は、さっきの企業再編ということから言えば、強制するということなのではないかと感覚的に思っているのですが、そのことについて、何か知見がございましたら御説明いただきたいと思います。

参考人

米国で実務をやっていたときに経験したところから言うと、グループの数が非常に大きくなったときに、実際にすべてを連結するというのは実務的に非常に難しい部分があるんですね。任意にしたという部分については、実務面での配慮があるのかなというふうには思うのですが。

委員

ただ、片や80で、片や95ということですからね。80になると数は相当増えるだろうということはあっても、95というのはかなり限定したことになるのではないか。その辺の絡みも一体どういうことなのだろうか、こういうふうに思うのです。

参考人

どうなんですかね。実際に任意といってどういうふうな適用になっているのか、私自身、実態が推測つきかねますので、わかる範囲でこの部分についても追加でフォローさせていただきたいと思います。

委員

単体ベースに比べて、連結になると、いろいろな意味で払うほうは大変だと思うのです。そうなるとタックス・コンプライアンスのコストも上がるだろうと。米国で実務された経験上からフランスをのぞいたときに、米国はかなりコンピュータを入れて、すごいソフトができていて、300、400、500ぐらいの会社が連結してもバババッといくようなシステムになってますよね。大して文句を言わないでやっていますよね。フランスはどうなっていますか。同じようなシステムですか。

参考人

いえ、私の理解しているところでは、たぶんアメリカのような形にはなっていないと思います。ただ、コメントの中で、エレクトリック・ファイリング、Eファイリングというものが導入されていて、結構トラブルが多いということは聞いています。ですから、アメリカのような形で運営されていないのではないかと理解しております。

ただ、エレクトリカルにファイルされるということは、コンピュータのシステムとして、そういうものをコンソリデーションするものがたぶん制度的にあるのだと思います。

事務局

いまのお話の御参考ですけれども、去年、お2人の委員がフランスとドイツに行って調べられたときの連結納税のフランスの資料で、向こうの経済財政産業省に聞いたところ、利用状況が、「これは1994年の計数だが」ということだったのですけれども、連結納税制度の適用グループ数が6080、子会社数が1万7252です。ですから、何十も連結しているという会社もあるのでしょうけれども、平均して見ると、親1社、子1社というのがどうもフランスは多いなという話を、そのとき委員も言われていたような記憶があります。それは、任意に選べるからそうなのか、中小企業で1社しかないようなところしか使っていないのか、そこはよくわかりませんけれども。

委員

連結対象会社の話ですけれども、例えば個人株主グループがA社、B社と両方支配している。兄弟関係ですね。このような会社間で連結対象の適用対象になるかどうか。また、それがならないとするならば、仮に個人グループが20持っていて、ある会社が75持っている、そういった間柄の会社が二つあるといったときに、なるかどうか。この辺、いかがでしょうか。

参考人

私の理解しているところでは、法人として95%持たれていない限りにおいては連結納税が可能だと理解しております。ですから、個人が2人、兄弟が50・50で持っていて、その下に連結グループが存在する場合、同族会社の場合でも連結納税は可能だというふうに理解しています。

委員

よろしいでしょうか。

本日は、アーサーアンダーセンのお忙しい先生方に、フランスの連結納税制度、これをアメリカとも比較しながらいろいろな論点について御説明、御質疑をしていただきました。非常に有益な議論であったと思います。どうもありがとうございました。

手続きとしまして、次回からは、すでにまとめてありますけれども、幅広い論点について検討していかなければなりません。日程は未定でございますけれども、きょうのヒアリング等も参考にしながら、我が国の方向も検討していくようにしたいと思っております。

事務局から何か御連絡事項はありますか。

事務局

日程等また御連絡申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。

委員

お忙しい中、本日はどうもありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は毎回の審議後、速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知置きください。

法人課税小委員会