グループ・ディスカッション(第3回)議事録

日時:平成18年11月21日(火) 14時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館第一特別会議室

本間会長

それでは、時間がまいりましたので、ただいまから、グループ・ディスカッションを開催いたします。お忙しい中ご参集いただき、まことにありがとうございます。

前回に引き続き、19年度の税制改正の個別テーマの審議を行いたいと思います。

グループ・ディスカッションの審議につきましては、答申の策定に向け、限られた時間で充実した議論を展開するため、設定したテーマに沿って集中的な議論をお願いしておるところでございます。

本日は、「経済全体の活性化等」というテーマで、減価償却制度等、中身の濃いものもございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

なお、個別項目については集中審議を行うグループ・ディスカッションは本日が最後になりますので、これまで委員から出された項目等についても、「その他の事項」として、まとめて事務局から説明を受けたいと考えております。こちらのほうも自由にご発言をお願いいたしたいと思います。

それでは、議事進行については、田近委員にお願いをしておりますので、よろしくお願いいたします。

田近主査

一橋の田近です。よろしくお願いします。本間会長からご指名いただきましたので、私が議事進行をさせていただきます。

今日の議題について申し上げます。まず法人税の問題については、これまでの議論で委員からさまざまな論点があり、まずはしっかりとした調査・分析を行った上で十分な議論をすべき、といった意見が出ているところであります。本日は、これまでの議論を踏まえ、法人税に関する諸論点について、事務局から最初に説明してもらうことにします。

本日は、「経済全体の活性化等」というテーマですが、国際的なイコールフッティングの確保という観点から、見直すべきものはできるだけ速やかに見直すという考え方に立つと、企業税制に関して、こうした観点から議論になっている「減価償却制度」について19年度改正でどう扱うかという点は、しっかり議論する必要があり、集中的な審議をお願いしたいと思います。

なお、先ほど会長からお話のあったように、今回が最後のグループ・ディスカッションとなりますので、「その他の事項」についてもまとめて事務局から説明を受け、議論を行いたいと思います。

審議の状況によっては、若干の時間延長がありますので、ご承知おき願います。

それでは、本日の議論に入りますけれども、その前に、第1回目のグループ・ディスカッションのときに委員から質問がございましたので、事務局から簡単に説明していただきたいと思います。

まず宮内税制第一課長、それからあと、新たに「参考資料」というものが入ったと思いますけれども、内閣府から説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

宮内税制第一課長

主税局税制第一課長の宮内でございます。お手元の「補足説明資料」、右肩にG・D3-1と書かれた薄い資料をご覧いただきたいと思います。

表紙を開いていただいて1ページでございます。このグラフは個人のポートフォリオに占める株式と投資信託の構成の割合を示したものでございます。金融庁は、この値が小さいことを優遇税率継続の論拠としております。しかしながら、優遇税率導入の際に議論をしておりました平成14年度の5.9%と比べまして、昨年度は11.8%まで、2倍まで上がってきているということもございます。

また、これにつきましては、次のページで国際比較をしてみますと、わが国の値はすでにイギリス、フランスと同じレベルに達しております。

なお、ドイツとアメリカにつきましては、非上場株式を含んだ計数しかなくて、同じように比較することはできません。一般の個人投資家がどれだけ株式市場に参加しているかという点では、上場株式で比べるべきかと存じます。

なお、アメリカは、個人のポートフォリオに占める預貯金の比率が15%程度と非常に低い国でございまして、また、そのことがアメリカのシステムのウィークポイントと指摘されていることにもご留意いただきたいと思います。

以上でございます。

松山内閣府審議官

内閣府の松山でございます。後でお配りしました縦長の「参考資料」というものをご覧いただきたいと思います。

本間会長から、経済財政白書でどのような分析をしているかということについて資料を提出するようにというご指示がございましたので、お配りをいたしました。先ほど主税局から、個人の金融資産に占める割合のご説明がございましたけれども、ここで分析いたしておりますのは、株式市場におけます個人のプレゼンスというのがどのように変化しているかという関係の資料でございます。

まず1ページ目の下のグラフをご覧いただきたいと思います。そこに見てとれますように、個人の株式保有比率でありますけれども、20%前後でほぼ横ばいで推移している。直近までそのような動向であると。それに対しまして外国人の保有比率が上昇してきているということでございます。そういう状況にあるということであります。

それから1ページ繰っていただきましてグラフをご覧いただければと思いますけれども、ジャスダック、マザーズ等々の新しい新興市場の取引が拡大いたしまして、それとともに個人の株式取引自体は増加してきているという資料でございます。

また1枚繰っていただきまして3ページ目であります。上のほうのグラフでございますけれども、その頭に書いてございますように、個人の株主増加の寄与度分解をしておりますけれども、株式分割、それから投資単位の引下げ、かつ、新規上場、こういったものが個人の株主増加に寄与しているという分析でございます。

それからまた1枚繰っていただきまして4ページ目であります。ここでは、個人株主の年齢別、それから年収別の保有状況を書いてございますけれども、一番上のグラフをご覧いただきますと、日本では、株式保有比率が高齢者の世帯で高くなっているということが見てとれると思います。それに対しましてアメリカでは、むしろ55~64歳ぐらい、そのあたりがピークでありまして、高齢者の保有比率は下がっていると。日本の一つの特徴と言われております。

それから年収別の動向でありますけれども、やはり高所得世帯のほうが保有比率は高いわけでありますけれども、高所得世帯でも10%程度という数字が見てとれると思います。

それから5ページはちょっと飛ばさせていただきまして、最後の6ページに経済財政白書のいわば結論といいますか、以上のような分析をまとめまして、最後のパラグラフをご覧いただきたいと思います。「日本の金融システムにおける構造変化を展望する観点から、『貯蓄から投資へ』の流れが言われている。株式市場における個人投資家のプレゼンス拡大は、前向きな動きと捉えられるだろう。しかし、キャピタルゲインを目的とする短期的な取引中心で、いわば『売買すれど保有せず』といった層も見受けられる。今後、中長期的に企業の事業成長にコミットできるような個人株主の増加が期待される」とまとめておるわけでございます。

以上でございます。

田近主査

ありがとうございました。

本間会長

前々回のグループ・ディスカッションの総括の際に、私のほうから2点、この点について発言させていただきました。第1点は、政策目標としての「貯蓄から投資へ」ということがどの程度効果が上がっているのかどうかということ。そしてもう一点は、税調発の市場へのタービュランス、つまり、撹乱要項になってはならないということについて、格段の配慮をする必要性があるということを申し上げました。この点をご配慮の上、最終的にこれを文章の中にどのように落とし込んでいくかということでございますが、方向性として、証券税制の見直しをしていく場合にも、実務上の対応というものをしっかりととって、不必要な市場への撹乱原因にならないようなことをぜひ、これは実務的に主税局を中心にしながら、今から検討を深めておいていただきたいということをここで述べさせていただきたいと思います。

私のほうからは以上です。

田近主査

ありがとうございました。

それでは、本日の議題に入ります。減価償却制度など、地方法人課税関係及びその他の事項について、事務局から説明を受けた後、まとめて議論したいと思います。お手元に資料があると思いますけれども、吉田税制第三課長から減価償却、米田都道府県税課長、関固定資産税課長から地方法人課税等について、佐川税制第二課長、吉田税制第三課長、それから中村参事官からその他、そして米田都道府県税課長からその他ということで、一連の説明をいただいた後で議論したいと思います。よろしくお願いします。

吉田税制第三課長

税制第三課長の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、法人税全般にわたる概要と、それから減価償却制度についてご説明差し上げたいと存じます。

お手元にG・D3-2「法人税基礎資料」というものとG・D3-3、「資料(減価償却制度)」と書かれているものがございますので、まず「法人税基礎資料」のほうからご覧いただきたいと存じます。

1ページをお繰りいただきまして、企画会合とか本税調で、これまで法人税についていろいろな論点が指摘されてまいりました。それを簡単に整理しましたものが1ページ目と2ページ目でございます。これにつきましては、せんだっての14日のグループ・ディスカッションの冒頭のときに、議論の概要としてお配りさせていただいたものをもう一回焼き直したものでございます。それについて、項目をつけてちょっと整理させていただきました。

1つがまず活性化で、そこの中では中小企業も含めた企業の活力を向上させ、イノベーションを促進させる税制のあり方。それからもう一つ、論点として大きなものがございましたのが分配ということで、経済の活性化が国民各層にどのようなメリットがあるのかを示すことが必要である。あるいは経済の停滞が低所得者ほど大きなしわ寄せがあるということで、経済成長の効能のようなものをご指摘いただいております。それから格差が拡大しないようにすること、あるいは労働市場に着目したような分析も必要ではないかというご指摘がございました。

それから国際比較のところで、国民負担率の部分と、それから実効税率のところで解釈になかなか難しいところがあるというようなご指摘。

それから1ページお繰りいただきまして、税負担全体の場合は課税ベースであるとか、それから企業が実際に支払っている税の比較が必要ではないか。それからあと社会保険料の話、それから企業のトータルな負担を見ていく必要がある。それから比較する相手についても、欧米だけではなくて、アジア諸国と比較するか、その是非についても検討する必要がある。

それから制度論ということでくくらせていただきましたけれども、法人税の税制上の位置づけ。ですから、ほかの税目の所得税とか消費税との関係でどのように考えていくか。それからもう一つ、法人税の優遇等の関係で、国民の理解を得るためにどうするのか。ここも税目との関係ということになってくるかと思います。

それからもう一つ、その他ということでくくらせていただきました。これもあるいは制度論ということになるのかもしれませんけれども、人口動態の観点から、人口構成の変化とか、その消費、企業経営に与える影響についても議論を進めていく。

多岐多様なご指摘をいただきまして、それをこれから徐々に詰めた議論をしていくということになるかと思いますけれども、次ページ以降は、これまでにお出しさせていただきました資料、あるいはご指摘をいただいたものについて、お答えできるものを現時点で集めたものでございます。議論につきましても、皆さんからご指摘いただいたものは尽くされてはいないかと思いますけれども、今後の議論の糧にしていただければと思います。

それで3ページ目でございます。今ご指摘いただいた全体のくくりの中で、まず制度というほうから遡ってちょっと資料をご紹介させていただきたいと思います。制度といいますか、法人税というのは一体何かということで、1ページ目にお示しさせていただきましたのは「法人税収の推移」でございます。棒グラフで書かれておりますのが税収の過去のずっと流れを示しておりますけれども、平成元年、2年に着目いただきますと、バブル期で一番最高潮のとき、19兆円の収入がございました。下のほうをご覧いただきますと、一般会計税収に占める割合ということで横にずっと数字がございますが、平成元年でありますと、例えば34.6%という数字になっておりました。それがその後のずっと景気停滞もありまして、法人税収が下がってきて、それで一番底になりましたのが平成13年で10.3兆円、15年のときに10.1兆円という数字がございますけれども、この時期には大体税収に占める割合が20%程度、現時点では、18年度予算ベースでございますが、13.1兆という姿になっているということでございます。

それからもう1ページお繰りいただきます。法人税というのは、よく法人税、法人税と言われますけれども、法人所得課税でございまして、したがって、利益を出した法人に課税されるということでございます。したがって、赤字法人、私ども、欠損法人と呼んでますが、については課税されずに、さらに過去7年間欠損を出した分については、出た利益から差っ引いて損金にしているという制度がございますので、過去の繰越欠損というのがかなり大きく効いてまいります。

そこで出ておりますのが、真ん中のゼロのラインから下になっておりますのが翌期に繰り越している欠損金の額でございまして、2000年にピークの92兆ございましたけれども、現在のところは72兆円のところまで減ってきておると。上の棒のところを見ていただきますと、全体のところが所得金額になりますが、上の薄くしてあるところが繰越欠損金を控除したものでございまして、そこの下の濃くなっているところが控除後の所得金額ということになります。したがいまして、16年度を見ますと、12.8兆分が控除されまして38.9兆というのが所得金額という形になっております。さらにその下のところに、72.3兆というのは繰越欠損としてございますが、これが将来の申告の中に当然効いてくるという姿になります。

1ページお繰りいただきまして5ページでございます。それでは、赤字法人割合がどれぐらいあるかという姿をずっと引いておるものでございますが、これは上が重なって見にくくなっておりますけれども、■が全法人で、△が1億円未満の法人、それから◆が1億円以上の法人でございますが、欠損法人割合ということで、一番ピークだったのが平成11年でございまして、全法人で69.9%、約7割が欠損法人であったということでございます。その割合を大企業で見てみますと、その下が49ですから、約5割程度、その数字が現在は、16年度を見ていただきますと、全法人は67%、中小企業は67.4、大企業は45.6という姿になっております。

それからもう1ページお繰りいただきます。これまで法人税率がどういう形で推移してきたかというところでございます。これは国税についてでございますけれども、平成元年のときに、抜本的な改革、消費税の導入にあわせまして法人税の引下げが段階的に行われましたが、37.5%になりまして、平成10年度、社会の国際化に対応するということで、この際は法人税率の引下げと同時に課税ベースの適正化を同時に行うということで、これも暫定ございましたが、34.5%にまず下げまして、平成11年度につきましては、課税ベースということではありませんでしたが、税率を国際水準並みに引き下げるということで、30%というところまで落として現在に至っているという姿でございます。

続きまして「国際比較」ということでございます。7ページ目をお繰りいただきます。これも企画会合のときにお示しさせていただいたものでございます。もう一度説明させていただきますが、国と地方を通じまして、法人所得税の課税負担ということになりますけれども、ざっとご覧いただきますと、その実効税率ベースで比較いたしますと、日本の場合は、米国、ドイツと並び国際的に高い水準であると言われております。それから国税のみでいきますと、日本のところは、これは事業税の部分が損金算入されますので、30%という国税の表面税率から若干下がりますけれども、27.89。これにつきましては、国税ベースだけで比べると、米国、フランスよりは低いという姿になっているというところでございます。

それからもう1ページお繰りいただきまして、実効税率のこの姿と、それから国民所得比で見た場合の企業の税負担とどのように考えるだろうかということで、一番最初に一番下の箱表を見ていただきたいと存じます。たしかドイツとの関係でご指摘があったのだと思います。法人実効税率を見ますと、日本の場合、40.69%で、ドイツが39.9%でございますが、税収の国民所得比を見ますと、日本が5.8で、ドイツが1.7という姿になっております。ドイツにつきましては、課税が法人形態と同時に個人事業形態でも納税ができるという制度上の差異もありますが、そういったことで、法人課税を行っている企業数が少ないという実態もございますけれども、これをどのように考えていくかということを整理いたしましたのが上のポンチ絵でございますが、法人所得に与える影響というのは左のようにさまざまなものがございます。その中で税率を抜きましたものが、ここが前ページで比較しました法人実効税率のところでございます。それ以外につきましても、先ほども申し上げました課税ベースの話でありますとか、さまざまな税額控除が認められているとか、それから企業側の行動として租税回避行動がある。それについて課税の適正がどのように行われているのかという点があるということ。それから、今申し上げました対象となる企業数、あるいは企業収益というのも当然影響してまいります。そんなことをもろもろ、逆にいうと、経済活動の実態として結果的にあらわれてくるものというのがGDP比ととらえることができるかと思います。

続きまして9ページ目でございます。これも、これまでの議論の中で、法人税負担だけではなくて、社会保険料の事業主負担が一体どうなっているかもあわせて比較してはどうかというご議論がございました。取り急ぎ、私どもが持っている資料をまとめましたが、これもGDP比でございます。GDP比で見ました法人所得税負担で見ますと、日本は諸外国と比べて若干高めの姿になっております。ということで、社会保険料の事業主負担については、ドイツ、フランス、ヨーロッパ系を見ていただきますとかなり高い水準の負担になっているという姿が見てとれようかと思います。

続きまして、今度は分配の側面でございます。こちらについても、11月14日のグループ・ディスカッションの際に冒頭ご説明を差し上げた資料でございますけれども、労働分配率の1999年をピークといたしまして、左側の表でございますが、その後1回落ちて、さらに2002年から2003年にかけて若干のピークを迎えて、その後一貫して落ちてきているという姿がございます。ここの落ちているところを右のほうで若干短いスパンで見ますと、全規模、真ん中の黒いラインでは右肩下がりに落っこっております。若干とまったようなところがあって、中小企業はちょっと上りかけているような姿が描かれておりますが、大企業については、まだ右方向への姿が18年度、第2四半期のベースまででは描かれているという姿でございます。

続いて、それでは人件費総額がどうなっているかと。これもお示しさせていただいた資料でございますけれども、2003年を底に、全体の総額といたしましては回復してきているという姿が見てとれようかと思います。

今度は人件費だけではなくて、それでは、全体として企業業績が回復しているという中で、そこの利益処分のところがどうなっているかということでございますけれども、2005年のところを見ていただきますと、全体として利益の額が増えてきておって、その中で配当金、それから内部留保の割合が非常に大きくなってきているということがあろうかと思います。

これも分配との関係でいきますと、例えば内部留保が最終的にどこに回ってとか、それから配当金についても、個人投資家のところに回って、それがどういう形で課税されていくとかいうような多面的な分析も今後必要になってくるのではないかと考えております。

それから足元のところで、では雇用者の推移がどうなっているかということでございますけれども、全体の趨勢をご覧いただきますと、雇用者数は回復してきているという姿が描かれております。その中でちょっと薄いほうの網掛けになってますパート労働者と言われる人たちの寄与度があって、その部分がどちらかというとプラスにもたらしているという姿がここで見てとれようかと思います。

それでは、さらに、ちょっと駆け足で恐縮でございますけれども、14ページ、(マクロ)と書いてあるところ全体をご覧いただきたいと思います。これはまさに今日のテーマであります経済活性化との議論の関係で出てくるところで、それと法人税とのかかわりがどうなっているのかというところで、まず資金の流れ全体を概観したいと思います。それが14ページ目でございますけれども、日銀の「資金循環統計」からとりました姿でございます。お金がどこからどこへ流れているかという姿でございますが、真ん中のゼロのところの上が資金余剰主体で、供給側でございます。ゼロから下のところが資金不足で、需要側ということになります。

それで、■が家計でございます。それからもう一つ着目していただきたいのが〇の非金融法人企業、ですから、企業部門でございますね。従来は家計が資金を供給して、これを企業が受容するというのが高度経済成長期やなんかは通説でございましたが、それが90年代に入って徐々に状況が変わってきておりまして、家計が全体圧縮される中で、法人企業部分が資金供給側に回ってきているという姿が見てとれようかと思います。その中で圧倒的に資金の取り込み側がどちらかというと、若干最近は回復基調にございますけれども、一般政府、したがいまして、政府の借金部分が相当程度のお金を吸い上げているという姿がここで見てとれるということでございます。

それから1ページお繰りいただきまして、それでは企業行動がここのところどうなってきているかと。活性化の観点では設備投資というのは非常に重要になってまいりますけれども、設備投資につきましては、ちょうどバブルのピーク、1991年を目指して、若干の浮き沈みはありましたが、一貫して伸びてきております。それがバブルの崩壊とともに下がって、景気低迷期を迎えてきていると。それが2002年を底にいたしまして、ちょうどマルで囲んできているところですが、急速にまた設備投資の盛り上がりが見てとれます。これが現在の景気回復の牽引となっているというところでございます。それから、今後これがどういう形で経済各所に均てんされていくのかというところが論点になろうかと思います。

それでは、設備投資が増えてきて企業が資金供給主体になっているというのを一体どのように理解したらいいかというのが次の16ページでございますが、ここがキャッシュフローというのと設備投資というところを描いております。キャッシュフローは、利益のうち税やなんかでとられるものを除いた、いわゆる企業が手元に持っているものとそれから減価償却を合わせたもの、下に定義が書いてございますが、一般にキャッシュフローと呼ばれております。

それを見ますと、点線の設備投資が平成2年を底にして右肩上がりに上がっておりますが、キャッシュフローもそれを上回る水準でずうっと推移して右に上っているという姿がございます。キャッシュフロー、一時期増えた後、2001年ぐらいから下がっておりますが、過去の既往の債務を返済するのに充てていたような企業行動があった時期もございましたが、その後、キャッシュフローが潤沢にまた推移してきておりまして、その後、設備投資に結びついてきているという姿がこちらで見てとれるということでございます。

それで、企業が自分たちで資金を提供して設備投資を行っていくと。その中でさらに、設備投資の今後まだ余地があるのであろうかということでございますが、17ページにその設備のヴィンテージというのを書いておりますが、これは設備の平均年齢でございます。これをご覧いただきますと、いまだにずうっと平均年齢が延びているという姿でございまして、どういうことかというと、平均しますとみんな長寿の設備を使っているという姿がここで見れるということでございます。バブルのちょうど87、88ぐらいに一回ピークを打ちまして下がっているのですが、さらに91、92ぐらいから、その後の景気低迷を背景として、極力長く設備を使っていこうというインセンティブが働いたのかと思いますが、長くなっているという現状がございます。

それから18ページは設備投資の増加と経済活性化の全体について、概観図でまとめたものでございます。設備投資がどうやって活性化につながっていくかということでございますが、まず右のところ、先ほど申し上げたキャッシュフローの改善が1つあります。それからもう一つのチャンネルとしては、資本コストの低下、それから新規設備投資判断の改善、景気が明るくなってくるとみんな前向きに考えると。それから資本コストの部分には税も一つのパートとして含まれると思います。

それが設備投資の増加へつながりまして、2つの側面がございまして、1つは供給側の効果で、生産性が向上してくる。それから需要側の効果でございまして、需要創出効果、いわゆる乗数効果であるとかいったものに結びついて、それが全体として経済、GDPの増加、経済の活性化につながっていくというのが一つのモデルになるだろうと思います。

ここまでが法人税の基礎のところでございまして、ここからさらにつながる形で減価償却制度に移らせていただきたいと存じます。G・D3-3の「資料(減価償却制度)」という資料でございます。今までご説明差し上げてきました活性化、設備投資、それと税との関係でございますが、1ページ目に包括的にさせていただきますが、スタンダードなテキストでどのように書かれているかということでございます。1つは税率、先ほど申しました、これは資本コストの部分もございますし、キャッシュフローに効いてくるというところもございます。それから減価償却制度、それが一つの大きな柱になって、ここは、先ほどの定義のところでございましたけれども、キャッシュフローに大きく効いてくる部分でございます。それから税額控除(タックスクレジット)といいまして、特定の政策目的を行うためにターゲットを当ててインセンティブを与えるような、政策減税と言われるようなものでございます。

まず税額控除のところからご説明したいと思いますが、1ページお繰りいただきまして2ページ目になります。これまで法人税の中で活性化でどんな取り組みを行ってきたかというのをまとめたものがこちらにございまして、平成15年に実はIT投資促進税制、それから研究開発税制、両方合わせますと1兆円を超える大規模な減税を行っております。

まずIT促進税制のほうをご説明させていただきますと、これはIT関連の設備を取得した場合に税制上の優遇措置を与えるということでございまして、どちらかというと設備を購入、それから設置するというインセンティブになっておると。それが平成18年度改正がございまして、その際にはこれを衣替えいたしまして、さらに一歩進めて、ただ単に設備を導入する、そこから加えて企業間で一つのシステムマップをつくった際にどういった税制面のインセンティブが与えられるかということに移行してきております。

それから研究開発税制でございますけれども、平成15年に一つの大きな変化がございまして、それまでは試験研究費の増額部分についてのインセンティブであったのが、計上しております試験研究費総額について税額控除をするというシステムになっている。当初は選択制でございましたが、平成18年度税制改正に、もともとありました増加部分と、それから15年度導入されました総額部分の両方を合わせて二階建てのような形にして整理をしまして、ずっと恒久化しているということでございます。これが先ほど言ったタックスクレジットと言う中のインセンティブづけを与える一つの大きなシステムになっております。

それからもう一つの大きな柱になりますのが、これからご説明差し上げる減価償却制度でございます。減価償却制度につきましては、今の活性化というものと、もう一つ大きな、ここで企業会計上の論点があろうかと思います。通常、企業が高額の設備をしたときに、当然すぐにその費用を賄うということはできませんので、それを将来にわたって費用配分計上していくと。その考え方をどうするかということでございます。ですから、通常であれば、使っている期間にあわせて費用を計上していくというのが、企業会計上、収益と対応させてというのが健全な姿であるだろうと。それが一つの考え方でございまして、ですから、要は一定の高額な費用をどう期間に案分していくかというのが基本的な考え方でございます。

1ページお繰りいただきまして4ページ。じゃあそれを具体的にどのようにやっていくのかということでございますが、1つが定額法といいまして、例えば100ある資産を10年間で償却していくということであれば10分の1ずつ落としていく。もう一つが定率法というのでございまして、これは一定の利率で償却していくと。例えば20%であると、100の資産に対してまず20の部分を落として、その次は残りの80の部分のさらに20%を落としていくということになりますので、最初、費用計上する部分が非常に大きくなっていく。その姿を描きましたのが下のところのカーブで描かれているもので、これは法定耐用年数10年のものについて書いたものでございます。点線で直線的に落としているのが定額法でございます。

それで、今私どものとっている制度がどうなっているかということでございますが、ちょうどその10年のところをご覧いただきますと、法定耐用年数が過ぎたところで残存価額10%というのがございます。これは、この制度を導入した当時、スクラップバリューがその程度あるだろうということを念頭に置いて、したがって、定率法で書く場合も、この10%残っているところを目指してカーブを描いていくという姿になってます。これが昭和39年に、スクラップバリューもそれほどもう出なくなってきて、それから除却する際のコストも相当ままならないものがあるということで、制度改正を行って、さらに5%、したがいまして、最大、全体の取得価額の95%のところまでは償却してもいいですよというシステムになっております。ここの今申し上げた95のところというのがまさに諸外国とのイコールフッティングとの関係では今後論点になってくるところでございます。

それで、減価償却を見た場合に3つ論点がございまして、1つが、今申し上げた、どこまで償却できるかということで、日本の場合、償却可能限度額が95%になっているということ。それから耐用年数というのも、これは不断の見直しが必要なのだろうと思いますが、実態がどうなっているかと。それからもう一つありましたカーブの書き方でございますけれども、このカーブの傾きによって、カーブの傾きが立ってきますと、早い段階で費用化してこれを償却できるという意味で、設備投資を促進させる意味では、立ってきたカーブのほうが有利だということが1つあろうかと思います。したがいまして、どこまで償却できるかということと、耐用年数とカーブの傾きというのが3つの大きな論点としてあろうかと思います。

1ページお繰りいただきまして、それでは、まず最初のどこまで償却できるかというところでございますけれども、諸外国でどうなっているのかということで、償却可能限度額という下から2つ目の欄で、一番左の日本のところをご覧いただきますと、95%となっております。諸外国どうなっているかというと、基本的には、100%まで償却が可能であるという姿になっております。ここがいわゆるイコールフッティングと言われている部分でございます。

それから6ページ目にお繰りいただきまして、このカーブの傾きの部分でございますが、これがどうなっているのかというのを国際比較したものでございます。日本の場合は、最初の段階でアメリカ、ドイツよりきつい傾きになっておりますけれども、残存価額、それから償却可能限度額の部分がございますので、95まで落ちたところで横にずうっと寝ていくという償却カーブになっているという姿でございます。

それでもう一つ、耐用年数のところでございますけれども、実は耐用年数をやるについてはしっかりとした調査を行わなければいけないということで、本年9月から、9省庁で共同で調査を実施しております。経団連、商工会議所等にもお願いいたしまして、選定しました企業数が3,160社なのですが、現在のところ、回答いただいている企業は1,211社でございまして、まだ3分の1強という姿でございます。したがいまして、中間的なご報告ということにならざるを得ないのでありますが、したがって、11月17日現在で集計したものでございます。

その中でざっとハイライトだけお示しさせていただきますと、一番下のところで平均使用年数というのがございますが、調査いたしました全体の試算の平均使用年数が13.13年、それぞれの試算の法定耐用年数がどうなっているのかというのも集計いたしますと、12.16年ですので、法定耐用年数より若干長く使用しているという実態がございます。これにつきましては、先ほどのヴィンテージが長くなっているという側面もあるのと、それから資本的支出といいまして、一つの機材について、新たにそれを修繕しながら使っていった場合に、若干もともとの耐用年数よりさらに長くなるということもございますので、そういった点も考えていく必要があるのかなと思っております。

したがって、さらに今後耐用年数のところを議論するに当たってはもうちょっと詳細な、現実に即した調査が必要であろうかなと思っております。

大変駆け足で恐縮でございますが、私からの説明は以上でございます。

田近主査

どうもありがとうございました。

続いて、地方法人課税等について、米田都道府県税課長と関固定資産税課長、よろしくお願いします。

米田都道府県税課長

都道府県税課長でございます。それでは、地方法人課税につきましてご説明申し上げます。G・D3-4という資料でございます。

まず最初に、地方法人課税、よく法人二税と言っておりますので、それの概要につきまして、1ページ、2ページでお示ししております。1ページ目、法人住民税でございますけれども、これは個人の住民税と同じような構造になっておりまして、市町村と都道府県が課税をするということ、それから中身につきましても、均等で負担をお願いしている部分と、それから法人税割という、所得に対してかかっている部分とがあるということです。それから法人税割につきましては、税率のところをご覧いただきますとおり、法人税額の5%、12.3%という形になっているというものでございます。

続きまして2ページでございます。法人の事業税でございます。こちらは地方の行政サービスに必要な経費を分担するという応益の考え方に基づきまして、都道府県が課税しているものでございます。したがいまして、(注)で書いてございますとおり、この税額につきましては損金算入の対象になっております。

なお、その課税のやり方につきましては、原則、所得課税でございますけれども、1億円超の普通法人につきまして外形標準課税が導入されたというものでございます。

続きまして3ページ以下、基礎的な資料でございます。先ほど国税でもございました税収の推移でございまして、おおむね国税と同じような状況になっているということで、1つは税率が下がったという要因、もう一つは所得の状況、この要因で決まってきているものでございます。

次の4ページが、では実効税率はどのような推移をたどったかというものでございまして、最高が昭和59年、17.40%でございましたけれども、累次引き下げられてまいりまして、現在では11.56%という格好になってございます。

しからば、次に国際比較でございまして、5ページ、これも企画部会のときにお出しさせていただいたものでございます。黒い部分が地方税ということでございますが、日本の地方税部分、ドイツ、アメリカと大体同様の状況になっているということでございます。

なお、次の6ページをご覧いただきますと、今のような国と地方の配分に大きな影響を与えます財政が、国・地方でどのような分野を担当しているのか、そのボリュームを示したものでございます。日本の地方団体の仕事の量というのは世界有数の水準だと言われております。全体で国が40に対しまして地方が60ということでございますが、真ん中あたり、国土開発費ですとか農林水産、商工といった分野でも、地方の経費のウェイトが高いという状況になっております。

続きまして、7ページ以下につきましては外形標準課税につきましてご説明を申し上げます。7ページに書いてありますとおり、まず公平性、応益性といいました税の原則のほかに、所得に対する税負担を相対的に緩和いたしまして経済の活性化をもねらったということで、平成15年度の税制改正で、この外形標準課税、導入されたものでございます。

概要は、資本金1億円超の法人が対象になっておりまして、16年4月1日以後。その設計は、税収中立という観点で、4分の1を外形標準課税、4分の3を所得課税という格好にしております。したがいまして、所得による課税の部分だけの税率を見ますと、従来の9.6%が7.2%という形で引き下げられております。

なお、外形基準でございます付加価値割と資本割につきましては、次の8ページ並びに9ページで詳細書かせていただいておりますが、説明は省略させていただきます。

そこで、10ページでございます。外形標準課税、ようやく初年度の課税が終わりましたので、その実績を報告させていただくものでございます。左側が対象の法人でございます。利益法人で1.7万社、欠損法人で1.3万社、合わせて約3万社が対象になっております。法人の数が全体で250万社程度でございますので、対象が1.2%程度ということになります。

その税額の出方でございます。右側でございますが、所得割が1兆7,500億円程度、外形のほうが大体6,500億円程度ということで、ほぼ設計どおりの外形基準の税収ということになっております。

11ページがそれの欠損利益法人別、しかも資本金別に見たものでございます。これはちょっと左下の箱のところをご覧いただきますと、計のところでございますが、欠損法人、法人数1万2,000社程度でございますが、外形分の税額が1,948億円ということで、合計との比率で申し上げますと、約3割が欠損法人、負担していただいているということになっております。

これを、ちょっとわかりにくいものですが、12ページで1社当たりの平均的なご負担額というのを計算してみました。資本金1億円超10億円未満というところをご覧いただきますと、そのうち欠損法人でございますけれども、外形分の1社当たりの課税額がおよそ300万円という程度でございます。それに対しまして、そこの一番下をご覧いただきますと、100億円以上の資本金のあるものにつきましては2億2,000万円程度ということになります。ここの100億円以上の欠損法人、銀行を初め金融機関がかなりここに入っているのではないかという分析をしております。

続きまして13ページをご覧いただきたいと思います。この外形標準課税でございますけれども、最初に申し上げましたとおり、対象が資本金1億円超の法人でございます。ほぼ予想どおりの対象でございましたけれども、減資によりまして資本金が1億円以下になりましたことで、外形標準対象外となった法人が意外に多うございました。全国で2,000社弱ということでございます。とりわけ、減資前には100億円以上の資本金のあった法人が40社あったという状況でございます。

その中身を目的別に見ましたのが14ページ、次の表でございます。減資、さまざまな目的がございます。必ずしもこれは表に出さなくてもよいものでございまして、官報の公告と東京都のご協力を得て、課税情報を東京都分で見たものでございます。[2]の欠損てん補、それから[3]、[4]といういわゆる有償減資等のほかに、[1]でございますけれども、資本剰余金等への振替というものがおよそ40%強あったというものでございます。こういうものにつきましてはいわば法人の実態が変わりませんで、BS上の位置づけのみ変更した結果、外形対象外となりましたので、課税の公平の観点からどのように考えるかという問題があろうかと存じます。

次、15ページ以下は違う話題でございます。これは当税調で累次の答申でご指摘いただいております社会保険診療報酬に係る事業税の実質的な非課税措置のことを、事実を掲げさせていただいております。

さらに16ページは、これは自由診療分でございますけれども、医療法人にはさらに軽減税率が設けられているということでございます。15、16ページ、いずれも地方税のみの優遇措置ということでございます。

17ページはこれまでの答申をつけさせていただきました。

私からは以上でございます。

関固定資産税課長

引き続きまして、資料、G・D3-5をお願いいたします。固定資産税課長の関でございます。

1ページをご覧いただきまして、減価償却制度の見直しは、国税である法人税を中心に議論されておりますけれども、地方税にも影響を与えますので、ご説明いたします。

第1点は法人住民税、法人事業税への影響です。法人住民税は法人税額を課税標準としており、法人事業税は法人税の所得例により税額を算出しているため、国税にあわせて減価償却制度の見直しが必要となります。法人税で減収する場合に、その額の50%弱の減収が地方でも生じます。

第2点は、固定資産税における償却資産の評価との関係です。固定資産税は資産課税なので、対象資産の価値に対して課税されますが、減価償却は課税対象の資産価値を評価するために用いられています。資産課税としての性格を踏まえ、法人税とは別個の検討が必要となってまいります。

2ページでございます。固定資産税のボリューム感を知っていただくための資料です。市町村税収、約19.6兆円のうち、固定資産税収は8.75兆円、割合で45%を占めております。税収の内訳は、償却資産からの税収は1.59兆円を占めております。また固定資産税収に占める償却資産の割合は、小さな団体ほど大きく、町村で26.4%を占めております。

次に3ページでございます。減価償却のあり方として2つの論点を掲げましたが、論点自体は重複になるので省かせていただきます。図の点線が見直し案を示しておりますけれども、法定耐用年数で残価ゼロとするもので、影のついた部分が現行制度からの減収を示しております。最低限度をゼロとするという点だけではなく、償却カーブが下がることによる減収の影響が大きいことに留意していただく必要がございます。

また論点2にありますように、耐用年数が短縮されますと、この上のカーブ自体がさらに左に移動することになり、減収が増えることになります。

4ページでございます。所得課税と資産課税の相違をご説明しております。法人税、地方法人2税の場合には、減価償却は、先ほどご説明がありましたように、取得価額を費用期間にわたって費用化するものです。利益減をもたらす損金算入の総額が取得価額を超えることはありません。ある年度に償却額、すなわち、損金を増やしまして利益を減らした場合、その年度は税収減となりますが、翌年度以降は損金算入額が減るので、税額は増えることになります。したがって、早期の償却は課税の繰延べとなります。

他方、固定資産税では、課税対象の現在価値を評価するために減価償却を行います。その時々の資産価値に応じた税負担を求めますので、一度価値が減価されてしまいますと、その年度以降、毎年度、減収が続くことになります。

次の5ページでございます。所得課税と資産課税の性格の相違を反映いたしまして、現在でも、固定資産税の評価額と法人税の簿価とは異なっております。表にありますように、賦課期日は、事業年度末か、あるいは1月1日か、償却方式は定額法・定率法の選択制か定率法のみかの差があります。初年度の償却方法も異なりまして、その違いを反映しまして、その後の毎年の償却額も異なってきます。また法人税にある特別償却、割増償却は固定資産税の評価にはございません。また圧縮記帳もございません。

6ページでございます。諸外国においても、所得課税の償却方法と資産課税の評価方法が異なることを示しています。表の下の部分にありますように、償却方法自体、法人税と異なっております。また、法人税でゼロまで減価償却できる国であっても、資産課税においては評価額の最低限度がございます。例えばアメリカにおきましては、財産税の評価方法は州、郡により異なりますが、修正加速償却法を採用しております連邦法人税とは異なり、緩やかな償却カーブになっております。それからフランスにおきましては、取得価額の16%で一定でございます。また韓国におきましては、財産税の評価方法は、取引価格、輸入価格、新造、建造、製造価格等を参酌した基準価格をもとに減価していくということになっておりまして、取得価額によります法人税とはそもそも基準となる価格が異なっております。

以上で私のご説明を終わります。

田近主査

ありがとうございました。それでは、続けてその他の部分、お願いします。

佐川税制第二課長

税制第二課長、佐川でございます。よろしくお願いします。資料G・D3-6「資料(その他の事項)」という資料でございます。

1ページをおめくりいただきまして、「その他の事項」でございますが、道路特定財源、環境税、企業関係租税特別措置等とございます。

まず2ページ、道路特定財源のところからご説明をさせていただきます。2ページは特定財源の概要でございます。左の欄から、税目、それから課税対象、それから税率。税率のところは各欄の括弧の中に本則が書いておりますが、それぞれ多くの税目で暫定税率が上乗せされているのが見てとれると思います。

それから税収の使途、根拠法、税収というのが挙がってございます。税収の数字はそれぞれ出ておりますけれども、合計しますと、国が約3兆5,000億円、地方が約2兆2,000億円ということで、合計で約5兆8,000億円というのがこの数字の合計でございます。

次に3ページでございます。「国の道路特定財源整備の体系」でございますが、おおむねどのようにこの特定財源が回っているかという図でございまして、国の特定財源、上から見ますと揮発油税でございますが、4分の3が一般会計、4分の1が道路整備特別会計に直入されております。それから石油ガス税は2分の1が一般会計、2分の1が譲与税として地方に、自動車重量税、3分の2が国、3分の1が譲与税で地方にということでございまして、それ以外に、真ん中の下のほうに地方分として地方道路譲与税等がございます。それで、真ん中の国の道路予算と書いてあるところに、道路整備と使途拡大、本四債務処理とございますが、その中身が次の4ページでございます。

国の道路特定財源で、左半分に箱が2つございます。右側の箱が18年度歳入3兆5,429億円で、本則税率と暫定税率と書いてございます。暫定の上乗せ分が約1兆8,000億円ございますので、おおむね暫定と本則分で半々となっているわけでございます。

左側、歳出でございますが、道路整備が2兆8,866億円の上に、本四の債務処理が4,522億円、それから使途の定めのない一般財源化、472億円、それからまちづくり交付金やETCの普及促進等々で1,568億円、この黒く網がかぶっている使途拡大というところで大体6,500億円ほどございまして、この本四の債務処理が今年度で終わるということになっておりますので、来年度以降の特定財源をどうするかというのが昨年来議論されているところでございまして、それが次のページでございます。

5ページでございますが、「道路特定財源の見直しに関する政府・与党合意及び行政改革推進法」とございます。上半分が昨年12月19日の政府・与党合意でございます。下のゴシックのところの1、2、3と書いてあるところが基本方針ですが、その上の2行、「その際」からちょっと読ませていただきます。「その際、現下の危機的な財政事情に鑑みれば、見直しによって国の財政の悪化を招かないよう十分配慮し、また、特定財源の使途のあり方について、納税者の理解が得られるよう、以下を基本方針として見直す」。

1.道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に見極めつつ、真に必要な道路は計画的に整備を進める。その際、道路歳出は財源に関わらず厳格な事業評価や徹底したコスト縮減を行い、引き続き、重点化、効率化を図る。

2.厳しい財政事情の下、環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する。

3.特定財源制度については、一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る。

こうなっておりまして、それを受けまして、下のいわゆる行政改革推進法、本年の5月でございますが、そこにも同様のことが書いてあるわけでございます。

次の6ページでございますが、これが本年度のいわゆる骨太の方針、基本方針2006と9月の総理の所信表明でございまして、上の箱が骨太2006です。下の2行ですが、「道路特定財源については、同法に基づき」というのは今ご紹介しました行革推進法ですが、一番最後、「年内に具体案を取りまとめる」と、こうなってございます。総理の所信表明でも同様に、「現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に見直し、納税者の理解を得ながら、年内に具体案を取りまとめます」となってございます。

7ページ、道路の最後でございますが、「道路特定財源に関する最近の政府税調答申」が幾つか並んでございますが、それぞれ同様の趣旨のことが述べられております。

以上、道路でございます。

8ページ、環境税でございますが、一昨年、ロシアが批准したことに伴いまして、昨年2月に京都議定書が発効しております。したがいまして、昨年の4月に、ここにありますような京都議定書目標達成計画というものを閣議決定しておりまして、これはその骨子でございます。

真ん中の箱のところでございますが、ちょっと細かくて恐縮でございますが、2010年度の排出量に比してということで、下の合計の数字でございますが、2010年度の排出量が90年度比、▲6%になるべきところを、右の黒い箱のところですが、▲12%までしなくてはいけないというふうに、今CO2が伸びている。したがいまして、どのようにしようかということがこの計画に書いてあるわけでございまして、右の1に温室効果ガスごとの対策などありますが、下の横の長細い表でございますが、2の「横断的施策」の一番右側に黒で囲って「ポリシーミックスの活用」という箱がございます。これは規制的手法、あるいは経済的手法などさまざまな政策を組み合わせてやっていくという意味ですが、その中に「環境税等も検討」と書いておりまして、その中身が次の9ページでございます。

ここもいろいろ書いてございますが、この環境税につきましては、一番最後のパラグラフ、「環境税については」というところですが、「環境税については、国民に広く負担を求めることになるため、関係審議会を初め各方面における地球温暖化対策に係る様々な政策的手法の検討に留意しつつ」、次からですが、「地球温暖化対策全体の中での具体的な位置づけ、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題である」、こう書いてございまして、各方面、関係者間でさまざまな議論が行われているということで、一つの大きな方向が出ているということにはなっておりません。

したがいまして、10ページ、「参考」でございますが、今この環境税の創設で、関係省庁どのようになっているかというのをまさに参考で載せさせていただいております。19年度の要望からの抜粋でございます。全部読みませんが、上の2つ、環境省と農水省はそれぞれ環境税推進でございます。3つ目の経産省でございますが、マルに書いてございますように、「増税なき地球環境対策の推進」とうたっております。それから一番下、日本経団連の考え方は、「環境税は温暖化防止には全く寄与しない」と書いてございます。

次に11ページでございますが、ということで、昨年の年末の政府税調が左側、右側が与党の税制改正大綱でございますが、これもお読みしませんが、一番最後の行ですが、それぞれ「総合的に検討していく」、あるいは「総合的に検討する」というのが答えでございます。

以上でございます。

吉田税制第三課長

三課長の吉田でございます。再び戻りますが、12ページ以降3ページ、ちょっとご説明を差し上げたいと存じます。

先ほど、政策減税ということで、特定の分野にターゲットを当てた政策を実現するための税制がございますということを申し上げましたが、それを総括しましたのが12ページのところでございます。租税特別措置と呼ばれているものが平成18年で64件ございます。それら全体を合わせますと、ここにありますように、減収額の規模でいくと1兆880億円ございます。その中で大きいものが、先ほど申し上げました研究開発税制、それから右のほうで1,000億円というところで、情報基盤強化税制というのがございますが、これが先ほどご説明したIT関連のところでございます。

それで、この税調の議論の場で話題に上りましたものについてだけちょっとご紹介させていただきたいと思います。13ページと14ページでございますが、少子高齢化の議論がございましたので、その中で税制改正要望――税制改正要望といいますのは、予算と同じように、毎年税制改正をするということで各省庁から要望が出てまいりまして、それを年末に向けて議論していくということでございますが、今年は52項目が出ております。企業の子育て支援ということで1つ要望が出ておりまして、これは事業所内、企業が託児施設や何かを設置した場合に特定の税制上のインセンティブをつけてほしいということがございます。

それから14ページ目でございますが、これは以前、土地の買換え特例というのがたしか話題になったかと思いますが、どういうことかと申し上げますと、長期に10年以上保有している土地につきましては、それを新たな事業用資産に買い換える場合に圧縮記帳を認めておりまして、したがいまして、譲渡益が実現するまでは課税が繰延べになるという制度でございます。それが19年度、本年末ですが、期限を迎えることになっておりますので、これも年末に向けて調整が図られるということになります。

以上でございます。

中村参事官

最後、国際租税を担当しております参事官の中村でございますが、「その他の事項」の15ページ、前回ディスカッションでご議論いただきました移転価格税制につきまして、1つ補足させていただきます。

前回のご議論では、制度の説明、それから事務の流れを説明させていただいた上で、主として基準の明確化とか事前確認制度についてご意見いただいたかと思います。資料といたしましては、ここに書かれたようなことで、制度の議論も含めと思っておりましたが、なかなか制度の議論、ここについてされるのも漠としておったということかと思いまして、現在の状況として、真ん中の矢印のところ、現在、経済産業省のほうから、移転価格税制に関しましては、運用の明確化、事前確認制度の改善というその2点に加えまして、移転価格税制の適用によって生じる二重課税に伴う負担を軽減するため、二国間の調整が済むまでの間、納税を猶予する制度を導入すべきといった制度面の要求がなされております。

要望の中身、ちょっと図で示しておりますけれども、わが国企業が当初申告いたしまして、移転価格税制を国税当局が適用した場合に、この影のところで増額更正なりますが、この部分につきましては、相互協議による調整までの間、二重課税の状態になるということで、その部分についての納税は、協議が成立するまで猶予してもらいたいということでございます。

移転価格税制につきましては、二重課税といった移転価格の特殊な問題に触れる問題でもありまして、制度面ではこうしたものも含めて検討していくということでご紹介させていただきます。

以上でございます。

米田都道府県税課長

引き続きまして、地方税関係、その他、簡単にご説明申し上げます。

1ページでございますが、地方の道路特定財源でございます。2つの地方税、3つの地方譲与税で構成されておりまして、税収規模、2兆2,000億円でございます。すべて法律によりまして使途が明定されております。それと、ちょっと小さくて恐縮ですが、注)の3番、一番下をご覧いただきますとわかりますとおり、暫定税率が地方関係にも設けられておりまして、平成20年3月末ということで、その暫定税率によります税収が約1兆円弱という水準でございます。

続きまして2ページは沿革を載せさせていただいておりますが、いずれの税につきましても、創設の当初より特定財源とされてきたものでございます。

次に3ページでございます。これは国のほうと同様の財源構成を地方分で見たものでございます。左の都道府県のほうでご覧いただきますと、歳出が6.2兆円ございますが、その財源の内訳で、地方道路特定財源は1.3兆円、21%ということになっております。国からの補助金等々を合わせましても40%程度の水準ということで、いわゆるオーバーフローということは程遠いような水準になっております。

次に4ページでございますが、これは道路の整備状況を国道、都道府県道、市町村道別に見たものでございます。

5ページ以下、これは環境税関連でございます。5ページは先ほどの国税と同様でございますので、説明を省略させていただきまして、6ページ、7ページに、現在、地方税でとっております環境への取組みを紹介させていただいております。6ページにつきましては、自動車税のグリーン化ということで、右上の箱をご覧いただきますと、環境に優しい自動車については軽課、環境への負荷の大きい自動車については重課ということで配慮しているものでございます。

次の7ページでございますが、これは地方公共団体が独自の観点から取り組んでいる税のものでございます。1つが森林環境税ということで、個人、法人の県民税、均等割に上乗せして課税したりということで、森林の環境保全目的のための独自課税でございます。もう一点は産業廃棄物税というもので、法定外目的税で創設されております。平成18年度には、全国で27団体が課税に取り組んでおります。

8ページ以下につきましては特別措置でございますので、説明は省略させていただきます。

以上でございます。

田近主査

どうもありがとうございました。

以上で事務局からの説明は終わりにして、これからディスカッションを始めたいと思います。時間の都合もありますので、まず減価償却制度等に関してご議論いただきたいと思います。ただ、途中で退室される方はどのタイミングでも結構ですから、ご発言いただきたいと思います。そして、その他は一括して、減価償却制度の後に議論ということで議事を進めさせていただきたいと思います。

どなたからでも。それでは、若林さん。

若林委員

減価償却制度ということですけれども、資料を見てわかるのは、国際的なイコールフッティングの観点から、法人課税に係る制度見直しは必要だということはよくわかりますけれども、固定資産税と一緒くたにされ、全く税の性格が違っているという気がします。それと、固定資産税というのは市町村の基幹税目だし、諸外国の例を見ても、やはり現行の制度は維持すべきではないかと私は思います。

田近主査

続けて、佐竹さん。

佐竹特別委員

若林委員から総論についてお話がありました。減価償却制度のさまざまな企業の活性化というものは全体としては認めるわけでありますが、実際、地方税との関係では相当やはり慎重な議論をしていただきたいと。これは実態からしますと、特に固定資産税部分は基幹税でありまして、この部分がこのルールを適用されますと、地方の予算が来年から直ちに組めないと。大体経常収支比率が90~95の市町村では、もう福祉以外のすべての事業はストップせざるを得ない。交付税がその分ちゃんと増えればいいのですけれども、そういう状況ではない。

それともう一つは、ほとんど地方の、特に製造業も商工業のここの部分は国がほとんど手当てしてない。実際、我々、秋田市の予算からしましても、ほとんど単独費で商工業の関係は措置していると。それからもう一つは固定資産の部分は、古くなれば古くなるほど、いわゆる行政サービスが増えるのですね。消防の回数は大体、企業で特に古くなったものに対して、2年ぐらい前にありましたけれども、火事になって、うちのほうの消防費の半分が1週間でなくなったと。これは特異な例ですけれども。いずれにいたしましても、そこに物が物理的にあることによって経費がかかるということで、ここについては大変根幹でございますので、そことは完全に切り離した議論でないと混乱を来たすということであります。端的に言いますとそういうことであります。

田近主査

地方の固定資産税に係る償却の話が今続けて出ましたけれども、それも含めて、ほかにあれば。

中里さん。

中里特別委員

私も地方のほうの苦しい状態、よくわかって理解して、おっしゃること、もっともだと思うのですけれども、1つ、理屈の問題ですけれども、先ほどの資料にもありましたが、特別措置はもう整理していかなければいけないと。今までもそうですし、これからもどんどん整理していかなければいけない。要するに効果のあるものだけに絞って、そうでないものは排除していくということがあるわけですね。そうすると、今度の減価償却の改正というのは、特別措置なのか当たり前のことなのかということが問題になるわけですね。特別措置だったら、そういう償却の拡大は図るというのはおかしいわけですから、相当な償却、当たり前のこと、適正な償却をやっていくと。法人税で適正な償却をやっていくとしたら、そこで、償却後出てくる資産の価値というのは時価のはずですね。そうすると、固定資産税ではそれは時価にならないのかという、その理屈の問題をどうクリアするのか。資産税と法人税は別だからというだけで済むのかという問題が気になるのですけれども、何かうまい説明を、本当は僕らが考えなければいけないのでしょうけれども、どうしたらいいのか、今混乱してしまいまして、そこが、位置づけはどうなのでしょうかね。この減価償却を変えるということは、経済発展のために特別措置を入れるということではないですよね。そうするとどう説明したらいいのか。

田近主査

いろいろ議論あると思います。非常にその点で、地方の固定資産税評価において、減価償却、制度が変わったらどうするかと。それが特別措置ならばほうっておけばいいかもしれないけれども、一般的に変わった場合には、その改正が固定資産税評価に影響を及ぼすのではないかと。いろんな議論が、たくさん議論あると思うので、こればかり議論していくわけにいきませんけれども、この段階でご意見ある人はぜひ。

それでは林さん、お願いします。

林委員

固定資産税の一つの目的というのはやはり応益課税だと考えると、残存価額がゼロになっても、依然として耐用年数超えて使用している資本設備があるわけですね。これにやはり課税はする必要があるというぐあいに思いますので、法人税の費用計算の話と、そして固定資産税の応益課税的な色彩を持った税のタックスベースの計算とは、やはり私はちょっと違うのではないかという気がいたします。

佐竹特別委員

すぐ終わります。今の議論ですけれども、非常に単純な議論で言います。法人税の償却はいわゆる経営というソフトな資源ですね。固定資産税は目に見えるハードなものという、物体かどうかで考えると、物理学的かどうかで非常にわかりやすいのではないですか。経済学的と物理学的、2つに分けると非常にわかりやすいと思います。

田近主査

井戸さん。

井戸特別委員

中里先生のおっしゃった話はよくわかるのですが、ただ、今の減価償却の資産価値を、減価償却を使ってカウントしているというやり方自身はやむを得ないのではないかと思うのですが、それが今妥当なのかどうかということだと思うのですね、ご指摘は。それで、今回の法人税に係る減価償却の制度の見直しの議論は、残存価額を10%で見るのかどうかとか、いわば費用の配分の議論ですので、価値の評価の話とおのずと異なる。だとすると、私は、直接な関連はなくて、固定資産税の評価のあり方として、今の水準が適当なのかどうかを、もし必要ならばもう一度検証していただくことが必要かどうかということではないか。ですから、法人税の減価償却の見直しとはおのずと異なる議論なのではないか、このように思います。

田近主査

いろいろご議論あると思いますけれども、これを含めて違う論点でも受け付けたいと思います。

横山さん。

横山委員

2点のお話を申し上げたいと思います。「成長なくして財政再建なし」の理念に従えば、アメリカの去年11月の大統領の諮問パネルが示唆してますように、法人税の課税哲学そのものを変えるような大きな改革の方向性として議論も成り立つのではないかと。すなわち、事業投資を促進するためには、即時全額損金算入を認めるような法人税への転換というのも考えられるのではないかと。これは1つですね。

ただし、そのようなことがどこまで認められるのかといったときに、1つは、私は課税哲学ということをかなり言っていますが、今の法人税体系そのもののベースになる骨組みは、いわゆる包括的所得税のもとでの、どう言ったらいいのでしょうかね、源泉徴収的な配当の二重課税の調整もして、そのような形で言えば、所得税体系のもとでやるとすれば、この加速度償却というようなものをどのように位置づけるのか。これは中里さんの議論とも関連すると思う。この辺を考える必要あるのではないか。

私自身は、例えば法人税収一定だとしても、課税ベースを、投資を課税ベースに含めないような、いわゆる全額損金算入を認めるような形にした場合に、活性化、あるいは経済成長にどういうインパクトを与えるのかということですね。だから、極端な話を言えば、課税ベース狭くなりますから、法人税収一定にするためには税率を上げるわけですよね。そのようなことで考えると、ただ単に法人税率をどうするという議論だけではないような気がします。これは先の話ですから、今回の減価償却の見直しをどのように理解したらいいのかということをもう一回、政策税制として考えるのか、あるいは企業会計原則上の期間費用収益対応に基づいても、今、制度として成り立たないから、これをもう一回、実態に合ったような形で、期間の費用収益対応原則に基づくような形で直して、正しい当期利益に課税する方向に持っていくという理屈づけをするのか、ここら辺がちょっと議論分かれるのではないかと思います。

加えて、気をつけなくてはいけない点が、法人税の改革が、今の税制、地方税含めたことを考えますと、ご案内のように、減価償却制度の償却加速化の改正というのは、地方の法人住民税、いわゆる法人税割というものの課税ベースが法人税にかかってますから、法人税収が減ればその分地方にはね返ってくる。それから、当然、法人事業税の所得割にも減収をもたらす。そうすると、地方分権を推進するための地方税源の充実ということが骨太でも言われてますが、この辺について目配りする必要があるのかどうかということも考えていかなくてはいけない。長期的にはこうした、事業税の損金算入もそうですが、国税と法人税の相互作用というのでしょうか、影響の外部性みたいな話ですけれども、それをどういう税制にしていくかということは長期的に検討していく必要があるのではないか。

最後に、今の法人税の改革のいわゆる減価償却制度の見直しが地方の税制に影響を及ぼすということで言うと、やはり格差ということで言えば、地域間格差を考慮して、北海道とか沖縄など、景気回復におくれている地域の経済活性化ということを考えると、こうした地域には特段の投資減税というものも、加速度償却ということも配慮を行う必要があるのかどうか。ここも格差との関連で、平坦に法人税の減価償却制度を見直すということにするのか、あるいは地域間の格差を認めて、経済特区ではないですが、沖縄や北海道にてこ入れすることを考えるのか、この辺も必要になってくるのではないかと思います。

田近主査

北村さん、お願いします。

北村委員

減価償却の問題ですけれども、これは法人税のほうから見たときには、ここにもご説明がありましたが、取得原価の期間配分の問題なのであって、それによって全体の税が違ってくる、全期間の税が違ってくるという問題ではないわけですから、法人税の基本的な考え方を変えるようなものではないと思っています。

それから固定資産税のほうの課税標準のこの問題ですけれども、これはもうすでに適正な時価に基づいて行っていて、建物なんか考えてみましても、減価償却を行ったからといってどんどん課税標準が減っているようなことにはなってなくて、ある程度やはり資材の値上がり等々が考慮された上で、だから、時価ということで考えられているから、そんなに今の減価償却について考えなくてもいいのではないかなと思っています。

それで、法人税のほうのこの減価償却の問題ですが、これは非常に企業会計に影響を及ぼす形になってきますので、したがって、今、企業会計では法人税における残存価額10%という形で償却計算を行っているのですけれども、私は、このままの形でずうっと償却を続けていく、95%も超えて償却を続けていくというのが一番加速償却の率も変えないでいい方法なのかなと。もしこれ、10%を変えてしまいますと、定率法の場合にどーんと減りますよね。減るというのは取得原価が減るということで、減価償却費の大きさが大きくなってしまうのですね。だから、余りにもちょっと加速度過ぎるのかなあと。それは政策の問題ですけれども、そのような形で考えると、やはり10%でやっていって、最後はやはり企業会計の立場からすると1円は残しておいていただきたいなと。アメリカなんかのように、ゼロというふうにしてしまいますと、アメリカは確定計算基準とっていませんからゼロでいいのですけれども、日本の場合には、ドイツの考え方と、あるいは韓国の考え方なんかと同じように、1円だけは残して、帳簿上の管理ができるような形にすればいいのではないかなと思っています。

田近主査

わかりました。意見がいっぱいあると思いますけれども、一応手挙げていただけますか。それでは、長谷川さん、それから井上さん、猪瀬さん。あと、中里さん。

長谷川委員

私はやはり分配の問題にこだわりたいと思っていまして、今度出す答申は何せこの税調始まって最初の答申になるわけだから、そのときに分配の問題をどのように説明していくかというのはとても重要な問題だと。つまり、最初の総会のときにも言いましたけれども、経済の活性化が家計初め国民にどういうメリットが及ぶのか。これをどう説得的に説明するか。先ほど吉田さんからいただいたこの紙の10ページと11ページに労働分配率と人件費の推移のこの紙がありますけれども、これについてももうちょっと説明が実際答申書くときには必要なのではないかなあと。

11ページのほうから言うと、2001年から数字が載ってますから、小泉改革がスタートしてから、どん底に入るところでちょうど人件費は下がっていくと。ところが、途中の2003年からだんだん上向いてきましたよねと。それから12ページの表も、順調に利益処分は増えていますが、配当金も増えているよねと。その配当金はどのように最終的に家計に回ってくるのか、吉田さんもおっしゃってましたが、その辺も見てみる必要あると思いますし、それから労働分配率についても、これは90年からの表があるわけですが、90年といったらちょうどバブル崩壊のときですから、それから5年ぐらいは猛烈にその分配率高まっていきましたねと。それは要するに分子が増えていったのではなくて、分母が下がってきた。つまり、景気が悪くて企業はもうからなくなってしまったから、分母が悪くて分配率高まっていっちゃったのかもしれないし、木さんに言わせれば別なご説明もあるかもしれないなあと。今日いらっしゃらないので、その辺議論になったらおもしろいと思っていたのですけれども、この分配率も、99年をピークに、最近の景気回復につれて下がっていくわけで、つまり、景気がよくなると分配率は下がり、景気が悪くなると分配率が上がるということがあるよねと。こういうことをどのように説明していくのか。

要するに分配率が高まればいいということだけであるのなら、じゃ景気が悪くなればいいのかという話もできないことはないわけで、そこは、今、分母、分子、どのようになっているのか、私、よくわかりませんからそう乱暴なことは言えないとは思いますけれども、しかし、要するに、家計の取り分、労働者の取り分がどのぐらいなのかねという観点からとってみても、この分配率の説明の仕方というのはとても大事な論点になってくるだろうなと思うわけです。

ですから、その辺についても、減価償却ということに当然触れていくわけですから、その減価償却を見直していったときに、じゃ家計、その他の分配どうなっていくのかということについての温かい書きぶりというのは必要になってくるだろうなと思いますので、その辺の議論とか分析をもうちょっと進めてはいかがかと思います。

田近主査

その辺はまた後段でできればもう一回議論していただくとして、減価償却の技術的なことも含めて、この際いろんな論点いただければと思います。

井上さん。

井上特別委員

企業経営の面から言っても、現在、95%で、5%残しておくというのはおかしいのではないかと。これは世界的には100%ということになっているわけですけれども、ただ、先ほど北村委員から言われた、1円の簿価を残すというのは管理上非常にしやすいのではないかと思うので、それはいいアイデアではないのかなと思います。と同時に、この減価償却といいますか、特にIT関連の設備というのは非常に短期間で償却されなければいかんといいますか、陳腐化してしまうと。少なくとも3年とか4年で陳腐化するということが、大体そういうことになっておるわけですから、やはりそれにあわせて償却というのはしていかなければいけないということになると思います。

ですから、388区分ですか、今現在あるわけですけれども、その区分ももっと簡素化するということと、やはりそういう設備によっては非常に早い償却をさせるということが経済活性化につながるのではないのかと思います。設備投資による需要増加というものは大体0.7兆円あると。生産性の向上で0.3兆円もある。トータル1兆円というような数字も出ておるようでございますので、そういった点からしても、やはり償却というものは100%償却をしていくということが必要であろうと。

それから固定資産の問題は、ちょっと別の問題として考えていくべきではないのかなと思います。

田近主査

ありがとうございました。猪瀬さん。

猪瀬委員

先ほど私からお配りした紙をちょっと見ていただければと思います。色がついているこういう紙です。全国47都道府県、あるいは政令指定市について、これはどういう見方をするかというと、左側が1985年です。右側、これは千円と書いてあるのは、千人となっているのは間違いです。すみません。これは、1985年、1人当たりの行政コスト等はどのぐらいかというと、大体年間10万円ぐらいだということはわかるのですが、2004年、20年後には2倍の20万円になっているということです。このように見てみると、つまり、歳出の問題というのを考えて、歳出の問題を前提にしながら税の問題を考えていかないと、2倍の行政コストがかかっているということで、ちょっとアテンションしたいということがありまして。

それで固定資産税の問題、先ほど出ましたけれども、確かに企業の減価償却と固定資産税の場合は違うだろうということは言えるかもしれませんし、それから市町村において固定資産税の歳入比率というのは、半分はいかないけれども、4割ぐらいいっているような実情を考えれば、固定資産税について、一般企業等の減価償却と同じ考え方をする必要はないのかもしれません。

それはそれとして、ただし、20年間で歳出が2倍になっていくという現実を見ると、もう一つ、ついでに言いますと、道路特定財源の問題でも、いまだに地方は道路が足りないというふうな先ほどの説明というか、そういう意見の紹介がありましたけれども、それを言っている限りは、この歳出の増加というのはとめることができないでしょう。それで、地方は道路が足りないというふうな意見は道路特定財源の問題で必ず出てきますけれども、道路特定財源の一般財源化ということをきちんと政府税調としては改めて強く打ち出していく必要があると思います。それから、その中で地方が道路が足りないというときに、一本一本の道路をつくるときの費用対効果とか、そういうことについての分析がやはり地方公共団体には極めて足りないということがあるかと思われます。

あと、自動車関係業界とか石油業界が道路特定財源の一般財源化はおかしいと、暫定税率は戻すべきだというふうな意見がしばしば新聞にも出ているわけですが、そのくせ道路をつくれと、こういうことを言っているわけですから、これは言っていることの論理がダブルスタンダードで、暫定税率を戻したら道路はつくれなくなるわけですから、道路をつくれと言うのなら、やはり暫定税率を戻せ、半分にすべきだという意見はちょっと論理的にはおかしいのではないか。それから、そういうことを言う人たちは、やはりきちんと道路建設の費用対効果について、明確な数字とか、あるいは使用実態に対して……

田近主査

猪瀬さん、今、減価償却のほうにもうちょっと。

猪瀬委員

ごめんなさい。ただ、後でまた時間がなくなると思ったので。

田近主査

では、大橋さん。

大橋特別委員

今の減価償却制度そのものの見直しについてはほぼ皆様の合意があるような感じだと思います。したがって、もう焦点は今の固定資産税の問題だと思うのですが、これはいずれにしろ、法人税法と地方税法という2つの異なった固定資産管理をどうやって本当にやれるのかと、あるいはやるべきかということだと思うのですが、これは余程気をつけないと、そこのところの混乱が生じたままに国民の十分な理解が得られないで、この2つが別々のものになっていくということは、極めて今後の税法、あるいは税制の問題からも気をつけなくてはいけない問題ではないかと。ですから、今、確かに地方から考えると大変大きな税収になっているわけなので、そこのところを全く失ってもらうということになると、これは地方としてなかなかもたないよと、こういう議論はよくわかるのですが、それならそれで、具体的に法制上どういうことでこの2つを分けて管理するのだということを十分に議論していただいた上でやっていただく必要があるだろうと。

そういうことがない限りは、一般的に考えれば、この2つを別々に管理するというのはなかなか難しい問題なものですから、この減価償却制度そのものを進めていけば、結局、固定資産税のほうも同じような管理をせざるを得なくなって、地方としては大きな問題が生ずると、こういうことになるので、ほうっておけば、これはいろんな問題ありましょうけれども、多分、地方のほうに地方税がとれなくなるという問題が生じてくるのではないかと思いますね。ですから、そこは十分にちょっと議論していただいて、国民の理解を十分に得ることが一番大事だと思っております。

田近主査

ありがとうございました。では、中里さん。

中里特別委員

井戸委員が、固定資産税というのは資産の価値に注目するのだということと、それから佐竹委員が物理学的と。これで腑に落ちました。固定資産税というのは物に着目する税金だと。減価償却のほうは、今までは物の価値に着目して、減価償却というのを物の価値と連動させてきたのだけれども、ここで必ずそれを連動させる必要がないと。投下資本の回収というコストリカバリーのほうに減価償却のほうはある程度入ったのだと考えれば、両者は別だという説明はつくと。

ただ、コストリカバリーと言うから、何でもいいというわけではなくて、ばんばん何でも償却してしまえばいいということではなくて、そこには適正な何かが、基準があるという。そうすれば特別措置にならないという。そうすると、両者は別の問題ということで、物理的かファイナンス的かということで分けられるのですね。わかりませんけれども。

田近主査

要するに中里さんが最初におっしゃった、今議論している減価償却の問題というのが、償却、いろんなやり方あると思うのですけれども、吉田課長から説明あったように、耐用年数を短くするのもあるし、残存価値を低くするのもあるし、どこまで、何パーセント償却させるかと、その組み合わせですけれども、最初中里さん言ったのは重要だと思うので、今回、今議論していることがいわゆる租税特別措置というか、償却を早めてやろうというその政策的なものなのか、あるいは、そうではないのだと。そもそもこういう仕組み、減価償却の仕組みを改めるものなのだと。つまり、法人税の本則で議論するものなのだと。そこをもう少し議論してもらえますか。

中里特別委員

本則の、特別措置を入れるのではなくて、減価償却という概念から少し離れて、コストリカバリー、ファイナンス的に見ていくという方向に移るのだなあというふうに僕は考えますけど。

田近主査

方向性としてはね。井戸さんは、論点は多少事前にわかるような気がしますから。

井戸特別委員

いや、そんなことない。

田近主査

ちょっと待ってください。他に発言されてない方で、減価償却の、もう少し考え方を深めたいと。もちろん、戻ります。

田中さん。

田中特別委員

それでは、議論されておりますこの減価償却制度の、我々、製造業でございますので、製造業の立場から1つコメントさせていただきたいと思います。先ほどご説明ございましたように、現状の減価償却制度というのは昭和30年代ぐらいに枠組みができたという大変古い制度でございますので、いろいろそういう制度的な歪みが今出ているのが現状だと思います。

その1つが、すでに議論されております95%の償却可能限度額の設定だということでございます。これはもうすでに先進国でそれを残しているところはないというぐらいのことでございます。当時は設備なんかがそれこそ鉄の塊だったもので、したがって、それを償却した後でも、それを転売するということが可能だったわけです。最近の設備というのはそれこそICの機械でございますので、むしろそれを償却するときには引き取ってもらう費用が出てくるという、そういうことをとりましても、大分時代は変わっているなという気がいたします。

それと、今の減価償却制度というのは、我々企業側から見ますと、いろいろお話ありましたとおり、いわゆる適正なるコストの期間配分をするということと、それから投資の資金回収だということでございますので、あくまでもそこにのっとりますと、適正なる耐用年数、法定耐用年数をどうやって決めて、しかもそれが納税者、国税、両方が合意できるような、そういうレベルであるということが重要だと思うのですね。

今大々的なアンケートがとられているという、先ほどご説明ございましたけれども、その中では、比較的長く出てくると思いますのは、我々もそうですけれども、使える限りは少しでも長く使おうという、そういうあれがあると思うのですけれども、ここでいう耐用年数というのは、経済的な合理性のもとでいかに競争力をつけながら使えるかという、その期間だと思うのですね。したがって、その定義をはっきりさせていただいて、それぞれの設備での耐用年数というのははっきりしていけばよろしいのではないかと思うのです。そうしますと、先ほどの固定資産税の議論なんかも、いわゆる正しい簿価というものが算出できれば、それも使えるような可能性もあるのですけれども、我々、企業側とすると、二重管理とか、手間が非常に増えるというのはぜひ避けていただきたいなという、一本的な、コストを削減するという意味でも一本で管理できるような体制を考えていただきたいと。

田近主査

では、井戸さん。

井戸特別委員

北村先生がおっしゃったように、どこまで延長して100%まで償却を認めるかというようなアプローチのほうが正しいのではないかなと私自身は思います。今の段階で考えるとするとですね。というのは、別に特別償却とか加速度償却をしようとしている話ではないのですね。今回の議論は。制度として残存価額をどう設定するかという議論ですから、それを耐用年数の中でどう割り振るかということですけれども、経過的には非常に大きな影響を与えますので、そういう意味からすると、北村先生のおっしゃったように、延ばしていく、その中で調整するという考え方は1つあり得ると思うのです。

それともう一つ、これは全然、減価償却の話にとっぴな議論をして恐縮ですが、欠損法人とかの数が非常に多い。あるいは繰越控除が5年から7年になっているというようなことを考えましたときに、加速度償却とか特別償却を前倒しでどんどん認めますと、常に欠損を発生させながら継続していけるという可能性もあるのですね。だから、その辺は十分に制度設計するときに注意しておく必要があると。私はそんなふうに思ってます。

田近主査

松田さん。

松田委員

減価償却ですけれども、やはり今までの制度は筋として悪い。理屈として、耐用年数のところに向かって一直線に償却していくほうが正しいと思います。問題はやはり固定資産税の扱いですけれども、私も、実態を考えると、佐竹委員がおっしゃったように、古くなればなるほど行政需要があるはずですから、それに応じた費用はやはり認めてあげたほうがいいなと思うのですね。

ただし問題になるのが執行でありまして、田舎の市町村はちゃんと法人税と異なる価格になった固定資産税を計算して徴収できるか、ここがちょっと心配なところです。特に恐い先生のいる償却資産はということがかなりありますのでね。執行をしっかりやるということを条件に、固定資産税は別扱い認めてもやむを得ないと考えております。

田近主査

では、本間会長。

本間会長

取りまとめていく立場として少し明確に論点をしたいと思って発言させていただいているのですけれども、もともと減価償却制度というのは国際的なやり方とずれている。そのことが企業の設備投資行動等に対して幾分マイナスの要素を持っている。そこから出発しているわけですね。つまり、古い資本と新しい資本の入れかわり、入れかえというものをどのように考えるかということがこの問題の原点にあるわけですね。

そうしますと、今日の資料なんかもそうですけれども、減価償却で課税ベースを早く落としたら税収が減るよという議論になりがちですけれども、実は新しい投資に対してどのようなインパクトをもたらすかというプラスの部分がこの問題の背景には存在するわけで、そこをどう考えるかというのが、これが第1点、我々が成長との関係の中で議論しなければいけないポイントだというぐあいに思います。

それから第2点目は、本当に分離して執行上大変になるぞという、つまり、今、減価償却の制度と固定資産税の扱いを別々にしていくということを本当に本気でやっていくのかということですね。それは執行上非常に、現場でおそらく相当な問題が起こってくるだろうというぐあいに思いますが、それと同時に、税理論として果たして整合的な形で組み立てられるのかというのが我々税調としては考えておかなければならないテーマで、これが中里さんが言ったポイントの一つで、中里さんは、わりと割り切っちゃったのだけれども、私はまだ幾分疑問を持っていて、本当に大丈夫かという部分があります。それは、まさにこれが評価の方向で、時価の評価でこちらはやっているのだし、向こうのほうは違うという割り切りはもちろんあるのだと思いますけれども、これは基本的にかなり理屈の面でしっかり整理しておかないと、本当に大丈夫かという感じを受けるのですけどね。

それともう一つは、評価の部分のところで言えば、法人税のところで、法人割を使うときには国のほうのやり方に従っておいて、そして評価の部分になると、そこをまた別な見方でやるのかと。これはちょっと筋が悪い話になるわけですね。法人税の算定のところはそっちでやっておいて、こっちは違うのだと、このようなやり方で果たしていいのかどうか。

またもう一つは、固定資産税の評価と相続税の評価、これは別建てになってますけれども、そういう割り切りをするのかどうか。ここら辺、そんなに簡単に理解をしていいのかどうか、少し精査を、私はまとめる側の立場としてぜひお願いしたいという点です。

田近主査

ありがとうございました。議論は尽きないと思いますけれども、減価償却制度の改革に関するいろいろ意見伺って、今、本間会長のほうから、問題、そんなに簡単ではないと。今後の課題というのを指摘していただいたと思います。

中里特別委員

あまりあれですけれども、1つだけ気になるのがありまして、法人税の減価償却は所得税と違って任意償却で、要するに、欠損金が来年切れるというときには、減価償却停止して、適宜操作ができるというシステムになっているのですね。これは商法は相当な償却を強制しているはずですから、商法企業会計と比べて、法人税のほうは任意というのは幾ら何でも説明がつきにくいので、任意償却は、急激にやめられるかどうかわかりませんけれども、再検討したほうがいいのではないか。そうすれば、期間配分と言いながら任意償却で操作ができるというのは説明にならないですから、そこは経済界の方も期間配分だとおっしゃっているのですから、任意償却やめてもいいのではないかと思いますけれども。

田近主査

その点も含め、先ほど北村さんのおっしゃっていた税法と会計、税法のほうで一人でいってしまったら会計のほうはどうなのだという問題と、中里さんのおっしゃっていた、今ご指摘になった任意償却、相当の費用を引くべきだというご指摘と、それもこれから詰めていく課題ということで処理させてもらいたいと思います。

減価償却のことも含めて結構ですから、今日いろいろ議論いただきましたし、またグループ・ディスカッションの最後ということもありますから、どのような点からでも結構ですから、ご意見いただきたいと思います。

原さん、どうぞ。

原特別委員

先ほど本間会長がおっしゃられた線に沿って、私、ちょっと整理した話をいたしますけれども、減価償却の設備投資等々、これはアメリカ、ヨーロッパと、欧米並みにするというのには原則的に私は賛成です。北村さんがおっしゃられた方法は日本にとっては非常にやりやすいやり方だと私も思います。

ただし、私もアメリカ、ヨーロッパの企業経営をやっている立場から見ますと、経営者の立場からいくと、この償却云々よりも常に株価が、これは正しいことではありませんけれども、残念ながら株価が気になるというのが我々の立場です。となりますと、今の減損会計とか時価会計の制度の上でありますと、幾ら償却を認めたとしても、どうしても3年以内ぐらいで利益が回収できるようなタイプの投資にしか、研究開発投資にしか、また設備投資にしかなるべくお金がいかないほうが株価対策としては非常に望ましいということで、どうしても中長期の5年以上かかるような基礎的な研究開発、将来の基幹産業をつくるようなタイプの投資には、今の議論をもってしても十分ではないと私は思います。

といいますか、欧米ではそうしたことができないがために、5年、6年、7年といった先の研究開発をベースにした基幹産業の成立を助長するような税制はまだ整備されていないと私は感じます。ですから、わが国はこういった議論を中長期的に考えて実行可能な方法ができたとしますと、欧米からの資金も日本に対しまして直接投資の形で入ってくることはほぼ確実であろうと感じます。

2番目の評価基準の問題ですが、これは乖離するべきではないという立場に私も原則は立ちますけれども、今お伺いしてますといろんな問題もあるのだなということで、どうやれば矛盾のない方法が考えられるかということをもう少し審議する必要があると思います。

それからあと外形標準課税等については、これはもう少し幅広くとれるような方法、また抜け駆けのできないような方法、こうした一般的な考え方をきちっとつくる必要があると思います。また、こういう法人税等々を減税して投資を促しわが国の経済を活性化するということは非常に重要ですが、何もかも全部減税するわけにもいきませんから、これは今日の議論ではありませんが、金融・証券等々の税金の特定税率を一般に戻すとか、いろいろなものについてはよく考えた上で総合的に議論する必要があると私は考えてます。

田近主査

ありがとうございました。続けて、松田さん。

松田委員

まず道路財源ですけれども、これはもう一般財源化するというのが我々の使命だと思います。それで、税調としては、まず暫定税率、これをもう今回、本則にするという線を打ち出す、これが一番いいのではないかと思います。要するに、敵という言葉はあまり適当ではないですけれども、道路財源の維持を目指す人たちというのは、自動車業界、石油業界、それから地方自治体、この3つの複合体なわけですね。勝負に勝つには敵を分断するということで、本則にしてしまえば自動車業界と石油業界は落ちまして、残りは地方だけになりますから闘いやすくなるということで、一気に今年できればいいのですけれども、現実的なステップとして、暫定税率を本則にする。その理由はもう各種述べられているとおりで、理屈はいっぱいつくと思います。

2番目のテーマで外形標準の話が出ていて、1億円未満にした企業の話が出ています。何か非難がましく説明があったのですけれども、今の制度で1億円未満にするほうが得であったら、それができる企業はむしろそうしないほうが、経営者、株主から責任を問われるのではないかと思います。要するに制度が悪い。資本金みたいに幾らでも自由に設計できるものを課税に際して重要なメルクマールにしたのがいけないのではないかと思います。これは徹底的に、変えるのなら、それが問題だと思うのなら、この制度を変えなければいけないのではないかなと思います。

例えば変えた企業については資本剰余金を資本金扱いとするという小手先の改正ではなくて、資本金1億円で大きく条件が変わるという性格のもの自体を変えていかないといけないのかなと思います。

それから3点目で、細かい話で恐縮ですけれども、その他の14ページ、「事業用資産の買換え特例の概要」というものです。これで実際にメリットのあるケースというのは、土地の高いところに資産を持っていた人が土地の安いところに移転して利益が残るケースということで、いわゆる地方活性化に資しているのではないかと思われますので、これは特例を、多少内容の手直しはあるかもしれませんけれども、田舎が苦しんでいる時代ですから、延ばしてやってもいいのではないかと思います。

田近主査

どうもありがとうございました。それでは増渕さんと出口さんと佐竹さんと、もう一回大橋さん。

増渕委員

特に目新しい話を申し上げるということではありませんで、減価償却の関係については、もう皆さんおっしゃっているとおり、私も、法人税の本則として、この減価償却のやり方を、言ってみれば国際的なグローバルスタンダードにあわせるということでよろしいのだと思います。その上で、先ほど本間会長が言われたことに非常に賛同するわけですが、固定資産税との関係については、企業経営、企業の実務としての負担から執行上の負担ということもありますし、それ以上に理論として理屈としてどうなのだろうという話はよく考えていただきたいなと思います。

税収確保という観点は当然必要なのですが、税収そのものもダイナミックな経済活動の中で当然変動するという視点も必要だと思いますし、それでもどうしても足らざるところは、足りないものはほかにもたくさんあるわけですから、それから税制を変えることによって増減が起こり得るわけですから、1つだけの税目の中で、そこを凝視しながら税収確保を考えるというのはいかがかなと思います。

出口特別委員

1つ、先ほどの事業税の話ですけれども、これにつきましては何度かお話ししたことがありますけれども、租税法定主義のもとと、法のもとの平等という中で、租税回避活動に対してどのように対応していくのか、懲罰的な制度を入れていくような方法でするのか、通常の税法で対応するのか、さらに企業行動の場合は、むしろ社会規範として、最近ではCSRとかそういった観点から、NPO等による企業ウォッチ等である程度よくしていくとか、いろんなオプションの中で考えていかなくてはいけないのかなと。このような、先ほど示されたような事例はやはりちょっと許してはいけないのではないかなと思ってます。

それから道徳の問題につきましては、一方で京都議定書の話もございますし、いろんな観点から、一番大事なのは、納税者の理解を得ながらというところで我々がどういう回答が出せるかというところが一番ポイントではないかなと思います。

それからもう一つ、3点目ですけれども、ここに挙がってくる声を見ると、やはりどうしても声の大きなところが届くというところが、私、非常に気になっておりまして、総合的に議論する中で、声の届かない部分をどうやって拾い上げるかということもまた考えていただきたいなと思っております。

田近主査

わかりました。それでは佐竹さん、大橋さん。手短に。

佐竹特別委員

固定資産税の評価額と法人税の簿価というのは、今もルールが違いますので、最初から違うということがあるのですね。ですから、そんなに大きな事務的な煩雑さというのは。今も違うわけですから。それはそれとして、ただ、会長言ったとおり、いろいろな企業の手間をできるだけ省くというのは、我々、税を扱う者として当然で。

もう一つは、松田委員に敵にされてしまいましたけれども、私は正しい、そういうことで少数派で、抵抗勢力でしょうけれども、実態として、ここの議論といいますか、税調の道路特定財源の一般財源化の方向というのは変えようもないことではあろうかと思います。これは私も3年間にわたってお話ししていて。

ただ、実際、例えば行政経費の中で、本市をとりましても、大体12~13年で、公共投資、市でやっているのが3分の1ぐらいになってますね。2分の1から3分の1。医療福祉関係で、これは裁量権のないところが倍になっている。おのずからこういう歳出構造になると。

ただ、その中で、私自身、各集落を歩きますと、大体3分の1が道路の要望だと。特に高齢化社会で、医療行政なんかはお医者さん増やしてもらえないものですから、全部秋田市に集約すると。そうしますと、秋田県内、あの広いところから全部救急車で運ぶ。これは道路ですね。それとバスが全然なくなってきている。これからの人たちは、高齢者がみんな免許持っていますので、今度はシルバーの人たちの運転がものすごく増える。結局そういうものがかなり蓄積されてますので、どれがいいのかどうかは別にして、実態として必要なものについてどういう尺度をつくるかと。ですから、財源の問題もありますけれども、道路はどういう形でつくるべきかという、国家行政としてやはりきちっとしないことには、綱引きばかりという形で、実際悩むのは、大半の集落へ行くと、奥に行けば行くほど、生活の実態として、今年の豪雪なんかのときはもう完全に道路が遮断されるわけですね。狭いところ。そこをどう考えるかと。ですから、国民の理解を得つつと言うけれども、ほとんど国民の理解は得られない方向にいっているというのが実態ではないのかなと、そんな感じがします。あとは言いません。

田近主査

わかりました。ではできるだけ手短にお願いします。

大橋特別委員

はい。法人税の実効税率の件は、現実に時間が足りませんので、多分19年度には非常に難しいという問題あるのでしょうが、先ほどのご説明の中で各国の比較がございましたが、皆様ご承知の方もいらっしゃると思いますが、ドイツは2008年には約30%をめどにして下げていこうということがほぼ決まっているということでございますので、そういうことを考えると、やはり日本の法人税の実効税率というのは突出してくるということは言えるのではないかと思います。

それで、国際競争力の強化という観点からぜひ皆様にご議論いただきたいのは、前回の総会のときにも私申し上げたのですが、いずれにしろ、国際競争力ということになりますと、大手の企業だけではなくて、中小の企業がやはり非常にある意味での技術も支えているし、輸出も支えているし、そういう意味で、地方を含めた中小企業というのがこの法人税の実効税率を具体的に下げていくことによってかなりメリットが出て競争力が出てくるのではないかと。それを進めないと、先ほどおっしゃっていた労働分配率、これも結局改善されないので、低所得者の所得増加という観点から見ても、この法人税の実効税率を下げていただくということがかなり大きな効力があるのではないかということが1つあります。

それからもう一つ、これは小さな話ですが、事業用の資産の買換え特例の件でございます。これは今、ほうっておきますと12月31日に適用の期限が来てしまうということなのですが、やはりこれは地方の投資の活性化のためにも、何らかの形でいま少し繰延べを考えていただくことが今後の、今、成長を安倍政権考えている中での地方の活性化に非常に有効ではないかという考え方を私は持っております。

田近主査

時間、少し過ぎてますけれども、ご発言いただいてない方で、今日はグループ・ディスカッションの最後なので、ぜひ一言でもご発言いただければ。では御船さん、永瀬さん、幸田さん。

御船委員

申しわけありません。次の本務の会議がありまして。一言、環境税について意見を述べさせていただきます。

日本の一般的な生活者、あるいは家計というのは非常に環境意識が高い一方で、それが環境配慮行動になかなか結びつかないということが知られております。これはドイツと正反対と言われています。とはいえ、意識や行動を伴う人々も一定程度存在して、それが先ほど紹介されておりますような地方における取り組みというのを誘導していると思います。

一般的な枠組みとして、やはり外部不経済の内部化をするという仕組みを導入して、その意識の高さを後押しするような環境税の創設が不可欠と考えます。そもそも分別など、もうすでに金銭的以外の負担は人々が自発的に始めています。それを税という形で政策的に進めていただいて、税調としての姿勢を示すという時期かと思います。経済活性化の方向をグリーンコンシューマーが支持するような方向に向かうということのためには、ぜひお願いしたいと思っております。

田近主査

ありがとうございました。では永瀬さん。

永瀬特別委員

子育て支援税制のことが出てきたので、私、女性労働と子供の問題をやっている立場から、ちょっとここで言っていいのかどうかわかりませんけれども、発言させていただきます。

配付していただいた資料、G・D3-6の13ページ目に、前段に扶養控除を見直し、そして後段に事業所内保育所の設置・運営や育児休業の取得等に対する支援税制となっておりますけれども、私はまず、これはすでに何度も議論になったことだとは思いますが、女性の、特に中年期の女性の就業行動を非常に抑制しているのは配偶者控除、配偶者特別控除であるということは思っております。

それはどういうことかというと、子供が小さいうちは、働いても103万に達しないのですけれども、子供が大きくなってきて、もっと働こうと思うときに大体103万に達するということです。そのことは、配偶者特別控除があるので逆転はなくなったとは言われますけれども、税率としては本人及び夫の税率で一定期間までは課されていきますので、もちろん企業の配偶者手当のほうが大きいという話もございますが、しかし、税制面で見ても一種のペナルティを課されているのは事実だろうと思います。

それに対して、今度、日本の女性の多くは子供を持ったときに無業になっているという事実がまたありまして、それに対してどのように見るかということと中高年期の女性の就業を抑制しないということは、2つ、別の話のような気がしております。そして、中高年期の女性の就業を抑制しないという点では、この配偶者控除、特別控除のあり方をもう少し考え直す必要があるのではないか。

特に、今厚労省のほうで非正規と正規の均等待遇というのを新たに考えようとしている中で、せっかくそういうのを入れているのに、本人が就業調整してしまうような行動が残るとすると、ちょっと残念なことになるかなと思っております。

一方、では子供が幼いところはどうなのかといいますと、非正規でフルタイムで働くと今大体200万なのですね。夫婦だと400万になりますから、どうにかなるのですけれども、子供ができると、非正規は育児休業もとれませんし、もちろん仕事を失いますから非常に貧しくなるわけで、そこのところは、こういった形の控除でやっても何の効果もないというのが事実です。だから、そこについてはもう少し実際に手取りが増えるような形にすべきであり、現在の配偶者控除、特別控除という形は考え直す時期に来ているのではないかと私自身としては思っております。

例えば国際比較で、有配偶世帯の妻の年収、家計貢献というのをちょっと調べていただきたいのですけれども、私が99年の全国消費実態調査の特別集計をしたときには、これはかなり古くて申しわけないですが、15%でございます。つまり、2人以上世帯だと15%にしかならない。これは非常に低い家計貢献の国と言えて、アメリカや欧米との比較の中でも非常に有配偶の女性の就業が抑制されているような国の形を持っていると。そして、税制のあり方だけではなくて、パートと正社員の賃金格差のあり方とか、あるいは社会保険のあり方とか、さまざまな形で総合的に非常に女性の就業を抑制し、かつ、子供を持つときには無業化すると。だから、非正規化が進んでいくと非常に貧しくなるという。つまり、そういう構造を持っておりますので、少し大きな目でそのような点を、ここではすごく小さく出ているのですけれども、もう少し子供を持つ世帯に対する支援ということを考えてほしい。

また事業所内保育所の設置については、認可保育園の枠組みと事業所内保育所の枠組みとがありますので、その辺をどう考えるかということを考えた上で、もしもこういうものを入れるのだとしたら、本当に実効性のあるような形で、何かちょっとひらひらとした飾りとして入りましたという形ではなくて、これからの保育市場をどのように考えるのかということを踏まえて考えていただければと思います。

田近主査

重要な問題が一遍にわっと出ちゃった感じですけれども、今回、3回のディスカッションで正面から取り上げてこなかったと思いますけれども、非常に重要な問題なので、続けて1月以降取り上げる問題になると思います。

時間少し気になってきたので、幸田さんに発言いただいて、そのほか、では林さんと秋山さんと井戸さんと井上さんで打ちどめということで。いずれも手短に。

幸田委員

はい。成長なくして財源の回復なしという流れのもとで、成長を促進する企業の国際競争力を上げるというのは基本的に賛成なのですが、先ほど、それから法人税の税率をヨーロッパとの比較でおっしゃっていたのですが、そういうことであれば、法人税だけを議論の対象にするのは、私は、正しいのかどうか、ちょっと疑問が残りまして、もし法人税をヨーロッパ並みにするのであれば、消費税もヨーロッパ並みという議論を同時にしないと、やはり疑問が残るのではないかとは思います。

あと、競争力を高めるのであれば、日本の公的サービスに関してのレベルについても同時にやはり考えなければいけないので、もちろん、国際競争力を上げるというのは基本的に賛成ですけれども、法人税だけに集中するのは、私はやはり疑問が残ると。

それから、前回欠席したので、これはもしかしたら議論が起きたのかどうか、ちょっとわからないのですが、証券税率の件なのです。申しわけありませんが、配当課税に関して、市場のほうから、1度配当したということは、つまり、税引き後のものに対しての配当なので、それをまた課税対象になっているのは、国が同一の収入に対して二重課税をしているのではないかということは、これは議論が起きたのでしょうか。先ほど横山委員がおっしゃったので、実際に起きたのかどうかわかりませんが。

それとあと、どうしても私自身が気になるのは、欠損法人の割合の推移が依然これほど高いということと、あと、例えばニュースなんか見ておりますと、金融機関、日本の邦銀あたりが政治献金のことを考えるということを言っているにもかかわらず、まだ法人税の支払いということに対してのことは置かれているというところあたり、全体としてやはり議論していかないと国民の納得が得られないのではないかということを思っております。

田近主査

では続けて、この並びでお願いいたします。翁さん。

翁委員

減価償却については私も基本的にグローバルスタンダードでということで結構だと思っているのですが、今、幸田委員がご指摘になった配当の二重課税の問題というのは、この中の18ページにも書いてありますけれども、設備投資の増加と経済活性化のプロセスというのは、資本コストがどのように企業に影響しているかということによってかなり違ってくるという面があると思うので、金融所得課税のところというのは、個人所得の課税の面だけでなく、トータルとして、法人からの影響として、企業の資金調達とか企業の設備投資にどういう影響を与えるかという観点からやはり議論しておく必要があると思っております。

田近主査

あと井上さん、井戸さん。

井上特別委員

先ほどちょっと中里委員から話が出たのですけれども、任意償却は廃止すべきだという話がありまして、これはちょっとまずい。というのは、中小企業にとっては、任意償却があるからある程度利益を確保できるというときがあるわけでして、やはりそうでないと、利益を確保してないと金利が高くなるという問題があるので、これはちょっと困りますよということ。

それから道路特定財源ですか、幹線道路網というのはまだ完備されてないではないかという問題が1つあるわけでして、一番の問題はそういう点。それから東京都、東京においても、直下型地震が来た場合、中央防災会議の試算によると、被害総額112兆円、死者は1万3,000人、帰宅困難650万人というようなデータが出ているのですよね。東京都の道路なんて全然完備されてないという問題もあるわけで、やはり使い道をもっと、使うところを考えて、特定財源をまだ、そういうものを完備されるまではしようがないのではないのかなと思ってます。

と同時に、道路をつくる方法、もっと安くする方法、猪瀬委員からよく話が出てますが、4分の1で道路ができるよと。GPSを使えばというような手法も幾らでもあるから、そういうことで安くつくる方法を考えるべきだと思います。

それから環境税の問題、これはやはり反対です。先ほど、賛成というお話が出たわけですけれども、ここのところ石油が上がったので、石油消費はじゃ減ったのかという問題を、データ的に私、検証してませんけれども、そういうことで、どうなのかと。税金を上げたら消費が減るのだという感覚はちょっとおかしいのではないのかなと。むしろもっと手法を考えるべきだろうと思います。

それから事業用資産の買換え特例、これはやはり継続していただきたいというのは中小企業としてぜひとものお願いであります。まだまだ土地を買い換えて事業所を移したり事業を発展させるなりという手法というのはあるわけでして、せっかく持っている固定資産をうまく買い換えるということをやりたい企業というのはまだまだたくさんありますので、そういう点を考えてぜひともお願いします。

田近主査

それでは、井戸さん、簡単に発言いただいて、あと林さんで、それで今日は終わりにさせていただきたいと。秋山さんもそうですね。すみません。

井戸特別委員

まず法人の基本税率については、やはり総合負担をきちっと見なければいかんと。前から私も、賃金税だとかいろいろ、法人にとっての負担というのが付加されてますのでね。基本税率だけ、所得に対する課税だけではなくて、それを比較して本当に日本が低いのかというのを考えなければいけない。これがもう基本です。

それから「貯蓄から投資へ」という看板が一言のように動いているのですが、タンス預金されている貯蓄ならいざ知らず、金融機関に預けられている貯蓄が眠っているのかと。眠っているというふうに評価するのかどうか。きっとそうではなくて、要は個人が直接、貯蓄ではなくて、投資の方面に積極化していくことをどうしていくかということを看板に上げていたのではないか。そのことを無反省に、「貯蓄から投資へ」というふうに一律に考えていくことはどうか、このように思っています。

それから、私、先ほどの減価償却の話については、理論的にははっきりしている、理論的にはすっきりしているのですが、実務上の配慮とか運用上の配慮を実際的にどう考えるかが大切なのだということだと思います。私は、会長には申しわけないですけれども、理論的にはすっきりしていると思っています。

本間会長

また議論いたしましょう。

井戸委員

議論させていただきます。それから社会保険診療報酬、ぜひ見直してください。それから道路財源については、道路の整備の需要に対して、地方に与えられている道路目的財源が少な過ぎるという実態にあるのだということをぜひご理解ください。兵庫県では22%しかありません。納税者の理解というのはそういうところにあるのではないかと思います。

それから、松田さんから、外形標準課税の仕掛けがおかしかったのではないかという話がありますが、中小企業の定義が1億円になってしまっているのですよね。それで、大企業からまさか中小企業に逃げ込むような、そういう不見識な企業があるとは思ってなかったというのが実態なので、それを逃げ込ませるような仕掛け、悪用されているわけですから、やはりふさがなければいけないのではないかでしょうか。とりあえずは。本当は資本金にかかわりなく外形標準課税を入れたいというのがきっと我々の気持ちだと思います。理論的にもそうだと思います。

田近主査

すみません。先ほど飛ばしてしまって。では秋山さんと林さんで締めくくらせていただきます。

秋山特別委員

遅い時間に申しわけありません。今回大変時間がない中での年度改正の議論ということで致し方ない部分があるかと思うのですけれども、法人税改革、その中で今年度改正の中で減価償却を取り上げるというのは、ある意味、今回の目玉の一つだという位置づけで理解しているのですけれども、そういう中では、1つ、減価償却に関しては、多分、償却可能限度額のところをイコールフッティング、この今日いただいた資料の中で、比較表の中でイコールフッティングということになるかと思うのですけれども、この結論をもってこの問題が片づいたというふうにするには非常に小さい話ではないかなと思っています。

まず年度改正の話で申し上げれば、あと法人税の改革ということに関して言えば、ちょっと時間がないのでという、ちょっと言い訳になろうかと思いますが、先ほど井戸委員が指摘されたような、再々こちらで議論が、指摘が出ているように、法人の実質負担トータルで見たときでの国際的なイコールフッティングを目指すというようなことをぜひ文章の中に入れていただきたいということ。それからあとは、法人税を語るときに、やはり法人税だけを語ることの片手落ちになる部分がないような形でぜひ文章をまとめていただきたいということを年度改正についてはお願いしたいと思います。

今後の議論に関して、今日たまたま減価償却ということでしたので、これに関して、製造業でグローバルにビジネスをしている者の現場感覚から申し上げますと、何をもって国際的なイコールフッティングかと言うかというこの感覚ですが、1つは、今日いただいた先進国、主要国との比較表というのはもちろんあるのですが、例えば今一般消費者向けの工業製品の生産拠点はほとんどアジアなのですね。あるいは工業用のキーデバイスも、生産国、生産地ともに中心がアジアです。とすると、現場で闘うのは、アジア諸国の生産地、あるいは各国資本企業との競争の中で我々がどうやって、言ってみれば国内の雇用を守っていくかというような話も含めてというところをイコールフッティングという部分にぜひ含めて今後議論していきたいなと思っております。

田近主査

ありがとうございました。では林さん。

林委員

減価償却につきましては、先ほど井上委員のほうからお話あったように、いわゆる耐用年数表がものすごく細かく区分されておりますよね。これは税制の簡素性というような点から、きめ細かくやることによって公平性は達成するかもしれないけれども、そこはやはりもう一度検討しなければならない事柄ではないかという気がいたします。

それから外形課税に関しては、これは確かに、自由に動かせる資本金を外形にするということが問題なので、そういう動かせるものをそもそも外形としてふさわしいかどうかということをやはり議論しなければいけないと思います。

それから道路特定財源に関しては、私、いろいろご意見を伺っていて、無駄なのか無駄でないのかいうことはちょっとこの場で議論できないと思うのですね。明確に違うのは、オーバーフローしているかしていないかということが1つ、これは客観的な事実としてあるので、そこはやはり国税と地方税と違うのだろうなという気がします。ですから、もちろん道路投資の費用対効果を高めなければいけないと。これはもう当然のことですが、オーバーフローしているしていないにかかわりなく一般財源化するということが果たしていいのかどうかということは、ちょっと私も疑問でございます。

田近主査

どうもありがとうございました。

大分時間過ぎてしまいましたけれども、ここで第3回目のグループ・ディスカッションは終わりにさせていただいて、この後、記者会見で、私から本日の議論に関し質疑を受けるということにさせていただきたいと思います。

では、あと会長。

本間会長

活発なご議論、ありがとうございました。ただ、ちょっと取りまとめがいつも私の頭にありまして、どうしたらいいかなあという迷いがありますので、例えば「貯蓄から投資へ」というのは、これは「経済成長なくして財政再建なし」の安倍政権の一つの柱でありますし、特定財源のところで言えば、これは暫定税率というものを維持しながら一般財源化に向けて動くということをずっと、総理は表明されておられます。そこの原点のところまで逆行するような形でまとめられるかというと、これは余程の理屈がない限り、非常に難しいのだろうと思います。

道路が充足されているかどうかという問題、地方に十分な財源が行き渡っているかどうかという問題、そしてそれと特定財源の問題は論理的には違うわけでありまして、例えば財源を地方に十分に回せば、自主財源として道路をつくれるような余地があるのであれば、特定財源よりも知事さんの裁量性が増すわけでありますから、そこの部分の論理の切り分けをぜひさせていただいて、我々のこの方向性としての今の内閣からの離反というのはできるだけ私は避けるべきだというぐあいに思いますので、その方向性についてはご了承をいただきたいというぐあいに考えております。

これから起草メンバーで、我々、準備をさせていただいて、企画会合及び総会等でご議論をいただきたいと思いますので、そのときにその表現ぶりについてそれぞれのお立場からご議論をいただいて、全体としてどのようにまとめていくかということを努力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

横山委員

ちょっとよろしいですか。

本間会長

はい。

横山委員

グループ・ディスカッションではないことでちょっと、私だけが感じているのではなくて、おそらく政府税調の委員の皆さんが感じていることだろうと思うのでちょっと確認だけさせていただきたいのですが、国民の納得とか納税者の納得というのは、第1回の11月7日の総会でも委員各位からすごく出たわけですね。そのときに財務大臣から、納税者の納得というのは党税調が考えるからいいのだというようなご発言があったと思うのですね。そうすると、本間会長になってから政府税調の位置づけが、本間会長なりのお考えがあるのかと思うのですが、今マスコミで党税調の論調もいろいろ開示されてきている。そうすると、両者の関係について、今までどおり理解して議論していくのかと。党の税調の主要のメンバーのマスコミだけの論調ですが、政府税調がどんな議論をしても党が決めるのだというような論調もあるということで、前々から、党税調と政府税調の関係性というのは非常に微妙で、その辺のところはどのように考えたらいいのかということもやはりどこかで整理しておいていただきたい。これはグループ・ディスカッションですので、個別テーマではなくて、全体の進め方ないし政府税調のあり方、あるいは内閣と与党の関係をどう考えるのかとか、国民の納得と言ったときに、与党を支持する国民の納得だけを考えるのかどうかとか、いろいろあろうかと思います。この辺のところも会長が、今日すぐには難しいのかもしれませんが、どこかでこういうふうに考えるのだということも示しておいていただきたいと。要望です。

田近主査

じゃ江上さん。

江上委員

今の横山委員の発言に加えて、今回、答申としてまとめるものと、来年度本格的に議論を始めるものとのつなぎがちょっとよくまだ理解できないので、今日、永瀬委員が発言した問題提起とか、いろいろこれから膨らんでいく部分があろうかと思うのですけれども、その辺の議論のテーブルの段取りみたいなものを少し教えていただければありがたいと思います。

本間会長

実は今年の特殊性として、もうすぐに年度改正の議論に入ってしまいまして、総論的な部分、あるいは基本論的な部分のところをどういうぐあいにこれから、体制も含めてやろうかということを皆様にお知らせする機会もなかったと考えておりまして、年度改正の議論が12月の初旬にまとめるということになっておりますので、その際に私のほうから、どのような運営の仕方を来年になってからやるのだというようなことを説明させていただきたいと思いますし、またその点についてご意見をいただきたいというぐあいに思います。

出口特別委員

横山委員の意見と非常に近いのですけれども、これから数年、極めて日本の将来にとって重要な舵取りのところで議論していく中で、意思決定メカニズムをどうしていくのか、それをきちっと納税者に説明していくプロセス、この辺のところはやはり会長ご自身の非常に強い決意を、私、求めたいと思います。

前からの委員として率直に申し上げると、会長の発言に関しては極端に減ってますし、委員の発言は極端に増えてますし、非常に委員内の広聴機能というのは強化されているのですね。明らかにこの新しい税調が変わっていくというのを肌身に感じているところでございますので、党税調との関係等もはっきりきっちりしていただきたいと強く要望します。

本間会長

お二人のご意見は各委員共通の部分もございます。これは民主主義において税をどういうぐあいに決定していくかという非常に重要な問題でございますから、この点については、また内閣との関係もございます。少し論点を整理させていただきながら、どのような形で我々がこの問題について対応していくかということを、私の考えも含めて提示させていただいて、皆さんのご意見をまたいただきたいと思いますので、その点についても深掘りをしていただければというぐあいに思っております。

それでは、今後の予定について申し上げます。

まず、明日の総会では、これまでの議論のおさらいを兼ねて、私及びグループ・ディスカッションの各主査等からこれまでの審議状況の報告を行い、それをもとにした審議を予定いたしております。答申の取りまとめを意識しながら、さらに皆様のご議論をいただきたいと考えております。

その後、翌週の29日、水曜日になりますが、答申素案審議のための企画会合を開催いたします。会合では、たたき台としての答申素案を説明して議論を行う予定にいたしております。

なお、その場にお出しする素案の起草についてでございますが、総会後、来週から本格的な作業に入る予定であります。その際、先日の会合で申し上げましたとおり、起草メンバーを何名か指名させていただくこととし、具体的には各グループ・ディスカッションの主査を中心にして、別紙、お手元にお届けしていると思いますけれども、6人の方、そして私と神野代理という形で8名でまず起案をしていきたいと考えております。それにつきまして、十分な議論を踏まえてまとめてまいりたいというぐあいに考えております。

もう一点、これも先日、審議の公開に関し資料をお出ししましたが、今後、答申の起草段階に入りますことから、起草チームの作業及び29日の答申素案審議の企画会合の傍聴は、これまでと同じように、税調のやり方の慣例に従いまして、ご遠慮いただくこととしております。

なお、企画会合については、終了後に記者会見を開き、私より議論の概要を説明する予定でございます。

日程の話に戻りますが、29日の企画会合での皆さんのご意見を踏まえた上、最終的に12月1日、金曜日の総会で答申取りまとめを行う予定にしております。

なお、29日の審議状況によりますが、30日に企画会合の予備日を設けておりますので、あらかじめ日程の確保をお願いいたしたいと思います。

また、審議の状況によっては、日程の変更等があり得ますので、ご承知おきください。その際は速やかにご連絡させていただきたいと考えております。

限られた時間の中での答申取りまとめとなることから、皆様には、まことに申しわけない状況でございますけれども、駆け足の審議日程をお願いすることになりますので、今後のご協力のほどよろしくお願いいたしたいと思います。

それでは、本日のグループ・ディスカッションはこれで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

〔閉会〕

(注)

本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。

内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。

グループ・ディスカッション