グループ・ディスカッション(第2回)後の本間会長・中里主査記者会見録

日時:平成18年11月15日(水)13時00分~
場所:中央合同庁舎第4号館・共用第一特別会議室

司会

それでは、税制調査会第2回グループ・ディスカッションの会見を行いますが、まず初めに、中里主査から、本日の概略をご説明させていただきますので、主査、よろしくお願いいたします。

中里主査

中里でございます。よろしくお願いいたします。

本日は19年度の税制改革に向けての第2回のグループ・ディスカッションを行いました。「新たな動きへの対応」というテーマで、信託税制、三角合併、国際課税等々について審議を行ったわけでございます。

事務方からそれぞれの資料について3つに分けてご説明をいただきまして、そのあと、委員からさまざまな意見がございましたので、簡単にどんな意見が出たかということに関して、先ほどの会議をお聞きになっていた方もいらっしゃいますので、その場合は繰り返しになるかもしれませんが、まとめをさせていただきたいと思います。

三角合併に対する対応につきましてですけれども、これもいろいろな意見の対立がござましたけれども、まず、三角合併により、日本を支える中堅企業が海外に買収されるという懸念があり、これについて慎重に考える必要があるという意見が出されました。

それから、これに対して、三角合併自体の是非はすでに結論が出ていることであると。課税繰延べを基本にして、それを基本的に認めるということが議論の出発点なのではないかという、先ほどの意見と違う意見が出たわけです。

これに対して間の意見もありましたけれども、大体その2つの意見に集約できるという感じだと思います。

ただ、先ほどの課税繰延べを基本的に認めるというのが議論の出発点だったとしても、例外的な場合に、課税逃れや租税回避があるといけませんので、それに対する対応を図ることが必要ではないかということも、これはみんなの共通認識だったのではないかという感じがいたします。

次に、信託税制でございますけれども、これはまあ一口で言ってしまいますと、一定の信託につきましては、場合によっては法人課税もあり得るかなという感じだったと思いますけれども、信託法改正により、会社同様の事業が信託を使ってできるようになったということですから、この場合には、現状のままですと、法人ではありませんので、法人税の課税から漏れてしまう。それは非中立的であると。したがって、解決策としては、信託段階での法人課税が必要であろうと。目的信託等についても同様という、そんな議論があったわけでございます。

それから、会計のほうの変更に伴いまして、リース会計の扱いについての議論がございまして、企業のコストの観点からも、税制と会計の調和を進めていくことが重要であるという意見がございました。特に税制当局と企業会計基準委員会との間の連携が重要なのではないかという意見がございました。

そして、国際課税につきましては、これは移転価格についての議論が中心でございましたけれども、事前確認制度をもっと活用していくべきであるというご意見がございました。と同時に、事前確認を行うに際して、あるいは移転価格課税を行うに際しての、適用基準の明確化をさらに進めていく必要があるのではないかという意見をちょうだいいたしました。

さらに、事前確認を使う際に、相手国との間の協議、いわゆる相互協議が必要になりますけれども、この相互協議を迅速化していく必要があるのではないかということが意見として出されました。

事前確認については、毎年毎年国税庁に対して申込みがあるのですけれども、なかなか全部をすぐ解決を出すということになっておりませんので、まだ処理されずに、国税段階で繰越しされている案件が多いわけであります。ですから、事前確認に対する国税の取り組み、体制の強化が必要ではないかという意見も出されました。

最後に、留保金課税等の問題でございますけれども、同族会社と個人事業主のバランスというのは、世界共通の問題でございますので、その点から問題を考えていくべきであり、経費の二重控除、法人段階で控除され、経営者段階で課税されるという二重控除の是正や、留保金課税、これは所得課税上当然の措置であるという考えが出されたのに対して、企業の前向きな発展のために、自己資本比率を上げていくことが重要だから、そんなに厳しく課税をしていくのがどうなのかという疑問の意見も出されて、極めて両論併記的な見解の対立になったのではないかと思います。

注目すべき意見として、創業間もないベンチャー企業については、特に育成のために、留保金課税を行わない等の措置が必要ではないかというような考え方も表明されました。

大体ごく簡単にまとめますと、以上のようなことでございます。

司会

ありがとうございました。

それでは、質問に入るわけですが、本日、本間会長が、この後の日程の関係で13時半頃退席させていただきますので、予めご了承願いたいと思います。

それから、ご質問のある方は、お名前と社名を仰っていただいてから質問に入っていただけると幸いです。後部座席の記者の方は、TVカメラの横に質問者席を設けましたので、卓上マイクを使ってご質問いただくよう、よろしくお願いいたします。

質問

中里さんにお聞きしたいのですけれども、今日のいろいろな議論があって、いろいろ対立する場面もあったわけですけれども、答申ではどんな形で書かれていく方向にそれぞれなるのでしょうか。

中里主査

まだあくまでも議論の途中でございまして、19年度改正に関する年度答申については、今日の議論とか、それから、今後の税制調査会での議論を踏まえて、そういう一連のプロセスの中で決定されていくことで、今すぐにどう書くかということが確実に申し上げられる段階ではありません。今後ということになるのだろうと思います。

質問

これは本間会長にもお聞きしたいのですけれども、まだ議論が尽きていないという話を会合の中でされていましたけれども、これは答申に向けてそれぞれ意見がとりまとまるのか、それとも、積み残しの課題として来年以降になるのか、その辺をそれぞれのテーマを切り分けて考えると、それぞれどういう対応になるでしょうか。

本間会長

今後の議論の推移をきちんと見なければならないと思っておりまして、今の仕分けの問題、今年やるのか、来年度以降にするのか、そして、意見が分かれた議論に対して表現ぶりをどのようにするかとか、そういう問題については、今後議論の中で早急に調整をして、我々としては、わかりやすい答申を書くという努力をしてみたいと思っています。

質問

これ以上議論をそれぞれ詰めていくのか、基本的には今日のグループ・ディスカッションの議論が中心になって、これをどう答申へ反映させるかをこれから決めていくのか、どちらなのでしょうか。

本間会長

もうスケジュール等について、プレスの皆様にご案内を差し上げているのか、ちょっとわからないのですが、3回、あと1回グループ・ディスカッションをする。そして、そこで議論を一度整理して、22日の官邸でグループの報告をしていただく。その際に、おそらく政府サイド等からも、意見表明あるいは感想というようなものも出てくると予想しておりまして、それを踏まえて、起草グループがまず土台になるべきペーパーを準備して、それを最終的にまた企画会合でありますとか、あるいは個々の委員の方々との意見調整をするという形でやってみたいと思います。

起草の会合が、起草チーム委員会だけでやるものと、あるいは答申の素案をまとめる企画会合でありますとか、そういうものを踏まえながら、最終的な答申に進んでいきたいと考えています。

質問

そうすると、例えば、留保金課税はかなり意見が割れていましたけれども、それを今年末に答申する来年度答申、そこで一つの方向に集約するのは難しいという感じなのでしょうか。今収束していないものが、起草グループの会合で急に収束したりすることがあり得るのか。それとも、今回のグループ・ディスカッションの意見を尊重するのか。これはどっちなのでしょうか。

本間会長

非常に判断が難しい局面に直面するとも思っておるのですけれども、できれば意見集約の方向で調整をしてみる。そして、それでもなおかつ少数意見的な形で出てくる場合には、その論拠というものをしっかり書いて、フェアな扱いをしていく。しかし、全体としてはこういう方向でまとめられたらまとめるということができれば、今年度中にやるべきテーマについては明確な方向性というのを出していく。こういう仕分けになると思います。

質問

今年度中にやるべきテーマというのは、どういうテーマですか。

本間会長

そこの部分のところも今後の議論の中で、まとめられる部分についてはまとめると、こういうことです。

質問

今の留保金課税の話ですが、委員の方から、「今日やるとは知らなかった」というお話があったのですけれども、そもそも留保金課税の問題を取り上げるのは、急に出てきたお話になるのですか。

中里主査

新しい動きへの対応ということなのでしょうか、個別の項目として関心も高いところですから、ほかの問題と一緒に合わせて議論をしたという、そういうことです。

質問

例えば前々回の企画会合の中では、このディスカッションの中で留保金課税をやろうというような話は出てこなかったのですか。

本間会長

今、記憶が定かではないのですけれども。

質問

あと1点だけ。移転価格税制のお話で、先ほど指摘された点、マンパワーの問題であるとか、算出の基準の問題であるとかは、どちらかというと、制度改正というよりも、ロジ的な部分の性格も強いと思うのですが、そういった指摘というのも、答申の中には反映していくような方向性にはあるのでしょうか。

中里主査

必要に応じてそういうことも書ける範囲で書く場合もあるでしょうし、もうちょっと議論してみてということにはなると思います。ただ、意見としては出たのですから、それはそういうことで尊重していくということになるのではないかと思いますが。

質問

留保金課税ですけれども、今日、田近さんの意見表明にもありましたけれども、これまでの税調の議論の趣旨からいうと、これを急に撤廃するというのは、そういう方向で集約されるとしたら、かなり大きな変更になると思うのですが、それは尾身大臣がそういうふうに言ったから、そういう方向になってしまうのでしょうか。そもそも何で急に取り上げられたかというと、尾身さんが京都に行った時に、急にやるということを言って、そこから出発しているのだと思うのですが、それはそういう政治的な動きに配慮して、その方向にまとめるということになるのでしょうか。

本間会長

何を毎年毎年の税制改正で取り上げるかというのは、法律改正のような問題もございますし、政策として、課題として浮上したものをピックアップして、議論の検討の素材にしていくという双方があると思いますけれども、後段の部分のところとして、一つ今事業継承とか留保金課税の問題が、テーマとして税調の外においても議論をされ始めておりますから、そのようなテーマについても、新しい時代の方向の一環として取り上げている。これは従来のやり方ですと、法人課税あるいは個人課税の接点の部分みたいなところがありますから、そういう税目ごとの整理の中では、これまでずっと議論してきたわけですけれども、その問題について、税調以外のところでも関心が高いということで取り上げている。こういうことであります。

質問

ちょっと確認なんですけれども、冒頭の部分で、三角合併について、「課税繰延べの議論の出発点としても」というようなお話をされましたが、これは議論の出発点になるということではなくて、仮にそうだった場合にという、仮定の話だということでよろしいんですよね。

中里主査

これは出された意見の一つですけれども、三角合併の是非については、もう結論が出ていると。であるとすれば、課税繰延べを基本に、それが議論の出発点になるという意見があったということですね。そうだとしても、その上で例外的な場合には、課税逃れの可能性もあるから、それを封ずる措置も必要なのではないかという、こういう流れになります。

質問

三角合併と信託法の改正についてですけれども、お二方のご意見をお聞きしたいのです。つまり、三角合併と信託法という新しい法整備ができるのですけれども、その法整備、新しく整備されたものを活用していく、つまり税制にして、例外的に抜けるところについては、きちっと穴埋めをしておこうという趣旨で議論されていくのか、それとも、そもそもこの改正自体がけしからんから、ガチガチに縛るという形か。そこがちょっと今日の議論では見えなかったので、お二方がどういう考えでこれから取り組まれるか、その考えをまず信託と三角合併でお聞きしたい。まず1点。

3点ありますけれども、もう一つはリース税制についてですが、今回、会計と税の一致ということで議論がされていたと思いますけれども、会計と税で一致していないものって山ほどあるわけで、例えば交際費についてもそうですし、長年議論されている金融機関の不良債権税制もそうだと思うのですけれども、こうした会計と税の一致というのは、今後、税調として進めていくおつもりがあるのかどうか。

3点目の留保金課税についてなのですが、そもそも議論の出発点になっているのは、クロヨン問題だと思うのですが、これまでの税調、前回の税調だと、クロヨン問題というのはもう解決しつつあるという意見もかなりありましたが、今後、来年所得税の見直しなんかを進めていく上で、クロヨン問題について、今後どう考えていくのかということ。この3点をお願いします。

中里主査

まず、三角合併と信託について、どんな基本的スタンスかという、これ私個人の意見ということでございますね。

三角合併の場合においても、それから、信託の利用についても、千差万別なものがあるのだろうと思います。単に三角合併、あるいは信託といったからといって、全部同じではなくて、いろいろな利用形態があると思うのです。その中には、そういう利用によって経済全体にプラスのインパクトのあるものも大きいでしょうし、しかし、例外的かどうかはこれは場合によって見てみないとわかりませんけれども、その他の場合として、それが課税逃れ等に使われる場合も出てくるわけですから、一般論としてどうというよりも、個別具体的な問題として、こういう場合にはいいけど、こういう場合には悪いというのが、だんだん明らかにされていくことが必要で、法律をつくってしまえばそれで終わりということではないのだろうと思います。だから、基本としては、三角合併は進めるというスタンスですし、信託法の改正も国会にかかっているわけですけど、それはそのままにしておいて、ただし、課税上の不都合は、今はふさごうという措置を入れるなり何なりということを議論していって、あとは個別の問題が出るたびに対応していくということしか方法はないのではないかと思っております。

それから、リースに絡んでの会計と租税法の関係ですけれども、これも基本的には日本の租税法の仕組みというのは、会計にのっとって法人税の課税所得を計算し、ただ、別段の定めということで、会計の、そのままでは課税所得計算上課税の公平等が害されるような場合に、さまざまな理由でこれを修正を加えるということになっておりますので、差がある場合もあるでしょうし、同じ場合もあるでしょうということで、差が全部いけないとか、そういうことではありませんし、かといって、差のすべてをほったらかせばいいというものでもありませんから、これもやはり個別具体的に考えていかなければいけないのではないかと。

リースにつきましては、両方あわせて立法的措置なり何なりをとっていったほうがいいという感じがわりと強いのではないかと思います。

それから、クロヨンですが、これは私が学生のころから見ると、ずいぶんと解決されてきているのではないかと思いますけれども、何しろ実態調査といってもなかなか難しい問題ですから、感覚でしか語ることができないのですけれども、先ほどおっしゃったように、大分よくなってきている。しかし、まだ問題は残っているかもしれません。

本間会長

まず、三角合併と信託税制への質問がございました。私は今日、会議が終わってから事務方のトップ等にも申し上げたのですけれども、税の切り口から入っていくということが、非常にわかりにくい形になっている。つまり、本来の目標というのは、三角税制においても、企業のゴーイングコンサーンとしての効率性を高めていくために、汎用性があるような形の制度にしていこうよと、海外においてもそれがなされているよと、そのことが怠っているようであれば、日本の企業の活力等においても、あるいは資本の流出入においても、マイナスになっていく。そこの大前提の問題を飛ばして、技術論にすぐに入っていくから、この問題が混乱をする危険性がある。こういうことを実はこれから工夫しようということを申し上げました。

したがって、今の状況の中で、今日は中里主査のほうからお話ししましたけれども、そもそも三角合併それ自体を、マラソンをもう一回初めからやれよというような議論もありましたけれども、それは私は本来の税調の立場ではないのだろうと。それを受けて、公平な課税という見地から、どのように、本来の目的をできるだけ阻害しない形で税というものを徴収していく工夫をしようと。こういうことが今議論の対象になっておるわけですから、その点でいうと、本末転倒すべきではないという具合に私自身は思いますし、対外的に説明をしていく時には、ストーリー性を持った形で、前向きなイメージをどのようにつけながらこの問題を議論していくかということは、今後やらなければいけないテーマだろうと思っています。

信託税制においても、個人のレベルで財産処理とか、あるいはそれの運用というものができるような状況の時代から、極めて多様な形で手法が複雑化しているような状況の中で、それを信託という形で、果実というものや、あるいは使われ方に関して、工夫をしようというのがこの信託税制の問題になっているわけで、どの点で課税をするかという問題も、こういう手法の現代化や近代化の向上を生かす形で設定をしていく。こういうことでございますから、私ども、今、中里主査も申し上げたとおり、それを最初から税の立場から、だめだ、だめだと、そんな議論をするつもりは全くない。こういうことであります。

それから、2番目の留保金課税の問題ですけれども、あるいは事業継承の問題。これは皆さんお聞きになっていたとおり、まさに田近委員がこれまでの議論というものを整理して、そして、いくら流れだからといって、拙速な形での改正というものはどうかという意見表明をされました。この留保金課税というものが、果たして同族会社等において、革新の方向性につながっていくのか、経営効率の向上につながっていくのかということの目標とこの問題は、実は裏腹の関係にあるわけで、その点の検証や、あるいは理屈立てを抜きにして、「エイヤ」という議論は、おそらく、とりまとめのところでは、我々は、税調としてはできない話になっていく。そこのところの整理の仕方を、意見の集約ができるかどうかという問題と、集約をしても、依然として少数意見でもこうあるべきだと考える方の部分の違いを、明確に我々は説明していかなければならない。そこがなければ、この問題に対しては説得的な材料にならないのだろうと思います。

それから、ご指摘のとおり、この税制上の取り扱いが個人課税と法人課税の中間みたいな話になっていて、そこの部分のところがあるがゆえに、個人事業主の実質的な税負担というものが軽減されているではないかと、こういう問題はずっとあるわけであります。

これは実は、もう私が非常に若いころに、石前会長がマクロの統計を使って、クロヨンとかそういうものを推計されて、私がミクロのデータを使って、実はこの問題を分析したことがございます。もう20年以上前になりますかね。あのときは確かにトウゴウサンピン的なイメージで、相当違った負担になっているわけですけれども、それについて、現実の執行の努力もあって、かなりこれが減少してきているということは事実だろうと思いますが、制度のいいとこ取りをするというような形で、負担すべき税負担というものが抜け落ちているのであれば、これはいくら活性化の問題だといっても、しかも、それがなかなかイメージとして本当に活性化につながるかどうかということがはっきりしないような状況の中で、「エイヤ」というような話になるのかどうか。これは今日かなり強い意見がありましたから、しっかりと咀嚼しながら、皆さんの意見の集約をしたいと思っております。

最後の問題は、まさに会計と税というものをどういうぐあいに結びつけていくか。わりと日本の場合には、ご承知のとおり、両者が乖離しても構わないではないかというような議論があったわけでありますけれども、最近の動きの中では、できるだけそこの部分の乖離を縮小させていこうという議論が強くなっておりますし、そのほうが私も妥当だと考えておりますから、このリースの問題についても、しっかりとしたかみ合わせができるのであれば、やれるところからやっていくと、こういうことだろうと思いますけれども。

質問

今、会長がおっしゃった留保金の問題について、できれば意見集約の方向で検証しながらというお話でしたが、現時点での会長の個人的な見解はいかがなのでしょうか。

本間会長

これはまたちょっと表現ぶりを慎重にしなければならないなと思っておるのですが、私は、この段階で早々と結論を出すということが、個人所得税あるいは法人所得税との関係の中で、まだまだ整理しておいたほうがいいなという感じを持っております。

この問題については、実は頭が悩ましいところは、ベンチャー的な形で立ち上げていく企業と、今日の議論の中でも秋山委員からもそういう話が出ていましたけれども、それから、ずっと従来型で家族の中で事業の相続を資産移転も含めてやる部分、これはちょっと違う側面があるわけですね。ベンチャーの部分のところについては、これは実は10年間税法上の特例を与えてきたのをやめたという経緯がございまして、ここら辺の関係も含めて、しっかりと、本当にそれが企業の活性化、中小企業の活性化につながるかどうかということをしっかりと整理して、この時点でやるのであれば、ある種その方向性についての弁をどのようにつけておくかということも必要になるのではないかと思っております。

ですから、税調としては、ここら辺のところを、先ほどのご質問の中にもありましたように、事業間の税負担の公平性の問題と、活力の問題と、旧の同族会社的なものとベンチャーのものが全部引っかかってくるということでございますので、ぜひその辺のところについては、答申の中でも解説的に整理できるものについては整理したいと、こういう具合に思っています。

質問

留保金課税で、中里さんが最後のほうで「アメリカにもあるんですよ」ということを言っていました。いろいろイコールフッティングということが言われますけど、その観点から考えて、中里さんは、この留保金課税をどういうふうにお考えか。同じく会長には、イコールフッティングで考えた場合にどういうふうに考えるべきなのか。

中里主査

同族会社の留保金課税が発動される場合というのも実にさまざま。先ほどおっしゃったように、わりと古いタイプの中小企業からベンチャー、それから大企業もありますよね。非常にさまざまですから、一概に全部一緒くたに、すべて留保金課税だからこうでなければいけないという議論は、なかなかしにくいのだろうと思います。

アメリカについてコメントしたのは、単純にアメリカに、日本の留保金課税とは大分違いますけれども、そういうものがあって、ただ、アメリカのこの制度は、適用されないことを前提という感じですね。つまり、事前のプランニングでだれもそれにかからないように行動しているというやつですから、雰囲気は大分違うと思うんですね。ですから、外国と比較する場合も、そういうものがあるから、全く日本でも同じだというふうに言うと、実態まで見ると、必ずしもそうではないという場合も多いですから、注意しなければいけないという自戒も込めてあのように申し上げたので、別に、あるから残せとか、そういうことではないですね。

だから、日本の留保金課税についても、どんな場合に、どんなふうに、それがかかっているか、かかっていないのかということを、きちんと検討した上で、分けて考えていくというのが必要だと思います。

去年でしたか、大分緩めましたですよね。今日の議論にもありましたけれども、そのことがどんな効果を及ぼしているかも見ながら考えていくことが必要なのではないかと、個人的には思っております。

本間会長

私も今、中里主査が仰ったような感覚を持っておりまして、税調のこれまでの議論もございますから、その辺のところについて、どこまで各委員の意見を調整できるかどうか、そして、それが理屈の上できちんとしたものを構築できるかどうかということで、努力をしてみたいと思います。

司会

よろしいでしょうか。無ければこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

〔13時34分終了〕

グループ・ディスカッション