企画会合(第13回)・調査分析部会(第11回)合同会議終了後の香西会長・田近部会長記者会見録

日時:平成19年8月3日(金) 16時51分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

司会

それでは、ただ今から第13回企画会合・第11回調査分析部会合同会議の記者会見を行います。

質問

今日で調査分析部会が一段落ということなのですけれども、会長と部会長に一つ総括をしていただきたいのと、それから、これを踏まえて秋以降の議論は、どういう形でスケジューリングも含めて進めていかれようとなさっているのか、教えてください。

田近部会長

総括と今突然言われても、さっき申し上げたように、これから夏、8月全般ぐらいでやろうかなと思っていますけれども、調査分析部会は、あそこでも申し上げたように、私の整理としては、大まかに分けて三つの議題をやりました。一つは吉川グループですけれども、所得分配、具体的には格差、社会保障のあり方というか社会保障に関すること、それから少子化です。井堀グループのところで、経済分析に基づいたものとして、印象的だったのは企業負担、つまり法人税が投資を誘発するかどうかという話がありましたね。あとは企業税制のあり方、帰着の問題。それから、中里グループで租税原則。例の「中立」か「成長」かという話もそこで取り上げました。そして、今日の地方財政というような感じです。

総括はまだこの場では申し上げられませんけれども、私の頭に残っているというか、非常に根底にかかるものとしては、中立性がなぜ重要かというところで、今現在はグローバル化が進んできて、そして課税ベースが一つに止まっていない、世界的に動いていってしまう、そういう中で有効な税は一体何なのかということが全体のトーンの一つだったのかなと。それが5月のIMFのマイケル・キーン氏の報告の中でも、期せずしてというか、同じメッセージだった。あとは、そういう土台の上で、現代の状況で日本の税制をどう組み立てていくか。そういうふうに私はとらえていました。この段階ではそれ以上答えられませんけれども、概要はそんなものです。

香西会長

調査分析部会については、部会長の説明のとおりです。しかし、ほかにもいろいろ、特に税制改正の具体的項目としてはいろいろなものが考えられるわけで、そういったことも含めて、大きなトピックスとしては、すでに前哨戦というか、準備的な議論は行った。つまり調査分析部会で行った議論を具体的にしていくことが大きな仕事ですけれども、そのほかに、まだ議論していない問題もある。例えば、公益法人のあり方とかいろいろな問題が出てくると思いますので、それをいろいろなところから情報を集めて、整理して、なるべく効率的に秋以降議論を進められるようにしていきたい。こういうふうに考えている段階であります。

質問

香西会長に、今後の議論の進め方で補足でお尋ねしたいのですけれども、以前から何度か記者会見の場で、調査分析部会の議論が一区切りをした段階で、それまでの議論の中身を論点整理して、今後の議論のたたき台のようなものにというようなお考えがあったと思うのですけれども、改めてどのようなイメージで、それをいつごろ出していくのか、それは今後の議論のどういうものと位置づけられるのか、ご説明をいただければと思います。

香西会長

そういう論点整理をするということは、秋以降行われる議論のためにするわけですから、逆に言えば、秋以降の私たちの議論を見ていただければ、どういう形で論点整理が行われたかということもわかるような形になるだろうということです。

質問

それはいつごろ出されるご予定なのでしょうか。

香西会長

特に文書として発表するということにはならないかもしれません。しかし、秋からそういった議論を始める時には、各委員にも、一応、大体こういうことで議論しますよということは言わなければいけないわけです。企画会合ということになるのか、つまり答申に備えての議論ということになった段階では、ある程度の説明は行われるということです。できるものを作っておかなければ、委員のほうからも、これでは先が見えないというご議論が出るでしょうから、次の秋以降の予定されている議論が進むということになったら、その時には、たとえ粗いものであっても、一応の見通しを委員には配らないと、なかなか議事が進行しないだろう。そういうつもりで準備をしたいと思っています。

質問

その論点整理とはまた別に、次回以降の予定で、今日の段階では、次回特にいつというようなことはありませんでしたけれども、例えば8月内にもう一度ぐらいやるのか、それとも、8月は無しで9月からという感じなのか、そのイメージを現時点で結構なので教えていただきたいのと、それから、秋以降、個別税目のあり方などを政策論議していく上で、税調の中の組織形態はどういう形にしていこうとお考えなのか、その2点についてお尋ねします。

香西会長

8月中に開くか、開かないかということについては、まだはっきりとした結論を持っておりません。私としては、部会長ともいろいろご相談しながら、論点整理をまず先行させて、その進行状態次第ということにもなるかもしれませんし、必ず8月中には開かれるだろうというふうにお約束することはちょっとできない段階でおります。

それから、どういう形にするかということですけれども、基本的には、調査分析部会ではなくて、企画会合のような形のものがかなり中心的な役割を担うだろうと思いますけれども、その論点によっては、小グループで議論したものをそこへ上げていくというような形になるかもわかりません。したがって、その点も現在詰めつつある段階だとご理解いただきたいと思います。

質問

8月中にやるかやらないかは、何ともまだということですけれども、これもまだ政治日程なので流動的ではありますけれども、安倍総理は、今言われているところでは、8月終わりとか9月の早い時期に、内閣改造をやるというようなことになっているわけですけれども、そのスケジュールと税調の次回以降のスケジュールは、関係があるのか、ないのか、つまり具体的には、改造が行われるまでは開けないという感じなのか、それはどうなのでしょうか。

香西会長

私のほうからどうこうということは、全く考えておりません。私どもは、去年いただいた諮問があるわけですから、そして、秋以降ということになっているわけですから、その線で準備をしているということであって、関係しなければいけないことになるかどうかは、政治の予測の問題で、私のほうとしては、そういうことについてはノーコメントです。

質問

先日、島田晴雄さんが会長をされている総務省の「ふるさと納税研究会」のところで、論点整理ができて、その中で受益者負担の原則から、控除という寄附という形が妥当ではないかというような整理がされましたけれども、会長、この点に関してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

香西会長

あれは最終報告ではないようですね。税調でも適当な段階で議論することになるだろうと思います。それをやる前に会長が個人の意見を発表するのは差し控えたいということです。

質問

加えて、今日も国と地方の関係というのが大分議論であったかと思うのですけれども、今回、安倍総理もよくおっしゃっているのが、地方がいわゆる疲弊をしているということで、地方に対してどうやって手当てをしていくかというのが、この年末にかけて、予算も含めて大分議論になるかと思うのですけれども、税制調査会としても、地方に関する何か制度的なものでバックアップしようとか、そういう議論を進めていくおつもりはありませんでしょうか。

田近部会長

今日の議論は、地方税財政という1時間で議論しようもないテーマを、会議の日程上やったわけですけれども、それでも専門家の方がいらっしゃるので、できると思ってやったわけですけれども、今の質問にも関係して、結局、財源配分ですよね。交付税の問題と地方税の問題、それを同時に今日議論したから、切れない問題とはいえ、議論が錯綜したと思うのです。

これは私の部会長というか個人の考え方なのでしょうけれども、税調でどう問題を切り取ってくるのかというところは、税調でのアジェンダ(議題)をどう設定するかという議論がまず必要だろうなと思います。あらゆる議論を税調で取り上げてやるということはできないし、今までもできないわけですから、そこで税調での議題を整理して出すという議論が必要だということを、私は今日聞いていて痛感しました。

質問

会長はいかがでしょうか。

香西会長

まあ大体同じです。

質問

会長に、秋以降に議論を始めるということの絡みでもう一つ、税制改革は、税制だけではなくて、政府として歳出歳入一体改革の中で考えるということになっていると思うのですけれども、社会保障財源をどうするかとか、その辺の歳出との関係で秋以降の議論を始めるにあたって、どういうふうにその辺をお考えになっていらっしゃるのかということなのですが。

香西会長

諮問の文章もそういう形になっているわけです。基本的な考え方としては、歳出はできるだけ削って、国民負担率は低くしていくと。しかし、一方で少子化や社会保障について、どうしても必要なお金が要ると。これは歳出削減をやって、さらにやった上でも、どうしてもこれだけの歳出が必要であるという時に、安定財源が必要になる。それを探せと、こういう形になっているわけですから、それは当然、歳出の必要もないのに、税金だけ取っても仕方がないというか、それはあり得ない話だと思いますので、したがって、例えば少子化について、どういう政策がとられることになるのか、それが例えばある程度は既存の計画、いろいろな現に行われている事業を縮小してそこへはめ込むのか、そうではなくて、ネットでどれだけ、歳出規模としてどれだけ増えるのか、そういう情報等は、もし来年度からやるとしたら、ある時期までには数字的にもある程度明らかにならなければならなくなるわけですよね。その辺のことは、おっしゃるように、歳出と歳入の両面から内閣を挙げてのご議論になるということであろうと思っております。

質問

秋、大体9月ぐらいから政府税調でも議論を始められることになると思うのですけれども、例えば少子化に必要な分については、政府として少子化にこういう歳出をしていくという方針が決まらないと、やはりなかなか議論はできないのでしょうか。

香西会長

仮定の議論であり、あるいは考え方の議論はいろいろできると思いますけれども、本当に安定財源を増税という形で取るかどうかということになると、それはいくら、どれだけ、何のためにということを、はっきりさせてもらわないと、我々としては議論はできないというわけです。私たちが少子化対策にはこれこれと、こういうふうに勝手に決めていけるわけではないことははっきりしているわけです。それは当然、いろいろな形でこういうふうにしたいという希望があって、それに対して、それでもまだ政府の方針としてこうしたいということであっても、それは税の立場から見たらこうだということは言えますけれども、それがないのに、勝手には決められないことは明らかなことだと思います。

質問

今日の議論の中でも出ていたのですけれども、地方税の偏在の話ですけれども、骨太方針でもそういう方向性が書かれていて、総務省、財務省の実務者で今協議もしていると。今日も税源を交換する地方消費税と法人2税の交換論の話と、法人2税の配分見直しの話が出ていました。本格的には今後の話だとは思うのですが、今話題に上っている二つの方法について、メリット・デメリットをどんなふうに見ていらっしゃるか、もしご所見があれば伺えますでしょうか。

田近部会長

今ご説明のとおり、私の理解しているところでも、地方法人2税ですよね。法人事業税と法人住民税、その扱いをどうするか。不安定性というのは、景気を通じて税収が変わることと、偏在性というのは、地域によって収入が大きく変わる。その不安定性と変動性をどうするかという問題が議論されている。

今日出てきた議論は、一つはそれを消費税と交換したらどうだという議論があったのに対して、それは一つの考え方。それに対して、地方自治体の税源として法人税、法人税といっても所得になのか、外形的なものかがありますけれども、法人税が望ましいのかどうかということに対して、佐藤さんのほうは望ましくないという議論をして、井戸さんのほうは法人税も必要だという議論がありましたよね。

だから、法人税自身がどうかということはあると思うのですけれども、今問題の消費税との交換に関しても、まず法人税は地方に要らないという議論自身が成立しない。成立しないというか、必要だという人もいる。じゃあ、次に消費税との交換という議論でも、現実的に考えて、我々の税制改革というのは、白地に絵を描くわけではなくて、消費税というのは、重要な社会保障財源になっているわけで、その点をどう議論するのですかと、それを吉川委員のほうから指摘された。

ということで、この法人2税の問題をどう考えるかという時には、そもそも地方に、広い意味の法人への課税をどう位置づけるか。位置づけた上としても、消費税への交換というのは、現実の国と地方の財政を加味せざるを得ないというところまでは、意見の集約というか、現実認識としてあると思います。

税調としてこれからどうするかというのは、さっきのご質問に答えたように、その辺のアジェンダをどう整理して、この場でこれを議論したいということをどう整理できるかだと思うのです。私はそう考えています。

司会

ほかにございますか。よろしいですか。

それでは、記者会見を終了させていただきます。(了)

調査分析部会