企画会合(第11回)・調査分析部会(第6回)合同会議終了後の香西会長・田近部会長記者会見録

日時:平成19年5月22日(火)16時39分~
場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室

司会

それでは、記者会見を始めます。

質問

今日の議論のことでちょっとお伺いしますが、最初に、土居先生のプレゼンの中で、「社会保障と税」ということで、土居先生のご意見としては、世代間の格差の問題を考えれば、消費税が最も財源としてふさわしいというようなご意見のようで、増税分の消費税はすべて社会保障財源に充当するのがいいんじゃないかというような意見、それをいろいろ理論的にご説明があったと思うんですけれども、この内容について香西会長はどのようにお考えなのか、お尋ねしたいんですが。

香西会長

今日の話は一つの意見ということで承りましたというしかないので、それはいろんなことをまだまだ調べていかないと最終的な結論は出ないというのが現状だと思います。一つの有力なというか、かなりの人がそう思っていることは事実なのですけれども、それはやはりいろいろなほかの条件も考えなければならないだろうと思いますね。

どんな条件があるかというといろいろ難しいわけですけれども、世代間の不平等を是正するということについては、年金税という声も今日ありましたし、さらに言えば、世代を超えて格差を残さないためには、相続税という話も聞こえてくる。そういう声もありますし、世代内の平等化をもっと直接に行うようなことはできないのかという議論も当然あるわけですね。

ただ、これはどれくらい財源が必要かということが問題であるわけであって、かなり大きな財源を必要とするというのだったら、よほど景気がよくて法人税がどんどん増えてくれば別ですけれども、まあ簡単にいくというものはないわけですよね。大きな税金をある意味でとれる税源というのはあまりない。

例えば、さっき言ったような相続税とかいうようなことを言ってみても、現在の相続税収から言えば限度があるわけです。それから年金税にしても、今から初めてやると、年金は約束なのに、急にこれは切り捨てになっているのではないかとか、いろんな議論が出てくるわけですから、そう代替案があるわけではないかもしれない。だからといって重要なわけでもないかもしれないし、それだけの、例えば何兆円足りないのかということがわかってみなければ、どれが一番いいということも、どれが一番安定的かということもなかなか難しいわけですね。

だから、これは安定的という言葉の解釈についてもいろいろ議論があって、これはこの次ぐらいにやるんでしたっけ。どういう税金をもって安定的と言うかと言うのですけれども、これは目的によって違ってもくるというような議論もあり得るわけですね。ですから、そういった問題をいろいろ議論して、さらに議論していく中で出てきていた、参考にすべきというか、かなり多くの人が支持していると思われる一つの見方であったと理解しています。

司会

ほかにございますか。

質問

すみません。同じ者ばかりで恐縮ですが、ちょっとまた別の話で、今日、最後のほうで公益法人の税制について、議論というか、簡単な説明があったということだったんですが、素朴な疑問として、いきなり法人税の各論に今日入ったなという印象があるのですけれども、なぜこのタイミングでこのテーマを取り上げることになったのか、その辺のねらいといいますか、そこをちょっとお尋ねしたいのと、あともう一つ、この改革の方向性なんですけれども、今日配られた資料にもありますが、石先生が会長をやっていたときにそういう検討があって、そのときに、はっきり書いてはいませんけれども、収益事業の種類は33種類では狭いのではないかというような議論があったりとか、あるいは収益事業の軽減税率は要らないのではないかという議論もあったようなんですけれども、今後の議論の中では、こういうこれまでの議論を引き継いでやっていくということなのか、それとも、それはそれとして、もう一度中立な視点で議論をしていこうということなのか、その辺あたりはどういうふうにお考えでしょうか。

香西会長

なぜやったかということなのですが、これは、私が税調に参加して間もなくの機会から何回か、早くあの問題をみんなに、注意を呼び起こすために説明せよという委員からのご注文がありましたのでそれに従ってやったということで、今日が特別何か意味があったわけでは、この日にやらなければということではなかっただろうと思いますけれども、一応、あそこの委員会の審議官とか、それから前の答申のときの担当者、それを直接請け負っている主税局の第三課長とか、そういう人たちから話を聞き、一度報告して、委員の期待、希望にこたえておきたいということでやったということです。

それから、もう一度審議するというか、税調としては本格的にまた審議しなければいけない時期があるということは私も自覚しておりまして、その場合は、過去における答申はもちろん非常に重要な参考材料になると思いますが、全く同じというか、租税原則もそうですけれども、一度決めたら変えないということでも決してないわけですね。それはまた議論し直して、今の状況、そのときにはまだはっきりしてなかった新しい法律とか新しい公益法人の選び方とかが決まってきたわけですから、そういったことも含めて、新しい需要に応じて再検討はするけれども、もちろん、その際にも、過去においてそういう意見があったということについては、その理由なりそういったことはかみしめて審議の中に生かしていかれるだろうと思います。

質問

最後のほうで、ふるさと納税について議論したほうがいいんじゃないかという意見がありましたけれども、会長は情勢を見計らってということでしたけれども、どういう条件というか、環境が整った段階で税調として意見を言うのがふさわしいとお考えなのか。

香西会長

私が言ったのは、例えば100万円の都税を、AとBが払っていると。所得も同じでですね。その人が、Aさんは50万円をどこかの県に寄附したとか、あるいはこれを指定したと。そうすると、片方の人は東京都には50万円しか払わないのに、100万円払っている人と同じ応益するということは、地方税が応益原則だというのだったらかなり面倒なことなのですね。それを許せるか。あるいは、50万円送ったから、150万円にサービスを下げるとなったら、片方の100万円払っているほうは、何でそのサービスを下げるのだという話になるわけですから、当然そういうことは税の議論としての問題はかなりあるわけですね。

そこで、それではどういう手があるかという技術的な点について、現在いろいろな知恵が出てきていて、ふるさとを大事にしようというのはなかなか、それは要らんよということは言いにくいものなのでしてね。それは何かいい基準なりいい道が発見されたら、地方に、ふるさとに支援するような希望を満たすというようなやり方ができないか探ることは非常に結構なことだと私は思っているわけです。

それにしては、今のところ、まだ百鬼夜行というんですか、いろんな案が飛び出していて、まだ十分議論の焦点がはっきりしていないのではないかと。つまり、税の議論としていきなり言われても、それはちょっと粗雑だし、だからといって、あれはやらなくていいということでもないわけですよね。そういう希望があるんだったら、それは限度もあり、もちろん、税源がどんどん管轄圏の外へ出ていって良いということにもなかなかならないわけですから、しかし、そういう希望をどういう形でか生かす道があるのなら、まあ検討の余地があると、こういうふうに私は思っているものですから、もう少し議論を整理してくるということを期待しているわけですね。

その前に、こういう知恵があるのではないかということを考えるのも1つかもしれませんが、それはいろんな議論を聞きながら、こういうやり方があるのではないかということも思いつけば、それは一つの発言のチャンスになるかもしれません。

質問

税の専門家がたくさん集まっている税調で、聞けばいろんなアイデアが出てくるのではないかと勝手に想像するのですけれども、そういう機会を設けるというか、会合でやってみるというお考えはないんでしょうか。

香西会長

それは委員から、今日も一つの提案があったわけですから、委員の提案がさらにあれば、そういうことをやったらいいかどうかということについては、それは委員のほうから、こういう知恵があるとか、いろんな案が集まってくれば議論ができるでしょうね。そういう点で、特に地方財政関係に強い委員の方には、私からも個別にご意見等は聞いておきたいと今日は思っておりますけれども、そういった下調べみたいなことができて、それで、ではこれで今言おうかとか、そういうことになってくるのではないでしょうかね。あるいは満を持してやろうかとか、そういう選択の問題になると思います。

司会

ほかにございますか。よろしいですか。

それでは、これで記者会見を終了させていただきます。

香西会長

どうもご苦労さまでした。(了)

調査分析部会