答申に盛り込まれていない主な意見

今回の答申の審議過程において、以下のような主な意見が出た。

総論

イ 財政事情が厳しいことや税負担水準が低いことを踏まえれば、景気のために緊急的に講じた措置を廃止することが必要。

ロ 緊急避難的に講じた措置については、財政収支というよりはむしろ税制のあり方の問題として、元に戻すことが必要。

個人所得課税

(定率減税)

イ 定率減税を見直す場合には、定率減税とセットで措置された個人所得課税の最高税率と法人税率の引下げも見直すべきではないか。

ロ 定率減税は廃止すべきでない。

法人課税

イ 中小企業支援の観点から、同族会社の留保金課税は廃止してほしい。

ロ 租税特別措置により、中小企業は同族会社の留保金課税を相当程度免れているのであるから、これ以上の措置は不要。

ハ 法人税だけでなく、それ以外の様々な税等を含め、日本の法人の税負担の水準を検討する必要がある。

酒税

イ 分類の簡素化そのものには賛成だが、何を同種・同等とするのか明らかにする必要があるのではないか。

ロ 負担格差といったときに、酒類の小売価格やアルコール度数など、何を基準に格差を縮小していくのか。

ハ 酒税の見直しを行っても、また発泡酒のような製品が出てきて、その度に議論が振り回されるのは問題。

租税特別措置等の整理合理化

イ 日本企業の国際競争力を強化する観点から税制の後押しは必要。

ロ 中小企業の状況には配慮が必要。

ハ 地価は一部では上昇が見られるものの、全体としてはまだ下落しており、登録免許税や不動産取得税の軽減措置について、中小企業については延長の必要がないとまでは言えないのではないか。

特定財源

イ 目的税についてはその経緯等から積極的な役割もあると考えられるので、その見直しに当たっては、その点も考慮しつつ議論すべき。

ロ 道路特定財源を一般財源化するときに、納税者の理解を得て環境税に組み替えることも考えられる。

ハ 世帯当たりの自動車保有割合が高く、家計の自動車関連の負担が大きい地域もある。道路特定財源が余っているのであれば一般財源化ではなく税率を引き下げるべき。

ニ エネルギー関係諸税等の税負担水準については、比較の仕方によっては、必ずしも諸外国より低いとは言えないのではないか。

ホ 道路特定財源の見直しに当たっては、国と地方は区別して、道路特定財源のあり方について考え方を整理し、議論すべき。

ヘ 道路特定財源の一般財源化の議論はあるが、地方にはまだ必要な道路整備もあり、必要な財源は確保すべき。また、地方の特定財源比率を高めるべき。

地球温暖化問題への対応

イ 京都議定書目標達成計画で、環境税なしの施策が閣議決定された。自主的に取り組んでいる企業に対し、追加負担を求めることには反対であり、既存の環境対策予算を効率的に使うことや、化石燃料への課税を整理することが先決ではないか。

ロ 環境省案は、財源確保に重点が置かれていること、税率が低く効果が不明であること、使途が明確になっていないこと等について疑問がある。

ハ 昨年の環境省案は、電気の税率が一律であることや社会保障財源に充てられるなどの問題があったが、今年の案は議論のたたき台になるのではないか。

ニ 環境税の使途については、地方で森林整備などの環境政策を行っていることに配慮すべき。

ホ 環境税の消費抑制効果を発揮させるため、できるだけ消費に近い段階で課税することを検討すべき。

その他

(公示制度)

イ 公示制度は、第三者監視による牽制的効果という目的が現在もあると考えられるため、匿名性が過度に強まっている現状を考えて、存続させてもよいのではないか。公示は、所得税だけでなく、法人税や資産税でも行われており、それぞれの必要性について検討すべきではないか。

その他

イ たばこの税金は低すぎる。大幅な税率引上げを検討すべき。