知的財産推進計画2025を決定しました
2025年8月26日

令和7年6月3日、内閣総理大臣が本部長をつとめる知的財産戦略本部において、「知的財産推進計画2025」が決定されました。
「知的財産推進計画」とは、知的財産基本法に基づき、知的財産戦略本部が、毎年、知的財産の創造、保護及び活用のために政府が実施すべき施策の基本的な方針等を定めるものです。
我が国では、イノベーションを含め、競争力は長期的に低落傾向にあるものの、コンテンツ産業やクールジャパン関連産業は大きく拡大しています。そして、今後は、AI技術の急速な発展や、社会経済システムの大きな変革が予想されています。
このような状況を踏まえ、今回の「知的財産推進計画2025」では、知的資本を最大限活用し、国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」の構築を目指す、IPトランスフォーメーションの実現をテーマとしています。

また、今回新たに、達成すべき目標についてKPIを定めました。例えば、2035年までに、世界知的所有権機関(WIPO)の「グローバルイノベーション指数」の上位4位以内を目指すことや、日本市場(日経225)における時価総額に占める無形資産の割合を2035年までに50%以上にまで高めることなどを目標としています。
このような目標を達成するため、AI・デジタル時代の知的財産制度の構築や、「新たな国際標準戦略」の策定やルール形成の促進、「コンテンツと地方創生の好循環プラン」を踏まえた取組等を進めていくこととしています。
まず、今年6月に成立した「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI法)の考え方を踏まえ、「AI技術の進歩の促進」と「知的財産権の適切な保護」の両立を目指します。
具体的には、AIに対するクリエイター等の懸念を踏まえ、「法」「技術」「契約」のそれぞれの手段の長所を組み合わせたAI活用に向けた取組を促進するとともに、AIの開発者のやる気を高めるため、AIの開発者も、AIを利用した発明の発明者に含まれるよう、発明者の定義を検討していきます。

また、今年の6月には、前回の策定から19年ぶりに、「新たな国際標準戦略」を策定しました。新たな戦略では、日本の国際標準活動に関する官民連携による司令塔を設置するとともに、国内外において特に重要となる17の領域(重要領域・戦略領域)を選定し、それらの領域における国際標準活動を官民で強化することとしています。これらの取組のもと、官民が連携しつつ、国際標準活動を通じた社会課題解決と市場創出を目指します。

さらに、「コンテンツと地方創生の好循環プラン」に基づき、アニメツーリズムやロケ誘致など、コンテンツを起点とする経済波及効果の大きい地域一体となった官民連携の取組について、コンテンツ地方創生拠点として選定を行い、関係省庁、自治体、関係経済界が連携して強力に推進します。2033年までに、全国約200か所の選定を目指すこととしています。
