第5回野口英世アフリカ賞の受賞者が決定しました!
2025年6月6日

野口英世。
2004年から約20年間、1000円札の肖像画に採用されていました。
しかし、名前は聞いたことがあるけど、一体どんな功績を残した人なの?と思う方も多いのではないでしょうか。
まずは、野口英世の生涯をご紹介いたします。
野口英世の生涯
★数々の苦難を乗り越えた人
福島県の貧しい家に生まれ、1歳半の時に左手に大やけどを負い、それでも一生懸命勉強に励みました。
15歳で左手の手術を受けたことをきっかけに医学を志すようになり、済生学舎(現日本医科大学)で学び、20歳で医師の資格を取得しました。
「志を得ざれば再び此地を踏まず」この言葉を生家の床柱に刻み、必ず医師になるとの決意を胸に故郷をあとにします。
★海外に飛び立ち、医学研究にまい進
24歳で、単身米国に旅立ち、ペンシルベニア大学に、その後デンマーク留学を経て、再び米国に戻り、ロックフェラー医学研究所で細菌学の研究を進めました。
ロックフェラー医学研究所では「ノグチはいつ眠るのか」と言われるほどの研究への執念を見せ、数々の画期的な成果を上げました。
1913年に、末期梅毒患者の脳内にスピロヘータ・パリダの存在を証明し、末期梅毒の精神障害が脳の病変によって引き起こされることを明らかにしました。その功績は高く評価され、ノーベル賞候補にも選ばれています。
★最後はアフリカの地で……
1927年、アフリカの地で黄熱が発生すると、研究のためガーナにわたりました。
研究中に自身も黄熱にかかり、1928年、世界中の多くの人々に惜しまれつつ、現地、アクラ(現ガーナ共和国首都)で51歳の生涯を閉じました。
野口英世アフリカ賞とは
野口英世アフリカ賞は、野口博士の志を引き継ぎ、アフリカの医療向上に貢献する研究者を支援するため、2006年に創設されました。
アフリカに住む人々、ひいては人類全体の保健と福祉の向上を図ることを目的としています。
人類の幸福のために生涯を捧げた野口博士の精神は、現代のアフリカでの医学研究・医療活動に携わる人々に脈々と受け継がれています。
アフリカにおいて野口博士と同じスピリットを持った人々を鼓舞していきたい、
野口博士と同じ情熱を持って活動している人たちにスポットライトを当てたいという日本政府の考えがこの賞を授与する動機となっています。
授賞式は、3年ごとに開催されるアフリカ開発会議(TICAD)の機会におこなわれます。
次回は、2025年8月の第9回アフリカ開発会議にあわせて、内閣総理大臣主催の下、第5回野口英世アフリカ賞授賞式を開催する予定です。
医学研究分野、医療活動分野それぞれの受賞者に、賞状、賞牌及び賞金が贈られます!
過去の受賞者の中には、賞金を活用して、奨学基金を設立し医師の研修教育を行ったり、新たな公衆衛生プロジェクトを実施したりしている人もいます。野口英世アフリカ賞をきっかけにさらなる支援の輪が広がっています!

(写真提供:公益財団法人 野口英世記念会)
第5回野口英世アフリカ賞受賞者
第5回野口英世アフリカ賞は、以下の個人及び団体に対し授与することを決定しました。
医学研究分野
アブドゥライ・ジムデ博士 (Dr. Abdoulaye Djimdé)
「マラリアのないアフリカ」の実現を目指して 長年、マラリア撲滅に取り組んできた研究者

<受賞功績>
マラリア※の制圧に多大な貢献を果たしました。
また、アフリカ12か国による共同研究のためのネットワークを設立し、研究体制を構築するとともに、アフリカの若手研究者育成にも取り組んでいます。
幼少期に兄弟をマラリアで失った博士は、「マラリアのないアフリカ」という夢に向かって前進を続けています。
※マラリアとは:
ハマダラカという蚊によって媒介される感染症のことで、世界の人口の約40%がマラリアの危険にさらされていると言われています。
医療活動分野
DNDi 顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ
(Drugs for Neglected Diseases initiative)
「顧みられない病気」で苦しむ人々のために、安全で有効、入手可能な価格の治療薬・治療法を開発・提供

<受賞功績>
顧みられない病気(途上国で貧困層を中心に流行している病気のこと)等に対する入手可能な価格の治療法を開発・提供するとともに、アフリカ睡眠病※に対する初の経口治療薬の開発・提供、同病流行国の研究機関や専門家が参加するネットワークの設立等、同病の治療においても多大な貢献を果たしました。
※アフリカ睡眠病とは:
ツェツェバエが媒介する寄生虫によって引き起こされ、頭痛や発熱などの第1段階から、寄生虫が中枢神経系に侵入し、睡眠障害、重度の精神神経疾患、痙攣、昏睡などを引き起こします。治療しなければ通常、死に至ります。
何十年もの間、睡眠病の唯一の治療法は、患者の20人に1人が副作用で命を落とすヒ素由来のメラルソプロールでした。
これまでの受賞者
第1回以降の各受賞者は、それぞれ、アフリカを含む世界の地で感染症に立ち向かい、新たな医療の扉を開いています。
その情熱と献身は、多くの命を救い、アフリカの医療に大きな変革をもたらしています。
受賞後も、研究と実践がさらに広がり続けており、アフリカ発の医療イノベーションは、世界の感染症対策にも大きな示唆を与えています。
野口英世の志は次の世代へと続いていきます。
これまでの受賞者の詳細は、野口英世アフリカ賞授賞式と受賞者をご覧ください!
野口英世記念館について
野口英世の生まれ故郷である福島県猪苗代町には野口英世記念館があり、野口英世の生涯と業績をわかりやすく展示しています。体験型の展示では、ゲーム感覚で遊びながら野口英世が挑んだ細菌の世界をこどもから大人まで楽しく学ぶことができ、大変人気があります。
また、2023年には隣接して「野口英世記念感染症ミュージアム」もオープンし、感染症研究の歴史や基礎知識を学ぶことができます。
ぜひ足を運んでみてください!
〒969-3284 福島県耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田81(三城潟)
公益財団法人 野口英世記念館
ご支援について
野口英世アフリカ賞の賞金の財源は、半分を国費、半分を民間からの募金で賄っています。
皆様からのご支援は、アフリカでの医学研究や医療活動に取り組む方々の活動を通じて、人類全体の健康と福祉の向上に生かされています。
野口英世博士の志を未来へつないでいくために、皆様からのご支援をお待ちしております。
野口英世アフリカ賞基金(独立行政法人国際協力機構)
野口英世博士の志を継ぎ、アフリカに住む人々、ひいては人類全体の保健と福祉の向上を図るために感染症と闘う方々を、私たちは今後も応援していきます。
該当施策のページ
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