改正配偶者暴力防止法の施行について

2024年3月14日

 保護命令制度とは、裁判所が、被害者の申立てにより、配偶者に対する「つきまとう」といった一定の行為を禁止する命令を発令する制度です。
 「配偶者」には、法律婚の相手方、事実婚の相手方、生活の本拠を共にする交際相手が該当します。
 また、被害者の性別は問わず、男性の被害者も申立てをすることができます。

 保護命令は、主に「被害者への接近禁止命令」と「退去等命令」の2種類になります。
 このほか、被害者への接近禁止命令に併せて、「被害者への電話等禁止命令」といった4つの命令を発令することができます。
 詳細は以下をご覧ください。

保護命令の種類

※以下、「退去等命令」を除いた5つの命令をまとめて「接近禁止命令等」とします。

 今回の改正のポイントは、以下の4つになります。
 1.申し立てができる被害者の拡大
 2.保護命令の種類の拡大
 3.命令の有効期間の伸長
 4.厳罰化

  1. 申し立てができる被害者の拡大
    接近禁止命令等の申立てができる被害者は、これまで以下に限定されていました。
    • 身体に対する暴力(実際に殴る・蹴るなどの暴力)を受けた者
    • 生命・身体に対する脅迫(「殺すぞ」などといった生命・身体に対する害悪の告知による脅迫)を受けた者
    今回の改正では、申し立てができる被害者に「自由、名誉、財産に対する脅迫を受けた者」が追加されます。
    加えて、命令の発令要件が以下のとおり拡大されます。
    • 改正前:生命・身体に対する重大な危害を受けるおそれが大きいとき
    • 改正後:生命・心身に対する重大な危害を受けるおそれが大きいとき
    保護命令の要件
    具体的な言動が接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づいて裁判所が判断しますが、例えば、以下のような行為が対象となり得ると考えられます。
    • 外出しようとすると怒鳴る(自由に対する脅迫)
    • 性的な画像をネットに拡散するなどと告げる(名誉に対する脅迫)
    • キャッシュカードなどを取り上げるなどと告げる(財産に対する脅迫)
     
  2. 保護命令の種類の拡大
    「被害者への電話等禁止命令」の対象行為に、以下4つが追加されます。
    • 緊急時以外の連続した文書の送付・SNS等の送信
    • 緊急時以外の深夜早朝のSNS等の送信
    • 性的羞恥心を害する電磁的記録の送信
    • GPSを用いた位置情報の無承諾取得
    また、「被害者の子への電話等禁止命令」が新設されます。
    対象行為は、「行動監視の告知等」「著しく粗野乱暴な言動」といった8つの行為です。
     
  3. 命令の有効期間の伸長
    被害者への接近禁止命令の有効期間が6か月から1年に伸長されます。
    また、退去等命令の期間は、原則2か月ですが、住居の所有者または賃借人が被害者のみである場合、被害者からの申立てにより6か月とする特例が新設されます。
     
  4. 厳罰化
    保護命令に違反した者に対する罰則が、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」から、「2年以下の拘禁刑※または200万円以下の罰金」へと加重されます。
    ※2025年5月31日までは「懲役」。刑法等の改正に伴い、2025年6月から「拘禁刑」。
     

 このように、2024年4月1日から、保護命令制度による被害者の保護等が拡充されます。内閣府では、新たな制度の周知等に努めるほか、引き続き、相談体制の整備など、被害者支援に係る取組を進めてまいります。

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