「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定しました
2023年11月7日

30年振りの高水準となる3.58%の賃上げ、過去最大規模の名目100兆円の設備投資、50兆円ものGDPギャップの解消の進展など、日本経済は30年ぶりの変革のチャンスを迎えています。
この30年間、日本経済はコストカット最優先の対応を続けてきました。人への投資や賃金、設備投資・研究開発投資などがコストカットの対象とされたことで、消費と投資が停滞し、「コストカット型経済」とも呼べる悪循環に陥っていました。足元の前向きな動きが続けば、熱量あふれる「新たなステージ」への変革が現実のものになります。しかし、国民の消費や投資といった動きは力強さに欠けており、変革を加速する後押しを行わなければ、日本はデフレに後戻りしてしまいます。
そこで、今回の総合経済対策では、「持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済」への変革のためのスタートダッシュとして、以下の取組を実行します。
- 賃金上昇が物価高騰に追いついていない状況を踏まえ、不安定な足元を固めて物価高を乗り越えるための「国民への還元」
- 賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化し、賃金の向上とそれに伴う需要の増加による経済の好循環の実現につなげる「供給力の強化」

≪対策の具体的な内容≫
- 物価高から国民生活を守る
賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却の一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えする所得税・個人住民税の減税を行います。また、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者に対しては給付措置を実施します。
高水準が続く燃料油価格、電気・ガス料金の激変緩和措置を講ずるとともに、生活者・事業者支援のための交付金を追加的に拡大します。
エネルギー価格の上昇等への体制を強化するため、省エネ、再生可能エネルギーの更なる推進・普及を図ります。 - 地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する
2024年以降も賃上げの流れを継続するため、賃上げ促進税制の検討、価格転嫁対策、省人化・省力化投資の支援等を行います。
非正規雇用労働者の所得向上のため、「年収の壁」を乗り越えるための取組を実行するとともに、構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革を推進します。
経済の回復基調を地方に波及させるため、インバウンドの拡大を含む観光立国の取組、農林水産業者や中小企業の輸出拡大の支援の取組を推進します。 - 成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する
国内投資の拡大を支援するため、人的資本の高度化や供給力の強化を図ります。そのため、社会課題への対応を成長のエンジンへと転換し、経済社会の持続可能性を高める投資を拡大させるとともに、研究開発投資を通じてイノベーションを促進します。
イノベーションを生み出す主体として、日本経済の潜在成長率を高めるスタートアップが抱える課題への対応を支援し、事業環境を整備していきます。 - 人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する
人口減少・少子高齢化に伴い人手不足が恒常化する中、経済社会活動を維持・発展させていくため、デジタルの力を活用した社会変革を起動・推進していきます。
地方の生活を支える行政サービスや物流、教育、医療・介護等の分野において、デジタル技術の社会実装を支援するとともに、制度・規制改革を活用して、国民・企業の創意工夫や事業意欲を後押ししていきます。
また、少子化対策や認知症施策、教育DXフロンティア戦略の推進を始めとする公教育の再生など、包摂社会の実現に取り組みます。 - 国土強靭化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する
相次ぐ災害に屈しない国土づくりを進めるため、引き続き、防災・減災、国土強靭化を機動的に進めます。また、昨今厳しさを増す外交・安全保障環境の変化への対応を推進します。
こども・若者の性被害防止のための緊急対策や花粉症対策など、国民生活に密接にかかわる社会課題への対応を進めていきます。