経済財政白書―動き始めた物価と賃金―

2023年9月26日

 8月29日、「経済財政白書―動き始めた物価と賃金―」を公表しました。
 「経済財政白書」は、我が国の経済を客観的なデータに基づき定量的に分析し、政策の検討に役立てるため、年一回公表しているものです。

 第1章「マクロ経済の動向と課題」では、40年ぶりとなる高い物価上昇の背景を分析し、デフレ脱却に向けて鍵となる要因を探っています。我が国は依然としてデフレから脱却したとは言えない状況ですが、モノだけでなくサービスについても価格が改定される頻度が上昇しているなど、企業の価格設定行動に変化が見られ始めており、今の日本経済で注目するべき動きとなっています。
 第2章「家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題」では、生産性の向上を通じて物価上昇を上回る賃金上昇を実現させることや、希望する人がより多く働き活躍できるようにすることなど、家計の所得向上のための課題を整理しています。さらに、少子化対策の観点から、子育ての負担軽減策や、保育所の整備・男性育休の促進を通じた「共働き・共育て」の環境整備も重要です。
 第3章「企業の収益性向上に向けた課題」では、我が国においては研究開発投資など無形資産投資(形のない資産への投資)が伸び悩んでいますが、こうした無形資産投資を進めることが、製品の高付加価値化や製品差別化の実現を通じて、企業の価格設定力(マークアップ率)の向上につながることを議論しています。マークアップ率の向上は、収益改善の鍵であり、企業の投資や賃上げの余力を高め、経済の好循環につながる点で重要です。

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