「野口英世アフリカ賞」の制度設計(論点整理)

平成18年10月6日
「野口英世アフリカ賞」に関する関係省庁連絡会議
平成18年11月10日一部改正

1.全体枠組み

  • 本年10月中にも、5~6人からなる「有識者会合」を開催し、選考過程の全体枠組みについて権威ある立場から御了承を頂く。有識者会合のメンバーは、基本的に下記の最終選考委員会(旧決定委員会)のメンバーとなることを想定。
  • 最終選考委員会は、総理大臣の委嘱を受けて総理大臣に対し授賞候補者1名ないし2名を答申する機関として整理。
  • 最終受賞者は医学研究と医療活動から各1名とする。但し、いずれかの分野において該当者なしの年はありうる。また、賞金額は各1億円とする。

2.最終選考委員会

(1)機能・役割

  • 推薦委員会から上がってくる候補者の中から最終的に1名ないし2名の受賞者を決定する。
  • 国家レベルで与える賞としての権威付けをし、総合的な見地から本賞にふさわしい受賞者を決定すべく審査する。

(2)人数・構成

  • 国際的にも名の通った以下の分野の重鎮を10名程度厳選する。
    • 学界
    • 医学界
    • 医療活動を含む国際協力
    • 財界
    • ジャーナリスト
  • 国際的な賞という観点から、以下の外国人も含める。

(3)選考手続

  • 最終選考委員会は平成19年末を目途に1回開催し、必要に応じて第2回目を遅くとも授賞式の3ヶ月前に開催する。
  • 最終選考委員会の手続事項(採決方式や最終候補者の選考基準など)については、準備委員会(有識者会合)が枠組みを作成し、初回の最終選考委員会で決定する。

3.医学研究の推薦委員会

(1)機能・役割

  • 最終選考委員会に推挙する医学研究に関する候補者を厳正な学問的基準に基づき選定する。その際、まず感染症をはじめとする疾病対策という観点から学問的成果を検証し、その上でアフリカ色が十分あるかを検証する。
  • 日本学術振興会(JSPS)が委員会の事務を行う。

(2)人数・構成

  • 公平性の観点から、感染症分野以外の医学分野の専門家も含める。また、実務的機動性の観点から、人数は 10名以下とする。
  • 選考に十分な時間を割いてもらうという点から重鎮(OB)を中心に構成しつつ、ダイナミズムを維持するため若手も少数含める。
  • 感染症分野の研究は外国の研究者・研究機関に知見が多く蓄積されていること、また、国際的に権威のある賞を目指すという観点から、外国人も委員に含める。
  • 最初に推薦委員会のコアとなる委員を内定。その委員を中心に2~3名の準備チームを立ち上げる。そこで委員候補のショートリストを作成し、順次個別アプローチし、最終的に全メンバーを確定。

(3)選考手続

  • 推薦委員会は候補者を3人まで絞り込み、最終選考委員会に推挙する。
  • 推薦委員会は、6回程度開催。(第1回:委員長の選任、推薦依頼先、審査基準、役割分担等の手続事項の確認、第2~4回:候補者の絞込み、第5~6回:報告書の作成)
  • 外国人委員の実際の出席は実質的な議論が行われる第3、4回のみとする。その他の回は基本的には手続事項を含め文書で意見提出してもらい、必要な調整は各委員との間の文書のやりとりを通じて行う。
  • 透明性の観点と外部の圧力・介入を排するとの観点とのバランス上、委員の名前は公開するが、審査基準、作業手順、審議内容等は非公開とする。
  • 推薦の依頼にあたっては、できるだけ広く情報収集するとの観点から、個人・機関双方に幅広く依頼する。また、漏れをなくすため委員自身による推薦も可能とする。
  • 書類審査に加え、選考の最終段階(5人程度に絞り込まれた段階)で現地視察による裏づけ調査も行い、研究所の実態や周囲での評判等、書類では得られない情報の収集を行う。
  • 選考の中立性に反する事態が発生する場合(例えば、委員会メンバーが属する研究機関の学者が受賞候補者となるような場合や、委員会メンバー自身が受賞候補者となるような場合)に備え、他の賞に準じたルールを作成する。

4.医療活動の推薦委員会

(1)機能・役割

  • 最終選考委員会に推挙する医療活動に関する候補者を選定する。その際、日本とWHO/AFROの間で協議の上設定する選考基準を厳正に適用する。
  • WHO/AFROが委員会の事務を行う。

(2)人数・構成

  • 委員会のメンバーには、公平性の観点から、AFROを中核としつつ、アフリカにおける医療活動について情報・知見が豊富なUNICEF、UNFPAなどの国際機関、医療活動に従事するNGO、JICA関係者等で構成する。

(3)選考手続

  • 医学研究と同様の推薦依頼方式とする。WHO以外の国際機関、研究機関、NGO等に幅広く推薦を依頼する。
  • 日本とAFROの間で協議の上、選考基準を設定する。
  • 委員会は、医学研究と同様6回開催を目処とし、各回の審議内容・目標も医学研究の推薦委員会に準ずる。
  • 選考過程は非公開とする。
  • 委員会は候補者を3人に絞りこみ、最終選考委員会に推挙する。

5.基金

  • 本賞のため、広く寄付を募り基金を設立する。
  • 基金は国際協力機構(JICA)に置く。
(以上)