受賞者挨拶 ピーター・ピオット博士

 野口英世アフリカ賞の受賞者に選んでいただき、非常に光栄に思い、感謝しています。野口博士は医学研究の歴史において特別な地位を占めており、梅毒、黄熱病、レプトスピラ症、トラコーマ、そしてその他の感染症についての野口博士の研究の独自性は世界中で認められています。野口博士の研究室と現場での勇気と献身は、幾代にも渡り研究者達を鼓舞してきました。野口博士は国際人であり、色々な意味で今日、我々が国際保健と呼んでいる分野のパイオニアであります。私はアフリカで、研究室での科学と現地の人々に基づいた研究、政策、現場での生命を救おうとする活動に橋を架けようとしてきましたが、野口博士は私のアフリカでの感染症の研究にとってインスピレーションを与えてきてくれました。

 日本国政府は、野口博士の遺産を顕彰するだけでなく、我々が今現在直面している世界的な課題への共同のアプローチを促進するため、特にアフリカ開発会議やその横浜行動計画を通じて、日本のアフリカへの献身により、大変大きな展望を示しました。

 私個人の話になりますが、家族と、過去40年以上に渡り、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、日本、そして国連合同エイズ計画(UNAIDS)において、私を助け、導いてくれた沢山の世界中のすばらしい同僚たちに感謝したいと思います。

 私たちが力を合わせて感染症に対し成功を成し遂げている一方で、エイズ、結核、マラリアは、特にサハラ以南のアフリカにおいては、その制御からは程遠くなっています。新たな病原体は出現し続けています。私たちはこれからも長く地域的、世界的な努力を続けなくてはならないのです。


ザンビアのコミュニティーにて


カピタ博士と同僚と
ママエモ病院(キンシャサ)にて

ザイールのキンシャサにて
1985年

2005年の国連総会で演説するピオット博士
(写真:UNAIDS)