鹿野消費者委員会委員長 記者会見

2023年9月13日
消費者委員会

日時

2023年9月13日(水)16:30~17:16

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

○鹿野委員長 皆さん、こんにちは。

本日は、委員長就任の御報告と御挨拶を申し上げたいと思います。

御案内のとおり、9月1日に第8次消費者委員会が発足し、本日、その初回の消費者委員会本会議が開催されました。

その会議の場において、委員の皆様の互選により、私、鹿野菜穂子が委員長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

消費者行政の取り組むべき課題は、取引面、安全面を含め、多岐にわたっておりまして、特に近年は、高齢化やデジタル化の急速な進展に伴い、新たな課題も次々に現れてきているところでございます。

このような中で、消費者委員会の委員長としての重責を担うということに、身の引き締まる思いでおります。

少しだけ自己紹介をさせていただきたいと思います。私自身は、大学で民法と消費者法を担当しております。もともと民法を専門として、民法の中でも財産法、とりわけ取引法を中心として研究をしてまいりました。

取引法は、消費者法に深く関わるところがありますので、次第に消費者法に関心を寄せるようになって、消費者法の分野についても研究を進めてまいったという次第でございます。

消費者法の分野に関する近時の個人的な関心事を一言で申しますと、消費者法の現代化、体系化ということでございます。

その意味するところは広いのですが、つまり現代化というのは、御存じのとおりデジタル化の進展に伴って新たな問題が生じており、あるいはさらに、デジタル化という概念に入るのかどうか分かりませんけれども、AI技術の進展などに関わっても、新たな消費者問題が生じております。そのような問題に適切に対応できるルールの在り方ということに関心を持っております。

さらに、それらも含めて消費者法の全体的な在り方を再検討する必要性があるのではないかと感じて、研究を進めてきたところでございます。

研究者は、科研費の助成を得て研究プロジェクトを進めたりするのですが、私も正にそのような課題で、ここ数年研究を進めてまいりました。

期せずして、消費者庁のほうでも、この度、有識者懇談会の議論の整理が公表されまして、基本的に考えていることに共感を覚えるところもあるのですが、問題は、そのような課題をどうやって具体化していくのか、実現していくのかということにあるものと思っているところです。

この課題は、生易しいものではないとは思っておりますけれども、個人的には、そういう課題に一つ一つ取り組んでいきたいと考えております。

今は個人的な関心ということを中心に申し上げたのですが、もちろん、消費者委員会として取り組むべき課題には、更に様々なものがございます。委員会として、具体的に何をどのようにして取り組んでいくのかというところについては、今後、委員の皆様との話し合いによって決めることになると思います。

先ほども本会議で申し上げたのですが、第8次消費者委員会には、多様な分野について、それぞれ専門的な知見をお持ちの頼もしい方々が委員となっておられますから、今後、委員の皆様と力を合わせて、消費者委員会がその機能を十分に発揮できるよう取り組んでまいりたいと考えているところです。

どうぞよろしくお願いします。

質疑応答

(問) 本当に初心者として聞かせていただくのですけれども、確かに消費者法のスクラップ・アンド・ビルドという話はよく耳にすることではあるのですが、担当省庁ではなく、消費者委員会さんとしては、どういう立場で、具体的にどんな検討をされていくのかということを、かみ砕いて教えていただいてもよろしいでしょうか。

(答) 消費者委員会としましては、消費者行政全般についての、言わば監視役を務めております。もちろん、消費者庁さんとの間で、いろいろな意見交換をしたり、あるいは意見や提言や建議を出したりということはあるのですが、消費者庁だけが相手というわけではありません。消費者分野というのは、他の多くの省庁が所管している事項にも関わるところでございます。

そういう意味で、消費者委員会は独自の立場で各省庁に対して、必要に応じていろいろな働き掛けを行っていきたいと思います。そして、既になされた法改正とか、あるいは既に第7次の消費者委員会において、幾つか意見とか建議などが出されましたので、そういうものに対する対応が、実際、どうなっているのかなどについても検証し、フォローアップを適宜行っていきたいと考えております。

これでお答えになっておりますでしょうか。

(問) ありがとうございます。

もし、さらに鹿野さん御自身で関心を持っていらっしゃるテーマといいますか、この問題とかに興味があるなというものがありましたら。

(答) 先ほどの話の続きになるのですが、まず、消費者法を全体として見直さなくてはいけないのではないかということです。これも、いろいろな観点から言えることだと思いますが、1つは、消費者という概念ないし像についての見直しです。現在、消費者契約法第1条の目的規定のところでは、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み」とされ、そこに特別ルールを設ける理由を掲げています。また、消費者基本法でも、「等」と文字が付いているので若干の違いはあるのですけれども、第1条の目的規定で同じような表現が使われているところでございます。

しかし、そのような格差だけで捉え切れるのかという問題があります。もちろん、このような格差は重要なところではあります。けれども、これは民法が典型的にそうなのですけれども、従来、人間というものが合理的な経済人として、抽象的な形で捉えられてきたところがありますけれども、特に消費者に関して言うと、生身の人間でございますから、生身の人間が持っているところの限定合理性であるとか、認知バイアスであるとか、そういうものを十分に考慮したようなルールづくりというのが必要なのだろうと考えております。

今まで脆弱な消費者というものについては、例えば、障害者であるとか、あるいは高齢で精神的な判断力が少し弱くなった方ということで、言わば類型化して捉えがちだったのです。それらに配慮することも、もちろん重要ですけれども、それ以外に、誰しもが持っているような脆弱性というものをも直視する必要があるのではないかと思います。それから、最近はAIとかを使って、今までになかったような技術により、その脆弱性につけ込む取引方法が現れています。例えば、インターネットを使って検索をしたりとか、購入をしたりとか、消費者はいろいろな行動をとりますけれども、そのときの情報が吸い上げられていって、その情報をAIで解析して、その人の弱いところに攻撃をかけていくという形でのターゲティング広告だとか、あるいは、いわゆるダークパターンと言われるものなどが出てきていることも、報告されているところでございます。

最後に触れたところはデジタル化とも関わってくるわけなのですけれども、そういうところも含めて、全体として、果たして今のような消費者法の消費者像、そして消費者法の在り方でよいのかということについては、考えてみる必要があると思います。

それから、個別に言うと、特定商取引法に通信販売の一連の規定があります。もちろん通信販売についても、社会状況の変化に伴い、幾度か改正等はされてきたのですが、もはや細かな改正だけでは追い付いていない部分がありまして、これについては抜本的な改正が必要だと考えているところでございます。

勧誘方法が、そもそも今までと全く異なっておりまして、これは通信販売だけではないかもしれませんけれども、勧誘方法等も違ってきておりますので、特商法の今の在り方では、今後なかなか対応できないという問題が多くあるだろうと認識しているところであります。そういうところも含めて考えております。

さらに、消費者契約法のほうも、この5年間あるいは8年間ぐらいの間に何度か改正を見てきたところではあります。しかし、例えば4条3項の、いわゆる困惑類型にしても、もちろんないよりはよく、その個別類型を追加し充実させてきたということには意味があるのですが、細かな要件立ての類型を追加していくということだけでは、対応できない問題が多くあるだろうと個人的に思っております。

それから、何といっても消費者契約法という名前とも関わるのですが、同法の役割ないし射程という問題もあります。消費者契約法の規定するところは、今のところ、不当勧誘による取消しと不当条項の無効と、それから適格消費者団体による差止請求制度という3本だけでございます。だけれども、消費者が関わる取引に関しては、ほかに様々な問題があり、あるいは消費者の救済手段としても損害賠償を始めとして他にも考えられるはずでございます。

そういう意味でも、消費者契約法が、今のままの姿でいいのかということについて、少なくとも個人的には、疑問を持っているところが多くあるところでございます。

今申し上げたところを、全て委員会でやりますよとは、私の独断では言えませんけれども、今後、委員の皆様方と話し合いながら、一つ一つ課題を検討してまいりたいと思っているところです。

(問) 本日は偶然にも新しく大臣が交代されるということで、新体制がスタートするわけですけれども、新委員長として新しい大臣と、これからいろいろコミュニケーションも取られると思うのですが、どのように取っていかれて、新しい大臣にどういったことを期待されますでしょうか。

(答) 新しい大臣とは、まだお目にかかっておりませんので、今からだとは思っているのですが、一般論として申し上げますと、先ほども言いましたように、消費者委員会は、消費者行政に対する監視役としての役割を持っておりますので、消費者庁が進められる検討等に関して、ある意味緊張感を持って、これで良いのかというチェックをしてまいりたいとは思っております。その上で、必要に応じて意見や建議などを発出していきたいと思っております。

しかしながら、もう一方で、消費者庁も消費者委員会も、あるべき消費者行政あるいは消費者法を目指すという意味では、共通する目標を究極的には持っているところでございますので、そういう意味では、けんかをするという話ではなくて、緊張感を持ちながらも必要に応じて連携をして、コミュニケーションを十分に取りながら、こちらが考えていることがうまく伝わるように、努力をしてまいりたいと思っているところでございます。

具体的には、大臣にお目にかかってから、またということにさせていただきたいと思います。

(問) 今日、委員会の中で山本委員がお話しされていたと思うのですけれども、デジタル時代の課題に対応できる消費者団体の疲弊ということで、そういったものをエンパワーメントすることも関心があるとおっしゃっていました。

消費者委員会でも、この前、実態報告書をまとめていらして、我々一般国民が想像する以上に、疲弊した状態があるのではないかと思いました。

個々の消費者を教育するとか、そういうこととは別に、団体として何かエンパワーメントするための更なる調査ですとか、あるいは何か取組とかを考えていることがあれば教えてください。

(答) これも、今のところは個人的な思いということになります。もちろん、第7次の消費者委員会において調査・検討されたことがありまして、それも認識しているところです。

それに重複するところもあるのですが、私も個人的に、いろいろな消費者団体、適格消費者団体あるいは特定適格消費者団体の方々とお話をする機会が今までもありまして、その厳しい実情も伺ってきました。特に適格消費者団体に関しては、差止請求制度はすばらしい制度ではあるのですが、ただ、やはり今のままでは、これが十分に機能することを期待するのは難しいかなと思っているところがあります。

適格消費者団体には、有能な人材が集まっています。ですが、この差止請求を申入れの段階で相手が改善してくれれば、比較的勝負が早いのですが、差止請求訴訟を提起した場合には、それだけで、結局、それで勝訴したとしても、その適格消費者団体には何も見返りがありません。もちろん社会的な意義があるということでは重要な見返りがあるのですが、しかし金銭的には、何ら見返りがなく、要するに差止請求訴訟を提起すればするほど、財政困難に陥るという状況にあるものと認識しております。

地方によっては、そのような消費者団体について、財政的にも支援ないし貸付け等をするような制度を設けているところがございますが、それもごく一部であるように思います。今までの議論でも、一方の立場にある団体、事業者から言うと、事業者とは逆の立場にある団体だけに、財政的な支援とかをするなどというのはけしからぬというような御意見が経済界からあったことを認識しています。消費者裁判手続特例法も、もちろん、救済という意味で重要なのですけれども、被害の拡大防止という観点では、適格消費者団体の差止請求制度はとても重要な制度ですので、それがもっと持続可能な形で展開できるような仕組みを本当につくらないと、せっかくの制度が、機能不全になってしまうのではないかという危惧を、私自身は覚えておりました。

もちろん、そのほかに立証の問題などもありまして、立証負担の軽減については、若干、改正による手当がなされたのですが、それがどこまで機能するかというのは、今後更に注視し検証していく必要があると考えているところでございます。

そういうことで、消費者団体訴訟制度がその機能を十分に発揮し、消費者団体が活動を持続することができるような、そういう仕組みづくりというのも重要な課題であると認識しております。

(問) 鹿野新委員長は、以前の第4次、第5次でも委員を務められたということで、今回、また新たに再任というか、新委員長になったわけですけれども、4次、5次のときに感じた、積み残しというわけではないのですけれども、具体的な話というよりは、運営面を含めて、こういったところをもう少し手を入れればよかったなといったような反省などがもしあったら、それを踏まえて今回の8次では、どういった運営をしていきたいかということをお聞かせいただければと思います。

(答) ありがとうございます。

反省を踏まえた今後の運営などですね。運営面としては、4次、5次での経験で、こうすればよかったと反省したというところではないのですが、先ほど触れました消費者庁との関係という点がございます。当時、特に5次の最後のほうでは、ジャパンライフ等の問題が非常に大きくなっていたところでして、それで、消費者委員会としては、預託法等の改正に関する建議を出そうということで議論を重ね、結局は第5次の最後のほうで建議と意見と、幾つか項目によって分ける形で出させていただきました。

そのときのことを考えると、消費者庁と、もう少しスムーズに話ができるといいなとは感じたところでございます。

当時、私は一委員でございましたが、どうして、消費者庁との意思疎通がうまくいかないのかなという点で、謎の部分がございました。けれども、先ほども言いましたように、やはり消費者委員会は、監視役としての機能を十全に果たしながら、一方で、連携できるところは連携していくということ。その前提として、ちゃんとコミュニケーションを取っていくということが極めて肝要であると認識しておりまして、それに努めていきたいと思っております。

さらに付け加えると、これは当たり前の話で、当時ができていなかったからというわけではないのですけれども、いろいろなところとの意見交換の場というのは、非常に大切だと認識しております。当時もやっていたのではございますけれども、やはり委員は、多様な分野から専門的知見を有する方が集まっていただいているとはいえ、現場の実情とか、あるいは執行での問題だとか、様々な情報という点では、やはり足りないところがあります。

そこで、現場に携わられている方々を始めとして、あるいは各省庁なども含めて、意見交換をできるだけやっていくことをしたいと思っているところです。

(問) もう一点だけ、これは、少しコメントしづらいことかも分からないのですけれども、第7次のほうでチャット勧誘の規制の件がありまして、どこまで見られているか分からないのですけれども、もし、いろいろな運営を含めての件に関しても進め方等々あって、それを、今、新委員長となってどのように評価されているのか、もし、コメントができたらお願いできますでしょうか。

(答) チャット勧誘については、本年8月に第7次の消費者委員会から意見が出されたと承知しております。

具体的には、御存じのとおり、また先ほど私が申し上げたところとも重なる部分がありますが、特定商取引法の通信販売において、チャットを利用して、事業者が消費者の契約締結の意思形成に影響を与えるという行為に対して、勧誘の規制等の導入に向けた検討を行うということが、主な内容としてその意見に盛り込まれていたものと思います。

それについては、私も内容的に同意見でございまして、もちろん、そのときの議論に直接関わったわけではございませんが、意見として具体的に文字にして公表されたものを拝見して、非常に共感を覚えるところでございます。

第8次の消費者委員会においては、これだけではないのですけれども、第7次の消費者委員会において出された意見などに対する対応が、消費者庁等を始めとして、適切になされているかということを注視し、必要に応じて、どういう形式をとるのかはまだ分かりませんけれども、更に必要なアクションを起こしていきたいと考えているところです。

(問) 関連なのですけれども、本会議は傍聴取材ができなかったもので申し訳ないのですが、第7次からの引継ぎの会合の場というのはありましたでしょうかということ。

あと、最後に出されました第7次の留意事項、これは、鹿野さんがおっしゃっているように、前の委員長は、要するにデジタルということと、脆弱な消費者の問題ということに、とても関心を持たれていましたけれども、この留意事項については、どんな話し合いがなされていますでしょうか。

(答) ありがとうございます。

まだ、第8次の消費者委員会は発足したばかりでございまして、第7次から継続という方も若干いらっしゃいますけれども、第8次と第7次の公式の対面での引継ぎということは、まだやられておりません。日程調整にもよりますが、今月中ぐらいにそういう機会を持つことができればと考えているところでございます。

ただ、今、御指摘がありましたように、第7次の消費者委員会から出されている留意事項が、言わば引継ぎ文書だと認識しておりまして、ここには非常に多くの重要な課題が指摘されているところでございますので、第8次消費者委員会においては、これをしっかりと受け止めて、これだけに限るかどうか分かりませんけれども、これらを中心に、具体的に必要な行動を取っていきたいと考えているところです。

(問) ありがとうございます。

もう一つ、最初の御発言の中で、特商法のことがありました。これは、例えばというか、一昨日も東京弁護士会の3階で、特商法の附帯決議の5年後見直しをテーマとして、今、おっしゃった通信販売とか、あと、要するに連鎖販売であるとか、そういうことをテーマに掲げて、こういう点を直すべきだと、改善すべきだということを全国的にやっていこうということを、消費者団体とともに確認し合った会合がありました。

これは、消費者委員会として何か特商法の改正見直し、これについては、その会場でもありましたけれども、消費者庁が、この改正については非常に消極的だと、令和3年にやっているからということもあるのでしょうけれども、通信販売は、先ほどおっしゃったように、すごく大きな問題が、まだまだ残っているということを考えると、消費者委員会としてはどうか、個人的にはよく分かりましたけれども。

(答) 第8次消費者委員会としては、9月1日に発足し、本日、第1回目の会合があったところでありまして、本日の会合の主な内容というのは、委員長その他を決めるというところでございましたので、具体的に何をどう取り上げるかということは、正に今後、第8次の消費者委員会の委員で話し合って決めていくということになろうかと思います。

ただ、先ほど言われましたように、引継ぎとしての留意事項には、明確に特定商取引法の再検討のことが書かれておりますし、それは重く受け止めるべき事項だと思っております。

さらに、先ほど個人的な関心として、特商法にも関わるようなことを述べましたが、個人的にもその点は重要だと考えているところです。

(問) 本会議で、今村部会長のほうから、健康食品とか機能性表示食品の在り方を検証すべきだという問題意識が出ましたけれども、この点について、委員会として今後課題になりそうでしょうか。

(答) ありがとうございます。

食品表示の在り方につきましても、先ほど話題になった第7次からの引継ぎの留意事項の中の1つの柱として掲げられております。ですから、それもしっかりと受け止めて第8次で、具体的には、委員の皆様と相談しながらですが、検討してまいりたいと考えております。

個人的には、第4次、第5次で消費者委員会の委員をしておりましたときにも、食品表示の問題があまりにもひどい状態だということで、いろいろと委員の皆様と意見交換等をしたことがございます。

そのときより少しは状況が改善したと言えればいいのですが、なかなか問題がなくなったとは言えない状況なのではないかと個人的には思っているところです。

そういうところでございますので、是非個人的には、この問題についても取り上げたいと考えております。

(問) 第7次の建議の数が1件だったのですけれども、件数ではないのですけれども、提言もたしか0件、意見自体は多かったのですが、要するに独立に職権を行うということであるとか、あと建議が出せるということ、そのために各省庁に対する資料請求権があると。

もう一つが、内閣総理大臣に対する勧告、報告要求ができるということ。これは、とても大きな権利だと思います。これを思う存分使っていただきたいと思っていまして、監視活動の一つのメルクマールが建議だと思っているのですが、新委員長として、第8次で出したい建議は、今、消費者問題自体が非常に多く発生しています。意見が建議になるようなものも、これまで僕はあったと思うのですけれども、何か件数とかで思いはありますか、1件は、僕はあまりにも少ないのではないかと思っていますが、建議の数など言えないですね。

(答) そうですね、建議の数を何本出しますということは、お約束はできませんけれども、先ほどから何度も申し上げているように、消費者委員会の機能というのは、消費者行政全般について監視機能を果たすということにありますので、その機能を十分に果たすために、必要に応じて積極的に建議等を発出するということが必要であると考えております。

これを具体的なテーマについて、例えば、意見にするのか、提言にするのか、建議にするのかということについては、テーマの内容とか、あるいはすぐに具体的な法制度とか、政策につながっていくような具体化したものなのかどうかとか、いろいろな角度から委員の皆様と検討して、結局、どれになるのかというところで落ち着くのであろうと考えているところでございます。

現時点では、いろいろと先ほどから申し上げておりますように、課題はたくさんあるのですが、その中で優先順位を付けて具体的に検討していって、その上で、これは建議を出さなくてはいけないというようなことがあれば、積極的に出したいとは思っております。件数については、お約束できるものではございません。

(問) ルール形成ワーキングの検討は、引き続き行われますでしょうか。

もう一点、相談のデジタル化に向けて、地方消費者行政の中での消費生活課みたいな、地方消費者行政を担う行政組織みたいなものも含めて、今後、弱体化していく危険性もあるのではないかみたいな指摘も出ていて、消費者委員会が、その辺に今後関わっていくお考えがあるかについて、2点お聞かせください。

(答) ありがとうございます。

2点御質問がありました。1点目のルール形成ワーキングについてですが、本日、初回の本会議において、下部組織等のうち、新開発食品調査部会などについては、事務局から御説明があり、引き続き設置することについて了解が得られたところでございますが、その他の下部組織は未定です。

そういうことで、今後、これも委員の皆様と話し合いをしながら、どういう下部組織を設けるのが適切かということを決めていくことになろうかと思います。

私個人としては、先ほど言ったような、いろいろなルールの見直しを検討する場が必要であるとは考えているところですが、それがルール形成ワーキングということになるのか、別の形で設けることになるのかということについても、現在のところは、まだ決まっておりません。

2点目は、地方消費者行政についてです。これもかなり深刻な問題だと、個人的には思っているところです。今、始まった問題ではありませんけれども、地域間格差が大きく、例えば、私、東京都の消費生活対策審議会というところにも関わっておりますが、東京都は地域の中でも圧倒的に財政基盤が強いということもありまして、財政基盤があるということは、それに係るスタッフ等も抱えられるということでもございますし、かなり積極的な対応ができている自治体の一つかなとは思っております。

しかし、東京都でできているから、ほかでもやるべきだと言えるかというと、地方の財政基盤が厳しいところに対して要求することは、現実的には難しい状況にあるのではないかと思います。もちろん、限られた財政等の中で、いかに効率的、効果的にやるのかということは一つ考えられるところでございますが、それだけではなかなか賄い切れない問題があるのではないかと考えているところであります。

これも消費者委員会として、どういうことができるのかということは、今後考えてまいりたいと思いますが、まず、前提としては、たしか第4次か第5次かで、そういう地方の状況について、いろいろヒアリングをする機会がありましたが、それからもいろいろと状況が変わっていると思われますので、改めて実態をきちんと把握して、その上で消費者委員会として何ができるのかということを考えてまいりたいと思っているところです。

(以上)