山本消費者委員会委員長 記者会見

2021年8月26日
消費者委員会

日時

2021年8月26日(木)12:00~12:52

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

○山本委員長

皆様御案内のとおり、第6次消費者委員会の委員の任期は、今月末までとなっておりまして、先ほど第6次委員会として最後となる本会議を開催いたしました。

第6次委員会につきましては、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、途中からテレビ会議システムによる会議開催を中心にせざるを得なくなりましたけれども、そのような制約のもとにあっても活発に調査審議を行い、一定の成果を得ることができたものと考えております。

調査審議に御参加いただいた委員各位並びに報道機関の皆様をはじめ、御協力をいただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

委員長記者会見につきましても、第6次委員会としては、今回が最後となります。

冒頭、私から3件御報告をさせていただきます。

1件目は、消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ報告書及び意見についてです。

8月19日、消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ報告書を受けて、消費者委員会意見を発出いたしました。

この報告書におきましては、事業者に対する情報の届け手として、消費者に身近な存在である事業者に着目をして、自主的に情報提供を行う事業者の取組を紹介し、事業者の取組において消費者関連情報を活用してもらうために、消費者行政が目指すべき姿を示しております。

既に、例えば見守り関係の事柄については、お客さんと日頃接している事業者の方が、いろいろ情報を提供する、サービスを提供する取組が既に存在しますけれども、そこに消費者関連情報があまり載っていないのではないか。消費者関連情報については、行政機関の側から、いろいろ今も熱心に流していますけれども、消費者に本当に届いているかというと、クエスチョンマークを付けざるを得ないところがあり、それであれば現在の行政機関による情報提供に加えて、顧客、消費者と身近に接している事業者の方から、消費者関連情報を消費者に流していただくことが有益ではないか、という問題意識で書かれている報告書です。

そういったことを実現するに向けた対応策、それから環境整備の在り方の方策について、取組の方向性を示しております。

この報告書において示された取組の方向性を踏まえて、消費者庁及び関係行政機関において、事業者との間で連携体制が構築されるように、本報告書を参考に、できるだけ速やかに検討や取組を推進すること、そして、地方公共団体においても、事業者の取組において消費者関連情報をより積極的に活用していただけるよう、本報告書を参考に検討や取組を推進することを提案しております。

当委員会としては、意見において示された事業者と行政による新たな公民連携を推進することが重要と考えており、次期消費者委員会においても、関係行政機関の取組を後押ししていただくことを期待しております。

2件目ですけれども、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書及び意見についてです。

こちらも8月19日、先ほどの報告書と同じ日ですけれども、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書を受けて、消費者委員会意見を発出いたしました。

このワーキング・グループですけれども、前期の委員会において、消費者法分野におけるルール形成の在り方として、行政規制、民事ルール、自主規制のベストミックスが重要であるという報告書を出しております。令和元年6月、約2年前のことです。

この報告書は、非常に広範なテーマを取り扱っていまして、消費者法分野のありとあらゆる法の形態等を網羅的に扱っており、非常に面白い報告書でしたけれども、今回はテーマを絞って、具体的に施策を推進していくための手掛りを示したいという趣旨でまとめられたものです。何にフォーカスしたかというと、事業者による自主規制の活用に焦点を当てて審議を行いました。

まず、既存の自主規制の状況をまとめたのですけれども、それに加えまして、今後、自主規制の整備・運用が必要となるデジタル取引やデジタル広告と言った新しい取引分野にも参照できるように、そういった分野を意識した形で取りまとめたものです。

意見では、本報告書での提案を踏まえまして、実効的な自主規制の整備・運用が促進されるよう、行政機関、事業者・事業者団体、消費者・消費者団体をはじめとする各ステークホルダーが、適切な役割分担で連携関係を構築することを期待する旨を述べております。

特に新しい取引分野になりますと、いろいろな仲介に入る事業者、主体が非常に重要な意味を持ってくることは、御承知のとおりで、オンラインプラットフォーマーが正にその代表ですけれども、アフィリエイト広告で言いますと、仲介に入るASP(Application Service Provider)等、こういった主体の役割も考えた上で、今後自主規制の在り方として、どういうものを目指していくかを報告書にまとめました。

当委員会といたしましては、新たな取引分野等における自主規制の整備・運用状況について、引き続きフォローを行うとともに、被害回復のための財産保全措置等残された論点について検討を行う必要があると考えておりまして、これは次期の消費者委員会における検討事項として引継たいと思います。

それから、3番目ですけれども、来月1日に発足をする第7次消費者委員会において、引き続き調査審議を行っていただきたい事項等について、本日、次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項として取りまとめました。

消費者委員会は、これまで6期、12年にわたって活動をしてきたところですけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、デジタルトランスフォーメーションの進展などの社会情勢が大きく変化する中で、消費者委員会が果たすべき役割もそれに対応していく必要があると考えられます。

そのような社会的な要請を十分踏まえつつ、消費者委員会の運営の在り方等についても検討していただいた上で、新たな消費者行政の課題に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。

これについては、非常にテーマが広範囲にわたっておりますので、逐一ここで申し上げることはできないのですけれども、資料としてお配りをしております。

短期的な課題から中長期的な課題までいろいろ挙げておりますけれども、各委員がそれぞれ次期に向けて、留意していただきたいと表明されたところをまとめたものです。

私からは、冒頭発言は以上といたします。

質疑応答

(問) 2つの報告書についてお伺いするのですけれども、もう委員会は今月末で変わってしまって、メンバーは替わってしまうと思うのですけれども、意見書では各行政機関だったり、事業者団体だったり、消費者団体に取り組んでほしいというメッセージとして出されているわけですけれども、消費者に対しては、消費者がこの報告書を全て読むのはなかなか難しいかと思うのですけれども、消費者に対してのメッセージというのがあれば、その報告書取りまとめに当たって、どういったことがあったのかというのを、それぞれ教えていただけないでしょうか。

(答) いずれにも共通するところかと思いますけれども、事業者の方に情報提供など自主規制に、自主的に取り組んでいただくためには、インセンティブが必要です。そのインセンティブの最大のものが、消費者による評価だと思うのです。

こういった取組をする事業者が消費者によって評価されることが必要ですし、また、こういった取組の内容を決めていく場面でも、更に消費者が積極的に参画していくことが必要ではないかということがあります。

1つには評価の主体ということ、もう1つには参加の主体ということであると思います。

この点は、消費者の方に見る目を養っていただきたいですし、それから参加になりますと、専門的な内容も関わってくるかと思います。特に、デジタル分野などの自主規制になりますと、かなり専門的な話も入ってまいりますので、消費者の方に、そういうことに関心を持って、必要な知識等の取得をしていただきたいと思います。

この報告書の中では、そういった消費者の役割にも触れております。

(問) 消費者法分野におけるこの報告書を受けて、この2つは、今回、意見に当たるわけですね。

それで、1つ消費者法分野における、第5次の委員会のワーキング・グループの中でのベストミックスは、かなり幅広くやってきて、今回、自主規制ということに、その対象を挙げたということなのですけれども、消費者法分野の中では、取引分野における在り方というか、消費者の被害に遭った方々の救済に対して、すごく日本は遅れているということで、いろんな学会の中でも救済制度の在り方について、海外との比較があったりなどしておりました。

先週、日本弁護士連合会も詐欺的商法に対するポンジ・スキームということでしょうか、これに対する在り方について行政の救済制度ということを十分検討してほしいと。

それで、消費者庁が、2013年に設置していた悪質商法の違法収益の剥奪、散逸防止の検討会があって、それに対しての具体的検討が止まっているということで、再開してほしいということを要望として出しておったのですけれども、今回、消費者委員会として、この報告書を受けて出された意見について、幅広い第5次の委員会のワーキング・グループの中での自主規制の部分と同時に、これを継続して消費者法分野については、継続して消費者委員会として検討されていく、つまり引継をお願いしていくということは考えていらっしゃるのでしょうか。

(答) ありがとうございます。

第5次消費者委員会のときの民事ルールに関するワーキング・グループの報告書において、はっきりそこまで書かれていたかどうか分かりませんけれども、いわば進んだ取組をしている事業者から、悪質事業者、更に極端に言えば、犯罪行為を行っている事業者まで、事業者といってもいろいろな事業者があります。

したがって、それぞれの特性の事業者にフォーカスをした施策を考えていく必要があります。自主規制は、進んだ取組をしている事業者が行うものであり、今回の報告書は、そこに一番のフォーカスを当てています。

それによって、悪質な事業者が淘汰されていくことを更に狙っていますけれども、直接のターゲットは、取組を進めようとしている事業者です。

それに対して、悪質事業者により、財産被害が発生し、それを救済しなくてはいけないという場面の問題が、なお残されていることについては、報告書の中で言われておりますし、次期の消費者委員会への留意事項の中でも、4ページで、被害回復のための財産保全措置等の残された論点と書かれております。

これは、行政機関が父権訴訟という形で訴えを起こす、それから消費者団体が団体訴訟を起こすという、請求のレベルの問題もありますし、財産被害を回復しなくてはいけないときには、事業者の財産を押さえる措置が更に必要になります。そういった問題にも今後取り組んでいかなくてはいけないということは、ワーキング・グループでも意識され、また、今日取りまとめた次期への引継事項の中でも意識されております。

特に財産保全は、典型的に想定するのが悪質事業者なので、非常に実際上難しいのですが、やはりもう少し制度的な手当が必要ではないかということは御指摘のとおりです。私の見るところ、ここのところは、日本は遅れていると言わざるを得ないです。

この点は、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの座長である丸山先生が非常に関心をお持ちです。何度も丸山先生が強調されたところです。

(問) ありがとうございます。

(事務局) 丸山座長、何か補足はございますか。

(丸山座長) ありがとうございます。

今、山本委員長に説明をしていただいたとおりでございます。

今回検討したのは、自主規制ということで、自主規制、共同規制という枠組みというのは、現在、ガバナンスモデルの変化の中で少し増えている状況にありますので、そういった中で、どういう自主規制が本当に実効的なのかというのを評価する観点が非常に重要なので、そこにまずは着手したということでございますが、御指摘いただいた財産保全など、悪質な事案における消費者の被害救済が重要だというのは、今期の委員のところでも認識はされておりまして、ただ、そこまで今回は調査が及ばなかったので、次期の留意事項としては挙げている点でございます。

財産保全のお話に関しましては、現在あるような、いわゆる振込み詐欺救済法の口座の凍結ということが、現在、うまく機能しているのかなど、それを超えた仕組みというのが必要ではないかということは認識しておりましたので、この点は、引き続きの課題として認識しているということでございます。

よろしいでしょうか。

(問) 具体的な取組やテーマはあると思うのですけれども、その運営という点で言いますと、やはりコロナ禍でのかなり御苦労があったかと思うのですが、コロナが収束したとしても、やはりオンラインなど、デジタル化の波の中で、完全に元に戻るということは考えにくいと思うのですが、この運営のやり方について、次期に考えてもらいたい点など、若しくは発展的に進めていく必要があるのではないかと思っていらっしゃる点があれば、少し具体的に教えていただけたらと思います。

(答) ありがとうございます。

今期の消費者委員会で、コロナの問題が発生して、まず、考えなくてはいけなかったのが、委員会の本会議をどのように開催するかという問題でした。

本会議に関しては、それでも何とか形としてできてきたところで、ただ、やはりどうしてもオンライン上のコミュニケーションだけであると、委員の間で十分なコミュニケーションができないという御意見、御不満があるところです。

そこをどう補っていくかも課題ですが、更に大きな課題は、消費者団体など一般消費者とのコミュニケーションの部分で、これはまだ今期の委員会では、完全に軌道に乗せるというか、うまい解決を見付けて実践したというところまでは至っていないと思います。

消費者団体との意見交換に関しては、2月と7月に実施をいたしました。

団体との関係で言えば、オンラインでの会議等にだんだん慣れてきている状態ですので、そのレベルまでは何とかできたと思いますけれども、更に難しいのは、一般的なシンポジウムでして、ただ、これもいろいろな団体等において実践していますので、工夫してやっていく必要があると思っています。

シンポジウムのようなものになりますと、オンラインでなくてもいろいろな準備が必要ですので、今期はそこまではできなかったのですけれども、次期には、やはり考えなくてはいけないと思います。社会全体がそういった形の会合に慣れてきていますので、次期には、それはうまくいく見込みがかなりあるのではないかと、個人的には考えております。

(問) 関連になるのですけれども、一般傍聴がなかなか難しい状況で、収録された映像をすぐに公開されるなど、議事録を公開されているとは思うのですけれども、一般傍聴に対する配信の御検討など、あと、消費者からの意見募集という形で、なかなか難しいとは思うのですけれども、従来型ではない意見の収集みたいなことも運営の在り方としては、山本委員長は、また、次の次期の方々にあまり制限を掛けたくないというお考えかとは思うのですけれども、何かお気付きの点というか、検討すべきことというのは、どのように感じていらっしゃいますか。

(答) 技術的にどれぐらいクリアできるかの問題であると思います。確かに、配信を考える余地もあるかと思いますが、大量の人が視聴すると回線がパンクするなど、そういった技術的な問題もあります。ただ、御指摘のように、できるだけ開かれた形で本会議を運営することが重要であると思いますので、方針としては、できる限り一般の消費者と言いますか、一般に対して開かれた形で開催する方向で検討していただきたいと思います。

技術的な問題については、事務局もそうですが、むしろ皆さんのほうがいろいろな御知見をお持ちかもしれませんので、是非お知恵をお貸しいただければと思います。

(問) 配布資料のページ2から3の当面の主要課題を幾つか挙げていらっしゃいますけれども、あえてと言いますか、大変恐縮なのですが、特にこの分野の課題については、次期の委員会の皆様に是非注力していただきたいということがありましたら、教えてください。

(答) 委員によって、いろいろな思いがありますので、あくまで私の個人的な関心に基づいた意見になってしまいますけれども、1つはコロナ禍における消費者問題です。これが今後どのような形で継続するかは、注視する必要があると思います。

容易に想像されることとしては、詐欺的な行為、これはもう既にいろいろな形で出てきており、手を変え品を変え、いろいろ発生しています。今後も何かあると、そのような形の詐欺的な商法が出てくる可能性がありますので、注意しなくてはいけません。

それから、新たな問題として発生するかもしれないのは、ワクチン接種に伴う問題です。本当に個人的な見解ですけれども、可能性があると思います。

海外では、ワクチンパスポートをいろいろな行動の際の条件に使うことが、欧米でもかなり行われるようになっています。日本では、そこまでは現在のところ広げない方針であるのですけれども、今後ひょっとすると、ワクチンパスポートが使われて、消費者が何らかのサービスを受ける際に、それが条件になるといったことが発生し、正当性、妥当性が問題になる可能性があるかと思います。

さらに、いろいろな問題が発生する可能性があるかと思いますので、今後の状況をよく見て対応していかなくてはいけないということが1つです。

それから、より長期的な問題でいいますと、デジタル化への対応です。取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律が先頃成立いたしまして、一定のベースラインはできたと思います。ただ、取引デジタルプラットフォーム法では、努力義務規定が多く、官民協議会を作って、そこで今後検討していくということですけれども、私の個人的な感想としては、やはり遅いのではないかという感じがあります。今の段階で努力義務止まりの規定がかなりあり、これから官民協議会を開いていろいろ話し合って決めていくという方法で、果たしてスピードとして間に合うかという気がしています。

EUでは、昨年末から今年にかけて、デジタルサービス規則案、あるいはAI規則案を公にしています。まだでき上がってはいないので、今後議論して、最終的にどのような形になるかは分かりません。しかし、規則案という形のものが明確に出てきていて、それが事業者側からすると厳し過ぎるなど、いろいろなリアクションがある状況ですけれども、そういった海外の状況も見ながら、この分野については、専門的にもかなりいろいろ議論しておかないといけないという気がしています。

そのために、消費者委員会としても、喫緊の課題を観察することも必要ですし、また、中長期的に見て必要な調査・分析を進めておくことも必要ではないかと思います。

例えば、AI等の活用がここに挙げられていますけれども、前期の消費者委員会では、消費者の支払い能力等を事業者がAIを使って分析することが問題になっていました。今後このような形で、事業者がAIを使って消費者の行動等を分析して取引するかどうかを決めるなど、あるいは取引の内容を決めるといったことが、ますます増える可能性があると思います。そういった事態にどう対応するかということが、1つ例として挙げられるかと思います。

他には、デジタル広告の問題もいろいろ、なお検討しなくてはいけないところがあると思います。以上のように、個人的には、コロナの問題と、デジタル化の問題には、是非取り組んでいただければと思っております。

(問) 運営のことなのですけれども、消費者委員会は、あえて軸足を消費者に置くという、そのことでスタートしたと、私は理解しておりました。それは、消費者庁も同じなのですけれども、3つある役割がこれまでずっとあって、それは消費者庁及び消費者行政機関に対する消費者行政の推進ということ、あと、消費者行政の監視ということですね。もう一つが消費者の意見を施策に反映させるということ、そういう努力をするということ。

この中で、消費者が一番期待されてきたのは、消費者行政の監視だと、私は思っていまして、その監視ということが、どういう形で、推進と監視が矛盾しているのではないかという議論がずっとあって、だけれども、監視はどうしたらということになってくると、法律の中にある建議を1つの実績として見ていくということで、今回、第6次の場合は、建議は1件だったのですけれども、今年の初めに出た電子の件ですね。

お聞きしたかったのは、法律の中で消費者委員会の立場として、独立して職権を担うという、この一文が入っておりました。だから消費者委員会の委員の方々は、とても権限があると私は思っておりまして、もう一つが、資料請求権を各省庁に提示して、その中で各省庁が隠している情報を権利として、消費者委員会が出させると、この出されたものを基にして建議を作っていくという、あえて言うならば、提言、意見など、そういうことではなくて、もっと一般には知られていない、そういう各省庁の消費者行政に関しての隠しごとを消費者委員会が入手できると、それを基に建議を出すと。

こういうことを消費者委員会が発足した当時から、多分、権限として与えられていて、それを実行するということで、消費者行政の監視や推進などということができると思ったのですが、これは、今次の消費者委員会の運営の教訓として、委員長が、1件という建議について、件数はないとは思うのですけれども、それを発動するに当たっての経緯と言いますか、そういうものも含めて監視について、今回の委員会の役割など、そういうのを、点数を御自分で付けるとしたら、どんな感じになるのでしょうか。そこをちょっとお聞きしたいなと思います。

(答) ありがとうございます。

建議は、確かに、今回の委員会においては1件であったという点は、御指摘のとおりです。

ただ、意見まで含めますと、それなりの数があります。建議のみならず、提言、意見まで含めますと、14件になります。諮問に応じた答申等をした件数が22件です。

第5次においては、建議、提言、意見等が27件ありました。諮問に応じた答申等は20件で、したがいまして、諮問に応じた答申等に関しては、今期とほぼ同じです。今期が22件、前期が20件で、建議、提言、意見等に関しては、今期が14件、前期が27件です。

念のため確認したのですが、前期の委員会において、意見等の数が多くなったのは、公共料金の関係の意見、電力料金に関する意見が非常に多かったようで、それを除くと、それほど変わらないかと思います。コロナ禍の問題があるので、その時期の活動の若干の遅れがあった感じはありますけれども、それ以上に仕事が少ないという感じではないと受け止めております。

建議と意見の区別は、慣習上やっているところがあり、実は、内部でも話はしたのですけれども、何か法的な裏付けがあって、そういう区別がされていて、明確にこの両者が区別できるかというと、実はそうでもないところがあります。以上が、数に関するお答えです。

質的な問題に関して申しますと、消費者行政において、いろいろな省庁との協力関係が求められるものが多くなっていると感じています。特にデジタル分野です。消費者行政に固有の視点が明確にあって、それがほかの行政上の目的等と対立的な関係にあって、他の行政機関が何か隠しているものを暴くという形のことも、なおあり得るのですけれども、全体としては、それぞれの行政機関が協力して施策を打っていかなくてはいけないテーマが非常に多くなっています。なかなか対立的なやり方では解決しない、難しいテーマが増えているという印象はあります。

先ほどのデジタル化の問題に関しては、関係行政機関等との連携関係をうまく作っていくことが、まず必要という気がしています。そういう意味では、監視という場合も、トップダウン的なやり方あるいは意識での監視が、テーマによってはかなり難しくなっているという印象を持ちます。

監視機能という場合のやり方について、今後考えていかなくてはいけない、あるいはどういう意識でやっていくべきかを考えていかなくてはいけないという印象を持っています。

どうも2年間にわたりまして、ありがとうございました。今後とも消費者委員会を、引き続き、よろしくお願います。

どうもありがとうございました。

(以上)