山本消費者委員会委員長 記者会見

2020年12月3日
消費者委員会

日時

2020年12月3日(木)12:00~12:27

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

○山本委員長 本日、私からの報告事項は2件です。

最初の報告事項ですけれども、本日の本会議におきまして取りまとめたフィッシング問題への取組に関する意見についてです。

お手元に資料をお配りしておりますけれども、以下、概略を簡単に述べさせていただきます。

まず「第1 背景」ですけれども、フィッシングメールの報告件数及びフィッシングに関連すると思われる相談件数が近年増加しているとともに、フィッシングに起因すると思われるインターネットバンキングに係る不正送金事犯も増加傾向にあります。当委員会としては、このような増加傾向を踏まえまして、消費者の安全・安心を守る観点から、本件問題に係る取組を一層促進するため、今般、警察庁、総務省、経済産業省及び消費者庁に対しまして本意見を発出するに至りました。

「第2 意見」ですけれども、各省庁におきまして取り組んでいただきたい事項を挙げておりまして、まず総務省に対してフィッシングメールの受信防止対策の普及促進及び効果検証を求めています。具体的には、フィッシング対策にも有効な技術的対策の一つである送信ドメイン認証技術の普及促進及び迷惑メールフィルターの啓発強化です。また、これらを実施した上で、技術的対策の適時適切な効果検証を行い、必要に応じて普及方法等を改善していただくことを求めております。

また、警察庁に対しましては、不正アクセス禁止法違反、インターネットバンキングに係る不正送金事犯等の取締りの強化を求めております。

さらに、警察庁、総務省、経済産業省、消費者庁に対しましては、必要に応じて連携をしながら、消費者への注意喚起や消費者が行うべき対策に係る周知啓発の強化を行い、その効果検証も行っていただきたいということ。

それから、関係機関や民間団体等とも緊密に連携をしながら、より一層取組を推進していただきたいということを求めております。

なお、消費者の皆様におかれましても、これは消費者委員会からのメッセージでございますが、フィッシングによる被害の防止のため、御自身で対策を講じていただきたいということで、具体的には、例えば不審なメールは開封しないということ、不審なメールに記載されているURLやリンクはクリックしないで正規サイトまたは正規のアプリからアクセスすること、不審なサイト上でログインIDやパスワード等を入力しないということ、フィッシングの被害に遭った場合には直ちに銀行やクレジットカード会社に連絡し手続を行うこと、それから、消費者ホットライン「188」、警察相談電話「♯9110」、最寄りの警察署、警察のサイバー犯罪窓口等に相談、通報することを心掛けていただきたいと思います。

報道各社におかれましては、消費者への注意喚起や周知啓発が被害を防止するための重要な柱の一つですので、積極的な周知の御協力をお願いしたいと思います。

当委員会といたしましても、引き続き今後の状況を注視し、必要に応じて更に調査審議を行ってまいりたいと思います。

次の報告事項ですけれども、消費者委員会では消費者基本計画工程表の改定に向けまして10月末から関係省庁に対してヒアリングを行ってまいりました。

ヒアリングの観点は2つございまして、1つはコロナ禍等緊急事態下で生じた消費者問題について。もう一つが、持続可能な消費社会の形成に資する消費者と事業者との連携協同の観点から、消費者志向経営についてヒアリングを行っております。

このコロナ禍等緊急事態下で生じた消費者問題につきましては、先ほど申し上げたフィッシング問題。それから、これは本日の本会議でヒアリングを行ったところですけれども、いわゆる便乗商法。それから、前々回ですかね。ヒアリングを行いましたが、外出自粛が求められた中での相談体制、あるいは見守りの在り方等についてヒアリングを行ってまいりました。

特にフィッシング問題に関しては、非常に被害と申しますか相談件数等が急増しているため、特にその中から取り出して意見を出したのですけれども、この問題に限らず、パソコン、スマートフォンを利用する機会がより増えている。それから、いろいろな手口が現れていますので、いわゆるデジタル化の影の部分についてしっかりと取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。こういういわゆる影の部分に対策を打っていかないと、デジタル化が推進されないと思いますので、その点にしっかりと留意していきたいと思います。

消費者委員会としてはヒアリングの結果を踏まえまして、基本計画工程表の改定に向けて年内に意見をまとめていきたいと考えております。

私からは以上です。

質疑応答

(問) 3ページに消費者へのメッセージということで、先ほど御説明がありました。ここで行政機関に対して消費者側の対策に係る周知徹底の強化ということを求められていると思うのですけれども、この中で、「個々の消費者に伝わるように」という部分なのですが、一人一人の消費者に伝わるようにというところとの関連で、マル4の下にある「周知啓発をするに当たっては、相談し得る窓口が複数にわたる現状を踏まえ、消費者が第一次的にどこに相談すればよいのかを直ちに判断し得るようにするための方策等を検討」というところの関係なのですけれども、例えば188があったり♯9110があったりという現状に対して、消費者委員会として一次的にどこに相談するかとかをまとめるべきだとお考えなのか、それとも、現状に対して、もう少し各省庁に対して相談窓口をはっきりしてということなのか、そこのところをお願いします。

(答) 一つには、それぞれの相談窓口でどのような事案を受け付けるかをはっきりとしていただくということがあろうかと思います。とはいえ、完全に一元的に窓口を統一できるかと申しますと、なかなか難しいだろうと思います。むしろ複数いろいろなチャネルがあったほうが消費者の側も相談、通報がしやすいということもありますので、情報の共有と連携という方法で各関係省庁の間で取り組んでいただく部分もあるのではないかと思います。

(問) もう一点すみません。

これは意見ということですよね。

(答) 意見です。

(問) そうすると、行政に対する意見に対してのフォローアップというものは毎回やっていると思いますけれども、これの期限を区切ることはありますか。

(答) 特に期限は区切っていないです。ただ、今後の動向を見て施策の効果があったかどうか、それから、どのような対策をしていただいたかというところは委員会として注視していくことになろうかと思います。具体的な期限を切ることまではしておりません。

(問) 基本計画から特出ししてという対応をされているということですが、今回みたいなフィッシングに限らず、デジタルの問題は喫緊の課題でたくさんあるかと思うのですけれども、今のところは、今年中に基本計画の意見をまとめるので、また更に何か別のテーマをというのはなかなか難しい状況だとは思いますが、随時こういう意見としてまとめていくということは引き続き検討はされていかれるのでしょうか。

(答) ありがとうございます。

デジタル化の問題は非常に多岐にわたっておりまして、全体を見る必要もあるかとは思うのですけれども、今回のように、特に実態として非常に被害が増えているという状態が生じた場合には、委員会として適時に迅速に対応していく必要があると思いますので、今後もこのような形で問題が非常にはっきりと表れるということがありましたら、今回のように対応することも検討したいと思います。

(問) 先日の総務省の勧告のことです。消費者庁、厚生労働省に対する安全問題の分野の勧告なのですが、これは、以前消費者委員会は、保育施設だったかちょっとはっきりしませんが、安全性に関する重大事項について通知されていない、要するに目詰まりがあるということを調査結果でまとめられて改善を提案していたと思います。

今回、医業のサービスなのですけれども、消費者安全法に対する通知制度の周知徹底ということと、通知制度の仕組み、運用に当たっての改善措置を検討するということの2点が確か勧告されていました。これは消費者庁に対してですけれども、消費者委員会がずっと指摘してきたことでもあるような気がしまして、今回の総務省の勧告について、前に消費者委員会が指摘したのは保育施設ですけれども、それ以外にも何かあったような気がします。ただ、今回の医業も含めて、これだけではないような気がしますので、委員長、委員会としての受け止めをお願いいたします。

(答) ありがとうございます。

今御指摘がございましたように、総務省が公表しております報告書によりますと、具体的に書かれていますが、保健所、警察機関及び消防機関が受け付けた健康被害情報を含む苦情、相談、救急搬送を通じて得られた情報が消費者庁に通知されておらず、こういう現状に対して、消費者庁は都道府県等に対して通知制度の意義等について改めて周知徹底するということ。それから、既存の通知制度の枠組みの見直しを含めて、それを的確に運用するための取組方法について検討することを求めております。

今、正に御指摘がありましたように、消費者委員会もこれまで教育・保育施設に関する指摘をしてまいりましたし、それから、事故情報一般といいますか、むしろデータバンクに関わる問題でしたが、事故情報の活用に向けた提言も行っております。これは私が座長を務めてまとめたものですけれども、そういうものもありますし、たびたび申し上げてきたことです。

更に遡りますと、行政機関の間の情報の共有、連携が必ずしも十分にできていないのではないかという問題は正に消費者庁、消費者委員会を作るときの大きな問題意識でした。その意味で、今回このような勧告が出たことに関しては、消費者庁及び関係行政機関において真摯に受け止めていただかなくてはいけないと思います。

いろいろな問題があると思います。情報の共有の意義が関係行政機関間で十分に意識されていないのではないか。それは、情報共有にどういう効果があるか、意義があるかということがはっきりと目に見える形になっていないのではないかといった問題、あるいは、具体的にそれぞれの行政機関において業務フロー、事務を行う場合のフローがありますが、その中にうまく通知等が組み込まれるようになっていないのではないか、その意味で、具体的な現場の業務のやり方等をうまくすり合わせていかないといけないのではないかなど、いろいろな問題があろうかと思います。そして、技術的に対応ができる部分と、それから、制度の在り方、あるいは運用の在り方に踏み込んで考えないといけない部分があろうかと思います。

これはずっと言われてきたことですので、是非この機会に真摯に受け止めて取り組んでいただきたいと消費者委員会として考えております。

(問) 本日の委員会で取り上げられていたコロナ禍での対策のことでお伺いしたいのですけれども、感染症が広がり始めて間もなく1年が経とうとしているわけですが、今日の委員会でも数々の消費者庁や警察庁の対応について委員の方からも御意見が出ていましたけれども、まだ引き続き多分ヒアリングを踏まえての検証はしないといけないのかなと感じているのですが、今、委員長はコロナ対策というテーマについては委員会としてどういった議論をしていきたいとお考えでしょうか。

(答) ありがとうございます。

非常に問題が多岐にわたっていて、関係行政機関も多岐にわたっているということがあります。それから、正にまだ現在進行中の問題ですので、今後もこのような形で随時ヒアリング等していきたいと思いますし、場合によってはフィッシングの問題のように意見の発出といったことも考えられるのではないかと思います。

現時点で具体的に何についてというところまで決め切っているわけではございませんけれども、これは引き続きのテーマであると思っております。

(問) ちょっと追加になるかもしれませんが、その点で言うと、いわゆるキャンセルの問題などは、恐らくこの前立ち上がった分科会の中などでも取り上げられるテーマなのではないかなどと思ってはいるのですけれども、今回は対策というところでそういったキャンセルの問題はあまり取り扱われていなかったような印象があるのですが、Go ToトラベルやGo To Eatというものが今かなり話題になっている中で、消費者トラブルとしてのキャンセル問題の取扱いというのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

(答) これは消費者庁で、消費者契約法との関係で検討を開始しているところです。これは現実にたくさん起こっている問題であり、また、恐らく法律上もなかなか難しい問題ですけれども、消費者庁でも取り組んでいただいておりますし、また、消費者委員会でもこの点は消費者問題でもありますので、やはり注視して必要に応じて審議、調査を行っていく必要があると思っております。

(問) 関連になるかと思います。コロナのことなのですけれども、消費者委員会でも相談体制や見守りの在り方など、重大事態についてどうするか検討されたということを先ほどおっしゃいました。

私は今が重大事態ではないかと思っていまして、移動や触れ合い、つながり、連携であるとかという日常生活の前提が壊れている中で、それでまた制限を、これからの冬の季節、もっともっと感染者が増えてきたときにということを考えると、見守りということが、ちょうど消費者委員会で20年後の地方消費者行政の在り方ということを検討された結果を報告されましたが、その中で消費者問題対策ネットワークというものを作るべきだということで、重大事態に対しては消費者保護、消費者の利益の保護を図るためにどうしたらいいかということが書いてありました。見守りとかそういうことを継続的に実施する運営の計画書を作るであるとかということもあって、つまり、今のように対面ができていないという状況の中で、いかに高齢者、障害者に対して適切な情報が届けられるかということになってくると、先ほど言ったようにデジタルであるとか何かになってくるのでしょうけれども、それはほとんどの高齢者に対しては効果がどうなのかということがあります。

となると、本当の意味での重大事態の対応として、対面ができないような状況の中でどういうふうに情報提供をするのかということを考えると、消費者委員会が出された報告書の中の部分というのは提案できるのではないかと思ったのですが、これについてはどうでしょうか。消費者委員会の検討中のヒアリングも見ていないので、すみません。

(答) 現在このように対面が非常に難しいと申しますか、制限された状況において見守りがどのように行われているかということについては、前々回の委員会でヒアリングを行ったところです。いろいろな工夫をされているということですけれども、どうしても対面での接触が制限されますと、それだけではなかなかうまくいかないということがあります。

デジタル化が一つのポイントではないかと思うのですけれども、いろいろな問題がデジタル化によって生じ、それに対する対策を打っていかなくてはいけないということがあり、他方では、見守り等をするときにデジタル技術をいろいろな場面でもっと使えるということがあろうかと思います。

ですから、見守りとデジタル化との関係について今後もっと考えていかなくてはいけないと思いますし、必要な予算的な手当等についても本来考えていかなくてはいけない問題ではないかと思います。

それから、今お話がありましたように、なかなかデジタル技術にアクセスできない高齢者等に対する手当の部分、デジタル技術へのアクセスを十分保障していく必要があるということと、見守りについて正に技術の力を使っていくということがあろうかと思います。今回はこのような緊急事態で目前の状況をどうするかという問題もあるのですけれども、中長期的に見てそのようなことを考えていく機会でもありますので、その点は消費者委員会としても今後見ていきたいと考えております。

(問) 長くなってしまってすみません。

意見っぽい形になってしまって大変恐縮なのですけれども、先ほどのキャンセルの関係で、まさかこんなに続くとは誰しもが思っていなかったとは思うのですが、特に新年度に向けてまた大学だったりいわゆる会社がスタートしたりということで、去年の春の教訓というものを糧に取るべき対策は多いような気がします。

もう一点、一応予定されているオリンピックの開催ということを考えますと、去年は延期ということでホテルのお金が五輪値段になっていたのがどうなるんだということでかなりトラブルになったということも事実あったと聞いていますので、開催するにせよ、また新しい形になることは確実かなと思っておりますので、また想定されていないトラブルが起こり得るのではないかということも考えると、早め早めに消費者を守るための約款だったり契約だったりというものをこの時点から準備していかなければいけないのではないかというような気もします。ただ、そのときに恐らく事業者側には何をモデルにすればいいんだという困惑の状況が既に想定されているのかなとは思うので、緊急事態が続いているのはもっともだとは思うのですけれども、今のうちから対応できる情報発信などを消費者委員会から発信していただければいいなと思っておりますので、是非御検討いただければと思います。

意見みたいになってしまってすみません。

(答) 大変貴重な御意見だと思いますので、消費者委員会として引き続きこの点は検討していきたいと思います。

(以上)