高消費者委員会委員長 記者会見

2019年4月18日
消費者委員会

日時

2019年4月18日(木)17:00~17:40

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) 御出席、ありがとうございます。

私からは、報告事項は1件でございます。

インターネット上のショッピングモール、オークション・フリマ、シェアリングエコノミーなどのプラットフォームが介在する取引が拡大しており、一方で、消費者トラブルも発生しております。

しかしながら、このような取引に関わる財・サービス提供者、購入・利用者、プラットフォーム事業者などが、それぞれどのような責任や役割を担うべきかが必ずしも明確にされておりません。

このため、昨年5月から、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会において、マル1プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者の消費者保護に向けた取組、マル2プラットフォームが介在する取引に関わる現行の規定、マル3海外の動向、マル4プラットフォームが介在する取引に関わる各主体が担うべき役割などについて、調査審議を行ってまいりました。

本日、消費者委員会は、同専門調査会からオンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書の提出を受け、さらに、これを踏まえ、消費者委員会として「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」を取りまとめました。

この提言においては、マル1「プラットフォーム事業者の役割」として、規模、仕組み、取引商品などに応じ、全てのプラットフォーム事業者において、財・サービス提供者に関わる審査の実施や、分かりやすい財・サービスに関わる表示を行うための仕組みの提供などを期待しております。

マル2「C to C取引における消費者としてのプラットフォーム利用者の役割」として、提供者は、取引に参加する上で提供しようとする商品等に関連する法令等を確認しそれを遵守することが求められることや、他方、購入・利用者は、規約を適切に確認した上でプラットフォームを利用することが重要であることなどを指摘しております。

マル3「行政機関の役割」として、消費者トラブルが生じやすい事項についての情報提供や、関連する法令、ガイドラインの見直しを検討することが考えられることなどを指摘しております。

マル4「国民生活センター、消費生活センター、消費者団体の役割」として、C to C取引であっても、消費生活相談員は、プラットフォーム事業者と消費者の間に立ち、苦情相談に応じ苦情処理のためのあっせんなどを行うことが可能であることを指摘しております。

マル5、さらに、消費者保護の観点から今後取り上げるべき重要な論点を「今後の課題」とし、利用者の情報の取り扱いに関する透明性、SNSなどにおけるパーソナルデータの取扱いに関わる課題、法の適用に関する海外事業者への対応などについて指摘しております。

以上の提言を受け、関係行政機関においてプラットフォームが介在する取引に関わる各主体や関係機関が、相応の役割を担うことが促進されるよう、取組を進めていただくことを求めたいと思っております。また、これらに関するルール整備の検討に当たっては、本提言内容を踏まえた形で議論が深められ、それぞれの他省庁の話ですけれども、その施策に反映されることを期待したいと思っております。

本日は、報告書の取りまとめに御尽力いただきました中田座長にも同席していただいておりますので、御質問は私と中田座長でお受けしたいと思います。

以上です。

(オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 内容について少しだけですが、私からも補足の説明をいたします。

私は中田と申します。今回、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会で座長を務めさせていただきました。

昨年5月以来、14回の会合を重ねまして、先月、3月26日の会合におきまして、報告書を取りまとめたところです。その取りまとめに当たっての考え方を、私からも簡単に御説明させていただきたいと思います。

インターネット上のショッピングモールやマッチングサイト等、プラットフォームが介在する取引は拡大というか、経済活動としても非常に大きな注目を集めています。他方で、それをめぐる消費者トラブルも生じていることも事実でございます。その上で、こうしたプラットフォーム上の取引を消費者保護の観点から健全なものとすることが、我が国のデジタル経済の一層の発展に資するものであると考えて報告書をまとめております。

御存じのように、オンラインによるプラットフォーム取引自体はこれまでも存在していたわけですが、新たな特徴として指摘できる点についていえば、プラットフォームが介在するC to C型の取引市場が、例えば、近時のスマートフォンの普及率の高まりで、これまでの顧客とは異なった層の消費者が参加するマーケットとして登場、成長しております。そのことで、今までのインターネットオークションに加えて、新たなサービスとしてのフリマアプリによる取引やシェアリングエコノミーのような取引が飛躍的に増大しているということがございます。

報告書では、こうした状況を前提としながら、プラットフォームが介在する取引について、いわゆるB to C型とC to C型において、現状においてどのような消費者問題が存在し、そこではどのように消費者が保護されているのか、また、保護すべきなのかといった問題についての議論を取りまとめてきました。

プラットフォームが介在する取引については、これまで十分な検討がなされてきたかと言われますと、十分ではなかった点もありまして、今回の報告書では様々な分野の専門委員に御参加いただきまして、それぞれの知見を生かしながら、多面的に、実務的な観点、また学術的、理論的な観点から議論をしております。

そこでは、新たに生じた消費者問題に対して、プラットフォーム事業者や個別の取引を行う事業者が、消費者との対話の中で積極的にその解決に取り組んできているといったことも報告させていただいております。

他方で、情報通信技術の高度化やその飛躍的な進歩によって、これまでの市場の在り方や取引ルールだけでは消費者トラブルがうまく解決できていないのではないかという点や、そういった紛争の解決のためには、それに適合的な制度枠組みが必要ではないかということも指摘させていただいております。

さらにプラットフォームが国境を越えて、グローバルに展開しているという観点から、専門調査会として、国際取引の問題点を指摘し、EUやEU諸国での立法化に向けた動き、あるいは、中国、韓国といった近隣国での立法動向を知るために、外国の専門家との対話を通じた比較法的な調査も積極的に行っています。それらは、報告書に反映されているところです。

今回の報告書の提言内容の重点は、プラットフォーム取引の現状把握とそれに関する消費者トラブルの解決方法の提示というところにあります。

したがって、直接的に立法作業に結び付くということを意図したものではありませんが、今後の立法作業の必要性を議論するときにも参考になるようなことが含まれていると思います。

以上、私からの概要の説明ということでお話しさせていただきました。

質疑応答

(問) プラットフォーム事業者の役割のところだったのですけれども、報告書のたてつけでは、基本的に各事業者の取組事例を書かれて、このような取組をやってくださいというところだったと思うのですけれども、今回、消費者委員会の提言としては、ここに役割としてこれを並べたというのは、ここに書かれていることぐらいは少なくともやってくださいという理解をして良いものなのでしょうか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) それでは、私からお答えさせていただきます。もちろんプラットフォーム事業者というのは、業者によってその規模が違いますし、いろいろな取引分野がありますので、全部やらなければいけないということではないことを前提としながら、それでもこれぐらいはやってもらわないと困るという観点から書かせていただいています。

それは、今後、しっかりとした自主的な取組をやっていただくということを前提にしながら、もしそれができないような場合には、それを実効化するための施策も考えなければいけないということも含んでいるとの理解で考えていただければありがたいと思います。

(問) まず、前段階で事業者の自発的な取組をしてくれと、ここに書かれているぐらいのことはせめてやってくれと、それができないのだったらさらにもう一歩踏み込んでやるべきだということですか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) その可能性があると見ていただいて良いのではないかと思います。

(問) ありがとうございます。

(問) 韓国や中国などの海外の方を招いたヒアリングでも大変期待をさせていただいていたのですが、出てきたものが役割を列挙している。ここにかなり踏み込んで、要するに、マッチング機能、この人たちがいないとこれは利用できないわけですし、この人たちは、手数料も広告収入なども得ていて、自分たちがその情報を得て販売もすることもできる。では、本当にあなたたちに責任はないのですかと消費者委員会が踏み込んでくださるものと期待していたのですが、このような役割列挙にとどまったのはなぜですか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) まず、プラットフォーム取引というものをどういうふうに考えるかということが今回の委員会の重要な課題であるということで、先ほど概要の説明のところでも申し上げましたが、いろいろな実情をまずは知ることが分析の前提でありまして、それで幾つかヒアリングをさせていただきましたし、消費者トラブルの内容も明らかにしたところでございます。

もちろん、海外の事例、立法例も紹介させていただきましたが、それぞれ国によって事情も異なるので、それを日本の状況の中に引き直して立法せよということには直ちにはならない、もう少しそこは慎重に考えるべきであろうということが言えると思います。

そうだとすると、具体的に事業者が何をやっているかということを把握する。形成されて創り上げている市場の中のルールとして妥当性があるルールであれば、それを場合によっては法律にしていくということもあるだろうと思います。

自主的な取組をして、それによって問題を解決するということをやっておられるのであれば、それはどういうものなのかをしっかり把握しておくということが大事だろうと思います。

それが他の事業者、プラットフォーム事業者も、それをやっていくことができるのであれば、それに委ねることも、市場の、あるいは取引の柔軟性を確保する上で、それが必要であれば、そういう形での展開もあるだろうと思いますが、ただ、それが十分でないという判断をどこかですれば、また違う対応がありうると思われます。

そういう意味では、プロセスという形で考えていただいて、今回の報告書は中間的な側面も持っていると私自身は考えています。

(答) 座長を擁護させていただきます。

私は、大変な一歩だったと思っております。単なる役割だけで十分なものではないという御指摘がありましたけれども、この報告書をしっかり読んでいただきますと、まず、既存の法律でどこまでカバーできるのか、できないものは何なのかということも明確にしていただきました。これを明確にしていただいたということは、当然、抜けているところについては、今後、考えていかなければいけないということを明確にしたということです。

先ほど、自主規制でもって、自分たちの自主的な取組でもって、これができなかったら規制を強化するのですか、法律を考えるのですかという話がありましたけれども、それもありますが、それと同時に、自主規制をやっていただくことで、各社がさらに体制を整え、いざこれを立法化する段階になった時には、事業者側も業界の利益を考え、歓迎するようになると思っております。もちろんそんなに手続きを踏まなくても良いのではないかと言われるかもしれませんけれども、いろいろなレベルの事業者がいるわけです。まず、自主規制のレベルで大手が着実に実行できるようになれば、次の段階として、業界全体に適用するということになるかと思います。先ほど特別法という言い方をしましたけれども、そういった法律の立法化ということも考えられるようになると思います。その意味で、私は、かなり大きな一歩だったと感じております。

それと同時に、他省庁の委員会等でプラットフォームの議論が進んでいますね。そこともやりとりをしながら、全体として規律を考えていかなければなりません。そもそも取引のパターンそのものがまだ揺らいでいる中で、当委員会として、こうすべきというのは時期尚早です。他のところにおける議論を見ながら、競争法の関係もありますし、個人情報保護の関係もありますし、それらを見ながら次に進んでいくべきと思っております。

(問) 検討会でのやりとりを拝見していて、最後のときも3時間予定が5時間予定になり、事業者委員の言われるままに後退していったという状況を私は拝見していて、各個別事案の原因を調査・確認することができない、各事例を十分に分析していない、比較検討ができていないとか、いろいろなことを事業者に言われて、契約法や特商法のときにも同じことを言われて、何で今回もPIO‐NETの情報が使えなかったのかと。3人の委員が出したトラブル事例でしか検討ができなかった。もともとPIO‐NETの中にプラットフォーム事業者という事業者名が入ってないということはあるかもしれないけれども、別件というのですかね、個別で検討すれば出てこないことはないのではないかという方たちもいて、あれほどいろいろな経緯があって、そのPIO‐NETの情報の収集や事例の収集の仕方をまず見直さなければいけないという指摘があって、全く何もしないまま丸腰で闘ってしまったというか、闘ったというのはちょっと申し訳ないのですけれども、何の準備もしないままに大きなところにチャレンジをして、結局、経産省ですら自主基準で駄目だったら法規制をしろと報告書で書いているのに、消費者委員会でなぜそれも書けなかったのかと。

最終的に、最後の最後に、法規制の部分と自主規制の部分が最後に入れ替えられてしまって、順番も変わってしまったと。その辺りについて、もうちょっと準備をするとか、こちら側で、PIO-NETの情報収集の仕方とか、戦略的なものをもうちょっと考えないといけなかったのではないかと私は見ているのですが、いかがでしょうか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 私から、ちゃんとした答えになるのかどうか分からないですが、座長として感じていることですが、御質問の最初に言われたような、後退したという意識は全くありません。

PIO-NETの情報を使ったかどうかというのは余り重要なところではないと私は思っていて、実際にトラブル事例は報告を受けておりますので、資料に基づいて話をさせていただいていますので、実際の消費者トラブルは取り上げてきました。

ただ、その取り上げ方という点では、様々な観点からの分析はできるということは事実でありまして、その点では、専門委員の中から、これはこのような問題として整理すべきではないかという御意見をいただきましたので、それはそういう形で考えることもできると思いましたので、いろいろな形で整理はさせていただきました。ですから、その点では言われたことは必ずしも当たっていないと私は思います。

法規制については、この専門調査会の目的はとにかく現状をきちんと把握することでございまして、その把握にとって必要な情報を集めることでございます。ですから、その法律の適用について、問題点があれば、先ほど御指摘させていただいたように、しっかりと問題点を取り上げて明確化したという点が重要です。そこは、戦略ということではないのですけれども、十分に問題分析をしたのではないかと思います。

そういったことを確認していくことが、消費者の保護、更には健全な市場を確立するということに必要なものとなるのではないかと思っています。御質問と議論がすれ違ったかもしれませんが、今のところはそういうふうに考えております。

(問) 済みません。もう一点だけ、教えてください。すごく書きにくくて、実際、書けていないのですが、自主的取組を挙げていて、ソフトロー的な取組とか、共同規制という表現されているのですが、これが具体的にどういうものか、どういうものを想定されているのかというのが分からない。分からないのでさらに書きにくいというところがあって、この辺りを少し教えていただけますでしょうか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 共同規制という言葉は、報告書の中で書いてありますが、法律を前提にしながら、そして、その枠の中で自主的な規制をしてもらうこともその中に入っているものです。ソフトローというのは、自主的なルールです。基本的には自主的なルールということもありますし、あるいは、例えば、商取引についての準則が出ています。あれも法律ではないわけです。ガイドラインのようなものですね。それを基準にしながら展開してもらうということも十分に考えられると思います。

なぜそういうふうにしているかというと、先ほど御説明があったように、このプラットフォームは多様な取引市場であって、一概に一つのルールで全て解決できるかというと、そうでもないところがあります。ですから、今、議論しているのは、何が基本的なルールとして必要なのかということを明確にしていくということにつながるようなことを調査し、そこで分析をしているということではないかと思います。

ですから、言われているような、政策的な提言になぜ至らないのかと言われると、それを目的とは、今の時点ではしていなかったということになります。

ただ、問題点はしっかりと指摘させていただいていますし、法律的な整備が必要なところについても、報告書の中にはそこが含まれているのではないかと思います。

(問) 法律を前提にしながらというのは、努力義務規定か何かを入れて自主ガイドラインか何かを策定するというイメージですか。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 必ずしもそうではなくて、例えば、特商法に規定がありますよね。だとすると、例えば、その特商法の規定をC to Cのような場面でも適用することができるか、オンラインプラットフォームが介在するようなC to Cにも適用できるかという問題としてあらわれてくるわけですね。ですから、一例ですが、そういった形での処理も十分に視野の中に入ると考えています。

(問) 長くなって済みません。

(答) 報告書を読ませていただいた上での感想を申し上げて良いですか。

自主規制とはどんなことなのかということですけれども、皆様方に、このサマリーはあるのでしょうか。

(問) 自主規制と共同規制のところについて伺いたい。

(答) 共同規制、11ページのところに、これはプラットフォーム事業者に求める役割、言い方は多分「責任」と言ったほうが良いのかもしれませんけれども、こういったものが記載されています。事業者団体みたいなものを作るのか、緩いネットワークにするのか分かりませんけれども、例えば、2番目の「各種取組に関する消費者への情報提供」、相談窓口を設置しているかどうかとか、こういったものも開示していきましょうと書いております。基本的に、そこに参加された事業者の中には、余り前向きでない事業者もいたのかもしれませんけれども、業界として、ここまでだったら受け入れられるとしたわけです。さらに、7番目のところもそうです。「消費者トラブルへの対応と消費生活センターとの連携」を図るとか、少なくとも大手はこのような方向でやっていこうということで合意できたわけです。これを共同規制というのか自主規制というのか分かりませんけれども、これらの事項を、業界として自主的に取り組もうということになったわけですから、ある意味、その実践を宣言したと理解して良いのではないかと思います。

もちろん、先ほど言いましたように、こんな取組は全く進まないということであれば、しかもトラブルが依然として多いということであれば、次の一手を考えることになると思います。

(問) やってくれる事業者がやってくれるのは良いのですけれども、やってくれない事業者をどうするかという話だと思うので、その辺りが何も見えないと思っているのです。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 必ずしもそうならないと私は思っていまして、こういった取組はあるということで、先ほど事務局からの情報提供で聞きましたが、いわゆる大手でないところもこういった形でのが取組あるということで、事業者も、その自分の事業を展開していく上で、消費者トラブルを抱えていると、前に進んでいかないことになります。これは現実だろうと思いますし、それでは市場も広がらないということになりますから、どうやって市場の拡大をしていくか、消費者を取り込んでいくか、対応していくかということが課題になっていると思います。事業者は、このようなことを参考にして、まず、取り組んでいただくことが第一ではないかと思います。報告書は、そのためのヒントを具体的な形で提示したということになると思います。

(問) 済みません。ちょっと重複してしまうかもしれないので、最初の質問と関連して、同じようなことをお聞きしてしまうのですけれども、プラットフォーム事業者の役割として、今日の委員会の提言には、内閣官房と経済産業省に向けてこれを伝えるのだということだと理解したのですけれども、経済産業省はプラットフォーム事業者の所管だと思うのです。そういうことで、ここに書いてあることは、全ての事業者でやってほしいということ、やってくれないと困るとさっき座長はおっしゃったのですけれども、やるべしということを経済産業省を通じて伝えていくというか、そういう理解でよろしいのですか。

(答) これは私が答えたほうが良いですね。

皆様方は、この提言書をお持ちなのですね。

プラットフォーム事業者については、先ほど言いました9つの役割です。実際に取組が進むように、それぞれの関係機関において措置を講じてほしいというのが一つ目。

もう一つは、それぞれの関係機関でもって、今、法制化の動きなど、いろいろな議論は進んでいますので、この考え方がそこにも反映されるように、施策を検討していただきたい、ルール形成を考えていただきたいという、ある意味でのキャッチボールをしながらやっていくということです。

我々が厳しい規制を導入すべき、法制化すべきだと主張すれば、恐らく、今、個人データの利活用を議論されているところでは、これに真っ向から反対されると思います。そうでしょう。競争法上、ある事業者が独占的に個人データを持つのではなくて、いろいろな人が使えるようにすべきだと考えているところでは、規制強化はあまり歓迎しないと思います。我々、消費者委員会として、個人データの利活用を促進すること、確かに消費者の利便性に資するところはありますが、それが正しい方向なのかというと、多分、すぐにはイエスと言える立場にないと思います。

ですから、とりあえず我々が提言しているような内容が、それぞれの関係機関で議論されるとき、矛盾のないような形で入れ込んでもらいたいということです。もう一つは、このような取組が促進されるような取組をしていただきたいという提言となっています。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 私の方から、少しだけ補足します。

考え方としては、これは考えたら市場のルールということでありまして、この市場のルールをしっかりと確立していくことが必要だということです。プラットフォーム取引が将来的に展開していく、それがデジタル経済を支えていく一つの大きな取引分野であると考えていまして、そうだとすると、そういったルールが基礎としてあるのであれば、事業者がきちんと守れるような制度枠組みを各省庁でも考えてもらわないと困るという意味を持っていると思います。

先ほども消費者委員会本会議のところでも出てきましたが、消費者を守るということが事業者を守ることにつながるのだという見方は我々のデジタル経済を発展させる重要なファクターであるということを考えていただきたい。そういう意味での消費者保護というのは、経済を守っていく重要なファクターであることを理解していただく一つの素材になるのではないかと、私の立場から補足させていただきます。

(問) その進むような措置をしてほしいという先ほどの委員長のお言葉なのですけれども、所管省庁であれば、例えば、総務省が通信事業者にガイドラインを作っていたように、法規制の前にガイドラインを作るということは、その省庁としてでき得ることではないかと思うのです。

そうなると、立法の枠組みなどではなく、最低限このぐらいはやってくれなければ困るとおっしゃるのであれば、何かガイドラインのような形で先に作るということは考えられたのではないかなと思うのですけれども。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 特商法とか、先ほど言った電子商取引の準則とか、そういったものは現在も存在しています。それも当然我々も念頭に置きながら考えていることを申し上げて、かつ、それが本当にそのままで良いかどうかを考えるための素材を現時点では提供しているというのが報告書です。先ほどから申し上げているように、これは中間的な意味を持っているというのは、正にその辺りのことを念頭に置いているということです。

(問) 総務省のガイドラインと申し上げたのは、この一連の話とは別に、通信事業者が守るべきということでガイドラインというものを作っているケースがほかにあるので、同じように考えて、プラットフォーム事業者のガイドラインを先に緩いものであっても作るということは考えられるのではないかという意味でした。済みません。

(問) 関連なのですけれども、提言なのですが、6機関に提言されたということで、対応については、何カ月後かに報告を求めるということだったと思うのですけれども、書いていなかったですか。1ページ、本提言の対応について期限はないのですね。

それで、提言なので、今の質問に関連して、これは、要するに、1、2、3と項目がある中に、括弧として各省庁の名前が書いてありますけれども、つまり、この各省庁に対して提言しているということと考えて良いのですよね。

そうすると、5ページのところのC to C取引というところで、消費者庁に対する提言になるわけだと思いますが、この提言というのは、要するに、2項目、提供者の役割と個人・利用者の役割と書いてあります。この提言というのは、要するに、消費者庁に対してこのことを周知するように提言しているということで理解して良いのですか。ある種、当たり前のことなので、これに対してどうしたかということを報告を求めることになるかと思うのですけれども。

(答) 先生、後でちょっと補ってください。この5ページのところの提言内容は、提供者、利用者・購入者側に対しての役割が、それぞれの役割が議論の中で十分に周知されていなかったということでしょう。だから、改めてそれを周知すべきであるという内容になっています。

(問) そうですか。つまり、それを消費者庁に提言しているということですね。消費者庁がそうするようにということで。

(答) 何らかの形で政策に反映させてもらいたいと。我々とすれば、その取組が進むかどうかということを注視していくということです。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 場合によっては、特商法の改正とか、あるいは消費者契約法の適用の問題にもつながりますので、ここでは消費者庁に対して十分に利用者である消費者が保護されているかということをきちんと確認すべきであるという意味での提言内容になっていると思います。

(問) もう一点なのですが、7ページなのですけれども、ここでは前の6ページから関連する法令の見直しとあるのですが、7ページのオークションの出品者の表示義務ということで、法第11条と書いてあるわけですが、この法律とは何の法律ですか。オークションの出品者の表示義務というところで、法第11条5号、施行規則第8条第1号と書いてある部分が括弧の中に入っています。この法律というのは。

(答・事務局) 特商法です。

(答・オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 中田座長) 特商法ですね。

(問) 預託法の件なのですが、消費者委員会は意見を出してくださるという方向で検討してくださっているということなのですが、いつごろにどのような感じの内容になるのでしょうか。

(答) 遅れておりますけれども、鋭意取り組んでおりまして、建議という形で出すつもりでおります。

(問) 私、WILLの取材をしておりまして、ジャパンライフと全く同じような手口で、テレビ電話のレンタルオーナー商法が展開されているのですけれども、連鎖販売取引で業務停止命令がかかった後も、消費者庁は、要するに、日本のクレジットカード分しか把握できていないので大丈夫だと言ってずっと対応していて、商品の解約をさせようと契約している人を説得しようとしても、大体上位の勧誘者たちにもう一回説得をし直されて解約されない。上位の勧誘者たちは、要するに、消費者庁よりも業者の言い分、会社の言い分を信じている。それがひっくり返らないという状況があるのと、あとは、訪販。今、できることとしては、訪問販売でもう一回業務停止命令をかけることぐらいしかできず、業務停止命令違反に刑事罰が入っていますが、現実的には機能していなくて、業者は警察が動くとは思っていないらしく、このような脱法行為がずっと繰り返されていて、名前だけを変えて同じような事業が繰り返されている。

新しく店舗で営業ができるように、本当に次々に店舗が拡大されている状況がありますので、そういうものを踏まえて、現実的に実効性がある、体制もそうなのですけれども、今、ここで言うのもあれなのですが、取引対策課の人員とか、そういうものも、今、余り公にしないほうが良いと思うのですが、その辺りなども全部考慮をいただいて、実効性があるようなもので建議をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

(答) 同じような気持ちで消費者委員会としてもやっておりまして、実効性のあるものを、出てきたものに対してどういう印象を持たれるか分かりませんけれども、相当のものが出てくると私は思っております。

(問) 急いでいただかないと、甚大な被害が拡大していますので。

(答) 仮に出してもそれで終わりではなくて、同じような問題が出てくれば、こちらも次々と法改正を求めるなどして、それに対処していきたいと思っております。さらに言えば警察も機動的に動けるような形にしていきたいとは思っています。もう少し時間をください。

(問) よろしくお願いします。

(答) 先ほど、この報告書の内容に関し、消費者の役割と消費者庁の対応について御指摘がありますが、報告書の主な論点は、やはり、プラットフォーム事業者にこのようなことをやってもらいたいというところにあると感じております。確かに、消費者の役割についても記載しておりますが、力点は、プラットフォームを設計・管理・運営している事業者の役割にあると思っております。この点、御理解いただければ、幸いです。

(問) こちらが気になったのは、この事例は特別法がない。それで、幾つかの法律があると。しかし、いろいろな形で被害というか、トラブルが出ていると。そうなると、当然ながら対応していくのは消費者庁ではないかなと思ったのです。つまり、横串をやるとか、それぞれの各法律の管轄の中で消費者庁が本当は一番動けるのではないかという感じでしたが、提言の内容を見たら括弧の中に各省庁がやるものが含まれているように読めるので、そうすると、本来、消費者委員会として提言を出すとしたら、消費者庁にもう少し、本来の総合的な一元的な損失の対応として、法的な制度も含めて、最後はルールづくりなどということが入るのかなと思っていて、それは消費者庁への提言が利用者の役割とか何とかとあったもので、消費者庁への提言としては小さいのではないかなという感じを受けたものでお聞きしたわけですが、今のお話で分かりました。

(以上)