高消費者委員会委員長 記者会見

2019年3月27日
消費者委員会

日時

2019年3月27日(水)17:10~17:34

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところ御出席、ありがとうございます。

私からの報告事項は1件でございます。

本日の本会議において、お手元の資料のとおり「消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見」を取りまとめました。当委員会では、昨年12月に消費者基本計画工程表の改定に向けた意見を公表しましたが、消費者庁を初めとする関係府省庁等では、その後、その意見も踏まえつつ工程表の検証・評価及び見直し作業を行い、取りまとめられた工程表の改定素案は、2月にパブリックコメントにかけられました。パブリックコメントにかけられた工程表の改定素案については、2月14日の委員会本会議でヒアリングを行ったところでございます。また、地方消費者行政の充実や適格消費者団体への支援の在り方、仮想通貨交換業者等への対応などについては個別に本会議でも扱ったところでございます。

今般の本意見については、このヒアリング結果や、これまでに当委員会にて行った建議・提言などを踏まえたものとなっております。以下、概略を簡単に述べさせていただきます。

第1の「全体的な事項」では、KPIや工程表の図の在り方について意見を述べております。

第2の「工程表への反映が必要な事項」では「成年年齢引下げ対応」「消費者契約法の見直し」「地方消費者行政への支援」「適格消費者団体等への支援」「公益通報者保護制度の見直し」「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応」「事故情報の収集、注意喚起など」「仮想通貨交換業者についての対応」、以上の8つのテーマを取り上げ、それぞれについて工程表に盛り込むべき事項を述べております。

第3の「次期基本計画に向けた課題」では、次期基本計画に向けて、検討すべき事項について意見を述べております。

最後、第4の「最近の被害実態等を踏まえた課題」では、最近の消費者被害実態等を踏まえ、検討すべき事項について、委員会の意見を述べております。

関係府省庁等におかれましては、意見の各事項について積極的に検討の上、可能な限り工程表の改定原案等に反映していただきたいと思っております。

以上でございます。

質疑応答

(問) ゲノム編集の食品の表示についてのお考えのところでちょっとお伺いをしたかったのですけれども、表示をどうするかというのも、なかなか難しい議論ではあるかと思うのです。消費者委員会として、例えば表示部会で議論をということになるのかどうなのか定かではないのですけれども、例えばこの専門調査会を先んじて設けてお話を進めるとか、そういったような考えは、今の時点で委員長にあられるものなのでしょうか。

(答) 特にそれは考えておりませんけれども、その可能性は否定はしません。

(問) 専門調査会でやる可能性をという意味。

(答) 否定はしませんけれども、表示の在り方については、基本的には消費者庁から諮問をいただいて答申する形をとることになると思います。今、御指摘があったような可能性は一切ないということではございません。

(問) 表示部会が、遺伝子組換えのことでもまだいろいろ議論が続いている中で、なかなかこれを同時に2つ下ろすのは難しいのかなと何となく思うところもありまして、その一方で、夏にももう食品としては出回るかもしれないと言われていて、消費者としてはすごく不安があるのかなと思っていて、そういった意味でも消費者委員会より先に専門調査会で議論をして、ある程度の方針を出すことも考えられなくはないのかなと、そういう意味で可能性を否定しないということなのでしょうか。

(答) 安全に関しては、これはとりあえず厚生労働省で食品衛生上の取扱いということで議論をしてもらう。ここで明確になった内容を踏まえて、消費者庁でどういう表示が好ましいのか、消費者の自主的・合理的な選択に資するためにはどうしたら良いのか、そういう議論が行われて、多分今までの流れでいくと、こちらに諮問が来て、それに意見を述べ、答申する流れになると思います。我々として、その安全性については、なかなかそこまでの理解もありませんので、厳しいかなと思います。

表示に関しては先ほど言いましたように、諮問を受けてからやるという流れに縛られるわけではございません。必要があれば、委員会として、食品部会としてやるかもしれません。

遺伝子組換えについては、これは既に3月13日のところで結論は出ています。皆さん御存じだと思います。基本的に諮問の内容について、委員会としては問題なしと考え、お返しする予定です。ただ、付言みたいなものをした上で、消費者委員会としてお返しをすることになると思います。これは、3月13日の会合があったときに委員の方々から意見が出ていたことを踏まえ、その発言内容を整理した上で、付言をして出すという意味です。

(問) ありがとうございます。

(問) 今の遺伝子組換えの食品の表示の件についてお伺いしたかったのですけれども、相当数いろいろな意見が部会で出ていたかと思うのです。付言の方向性というものが、もし今見えてきているようなものがあれば、教えてください。

(答) その内容に関しては、発言するわけにはいきません。部会長に一任された形で、今整理をしておられるところですので、そちらにお任せをしております。成案が得られましたら、必要な手続を経て、消費者委員会委員長名で答申するということです。内容については、済みませんけれども、遠慮させてください。

(問) 先ほどのゲノム編集の関連でお尋ねなのですけれども、食品表示基準をもし改正しないようなことになっても、諮問があって答申みたいな流れになると考えて良いのでしょうか。それとも諮問、答申という流れがないケースも想定としてはあり得るのでしょうか。

(答) 済みません。無責任なことは言えませんけれども、それは通常その流れでやってきているので、ここから先は、事務局で答えていただけませんか。

(答・事務局) 基本的には諮問があれば答申という形で御議論するのですが、今、食品表示の全体像という形で諮問がないものも議論をさせていただいていますので、やり方としてはそういうやり方もあると。今のお話はそういう内容だと理解しております。

(答) ありがとうございます。

(問) 別件なのですけれども、昨日オンラインプラットフォームの専門調査会が一応議論を終結して、座長に一任する形で報告書をまとめた形になって、今後は本委員会に報告があるかと思うのですけれども、委員長も出席されてお話を聞いていたかと思うのです。この扱いも本委員会でどうするかということになると、昨日伺っていたのですけれども、今後、どんな形になっていくようなものなのでしょうか。

(答) この報告書の扱いということですね。その報告書を受けた上で、消費者委員会として議論をして、どういう形で出すかということも含めて、単なる意見にするのか、あるいは提言にするのか、そういうことも含め、委員会で検討した上で、発出する予定でございます。

(問) ありがとうございます。

(問) 今日の資料の中の2ページにある工程表への反映が必要な事項の中の

(1)です。要するに与信審査のことなのですけれども、これはクレジット関係の中で経済産業省で小委員会や検討会を設けたりして、与信審査についての緩和といいますか、そういう方向性があるような動きに対して、消費者団体でも懸念しているのです。そういうものについての検討反映ということなのか。それとも、これもやはり検討が去年秋から始まっていますので、そういうものではないのかということ。

もう一つ、先ほどから諮問と答申という関係の中で出てきているのですけれども、消費者委員会自体は、諮問・答申という検討する役割と、自ら調査という役割があることもあって、自ら調査の身元保証とか何かやられたような気がしました。今現在、プラットフォームもそうなのか。それとも、グランドデザインのこともそうなのか。今現在、自ら調査という分野でやっていらっしゃる項目とは何なのかを、あれば教えてください。この2点です。

(答) ありがとうございます。

最初の与信枠を緩和する流れがある中でこれを書くのかという話でしたけれども、ここでの議論はそれと少し違います。意見を出すに当たり、金融庁から説明をもらい、法律で定められている支払い可能見込額の調査、返済能力の調査がありますが、民間では、それ以上のことを積極的にやっているということでした。その報告を踏まえ、民間でそのような取組をやっているとするならば、消費者にもそれが分かるよう、また社会的にも理解できるように、可視化してほしいというのがここの提言内容です。

それから、自ら調査をやっているもの、その調査結果を意見とか提言とか、そういう形で出していくものとして、今、どういうものがあるのかという御指摘です。とりあえず、私からは3つ挙げさせていただきます。

プラットフォームが介在する取引の在り方に関する専門調査会の報告書です。これは諮問を受けてやっていることではありません。当委員会がやるべきだと考え、実施していることでやったものでございます。

それから、ルール形成の在り方に関する報告書についても自ら調査して、できれば5月か6月ぐらいには、その結果を出したく思っているところです。

もう1つは、表に見えていないかもしれませんけれども、いわゆる預託の問題に関して、消費者委員会として、強い決意を持って、思い切った意見を出したいと思っているところです。

他、追加して頂けますか。

(答・事務局) 食品表示のグランドデザインでありますとか、あとは地方消費者行政の専門調査会の準備。

(答) 地方消費者行政の在り方については、これから専門調査会がスタートするところですね。済みません、受田先生のところでの議論についてはトレースできておりません。かなり進んでいるのでしょうね。

(問) ということは、運用時のグランドデザインとなってくると、今、お話に出ているようなゲノムのアンケート調査であったりとか、要するに求める、求めないとか、あるいは表示ですので、食品表示基準に対しての抵触するような分野での自ら調査であったりということも含めた上でのグランドデザインの提示を検討ということですか。

(答・事務局) グランドデザインというか、我々は全体像と呼んでいるのですけれども。

(問) 今やっているやつですね。

(答・事務局) そうです。

(問) 分かりました。食品表示部会でやっている。

(答・事務局) そうです。

(問) 済みません。今の中に出てきた預託の関連は、スケジュール的なめどとかはあるのでしょうか。

(答) 気持ちとしては、平成の終わりとともにこういったビジネスの息の根を絶つぐらいの気持ちでやっているので、4月ぐらいまでには何らかの形を出したいと思っています。

(問) 今ということですか。

(答) 済みません。それはちょっと早過ぎますか。事務局どうですか。私はそういう気持ちでずっとやっているのですけれども、何らかの形を出すのは4月ぐらいには見えてくるのではありませんか。

(答・事務局) その方向で準備はしたいと思うのですが、他のもろもろの。

(答) 了解しました。

(答・事務局) 状況に応じて。

(答) はい。分かりました。誤解があるといけませんので、申し上げますが、事務局の皆さんは、本当に、積極的に、時間を惜しんで一生懸命やってくださっております。皆、できるだけ早く成果を出そうという思いでやっております。ただ、まだ流動的でありますので、4月という予定だけは撤回させていただきます。

(問) となると、4月とかには出ないということですか。要するにこれは預託商法自体のいろいろな問題があって、預託法自体も委員長が改善すべき点がいろいろあるとかおっしゃっていました。となると、これは自ら調査の範囲ということですので、意見の提言・建議となってくると、どの辺りになるのですか。建議ということですか。

(答) そうですね。通常そうなるのではないでしょうか。

(問) 前にもちょっと、この2年間といいますか、建議が確かではないかと思ったので、それで建議となると法的な位置付けがあるものだし、意見となるとちょっと、提言もそうですよね。だから、建議ということが目指されるべきことではないかなと思ってはいるのですけれども。

(答) そう思っておいていただいて結構です。

(問) そうですか。

(問) 先ほどのオンラインプラットフォームの件は、今日は報告はなかったということでよろしいのでしょうか。

(答) 本会議でですか。

(問) はい。

(答) 本会議ではありませんでした。

(問) それと、まだ報告書が上がってきてないということですけれども、議論は御覧になっていたということなので、もし可能でしたら今の時点での受け止めみたいなことをお聞きできればと思います。

(答) オンラインプラットフォーム取引の在り方に関する報告書は、私は素晴らしいものが出来上がってきていると思います。あと、若干文章の修正をされるということです。ただ、座長一任になっておりますので、それほど先にならないで報告書が出てくることになります。今まで明確なルールのなかったビジネスに、法律というところまではいきませんけれども、こういった取組をやるべきではないかということを明確に示すことになりますので、それはプラットフォーマーだけではなくて、取引に参加してくる消費者の問題、売る側、買う側の問題もありますし、それから、行政の役割とか、そういったものを全体として整理したものになると思います。私は初期のバージョンからずっと見ていますけれども、今後のプラットフォーマーを巡る消費者行政を考える上で、充実した内容になっていると感じております。

(問) 法的なものではないということで、報告書にも昨日の段階では法的な規制は求めないことが明言されているので、そういう方向なのだと思うのですけれども、この先、法的な規制を求めると、まだ先の議論だとしても、方向性としてはそうだと理解して良いのでしょうか。

(答) 今、そういう発言をすると、また報告書の内容が変わる可能性もありますので、発言は控えさせてください。とりあえず何が問題かということを明確にしたのが、この報告書の一番大きな貢献ではないかと思います。今後何を考えていけば良いか。それぞれのプレーヤーが何をやれば良いのかということを明確にしたのは、大きな一歩だと思います。

(問) ありがとうございます。

(問) 資料の5ページのところに「事故情報の収集、注意喚起等」というのが7ポツであるのですけれども、この間、各省庁の発表とか何かで安全性の問題についていろいろ出てきておりました。例えばバスの部品がないとか、ツアーバスの関係になってくるという感じをずっと受けていたのですけれども、要するに裁判があったりとか。

先々週、厚生労働省が発表した特養とか老健の施設での事故で、2017年度、つまり今18年度ですから、昨年度の事故の中で死亡が1,500件を超えていた。2つで1,500件を超える死亡事故で、介護事故の報告は市区町村までで止まっているのですけれども、法的にはその上に来ていない。

それを消費者委員会は、6、7年前の安全性の建議で指摘されていたことがあって、つまり事故情報の一元化ということを消費者庁がやったにも関わらず、関連法律の中の事故の収集の在り方というのが、まだまだ隙間があるのではないかということを指摘されていたのが6、7年前だった。そのときに介護施設であるとかの事故をどのようにやるかということで、その後も消費者委員会で検討されましたけれども、今回、初めて出てきたデータだということで、要するに事業所を調査したり、市区町村を調査して出てきたことで、それも100%ではないということです。

つまり、消費者事故の中で死亡事故となると重大事故になるのか、ただ、介護事故と消費者事故の市区町村に報告されるものが、どこまでが対象なのかよく分からない。取材している中では、消費者庁は恐らく、施設に問題があったもの、施設に問題がなく単に転倒したりとか、それで亡くなったものを区別されて、消費者事故の対象、つまり報告対象をやっているということなのですが、それでも1年間で1,500人、しかも2つの種類の介護施設で1,500人を超える方が亡くなったこと、これは事故情報の一元化ということを考えたときにどうなのかというところです。

ちゃんとフォローされているのかということがちょっと気になりまして、7ポツのところに「事故情報の収集、注意喚起等」と書いてあるのですけれども、事故情報のデータバンクの入力の在り方であるとか、検討会ではいろいろな議論が出てきておりましたので、こういうことも恐らく工程表の中では検討されるものではないかなと思っておりますけれども、そういう考えでよろしいですか。

(答) 私もそういう考えではいるのですけれども、この2年間見ていて、事故情報の更なる活用に向けたこの提言に沿った取組は、残念ですが、余り進んでいないなと正直感じております。だから、今回また改めてここに、黒ポツで2つ、入力項目に関する精査、これはきちんともう一度やってくれないかということを強調しました。

それから、2番目に書いたのは、活用に向けてのいろいろな機関の連携、情報交換ということです。これは文書には書いておりませんけれども、以前、消費者庁の担当者の方とお話ししたときには、一度にいろいろな機関との連携は難しいかもしれませんので、まず1つの機関でも良いから、そこからやり始めてくれませんか、ということでお願いをしております。それがスタートすれば、更に横展開で広げていくとか、そういうこともできるのではないかと思っているところです。

済みません。ここの「事故情報の収集、注意喚起等」というところの活動は不十分だと私も思っております。

(以上)