高消費者委員会委員長 記者会見

2019年2月27日
消費者委員会

日時

2019年2月27日(水)16:59~17:21

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところ御参集いたただきまして、ありがとうございます。

私からは、報告は1件でございます。

お配りしております資料のとおり、3月9日土曜日、埼玉県消費者団体連絡会と共催で「消費者問題シンポジウムinさいたま」を開催いたします。

「高齢者の消費者被害の防止に向けて」をテーマに、消費者被害の未然防止に熱心に取り組んでおられる消費者団体の方からの事例報告と、消費者庁及び埼玉県の消費者行政担当者、弁護士の方を交えたパネルディスカッションを行います。

消費者委員会より、パネルディスカッションのコーディネーターを池本誠司委員長代理が、基調講演を私が務めることになっています。

首都圏での開催となりますので、報道機関の方におかれましては、是非とも会場にお越しいただき、取材をしていただければ幸いに存じます。

以上でございます。

質疑応答

(問) 今、発表のありました件なのですけれども、いろいろと公開シンポジウムがたくさん行われていると思いますけれども、何か埼玉県ならではというか、特徴的なものはございますでしょうか。

(答) 大体同じような趣旨で行っておりますので、埼玉県ならではのというのは、私はちょっとイメージできないのですけれども、比較的ここは熱心に消費者問題への取組を進めているということで、具体的な事例がパネルディスカッションの中では出てくるのではないかなと思います。それぐらいかな。埼玉は今、映画では盛り上がっていますけれども。

もし補足していただけるのであれば。

(答・事務局) 1点、補足をします。

埼玉県は、適格団体と県との連絡がものすごく密にできているところです。埼玉は適格団体から特定認定を受け、特定適格団体にもなりましたから、ますます自治体との連携を踏まえた取組というもので先進的な事例とか御報告はいただけるのではないかと思います。

(問) 先月なのですけれども、消費者事故調が太陽光パネルの発火事故についての調査結果みたいなものを発表されて、その中で、調査したうちの7割ぐらいが今まで一回も点検をしたことがない方々が多いというような調査報告があって、それで、ちゃんと点検をするように消費者庁なり経産省なりに普及啓発をしろというような意味合いがあったかと思うのですが、消費者委員会でこの件に関して何かタッチするようなというか、意見とか考えていらっしゃることはございますでしょうか。

(答) そういう問題があるのですね。太陽光パネルの発火事故というものが出ているということですか。その中で、7割ぐらいの事業者が点検をやっていなかったということですか。分かりました。事務局から情報をもらった上で、検討する必要があればやらせてもらいます。

もちろん、消費者庁がきちんと動いているのなら、あえて議論する必要はないかと思います。

補足をしていただけますか。

(答・事務局) 今のところ、特には。

(答) いいですか。

申し訳ございません。情報をありがとうございました。それはいつ頃ですか。

(問) 1月の末です。

(答) ありがとうございます。

(問) ゲノム編集の食品の議論を厚労省でやっていらっしゃるかと思うのですけれども、その後、その表示について消費者庁で何らかの方針が出るようなスケジュールかなと思っておりますが、それについて消費者委員会でも何か議論すべきといった話がもし出ていれば、教えていただければと思います。

(答) 正直なところ、今は出ておりません。

ただ、今、当面の仕事が四つほど走っているのですけれども、それらのうちで、一つでもめどがついたら、食品表示のところについては部会が動いておりますので、委員会として取り上げて議論する必要があれば、議論することにはなるかと思います。

事務局、ゲノム編集の関係の表示についての議論というのはお分かりですか。今日、受田部会長がいらっしゃいますよね。もし可能であれば、部会長ですので。

(答・事務局) 今、受田部会長に確認している途中なので、もし別の御質問があれば。

どうぞ。

(問)2点あります。

徳島移転のことなのですけれども、恐らく来年度予算のことを考えると8月までの結論だと思いますが、消費者委員会で移転に向けた検討というのは何かあるのでしょうかということが1点。

それと、今日の午前中に、特定適格団体から、大東建託に関するサブリースについて情報提供の窓口を設けたということがされました。COJですね。このことに関連するのですけれども、集団的消費者被害の回復制度について、提訴自体は1件なのですが、指摘されている課題であるとか見直しを含めた検討について、消費者委員会としては何か検討とかそういう場がありますでしょうか。

(答) ありがとうございます。

徳島移転の話については、従来と同じ回答しかできない状況です。済みません。8月までには結論を出すということで進めております。まだ中身については遠慮させていただければと思います。

それから大東建託は、ちょっと分かりませんけれども、レオパレスのような問題に絡めてなのですか。COJが大東建託に対して集団的な消費者被害回復の訴訟を起こすということなのですか。

質問はそこではないのでしょうけれども、この制度の問題については、ルール形成ワーキング・グループで取り上げております。このような問題、このような制度上の問題はあるだろうということですね。

例えば、共通義務を確認した後に和解ということになれば、もちろんそれで消費者の被害はある意味で回復されますが、和解ということになれば、制度そのものがなかなか続かない可能性があります。

あるいは、まだその段階には至っていませんけれども、例えば別の団体が手を挙げて、私のところで第二段階以降はやらせていただきましょうかと。いろいろ動かしてみると不十分なところも見えてくるかと思いますので、今のところ考えられるものはルール形成ワーキング・グループの報告書の中に書き込むことができればと考えております。それでもって、すぐに制度改正の議論になるわけではありませんが、とりあえずそういった問題点というのは書き出していこうと思っております。これは特定適格団体だけではなくて、適格団体についても同じです。

(問) ということは、救済対象になる範囲も、今まで慰謝料が入らないであるとかありましたけれども、そういうものも全部課題として出てくるということですか。

(答) 全部出るかどうかは分かりませんけれども、考えられるところですね。

例えば、KC'sが「返金はなさらないのですか」ということで、複数の事業者にお聞きしていますよね。もし返金の計画がないのだったら、多分、これが集団的消費者被害回復訴訟に繋がっていくのでしょうけれども、そういう問合せをすると、事業者は大体返金に応じるのではないでしょうか。特定適格消費者団体によるそうした活動自体は有り難いことですが、声掛けだけやって終わってしまえば、制度そのものが持続しなくなるという問題がありますよね。

そういった問題点を幾つか書き出し、今後、改善すべきところは改善していくということを考えております。一回そういう洗い出し、棚卸しをしておかないといけないということです。

(問) ルール形成の報告書は3月の予定ですか。

(答) 私、以前、3月と言いましたが、少し欲が出てまいりまして、怠けているのではありませんよ。例えば、預託の問題などについてどういう考え方で臨むのかということも、法改正に向けての議論が具体的になった段階で、つまり、至急対応しなければいけない悪質な事業者に対してはどういうスタンスでルール形成に臨むべきかなども、整理できるわけですので、こうした内容も盛り込みたく考えています。

受田部会長がいらしたので、先に受田部会長より説明をお願いします。質問をもう一回よろしいですか。

(問) ゲノム編集食品の表示についての話なのですけれども、食品については今、厚労省で議論をしていると思うのですが、その後、その表示については消費者庁の話になってくるということで、表示がどうあるべきかみたいな話が委員会の中で出ているのかという辺りを教えていただければと思います。

(答・食品表示部会 受田部会長) 御存じのとおり、現在、消費者委員会の食品表示部会において、遺伝子組換え食品に関する議論を進めています。間もなく答申ができる段階へと近づきつつあるということも御承知おきかと思うのですけれども、こういった議論をしている中で、個人的に私もゲノム編集の様々な議論が展開されているということも承知しております。

現時点では、食品表示部会においてゲノム編集に関する議論はまだ開始されていません。一方で、消費者庁を初め、様々な関係各所で、今後ゲノム編集の議論がどう展開されていくかに関しては、種々質問を受けているということも伺っております。

したがって、我々としては、消費者庁の検討がどういう形で行われるかまだ全く不確定ではあるのですけれども、仮に食品表示部会においてゲノム編集の表示について意見を求められれば、可及的速やかに検討体制に入っていかないといけないと思っております。

当然、食品表示部会の委員全員がゲノム編集とは何かとか、その科学的な原理も含めて、これは日進月歩なのですけれども、その状況を把握しているわけではございませんので、仮に部会において議論が求められた際にも、まずは委員が少しレクチャーを受けた上で、しっかりと議論をしていく、基礎を固めながらやっていくことになるかなと思っております。

ですから、そう簡単にゲノム編集に関する表示はかくあるべきとかという答申ができるような状態に至るとは、私自身は考えておりません。議論はやらなければいけないと思っております。

(問) 今、補足でお聞きしていいですか。答申を求められることも当然考え得るのかと思うのですけれども、答申が求められない場合、議論はしないということになるのでしょうか。

(答・食品表示部会 受田部会長) 基本的には御存じのとおり、食品表示に関して諮問を受けて答申をしていくということが、一般的に食品表示部会のミッションだと思っています。ただ、現在も諮問ではない部類に入るのですけれども、食品の表示自体のグランドデザインを全体像ということで議論しています。

ですから、今の御質問に関しては、諮問が前提で議論するだけはないということで、こういったゲノム編集に関することは非常に大きなテーマだと私も承知しておりますので、それをまず食品表示部会として議論をスタートし、国として表示の在り方をどう決めていくかというスキームを考えていくのも部会の役割ではないかなと個人的には思っております。

(答) 先ほど、途中になっていましたので、追加説明します。預託の話に加え、オンラインプラットフォームに関する専門調査会の議論も、進んでおりまして、同調査会から出ます報告書の内容も踏まえ、ルール形成ワーキング・グループのところにもある程度盛り込みたく考えております。プラットフォーマーがマーケットに与えるインパクトは非常に大きいわけですが、プラットフォーマーに対する役割やルールも明確でない、こういった新たなタイプの事業者に関して、またバーチャルなマーケットに関して言及を避けることはできないと思っていますので、オンラインプラットフォーマーの議論が終わったところで、重要な点はルール形成の報告書にも取り込みたく思っています。このため、当初3月に仕上げたいと申し上げておりましたが、5月か6月ぐらいになる予定です。

(問) となると、消費者委員会も発足10周年になります。消費者庁だけではないので、そして、今年5月の消費者月間が、テーマは決まっていますけれども、どういうあれになるかわからない。それを念頭に置かなくてもいいのでしょうけれども、要するに、5月か6月ということでこのグランドデザインが出る、報告書が出ると考えてよろしいでしょうか。

(答) 努力いたします。できるだけ早く作成したいと思っておるのですけれども、事務局の方々はどうおっしゃるか分かりませんが、鋭意努力しておりますので、期待しておいてください。

それから、10周年に関しては、シンポジウムを開催する予定で進めておりますので、その場でこの報告書の内容について紹介することもあり得ます。シンポジウムの中身はまだ具体的には決めていないのですけれども。

(問) シンポジウムは何月になるのですか。

(答) 今のところ6月を考えています。ですよね。まだ確定していないけれども、6月のどこかの日曜日だということです。

(問) たびたび済みません。

先ほどのサブリースの関連で、これが消費者委員会で議論する対象になるのかどうかということも含めてお聞きできればと思うのですけれども、消費者かどうかという線引きが、今、真ん中辺りのところで、かぼちゃの馬車もレオパレスも問題になっているかと思うのですが、そこは何か制度としてどうしようもないのですかということについて、御意見をお伺いできればと思います。

(答) 消費者委員会としてこういう方向でいこうという結論を出しているわけでありませんが、皆さん、既に耳に入っていると思いますが。消費者庁で、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」報告書の中で、消費者問題を考えるときに、いわゆる事業者と消費者の2者の間の取引という視点だけでなく、情報とか交渉力の格差という視点からも考えるべきではないかという提案が出てきています。

それが意味するところは、例えばCtoCでもそうですね。継続的に、反復的にやっているような人たちというのは事業者と従来であれば考えられるわけですが、情報とか交渉力の格差という点に着目すれば、弱い側の人を何らかの形で守る、手当てすることを考えることができるようになる。

これでいけば、先ほどのサブリースに関しても、サブリース業者と物件購入者の問題も、消費者問題の一つとしてより明確に捉えることができるのではないかと思います。ですから、消費者問題を捉える枠組みを変えていこうという動きは消費者庁から提案されているわけです。よろしいですか。

(問) ありがとうございます。

(以上)