高消費者委員会委員長 記者会見

2018年12月19日
消費者委員会

日時

2018年12月19日(水)10:59~11:13

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) それでは、私から報告を2件させていただきます。

まず、1件目は「消費者基本計画工程表の改訂に向けた意見について」でございます。

本日の本会議におきまして、「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画工程表の改定に向けての意見」を議論の上、取りまとめ、消費者庁及び関係省庁宛てに発出したところでございます。

消費者基本法においては、消費者基本計画については、それらの結果との取りまとめを行おうとする場合、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため、当委員会としては、計画の実施状況や計画に盛り込むべき新たな課題などに関わる検討を調査審議の重要な柱の一つと位置付けてまいりました。現行の消費者基本計画においても、「消費者委員会は、消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、本計画に基づく施策の実施状況について、随時確認し、KPIも含めて検証・評価・監視を行う」とされているところでございます。

今回の意見を検討するに当たっては、これまでに発出してきた建議など及び最近の被害の実態、本年11月に行った関係省庁からのヒアリングの結果などを踏まえたものとなっております。

今回の意見に盛り込まれた事項については、確実に工程表に反映の上、積極的な取組を行っていただきたいという思いで、取りまとめをいたしました。関係省庁におかれましては、是非積極的に検討の上、工程表の改定素案に反映していただければ幸いと思っております。

2件目は「電気の経過措置料金解除に関する消費者委員会意見」についてでございます。

本日の本会議におきまして、お手元の資料のとおり、「電気の経過措置料金解除に関する消費者委員会意見」を取りまとめました。

本件につきましては、今年10月に、消費者庁長官から消費者委員会に対して、電気の経過措置料金解除に関する検討についての意見を求める旨の付議が行われました。これを受け、公共料金等専門調査会を開催し、有識者、関係団体、関係省庁などからヒアリングを行い、調査審議を重ねた上で取りまとめが行われました。そこで、本日、その結果を古城座長に御報告いただき、その御報告を踏まえて消費者委員会としての意見を取りまとめたところでございます。

具体的な意見の内容ですが、まず、「1.経緯」については、専門調査会での検討の経緯について、本年5月に当委員会が発出した電力・ガス小売自由化についてのフォローアップの意見においても経過措置について慎重な判断が必要であることが指摘されていることなどが記載されております。

次に、「2.電力小売自由化の状況等」というセクションにおいては、電力小売自由化や経過措置に関する消費者の認識や小売電気事業者の参入状況について都市部と地方で違いがあること、市場環境では新電力事業者と旧一般電気事業者との間で格差があるという意見があったことなどが記載されております。

「3.経過措置料金解除に対する意見」、ここが意見の部分になります。その意見として、消費者保護の観点から、経過措置を解除する前に、競争の確保として、新電力事業者と旧一般電気事業者間が公平に競争できるような市場が形成され、実際にそれが機能していること。2に、消費者への周知として、電力小売自由化及び経過措置についての正しい認識が広がることの2点について成果が上がり、消費者が自由に選択できる環境が整ったことが確認できてから、経過措置料金の解除をすべきとしております。また、経過措置が解除される地域に対しては、マル1で周知・円滑な移行手続の配慮、マル2として事後監視の整備について記載しております。マル3の三段階料金については、三段階料金の廃止を認める場合には、低所得者を保護するための三段階料金に代わる制度を検討すべきであるとしております。

最後に、「4.まとめ」ですけれども、そこでは、経過措置料金解除が消費者の生活にもたらす影響は非常に大きいことから、経済産業省は本意見で指摘した点を踏まえて経過措置料金解除について慎重に検討を行うべきであるとしております。

本意見を踏まえ、消費者庁は経済産業省に対して意見表明をしていただきたいと思っております。

以上でございます。

質疑応答

(問) 経過措置のことなのですけれども、2020年3月までの間ですから、解除するということの条件が整わない場合は経過措置料金解除を延ばしてほしいという意味でもあるわけでしょうか。

(答) この意見はそのとおりになっていますね。その条件が整わなければ、延ばさざるを得ない。ただし、一律的にとは我々としては考えていない。それぞれ地域等を見て、状況を見て、例えば、都市部というのは比較的競争状態が確保されつつありますので、その状況を見た上で、競争状態が確保されて、しかも消費者の側に周知が徹底されている場合には、それは解除の方向でいくということです。

(問) 2020年3月というのはすぐなものだから。

(答) すぐですね。だから、大半は、これは私の個人的な感想ですけれども、一気に解除は難しいだろうと思います。

ですから、この報告書は、皆さん方の資料だと4ページになるのですかね。解除の前提として、競争の確保、これは措置を講じてくださいと。それから、次の5ページが消費者への周知。これができなかったら、この二つが整わないと競争状態は確保されたことにならない。

今、都市部でと言いましたけれども、6ページのところに、解除される地域への対応策ということで、仮に解除されても、それであとは一切介入しないということではなく、その後の経過も見て、競争状態が維持されているかどうかということも、確認すべきという内容になっております。

(問) 公益通報についてなのですけれども、昨日の専門調査会で報告書案が示されたと思うのですけれども、当初のスケジュール感では年内取りまとめということで伺ってはいましたが、その予定に変更はないでしょうかということと、消費者委員会の答申のスケジュールなども方針があれば教えていただければと思います。

(答) 1点目は、スケジュールどおりかということですね。私としては、スケジュールどおりに進めていただければと思っています。年内ということです。もちろん最後の調整で、もう一回、延びることもあるかもしれませんが、ほぼ年内あるいは延びても新年のところで決着をつけるということです。

2番目の質問というのは、「委員会として」とおっしゃったのでしたかね。委員会としては、その結論が出たところで、本会議にかけて、多分了承するということになると思います。若干補足すべきことがあれば、それは内容についてではなくて、表紙、扉あたりに何か一言入れるということはあるかもしれません。委員会の意見としての紙、1枚物があるのですけれども、その扉のところに一言入れるかもしれません。というのは、政府全体でこれは協力してやっていかないと進まない可能性がありますので、なかなか動かない可能性がありますので、そういったことは委員会としても考える必要があるかなと、個人的には、考えているところです。

(問) 基本的に、内容次第だと思うのですけれども、1回の本会議を経て答申されるというようなスケジュールで考えておけばいいでしょうか。

(答) 基本的にはそうですね。

(問) 工程表の4ページのところなのですけれども、「いわゆる健康食品」の淘汰に向けてということです。

(答) 工程表というのはどれですか。

(答・事務局) 基本計画の意見の4ポツです。

(問) 4ページの中の(2)です。

「いわゆる健康食品」の淘汰に向けてということですが、これは、要するに、ここに出ている機能性表示食品との関連で述べられていることになるのですけれども、要するに、科学的根拠に基づいた事業者の責任による表示ということなのですけれども、ここでおっしゃっていることは、市場からの淘汰ということは、消費者が選びやすいように、科学的根拠に関する質の向上に向けた取組が、その科学的根拠自体が、消費者が選びやすいように、そういう意味なのでしょうか。つまり、何らかの行政の関与ではなくて、市場からの淘汰に当たっては、情報提供の在り方とか、つまり、そういうことでおっしゃっていらっしゃるのか。それとも、「いわゆる健康食品」と機能性表示食品の制度の場合は、国が関与するかしないかということもその特徴としてありますけれども、事後チェックの情報の在り方とか、提供の在り方とか、そういうことについて、国が何か情報提供をもっと積極的にしろとか、そういうことなのか。それとも、事業者においてやっていくに当たって、事業者に対する啓発とか指導とかということなのかということを。どんなことでしょうか。

(答) 厳しい指摘ですね。受田委員がこの分野を専門的に扱っておりますので、受田委員自身がどこまで考えているかは、私は正確には理解できていないかもしれませんけれども、少なくともここの文章で書いた内容は、保健機能食品制度全体、例えば、特保もありますし、機能性表示食品もありますが、消費者はその違いをあまり理解していない。このため、非常に厳しい基準をクリアした商品であっても、他のものとの違いが明確に認識されない。こうした状況が放置されてはならない、ということです。

ですから、まず、制度としては、基準をクリアしたものが売れるようにしていく。そういう状況が今のところ余り十分に担保されていないのではないかということで、こういう書きぶりになっています。ですから、機能性表示食品の話だけではないということです。保健機能食品制度全体で、もう少し、真面目にやっておられる事業者が確実に競争力を得られるような形にしたい、すべきだということです。

(問) そうですね。保健機能食品制度というのは機能性表示食品も含めてと書いてありますので、意味が分かりました。

(以上)