高消費者委員会委員長 記者会見

2018年9月12日
消費者委員会

日時

2018年9月12日(水)16:29~16:44

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) 御出席いただきましてありがとうございます。

最初に、報告事項を1件説明させていただきます。

本日の本会議において、お手元の資料のとおり「次期消費者基本計画策定に向けた基本的な考え方についての意見」を取りまとめました。

第4次基本計画については、消費者庁において昨年10月からその在り方について議論がなされ、本年7月に中間取りまとめがなされました。また、当委員会においても本年3月に発出した「消費者基本計画工程表の改定素案(平成30年2月)に対する意見」において、次期計画に向けた課題について指摘したところでございます。

当委員会は、8月2日の本会議において、「第4期消費者基本計画のあり方に関する検討会」中間取りまとめについて消費者庁からヒアリングを行ったところであり、今般の本意見については、このヒアリング結果や、これまでに当委員会にて行いました建議・提言等を踏まえたものとなっております。

次期計画策定に向け、特に留意すべき事項や具体的に検討すべき課題について、そこに意見を取りまとめております。

以下、概略を簡単に述べさせていただきます。

「第1」の「基本的な消費者政策の方向性」では、全体に関わることとして、これまでの計画の実施状況を踏まえた長期的な視点での検証や消費者庁の司令塔機能の発揮について意見を述べております。

「第2」の「次期計画策定に向けて留意すべき視点」では、「消費者政策推進のための体制整備」「消費者の自立と脆弱な消費者の保護」「消費者教育の推進」「SDGsへの対応」「高度情報通信社会の進展等への対応」の五つのテーマを取り上げて、次期計画策定に向け、具体的に検討すべき事項等について意見を述べております。

関係省庁等におかれましては、意見の各項目について積極的に検討の上、可能な限り次期計画改定素案等に反映させていただきたいと思っております。

以上でございます。

質疑応答

(問) 今回のことと直接関係はないのですけれども、よろしいでしょうか。

この間、ジャパンライフの件で、ここでヒアリングを行われて、いろいろと議論がなされました。ジャパンライフにつきましては、4回も業務停止命令を受けながら、結局、業務停止には至らなかったように記憶しておるのですけれども、この問題は、ずっと前から先行して水面下であった問題だと思うのですが、これが消費者委員会ではほとんどというか全く取り上げられてきませんでした。

委員の中には、この問題についてかなり造詣の深い先生もいらっしゃったはずなのですけれども、この委員会でジャパンライフの問題が全く取り上げられなかった理由は全く分からないのですが、それについて委員長はどのようにお考えでしょうか。

これは、委員長がここに就任される以前からずっと続いていた問題だと思うのですけれども、その辺りを含めて、もし御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

(答) 本会議においては最近になって取り上げたのですけれども、委員間ではかなり意見交換を行っておりました。注視して、事実関係が明らかになったところで、委員会としてこういった問題が起こらないような体制整備、法律や規制等をどう考えるのかということを議論はしておりました。

早い段階から、方向性が定まらないうちに本会議でやってしまうと、いろいろな誤解も招きますので、そういう意味では、委員の間での考え方が大体まとまってきたから、本会議でヒアリングを行ったということです。

突然スタートさせたという話ではございません。

(問) そうすると、委員間ではジャパンライフの問題は相当踏み込んだ形で議論は行われてきたと理解してよろしいですか。

(答) 相当というのがどういう意味なのかよく分かりませんけれども。

(問) 国民生活センターに寄せられている相談を取り寄せて、その内容を分析したり、あるいは、あそこの会社はトラブルが行政に届くと、それについては容易に解約に応じて、トラブルが表面化するのを避けていたというような、行政の裏側にも通じた対応を採っていたと思うのですけれども、そのようなことについてはどうですか。

(答) そんなに早い時期からではないですね。国民生活センター等に寄せられている苦情の件数は、年間150件程度であったと聞いております。その段階で、これが深刻な問題だと理解される方はなかなかいなかったのではないか。

ただ、考えてみれば、被害者の申告が少なくなるようなやり方を事業者側はやっていたわけですね。配当が継続する限り、被害は顕在化しない。だからどんどん被害が広がっていく。

そのビジネスが、消費者にはなかなか気付きにくい内容であるし、また、被害に遭った方々もなかなか被害を申し出ない。例えば家族等との関係があってそれを言わないとか、更には高齢で、被害回復はもう余り望まないような人がいるとかです。だから、問題は非常に深刻なのですけれども、PIO-NET等に上がってきた情報だけですぐにこれは大きな問題だと気付けるかというと、そこは難しかったかなと思います。

(問) 分かりました。ありがとうございました。

(問) 基本計画策定に向けた意見について、司令塔機能の発揮ということはとても重要かと思うのですが、所管法令等について不断の整備・見直しを行う。その運用に当たっては連携するということが書いてあります。

消費者庁が発足したときも、三十何本の法律を所管・共管するということで、最初の第1次の消費者委員会で、どのような法律があって、運用に当たってその整合性はどうなのかということが議論になったのです。

不断の整備・見直しということは、法改正や法律に基づく制度改正が含まれていると思うのですけれども、安全・取引・表示の分野で、法的に重なるものがあって、運用に当たって整合性は保たないといけないようなものも出てきていると思うのですが、委員長のお考えとしては、所管法令・共管法令の中で、分野でも良いのですけれども、見直し等どのようなものがあるとお考えなのか、あればお聞きしたいのです。

(答) 明確には言えませんけれども、例えば先ほどの話もそうです。預託法についても、金商法との関係をどうするのかとか、そこに入ってくると思うのです。要するに、今までの所管の法律だけでうまく対応できると考えられないときには、多分、消費者委員会がやらなければいけないことだと思うのです。金商法の集団投資スキームを使った対応を考えなさいということは、多分、消費者庁からは言えない話なので、委員会としてそういう方向を促していくということです。

あと、ここの中には、ルール形成のところでいろいろ議論していますけれども、景表法の細かい部分等は整理しなければいけないのではないかと思っているところがあります。

(問) 預託法、金商法というのは、前に日弁連のヒアリングをやったところでも出てきましたね。そういう法律について、一応、消費者委員会で検討しながら、何らかの形で消費者庁に対して提示していくと考えてよろしいですか。

(答) どのような形になるかは分かりませんけれども、ジャパンライフの問題を受けて、何もなかったという話にはいきませんので、我々は責任を持って何らかの対応を採りたいと思っています。

どのような形でというのは、今はまだ語るべきときではないと思いますので、控えさせていただきます。

(問) もう一点。

今日は身元保証サービスのことを検討されていました。これは建議についてのフォローアップということで、消費者委員会は建議を出した後にフォローアップをされますけれども、フォローアップで残っているものはありますか。

(答) 一度フォローアップをやったら終わりという話ではないですから、残っているものは幾らでもあるのではないですか。何度でもしつこくやります。

(問) 去年の9月から、建議は確か一件もなかった気がするのです。意見ばかりということもあって、どうなのかなと思っておるのです。

(答) 新しい建議がないと、新しいフォローアップがないだろうということですね。

(問) 意見で行くのでしょうけれども。

(答) 正直言いまして、既に出ている建議のフォローアップだけでも手一杯のような状態なので、事務局として何か回答はありますか。

(答・事務局) 今日お配りしている意見案の4ページ目の脚注に、昨年8月に発出した提言ということで、「事故情報の更なる活用に向けた提言」が出されているのですが、これについてはまだフォローアップはなされていませんので、この辺りはこれからということになります。

(問) 今のところは、これですね。

(答・事務局) この辺りがまだ手付かずとなると思います。

(問) これは事故情報の件ですね。

(答・事務局) そうです。

(問) それとの関連で、今のページの5番目、高度情報通信社会の進展等への対応として、AI、IoT、ビッグデータ等の活用には課題もあるということが書いてあるのですが、事故情報の提言の中で、AIの活用や、事故情報が集まっているビッグデータを、何と言うのでしょうか。AIともう一つ言葉があったような。

(答) SNSの情報を拾ってきたりとか、写真情報とか、一般の方が被害に遭ったときにすぐにSNSに上げたりする。そういった情報を使う方法を考える等です。

(問) それは事故情報ですか。

(答) 事故情報関係です。

(問) そうですか。取引とか何かも。

(答) 消費者被害もありますね。だから、一般の人がやり取りしている情報のほうが即時性があるから、それを使えないかということを、以前、提言していたはずです。

(問) そのようなものを含めて、新しい社会環境の中でやってほしいということですね。

(答) ただ、私は1年間やってみて感じていることですが、事故情報のところは、関係機関の連携が活発でない。そのような意味では、最初の消費者庁の司令塔機能、もっと皆さんを集めて議論する場を設けてもらいたい。それがない限り、情報収集や発信のフォーマットは違うし、同じような情報が別の範ちゅうに入り込んだり、非効率な状態がそのまま残っている。これは10年前からあまり変わってないような印象を持っています。

(問) 多分、委員長は御存じだと思いますが、内閣府のときから、事故情報をどうするかということは検討されてきていましたね。

(答) せっかく横断的な取組をしようということで、取り組んできたわけなので、ここは何とか一つブレークスルーしたいですね。

(問) 分かりました。

(以上)