高消費者委員会委員長 記者会見

2018年6月27日
消費者委員会

日時

2018年6月27日(水)11:29~11:46

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) 御出席いただきまして、ありがとうございます。

まず、私からは報告事項が1件でございます。6月14日の第276回本会議におきまして、お手元の資料のとおり、「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定」等に関する消費者委員会意見を取りまとめました。

NTT東西の加入電話等の料金に係る基準料金指数の算出方法の設定または変更は、物価問題に関する関係閣僚会議の了承が必要となる公共料金であることから、同会議に付議するに当たり、消費者庁より5月31日付で消費者委員会に対して意見の求めがございました。

消費者委員会では、これを受けまして、公共料金等専門調査会を開催し、総務省及び有識者からヒアリングを行い、調査審議を重ねた上で、お手元にお配りした意見を取りまとめたところでございます。

意見では、「1.結論」として、設定案については妥当であると認められるとしております。

その理由として「2.理由」にて、NTT東西の収入面、費用面における予測は一定の合理性があるということ、また報酬率の設定についても妥当であることから、これらの数値を総合的に勘案して試算されたX値を踏まえた基準料金指数設定案については妥当といたしております。

さらに、「3.留意事項」として、現状、基準料金指数と実際の料金指数のかい離が生じておりますが、固定電話の音声伝送サービスを主として利用されておられる高齢世代の消費者などの既存の受益者の利益保護の手段として上限価格規制というものは一定の意味を持っているとしております。

あわせて、総務省に対して、政策決定プロセスの透明化の確保、消費者への情報提供などについても一層の取組を求めております。

消費者庁におかれましては、本意見を踏まえ、消費者庁及び総務省において、本意見が求める対応に着実に取り組んでいただきたいと思っております。

以上でございます。

質疑応答

(問) 最後の消費者への情報提供のところですけれども、「消費者団体等を通じた積極的な情報提供についても実施すべきである」と書かれていますが、消費者団体というのはどういうイメージでお考えでしょうか。総務省はということでしょうか。

(答) 消費者団体というか、消費者全体に対して情報の公開を進めていただきたいという意味です。ただし、その場合に恐らくどこかの団体を通じてということになるかと思います。

(答・事務局) 補足いたしますと、例えばよく全国消団連などで学習会などを開催されていますけれども、そういったところに総務省で、本件も含めたような通信料金に関わるような仕組みについて情報提供という形で参画をしていただいて、そういった消費者団体が知ることを通じて消費者に対しても情報提供ということで、スムーズに進めていければという趣旨で、こちらについては書かせていただきました。

(問) 別件ですけれども、委員長がちょうどコンプライアンスとか消費者志向経営ということで、ずっと検討されたり、発言されてしているので、あえてお聞きしますけれども、消費者志向経営についての自主宣言・フォローアップ活動というのを、今、消費者庁を中心として、ACAPを初めとしていろいろな消費者団体が入っていろいろやっておられます。そこでは、自主宣言をされた企業を消費者庁のウェブサイトで公表されながら、そこではフォローアップしたところも書かれていく。

このような志向経営の制度の中で、登録制度と言いますか、留意事項というのがあって、それはここに自主宣言をした企業が消費者関連法に基づく行政処分を受けた場合はウェブ上から取り消すということが書かれています。ただ、これは当該企業という意味なのかどうか、当該という意味なのでしょうけれども、お聞きしたかったのは、そういう事例があるのですけれども、要するに子会社とかグループ会社が行政処分を受けた場合は、どういう対応を本来採るべきなのか。

グローバル化が進んでいる中で、ステークホルダーも広がって、サプライチェーンが広がっていく中で、本社と言いますか、本体は自主宣言をしているのだけれども、その子会社が行政処分を受けた場合は、あれはプラットフォームがあって、消費者庁が事務局だけれども、それだけではなくて、ACAPであり、NACSであり、全相協であり、全国消団連であり、ヒーブ協議会であり、そういう団体が入っていろいろ検討すると思うのですけれども、そういう例が、今の86企業・団体が登録されていますけれども、その中で出てきた場合はどうされるべきだとお考えでしょうか。

(答) 良い指摘ですね。確かに、消費者志向経営のこういう取組をやるときに、グループ会社で問題が起こったとき、どうするかというところまで明確に考えていなかったですね。

(問) 子会社で問題が起こることはどこの会社でもあり得ることなので、大きな会社であければあるほど、消費者志向経営を宣言しているところは、取り消されるリスクが高くなるという問題ですね。むしろ、消費者志向経営の中で求めているのは、ガバナンスをきちんと強化すること、専門部署を置くこと、特にお客様対応部署ですけれども、そこと組織の他部門が緊密に連携していること、それから、対外的なコミュニケーションがきちんととれること、こうした構造が出来ており、また機能しているかだと思います。したがって、子会社のところで問題があったときに、それに迅速にかつ責任を持って対応する会社であれば、私は消費者志向経営の基準には合致していると思いますので、子会社で問題があれば、自動的に外すというのは問題あると思いますので、その点は検討すべきだろうと思います。

大きなところほど、子会社が多いところほど、孫会社が多いところほどリスクが高くなって、外れる可能性が高くなるわけですからね。逆に、ちゃんとしている会社は、関連会社とかそういったところで問題があれば、すぐにそれを確認して公表したり、改めたり、是正するわけですので、簡単に言いますと、PDCAが動いているわけですから、自動的に取り消すというのもちょっと問題かと思いますね。

仮に取り消したとしても、半年後に進捗状況を確認した上で再度アップするとか、そういう措置は採るべきではないでしょうか。

(問) 検討が中であるのではないかと思っているのですけれども、そのままであることが消費者志向経営の社会的な認知であるとか信頼性ということになるので、まずそういう検討とか何かが必要ではないかと思っていたのです。結果はどうあれです。

(答) 委員会としてもまだワーキンググループのレベルですけれども、消費者志向経営、これに積極的に参加される会社の数をどうやって増やしていくのか、あるいは中小レベルの会社にも積極的に参加してもらうためにはどうしたら良いのかというところで、知恵を出していかなければいけないので、今、御指摘いただいたところも、真剣に考えなければいけないと思いました。グループ会社の問題です。ありがとうございます。

(問) 今回と関係ないのですけれども、昨今、スマートフォンの4年縛りで契約するという契約形態に関して、公正取引委員会で、それが独禁法に違反しているのではないかという検討がされているということを伺ったのですけれども、スマートフォンの2年縛りとか4年縛りということに関して、この消費者委員会で例えば何か問題点があるかどうかというのを調べたり、論点整理などをされる御予定とか、あとは今何か検討されているものがあればお伺いしたいのです。

(答) 公取の件ですけれども、基本的にこれから報告書が出るということになっておりますので、その内容を確認させていただこうと思っています。それから、我々として何らかの意見を出さなければいけないということであれば、そういう議論もさせていただきたい。とりあえず報告書が出てくるのを待つしかないと思っています。

消費者基本計画工程表の検証、評価、監視という観点から、過去にも委員会として電気通信事業法に基づく消費者保護ルールの実施状況について総務省にヒアリングを行っています。その流れの中で今回の件も考えていかなければいけないと思っております。

(問) 今、専門調査会で御検討中だと思うのですけれども、オンラインプラットフォームの取引の問題ですけれども、御所感でも、最初の段階の見通しでも良いのですが、今後何らかの法整備が必要な方向性というのは考えられているのかどうか。

(答) 私は毎回出ていないので分かっておりませんけれども、これは出発点として、何らかの法整備をやるためのものではなく、まず、現状、どうなっているのかというところの確認から入っていると思います。積極的に事業者としても、法的な基盤というのはできておりませんけれども、消費者の信頼を得るためにこういう取組をやっておりますということを紹介していただいて、情報共有しているところと理解しています。事務局から補足をお願いできますか。

(答・事務局) そもそもの専門調査会のところでは、事業者とか消費者の役割、そういったものについてどういう形で考えるのかということで、特に法制度とかそういうことを前提にということではなく、それぞれの役割とルールについて、ルールというのは自主基準なりも含むと思いますけれども、そういったものについてまずは検討ということが出発点であろうかと思います。

いずれにしても、専門調査会の中で専門委員が議論をされていくかと思いますので、その中で法制化というのはそちらと照らし合わせてやられていくのではないかと思います。

(答) 一種のオープンイノベーションみたいなものですので、どこまで行くのかというのを見ながら、ただし全く放置するわけではなくて、状況を把握しながら、法的な措置が必要であれば、将来そういう議論も始まるのでしょうけれども、今はそこを狙いとはしていません。

(問) 7月に、徳島オフィス1周年ということで、いろいろイベントがあると聞いております。もともとは3年をめどにということで、実証フィールドのプロジェクトをやっているわけですけれども、消費者委員会はヒアリングをされたり、商品テストをやっていらっしゃるのですが、1年たつ中で消費者庁が区切りとしてイベントをやるのでしょうけれども、消費者委員会で何か意見とかはあるのでしょうか。

(答) 1年間の活動に関してですか。事務局に説明をお願いいたします。

(答・事務局) 今まで3回ほど専門調査会を開催させていただきましたけれども、そちらでは消費者庁、国民生活センターのプロジェクトについて、状況というか、成果について御報告していただいて、委員で全国展開の可能性などについて一応議論をさせていただきました。

まだプロジェクトが多数ございますので、そちらの成果についてどのような状況であるのかということについてヒアリングを予定しております。

区切りということで専門調査会で何らかのものを出すかということについては、特にまだ議論になっていないですけれども、必要であれば専門調査会で議論させていただいて、そういうことについてもということはあり得ると思います。

(答) 専門調査会としては、平成31年度目途の検証・見直しに当たって、消費者行政の進化という観点から、意見を出す予定になっております。

(以上)