高消費者委員会委員長 記者会見

2018年4月25日
消費者委員会

日時

2018年4月25日(水)11:20~11:33

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) 本日は本会議もございませんでしたので、特に私から御報告するようなことはございません。皆さん方からの質問をいただくということでお答えしたいと思います。

質疑応答

(問) 昨日、埼玉の適格消費者団体が特定適格消費者団体に格上げ認定をされて、3件目になると思うのですけれども、一方で、先行2団体では、まだ団体被害回復訴訟の1件目というのが出ていない状況なのですが、委員長のほうで制度面の課題とか、これまでいろいろ団体から見聞きしている情報もあると思うのですけれども、感想をいただければと思います。

(答) 個人的な感想ですね。そもそも、過去に遡及して法を適用することができないということで、難しいという話が一方ではあるでしょうね。それ以外は、仮に訴訟を起こしたとしても、先方が破綻してしまうリスクというか可能性があります。そうすると、二段階訴訟を起こす意義があるのかという話になってしまって、なかなか使えないという事情もあるのではないかと思います。むしろ皆さん方のほうが、よくそういうお話を聞いておられるのではないですか。

あと、こんなことは起こっておりませんけれども、実際、訴訟を起こして二段階目に進んだときに、例えば、事業者の側から消費者側に対して和解を申し込むことだってあり得ると思うのです。そうすると、消費者団体として訴訟を起こしたとしても、なかなか金銭的にペイしないということもあると思うのです。いろいろ理由があると思います。もうちょっと状況を見ていきたいと思います。

(問) 関連で、今、消費者法の全体のルールを考えるワーキンググループがあると思うのですけれども、そこの中で今回の特定適格消費者団体の関連の制度についても議論をする予定がもしあれば、ポイントを教えていただきたいです。

(答) ワーキンググループの中では、個別の特定の適格消費者団体をどうするか、あるいは適格消費者団体をどうするかという議論は多分出てこないと思います。むしろ全体の中でそれをどのように位置付けるのか、個別にこういった団体にこういう権限を与えるという話ではなくて、全体の中でこれをどう生かしていくのかという議論はしたいなと思っています。

どういう意味かちょっとわかりにくいかもしれませんが、例えば、消費者庁は一生懸命いろいろ活動をされておられますけれども、やはり中央でやっておられるわけです。そうすると、消費者問題、被害等は全国津々浦々で起こっているので、そことの連携というのは何らかの方法を考えても良いのではないかと思っています。ただ、突然そういう話を出しても、消費者庁側の考えもあるでしょうから、そういった議論をワーキンググループでしたいということです。もし、消費者庁さん側に抵抗があるとするならば、それを取り除くために何をやったら良いのかとかいう議論をさせていただきたいということです。

(問) 消費者安全調査委員会が、プールのことについて事故の再発防止を検討してまとめた。それはアンケートをして実態を明らかにしたということで、大変な大きな問題があるということが分かったということで、このままであれば事故の再発の可能性があるということまで指摘されて意見を出されているわけですけれども、気になったのが、行政が発布した大事な安全情報とかリスクの情報が、アンケートでは現場で把握されていないという事例も出てきたと。つまり消費者委員会の安全専門調査会で事故情報についての収集、発布の在り方ということも提案されていらっしゃるのですけれども、とても大きな問題として私自身も考えています。

これは把握していないということは、どこかで情報が遮断されたということも言えるわけで、安全調査委員会の報告書では、この理由については検討の余地があるということで、今後調べていく必要があるということかと思うのですけれども、消費者委員会としては、事故情報の在り方、収集、提供ということについて、安全専門調査会で出された提案を踏まえて、今回の件について委員長のお考えあるいは受け止め方なりをお聞きしたいと思いました。

(答) 今、消費者基本計画の工程表についての議論をしておりまして、本会議は5月10日でしたか。

(答・事務局) はい。

(答) そこで工程表の改定案に対しての意見を最終的に委員会として出すのですけれども、これまでの議論の中では、私どもは特に安全に関するところについては、事故情報をもうちょっと積極的に活用していくべきではないかと。その前提に立って、関係諸団体がもっと連携する仕組みをつくってもらいたいということをずっと言ってきております。

今ところ、連携するというのは、消費者庁が積極的に音頭をとって連携してもらいたいということを言っております。ところが、それぞれの団体はいろいろな事故情報を持っているのでしょうけれども、それぞれの団体で集めているのでしょうけれども、それを全体で使えるような状態にまで整理はできていません。先ほど、収集と提供と言いましたけれども、そこで消費者庁が中心となってデータを、同じようなフォーマットとは言いませんけれども、できるだけみんな共有できるような形で情報を収集するようなことを検討してもらえないかということを言ってきているところです。

一遍に事故情報がうまく活用できる仕組みというのはできないでしょうけれども、少なくとも関係する団体、機関の方々は、ビッグデータを活用していくことの意義について理解を深めてもらう、そこから始めるべきではないかと考えているところです。正式な委員会としての意見は多分本会議のほうで出ると思いますので、私としてはそれぐらいしか今のところ言えません。

(問) 5月は消費者月間なのですけれども、消費者月間に対して、消費者委員会としての取り組みは何かありますか。

(答) 余り考えていなかったです。

ちなみに、私が学生たちに聞いてみたら、188はほとんど知らないです。

認知度を高めるための方策を考えないかということで、学生たちに今やらせているのですけれども、ぱっと考えたのは、来年で委員会、消費者庁は10年になるので、そういう若い人たちのアイデアを引き出すような懸賞論文とかをやっても良いのではないかとは思っています。でも、それは消費者委員会としてどうこうではなくて、私個人の意見です。

(問) 188の普及はとても大事です。今、委員長が個人的にとおっしゃったけれども、消費者生活センターとか消費者庁も沖縄国際映画祭で横断幕を広げて、何十万人も対象に188を宣伝して。

(答) 大変意味にあるチャレンジだと思います。ただ、あれで188が広まるかというと、まだまだ難しいと思います。

(問) ぎゅっと詰めたときに、188の普及は多分大事なことになってくると思うのです。だから、若者を対象として、では、どうやって普及をしたら良いのかという手だて、要するに、参加してもらう形で意見を言ってもらう場とか機会とか、論文でも良いのでしょうけれども、そういうものは多分大事なことになってくると思うのですけれども、委員会としては何か提案するとかはあるのですか。委員長の個人的なものはあるのですか。

(答) 私も個人的にはいろいろアイデアがあるのですけれども、先ほど言いましたとおり、もし学生たちが懸賞論文などにチャレンジするのであれば、元々誰のアイディアだったのかなどが問題になりますので、ここでは、発言すべきではないと思っています。御理解のほど、お願いいたします。

(以上)