高消費者委員会委員長 記者会見

2018年3月30日
消費者委員会

日時

2018年3月30日(金)15:00~15:18

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。

私からの報告は1件でございます。

本日の本会議において、お手元の資料のとおり、「消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見」を取りまとめました。

当委員会では、昨年12月に消費者基本計画工程表の改定に向けた意見を公表いたしましたが、消費者庁を初めとする関係府省庁などではその後、その意見も踏まえつつ、工程表の検証・評価及び見直し作業を行い、取りまとめられた工程表の改定素案は2月にパブリックコメントにかけられました。

パブリックコメントにかけられた工程表の改定素案については、2月14日の委員会本会議でヒアリングを行ったところでございます。

また、地方消費者行政の充実、成年年齢引下げ対応や適格消費者団体の機能強化などについては、個別に本会議でも扱ったところでございます。

今般の本意見については、このヒアリング結果や、これまでに当委員会にて行った建議・提言などを踏まえたものとなっております。

以下、概略を簡単に述べさせていただきます。

三つの柱からなっておりまして、「第1」は「全体的な事項」、そこにおいてはKPIや工程表の図の在り方について意見を述べさせてもらいました。

第2番目ですけれども、「第2」は「工程表の反映が必要な事項」において、ここでは具体的なことに言及いたしましたけれども、そこでは「成年年齢引下げ対応」、それから「地方消費者行政への支援」「適格消費者団体等への支援」「事故情報の収集、注意喚起等」の四つのテーマを取上げ、それぞれについて工程表に盛り込むべき事項を述べております。

最後の「第3」の柱ですけれども、そこでは「次期消費者基本計画に向けた課題」に関して言及しております。そこでは、次期基本計画に向けて検討すべき事項、2点について意見を述べております。

関係府省庁などにおかれましては、意見の各項目について積極的に検討の上、可能な限り工程表の改定原案等に反映させていただきたく思っております。

以上でございます。

質疑応答

(問) 3ページについてお伺いしたいのですけれども、特商法の省令の見直しの件なのですが、連鎖販売取引と訪問販売について、若年成人の判断力不足に乗じた契約につきましては行政処分の対象にするということなのですけれども、ここで言わんとするところは18、19歳の人たちは全て判断力が不足しているのだから契約してはいけないという意味なのかということが第1点です。

それから、ここで言う若年成人というのは18歳から22、23歳まで範囲を広げて、こういう人たちに対しては判断力不足があるかどうかを判断して勧誘しなさいという意味なのか。判断力不足のところの意味がちょっと曖昧なような感じを受けるので、そこのところをお伺いしたいと思います。

(答) 済みません。私も概念は明確にはよく分かっていないのですけれども、若年成人という言葉の中には18歳、19歳も入れようということだと思います。それを何歳までかというのは、ちょっと後で説明をしていただきます。

それで、連鎖販売のところについては、もともと省令の中に、未成年者に対する判断力不足に乗じて契約を締結させた場合の行政処分云々という規定があります。だから、そこを未成年者から若年成人という言葉に改めて、今回の民法改正の成年年齢引下げに対応する形をとろうということです。

それから、訪問販売のところについては同じ理由でございますけれども、老人その他という項目は既にあるのですが、ここに若年成人の判断力不足というものも追加して、より明確にしてもらいたいという意味でございます。

これはもともと当委員会が昨年の1月10日に出している意見書の中に書かれている内容です。そのような説明でよろしいですか。

(問) 若年成人というふうに言いますと、では年齢は幾つなのかということを業界の人は必ず聞くと思うのです。それで、現行でも連鎖販売取引の業界におきましては、20歳未満は自主規制で勧誘するのはやめようというところが圧倒的に多いのです。

だけど、今回成年年齢が18歳に引き下げられますと市場が拡大するということで、新たな需要が期待できるのではないかという意識を持っている事業者がおります。若年成人というのは言葉が曖昧なので、年齢をはっきりしていただかないと、業界では判断に迷うということなのです。そういうところに対しても、配慮をお願いすべきじゃないかということです。

(答) ちょっと確認したいのですけれども、業界としてはこれまでは若年成人という言葉を使ったときには、大体18歳くらいまでを含めて考えておられたということですか。

(問) それは分かりません。それで、大手の中には成年年齢が引き下げられるので、現段階では20歳未満は勧誘を禁止しているけれども、成年年齢が18歳になったならば新たな対応を考えるというように言葉を濁しているのですが、そこには勧誘したいという意図が込められていると思うのです。ですから、ここをはっきりしないと業界は具体的な対応に迷うので、明確にしていただきたい。

この間、この件についてのヒアリングで、消費者庁の方はこの規定は曖昧なので、年齢で区切るか、あるいは勧誘行為によって規定するかについて現在検討中であるというようなお話だったと思うのです。そういうことも含めて、単に若年成人の判断力不足に乗じてというふうにすると、実際の事業者は対応に迷うのではないかと思います。はっきりしていただければ有り難いということです。

(答) 分かりました。では、御意見として承ります。そこの若年成人という概念ですね。実際に何歳までなのかということですね。

(問) あとは、ついでに申し上げますと、業界の中で特定のグループが集まって勉強会みたいなものを開いているグループもあるのですけれども、そこでは25歳未満は勧誘しないような自主ルールにしてはどうかというような提案がされているということもございます。

(答・事務局) では、補足させていただきます。

委員長からお話がありましたように、こちらの意見というか、指摘につきましては、昨年の1月にまとめた成年年齢引下げ対応のワーキングを踏まえた形での意見となっています。

そのときに、若年成人という形で、概念という形で打ち出しましたけれども、そこではおおむね18から22、23歳というところで、特にそこはワーキングで指摘があったのは、やはり今の若者については一律に年齢で成熟ということではなく、段階的に成熟をしていくものであり、18とか22、23歳の間はその過程にあるということで、その中で18から22、23歳の年齢層が消費者被害という致命的な形で取り返しのつかないことになるのはやはり問題である。何らかの形で18から22、23歳の年齢層についても対応が必要ではないかということで、いろいろな点について検討したということはあります。

その中の一つで、特商法の話として、先ほど、委員長からお話がありましたように、行政処分に関しては、連鎖販売について未成年者は判断力の不足に乗じてという明確な規定がある。

それから、訪問販売についても老人その他については明確な規定があるわけですけれども、問題意識としては今、申し上げたように若年成人について、成熟という形で見ると難しい面があることを考えると、やはり年齢層についても配慮というか、そういうものが必要ではないかという問題意識の下、この特商法の省令についても若年成人というようなものについて位置付けることを検討してほしいと提言をした経緯があります。

(問) 若年成人という場合、例えば今回の場合、新しく成年になった18、19歳について、連鎖販売取引は禁止する、勧誘してはならないというような規定を設けるようなことをお考えなのでしょうか。

(答・事務局) ワーキングで、そこまで踏み込んでの結論ということではなかったかと思います。

ただ、業界の自主ルールで、別のところで関係の団体の方からお話も伺いましたけれども、自主基準で、例えば若年成人層ということで、中でルールを決めて充実させていただき、対応を図っていただくということも一つの方策としては十分有り得るのではないかということもワーキングでは指摘させていただきました。

(問) 分かりました。

(問) 「全体的な事項」の中の(1)「KPIについて」という御意見があったかと思うのですけれども、工程表の中でも例えば講師を何回派遣したとか、研修を何回開催したというようなことがKPIとしてたしか挙がっていたと記憶しているのですが、委員長としてもうちょっと具体的にこうしたKPIにしたらどうかというお考えみたいなものはございますか。

(答) 委員の間から出ていたのは、何人派遣したとか、何回やったというだけでは、それは結果なのかもしれませんけれども、効果そのものが見えてこない。だから、これは工夫しなければ、なかなか難しいのですが、そういったものも検討してくれないかということです。今までは、ただ単に人数とか回数だけでやっていたものを、効果という視点から改善してもらいたい。つまり、PDCAを回して、新しいKPIを考えてやってくれないかということです。

少なくとも消費者庁等は知恵を出してそれをやるべきではないかということを今まで再三言ってきているということです。

(問) 判断力不足というのを判断するのは、何か基準みたいなものは考えていらっしゃるのですか。

(答・事務局) 特にワーキングのところで判断力不足について、いわゆる行政の執行とかの観点のところということですね。

(問) はい。

(答・事務局) そこまで踏み込んだ議論はしてはおりません。

(以上)