高消費者委員会委員長 記者会見

2018年1月17日
消費者委員会

日時

2018年1月17日(水)16:00~16:10

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長)

それでは、私から報告をさせていただきます。報告事項は1件でございます。

消費者委員会は本日の本会議において、公共料金等専門調査会の意見を了承し、「中部電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する消費者委員会意見」と「四国電力による伊方原子力発電所3号機の再稼働後の追加フォローアップに関する消費者委員会意見」を取りまとめました。

中部電力に関しては、平成26年度に電気料金の改定を行った中部電力に対する原価算定期間終了後の事後評価について、消費者庁からの付議を受け、公共料金等専門調査会においてフォローアップを行ったものです。

また、四国電力に関しては、原価算定期間終了後のフォローアップに関する消費者委員会意見を平成29年4月に発出しましたが、その後、現行料金原価に稼働を織り込んだ原子力発電所伊方3号機が平成28年9月より再稼働したことを理由に、公共料金等専門調査会において平成28年度についての追加フォローアップを行ったものです。

専門調査会の意見についてポイントのみを申し上げます。ここに座長がいらしているのですけれども、まず私から申し上げます。

中部電力について、現行料金は妥当としつつも、平成26年度の料金の値上げは、浜岡原子力発電所の停止によるコスト増を主な理由とするものであったことから、原子力発電所の再稼働が進展し、そのコストが縮減した場合には、原則としてコスト減に対応した値下げが行われなければならないと述べております。

他方、四国電力については、料金原価に織り込んだ伊方原子力発電所3号機が平成28年に再稼働しましたが、販売電力量の減少による収入減を主な理由として料金値下げが困難との説明がありました。しかしながら、販売電力量の減少程度は、他社と比べて少なく、また、経営効率化の金額は他社よりも少ないことから、同社には、経営効率化のための更なる取組が求められるとともに、経営効率化の成果を消費者へ還元する努力が必要であると述べております。

また、今後の課題として、原発再稼働等に伴う費用の低減などに伴い、規制料金の値下げが適切に行われるかについて、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会により、適切な監視が行われることなどを求めております。

今後、当委員会は、消費者庁とともに状況を注視してまいります。

以上でございます。

質疑応答

(問) 四国電力への意見で、これは経営効率化ができた場合にはという条件付きでの要望ということでしょうか。

(答・公共料金等専門調査会古城座長)  もう一度、質問をお願いできますか。

(問) 四国電力への意見について、今後、消費者へ還元していく努力が必要であるという部分は、まずは経営効率化を進めて、その結果そういった余裕が出ればという条件付きの意見ということでしょうか。

(答・公共料金等専門調査会古城座長)  そういうことです。他社並みにもう少し努力して欲しいということが入っています。

(問) 15日に、公益通報者保護制度に関する諮問があったかと思うのですけれども、今後、審議が進められていくと思いますが、現時点で構いませんので、どのような点に留意されて進めていきたいかということと、もう一点は、いつ頃までに意見をまとめたいかという2点を伺いたいと思います。

(答) いつ頃までにまとめるかというのは、私は今、答えられないのですけれども、どういった点かというと、諮問を総理大臣から受けておりますので、主な点は、現在の公益通報者保護法の規律の在り方が妥当なのか、有効に機能しているのかという話です。もう一点が、行政の果たすべき役割について、もう一度、検討してもいいのではないか。この2点が主な柱になります。

多分、もう少し細かいことを聞きたいという話なのでしょうけれども、公益通報者保護制度に関する意見というのを平成25年7月23日に消費者委員会が出しておりまして、いろいろな論点があるのですけれども、まとめたところを申し上げますと、事業者にこういった制度を作るのを義務付けるかどうかという話です。多分、ほとんどの事業者は、特に大会社とか上場会社の場合には内部統制システム構築義務がありますので、その中で、こういう仕組みを持っていないところはないと思うのです。だから、仮にこれを整備、義務付けるということを設けても、多分、大きな会社からはそれほどの抵抗はないと思います。問題は、中小の企業といったところをどうするかというのが論点になるのかなと思います。

それから、事業者側に通報した場合に、通報者から受けた情報の管理がきちんとできているのかどうか。特にそこの漏えいとかが起こったときに、事業者に対してどのような対応をしたら良いのかとか、挙げるといっぱいあるのですけれども、要するに、在り方をもう一回洗い直してみる。例えば通報者の対象も、現在の従業員だけなのか。それは現実的ではないだろう。むしろ辞めていった人とか取引先といったところも入れていくべきではないか。もし御関心があれば、主な論点というのがございますので、お見せします。

それから、行政への対応については、消費者庁の役割をもうちょっと明確にしようということを議論してもらうことになるのではないかと思います。行政へ通報するときに窓口がたくさんあったら、通報者としてもどこに通報して良いかが分からない。それから、そもそも通報要件に該当しているのかどうかも分からない。御自身で464の法律を調べて、これに該当するかなどということを通報者に求めることは非現実的ですので、行政の受皿をどう作るのかということも議論の大きなテーマになると思います。

(答) 四国電力のフォローアップについて一言申し上げます。

もう説明いただいたとおりなのですけれども、専門調査会の意見を読んでおりまして、例えば燃料価格は下がっているわけですね。だから、コストが減っている。それに対して販売量、収入が増えているかというと、これは減っているということなのです。だから、売上げが減って、原価が下がった。その結果、利益の幅はどうなったかというと、かなり余裕はあるのです。ただし別の理由で、利益があるときにこういうことをやりたいということで、ある会計上の処理をされたのですけれども、そういった対応についてもこれからきちんとウォッチしていくし、本質的なところは経営の効率化に努めてもらって、それを消費者に還元してもらいたいという意見です。

我々は、この意見を委員会の意見とすると判断したのは、今、申し上げたように、かなり細かいところまできちんと捉えて、検討して意見を出していただいているので、委員会としてもこれを我々の意見とするという結論を出した次第です。

(以上)