高消費者委員会委員長 記者会見

2017年11月24日
消費者委員会

日時

2017年11月24日(金)16:00~16:17

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。

私のほうからは、報告事項は今日は2件でございます。1件目は「消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定に向けての意見」についてでございます。

現在、消費者庁及び文部科学省において、消費者教育の推進に関する法律に基づき、平成25年6月に閣議決定された「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の改定作業が行われております。

消費者委員会は、11月8日に消費者庁と文部科学省に対して「消費者教育の推進に関する基本的な方針の改定に向けての意見」を発出いたしました。

基本方針は、おおむね5年ごとに見直されることになっており、今般の基本方針は平成30年度からの5年間が対象となりますが、今回、当委員会は、この5年間で重点的に取り組むべき事項として、以下の4つを指摘させてもらいました。

1番目、基本方針において、成年年齢の引下げを見据えた消費者教育の充実に向けた対応に重点的に取り組む姿勢を打ち出すこと。

2番目、平成30年度以降、新学習指導要領が順次実施される機会を捉え、学校教育における消費者教育を一層充実させること。

3番目、社会人、高齢者などの消費者教育の機会をあえて設けなければならないライフステージにある消費者への取組を重点事項として意識して行うこと。

最後に4番目、消費者教育の効果測定について、単に知識の習得状況を把握するだけでなく、消費生活における姿勢・考え方、具体的な行動をどう変化させたかなどを把握し、効果の最大限の発揮に向けた改善につなげること。この4点でございます。

当委員会では、基本方針の改定に当たり、これらの事項について議論を深め、基本方針に盛り込まれることを期待しております。

同時に、今般改定される基本方針においては、当委員会のこれらの指摘も参考に、消費者教育における今後5年間を見据えた重点事項が明示され、政府全体の共通認識となり、その取組が特に進展されることが必要と考えております。

当委員会としては、今回発出した意見の基本方針改定案への反映状況等について引き続き検討し、必要に応じて意見表明を行っていくこととしております。

2点目は「消費者問題シンポジウムin和歌山」の開催についてでございます。

お配りしております資料のとおり、12月16日の土曜日、NPO法人消費者サポートネット和歌山と共催で「消費者問題シンポジウムin和歌山」を開催いたします。

タイトルは「消費者被害をなくすために~官民連携した地域での取組~」をテーマに、消費者被害の未然防止に熱心に取り組んでおられる和歌山の消費者団体の方、県及び市の消費者行政担当者、企業の方を交えたパネルディスカッションを行います。消費者委員会からは、コーディネーターと基調講演を池本誠司委員長代理が務めます。

報道機関の方におかれましては、社内和歌山担当支部など連携していただき、取材をしていただければ幸いに存じます。

私からは以上2つでございます。

質疑応答

(問) 11月8日付けの消費者教育の推進に関する基本的な方針の意見なのですけれども、これは今後も反映状況等については引き続き検討に応じということで意見表明を行っていくこととするということですが、委員会のほうで消費者教育についての何かセッションとか、担当であるとかというものは設けられているのでしょうか。

(答) 設けております。担当者はそれぞれ大体テーマごとに2人ずつ着いていて、大森委員と長田委員ですね。この推進会議の基本方針について、今後責任を持ってトレースする。もちろん委員会もやるのですけれども。

(問) 推進会議のほうで確かワーキング・グループを作って、消費者教育を実質的に教える側になる先生方を対象とした消費者教育をどう推進するかということの検討とか、確かワーキング・グループのほうで検討課題になっていたと思うのですけれども、消費者教育推進会議のほうについても、消費者委員会として御担当の方々がいろいろ出たりなどして意見を言えるものなのでしょうか。

(答) これについては、事務局の方より説明させて頂きます。

(答・事務局) 委員が直接そこに出てというのは難しいです。呼ばれれば別ですけれども。

(問) 呼ばれればということですね。

(答・事務局) 呼ばれるといってもおそらく事務局がということであると思いますけれども。ただ、消費者教育推進会議でどういう検討がされたかということは、今後も引き続きいろいろ消費者庁から御報告いただいたりという機会はあると思います。今、委員長が言われた担当というのは、基本方針を定めるときに消費者委員会の意見を聞くとなっているので、その前提として、前もってなるべく反映されるようにということで意見を出したということで、その御担当が先ほどのお二人の委員ということです。

(問) もう一つ、今日の委員長会見の一つのテーマとして、今後の消費者委員会の方向とか在り方とか、大きなテーマだったような気がするのです。今後ということになると、前は基本計画の対応についていろいろ委員の方々との間で意見をお聞きしたりなどする中で御担当を決めつつ推進していく、検討していくということでしたけれども、これまでの意見やこれまでの建議、これまでの提言に対するフォローアップのヒアリングなど、今日は電気通信事業法のあれとか、食品表示の点についてということでしたが、今後の予定としては他に何かありますでしょうか。

(答) 言える段階になったらお話をしたいのですけれども、とりあえずどういう方向に行くかというのは、委員の間で議論をしているところです。

先ほど言いました消費者教育推進に関する基本方針や消費者基本計画、これらについても、現在、相当な時間を割いております。そこをまずかちっとやった上で、新たなことをどうやるのかというのは、多分来年に入ってからになると思います。よろしいですか。

(問) 分かりました。

もう一つ、つい先日、三菱マテリアルの件が出ました。報告書としては神戸製鋼のほうは出していますけれども、いろいろな形で、ある種消費者志向経営という観点からいったときに問題があるようなことが続いている。あるいは、もっともっとこれからのあれで影響が出るようなことになっているのですけれども、委員長のもともとの御専門の分野でもあるかと思うのですが、個人的な御意見でも良いですし、委員長としての意見でも良いのですが、こういう状況についてどうお考えなのか、感想をお聞きしたいと思います。

(答) 以前、消費者庁のほうで消費者志向経営というのは推進していこうことで、ガイドラインのようなものを作成しましたけれども、あの中で強調したかったのが、いろいろあるのですが、消費者志向経営と言うと、すぐにB to Cの話ばかりになるではないですか。そうではなくて、実はB to Bもこの運動に取り組むべきだという議論になりまして、報告書は、その趣旨をまとめております。B to Bの会社は、直接消費者に商品を販売するわけではありませんけれども、最終的に利用するのは、消費者、市民、利用者に行き着くわけで、そこのところを意識した経営をやれば、多分こういう問題は起こらないのではないかと思っております。これは消費者庁さんがやることでしょうけれども、この運動の中には、食品会社や保険会社が入っておりますが、私はB to Bの会社にも積極的に入ってもらって、消費者志向経営に取り組んでもらいたいと思います。

(問) 今の入っている入っていないというのは、要するに消費者志向経営宣言をされた事業者が消費者庁のホームページで五十何社とか発表されていますけれども、そのことをおっしゃっているのですか。

(答) そうですね。だから、宣言する企業を、消費財を扱っている会社だけに限定する必要はないと思うのです。そのように報告書も書いているのです。B to Bの会社にももっと呼びかけていくべきだと。B to Bであるがゆえに、最終の利用者・消費者の利益を考えない、逆にその辺りが手薄になっている会社さんが多いと思いますので、最後の製品の利用者は誰なのかというところまで考えるようになれば、こういった問題は起こらないでしょうし、あるいは、もうちょっと早い段階で声を上げる社員が出てくると思うのです。今回どういう経緯でこれが表に出てきたのかは知りませんけれども、三菱マテリアルさんの本社は、コンプライアンスに関し、それなりに取り組んでいたと私は見ています。だから、監査の中かあるいは社内の通報で子会社の話が出てきたのでしょうけれども。ただ、対応が遅かったですね。すぐ公表しなかったのは失敗だなと思っております。

(問)  先ほどの本会議で、加工食品の原料原産地表示で、事業者は100%と消費者は55%の目標値が説明されたのですけれども、各委員、正反対の意見などいろいろ出ていましたけれども、100と55に対して、高委員長はどのように受けとめられていますでしょうか。

(答) 結局理解度という概念をどう定義するかということですね。かなり浅く捉えれば、あの目標値は低いのではないのということになる。逆に、相当深く理解した上で消費行動が起こるという意味で「理解度」という言葉を定義すれば、多分55%というのはかなり高い数値になるのではないかということです。だから、定義の問題になる。ただ、今日の説明だと、まだ定義が明確にできていないではないですか。今後いろいろやった上で、その結果を見て理解度という概念を明確にする。だから、とりあえず消費者庁としては55%ぐらいで言っておくのが合理的かなと思って、今回、おっしゃったのではないかと思います。もちろん今後理解度という概念を我々も見た上で、その程度の概念だったらもっと高い数字でも良いではないかとか、もうちょっと厳格なものにするのであるならばそれも納得できるというような対応を、委員会としてするのではないかと思っております。

(問) 全然別件で、機能性表示食品の葛の花由来のイソフラボンで16社が一気に景表法の措置命令を受けたのですけれども、機能性表示食品制度を監視する立場にある消費者委員会として、この件についてはどのような受けとめをしているかという点についてお願いします。

(答・事務局) 機能性表示食品制度を監視するのが消費者委員会の立場というのはどういうご趣旨か、もう少し御説明を加えていただければ。

(問) 消費者庁の制度運用などを監視していく立場にあるかと思うのですけれども、そういう意味で、今回機能性表示食品制度で初めて大型の案件が出たと。この件についてどのような印象を持たれたかというところをお願いします。

(答) 制度そのものを監視しているわけではないのですけれども、うまくいっているかどうかということについては、大変高い関心を持っています。消費者庁としても今回の件を受けて、それだけではなくて、施行後2年間どういう状況になっているかということはトレースした上で、検証した上で、制度の見直しの議論もやりますので、そこは委員会としてウォッチしていきたいと思っております。

16社がこういう問題を起こした、これは景表法の問題ですけれども、処分を受けた後の対応がそれぞれ16社、皆同じではなかったわけですね。だから、こういうものも参考にした上で、どういう制度設計にしたら事業者側の協力をもらえるのかとか、調査するのでもある程度の協力ももらわなければいけない、あるいはそれにほとんど協力しない忌避的な行動をとる会社さんがあるならばどういう措置が必要なのか。今回の経験を踏まえて、運用や執行に関して、今後、委員会として意見を述べさせていただけると有り難いと思っています。

(以上)