高消費者委員会委員長 記者会見

2017年10月20日
消費者委員会

日時

2017年10月20日(金)13:00~13:15

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(高委員長) お忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。

委員会からは、1点だけ御報告がございます。

お手元にお配りしております資料に記載のとおり、明日10月21日土曜日、消費者ネットワーク岐阜と共催で「消費者問題シンポジウムin岐阜」を開催することになっております。「岐阜県における高齢消費者被害防止の取組」をテーマとして、消費者被害の未然防止に熱心に取り組んでおられる岐阜県の消費者団体の方、県及び市の消費者行政担当者の方、福祉行政担当者の方、商工行政担当者の方、それから消費者庁の担当課を交えたパネルディスカッションを行うことになっております。

本委員会からは、パネリストと基調講演を増田悦子委員に務めてもらうことになっております。報道機関の方におかれましては、社内、岐阜担当支部などと連携していただき、取材をしていただければ幸甚に存じます。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、以上1点でございます。

質疑応答

(問) 委員長は就任されて2ヶ月ぐらいたたれたということと、委員長として、これまでの消費者委員会の中で運用とか検討課題、12月から特商法の改正法が施行されるとか、委員長が内閣府のとき、審議会とか何かで不当利得の吐き出しのことについて課徴金のことをいろいろおっしゃっていたりとか、そういうものが課徴金制度として当然されていますけれども、この2ヶ月の中で何かお気付きの点とか、これこそやりたいものだということで何かあればお聞きしたいというのが1点目です。

(答) ありがとうございます。

第5次の消費者委員会としてやるべきこと、私自身がやりたいこともありますけれども、委員の方々もたくさんやりたいことがございまして、今、とりあえず皆様方の希望を出していただいて、その中で整理しているところでございます。

まだ明確にこれとこれを進めていくというのは、最終的な結論には至っていませんけれども、目玉となるようなものを幾つか絞り込んでいるところでございます。

現在、この程度しかお話しはできません。

(問) もう一つ、今、総選挙に入って、そういう報道に偏るというか中心になっているのですけれども、消費者問題としてもこれから大きな問題になりそうな、企業の社会的な責任とかCSRのこと、委員長がずっとやってこられた例えば自動車メーカーの完成車の検査体制の不正であったりとか、どこまで範囲が広がるかわからないけれども、アルミとか基礎原材料のグループごとのデータ改ざんということに関して、消費生活にどこまでということなのですが、ただ、経産省であったり国交省であったり各省庁が中心になっていますけれども、今のところは消費者庁が個別の情報収集とかで対応していると私は理解しているのです。

消費者委員会として、こういう状況に対して何かをプッシュするとか、何かをしなくてはいけないという思いはどうでしょうか。

(答) 個人的にはいろいろ言いたいのですけれども、委員会として、これに深く首を突っ込んでいくというのは、今の状況では時期尚早かなと。事実関係がまだ分かっておりませんので、消費者への影響はまだよく分かっておりません。

ただ、改めて、それぞれ日本を代表するような有名な会社ですね。そういう会社のコンプライアンスの体制とか内部統制の仕組みは、上場会社であれば、私は比較的よく出来ているのだと思っていました。2006年の会社法の改正から、もう随分時間もたっていますし、当たり前のようにやられているものだと思ったのですけれども、こんなに初歩的な問題が出てくるのかということで、二つの会社の話ではなくて、BtoBの会社であっても最終的には利用者は、消費者、生活者のところに影響してくるわけです。だから、BtoCだけではなくてBtoBについても内部統制とかコンプライアンスの体制の見直しをきちんとやるべきだろうと思っています。

見直しというのは、ただ単に「見直しました」ではなくて、通常、こういう取組をするときは、それぞれの会社の中の担当部がリスク評価をちゃんとやらなければいけないと思うのです。リスク評価というのは、現場でやるべき手続を踏んで検査をやっているかとか、それをやっていないとすれば大きなリスクなので、これに即した改善措置をとるように、という指示を出し、それが確実に動いているかまで確認する必要があります。今回の問題は、そもそもリスク評価などやらないで今、ずるずる来ているのかなということを感じます。

さらに言うと、これは委員会の話ではなく私個人の感想ですけれども、そもそもガバナンスのところで、そういう管理部門の人たちの発言力が落ちているのではないかと思うのです。利益を上げようと思えば、当然それぞれの事業部の責任者の発言力は取締役会で大きくなりますね。これに対して、管理部門はコスト部門ですから、利益にかなり偏重した取組をしていればいるほど、管理部門所管の取締役の発言力は落ちていきます。そうすると、今、言いましたように、リスク評価なども今までやっていたことの繰り返しだけで、改めてきちんと法令遵守の総点検もほとんどやっていなかったのではないかと思います。そういう意味で、日本を代表するような会社でこういう問題が起こっていることについては、非常に残念に感じています。

消費者問題については、今、消費者庁に対応してもらっていますので、その後の状況を見た上で、委員会が何らかのアクションを起こす必要がある場合には、ここでお話をさせていただきます。

(問) 確認なのですけれども、先ほど、委員の方々に対してどのようなことをやったらいいかという意見をというのは、どういうことでしょうか。どのようなことがありますか。

(答) それぞれ御自身が関心を持っていることを出してもらって、こちらで整理をしているのですけれども、その中で、消費者教育推進会議の方で出している基本方針の内容に関して、我々の意見を整理する作業をやっております。

もう一つは、消費者基本計画に対し、我々は評価や監視をやらなければいけないわけですが、その一環として、基本計画の内容に関し意見を表明する場面がこれからあります。まずは、この二つの作業を進め、各委員が関心を持っている個別テーマに担当を振り分けているところです。

抽象的でわかりにくいかもしれませんけれども、例えば、仮想通貨とかフィンテックとかいう問題に委員として関心のある方がいれば、全員が一緒に取り組むのは効率がよくないので、二人ずつぐらいでチームを作ってとか、食品表示の周知・広報の効果の検証に関心を持っている方にはその作業をやっていただいて、それを基本計画の内容に反映させるとか、あるいは基本計画に反映できないのであれば、独自に新しい部会とか調査会を設けて作業を進めるという整理を今、行っているところです。

もう少ししましたら、具体的な内容を報告できると思います。

(問) ということは、新しい部会とか専門調査会を状況に応じて設置していく可能性もあるということですか。

(答) そうですね。

(問) それに合わせて、委員の方々の担当を決めていくということですか。

(答) 担当というか、意見ばかり言っていて、なかなか成果が出てきませんので、誰が中心になってやるのかを明確にしてやりたいと思っています。

(問) あわせて、最初の記者会見で4次からの引継ぎとおっしゃっていましたけれども。

(答) それと兼ね合わせて、作業を振り分けているところです。4次からの引継ぎは、ちゃんとやっていかなければいけません。

でも、今いろいろ振り分けているところですけれども、やることは本当にたくさんありますね。漏れのないようにやろうと思っております。

(問) 以前の会見でも出たかもしれないのですけれども、消費者団体の被害回復訴訟の制度が始まって1年たったところで、まだ目立った動きというか、提訴でという動きはまだ出ていないのですけれども、委員長がかねてから支援基金の創設とかスマイル基金にも関わっていらっしゃるお立場から、そういった資金面の消費者団体の課題についてどうお考えかをお聞かせください。

(答) 委員会として、まだ結論が出ていませんけれども、財政的な支援については、現状把握について、今の段階ですけれども、きちんと調査をしようということです。それに対して今、資金が足りないとかいう結論は、まだ出す段階にはない。あるいは予算をどのようにつけるかとかは、今少し状況を把握した上で、委員会の中で議論をやっていこうと思っています。その結果、具体的な提言を出せるものであれば、出していきたいと思います。

低調であると言いますけれども、法律は過去に遡って執行できない、この制度を使えないわけですから、残念ながら、問題としてこれは使えるのかなというものが出てきても、問題行為が、法が施行される前の話が多いものですから、正直、私は、この部分はじれったく感じています。

(問) 資金面の調査の今後の見通しみたいなものはあるのですか。

(答) これも委員を決めて、地方自治体の支援と、消費者団体の特に訴訟を行う団体が中心になるのでしょうけれども、そこの支援の状況がどうなっているのかを確認して、多分、不十分だというのは分かるのですけれども、そこから話を始めなければいけないと思います。

(問) このシンポジウムは、委員長は出られないのですか。

(答) 済みません、私はもう既に予定が入っておりまして、伺うことができません。もうちょっと先のものについてはできるだけ出るように、調整しているところです。

(問) 今年の2月に消費者委員会が、珍しいと思って、良いシンポジウムでした。子供の広告について、広告規制の在り方とか海外の比較とか、自主基準があってもなかなかできないということをシンポジウムとしてやったのですけれども、消費者委員会のシンポジウムとか、こういうものは地方に行ってやるわけですが、こういう御予定はまだこれからですか。

(答) 良い御指摘ですね。これは委員の方から出たのですけれども、地方で行うこういうシンポジウムと同時に、中央でやるという言い方が良いのかどうかわかりませんけれども、かなり多くの方を巻き込むような大規模なシンポジウムも年1回やろうという話になっていて、これも担当者をつけて進めようとしています。どういうテーマにするかは、まだ決まっておりませんけれども、今、計画しているところです。

今年の2月のシンポジウムが非常に良かったのですね。

(問) 子供の広告ということでしたけれども、提案とか提言とか、各シンポジストの方が良い指摘を出されたのです。

(答) わかりました。

(以上)