河上消費者委員会委員長 記者会見

2017年7月25日
消費者委員会

日時

2017年7月25日(火)17:30~18:05

場所

消費者委員会会議室

冒頭発言

(河上委員長) 御報告することは1件だけでして「消費者問題シンポジウム in 新潟」の開催についてでございます。

お手元にお配りしております資料のとおり、来月8月19日の土曜日、NPO法人消費生活ネットワーク新潟と共催で「消費者問題シンポジウム in 新潟」を開催いたします。

テーマは「これからの消費者教育を考えよう」ということでして、消費者教育に熱心に取り組んでいらっしゃる新潟の消費者団体の方、教育現場にいらっしゃる方、県の消費者行政担当者、そして、消費者庁の担当課を交えたパネルディスカッションを行う予定です。

消費者委員会からは、パネルディスカッションのコーディネーターを樋口一清委員が引き受けており、私が基調講演を務める予定でおります。

報道機関の方におかれましては、社内の新潟担当支部などと連携していただいて、是非取材をしていただければ幸いです。

新潟も適格消費者団体を作りたいというお気持ちがあって、日本海側で最初に作ると意気込んでいらっしゃったのですが、金沢にできましたので、2番手になったというようなことをおっしゃっていて、今から準備をして少しずつ適格消費者団体に向けた活動をしたいという気持ちで、最初の取組ということですので、応援してあげていただければと思います。

以上です。


質疑応答

(問) 第4次の消費者委員会の任期が8月かと思うのですけれども、それまでのスケジュールはどんなことをやるか。もうせっぱ詰まっていますけれども。

(答) いろいろございます。まず、‘店開き’している専門調査会がありますので、第4次の任期中に答申に向けた最後の取りまとめをしたいということです。8月の頭ぐらいまでに一定の取りまとめをする予定です。

もう一つ、食品表示部会でも一定の取りまとめ作業が進みつつありますので、これが最終段階にあると思っております。

そのほかにも内部的に調査をしている問題がございますので、その報告書などもまとめていかねばなりません。まとめていくためには、本会議である程度意見交換しないといけませんので、そうしたものも入れる。

若干のフォローアップも必要な問題がありまして、例えば、前に倒産した日本ライフ協会の身元保証サービスについての建議を出しましたけれども、そろそろ6カ月になりますので、フォローアップもやっておこうと考えているところです。

やるべきことが結構ありますので、任期の最後までに何とか宿題を終えたいと思います。夏休み最後の子供みたいな気分でおります。

(問) 本日の委員会は最後までいなくて、お話が出たかと思うのですが、最初、今日は特商法のことも検討が予定に入っていたようにあるのですけれども、無くなっていましたが、何か検討課題などはあるのでしょうか。

(答) 今回の政令改正に伴って、いろいろ、こういうことも考えられますねということがございましたので、その検討を消費者庁にお願いしている部分があります。諸般の事情から、当委員会への諮問について少し検討したいということで、先送りになりました。経緯の詳細については、むしろ消費者庁の担当課に御確認いただければと思います。

(問) 本日の議題について、地方消費者行政に関し消費者庁が出した方針についてなのですが、消費者委員会は3回建議を出していて、その建議の内容については全く無視されている内容になっていると思うのですが、これについてはいかがお考えなのでしょうか。

(答) 無視されているとは思いませんけれども、この問題は消費者委員会が始まって以来の課題です。地方消費者行政に対する充実・強化というのは、今後とも一層求められるということは間違いない。特に、行政推進交付金が今年度で一区切りを迎えるということになりますので、地方消費者行政の充実・強化に向けた国の支援の在り方をどうするのかということを具体化するのは喫緊の課題で、その点は恐らく消費者庁も同じ認識なのではないかと思います。

今回の報告書は一つの一里塚ですので、これを基に、少なくとも地方消費者行政の取組が後退しないように切れ目の無い支援を行ってくださいということを申し上げたところです。

今後も消費者庁による具体的な取組の内容を注視して、必要に応じて検討し、意見を述べていくことは継続していきたいと思っております。

(問) 検討会を見ていて、もう最初に結論があったのではないかと思いながらずっと拝見していたのです。もう先駆的プログラムについて、1年間で見直しがなかなか困難だというようなヒアリングを中心に設定していて、新たな交付金でしか国を説得できないという前提条件の中で進んできているように見えるのです。消費者庁が言っているように、我々がお金を出すから、それを置き換えてしまって自分たちの予算を増やさないという見方なのですけれども、今回、このほうが逆に積極的でこういう自治体が増えるのではないかという見方をしていると私は見ているのですけれども、現実的に市町村の行政職員などで実際に消費者行政に携わっているのは、10%未満のところが8割ぐらいだったと私は記憶しているのですが、そういう状況の中で、こういう見方で本当にいいのかなというところをすごく危惧していており、やっとここまで来たのにといった思いです。

それから、日々、一年一年対応が変わったり、プログラムが変わったりする中で、なかなか消費者庁と付き合いにくいようなイメージを現場の人たちが持っているという感触も持っていまして、ここのところをもっと早く何とかしていたら、本当に地方の消費者行政はもっと進んだのではないかという思いがずっとあるのですが、どのような感想や感触を持っていらっしゃいますでしょうか。

(答) 私もよく分からないのですけれども、地方に行ったら交付金の使い勝手が悪いとか、そもそも人件費としてあれは使えなかったですね。ですから、インフラを整備するのだったら、その整備目標をちゃんと立てて、そのインフラ整備のためにこういうことでやってくださいというように、ある程度具体的なスケジュール感を示しながら交付金を使ってもらうというほうが本当は良かったのではないかと個人的には思います。

ただ、国のお金を地方の自治事務のためにどういう形で出していけばいいのかというのはそう簡単な話ではないようで、理屈として難しい部分があって、それを消費者庁なりに克服して予算が取れるような仕掛けを考えようとやってきているのでしょうけれども、必ずしもそれを皆さんが理解してうまく乗り切れなかったということはあるのだろうと思います。

地方自治体の首長の方々の意識も、地方で温度差があって、自分のお金でやるほどの力は無いのだというようなことをおっしゃるわけです。「金の切れ目は」と笑いながらおっしゃった知事もいました。ですから、地方の財政事情が非常に厳しい中で、ひも付きでないお金が来たときに、どうしても喫緊の課題にお金を回してしまうというようなことが起きてしまったのだろうと思います。

消費者庁下の地方消費者行政もやっと7から8年、言わば、立ち上がって歩き始めた子供ですから、もう少し継続的な支援を必要としていることは間違いないと思います。

(問) 機能性表示食品の件なのですけれども、目のピント機能調節の食品をめぐって、食の安全・監視市民委員会が、消費者委員会にも、経緯について要請書を出していたと思うのですが、これに対しては、消費者委員会は対応をされているのでしょうか。

(答) 食の安全・監視市民委員会からの意見書は7月10日に当委員会にも届いております。この問題については、要望書にも記載されているように、4月18日に開催した消費者委員会で、消費者基本計画工程表のフォローアップの一環として機能性表示食品のヒアリングを行った際に、消費者庁に対して対応状況に関する質問を行った記憶がございます。残念ながら、個別案件であるからという理由で、詳細な回答を得られなかったところであります。

今般、情報開示請求などによって開示された情報もあるということですので、現在、消費者庁に対して、事務局のレベルで、状況確認を行っているところです。その結果を踏まえて、更にどのような対応が必要かを考えたいと思います。

(問) 要するに、診察したお医者さんは可能性があると言うけれども、証拠みたいなものとか確定はできないということをおっしゃっていて、あと、3人の専門家の方に意見を聞いて、その意見は他のいろいろな薬を飲んでいるのでその影響が強いのではないかというような御意見のようで、3人の意見を踏まえて、1例しかないということで、完全に安全であると結論付けているようなのです。

私たちとしては、事業者が会見をしてそういうことを言われるのではなくて、消費者庁がどう判断したかを知りたいと思っているのです。消費者庁がどう判断したかは今の段階では全く分からないままで、そして、機能性表示食品の重大事故が健康食品として公表されたままで、その後、何らの対応が消費者には見えないということなのです。

会見に参加した記者たちは分かっているのかもしれないのですけれども、参加しないと何も分からないという状況のままなのです。消費者目線からすると、より消費者に分かりやすい公表の仕方というのは、例えば機能性表示食品で重大事故をまず公表していただいて、それで、今、1,000もあるわけですから、風評被害になるとも余り考えられないのです。それで公表していただいて、ちゃんと調べて、問題がないと判断したら問題がありませんでしたと言っていただいて、問題があった場合は、やはり問題があったのでこういう対応を取りたいというように言っていだたくのが、消費者からすると、すごく分かりやすいのではないかと思うのです。今、何も分からない状態で、結局安全だったから問題ないでしょうみたいなことを言われても、機能性表示食品制度についての、制度の信頼性というものは本当に危ういという気持ちがあるのですが、いかがでしょうか。

(答) よく分かります。前に個別のサンプリングをして抜取り調査をした結果についての表示の仕方も情報提供の仕方も、とてもそっけなかったですね。本当にこれでは分からないのでということで、果たしてどのくらいのロットでそれが作られたのかとか、消費者が知りたい情報はもっとあるはずなので、消費者目線で必要な情報をできるだけ出すようにしてくださいというように要請しました。その際は表示の問題だったわけですけれども、今回の場合は、消安法上の重大事故の問題だったわけで、問題としては更に深刻です。

もっとも、因果関係の有無は、その事業者にとってみると死活問題ですから、消費者庁としては、個別の案件について、その因果関係がはっきりするまでは表示できない、情報提供もできないという態度を貫かれたのだと思います。その意味では、消費者庁としては重大事故の通報があったけれども、それについて、本当に重大なのであれば、食品の企業名も表して情報提供する仕掛けにしているわけですから、そうではなかったということは、そういう情報があったという以上のことは情報提供できないというところでとどまっているのだろうと思うのです。

調べてみましたが問題はありませんでしたというところまで出すのかどうかという辺りは、消費者庁の今後の情報提供の仕方の改善方法として、一つの課題ではあると思います。

ただ、そこで止めてしまったというのは、それなりに理由はあったのだろうと想像しております。

(問) 今となっては、そうだろうと推測はするのですけれども、ですが、推測の域でしかなく、消費者委員会なので、できるだけ消費者の目線での公表の在り方とはどういうものなのかというような観点で、御検討をいただければありがたいと思います。

(問) 関連なのですけれども、機能性表示食品とは別に、いわゆる健康食品と言われるものの中で、国民生活センターがつい先日テスト発表した件で、女性ホルモン様作用を及ぼすような成分が入っている12製品を調査したと。12製品のうち10製品がホルモン様作用があって、3製品がとても強い作用があった。

これは、先ほど委員長がおっしゃった表示と安全ということの中で、いわゆる健康食品というものは、表示・安全・取引、要するに、消費者庁が本来管轄する分野が一体化しているものだと私は思っています。今回のホルモン様作用のもので、これはバランスを崩すということで、摂取回避と妊産婦などに注意喚起が出されました。表示については、12製品の中で、消費者庁が今年3月に景品表示法違反ということで措置命令を出したものが1品あったのです。つまり、表示の面です。ところが、その製品自体は、安全性の面でもホルモン様作用を及ぼすという結論になっていて、しかも、今回の12製品は去年、一昨年からずっと話題になっていて問題になっていた、お試し商法の対象でもあった。つまり、取引も関係していたし、製品の安全テストでは安全面に問題があって、しかも、今回の国センの提案は表示ですね。健康増進法、景品表示法ともう一つ何か、この表示が法律に抵触するから事業者指導してくれという提案であったりとか、安全性を確保してくれという提案でありました。

非常に疑問に思ったのは、今年3月に景品表示法で一発やっている製品、これは同じ製品の中に入っていて、そのときに、景品表示法の消費者庁の発表は安全性の問題は抜きにした表示問題でやるわけです。

ところが、製品自体は去年買っていて、安全性の試験もずっとやっているわけですから、ある種、調整できないものかということを考えるわけです。別々に表示・安全・取引、お試し商法でも一切商品名は出てこなかった。つまり、本来消費者庁がいろいろなところで一元化したものは、表示・安全・取引というものを各省庁がやっているものを持ってきたわけですけれども、それが法律で区分けされていて、しかも、それは法律で消費者庁の中で縦割りになっているのではないかと非常に感じる例でした。

だから、いわゆる健康食品については、ずっと建議も出されていたりとか、表示もやって安全性もということなのですけれども、通常ですと、厚生労働省の関係であれば食品表示法は消費者庁が食品衛生法とか健増法などの中から表示部分を持ってきて一元化したということなのですが、分けたことによって、安全問題であるとか、各省庁の縦割りになってしまったのではないかという感じをとても強く持っていて、特に健康食品の場合は区分できない一体的なものがあるというのを、今回の発表の中でも感じたところなのです。

ところが、先ほどの質問の中にあるように、情報の提供の在り方というか、お試し商法であってもそうでしたし、本来消費者庁ができるところというのは、発表するときに安全性の問題も分かっていたのではないかと推測できるようなことが、表示の分野だからということで触れられなかったりなどということが結構今回の件でありました。そういう意味では、先ほどの食の安全・監視市民委員会から委員長宛てに出されたものは、確か今回の件について、目のピント調節の機能性表示食品についての消費者庁の対応を検証してほしいという内容だったと思います。ということで、それはその一製品だけに限らず、いわゆる健康食品とか保健機能食品であるとか、表示・安全・取引が分離できないような一体的なものについては特にそういう検証をしてほしい趣旨だと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。第4次の課題とか。

(答) おっしゃることは全くごもっともだと思います。私は先ほどの問題よりもこちらの食品の問題のほうが深刻だろうと思いますけれども、少なくとも厚労省はすぐにこの問題に取り掛かって情報提供をしているし、分析もしている。薬機法上の問題でもあるのではないかと思います。健康食品の表示の問題を考えるときの2つの要素というのは、1つは完全に安全であること、安全性が確保されること。もう1つは、消費者自身がきちんと選択権を確保できることということですから、正しい情報を提供すること。この2つは一体の問題だと思います。その意味では健康食品の表示問題で、表示だけを議論していれば済むという話では私もない気がします。御指摘のような問題意識は完全に私も共有できます。

(問) 私はこの問題を拝見したときに、韓国では禁止していて、EUでは認証していないから販売できない。2006年に、食品安全委員会は自ら健康影響評価をする案件に挙げていたのだけれども、一般的な被害などには及んでいないのでということで評価を取りやめてしまっている経緯があるところに、何でそのときにちゃんとやってくださらなかったのだろうという思いが非常にあったのです。厚生労働省は、すぐにでも健康影響評価をやって、上限値を検討するということは言ってくださっているのでしょうか。

(答) 細かいところまでは私も存じないのですけれども、厚労省では、この問題についてはかなり踏み込んだ検討をしていると聞いております。

(問) すみません。もう一つ。徳島移転問題で、徳島に行ってきたのですけれども、何かオフレコみたいになるのですが、まあすごい数のマスコミで、看板掛けを場所を変えて3回ぐらい記念撮影をするぐらいの人だったのです。

それで、知事がまだ拳を振り上げていなくて、全面移転に向け頑張るみたいなことを言っていらしているので、その会見の中では、全面移転の見通しを問う質問とか、ハードルとしては何がハードルになるかとか、そういう質問がずっと多いわけです。地域での移転への期待が高まっている状況があるのです。向こうでちゃんとやってくださることはとてもいいことだと思います。ですが、その実績と移転の試行になるような内容はそもそも何も入っていないわけですから。それで、とりあえず3年後に向けては消費者委員会から意見を聞くことになっていると思うのですけれども、まずはどんな感じでこの3年間オフィスを見ていかれるのか、また、どういう仕組で設定されていくのでしょうか。

(答) 徳島で大変な期待を持って積極的に迎え入れられていることについては、喜ばしいことだと思います。徳島のそういう熱意があったから、ここまで進んできたということだろうと思います。

今後の動向ですけれども、実際に消費者庁としてはいろいろな役目があるので、東京に一定の機能は残さないと仕方がないので、どちらかというと、実証フィールドとしてのサテライトを徳島に持っていくということで考えていることは間違いないと思うのです。

全面移転には、なかなかハードルも高いということは、御承知のとおりであります。消費者委員会としては、できるだけ早い段階で、消費者行政新未来創造オフィスの取組を検証するための専門調査会を作って、その専門調査会の中で、モニタリング作業を続けていきたいと思います。最終的に毎年見ていくことになるのでしょうが、3年ぐらいのタームで考えるということでしたから、その成果を見ながら、全面移転についての意見を申し上げることになります。けれども、普通に考えれば難しいので、そうしたサテライトと言いますか、実証フィールドとしての成果を評価することになるかと思います。

ただ、第4次の委員会の残りの任期があと1カ月ちょっとしかないものですから、その中で新しい専門調査会を設置して実績を残すのは難しい。少なくとも徳島に行って、1回は専門調査会全員で実地調査をしたり、議論をしたりしないといけないですけれども、その時間はもう無いのではないかと思います。その意味では、次の消費者委員会の発足後、速やかに専門調査会を設置することを期待しているところです。

(以上)