河上消費者委員会委員長 記者会見

2014年8月26日
消費者委員会

日時

2014年8月26日(火)18:30~19:18

場所

消費者庁記者会見室

冒頭発言

(事務局) それでは、ただいまから河上消費者委員会委員長の記者会見を開始させていただきます。

(河上委員長) それでは、始めさせていただきます。

報告事項が6件ほどございます。

最初はクレジットカード取引に関する消費者問題についての建議についてであります。

先ほどの消費者委員会において、クレジットカード取引に関する消費者問題についての建議を取りまとめましたので、冒頭、私から簡単に内容を報告させていただきます。

この建議は、第3次の委員会としては初めての建議であります。建議の取りまとめまでに至る経緯を簡単に御説明いたしますと、インターネット取引について第3次の委員会発足の2カ月後の昨年11月に、消費者基本計画の検証・評価・監視の関係省庁からのヒアリングを行いました。その後、本年1月に消費者委員会における当面の主要課題について議論した際に、建議、提言等についての主な関心テーマとして、インターネット取引における財産被害に係る消費者保護のための対策の検討、特に決済代行の適正化等というものを挙げておりました。そして、本年2月25日に公表した消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見においては、インターネット取引被害に関し決済手段や決済代行業者の実態を把握した上で、決済代行業者登録制度の今後のあり方について検討するとともに、必要に応じ被害抑止及び被害回復のための方策や、決済代行業者に関する制度的対応の必要性等について、割賦販売法等の法改正も含めて検討することを明記されたいという意見を出してまいりました。

こういう観点から、本年5月に消費者基本計画の検証・評価・監視の関係省庁ヒアリングを行いまして、さらに7月22日、29日に関係省庁のほか、消費者団体、事業者団体等からもヒアリングを行いました。このほかにも有識者、関係者からの非公式なヒアリングを重ね、本日の建議の取りまとめに至ったものであります。

建議内容については、本日の本会議で唯根委員から説明があったとおりですけれども、基本的には3点が柱となっております。

第1番目は、加盟店の管理の徹底に係る制度整備であります。クレジットカードの取引に係る消費者からの相談が増加しておりまして、相談内容から見ると販売業者の悪質な行為を原因とする被害者が多いわけで、アクワイアラーや決済代行者に対して加盟店の管理の実効性の向上のための措置を講ずる必要があるということでございます。なお、措置の検討に際しては苦情発生時に調査等を義務づけるほか、加盟店契約時の審査あるいは契約後のモニタリングの義務づけ等も含めて検討が必要になるわけですけれども、この点に関しては割賦販売法の改正が必要となります。

また、アクワイアラー及び決済代行業者の登録等を義務づける必要があると考えておりますが、これについても割賦販売法の改正が必要となります。

そういうわけで、加盟店管理の徹底をこれによって行うということが第1点であります。

第2番目が、翌月一括払いのいわゆるマンスリークリアの取引における抗弁の接続等の整備であります。

翌月一括払いという取引における消費者からの相談が急増しているわけでありますけれども、割賦販売法におけるいわゆる抗弁の接続というのは、分割払いと決済期間が2カ月以上の取引にのみ認められておりまして、翌月一括払いの場合については認められておりません。しかし、分割払いと翌月の分割払いは、与信であるという点においてはかわりはない。そこで、翌月一括払いにおいても抗弁の接続を導入すべきであると考えているところであります。

第3番目が、クレジットカード取引における消費者教育及び情報提供等の充実であります。

これはリボ払いに関する相談が増加していることからわかりますように、クレジットカードの利用に関する知識について、消費者教育及び消費者への情報提供を一層推進する必要があるということであります。建議の中でチャージバックルールというものが出てまいりますけれども、このチャージバックルールというのは厳密に考えますと、国際ブランドを初めとする業界内部のB to Bでの事後処理のためのルールであって、消費者被害の救済のための制度ではないと言われているところですけれども、結果として被害の回復とか悪質業者の排除、そして被害の再発防止につながるものでありますから、このチャージバックルールの適切な運用ということをぜひ監督官庁からお願いしていただきたいということであります。

以上の建議事項について、最初の1、2に関しては経済産業省、最後の3番目の部分に関しては経済産業省と消費者庁にそれぞれ着実に履行していただいて、クレジットカード取引に関する被害防止に努めていただきたいと考えているところであります。

なかなか仕組みが難しいものですから、また後で必要があれば説明を追加させていただきますが、建議内容は以上であります。

第2番目の報告ですけれども、特定保健用食品の表示許可に係る答申についてであります。

今月5日に、特定保健用食品の表示許可に係る答申を消費者委員会から内閣総理大臣に対して行いました。今回の答申には、表示許可が適当ではないとした品目が含まれております。具体的に申しますと、ノンアルコール飲料2品目でありまして、消費者委員会としては、未成年者のノンアルコール飲料の飲用が未成年者の飲酒につながる懸念があるということで、特定保健用食品の許可表示は適当ではないという答申をいたしました。これが2つ目であります。

第3番目が、消費者契約法に係る諮問についてであります。

これも今月5日に消費者契約法における契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律等のあり方について、内閣総理大臣から消費者委員会に対して諮問を頂戴いたしました。それを受けて消費者委員会としては、今後、審議体制を整えまして、現在、消費者庁で行われております消費者契約法の運用状況の検討会における取りまとめや、民法、債権法関係の改正の動向を踏まえつつ、検討を行っていきたいと考えているところです。

第4番目が、公共料金に関する検討の進め方であります。

今月20日に第10回公共料金等専門調査会が開催され、新しい消費者基本計画が来年3月末までに策定される中で、公共料金問題に関する今後の検討に当たっての論点について議論を行いました。調査会では電力、ガスシステム改革や公共料金の適正性の確保に向けた検討等が委員から発言されまして、今後はいただいた意見を整理しながら検討を進めていきたいと思います。

関連して、北海道電力の家庭用電気料金の再値上げについても御報告いたします。

今月20日、第16回家庭用電気料金の値上げ許可申請に関する調査会を開催いたしまして、北海道電力から先月31日に行われた電気料金値上げ認可申請についてヒアリングを行いました。この調査会では北海道電力に対して経営効率化の取り組み、泊原発再稼働後の料金値下げの見通し、料金値上げの影響の大きいオール電化住宅への対策等について質疑応答が行われました。

北海道電力については来月の調査会で2回目のヒアリングを行いまして、議論をさらに深めていきたいと思います。

最後に、総合取引所に係る政令改正についてであります。

総合取引所に係る金融商品取引法施行令等が一部改正されまして、9月1日に施行されることになっております。この問題については当委員会として、昨年11月12日に商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に関する意見という形で、証券、金融商品を横断的に一括して取り扱う総合取引所において、商品先物取引における不招請勧誘禁止規制を緩和すべきではない旨の意見を表明してまいりました。

今回の金融庁による改正は、実質的に不招請勧誘を禁止するものでありまして、当委員会の意見に沿った改正と考えております。金融庁におかれては、今後とも消費者被害を防止するための取り組みに御尽力をいただくことを当委員会として期待しております。

以上が報告ですが、当面の関心事項として1件だけお話いたしますと、これは個人情報保護についてであります。

当委員会では、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が本年6月に決定した、パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱に対して、本年7月15日付でパーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱に関する意見を公表いたしました。このうちいわゆる名簿屋等によって販売された個人情報については、意見書では新制度の創設と同時に実施されるべき喫緊の課題であって、消費者の安心感を確保しつつ、円滑なパーソナルデータの利活用を可能とする環境整備のためには、大綱が示す対策だけではなく、早急に実効的な対策のあり方を検討することが必要であるとしておりました。

現在、消費者委員会では、いわゆる名簿屋等に関する問題について、有識者や関係省庁ヒアリングを行うなどして検討作業を進めております。先の意見書にも記載しましたとおり、法案を具体化していく過程を注視して、今後しかるべきタイミングにおいて必要な意見を述べることとしたいと考えているところでして、それほど遠くない時期に、先の意見をさらに具体化したものを発出できるだろうと考えております。

こちらで用意いたしましたのは以上でありますので、あとは御質問の中で答えながら説明をさせていただきたいと思います。

質疑応答

(事務局) それでは、質疑応答に移らせていただきます。

(問) 2点、これは先ほど石戸谷さんのレクのときにも伺った話ですけれども、本日のクレジットカード取引の建議の関係で、決済代行業者の行政機関への登録というところが入っていますが、これは海外の業者が多いけれども、そういうものも登録する必要があるというお考えですか。

(答) 実はいろいろな問題を分析していくと、日本で余り好ましくない活動をしている業者が海外のアクワイアラーを経由したり、決済代行を使うことによって事実上、追求を免れているという状況がございます。そこで、そのような人についても現行の幾つかの、中に書いておきましたけれども、金商法であるとか資金決済法などの規定の扱い方を見ながら、登録制度というものを日本で活動する事業者に関して導入することができないかということを考えております。

(問) もう一点、2つ目に御発言がありましたノンアルコール飲料の特保不適当の答申なのですけれども、これは今、消費者庁で答申を踏まえて検討をしていると聞いておりますが、今後、また消費者委員会で消費者庁がこうしますというような説明をまとめる機会というのは、あり得るのでしょうか。

(答) 消費者庁にその結論を御報告いただくということでしょうか。

(問) 結論なのか、結論が出る前なのかわからないのですけれども。

(答) 今の段階ではそれは考えておりません。むしろ当方は諮問に対して答申を出した状態でして、消費者庁では諮問を十分検討しながら判断をされると承っておりますので、それを見守るというスタンスでおります。

(問) 同じくノンアルの件なのですけれども、前回の消費者庁の長官の会見の中で、要は健康増進法上、製品の有効性、安全性に問題がないとされた場合に、それ以外の理由で不許可にする自由裁量の余地がない法律だという趣旨のことをおっしゃっているのですが、いわゆる有効性と安全性に問題がないのであるならば、それ以外の理由で不許可にすることは難しいという趣旨なのかなと思うのですが、それについてはどのようにお感じになっていますでしょうか。

(答) 長官の御発言はあくまで一般論としてお答えになった部分なので、今回の健康増進法の適用の問題がそういう性格のものであると断定されたのかどうか私はよくわかりません。

ただ、消費者委員会の今回の判断というのは、安全性と効果、いわゆる有効性の確認の範囲の中にあると理解しております。まさに健康増進法に基づいて特定保健用品に関して定めている内閣府令では、製品の「有効性」として、当該食品が食生活の改善に寄与して、その摂取によって国民の健康の維持、増進が図られるということ、これが有効性の内容であって、そのことを申請時に明らかにするようにと求めているわけであります。

ということは、単に物理的、科学的に証明されて、一定の効能・効果があるかないかというところだけに限定されるのではなくて、その食品が食生活の改善に寄与する、そしてその摂取で健康の維持、増進が図られるんだという点についての有効性があるかないかというところを考えないといけないことになり、そのためにこそ消費者委員会の判断が求められているのだと思います。

未成年者のノンアルコール飲料の飲用が飲酒につながる可能性があるという場合には、これが特定の保健の用途に関する関与成分に問題がないという場合であっても、当該製品が食生活の改善に寄与することにはならないということになりますから、表示は不適切であるという判断になったのだと思います。

専門調査会における非常に熱心な審議の結果として、ああいう形の結論を出していただいた以上、委員長としてこれを尊重すべきであると考えております。

(問) 少し気の早い話になるかもしれせんけれども、仮に答申に反して消費者庁が認めるようなことがあった場合に、消費者委員会として何かしらのアクションというものをお考えになるのでしょうか。

(答) 今のところは、まだその点については考えておりません。消費者庁が消費者委員会としての判断をよく頭に入れた上で、なおかつOKであるという判断を仮にされたということであれば、それは消費者庁としての御判断でしょうから、これ以上踏み込むかどうかは、さらに委員の方々と相談してみないといけません。

(問) 過去に炭酸飲料、コーラの特保を認めるときにも結構議論があったように聞いております。確かにあれも糖分が多く含まれているもので、食生活の改善に寄与する、健康の維持が図られるかというと疑問を持たれる方もいると思うのですけれども、ただ、コーラは認められておりますが、それとノンアルコール飲料の今回とやはり違うというお考えですか。

(答) 違うのでしょうね。ノンアルコール飲料は、ただの麦ジュースではなく、お酒の一部として出されているわけです。少なくとも未成年者が飲酒の入口でそれを飲んでしまうことになるという懸念ははるかに大きい。前にもコーラの問題であるとか、お醤油の問題でグレーのところ、ぎりぎりの食品があったのですが、今回はそのぎりぎりの線を一歩超えてしまったということなのだろうと思います。

全く逆のケースなのですけれども、実はこの間、台湾に行っておりましたら、台湾では酎ハイがピンク色の缶に入っていて、子供なんかのジュースと並んでいたそうなのです。それで酎ハイという日本語が読めなかった子供たちが、みんなそれを飲んで急性アルコール中毒にかかったというのが去年、大事件になりました。アルコール飲料に対して未成年者が接近しやすくなるということの危険性というのは、コーラが糖分が少なくなるかどうかという話よりはるかに危険性を伴っているのだろうと思います。

(問) クレジットカードの建議について伺いたいのですけれども、例えばサクラサイトでの決済のトラブルは最近、クレジットカードだけではなくてサーバー型の電子マネーとか、そういう決済手段が使われている例もあるように聞くのです。

今回クレジットカードだけに焦点を当てられてこういう建議をされたわけなのですが、例えばそういう前払い式支払手段であるとか、これは資金決済法の話になるのですが、あちらでも同じように決済代行業あるいはクロスボーダー取引という非常に根深い問題があるかと思うのですが、そちらについても同じような関心をお持ちなのかどうか、あるいは今回、クレジットカードというのは後払いなので、こういう詐欺的な商法を助長するという、そういう助長性の高さみたいなものに目をつけられて、ここだけに絞ってこういうことをされたのか、その辺はどういうふうに整理されていらっしゃるのでしょうか。

(答) もともとクレジットカードに限定してやるかどうかというのは、最初の入口のところではそれほどはっきりしていなかったのです。むしろ決済代行などが間に挟まってしまうことによって、本来であれば顧客が信販会社等に言えることが言えなくなってしまったり、どこか追求のできないところへ請求権が渡ってしまっているというところが問題なので、そこになんとか手当をしたいということで見ていったわけですが、実際問題として問題が多い局面というのが、今回ターゲットにしたようなクレジットカードにおける取引の部分であるということなので、割賦販売法の手当を求めるという建議に踏み切ったというか、それをお願いするということにしたわけです。

ただ、マンスリークリアの場合もそうなのですけれども、考えてみると、与信だということでぎりぎり入れておりますが、一種の「決済」ですね。ですから、さまざまな決済手段の中で消費者保護がどこまで図られるかという問題、これは資金決済法の問題にかかわる話で、おっしゃるとおり電子マネーとかいろいろなものを考えていかないといけないということになります。

消費者委員会としてこの問題が、そちらは大丈夫というふうに考えているわけでは決してなくて、さし当たって一番問題の大きいところで、しかも割賦販売法の手当によって何とか対応できるところについて法改正をお願いするという今回の建議になったわけでありまして、問題意識は十分持っております。

(問) リボ払いの件なのですけれども、二十数年前にリボ払いを銀行のあれに導入するときに、かなり問題になるということが指摘されていたにもかかわらず、静かにずっと進行してきていて、リボ払いの一番大きいのは何か消費者の意識が余りないところで、かなり高額の利息が取られていく。そういうあたりについての今回指摘としては、相談がふえているというふうに書いてあったような気がするのですけれども、リボ払いについては今後、何か対応していかれる考えがおありですか。

(答) リボ払い固有の問題というのは確かにございまして、知らないうちに手数料がかかっていたり、利息がふえていったりということがあることは確かでありますから、その内容に踏み込んで規制の在り方を考えるということは、あり得る話であります。ただ、今回そのリボ払いそのものについては一応、返済の方法として本人が納得してやっているのであれば、そこに今、踏み込むべきかについてはもう少し考えるべき要素があるだろうということで、外してあります。

ただ、現象として考えたときに、リボ払いにするのか一括払いにするのか、それとも分割払いにしていくかということについては、かなり柔軟に動けるようになっているケースもあるのです。物によっては。ですから、それだけほかの分割払いの手段とリボ払いとの間の法的な差別化というものが意味を持たなくなっているという認識は、今回も持ちました。

(問) 景表法の課徴金の関係なのですけれども、算定率のところで最後に委員長から御発言がありましたが、前の発言もあるのでそれを踏まえて結局予定どおり3%で落ち着いたということについての受けとめと、委員の方たちも3%に落ち着いたことについての受けとめを、もう一度改めて教えてください。

(答) 3%で落ち着いているかは、わかりません。私はまだ落ち着いているとは思っておりませんけれども、一方で3%という数字を出す際に、これまでの経緯とか措置の状況を踏まえて、消費者庁において適切な数値を考えて下さいというのが前回の検討会の結論だったので、精査してみたらこれぐらいでしたというふうに言われたことについては、一応は重く受けとめております。

もう一つ、私自身が3割、5割は当たり前というふうに申し上げたときというのは、あれは損害賠償であるとか不当利得の返還請求のかわりに課徴金が課せられると考えたときに、本当に不当利得をこれで全部回収できるということにはならないのではないか。3%程度では足りないということを念頭に置いていたのですけれども、きょうも最後のところで申し上げましたように、消費者庁が考えてきた案というのは、課徴金制度によって課すのはそうした不当収益抑止にとって政策的にどのくらいの金額を課するのか適切かという立法政策上の問題という形で出してきたというわけでして、必ずしも収益を回収するというか、不当収益を吐き出させるためにという目的だけではない。むしろ、この問題は恐らく集団訴訟などの民事の責任追及のところでこれが効いてくることになろうかと思います。

(問) 個人情報に関してなのですけれども、気になっているのは電子約款の中に例えばこれをダウンロードしますとか契約するときに、電子約款になっているものが今、多いですね。その中に契約の例えば情報の内容が組み込まれているときに、多分、電子約款の場合は余りちゃんと読まないですし、プリントアウトをきちんと全部とっている人も余りいないのではないかと思うのです。やはり今、情報を使うときに約款の中にそういうものが含み込まれていることを消費者が読み込めないという問題があるので、約款の問題とか消費者委員会としては何か取り上げる予定はおありなのでしょうか。

(答) 今度、個人情報保護の問題で意見を追加的に出す中で、特に本人の同意の実質化といいますか、その後の第三者提供のところでも本人同意が出てくるのですけれども、そういう同意を実質化して、そして、そこで本当は自分はこの範囲でしかあなたには情報の利用についての権限を与えませんよということについてちゃんと選択ができたり、判断できるような手当が必要になるということについても申し上げたいと考えております。

さらに約款規制の問題として、個人情報の利用について約款の中で定型的に奪ってしまうことがいいのかどうかというのも1つの問題たり得るところでして、諸外国の立法例では約款規制の法律の中で情報の収集の仕方についての不当条項としてリストアップしているところもあるぐらいでして、いろいろな形でこの問題に対して対応する可能性があり得るところだろうと思います。これはもう少し検討してみたいと思います。

(問) クレジットの件なのですけれども、報告書を読んでいて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの実態報告書というものが出てきました。11ページなのですが、これはどこの委託で何のためにやったのか。つまり経産省なのでしょうか。

(答) この資料に関しては事務局にお答えいただきます。

(答・事務局) 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告は、経産省の委託事業だと思います。

(問) そうすると、次に出てくるネット決済代行サービスの約60社というのは、ミックで引用されていますね。

(答・事務局) それはまた別です。

(問) 確認したかったのは、要するに今回、経産省に対しての資料請求か何かをしているのでしょうか。建議のバックグラウンドデータとして。

(答・事務局) 正式な資料の請求というのは特にしておりません。

(答) 事実上は情報をいただいているのですけれども、資料請求という形ではない。

(答・事務局) ヒアリングの形でいろいろ教えていただいていました。

(問) 先ほどのお話だとリボルビングの手数料の件についても、例えばどんな苦情があるのかなどというのは大まかな形は出てきていると思うのですが、どこがどういうときにどうやってというか、そういう資料は。要するにリボの場合は消費者に注意といいますか、それを周知するような要請になるわけですね。

(答) リボルビングに関しては、とりあえず今、割賦販売法の適用があって、しかもそのリボルビングの内容についてマンスリークリアもそうですけれども、必ずしも消費者は十分理解していないということなので、情報提供の部分でそれをしっかりやってくださいという話になっています。

(問) リボに対して、そのものずばりの問題点とか何か。

(答) あるのだろうと思うのです。先ほども少し話がありましたけれども、ただ、考えてみるといろいろな代金債務を全部まとめて、しかもならした上で弁済をしていくというのは、消費者にとっても便利といえば便利なときはあるわけでして、リボルビング払いというものをうまく使ってもらえるようにするというのが大事なのだろうと思うのです。何でも1回払いといってもなかなか引き落とせない時がありますから、それは使い方によってリボルビングをうまく利用してもらうということだと思います。

(問) そこの問題がある場合のデータであるとか、そういうものはなかなか資料請求権をやらないと出てこないような気がする分野だと思ったので。

(答) ただ、これは資料といっても結構難しいと思うのです。何が問題のある事例なのかということをうまく捕まえられるかどうか。私なんかも本を沢山購入して、月20万円とか15万円ぐらいになったときには月末で一括払いはきついと思うのです。これがほかのものと合せて、ならしてせいぜい7から8万でとまってくれたら何とか耐えられる。それは使われる方の使い方によっても収入によっても異なる。本来は1回で払おうとしているのにあえてリボ払いに変えてしまって手数料をとっているとなれば、わずかな額であっても不当だという話になりますが、それは結構細かく事例を分析しないと不当な事例かどうかというのはわからないのではないかと思います。

(問) チャージバックルールも同じだと思うのです。

(答) そうですね。チャージバックルールの場合もチャージバックのための理由というものがあって、本来であればその理由というものが全国、世界中同じでないとおかしいはずなのですが、場合によってカード発行会社、イシュアーの力量によってその部分が非常に狭くしか使われていないとか、場合によってはイシュアーはそのことを余り知らないでチャージバックルールに行かないままに終わってしまっているというケースもあります。ですから、そこをきちんと運用していただいて、少なくともチャージバックルールに関しての知識というのは、消費者も持っておいたほうがいいですし、そういうものをちゃんと伝えてもらったほうがいいのですが、まずは業界の中での運用基準をはっきりさせて、それをきちんとやっていただくように経済産業省に指導をお願いするというところからスタートということです。

(問) わかりました。

それと、3次の消費者委員会として初めての建議だと思いますが、1年でということで、少ないか多いかというのはあれですけれども、初めてですね。建議としては。

(答) はい。

(問) これはどういう。

(答) 私は数の問題ではないと思っております。少なくとも3次に入ってから相当数の意見をタイムリーに出してきたのですけれども、非常に大きな問題ばかりでありました。しかも即座に対応しないといけないという問題が多かったこともあって、この間、事前調査やモニタリングに相当力を尽くして、そして、今、出さないとだめだというときに意見をさっと出すということをやってきました。その結果、問題が大きくなる前に処理されたものもありましたし、関係省庁による協力的対応をいただいたものも少なくありません。その意味ではこのやり方は決して間違ってはいなかったと思いますし、今ある消費者委員会の力量といいますか陣容と資源を考えれば、かなりいい形で使われてきたのではないかと考えています。

(問) もう一つ、食品の機能性表示について何か消費者委員会で意見、提言なりの御予定はあるかということと、これは市民団体から意見が出されていましたけれども、下部組織の申し合わせについての抗議というものがありました。これについて改めてコメントをお願いしたい。

もう一つが、消費者庁が消費者行政のレビューというものを満5年になるということで出されました。6年目の再出発ということで出されましたが、消費者委員会としてはそういうようなこれまでの取り組みについてのまとめなり反省なり今後の方針なりというのは何か、9月1日にあると聞いておりますけれども。

(答) 忙しくて余り後ろを振り返っている暇が今なくて、とりあえずは今、前にあるものを一生懸命片づけようという状態です。けれども、毎年年次報告書で1年間を振り返ってということをやっておりますので、9月1日に改めてどうこうということは今のところは考えておりません。

機能性表示の問題は、これは閣議決定で一定の方向性というものが方向づけられて、消費者庁がそれを前提にしてさまざまなことを考えて対応されています。幸い、消費者庁では従来の特保とか機能性食品に関するエビデンスの精度とか程度に関しては、これを下げるつもりはない。新しい機能性表示に関してもそれでやっていくんだということをおっしゃっておられまして、これは前々から私もそうあるべきだとお話をしてきたところです。もっとも、特保との関係とかいろいろな制度的問題はございますので、そこは消費者委員会としてもさらに検討したいと思っておりますけれども、現時点で何か申し上げるというところまでは至っておりません。

下部組織の話ですが、これは中身をごらんになった方はおわかりだと思いますけれども、ごくごく当たり前な会議の基本的ルールを明文化しただけのものでありまして、恐らく今までもそれは文章化されておりませんでしたけれども、暗黙のルールとして妥当していたものをはっきりさせたというだけのことで、何か議長の独裁的な権限が云々という御批判を受けるような話では全くありません。

もう一つ言うと、あの下部組織に関するルールは議長を縛るものでもあります。つまり、その下部組織が自由闊達に議論ができるような環境を整えるために、メンバーも議長もこのルールに従ってやっていきましょうというものでありますから、何か特別の意味合いを持っているというものではないと思っています。

最近では、消費者委員会はいろいろな専門的知見をもらわないといけない案件をたくさん抱えておりまして、その意味でもさまざまな下部組織がそれぞれてんでばらばらなルールのもとで動くということも好ましくないと考えて、あえて私からあのルールの明確化をお願いしたものでありますので、その点、御理解いただければと思います。

(問) 確認なのですが、今の件である特定の検討会とか、そういうものを念頭に置いたものではないということですね。

(答) 平場の本会議でもそのことが話題に出たので、特定の会議を問題にしているものではありませんということは明確に申し上げたつもりです。

(問) 委員会は全体それでまとまっていらっしゃいますか。

(答) まとまっております。

(問) 消契法の諮問についてなのですけれども、今後検討していくに当たって具体的にどのように、もしくはスケジュール感などはいかがですか。

(答) これから考えないといけないと思いますが、ただ、第3次の消費者委員会の任期は来年8月末までとなっておりますので、この諮問を受けて作業をするとしても、来年8月末までに一定の成果を答申の形で出さないといけないだろうと思っています。そうなりますと余り時間がなくて、10月ぐらいから専門調査会をフルに動かし始めて、来年7月ぐらいまでに審議を進めていって、8月には要綱のようなものを取りまとめて、次の第4次の委員会に引き継ぐということにできればいいなと思っております。

(事務局) ほかによろしいでしょうか。

それでは、これで終わりにさせていただきます。お疲れ様でした。

(以上)