河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年9月4日
消費者委員会

日時

2012年9月4日(火)19:05~19:27

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) お待たせいたしました。始めさせていただきたいと思います。
 本日は、先ほどの委員会で、医療機関債に関する提言について御報告をしました。質問などをお受けしたいと思っております。
 それでは、簡単にもう一回、医療機関債のポイントだけお願いいたします。

(河上委員長) では、こちらから少しお話しさせていただきます。
 先ほどの委員会では、被害拡大を未然に防止するという観点で「医療機関債に関する消費者問題についての提言」をまとめたところであります。
 これについては、御承知のとおり、さまざまな被害が出ておりまして、消費者庁からも注意喚起がされているところでありますけれども、その後もまだまだ被害が生じ、特に高齢者が高額なトラブルに巻き込まれているケースがたくさん見られたということであります。
 消費者委員会としては、これまで関係省庁、国民生活センター、東京都などにも情報提供をいただいて、いろいろと問題点があることが判明しました。特に行政機関、厚労省ですが、医療機関債の発行の現状をよく把握できていないこととか、消費者庁と都道府県等は余りうまく情報の連携が取れていないということ、それから、厚労省のほうでこの医療機関債に関してガイドラインをつくっているらしいのですけれども、消費者法という観点からのガイドラインになっていないということがありますので、こうした点に対して少し改善ができないかということで提言を発出したということであります。
 基本的には、医療機関債の発行実態をまずきちんと把握してもらって、問題がないか。問題があれば、それを改善していただくということ。都道府県と消費者行政部局と医療行政部局それぞれの自治体の中での連携でありますとか、消費者庁と都道府県等の関係機関の連携といったことで、速やかに問題に対処できるようにしてほしい。そして、先ほどのガイドラインですが、それを消費者の権益保護の観点から十分見直してほしいということが提言の内容になっているということでございます。
 内容については、以上です。

質疑応答

(事務局) 御質問がございましたら、お受けしたいと思います。

(問) 先ほどの委員会の件ですけれども、まず、この提言は、きょう提言したものはいつ提出とか、どういったことになっていますか。

(答) きょう発出ということになりますので、直ちに届けることになります。

(問) つまり、今日中に届くという理解でよろしいのでしょうか。

(答・事務局) 今日中に担当には届けます。

(問) 届ける相手ですが。

(答) 厚生労働省と消費者庁ということになります。

(問) それぞれの大臣宛てにという理解でよろしいでしょうか。

(答) 基本的には大臣宛てで、消費者庁は松原大臣です。
 ほかにはいかがでしょうか。

(問) あと、いつまでに回答してくれとか、そういう回答を求めたりというのはありませんか。

(答) 通常は半年ぐらいでフォローアップをするのですけれども、これについては、今のところは特に書き込んでおりません。

(答・事務局) 文書の中には書き込んではおりません。
 ただ、実態調査をお願いしていますから、その実態調査をおやりになったところでは、是非お話を聞いて、このガイドライン改定というところに結びつけるということではないかという話は、もちろん伝えていきます。

(問) これを実態調査するものと期待していると。していないようであれば、どこかのタイミングでせっつくということですね。

(答・事務局) はい。

(答) 機会があったら、是非、厚労大臣にガイドラインの見直しも含めてお話をする機会を持ちたいと思います。

(事務局) どうぞ。

(問) 金融商品取引法の対象にすることは考えられないんですか。

(答) もちろん考えられるところで、特にこれは山口委員などからも、投資詐欺との関連で問題を把握すべきだという御意見があって、いろいろ金融庁などともお話しをしていただいたと聞いています。
 山口さんの方から話した方がいいですかね。

(答・山口委員長代理) 実は、ほとんどの医療機関債というのは5,000万円以下で、銀行が引き受けている場合がほとんどなんです。平成20年のデータでは28件ほどあって、そのうちの20件は銀行が引き受けているんです。
 ですから、本当に今回の真匡会あるいはその他の幾つかの団体の問題は非常に例外的な問題だというところで、厚労省としても、あるいは医療機関としても、何とか金商法の適用だけは勘弁してほしいというニュアンスがびりびりと跳ね返ってきたわけです。だけれども、金商法適用から提言すべきではないかという議論もあったのですが、金額的にも規模的にもそれほどでもないということから言うと、もう一回様子を見て、その上でやはり問題が起こるようだったら、本当に金商法の適用対象にしなければいけないと思うのだけれども、今回はこの提言してみようかという議論です。

(答・事務局) 実態把握がまだできていないというところなので、まずそこからということですね。
 どうぞ。

(問) 何か1行ぐらいあってもよかったと思います。
 ガイドラインの保護規定は、何をどう入れろと言っているんですか。

(答・山口委員長代理) ですから、購入した消費者の方々に情報開示システムがないんです。要は、どういう理由でどういう医療法人の財務内容になっていて、それで発行するのかという、そこら辺のきちんとした医療機関債を引き受ける側の出資者、消費者が医療機関側の状況を把握できる建付になっていないものですから、そこはもう少し、金融商品取引法ほどではないにしても、一定の情報開示は必要でしょうということが一番です。

(答) 基本的には、ある程度金商法に準ずる規定を入れてもらう必要があって、特に商品のリスクに関する情報は相手に対して説明していただく必要があるし、場合によって、不測の損害を被ることがないように、適切な販売とか勧誘に関するルールもガイドラインの中で明らかにしていただくということが必要だろうと考えております。実態を調査していく中で、さらに問題点があれば、その点についてもルールの中で是正できるようにしていっていただきたい。
 ですから、今回は、とりあえず厚労省にきちんと実態を調査していただくというところでスタートして、それを受けて、消費者委員会としてさらに言うべきことがあれば、そのルールに向けた提言もするという段取りでいきたいと思います。

(問) 東京都が求めた監視システムの構築は、どういうシステムが必要だという話だったんですか。それはここに入っているんですか。

(答) 基本的には、厚労省の担当部局がこの問題についての調査をし、そして今後の運用についての一定のモニターをやるということが原則だろうと思います。監視システムは、問題としては厚労省の問題ですので、そこでうまく仕組みを立てていただくことは必要だと思います。

(答・山口委員長代理) それと問題点は、医療機関債を発行するものは厚労省管轄の法人なのですが、別の会社に販売を委託するんですよ。真匡会などはそうなんです。その販売委託を受けた販売会社の方は、医療法の守備範囲外になってしまうんです。それで厚労省は手が届きませんということになってしまうんです。そこは消費者庁の消費者問題の守備範囲になってしまうところなので、やはり都道府県レベルでも医療関係部局と消費者関係部局が連携してやっていかないと、さまざまな潜り行為が放置されかねないという問題もあります。

(答) 山口委員がおっしゃったことは、厚労省の説明はそのように言っているのですが、自分の手足として販売を委託した者は履行補助者にほかならないのですから、やっている行為の問題基本的にはその医療法人の責任です。ですから、その意味では、厚労省がきちんと是正できないはずはない。これは消費者庁のほうからもそういう意見が出ました。
 ただ、中間介在者が通常の投資商品の販売と同じような営業活動をしているという意味では消費者問題になりますので、消費者庁も自分のところの問題ではないと言うべきではないだろうということです。問題を隙間に落としてしまわないことが大事でして、両者がきちんと連携をして、それを隙間に落とさないようにするということのためにも必要な提言と考えています。

(問) 真匡会が出資法に抵触している疑いが認められるというのは、私は消費者庁からは聞いていなかったのですが、今度はちゃんと消費者委員会の方でこれは言っているということですか。

(答・山口委員長代理) 提言の2ページの下の方に4つの要件が書かれていますが、その4つ目の要件に該当することになるんです。それは何かと言いますと、要するに普通の医療機関債の場合には、医療機関のために地元の病院なりその他が出資を協力して、医療機関の新しい設備投資その他の資金を提供してあげるということで成り立つわけですから、出資法違反にならないという解釈になるわけですが、真匡会の場合などは、マニュアルとか勧誘の実態を見てみると、要するに利回りがいいですよとか、そういう勧誘をしている。預貯金を銀行が高利ですよということで勧誘する理由と同じような形で、出資者の利益になりますという形の出資の勧誘の仕方をしている実態が明らかになったというところで、恐らく府警も摘発といいますか、強制捜査に入っているわけですが、
そういう実態がある以上は、これは出資法に違反するという実情にならざるを得ないだろうというところです。
 ただ、今回の提言では、特定の事案について出資法に違反する、違反しないというところで議論を立てているわけではありませんが、そういう問題も起こりかねないという今の実情を踏まえて何とかしなければということになります。

(事務局) こちらの都合で恐縮なのですけれども、もう時間がございません。
 ほかにもう一方ぐらいはお受けできますが、明日以降でもお話をお受けします。

(河上委員長) これは定例の記者会見も兼ねているんでしたね。時間がないと言いつつ定例の記者会見というのは大変申し訳ないのですが、これとの関係で、消費者委員会では、昨年度からトラブルが目立ち始めたという医療機関債を起源に、詐欺的な投資勧誘という観点で総合的な検討をすべきではないかという意見が強く、委員会の中で少し幅広にこの問題について扱うべきではないかと考えております。
 いろいろな手口があるのですけれども、劇場型のものとか、あるいは二次被害がたくさんありますし、扱われている投資商品も非常に多様なものに変化している。前のCO2の排出権とかカンボジア土地利用権といったように、新しいものが次々と出ています。医療機関債も言ってみればそのうちの1つと考えることもできるということでして、その意味では、詐欺的投資勧誘の問題として位置づけることができる。
 さらに特徴として、こういう被害というのは短期的に起きて、ばっと広がって、ばっと逃げていくという、非常に短期広域的な被害の発生ということがあって、結果的には法令の対応が間に合わなくて、被害回復が困難になるという状況があります。
 そんなこともあって、委員会としては、こういう詐欺的投資勧誘による被害の防止には、一方で高齢者に対する注意喚起を徹底して行うということと、関連法令をもう一遍見直して、その隙間に陥りそうな部分をできるだけなくすような対応をして、執行を迅速かつ的確に行えるように図る必要があると考えています。
 もう一つは、レンタル電話とかインターネットのバーチャルオフィスのようなものが匿名での詐欺的投資勧誘に用いられているということがございますので、そうしたツールを何とか規制する方法はないかということを含めて、今、検討しているところでございます。できましたら、年度内にもう少し踏み込んだ提案ができればと考えております。
 この間、7月20日の野田総理の消費者政策会議での発言の中にも、高齢者の消費者トラブルの防止についての御発言もございました。委員会としても、せっかく総理大臣もああいうふうおっしゃってくださっているので、この機会に踏み込んだ提言ができるように努力したいと考えているところであります。
 一般的な話を若干付け加えさせていだきますと、国センの検討会の報告書について、きょう議論がありました。国への移行に対しては、従来さまざまな議論があったところではあるのですけれども、先ほど私が最後にまとめましたが、一応、独立性を法的に担保的にした特別の機関という呼び方で、ある一定の前向きの方向性が示されたという理解の下で、今後、その法的な担保がうまくできているかどうかという辺りを中心に消費者委員会としてしっかりと監視していきたいと考えているところであります。
 さらに、委員と消費者団体との意見交換をずっとやってまいりまして、既に10団体と意見交換が行われたところであります。いろいろ御注文をいただきましたけれども、できるだけ消費者委員会の建議をした後のフォローアップをきちんと公表して、情報発信をするということ、消費者庁との間での役割分担をきちんとやって、無駄のないように、ある程度効率的にやってほしいということを指摘されており、事務的にきちんと対応したいと思います。
 さらに、消費者委員会の存在についての認知度がまだ低いということで、これもまた情報発信の問題だろうと思いますけれども、頑張っていきたいと思います。中長期的な課題については、消費者委員会としてもその情報をできるだけ早めに出して、スケジュールを明示するということで、記者の皆様にも、ある程度、いつごろこんなことを消費者委員会として発出できそうだという情報をわかるような形で提示していきたいと考えております。
 最後に、地方消費者委員会の話を1つだけ。
 10月20日に山口で地方消費者委員会をやる予定でおります。今度のテーマは、「高齢者トラブルの防止」というテーマでやろうかと考えています。この間、名古屋で「消費者教育」についてやりましたけれども、今度は山口での開催です。その後、12月1日に九州の大分での開催を予定しております。まだテーマは相談中ということであります。記者の皆さんの積極的な参加を期待しておりますし、現地に支局のある場合には、支局にもお知らせいただいて、注目してとり上げていただければありがたいと思います。
 今日は駆け足で申し訳ございませんが、私の方からは以上です。何かございますか。
 どうぞ。

(問) 概算がほとんど、まだ細かい額まではきていないかもしれないですけれども、大体見えていくのではないかと思いますが、国民生活センターの概算と定員をどのように考えていくか。
 それから、消費者委員会の方の概算はどんな感じになるのでしょうか。

(答) お金の話ですか。

(答・事務局) 定員と予算ですね。

(答) 余り詳しくはわからないのですけれども、できるだけ現状を維持もしくは拡充できるように一生懸命頑張っているところです。
 消費者委員会の方も、できれば定員を1人でも2人でも増やしたいということで、事務局としては最大限努力してくださっていると理解しています。数字はまだですね。

(答・事務局) 数字はまだです。7日の御提出ですからね。

(答) 今月の7日ですか。

(答・事務局) そうです。今週末です。

(事務局) それでは、慌ただしくて申し訳ありませんが、また何かございましたら、いつでもお越しいただければと思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)