河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年5月10日
消費者委員会

日時

2012年5月10日(木)11:29~11:42

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) どうも、ばたばたした御案内で恐縮ですけれども、お集まりいただきありがとうございました。
 消費者委員会といたしましては、2月末に公共料金についての建議を出しておりまして、その流れもございまして、今度、家庭用電気料金の値上げ申請が出てくるということも考えて、それについての認可申請について委員長声明を本日の時点で発表したいと思っておりますので、委員長から先にその声明文を御紹介いたしまして、少し質疑をさせていただけたらと思っております。
 それでは、委員長よろしくお願いいたします。

(河上委員長) よろしくお願いします。
 皆さん御承知のとおり、このたび東京電力株式会社から家庭用電気料金の値上げ等を盛り込んだ総合特別事業計画の認定申請がございました。
 消費者委員会としては、電気料金の値上げが国民生活に与える影響の大きさということを考えまして、経済産業大臣に対して、そこにございますとおり、さきの建議への適切な対応等を改めて要請するということにいたします。
 なお、今後、消費者庁とも連携を図りながら、その後の取組状況について常時、委員会として監視を行い、必要な問題提起を行っていくという所存でございます。
 具体的な内容は下記のとおりでありまして、その中でも特に情報の透明化ということがございますし、それから、中立的な機関によるチェックをかけるということで、その審査の過程に関しても原則として公開していくということを是非お願いしたいと考えております。
 ほかにも公聴会の適切な開催についてとか、あるいはその際の適切な情報提供等について、具体的なことがそこに示されておりますが、基本的には電気料金制度の運用の見直しに関する有識者会議における議論の結果等も踏まえて、きちんとした形で対応していただきたいというふうに考えている次第でございます。
 以上です。

質疑応答

(事務局) 一昨日、一応、声明の文書をお渡ししておりますので、内容については、詳細についてはそちらをごらんいただければと思います。
 何か御質問がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがですか。
 どうぞ。

(問) 「1 適切な審査について」のマル3なのですが、これは念のための確認ですけれども、従来はエネ庁の担当課が担ってきた審査について、そこだけでやるのではなくて、こういう有識者の視点を取り入れた審査というものにすべきである、交えるべきであるという趣旨でよろしいですか。

(答) そういうことです。

(問) ありがとうございます。

(事務局) ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ。

(問) これは念のために聞きますが、消費者庁はどう絡むから、消費者庁に何と求めるのですか。

(答) 基本的には、あて先は経産大臣ということになっておりますけれども、松原大臣も以前に国会答弁で、物価問題に関する閣僚会議では責任を有する所管大臣であって、消費者委員会などの意見を聞きながら適切な料金改定案というものについて尽力すると述べておられますように、、まさにそのような物価問題に関する閣僚会議における責任ある担当大臣としての消費者担当大臣である松原大臣にもこれをお願いするということでございます。

(問) これは、経産大臣はOKして、松原大臣がOKしないと、これは認められないという仕組みになっているのですか。

(答) 御承知のとおり、この事業計画の認定というものと、それから、料金の値上げの認可というものは別の仕組みで動いておりまして、電気事業法によって消費者庁との協議事項になりますので、その意見を聞いて、そこで一定の同意を得ながら進めるということになっております。
 消費者庁の方でも、これから一定の会議体でもって実質的な内容審査をするということをお考えのようでして、消費者委員会としては更にこの建議に従った、例えば情報の提供はしっかりできているかとか、その内容に説得力がきちんとあるかとか、あるいは消費者の意見がきちんと反映できるような仕組みが確保されたかというようなことについて監視していくということになろうかと思います。

(答・事務局) お手元の委員長声明の次に資料がございます。物価問題に関する関係閣僚会議というものがありまして、こちらには、電気料金であれば経済産業大臣、鉄道運賃であれば国土交通大臣になりますけれども、それと消費者庁とが協議をして付議をするとなっています。それで、消費者庁の所管をされているのは消費者担当の松原大臣ですので、この経産大臣、それから松原大臣が、省庁で協議をされた上で合意ができれば付議されるという仕組みですから、これから松原大臣にもお伝えしたい、こういう趣旨です。

(答) ちなみに、本日16時20分でしたか、この声明を松原大臣に手交する時間を設けました。

(答・事務局) 場所は、ここでやる予定にしています。

(答) 経産大臣に関しても手交するということを希望しておりますけれども、今、日程調整中ということでございます。

(問) それで、この声明は相手方の省庁にも届いているということでよろしいのですか。

(答) 文書では直ちに届くことになります。

(問) それでは、もう要請したということでよろしいわけですね。

(答) はい、結構です。

(問) あと、松原大臣に拒否権のような強い権限はあるのですか。

(答) この辺の仕組みは、事務局から説明します。

(答・事務局) そのとおりです。まさに協議して、この絵のとおりなのですけれども、協議というのは、協議が整ってから付議なものですから、両者がOKという、要するに経産省が査定をして、審査して、消費者庁と協議されて、それを消費者庁が、要するに松原大臣も含めてOKと言わなければ、この上の付議ができない。したがって、拒否権はあるわけです。

(問) そんなことは現実的に考えられるのですか。

(答・事務局) ですから、拒否したままでは先に進みませんから、それはお互いに協議し、必要があれば調整していく。それで一致点を探していくということです。

(問) わかりました。

(事務局) ほかにはいかがですか。
どうぞ。

(問) 今回、建議をすることによって経産大臣はどのような対応をとらなければいけなくなるのでしょうか。

(答) 声明についてですか。

(問) この建議をすると、つまり具体的にどういったアクションが起こせるのでしょうか。

(答) 今回のものは正式の建議というものではないので、尊重義務とは直接には結び付きませんけれども、しかし少なくとも、前回行わせていただきました公共料金に関する建議で示されたような内容について、具体的に電気料金について、これをやっていくということが経産大臣には法的に要請されているということになりますから、今回の声明も更にこれを尊重していただくことにはなろうかと思います。

(問) わかりました。

(事務局) どうぞ。

(問) 追加で申し訳ありません。既に一部で報道されていますけれども、今回の値上げの中身、平均10%程度と言われる中でも、例えば昼間に電気を使い過ぎないようなインセンティブを働かせるために、その部分を高くしたりとか、報道されている中身についてで結構なのですが、委員長の印象を伺えればと思います。

(答) 具体的な内容については、まだコメントすべき立場ではないのですけれども、ピーク時の需要のコントロールをうまくできるような仕組みというのはあってしかるべきであろうという気がいたします。
 ただ、料金設定や節電要請には非常にいろんな要素が絡み合っておりますね。非常に大事な、病院とかそういうところの電力の確保の問題とかがございますので、一概には判断ができないところはございます。ですから、その辺は消費者庁でもいろんな形で自主的な精査を行うということでございますので、その辺を見ながら必要に応じて意見を述べていきたいと考えております。

(事務局) よろしいでしょうか。
 どうぞ。

(問) ちょっと話題が変わるのですが、コンプガチャの話で委員長の受け止めをお聞かせ願いたいのです。

(答) あれは利用者が、実際問題として、そういうことによって不必要な出費を重ねている面もあります。しかし特に青少年がそのような形でいろいろ費用を払い続けているという状況は決して好ましい状況ではなくて、それは買う方が悪いのだという話では済まされない部分があるように思います。、その辺りについての仕組みそのものが決して好ましいものではないとしますと、景表法に違反する可能性があるという消費者庁の考え方は、私はそれなりに正しい方向であると考えております。
 ただ、問題はもう少し先にもあって、現在までに集めてきたいろいろなものを、お金を出してやってきたものがこれで無駄になってしまうといいますか、結局払い損になってしまうという部分がございますね。そういうものについて、果たしてそのまま放置しておいていいのかという感触は個人的に持っております。なかなか、ああいう自由な世界でやるべきものにどこまで規制するかというのは確かに大変難しいのですけれども、疑問のあるという形で問題提起をされたこと自体は、私は好意的に評価しております。

(問) 新しい産業に対して行政がこういう口を出すと、成長産業を委縮させてしまうのではないかというふうな見方もありますが、これはいかがでしょうか。

(答) それはそうだと思います。ですから、セーフティネットをちゃんと張って、その上で自由にやるべきところをやっていくという必要があって、規制緩和ということ自体に本当はもう一度考え直すべきものがあるのかもしれないという気がするのです。
 この間のバス事故などもそうでしたけれども、規制緩和によって後で過当競争に陥って利用者の安全が脅かされたり、それから、自由を履き違えて、非常に過度な、問題のある商品が市場に出回るということは好ましくない。事後的な監視や救済がうまくできるのならともかくとして、それが難しいのであれば、やはりあらかじめセーフティネットを張っておくということが必要で、そこのバランスのとり方だろうと思うのです。ですから、もう一度、ほかの問題も含めて、規制緩和の功罪ということについては考えてみる必要があるのではないかという気持ちは持っております。

(問) ありがとうございました。

(事務局) それでは、また16時10分にどうぞよろしくお願いいたします。

(河上委員長) 今日はどうもありがとうございました。

(以上)