河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年3月27日
消費者委員会

日時

2012年3月27日(火)18:00~18:26

場所

消費者庁6階記者会見室

冒頭発言

(事務局) それでは、6時になりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 先ほど、概要については吉田委員から御紹介させていただきましたけれども、改めて簡単に御紹介させていただいた上で、御質問をお受けしたいと思います。

(河上委員長) それでは、始めさせていただきます。
 先ほどの委員会の中でも説明がございましたので、大体おわかりかと思いますけれども、資料1-1という形で消費者委員会の方から文書がございます。提言そのものは資料1-2に入っているかと思います。
 御承知のように、太陽光発電システムの販売については、現在電力の問題で原子力発電による電力供給に対していろいろ問題があるということで、このような代替エネルギーについての発電システムの普及が政府の中でもかなり重視されているものですし、実際に、それに伴って設置の数が増えているということなのですけれども、それに併せていろいろなトラブルも増えているという現状がございます。
 具体的に国センとかいろいろなところで集まった問題というものを分析してみると、どうもそれぞれ契約の過程で説明が不十分であったということとか、販売方法あるいは当初予定していたような効果が得られないということがあったり、価格、料金等や契約内容についてのトラブルが相当多いということがわかりました。
 そうした相談を受けて、今後、太陽光発電システムというのは、代替エネルギーの1つとしては非常に重要な位置を占めておりますので、消費者委員会としてもこれは普及していった方がいいということは前提の上で、それがきちんとした契約の形で普及していくようにということを考えて、今回まとめさせていただいたというものです。
 提言とか意見の表明が建議になるべきか、提言でとどめるべきかという辺りについては、ある種の相場観ですけれども、提言になりますと、やはり新しい制度の導入であるとか、選択肢の見直しといった制度変更を伴うような場面が非常に多くなるので、今回は問題への対処は、恐らく現行の法令でもってそれをしっかりと運用していけば対応可能な部分がほとんどであると考えて、それに併せて、むしろ頑張ってやってくださいという形の提言にとどめた方がいいのではないかということで、提言にしているということであります。
 主な相談事例は、資料の5ページ目辺りに出てまいります。
 不実告知です。つまり、売電でローンを払えるなどということで契約したのだけれども、どうも余りたくさん発電ができていないとか、補助金制度があるということなのですが、これが県によってばらばらになっておりまして、実際に国の補助金が受けられると言われて契約してみたところ、補助金の要件から外れていたり、あるいは自治体の補助金が思ったほど出ていないということがあったと。不正確な説明、あるいは過剰な有利さをうたう説明があったということでトラブルになっているケース。
 やや強引で長時間の勧誘をしたり、断ったのに再勧誘を受けてしつこいということで相談をするということ。
 施工に関して、施工後、実際に工事をやったんだけれども雨漏りし始めたというケースもあったり、いろいろな施工に関する相談なども出てきているということであります。
 これに対応する問題というのは、大体特定商取引法で対応できる問題ばかりでございますけれども、現実に特商法で何か被害が生じたときにうまく対応してきたかというと、6ページ目を見ていただければわかりますが、実際にはなかなか行政庁の方から処分を下したという例は非常に少なくて、うまくこれが機能しているかどうかには疑問があること。景品表示法に関する行政処分などはほとんどないという状態であります。
 もう少しこの点に関して行政の立場からきちんと対応してほしいということをまず申し上げないといけないだろうということであります。
 それから、加盟店管理という観点から、クレジットを組んで太陽光発電を設置したという場合に、クレジット業者の方が加盟店に対して一定の管理をしていくということが行われ得るわけですけれども、実は、太陽光発電のシステムに関する契約が非常に速いスピードで伸びているにもかかわらず、トラブル自体はそれほど大きくは伸びていないという現状は、恐らく加盟店管理が一昨年の特商法改正で強化されたということとかなり関係しているのではないかということが推測されるわけでありまして、今後もこの加盟店管理を通して悪質業者を排除していくという働きかけを是非きちんとやっていただければありがたいということであります。
 更に、業界内の対応については8ページにありまして、現在、業界の中でも相談センターをつくってみたり、あるいは法令順守についての自主ルールを作成したり、PV(Photo Voltaic)施工士認定制度というものをつくって、実際の施工をするときに、それぞれの一定の技能と知見を持った人がこういう工事をするようにするという方向を検討しているようです。そういう業界の動きに対しては是非応援したいということなのですが、加えて、やはり情報がきちんと提示されていないというトラブルも多いので、その部分について正確な、具体的な情報を契約前に提供するという観点から、支援制度に関するわかりやすい情報提供いただきたい。また、支援制度ばかりではなくて、太陽電池の持つメリット、デメリットに関してもちゃんとした情報の提供をしてほしいということを要請したものであります。
 御承知のように、太陽電池というのは、付ければ一定の電力が手に入るというわけではなくて、その地域とか屋根の方向でありますとか、そういうものによって大きく左右されるものです。実際には、この家だったらこれぐらいの電力供給が見込まれるという見積りが必ずしも個別具体的になされていないということもございますので、そうした情報提供もきちんとしていただきたいという意味合いも込められております。
 11ページの提言1は、法執行等の強化ということで、強化を要請しているということであります。
 提言2は、業界団体を通じた販売方法の適正化、品質向上のための取組みを是非応援して、これを活用してほしいという趣旨です。
 提言3は、さきほども言及しましたけれども、支援制度に関する分かりやすい情報提供をきちんとしていただきたいというわけでありまして、わかりやすい情報という意味で言うと、補助金制度でありますとか、余剰電力買取制度の支援制度、あるいは御自宅でどのぐらいの発電量があるかということについての情報といったようなものも含めて、消費者がきちんと理解できるような情報の提供を是非お願いしたいということです。以上のような内容を骨子として提言させていただくということにいたしました。
 宛先は、基本的には特商法が消費者担当大臣のところと、割賦販売法が経済産業大臣にかかるということでして、この辺について経済産業大臣と消費者担当大臣を宛名として消費者に対して提言を出しているということであります。
 この太陽光発電システムの施工とか品質の確保という点だけから言うと、国交省もかなり深い関係を持っています。国交省自身については、勿論協力の相手ということになりますので、実際の運用の中では国交省の協力を求めるということは十分あり得るかと思いますが、今、消費者から寄せられている相談の多くは、訪問販売に係る契約トラブルがございますので、その対策として、この特商法の厳格な執行、運用あるいは業界団体を通じた販売方法の適正化等々、情報提供も含めてやるとすると、消費者庁と経済産業省ということになろうかということで、差し当たっては、この両者に対して提言を行うという形で提言をすることになりました。よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

質疑応答

(事務局) それでは、御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。

(問) 提言の返事というか、消費者庁、経産省に出して、それに対してどう求めていくのか。対応をどう求められるものなのか。

(答) 文面上は、実施状況の報告を求めるという表現が出ておりませんけれども、今後状況を見守って、必要に応じて関係省庁にヒアリングをかけて御報告いただくということを考えております。
 今回の提言をもって本件に係る審議を終了するというわけではありませんで、両省庁においてこの提言の趣旨に沿ってきちんと措置が講じられているかどうかということを委員会として適宜にフォローするということをやっていきたいと考えております。

(問) 今のところは、要望というか、意見としてとりあえず。

(答) 受け止めていただいて、きちんとやっていただくと。
 消費者基本計画の中にも、それは新しい施策として入れてくださいという意見を出しているところでございます。

(答・事務局) 今日の資料の中に入っていますので、御確認ください。

(事務局) では、どうぞ。

(問) 今日、消費者委員会を傍聴できなくて申し訳なかったのですが、恐らく話されたかもしれませんが、提言の中に入っている自治体の調査をされたと書いてありますけれども、その資料というのはこれなんでしょうか。

(答) 幾つかの自治体に対して、実際に例えば自治体からの補助金についてもかなりばらばらな状況だということは、この資料の中で出てまいります。
 例えば資料の9ページごらんください。これは具体的な名前を出したっていいぐらいですが、生々しいのであれなのですが、例えばA県B市ですと、都道府県からの実際の補助というのは35万円。しかし、金額としては10万円/kW、上限100万円という条件がある。更に、C県D市の方は、1万5,000円/kWで上限、5万2,000円になって、5万2,000円という補助が出ている。相当これは違うわけです。
 国からのやり方にしても、システム価格の60万円というのは、/kW以下でありますから、これが上がってしまいますと、国からの補助も出ないんです。ですから、実際に自分が購入しようとしているものがどのぐらい国や地方自治体からお金が出てくるものかということについては、相当ばらばらな部分がある。その情報を幾つかの自治体に調査をしてみて、違ったものをこうやって例示するための調査を行ったというわけでございます。

(問) わかりました。
 それと、割販法の関係ですが、クレジット、信販会社。支払方法を見ますと、66%が個別クレジットであります。多分、先ほどの自治体の御意見なのでしょうけれども、要するに割販法改正によって、クレジット会社の多面的管理責任が問われるということで、それ自体はすごく有効になっているという御意見もあるのですが、以前、消費者庁が朝日ソーラーと美研という会社を特商法違反で指示処分と業務停止命令をかけたときに、クレジット会社がそれぞれ3社ずつ関わって個別クレジットをやったと。
 これは消費者庁がそのまま特商の執行をやって、割販法自体の指導は経済産業省になっておるわけですけれども、この6割の支払いの中で、クレジット会社というところは苦情があることを本当に知っているのかどうか。つまり、クレジットの管理責任が法律によって厳しくなったのですが、要するにクレジット会社に聞くと、個人情報保護のために消費者センターからの情報が得にくくなっていて、つまり、今までの消費者庁の執行の中では、問題となったクレジット会社はなかなかクレーム自体を把握していないようなコメントを出していましたので、今回の太陽光発電は6割あるわけですけれども、このクレジット会社たちは、本当はクレームを把握しているのかというところはどうなのでしょうか。何かわかれば。

(答) これは事務局の方からお願いします。

(答・事務局) ここで個別クレジット会社の平成20年度の割賦販売法の改正によって加盟店管理が強化されてという話は、国民生活センターもしくは地方とかに行ったときに、今回太陽光発電の販売に関しても、ある程度効果が出てきているのではないかという意見がありました。
 経済産業省に対しても、例えばヒアリングの際にも同じような質問をして、なかなかはっきりと証明はできないですけれども、傾向としては、ある程度、悪質業者を排除するという意味においては効果があり得たのではないかという感じです。
 定量的に示すことも難しいし、しっかりと証明はできないのですが、先ほど委員長もおっしゃられたように、市場が伸びている割には苦情が思いのほか伸びていないというのは、かなりそこの部分も効いてきているのではないかということもあって、今回、そういう面に関して、別にそれはそれでしっかりやって、それだけで最終的な解決策になるとは思えないですが、それなりに効果があると考えられますので、そこはそこでしっかりやっていただきたいという意味で、今回提言として盛り込んだということでございます。
 ちなみに、一応加盟店管理の話に関しては、平成20年度の調査で、与信契約時調査ということで、それぞれ個別クレジット業者は消費者に対してどういう説明を受けましたかという調査をかけることになっていまして、それがどこまで実態的にやっているかどうかまでは、我々はこの提言の中では把握しておりませんが、ただ、一応必要な調査ということで義務づけされたということは、以前に比べて少なくとも効果がなくなるということはなくて、効果がある方向には効いているのかとは思っておりません。
 すみません、そこは定性的な御議論になってしまいましたが、背景は以上でございます。

(問) わかりました。
 気になっているのは、クレジット会社、信販会社は、割販法改正によって、そういう責任が課せられたわけですけれども、特商法違反で処分が出た場合、その事業者との取引があったかどうかの事実を業界の中ではホームページ上で各社が公表することになっていると。ところが、一般消費者にはなかなかそれが見えなくて、こっそりとと私は思うのですが、ホームページでは挙げられているけれども、そういう取引があって、そういう方は相談をくださいということは、そのホームページで公表されるのですが、一般にはなかなかわからない中で、やはり業界自主基準でやっていることに対しては、何らかの形で公表するとか、把握されている処分に対しては公表すべきではないかと思っておりまして、例えば提言の中で、自治体の方で処分したというのが、北海道、栃木、岡山の3道県から出ています。これは果たしてクレジット会社は関わっていたのか、個別クレジットがあったのかどうかとか、こちらの方が取材する場合は何社あるかぐらいの話まではしていただけますけれども、社名まではなかなか公表されないですね。そういうところも、処分に当たっては、クレジット会社も公表していただきたいというのが気持ちです。

(答) またこれは経済産業省の方とも事務的に、是非そういうことの説明をさせていただければと思います。
 何より、ひどいアクセスの仕方をしていたと。不当勧誘行為をやったときに、クーリングオフとか、抗弁の接続などを使って、クレジット会社の方にこういうことがあったので支払いには応じたくないという言い方で伝わることが多いだろうと思いますので、その意味では、事業者そのものにいろいろなことを言わせるといっても限界がありますので、事後的ではありますが、そういう形でクレジット会社の方に情報が行って、クレジット会社ではこんな苦情がたくさん来ているがということで、加盟店に対して一定の管理権を行使するという形になるだろうとは思います。

(問) これは今日出されたんですか。

(答) 今日成立しました。

(事務局) ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 もしまた追加の質問があれば、いつでも事務局担当にまでお問い合わせいただければと思います。

(河上委員長) それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(以上)