河上消費者委員会委員長 記者会見

2012年3月7日
消費者委員会

日時

2012年3月7日(水)13:00~13:37

場所

消費者委員会大会議室1

冒頭発言

(事務局) それでは、1時という時間がいいかどうかというのは、また後で皆様の御意見をお聞かせいただけたらと思いますが、お約束は1時ということですので、始めさせていただきたいと思います。
 今日は2時から向こうの記者会見室を長官が使われるということで、そちらのセッティングとこちらがいつ終わるかということもありましたので、会場をこちらに移してやりたいと思っております。
 2回目ということで、最初は盛りだくさんの御案内をいたしましたけれども、委員会の動きということでショートに絞った形で、最初に委員長の方から御報告をさせていただき、その後、記者の方からの御質問をお受けしたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

(河上委員長) よろしくお願いします。
 定例の記者会見をということで、これまでの近々の消費者委員会の動きについて、若干御報告をして、御質問にお答えしたいと思います。
 まず、第1が公共料金問題についての建議です。
 これは前回の記者会見のときにちょうど整理したところだったので御報告したことですけれども、その建議は、委員会終了後に私の方から松原大臣に手交いたしました。松原大臣からは、建議の実現に向けて、自身が建議先になっているものも含めまして、政府部内で調整して、しっかり対応していきたいという御発言をいただきました。
 また、昨日3月6日に、枝野経済産業大臣にも同じように建議の手交を行いました。枝野大臣からは、誠に時宜にかなった建議であるということで、しっかり取り組んでいきたいという御発言がありました。
 電気料金の問題についての関心が非常に強いということがあって、マスコミの方も随分いらしていたわけですけれども、前から申し上げているように、今回の建議は、公共料金全般についての横串的な透明化と消費者の決定への参加という観点から行ったもので、具体的に運輸に関する運送料金以外にも見るべきものはたくさんございますので、必要に応じて追加的な建議を一つひとつやっていくということです。かなり大きな課題になりますので、今後とも、是非御注目いただければありがたいと思います。
 本年8月までに、今回出した建議について、大臣あるいは消費者庁から報告をいただくことになっておりまして、それぞれフォローしていきたいと思います。
 また、消費者庁が先般発足させました公共料金に関する検討会というものがございまして、これにも消費者委員会の委員がオブザーバーとして参加するということになっておりますが、そこで新たな問題点が明らかになり次第、これを取り上げて、追加的な建議を行うということをしながら、消費者庁の取組みを後方から支援していきたいと考えています。
 公共料金問題については以上です。
 第2は、消費者安全法に基づく国会報告に関するものです。
 2月14日の消費者委員会では、消費者庁からの消費者事故に関する情報の集約及び分析の取りまとめと、結果の報告に対する意見を取りまとめました。この意見の中で、各項目の要約が示されるなど、かなりわかりやすくなった点などが評価に値する半面で、それ以外にまだまだ改善すべき点があるだろうということで、できるだけ消費生活の安全・安心に寄与するような報告になるように求めたところでございます。
 特に、今年消費者庁が「消費者白書」というものを公表することを予定しているとのことでありまして、この点にも配慮して、いろいろ国民にわかりやすい白書になるように期待しているところであります。
 安全法に関する意見はそのぐらいです。
 第3は、住宅リフォームに関する建議のフォローアップの問題です。
 昨年8月に第1次委員会がとりまとめたものですけれども「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議」というものがございまして、3月13日に開催する消費者委員会で、その実施状況について国交省から報告をいただく予定でおります。
 報告は以上です。
 次に、当面の委員会の関心事項ということで、今、こんなことを考えていますというか、議論していますということをお話ししたいと思います。
 第1は、ソーラーパネルの設置契約をめぐる問題です。実は昨日も、枝野大臣に対して、電気料金でこういう問題があるという建議内容に関する話と並んで、代替エネルギーに関するさまざまな消費者問題も起きているんですという話をしてきたのですが、太陽光発電システムをめぐっては、システム価格そのものが低下しつつあることと、国の政策で補助金とか一定の支援が行われる。余剰電力買取制度等の政策的な対応というものがありますし、更に消費者自身も環境問題に関心が高まっているということがあって、ソーラーパネルを自分でも使ってみようかという人が増えて、その普及が非常に拡大している。
 ところが一方、普及に伴って、消費生活センターに寄せられる相談件数も非常に増加しておりまして、相談内容の多くは、訪問販売の勧誘のプロセスできちんとした情報が提供されていなかったというものとか、迷惑勧誘、もういいと言っているのに再勧誘するというように、訪問販売法上の問題が極めて多いということです。
 消費者委員会としても、かねてから、この問題には関心を持ってきたところで、これまでに委員会において、相談の状況について国センから報告を受けるとともに、消費者庁、経済産業省の資源エネルギー庁の担当課に対して、消費者問題への対応状況についてヒアリングを行ってまいりました。問題への対応としては、大体こんな方向かなというめどが立ってきましたので、近々、本件に関しては消費者委員会としての意見をとりまとめることを予定しております。
 第2の事項は、皆さん御承知のとおり、脱法ドラッグとか違法ドラッグと呼ばれているものであります。これは前回の定例会見でも申し上げましたように、青少年にとってはそれが麻薬等のドラッグに対する入門の作用をもたらし、ゲートウェイドラッグなどと呼ばれているものであります。
 そういう状況を踏まえまして、委員会としても非常に大きな関心を持って取り組んでいきたいと考えているものです。既にある程度情報収集はやっております。何でこれが消費者問題なんですかとよく聞かれるのですが、考えてみると、あたかも市場適合商品であるかのような顔をして、健康に非常に有害なものが出回るということで、しかも、それが若者の健康をむしばむ重大な危険性を伴っているとしますと、これは単純に刑事問題でしょうとして片付けられるべきものではなく、やはり健全な市場をつくるためのルール、消費者問題としてこれに取り組んで、きちんと浄化していくことが私どもの大きな課題であろうと思われるのです。
 そんなわけで、違法ドラッグ問題について、何らかの形で消費者委員会としても対応ができないかということで、前々から考えていたところですが、近々、厚生労働省、東京都などの担当部局からヒアリングを行って、今後、委員会としてどういうふうに対処したらいいかということを検討していきたいと考えています。かなり大きな問題ですし、場合によっては罪刑法定主義とバッティングするということもあって、微妙な問題を含んでいますけれども、何とか建議か提言に持っていければということを考えているところです。
 第3は、標準旅行業約款に関するものです。これは現在、観光庁に設置された標準旅行業約款の見直しに関する検討会というところで一定の議論がなされております。旅行業を取り巻く社会情勢の変化に対応した標準旅行業約款の在り方について見直しが必要だということが言われているわけですけれども、特に問題になりそうなものは、募集型企画旅行の取消し、キャンセルをしたときのキャンセル料について、その対象となる期間を90日まで延ばそうという案が出ていることでして、その期間とか割合について見直しが大きな問題となっています。
 これは旅行をする消費者にとって影響が小さくないことなので、消費者委員会としても関心を持っているところであります。3月13日の委員会でも、観光庁や関係団体からヒアリングすることを予定して、検討状況をフォローしていきたいと思っております。必要に応じて意見を述べるということも考えてます。
 第4は、消費者基本計画の検証・評価・監視です。
 例年のことですけれども、消費者基本計画の見直しを今、消費者庁の方でやっているわけですが、それについても、委員会からも意見を述べるということをやります。
 今後も消費者委員会では、この基本計画の内容について、重点を置いて、関係省庁へのヒアリングを定期的に行っていきたいと考えております。
 第5は、例の国センの話です。
 ご承知のように、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会議というものが開かれていて、私もそこに参加させていただいています。そこでは消費者委員会が今後どうあるべきかということも含めて見直すことも要求されていますので、恐らく4月ごろに、自己評価とか今後の方向性等について検討会議で報告する機会がまいります。ですから、今後、委員会としてどうあるべきかを委員の間、あるいは事務局との間で検討して、準備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、これは以前にも御案内したと思いますが、地方消費者委員会を3月24日の土曜日に松山で開催することを予定しております。今日、お手元に黄色い紙があるかと思いますけれども、大体このような内容で、最初に基調講演で「消費者の取引と法」ということで、債権法改正の中での消費者法の位置づけのような話を私の方からさせていただいて、あとはケーススタディをしながら、最終的にはパネルディスカッションで皆さんと意見交換をするということを予定しておりまして、現地の支局等にも御紹介いただけるとありがたいと思います。
 最後になりますが、消費者契約法の見直しのワーキングチームの作業は、今、2回目が終わりまして、ちょうど消費者契約法の適用範囲をめぐる問題とか、契約の締結過程での規律をどういうふうにするかという辺りを中心に問題点の整理をやっています。まだまだブレーンストーミングの段階ですので、論点を掘り下げて議論するというところまでは進んでおりません。もう少し論点が具体的に固まってきましたら、今度はオープンな場で議論をしていきたいと考えているところです。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 先ほどの旅行業約款の見直しの件ですが、委員長は現状でどこに問題点があると考えていらっしゃいますか。

(答) 基本的には、取消料の発生する時期と割合ということになります。
 世界的に見て、90日ぐらいのルールが出ているところは確かに多いですけれども、これまでの日本で1か月前まではキャンセル料が発生しなかったものが、発生するようになるというのは、場合によったら消費者契約法上の違約金、キャンセル料に関する規制に引っかかるのではないかという問題がありますし、これから旅行していく人にとって、90日前に予約をキャンセルしたらペナルティを課せられるというのは果たしていいのかということは、もう少しきちんと考えてみないといけないのではないかと思います。
 業界では確かにいろいろ大変みたいで、企画旅行の場合は、キャンセル料が発生してしまうと、その部分については、実は企画をした旅行会社自身がリスクを負わなくてはいけなくて、運送会社とか航空会社などは、その部分については最初からキャンセル料を動かすつもりがないようなのです。そこら辺のリスクをどのぐらいに読むか。勿論、そこから90日の後にもまだ予約は来ますから、どのぐらいが埋まっていくのかということによっても損害額が変わってくるはずです。ですから、一律にキャンセル料を今、提案されているようなパーセンデージで出すことがいいのかどうか、もうちょっと慎重に考えてほしいと思っています。

(問) それに対して、観光庁でやっている検討会にどういう形で意見を言うんですか。

(答) そこは問題点がはっきりわかった段階で具体的に考えていきたいと思いますけれども、場合によっては、90日という期間については見直すべきではないかということを言う必要が出てくるかもしれません。

(問) そこは法的に何らか担保されているものはあるんですか。決める前に、これはおかしいのではないかと言える段取りというか、手続とかはあるわけですか。

(答) 基本的には観光庁が認可をすることになりますから、認可段階でこういうことを考えてくれという注文をつけるということになるんでしょうね。

(事務局) どうぞ。

(問) 今の関連ですけれども、これは標準旅行業約款ということですので、つまり観光庁が後で認可をするということで、推奨約款になるわけだと思うんです。そういうものを決める前に、消費者委員会として意見を述べていかれるということかと思います。つまり、国交省への意見ということになるのでしょうか。

(答) そうですね。認可をする際にこういう点に注意してくださいという形での注文をつけるようなことになるかもしれないということですね。

(問) 確認ですが、推奨約款自体は、消費者契約法の対象には入らないんでしょうか。

(答) 推奨約款は、実はニュートラルな存在でして、消費者契約法が適用されるのは、その推奨約款を受け入れて、そして自分の約款にして利用した段階で消費者契約法の対象になるものです。
 推奨約款だからといって、お墨付きを得ていると考えて、裁判所などが何ら介入できないという問題はなくて、消費者契約法は推奨約款を利用した約款に対しても、つまり推奨約款の内容に対しても、それが約款として実際に使われている場面では適用されます。「ひな型」などと同じです。

(事務局) どうぞ。

(問) 関連してですが、今、検討している標準旅行業約款は、旅行会社に適用されているものなのか、航空会社とか鉄道会社に適用されているものなのか。

(答) 旅行業約款は、旅行業者が設定して、消費者に対して提示しているものです。ですから、これは旅行会社と顧客の間で適用されている契約約款ということになります。

(問) ありがとうございました。
 別のことでいいですか。

(事務局) どうぞ。

(問) 昨日、公共料金の建議を渡しに行かれたのですが、東京電力を消費者委員会の方に呼びたいというお考えをおっしゃっていましたが、その辺りをもう少し詳しく教えてください。

(答) 今後、東京電力が具体的に申請を出して、その金額についていろいろ議論が起きると思いますけれども、その過程で、経産省としては一定の手続を踏んで関係者の意見を聞く機会を持つことになると思います。そこで論点が明らかになってきた段階で、場合によっては経産省から進捗状況を伺う。必要に応じて、東京電力の方にも説明をいただくということがあり得るということを申し上げたわけです。

(問) それは委員会として、例えば東京電力から何か説明を受けるというのは、消費者の意見とか視点を何らか反映させるという手続の1つとしてそうしたいということですか。

(答) むしろ、電力料金の決定過程には、それぞれ経産省の手続の中に消費者が入った委員会で、例えば消費者に諮問をして意見を聞くという手続が入っていますから、それがきちんと行われているかどうかというのは、まず確認する必要があります。
 しかし、実際に動いているプロセスを見ながら、これは問題ではないかと思ったときは、経産省の方から実施状況を伺ったり、場合によっては東京電力自身からも説明を伺ったりということをして、疑問点を明らかにするということはした方がよいと思います。
 建議で申し上げていた消費者の意見の反映のプロセスの一環として、消費者委員会が乗り込むという話ではございません。

(問) ありがとうございます。

(事務局) どうぞ。

(問) 関連で、消費者委員会は電力をどこから買っているんですか。東電だとか、特定事業者だとか。

(答・事務局) ここですよね。東電ではないですかね。

(答) 詳細はわかりません。

(答・事務局) 全館同じですから、PPSではなくて、多分東電から買っていると思います。

(問) ビル全体でやっているんですか。

(答・事務局) そうです。

(問) わかりました。

(答) ということは、消費者委員会も利用者なのですね。

(答・事務局) そうですね。

(問) この件については、国交省には直接行かれているのでしょうか。運賃の建議がありましたね。

(答) 国交省へは、今の段階では、一応事務的にお渡ししているのですが、国土交通大臣に建議を手渡せるかどうかということについては、今は日程的に難しいとうかがっています。

(答・事務局) なかなか予算委員会などに行っておられるので、先週は無理という状況でした。

(問) それから、改めて確認ですが、今回、公共料金の建議は重要だと思うのですけれども、その前に委員長がおっしゃった国会報告に対するものについては、意見だったと。その後、今後の予定として意見を出されるとか、脱法ドラッグには提言を出されるとか、今の標準約款については意見ということで、使い分けていらっしゃるような気もしたんですけれども、意見と提言と建議の違いはどうお考えでしょうか。

(答) 前の1次の委員会でも余りはっきりしていなかったところがあるんですけれども、要するに消費者委員会が法律上の権限を持って、各関係省庁や大臣に対して意見を申し上げるのは建議だけです。

(問) 法的に基づくものは、建議としていいわけですね。

(答) そうです。それだけに、建議をするということになったときは、かなりきちんとした証拠とか資料を基にして、しかも何をどうしてほしいということを具体的に摘時する必要があります。いくつかの選択肢の中でこういう方法があるので、こういうことをしてほしいという具合に具体的な方針を提示するというところまでいけたときは、できれば建議という形にしたいと考えています。
 しかし、そうではなくて、消費者委員会としてこういうふうに考えていて、この辺について注意してくださいという程度のものであると、なかなか建議をしても、相手もどう行動していいかわからないでしょうから建議というほどのものにはなりにくい。しかし、問題の所在だけは相手に理解してもらって、その上で、一定のことに留意して適宜に措置してほしいというときには、提言とか意見という形にとどめることがいいのではないかということです。
 ただ、以前はどちらかというと、建議はかなり重いものだという意識があって、なかなか建議まで持っていくのはどうかという遠慮があったみたいですけれども、法律的にきちんと相手に意見を聞いてもらうためには、建議の方がいいということを委員会の中でも話しまして、今後はできるだけ具体的な内容のものであれば、建議の形にして出したいと考えています。

(問) ただ、以前は建議を出すに当たって、恐らく今回の公共料金であれば、昨年10月の報告書を引用されて、電気料金の場合は監督官庁の原課さえも把握していなかったと。そうであれば、消費者委員会の方で資料請求なりの権限を持って、法律に基づいて資料請求をして、確かにそうだということで突きつけていくとか。つまり、建議の重たさといいますか、そういうものを法律の範囲内で相手官庁に対して資料請求なりをしたり、そういうものがイメージとしてありまして、だからといって、今回の建議がそうしていないからといってということではないんですけれども、そこのところがちょっと気にはなりました。

(答) 公共料金はなかなか問題が多岐にわたっていて、今回は一応国交省に対する運送料金の問題についてはかなり立ち入って調べました。電気料金に関しては、御承知のように検討会があって、そちらの安念座長のところで相当細かく審議をしてきているということがありますので、消費者委員会の方で重ねてやるというところまではしていなかったということです。

(問) それと国会報告の意見というのがありましたね。あれは意見だったんですけれども、その場合も、重たさという意味では、国会報告は今回で4回目ですから、多分前の委員会では3回の中で意見を出していて、しかも、3回出していた意見要望が実現していない項目もあるということが、今回意見としても出ていたと思うのですが、そういうせっかく意見をして、要望していたものがなかなか直っていないというものに対しては、また同じような意見ではなくて、ちょっと考えた方がいいのではないかという感じはしました。

(答) ありがとうございます。
 ただ、余り直されていないとはいうものの、結構言うことを聞いて、改善されているところもあるのです。ですから、もう一息というところは、またしつこく言うということで、とりあえず対応をしているところです。

(事務局) どうぞ。

(問) 最近、連日ワイドショーとかスポーツ新聞で占い師と女性タレントの関係が報じられていますけれども、その一種霊感商法被害とか、占いとか祈祷とかの消費者被害につながる部分もあると思うんですが、これに関して委員長はどういう御見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

(答) 宗教の問題も含めて、昔からこれは消費者問題の中では非常に厄介なところです。山口委員が造詣の深い分野ですけれども、本来の宗教的な問題に関しては、信仰の自由の問題が一方でありますね。それに対して、営利的な活動を隠す隠れみのになって宗教的なものも動いているという場合に、信仰の自由を侵害しないで、なおかつ消費者問題として是正すべきところを切り込んでいかないといけなくて問題を難しくしている。前々から壺とかいろいろなものが問題になったりしていますけれども、考えてみれば、お正月の破魔矢だって、原価を考えれば、あんなものが1,000円も2,000円もするわけないですね。でも、破魔矢としてちゃんとそれなりに1年間みんなが大事にしている。
 ですから、どこまで不適切な取引行為として介入していけるかということは、相当慎重に考えないといけない。むしろ、その宗教団体そのものが実は宗教を隠れみのとした悪質な団体であるということが認定できれば、あとは一気呵成に通常の市場ルールでやれるとは思います。一般ルールとしてどこまで立てられるかは、もう少し慎重に考えないといけないと思います。

(問) 今回は宗教ではなく、占い師を名乗っているようですけれども、その辺の線引きはなかなかできないとは思うんです。

(答) せっかくの機会ですから、ちょっと考えてみます。
 町のその辺に座っている占い師などというのは、当たるか当たらないかわからないし、実際にはどの程度意味のある営業なのかわかりませんけれども、心理的なカウンセラーのようなものかもしれませんしね。

(問) 実際に何か取り締まれないんですか。一定の業界団体なりをつくらせて、それをどこかの官庁が規制するということはできないんでしょうか。

(答) どうでしょうね。山口委員にも聞いてみましょう。

(事務局) ほかにはよろしいですか。

(答) この定期的な記者会見では、ざっくばらんにいろんな議論をして、こちらも出せる範囲でどんどん情報を出していきたいと思います。マスコミの方は、恐らく自分が今、追及しているようなテーマをみんなで共有してしまうと、ネタが共有されてしまうということがあるかもしれませんので、大学のオフィスアワーみたいに、場合によったら何時から何時までと時間を決めておいて、アポイントメントをとってもらって、何か問題について議論したいとか、そういうことがあったら聞くという時間も考えてみたいと思います。
 また定例記者会見のやり方について、御希望なり御意見がありましたら、是非事務局の方にお寄せいただければと思います。
 どうぞ。

(問) 最後に1つ、すみません。
 先ほどの標準旅行業約款のことですけれども、こういう形で消費者委員会が意見を述べられるということについては初めてだと思うんです。例えば今ある官庁が認可する標準約款については、逐次見直すとか、そういうことになりますでしょうか。

(答) 約款の見直しのところでどういうふうにやっていくかというのは、まだ一般的な議論はしていないのですけれども、例の消費者契約法の不当条項規制の問題というのは、当然約款規制の問題とリンクしていますので、将来的にはそれで見直していくということをやらないといけないと思います。
 ですから、標準約款とか推奨約款だからといって、必ずしもいいものばかりではないのです。ですから、将来的にはそれを見直していくことは大事だろうと思います。問題は、標準約款に限られませんね。

(事務局) また個別にございましたら、いつでもお越しいただければと思っております。
 それでは、ここで終わりにいたしまして、次回は4月の第1水曜日ということ、また御案内はさせていただきたいと思います。

(河上委員長) 時間はどうですか。

(事務局) 1時という時間はどうですか。2時から長官の記者会見があるので、同じ曜日のちょっと早い時間。終わった後でもいいんですけれども、委員長は夕方、大学の講義がおありになるので、この時間にセットさせていただいているということです。

(記者) いいと思います。

(河上委員長) では、しばらく続けてみることが大事ですね。よろしくお願いします。

(事務局) ありがとうございました。

(以上)