松本消費者委員会委員長 記者会見

2011年5月13日
消費者委員会

日時

2011年5月13日(金)16:09~16:20

場所

消費者委員会大会議室1

質疑応答

(事務局) それでは、慌ただしいところで申し訳ございませんが、引き続き、委員長記者会見ということでよろしくお願いしたいと思います。
 内容については、先ほど御紹介もいたしましたので、御質問がございましたらお受けしたいと思います。

(問) 「建議」の3ですが、これは消費者委員会としては、宅建業法の改正を求められているのか、それとも特商法の対象にすべきだということで明確にされているのかということが1つ。
 もう1つは、山口委員が先ほどおっしゃっていた、地方自治体の中での消費者行政部門と宅建業部門との間の連携といいますか、これは建議の中のどの部分なのかということを、ちょっと確認です。

(答) 法制化、明確化につきましては、現在、宅建業法の規定で特商法と比べて不足している部分があるではないかと、そこについては早急に手当をしていただきたいという趣旨です。
 それから、都道府県における所管部局が協力をするようにというのは、要望としては我々ございますが、消費者委員会は直接、地方自治体に対してどうこう建議できるというものではございません。したがって、消費者庁と国土交通省に対する建議の中身として、それぞれが所管する行政における地方に対する指導の中で、それぞれの担当課がもっと協力して法執行に臨んでくれるように指導をしていただきたいということを中央官庁に建議をしている、そういう構造です。

(問) 2点あります。国土交通大臣に対しては、後日、建議書を手渡しということですが、今、委員会が終わった段階で、国土交通大臣と消費者担当大臣に対して建議をしたという事実は、今日の段階でそういうふうに申し上げていいのかが1点と、もう1点は、大前提として最初に伺うべきでしたが、この建議をまとめられた今の所感と、今後どういうふうに改善が進めばいいかという、今の御感想を聞かせてください。

(答) 最初の方ですが、建議は、消費者委員会として決議いたしましたから、これでオープンになりました。実際に大臣にお渡しするという行為は、消費者行政担当大臣に対してはこの後すぐに行いますが、国土交通大臣の方は今般の状況で大変お忙しいということで、いつということはまだ決まっておりませんが、できるだけ早く直接お渡ししたいと思っております。
 その他、直接この問題の所管ではございませんけれども、消費者政策会議のメンバーであります府省の担当官に対しては、別途、文書をお渡しすることになっていますから、ほとんどすべての政府の官庁にこの建議が行き渡るということでございます。
 それから、建議をしての所感ということですが、消費者委員会として今まで建議を何本か出してまいりました。その一つのパターンが、実際に苦情が多い問題について取り上げて、自ら調査をして問題点をはっきりさせて、こうすべきだという建議をするというものです。今回の建議は一番いい形で取り組めたし、しかも、取り上げ始めてから数か月とかなり早くまとめることができて執行することになったということで、消費者委員会といたしましては一応その任務を果たせたというふうに思っております。
 問題は、この後、建議の名宛てでありますところの国土交通省、それから消費者庁が、きちんとこれの内容について取り組んでいっていただけるかどうかということであります。我々としましては、8月を目途に、この建議に対する取組み状況について消費者委員会に対して報告をいただきたいということで、一応デッドラインを決めて迅速な対応を促しているということでございます。

(答・山口委員) この問題は、くしくも消費者委員会が調査を始めてから規制仕分けの対象にもなりまして、各行政部局が、これは本当に前向きに取り組まなければならないという認識を共通にしつつあったテーマです。現実に来週月曜日には、国土交通省の総合政策局不動産産業課で「マンション購入の悪質な勧誘に係る研修会」をなさるそうです。消費者委員会がしり押しして、国土交通省も積極的に動いていただけるようになったという意味では、先行した調査の過程においても国交省の方に事前にいろいろ話はしていたわけですが、早くも実効が上がりつつあるなという、その辺の実感はございます。

(問) もう1点だけ。先ほど会議の中でも再三おっしゃっていましたけれども、現状のマンションの販売方法、手法に関する問題点、その現状を、今、どのように見ておられるのか。それぞれ所管する省庁、今回の建議を受けてどのように対応していただきたいか、もう一度、重複になりますが、すみません、伺わせてください。

(答) 特に国土交通省ですが、被害の実態をきちんと見ていただいて、どう対応すべきかということを考えていただきたい。その際、非常に参考になるのが特定商取引法、つまり訪問販売による悪質被害を救済するためにどういうふうに法律の規定が整備され、運用されてきたかということです。もう1点は、金融関係の被害が大変多くて、それに対応するために金融庁がさまざまな法律を整備して運用を強化してきている。この2つの取組み、特定商取引法の取組みと、金融商品取引法を初めとした金融関係の取組みというのが、マンション勧誘被害に対してどう取り組むべきかを考える際のヒントになると思っています。
 実際の消費者からの苦情を見ますと、はっきり言って、一番悪質な訪問販売における苦情とほとんど同じです。それは同時に、悪質な金融被害における苦情ともかなりのところで重なってくるところがありまして、恐らく、従来訪問販売の世界で悪辣なことをやっていたグループ、あるいは金融の世界で悪辣なことをやっていたグループが、それぞれの分野における取締りの強化の結果として取締りの甘いところに流れ込んできているのではないか。従来の不動産取引における消費者苦情というのは勿論ありましたけれども、現在出ているようなタイプとは相当違うタイプのものが多かったと思います。説明が不十分だという説明義務違反的なものが多く、今回のように強引勧誘的なものはそれほどございませんでした。不動産をめぐる消費者被害の質が、ここ1、2年で相当変わったのではないかと考えておりまして、そういう状況の変化に対して、不動産業を所管しているところの国土交通省の担当課が少し認識が甘かったのではないかなと思っております。
 今回、不動産業の方の規制がきちんと行われるようになると、悪質業者は恐らくまた、すき間のあるといいましょうか、法律がきちんと整備されていないようなところを探して、そちらの方に移動することも考えられますから、消費者委員会としましては、どういう苦情・相談が寄せられるかということについてのアンテナを高く張って、また、必要であれば建議を行いたいと考えております。

(事務局) ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。これで終わりにいたします。

(以上)