第77回 食品表示部会 議事録
日時
2025年2月21日(金)14:00~16:11
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- 【委員】
- 今村部会長、中田部会長代理、穐山委員、阿部委員、小川委員、笠岡委員、川口委員、河野委員、菅委員、鈴木委員、田中委員、森田委員
- 【消費者庁】
- 井上審議官、清水食品表示課長、坊衛生調査官、京増食品表示調査官、斉藤課長補佐、宇野課長補佐
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 開会
- 食品表示基準の一部改正に係る審議
- 令和6年度「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」の概要について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:101KB)
- 【資料1】 食品表示基準の一部改正案に関する御意見の概要及び御意見に対する考え方(令和7年2月21日時点 速報版)(PDF形式:404KB)
- 【資料2】 栄養強化目的で使用した添加物の表示について(追加資料)(PDF形式:685KB)
※【資料2】については一部修正がありましたので、2月25日に差し替えしました。 - 【資料3】 令和6年度「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」の概要(PDF形式:1694KB)
- 【資料4】 答申書案・報告書案(PDF形式:242KB)
- 【参考資料1】 諮問書(令和6年12月25日付 消食表第1165号)(PDF形式:82KB)
- 【参考資料2】 内閣府令案 新旧対照条文(PDF形式:1311KB)
- 【参考資料3】 栄養強化目的で使用した添加物の表示について(PDF形式:477KB)
- 【参考資料4】 栄養成分表示に関する改正案について(PDF形式:1199KB)
- 【参考資料5】 個別品目の表示のルールの見直しについて(PDF形式:2612KB)
《1.開会》
○友行参事官 時間となりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会第77回食品表示部会」を開催いたします。
本日は、今村部会長、中田部会長代理、阿部委員、小川委員、川口委員、河野委員、菅委員、田中委員、森田委員に会場にて、穐山委員、笠岡委員、鈴木委員にオンラインで御出席いただいております。なお、御都合により、監物委員、前田委員が御欠席されておりますが、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
また、本日の議題の対応のため、消費者庁から井上審議官、清水食品表示課長に御出席いただいております。
本日、報道関係者のみ会議室にて傍聴いただき、一般傍聴者にはYouTubeによりオンラインにて視聴いただいております。
議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたします。議事録が掲載されるまで、YouTubeでの見逃し動画配信を行います。
本日お配りしております資料は、議事次第に記載しておりますとおり資料1から資料4、参考資料1から参考資料5となっております。
もし不足の資料等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
それでは、今村部会長、以降の進行をお願いいたします。
《2.食品表示基準の一部改正に係る審議》
○今村部会長 それでは、進行を今村のほうがさせていただきます。
本日は、食品表示基準の一部改正についての2回目の審議でございます。前回の審議で宿題事項となったパブコメの主な意見に対する回答や栄養強化目的で使用した添加物表示について、消費者庁からの追加説明を聴取した上で、これについて審議を行い、答申を取りまとめたいと思います。
今回、二つ議題がございまして、一つは表示基準のことで、もう一つが即時型アレルギーの全国調査の結果ということで、前半、15時ぐらいを目標に一つ目の議題を終えて、後半、二つ目の議題に入りたいと思います。
前半が終わる際に、諮問案について検討するわけですけれども、現在までに消費者庁の食品表示懇談会や個別品目ごとの表示のルール見直し分科会の構成員を兼務されている阿部委員、小川委員、田中委員、森田委員におかれましては、今回の答申を取りまとめる段階では、今回の諮問事項に係る議論に参加されているということですので、消費者委員会の本会議や下部組織の対応において議論の決議から外れていただく予定をしております。ですので、答申を取りまとめる際には退席をしていただくということになって、また、そこで取りまとめた後に再入室していただくというような流れで進めたいと考えております。
それでは、消費者庁から20分程度で説明をお願いいたします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 消費者庁食品表示課の宇野と申します。よろしくお願いいたします。
最初に、パブコメで頂戴した意見に対して、考え方とともに御紹介いたします。
最初に、栄養強化目的で使用した添加物に関して御説明いたします。
本件に関しまして、賛成ということで御意見を5件いただいております。
そのほかには、栄養強化目的で使用した添加物について、栄養成分表示の義務化を検討すべきという御意見をいただきました。
これに対する考え方としましては、本基準改正と同時に、食品表示企画課長通知であります「食品表示基準Q&A」も改正する予定です。その中で、栄養強化の目的で添加物を使用する食品については、当該強化した栄養成分の量を栄養成分表示に表示することが望ましい旨を記載する予定でございます。
次の御意見としましては、栄養強化目的の添加物について、物質名表示を義務化すべきという御意見をいただきました。
これに対する考え方としては、物質名表記については、現在、食品表示基準の中で、物質名表示をしなければならないということを既に規定しております。なお、簡略名や類別名も使用は可能としております。
続いての御意見は、消費者に対して添加物の理解度向上に向けた取組に注力されたいという御意見を頂戴しました。
こちらに対しては、引き続き、周知・普及に努めてまいります。
最後にいただいた御意見、栄養強化目的について、その用途を明確に表示するための方法を新たに検討すべきという御意見を頂戴しました。
用途名表示の在り方につきましては、令和元年度に開催しております食品添加物表示制度に関する検討会で既に議論がされております。その中で、複数の機能を持つ添加物の用途名は事業者による差が生じやすく、消費者が用途について誤認するおそれもあることなどから、現行制度を維持するということで取りまとめられております。
以上です。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 続いて、3ページにございます栄養素等表示基準値等の改正に関係する御意見の御紹介とその考え方を述べたいと思います。
まず一番上になりますが、栄養素等表示基準値及び別表第12の改正に賛成という意見が4件ございました。
次に、別表第9に規定する食物繊維について、0と表示することができる量の規定を追加したことについては、実際に含まれているものを含まれていないと誤認させるものであるから反対という意見が2件ございました。
これにつきましては、令和5年度に調査事業を実施しまして、食物繊維については大きな試験室間の誤差が生じることが明らかとなりました。したがって、実行可能性の観点から、低含有量である場合に、生じ得る許容差の範囲や測定誤差を考慮しまして、コーデックス委員会のガイドライン等を参考に、許容差の範囲の見直しと、0と表示することができる量の規定の追加をするものになります。
今般の改定によって、食品関連事業者の表示の実効性を高めるということから、食物繊維の量が表示される食品が増えることで、消費者が食品を選択する際の情報が増えることが期待されると考えております。
次に3ページ目、最後の部分になりますが、別表第10の改正について、経過措置期間中に、改正前後のどちらの基準値を用いているかが消費者に誤認がないように図られたいという御意見がございました。
平成27年に食品表示基準を制定した際には2015年版の栄養素等表示基準値であること、食事摂取基準のどのものを使ったかを分かるような方法で表示することが望ましい旨を、「食品表示基準について」という通知で示しております。今般の改正においても同様に対応したいと考えております。
次に4ページ目をお願いいたします。別表第10の栄養素等表示基準値に規定されている栄養素等表示基準値の改正と同時に、別途調査事業を行っており、報告書を公表しました栄養機能食品の機能の表示、同表の第4欄に掲げる栄養機能食品の基準値を改正すべきではないかという御意見が2件ございました。
栄養機能食品については、栄養成分の機能の表示だけではなく、当該食品の栄養成分の上・下限値、摂取をする上での注意事項についても規定されているところでございます。そのため、調査事業等で見直しが終了した規定から五月雨式に改正してしまうことは、食品を製造する食品関連事業者等にとっても過度な負担となることが予想されます。したがって、これらの規定をまとめて改正することとしたいと考えております。
また、栄養素等表示基準値について、頻繁に改正することで消費者に混乱を招くおそれがあることに留意し、今後、当面の間は、改正すべきでないという御意見もいただいております。
栄養素等表示基準値の根拠は日本人の食事摂取基準となっております。この日本人の食事摂取基準については、これまで5年ごとに見直しが行われてきております。したがって、頻繁な改正までは想定されませんが、御意見として承りたいと思います。
9ページ目の下から二つ目も栄養成分表示に関するものなので、併せて御説明します。別表第10栄養素等表示基準値及び別表第12の改正に係る経過措置期間について、配合割合の変更等で包材の変更等に時間やコストを要することを踏まえて、3年間ではなく5年間にすべきという御意見を5件いただいております。
こちらについては、安全や栄養等の健康に関する事項につきましては、食品関連事業者に速やかに対応していただくべきものと考えております。その上で、当該改正事項については、通常、2年間程度で経過措置期間を設けているところですが、今回の改正においては、食品関連事業者の実効性を踏まえまして、3年間としたところでございます。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 申し訳ございません。5ページに戻っていただきまして、引き続き個別品目ごとの表示ルール見直し関係のパブリックコメントでございます。
まず、基本的に今回の基準の改正に賛成であるという意見が5件寄せられました。
そのほか、反対、食品表示基準の対象となる食に係る定義の冷凍ハンバーグステーキ、チルドハンバーグステーキの定義について、食肉の原材料及び添加物に占める重量の割合が50パーセント超えたものという規定、別表19の一般用加工食の個別的表示事項のうち調理冷凍食品における衣の率、皮の率の規定をなくすことについて反対という意見と、あとは調理冷凍食品、チルドぎょうざの規定を削除し、第9条の横断的表示禁止事項のみを表示禁止事項の根拠とすることに反対という意見がございました。
こちらの御指摘の旨につきましては、令和5年度食品表示懇談会の取りまとめにおける横断的な基準に合わせることを基本としつつ、食品ごとの個別の事情や制定の経緯、消費者の要望等を踏まえながら検討するという基本方針に沿って議論を行ったところでございます。その議論におきまして、調理冷凍食品につきましては衣の率や皮の率の表示義務がある一方で、そのほかの惣菜のエビフライやぎょうざにはそのような表示ルールはございませんので、一部の品目にだけ課せられたルールがあるのが、逆に消費者が表示を比べて選択しようとした場合に比較ができず、表示が活用できていないという意見もあったところです。
また、現時点において、特定の品目にだけ義務を課す合理的な理由もございませんので、そういったことを踏まえまして廃止することとしたところでございます。
そのほか何件かありますけれども、主なものだけ説明したいと思います。
次の6ページをお願いいたします。
コーデックスやEU並みの原材料パーセント表示の実現に向けた検討を行うとともに、その検討時期を明示すべき。
こちらにつきましては、コーデックスやEUにつきましては、いわゆる商品名に冠表示しているものについては、その配合割合を表示するという制度がございますので、そちらについても国際整合性を取る上で合わせる検討をすべきであるということで、その検討時期を明示すべきという質問だと理解しております。
こちらの回答につきましては、令和5年度の食品表示懇談会におきまして、原材料の量的表示、原材料や添加物の表示方法、包装前面栄養表示等も含めた諸外国との表示制度の整合性につきましては、個別品目ごとの表示ルール及び食品表示へのデジタルツールの活用について等の論点が抽出され、これらの議論を踏まえた上で議論していくという形でございますので、諸外国との表示制度の整合性も含めまして、懇談会において今後の議論の進め方について検討していく予定としているところでございます。
そのほか、7ページの一番最後でございます。品質事項だけでなく、今後、衛生事項についても見直しを行うべき。
こちらにつきましては、今回、実施している個別品目ごとの表示ルールの見直しでございますけれども、今回行っておりますのは、旧JAS法由来の表示事項のみの見直しでございますので、意見としましては、旧食品衛生法由来の個別の品目ごとの表示ルールについても見直しを行うべきという御意見だと理解しております。
こちらについて、旧JAS法由来の品質事項の検討の進捗としましては、ちょうど今、半分ぐらい終わったところですので、残り半分を来年度また検討していきたいと思っております。旧食品衛生法由来の検討については、その検討の進捗を見ながら検討していくこととしているところでございます。
8ページの最後でございますけれども、品目ごとに施行時期等が分散することを防ぐため、全ての品目の検討が終わった際に一斉に改正すべきという御意見でございます。
こちらについて、個別品目の見直しにつきましては、改正を先延ばしにする合理的な理由がありません。既に見直しが終わったものについて、他の品目が終わっていないからといって待つ合理的な理由もございませんから、検討を終えたものから順に改正を行っているところでございます。
ただ、経過措置期間につきましては、施行時期や経過措置の終了時期を極力合わせるなど、実施時期の予見可能性を高めるための方策も議論するとの食品表示懇談会の基本方針に沿って、令和12年4月1日に完全施行とする案を取りまとめました。こちらにつきましては後ほどお話しします。
続きまして、経過措置期間関係ということで、9ページでございます。
経過措置期間につきましては、諸改正の経過措置期間について、完全施行日を統一すべきであったり、五月雨式に終了することのないよう配慮すべき、経過措置期間を十分に取るべきであるというところであったり、食品添加物のところについては5年でなく3年にすべきというようなことであったり、調理冷凍食品については7年にすべきというような意見がございました。
こちらについて、類似の事項の改正に当たりましては、通常、2年間程度の経過措置期間を設けているところですが、今回の改正におきましては、食品表示懇談会の取りまとめにおける施行時期や経過措置期間の終了時期を極力合わせるなど、先ほど申しましたとおり、実施時期の予見可能性を高めるための方策を含め議論するとの基本方針に沿いまして、令和12年4月1日に完全施行する案を取りまとめております。
ただ、施行日につきましては、パブリックコメント時点では、令和7年4月1日としておりましたけれども、事業者に新たな対応を求める改正事項について、経過措置期間も設けていることから、4月1日ということに必ずしもこだわる必要もないので、公布日に施行することと修正したいと考えております。
そのほか、10ページでございます。食品表示の変更に計画的に対応できるよう、食品表示に係る見直しの当面の検討・改正方針を示されたいというところでございます。
こちらについての回答でございます。今後、食品表示の検討を行うに当たって踏まえる必要がある事項としては、以下のとおりと示されたところであります。諸外国との表示制度の整合性、個別品目ごとの表示ルール、食品表示へのデジタルの活用、改正内容の施行時期、食品表示制度の消費者への周知について、各検討事項の議論の進め方についてというところが示され、懇談会において、原材料の量的表示であったり、原材料や添加物表示方法、包装前面栄養表示等も含めた諸外国の表示制度の整合性について、個別品目ごとの表示ルールについて、食品表示へのデジタルツールの活用について等の論点が抽出されて、これらの議論を踏まえた上で、令和6年度については個別品目ごとの表示ルールと食品表示へのデジタルツールの活用について、懇談会の下に分科会を設置して検討することが取りまとめられたところであり、この二つの分科会での検討のめどがついたところで、諸外国との表示制度の整合性を含め、懇談会において今後の議論の進め方について検討する予定としているところでございます。
最後、もう1点、1ページにお戻りください。一番初めに説明すべきだったのですけれども、意見募集の結果というところで、今回のパブリックコメントの意見募集期間ですけれども、令和6年12月24日~令和7年1月28日で、寄せられた受付数は総数で49件、寄せられた意見数については94項目、こちらにつきましては1件当たりに複数の意見が含まれているものをばらしてカウントしております。うち、今回の改正事項の内容に関する意見数は69件であったということでございます。
私からの説明については以上でございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
資料2はどういう形で御説明いただけますか。お願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 それでは、続きまして、前回の部会で、栄養強化目的で使用した添加物に関しまして、簡略名や一括名、用途名などに御質問いただきましたので、資料を準備してまいりました。
資料2の1ページです。
こちらは加工食品における添加物表示を御紹介したスライドとなっております。一番上に、原則として、使用した全ての添加物を「物質名」で食品に表示と書いております。
また、米印がついていまして、スライドの下に、物質名は簡略名などを用いることができるとしています。
この部分に関しては、食品表示基準の第3条で規定をしております。物質名を表示するということを原則としますが、同時に、一般に広く使用されている名称である簡略名や類別名に代えることもできると規定をしております。
また、添加物表示の例外もありまして、スライドの真ん中から下ですけれども、一括名で表示を認めているものも一部あります。用途名を併記させるものも一部ございます。一括名に関しましては、イーストフードなどですけれども、複数の組合せで効果を発揮することが多く、個々の成分まで全てを表示する必要性が低いと考えられるということで、一括名表示を認めております。
その次ですけれども、食品中に常在する成分であるため、一括名で表示をしても表示の目的を達成できるということで、調味料などがこれに該当しますが、一括名表示を認めているものもございます。
用途名併記に関しましては、消費者の関心が高い添加物に関して、甘味料などですけれども、これらについては物質名の前に用途名を併記するということをルールづけしております。
2ページです。
こういった表示の規定がございますけれども、このことに関しましては、令和元年度に食品添加物表示制度に関する検討会という検討会の中で、当時の添加物表示制度を踏まえまして、今後の食品添加物表示の在り方についてということで検討をしております。
その中で最後に報告書をまとめておりまして、スライド下部分ですが、一括名、簡略名・類別名表示及び用途名表示の在り方ということでまとめています。これまで30年以上用いられてきたことから、消費者にとってなじみがあり、一定の役割を果たしてきた。一方、一括名表示、簡略名・類別名表示は、使用した個々の添加物が分からない場合がある。用途名表示に関しても、併記させている添加物は8用途に限られているため、用途が分からない場合があるという当時の制度を踏まえまして、検討会ではコーデックスなどを考慮して検討を行っております。
最終的なまとめといたしましては、一括名表示、簡略名・類別名の表示については、文字数の大幅な増加による表示面積と見やすさ・分かりやすさのバランスを考慮する必要がある。用途名の表示については、複数の機能を持つ添加物の用途名は事業者による差異が生じやすく、消費者が用途について誤認するおそれもあるといったことを踏まえて、現状維持とすることが適当と考えるとまとめております。
3ページです。
現在の表示について、例を作ってまいりました。
栄養強化目的の添加物を使用したチョコレート菓子という想定です。
一番左側が栄養強化目的の添加物を省略している例です。添加物欄を見ていただいて、栄養強化の添加物の記載はございません。なお、乳化剤と書いてあるのが一括名表示の例です。甘味料とあるのが用途名併記の例となります。
真ん中が栄養強化目的の添加物を物質名で表示した場合です。黄色い箇所が栄養強化目的の添加物です。
右側が、同じ添加物を使用していますけれども、一括名や簡略名・類別名を使用した例となっております。
原則としては、物質名で表記というルールですけれども、一般名としての簡略名・類別名も認めているというのが現在の表示制度となります。
最後に4ページですが、参考ですが、一括名の例として、一括名を認めているのは現在14種類です。イーストフード、ガムベース、かんすいなどですけれども、これらの表記を右側の添加物、これらの複数で使われている添加物をまとめて一括名とするということも認めております。
左下の簡略名は、左側が名称ですけれども、簡略名として右側の表示も認めております。
用途名の例については、現在認めているのは8用途に限りまして、記載しております甘味料、着色料、保存料などに限定をしております。
以上、御説明となります。
○今村部会長 御説明ありがとうございました。
このパブリックコメントに対して、丁寧な回答をしていただきまして、ありがとうございます。
それでは、各委員の皆様からの御質問、御意見をいただきたいと思います。御発言のある方は、会場では挙手を、オンラインの方は挙手ボタンでお知らせいただきたいと思います。いかがでしょうか。
田中委員、お願いします。
○田中委員 御説明ありがとうございました。田中です。
続けて、違う項目でも2点、パブコメについて。
○今村部会長 全体を通じてどの項目でも結構です。
○田中委員 分かりました。
まず最初に栄養成分表示の0という許容差の点です。そもそも栄養成分表示というのは、栄養教育の意味も多く含まれているということです。技術的観点から、許容差の範囲によって0と書ける点で、でも実際は0ではないよねというようなことがあります。栄養教育という観点からいえば、0と書いた途端に、それを見て食べる人が、栄養課題に即した問題が起こるということではないということです。0と書くことによって、とり過ぎとなる、健康影響が起こって即座に健康を害するというようなことはまずないでしょう。
たとえそれが繰り返しとるからということであるならば、そのこと自体が、食生活に問題があるのではないかということだと思います。そういった強調表示と併せて、的確に理解してもらえるような栄養教育の普及啓発が必要ではないかということです。これについて別に反対ということではありません。
もう一つは、個別品目ごとの表示のルールの見直しにおいて、パブコメにもありました、品質の低下を招くのではないかということだと思います。今回の見直しは、品目ごとルールの整合性を図ったということです。品質についてはやはりモニタリングを行う必要があるのではないかというのが私の考えです。
食品安全基本法には、食品安全確保のための枠組みから、自ら調査という概念が含まれています。ここでは、安全性確保の意味での品質保証の向上が含まれてはいます。一方、食品表示法については、事業者の自ら調査の概念は含まれていますけれども、ここでは人への健康影響といった安全性の確保についてが主な内容となっています。
今回は、品質や表示に関する価値観との整合性については、モニタリングしていくことも必要ではないかと。消費者庁の自ら調査というのがあるかと思いますので、そういったところが活用できるのではないかと考えています。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
後半は消費者庁への御質問と考えてよろしいですか。
○田中委員 はい。
○今村部会長 消費者庁からお答えいただけるならば。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 はい。品質の低下というところの御質問だと理解しております。
そもそもとして、何をもってまず品質が悪いのかどうかというところを判断するのは正直難しいと考えております。もともと個別品目ルールができた経緯につきましては、旧JAS法ができたときに、JAS規格と共に表示制度ができております。御存じのとおり、JAS規格自体、任意の規格ですけれども、そのJAS規格自体が品質を担保するための規格であったというところから今回スタートしていますので、それに引っ張られる形で表示もあったということでございます。
ただ、現在におきまして、基本的にそもそも昭和40年、50年代の品質を上げないといけないといったところから、今の令和の時代において品質自体をどこまでというところもありますし、表示自体は品質を含めて商品を選択するためのものであって、特に直接品質を担保するためのものではありません。品質の担保については今もJASの規格のほうでやられておりますので、JASマークがついているものもあると思いますけれども、そういった形である程度の一定の線引きができているということでございます。
とはいえ、おっしゃっているとおり、この改正によってどういう形のものになっていくかというのは、我々としても今後考えていかないといけないところなのかなということは思っているところでございます。
以上でございます。
○今村部会長 今の田中委員の御趣旨としては、この改正によってどうなったかちゃんとフォローされる予定があるかという御質問なのですけれども、そこら辺はどうでしょうか。
○消費者庁食品表示課清水課長 フォローすべき内容というか、品質というところがよく分からないところで、何を調べたらいいかが判断しかねる、分かりかねるというところです。
○今村部会長 そこら辺は田中委員、いかがでしょうか。
○田中委員 ここに書いてあるとおりで、そこは客観的というよりも、社会的な判断が求められるのではないでしょうか。要するに衣が多くなったとか、中身が少なくなったという改正に伴う何らかの消費者への変化を見てもいいのではないかということです。
一定の品質というたがが外れるといろいろなものが出てくる中で、そのときに消費者がどういうものを求めているのか、どのような変化があったのかということを知っていくことも必要ではないかということです。
○今村部会長 消費者庁、いかがでしょうか。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 そちらにつきましては、基本的にはいろいろな商品が出てくる中、消費者が値段であったり味であったりで選んでいく話ですので、そもそも商品が均一であること自体がいいことなのかどうかは分かりません。いろいろな商品がある中、それを味であったり、値段であったり、様々なことで消費者が選んでいくことだと考えておりますので、それがいい悪いという我々の判断もなかなか難しいところですので、そういったことをなかなかフォローするのは難しいのかなと思ってございます。
○今村部会長 田中委員。
○田中委員 分からないのであったら、そこも調べてもいいのではないですか、ということです。
○今村部会長 なかなか調査は難しいとは思うのですが、極端に悪い例が起きていないかどうかということは、消費者庁のほうでもぜひ確認をしてもらいたいところであります。ただ、今お話があったように、品質が均一化すること自身がいいことではないということは確かにあるので、その中で明らかな改悪がないかということは、それこそ国民生活センターの苦情が増えるとかというようなことが一つメルクマールにはなると思うので、そういったことにはアンテナを張っていただいて、この改正がマイナスになっていないことの確認をしてもらいたいと思います。
よろしいですか。
○田中委員 ありがとうございます。
○今村部会長 今、ウェブからお二人、手が挙がっております。鈴木委員、穐山委員の順番でお願いします。その後また会場に戻します。
では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。よろしくお願いいたします。
御丁寧な御説明いただきまして、ありがとうございました。
今回の食品表示基準の一部改正の部分についてですが、消費者の理解を促進し、食品の選択の利便性を高めるという観点から、おおむね賛成いたします。
そのうえで1点要望がございます。資料2に記載の栄養強化目的の添加物の表示に関して、誤認を防ぐために適切な記載を行うことが重要ではないかと考えます。
特に略称を用いる場合でも、一般消費者が誤解なく利用できるよう、補足説明や一貫した表記ルールを設けることが必要かと思います。
3ページ目をご覧ください。今回非常に分かりやすく物質名のみの表示や、一括名と別名を組合せた分かりやすい表示を示していただき、非常に理解がしやすくなっていると感じます。感謝いたします。
簡略して見やすい表示となっている一番右側の例示について、例えばカルシウムをCaと、マグネシウムをMgというように、元素記号を用いた簡略名を使用しています。これについては、元素記号自体は学校教育で習うということから、多くの消費者にとって理解しやすいものと考えます。
一方で、ビタミンB2の後に記載されているリシンのようなアミノ酸名の認知度が低い点が課題となります。正しく活用していただくためには、アミノ酸である旨のような補足的な表示をする必要もあるのではないかと考えます。
このリシンについては、調味料として使われる場合には、一括名で調味料と記載した後に、グループ名でアミノ酸と表示するなど、アミノ酸に分類される旨を明確に表示することによって、消費者の誤認防止につながると考えます。安全にはそれほどかかわるものでありませんが、より適切な理解を促す措置としては有用ではと考えております。
また、真ん中の物質名で表示した例示のように、表示の文字情報の量が増えてしまうと情報過多となって、可読性が低下するという懸念があります。このため、簡潔で分かりやすい表示形式を確立し、ガイドラインや例示集などの作成を検討していただきたいと考えます。例えば一番右側の分かりやすい表示は、一般的な食品で若干の栄養強化をしたもののときには、消費者が求める情報量として適切だと思います。
一方で、機能性表示食品のように栄養強化に特化した商品では、より具体的な情報を記載したほうが良いケースもあるかと思います。表示導入後の実態も踏まえながら、どの食品にどの程度の情報の表示が求められるのか消費者調査を継続していただき、次の表示方法の整理などに生かしていただくことを希望しております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
今の御指摘、消費者庁、何か対応が考えられますか。ガイドラインなり事例集ということですけれども、よろしいでしょうか。
○消費者庁食品表示課清水課長 すみません。その前に今の御発言の趣旨を確認させていただきたいのですけれども、3ページのリシンの例をおっしゃっている中で、消費者が正しく活用するとか誤認を防止するというようなお話があったのですけれども、そこで誤認を防止するの「誤認」というのは、何とどう誤認するのを防止するというような観点なのか、教えていただけたらと思います。
○鈴木委員 使用用途が明示されていないため、単純にリシンと記載された場合、どのような目的で使用されているのかが分かりにくい点が課題と考えます。誤認というのは少し行き過ぎた表現でしたが、情報が適切に理解されず、結果として消費者が正しく活用できない状況が生じる可能性があります。アミノ酸を過剰摂取した場合などに、どの程度の健康被害があるかはわかりませんが、それがアミノ酸であることが理解されないことによって、たんぱく質などの摂取を制限されている方などが正しく判断できないことも考えられるため、発言させていただきました。
○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 もう一つ確認させていただいてよろしいでしょうか。
今の御趣旨からすると、一番詳しく書くと「アミノ酸(リシン(L-リシンL-アスパラギン酸塩))」とかと書くのが一番正確で一番分かりやすいかと思うのですけれども、そういうことを言っているのでしょうか。
○鈴木委員 以前、栄養強化に関する一括名を作成し、調味料のようにグループ名で表示する方法について提案させていただいたこともあるかと思います。ただ、グループ名のアミノ酸などの表示については分かりにくい部分もありますので、現時点でどういった形の表示が最適かを断言することは難しいと考えます。しかし、ご指摘のようにアミノ酸という表記を加えた上で表示する方法は、消費者にとって最も理解しやすいのではと考えます。
○今村部会長 消費者庁、いかがですか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 今の御意見は、用途名とはまた別に新たにアミノ酸表示をつくったほうがいいという御意見だと受け取りましたけれども、添加物表示制度の在り方というところでは、令和元年度の検討会で現状維持が適当であるということの整理が行われておりまして、今、新たな検討は計画しておりません。
添加物の指定のときには、必ず一つの名称が登録されるので、この物質名の表示を原則とするということが一番違和感なく、消費者への情報提供としても適切であると考えます。ですが、文字数の制限ですとか、もうちょっと分かりやすいようにという側面もあるということは理解しておりますので、簡略名も認めるということを既に食品表示基準の中で規定をしておりますので、物質名を原則、ただし簡略名も認めるというところでは、既に運用がうまく回っているのかなと考えるところでございます。
○今村部会長 今のアミノ酸の扱いについては、今後の検討課題の面が大きいとは思いますので、またアミノ酸の扱いということは別途考えていただく一材料だとは思いますが、今回の改正に加えるという話ではないのかなと思います。
○鈴木委員 鈴木です。
ご指摘のように、今回の改正にすぐに反映させるというよりも、今後の運用において実際の状況を踏まえた対応が望ましいと考えています。今回も消費者調査の結果を基に検討されているかと思いますので、引き続き、この点についても調査を継続し、必要に応じて変更を検討していただくのが良いのではないかという趣旨の提案でした。
○今村部会長 これは今後の消費者庁で検討いただく課題ということで、御意見としてお伺いすることでよろしいですか。
○鈴木委員 結構です。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、続いて穐山委員、お願いします。
○穐山委員 御説明ありがとうございました。
私も栄養強化の目的の添加物の表示例をお示しいただいたところを見せていただきたいのですが、私も前回はっきりしなかったのですけれども、真ん中の添加物のdl-α-トコフェロール、私、国立衛研の添加物部にいたのですが、そのときにdl-α-トコフェロールは使用基準で酸化防止目的以外使用不可という用途制限があるのです。つまり、dl-α-トコフェロールは酸化防止目的以外使ってはいけないのです。けれども、これは栄養目的に入れているという理解ですよね。だから、これは適切ではないのではないかなと思いました。
あと、もしこれをビタミンEの強化剤で入れるのであったら、d-α-トコフェロール酢酸エステルかトコフェロール酢酸エステルは強化剤で入れられるのですけれども、これはビタミンEなのであまり過剰に摂取してはいけないので、特定保健用食品とか栄養機能食品以外は使用不可になっているのです。
今回、チョコレート菓子ですから、これが特定保健用食品とか栄養機能食品に当たるのであれば使ってもいいのだと思うのですけれども、ただ、それも使用基準で150ミリグラム未満ということになっているので、目安量ですけれども、これは例として不適切ではないかなとちょっと感じました。
ビタミンEというのは、基本的には特定保健用食品と栄養機能食品以外は使ってはいけない、栄養強化してはいけないので、その辺、消費者が迷ってしまうのではないか、企業も迷ってしまうのではないかなとちょっと思いました。
○今村部会長 ありがとうございます。
今のビタミンEの扱いについて、消費者庁からコメント、回答をお願いします。
○穐山委員 私の記憶では、11月5日までの使用基準だったら、dl-α-トコフェロールは酸化防止目的外使用してはいけないのです。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 使用してはいけないということではなく、主な目的としては酸化防止剤ですけれども、それ以外の目的で使用してはいけないという使用基準ではないかと思います。
○穐山委員 今、私が見ている使用基準では用途制限がかかっています。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 私も見ていますが、違うものを見ていますか。
○穐山委員 「dl-α-トコフェロール(ビタミンE)」ですよね。ただし書がありますけれども、β-カロテンとビタミンA、脂肪酸エステル及び流動パラフィンの製剤中に含まれる場合はこの限りではないと。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 理解いたしました。失礼しました。
そうですね。酸化防止目的以外の使用不可ということが書かれておりますので、この例としては正しくなかったです。申し訳ありません。
○穐山委員 これは栄養の先生に聞きたいのだけれども、栄養強化の目的でビタミンEを普通の菓子に入れてはいけませんよね。特定保健用食品とか栄養機能食品だったら入れてもいいのですけれども、例えばトコフェロール酢酸エステルかd-α-トコフェロール酢酸エステルだったら強化目的に特定保健用食品とか栄養機能食品に入れていいのですけれども、チョコレート菓子はそれに当たらないのではないかなと思いました。
○今村部会長 ありがとうございました。
例示としてはあまり好ましくないということなので、資料としては差し替えてもらうことが必要かなと思います。
少なくとも今回、ビタミンEの扱いについては、ここに書くにはあまり適切でなかった、もしくはこれが栄養機能強化食品であるというような前提がないとちょっと難しいということですので、資料のほうはまた消費者庁のほうで訂正を考えていただくということでよろしいですか。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 申し訳ございません。分かりやすく説明するため、架空の食品を作った結果、基準と齟齬(そご)が出ているところがありますので、そちらについては資料を訂正させていただきます。
○今村部会長 ありがとうございます。
穐山委員、それでよろしいでしょうか。
○穐山委員 添加物の場合、他のビタミンの場合もそうなのですけれども、使用基準がありますので、資料をあまり多くしてしまうと問題があることもあるので、使用基準と齟齬がない程度に表示していただければなと思っております。
○今村部会長 ありがとうございます。
資料の再検討はまた消費者庁のほうでお願いしたいと思います。
会場のほうに戻って、ほか御意見いかがでしょうか。
では、森田委員、お願いします。
○森田委員 栄養強化目的の添加物についての話が今続いておりますので、その件について、このときの添加物表示制度の検討会、2019年のときの委員だった私のほうから申し上げます。これは私が強く要望して、添加している栄養強化目的のもの、わざわざ添加しているのにそれを省略してもいいというのは国際的ルールに照らし合わせてもおかしいし、消費者にとっても、それをきちんと書かれていないのはおかしいということで、それは隠さないでちゃんと出してくださいということが主な主張です。それで調査をしていただくことになりました。
その後すぐになかなか変えていただけなかったのは、調査の期間が長く設けられて、実際に栄養強化目的で使っている添加物のものは、書かれている側の方が大変多かったということがわかりました。
一方、最近なのですけれども、完全マルマルとか、何とか栄養食とかミネラルとビタミンを添加している食品が今、大変増えてきています。その中には添加物として入れているものもあれば、例えば昆布の粉末みたいにミネラルを目的として入れている原材料の中に入っているものがあります。ビタミン、ミネラルを全部、これ1食分で1日の3分の1とれますというような、完全マルマルみたいなものに関して裏の一括表示には、添加している添加物はもちろんちゃんと書いてもらわなければいけないと思います。そして原材料も書いてもらわなければいけないのですが、先ほど鈴木委員がおっしゃった、添加物のほうは物質名で書くということで、まだ栄養強化のものが入っているなというのが分かりやすいのですけれども、原材料のほうになると、これは多分ミネラルで、鉄分はこれを入れているのかなというのが全く分からないような、実態はそういう状況にあると思います。
その中で、少なくともとにかく添加物を全部省略しないで出してもらうということが主目的でして、それを先ほど例えば一括名でくくる、栄養強化剤でくくる、文字数が多いからというのは、本来の添加物の検討会のときの意図ではありません。添加しているものは全部省略せずに書いてくださいという意味です。なので、一括名にするとかということは、本来のそのときの主張の意味ではないので反対ですし、また、用途名併記で書くとなると、用途名を栄養強化だけをプラスして持ってきて書くのがいいのか、という議論にもなると思います。まずは先の検討会で言っていた省略してもいいと言ってブラックボックスだった栄養強化目的の添加物を全部ちゃんと出してくださいと。物質名で出したほうがよいものもあれば、消費者の分かりやすさの中で簡略名もありという現状維持でということを希望しています。
○今村部会長 ありがとうございます。
この改正が望ましいという御意見と受け止めました。ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
では、菅委員、お願いします。
○菅委員 菅です。今日もよろしくお願いします。
幾つか質問というか意見というか両方ですけれども、まず、先ほど田中委員もおっしゃった資料1の3ページの二つ目の枠のパブリックコメントについてなのですけれども、前回も少し質問させていただいたのですが、0と表示できる基準の決め方は、現在の方法では限界レベルであって、これを0と表示してもおかしくないのだというようなことを追加で御説明いただいたのだと理解しているのですけれども、3ページ二つ目の右側の枠のご回答だと、左側の枠の質問の趣旨にストレートに答え切れておらず、許容性の点についてあまり言及されていない内容であるため質問とかみ合っていない部分があるのではないかなという印象を持ちました。要するに安全性や品質などに誤認を生じさせるとまでは言えないものになっている基準ですよということについて、何がしかフレーズは選んでいただくとして、回答として言及していただくほうがかみ合うのではないかなという感じがいたします。
あと、同じく田中委員がおっしゃったことの中で、品質の低下を招かないかのウオッチの話ですけれども、これは思いつきのレベルでしかないですが、恐らくこういうパブリックコメントのご意見が出てくるのは、「何パーセント以上」などという形で率を表示してあったものをなくしてしまうこととなるような部分のところで、十分その率はクリアしているという現状があって廃止されるものだと理解はしていますけれども、量的なものがあったときに、それがなくなったことで、もともと定められていたものよりも割合的に少ないものが廃止後にたくさん出回っているというような状況になってはいないよということを例えばウオッチして、心配に及ばなかったというようなことをリサーチするということはできなくはないのかなと。ウオッチの必要性の度合いは物によるのかもしれないのですけれども、もし改正後にチェックをするということであれば、そういう部分のところのほうは比較的調査がしやすいのかなという印象を持ちました。
それから、全く新たな質問なのですけれども、資料1の7ページの一番上の枠のご意見とご回答ですけれども、「農産物缶詰又は農産物瓶詰」において、「生鮮な」や「完熟した」を削除すべきではないという意見があるようですけれども、右側に一定のお答えはいただいているとは思うのですが、検討過程ではどのような議論があったのか、どうして削除することになったのかを改めて少し補充してお聞きできたらと思います。
要は「どのような原材料を使用するかについては」というところなのだろうと思うのですけれども、特定の規定の削除についてご意見が出てきて、今までの資料中では積極的には御説明いただいていないところなので、念のため御説明を改めていただけたらと思います。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
前半のほうは御意見ということでお伺いしてよろしいですか。
後半のほう、7ページの議論について、コメントをお願いします。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 ありがとうございます。
7ページの一番上の別表第3「食品表示基準の対象となる食品に係る定義」のうち「農産物缶詰又は農産物瓶詰」において、「生鮮な」や「完熟した」の規定は削除すべきではないという御質問という形でございます。
これだけ見ると何のことか分からないので、例えばとして、パインアップル缶詰の現状の定義について説明させていただきます。現状、パインアップル缶詰の定義につきましては、農産物缶詰のうち、パインアップル(Ananas comosusに属する完熟した果実をいう。)というのが定義になっておりまして、恐らく完熟した果実の完熟の規定を削除すると、完熟していないものまで入るのではないかというようなことだと思います。こちらは定義でございますので、そもそも完熟というもの自体がどういったものを指しているのかというところが曖昧な中で、定義の部分に曖昧な言葉を残すというところも難しいところで、そもそも「完熟した」を削除したところで、完熟していないものが使われることになるのかというと、そういったことにはなりませんので、定義ですので、曖昧な部分はなるべくきれいにするというところが今回の改正の趣旨という形でございます。
○今村部会長 菅委員、いかがでしょうか。
○菅委員 ありがとうございます。何かとの統一とかそういうことではなくて、もともと定義が曖昧な部分があった部分の表現を削除したという趣旨だと理解しました。
○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 おっしゃるとおりで、「生鮮な」も同じで、何をもって新鮮なのかというのはなかなか難しいので、定義からは削除しているところでございます。したがいまして、定義から消えたからといって何か物が変わるというわけでもないという形でございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
今、前半の目標の15時になって、途中退席される予定の先生もおられるので、御意見のある方、あれば手短に。
では、川口委員、お願いします。
○川口委員 どうもありがとうございます。
丁寧な説明どうもありがとうございます。
1点だけ質問というか確認をさせていただきたく、お願いいたします。
資料1のパブコメへの考え方についての3ページ目の栄養素等表示基準値の改正のところになります。3ページの三つ目のところで、どの基準値を基にしているか分かるような表示をすることを推奨してくださる予定とのことですけれども、この対象というのは全てなのか、それとも強調表示をしていて改版が必要となった場合のみなのかというのが質問です。
ここで例示に挙がっている2015年のときはそれまで任意だった栄養成分表示が義務表示になって、エネルギーが熱量になったり、ナトリウムが食塩相当量になったりとか、ほぼ全ての食品に影響する大きな変更であったと認識しています。それもあり、混乱しないように、その前後のどちらであるかが分かるような配慮が求められたのだと。
その際にも、入れたらどのタイミングで外すのかといったような声があったが、今回は3年間の経過措置期間内に外すということになろうかと、前回そのような回答がありました。栄養教育としては、基準値が変わったことはもちろん周知すべきです。けれども、基準値が変わったからといって、個別の食品の栄養成分値が変わるわけではなく、強調表示以外の表示は変わらないのかなと。消費者にとって有益な情報になるのであれば、推奨していただきたいと思いますけれども、今後も今回のようなケースが5年ごとに出てくるのではないかと思われますので、確認させてもらいました。どうぞよろしくお願いします。
以上です。
○今村部会長 回答いただく前に、笠岡委員、鈴木委員がもうすぐ退席される予定なので、もし諮問案の決議まで付き合っていただけるのであればそれでお願いしたいのですけれども、そうでない場合には、諮問の決議に当たっては座長に一任していただくということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。できるだけ諮問の決議まではいていただきたいと思っているのですけれども。
○笠岡委員 かしこまりました。決議まで大丈夫です。
○今村部会長 ありがとうございます。
○鈴木委員 私も最後まで、決議のところまで。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、消費者庁から御回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 御質問ありがとうございます。
栄養素等表示基準値の改正については、こちらにお示ししましたとおり、食品表示基準についての中で、どの日本人の食品摂取基準を参照しているかを表示いただくことが望ましい旨を記載する方向で調整をしたいと考えております。
食品表示基準を制定した際にも、実は新旧の基準値が混在するという問題が生じております。前回、栄養素等表示基準値が変更となった際も、食品表示基準を制定したので何に取り組んでいただくかよりは、混在してしまうことに対して措置したものと考えておりますので、今次の改正でも新旧が混ざることについて、例えば新しい基準値を用いていただく食品に「2025」と表示いただくことが望ましい旨を通知するというイメージです。
○川口委員 ありがとうございます。
聞きたかったのは、どういうものを想定しているのかイメージが湧かないということ。変わったから、混在するから2025年版で変更するものについて書くというのは分かるのですけれども、それは新たな強調表示や強調表示をしていて表示まで影響になり改版する場合だけという理解でよろしいですねという確認でした。
○消費者庁食品表示課斉藤課長補佐 おっしゃるとおりです。
○川口委員 ありがとうございます。分かりました。
○今村部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございます。
おおむね議論としては終結して、合意が得られたのではないかと思います。
では、審議は以上とさせていただきまして、本件に関する答申の取りまとめに入りたいと思います。
最初にアナウンスさせていただきましたように、阿部委員、小川委員、田中委員、森田委員におかれましては、大変恐縮ですが一旦退室いただくようにお願い申し上げます。
(阿部委員、小川委員、田中委員、森田委員退室)
○今村部会長 ありがとうございます。
では、諮問案の審議に入りたいと思いますけれども、諮問案の説明を事務局のほうからお願いしてよろしいですか。
○友行参事官 承知いたしました。
それでは、資料4を御覧いただけますでしょうか。答申書とございます。
令和6年12月25日付消食表第1165号をもって諮問のあった、食品表示基準の一部改正について、下記のとおり答申するとしております。
記といたしまして、食品表示基準の一部改正について、諮問された改正案のとおりとすることが適当であると。
答申書については以上でございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
今、御説明いただきましたように、資料4のとおり、御提案いただいている諮問案のとおりで了承するという案でございます。
この案について、御同意いただける方の挙手をお願いします。
(賛成者挙手)
○今村部会長 ありがとうございます。
賛成多数と認めますので、ここに書かれております改正案は原案どおり可決されたと考えております。
了承ということですので、この内容で手続を進めさせていただきます。
なお、ここに書かれている改正案とは参考資料2の新旧対照表になります。
答申書の内容は委員長に報告させていただきまして、その同意を得た場合、消費者委員会の答申として発出させていただきたいと思います。
以上をもちまして食品表示基準の一部改正に係る審議は終了とさせていただきます。
この件については、大変長い期間、長い時間、議論にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。
では、審議を続けていきたいと思います。もう入ってもらうということで、今、退席いただいている4人の委員の先生方にもう一度部屋に戻っていただくということで、しばらくお待ちください。
(阿部委員、小川委員、田中委員、森田委員入室)
○今村部会長 4人の委員がお戻りですので、議論を再開したいと思います。
議論の再開の前に、井上審議官、お願いします。
○消費者庁井上審議官 ありがとうございました。一言、御礼も含めて申し上げたいと思います。
委員の皆様には、日頃から、食品表示制度について御指導、御助言を賜っておりますこと、この場をお借りしまして改めて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
本日の答申案の取りまとめにつきましても、本当にありがとうございます。
消費者庁といたしましても、引き続き、国民のニーズに合った食品表示制度の企画・立案・運用に努めてまいりたいと考えてございます。
途中の説明でもございましたけれども、本年度の制度の検討に当たっては、令和5年度の食品表示懇談会における取りまとめを踏まえまして、個別品目ごとの表示ルールとデジタルツールの活用について、それぞれ分科会を設置いたしまして、今回御審議をいただいた個別品目のルールの見直しについても、その分科会の議論を行ったものでありまして、今回の諮問案で約半分の品目が終わったという状況でございます。
まだ検討を行っていない残りの半分の品目についても、来年度、引き続き検討して、今年度と同様に諮問させていただきたいと考えております。さらにこれらの分科会での検討にめどがついたところで、諸外国との表示制度の整合性も含めて、今後の議論の進め方についても検討してまいりたいと考えてございます。
本食品表示部会の皆様におかれましても、今後とも御指導、御助言賜りますことを改めてよろしくお願い申し上げます。
○今村部会長 ありがとうございました。
消費者庁から、今までの委員の先生方への御協力の感謝の言葉と、今後の議論の見通しについてコメントをいただいたと理解しています。ありがとうございます。
《3.令和6年度「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」の概要について》
○今村部会長 では、前半の議論をこれで終了させていただいて、後半の議題「令和6年度『即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査』の概要について」ということで進めていきたいと思います。
消費者庁では、おおむね3年ごとに本調査を実施していただいていまして、今般、最新の調査結果が取りまとまったことから、この結果の御報告となります。
消費者庁から20分程度での御説明をお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 それでは、引き続きまして、食物アレルギー表示について御説明をいたします。
全国実態調査の最新結果が出ましたので、その御報告となります。
2ページです。
最初に、調査に入る前に制度の御説明をいたします。こちらはアレルギー表示に関する変遷でございます。制度を開始しましたのは平成13年でして、このときは厚生労働省が食品衛生法の中で制度を開始しております。当時は、特定原材料として義務表示5品目、特定原材料に準ずるものとして推奨品目19品目のところからスタートしております。このときも全国実態調査の結果を踏まえまして品目の決定をしておりまして、全国実態調査は、この当時から続いている調査となります。
その後、調査結果を踏まえまして、アレルギーの原因食品となる品目の追加、最近では令和6年3月には初めて削除ということをしております。
次のページをお願いします。
現在の特定原材料等ということで、スライドの真ん中に示しております。特定原材料であるえび、かに、くるみなど8品目は義務表示となっています。特定原材料に準ずるものとしては、アーモンド、あわび、いかなど20品目を推奨表示としております。品目について、追加・削除の基となるのが全国実態調査ということになっております。
4ページをお願いします。
全国実態調査の結果概要を御説明いたします。
5ページです。
調査方法ですが、制度開始当初からの調査における協力医師、調査対象、調査方法全てを踏襲し、継続性を重視して引き続き行っております。
今回の調査結果は、令和5年1月~12月に行いました。
調査対象は合計6,562例で、この中から記載に不備があったものなどを除外して6,033例を解析対象としています。
6ページです。
年齢分布です。0歳が最も多く、全体の23.5パーセントでした。
なお、中央値は3歳という結果でございました。
7ページです。
原因食物です。円グラフの左側が品目別で表したものです。最も症例数が多かったものは鶏卵で全体の26.7パーセント、次いでくるみが15.2パーセント、次いで乳が13.4パーセントという結果でした。
参考として、右側に品目を類で表した円グラフをつけております。木の実類ですとか魚類といった表記をしております。この類別表記をしたときに、木の実類が第2位に上がってきているという結果となりました。木の実の詳細を表したものが右側の表でして、最も多いのがくるみ、類をばらした場合でも左の円グラフのとおり第2位になっております。次いでカシューナッツ、次いでマカダミアナッツという結果でございました。
8ページです。
年齢別の原因食物を表しております。0歳では鶏卵、牛乳、小麦ですけれども、1歳以降、食生活の幅が広がるにつれまして、木の実類である、くるみやカシューナッツが入ってきているという結果になっております。なお、これは各年齢分で5パーセント以上の原因食物を表した表となっています。
9ページです。
こちらは初発の原因食物を表しております。同じように各年齢群で5パーセント以上の原因食物を表しています。先ほどと同様に1歳以降、食生活の幅が広がる中で、くるみやカシューナッツが原因食品として入ってきております。
10ページです。
解析対象6,033例のうち、意識がなくなるなど重篤な症状を表すショック症例を呈した原因食品です。最も多かったのは鶏卵が全体の23.2パーセント、次いで牛乳が16.2パーセント、次いでくるみの14.7パーセントという結果でした。木の実類の内訳を示しておりますが、第3位にくるみ、第5位にカシューナッツと、ナッツ類が上位に入ってきております。
11ページです。
考察及び結果です。左上のグラフが上位品目の症例数比率の推移を表しております。消費者庁になりました過去5回分の調査結果を表しております。木の実類を赤色で示しておりますが、木の実類の症例数比率が上昇しているということが顕著に分かるかと思います。
右上のグラフは、木の実類の詳細を品目ごとに表しているものでして、赤色のカシューナッツが上昇していることが分かります。なお、黒い色で示しているくるみについて、上昇が激しい傾向が分かりますけれども、くるみは今日現在、義務表示にしておりますので、注目すべきは現在推奨品目である赤色のカシューナッツかと考えます。
木の実類による即時型食物アレルギーは、2017年、2020年の調査に続き増加していることが明らかとなりました。
また、木の実類の中でもくるみ、カシューナッツによる症例数の増加が著しいということが分かりました。
マカダミアナッツ、ピスタチオ、ペカンナッツの増加率も前回調査から1.5倍以上であり、今後の推移を注意深く観察する必要があると考えております。
12ページです。
こちらは消費者庁になって以降、過去5回分の調査結果をまとめています。品目が書いてあるのは原因となった食物名となります。括弧書きは順位です。その下の数は症例数です。斜体字は、調査年度における割合を示した表となっております。
カシューナッツを黄色に着色いたしましたけれども、カシューナッツは今日現在、推奨品目でありますが、回を増すごとに順位ですとか症例数、また症例数の割合も上昇していることが分かります。
13ページです。
こちらは特に重篤な症状を現したショック症例数の推移となります。同様にカシューナッツを黄色にしておりますけれども、順位、症例数、症例数に占める割合、いずれも上昇しているということが分かります。
こういった結果を踏まえまして、現在、消費者庁ではカシューナッツについて、推奨品目ではなく義務表示へ移行するということを想定しておりまして、加工食品中からカシューナッツを検出する検査法の開発にも着手しているという段階でございます。
御報告は以上です。
○今村部会長 御説明ありがとうございました。
まずは消費者庁の食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議の構成員である穐山委員からのコメントをお願いします。
○穐山委員 星薬科の穐山です。
今、宇野課長補佐から御説明がありましたように、くるみに引き続いてカシューナッツのアレルギーの患者さんの数が上昇しているという結果が出ています。今日、宇野課長補佐はお示ししていなかったのですけれども、同時に輸入量が平成29年からかなり増加しておりますので、それと患者数の増加がパラレルということから、蓋然性が高いのではないかなと考えております。
ということで、検査法は今、別の検討会で開発しておりますけれども、そちらが確立したらおそらく表示のほうで義務化の検討がされるのではないかなと考えております。
あと、今日ちょっとお話しされていましたが、ピスタチオの患者数も若干上昇している可能性があります。これが同時に推奨表示にあがってくる可能性がありますので、この辺もいずれ御議論していただくことになるかと思っております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
続いて、本日欠席の前田委員からコメントをいただいておりますので、事務局からの紹介をお願いします。
○友行参事官 前田委員からコメントをお預かりしております。
消費者庁からの調査報告をいただき、ありがとうございます。
即時型食物アレルギーの実態が大変よく分かる調査結果だと思います。今後も引き続き精度の高い実態調査を継続していただき、実態を基に食品のアレルギー表示が検討されていくことを希望いたします。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
以上のようなコメントの上に議論を始めたいと思いますが、最初に私からコメントさせていただきますと、これの第1回目の調査は私がさせていただいた調査でして、調査票も私が作ったまま使っていただいているのではないかと。今この制度がこれだけ育ってきていることを心からありがたいと思いますし、例えば当時はそばが大変大きな問題だったのですけれども、これを見ていると明らかにそばのアナフィラキシーが減っていますので、全体の相対的な位置が下がっているということで、これは本当に表示していただいたおかげでアナフィラキシーが減っているのではないかなと、この資料を見て感慨深いものです。
ただ、この調査は実際学会のほうには大変な負担をかけるので、1回目の調査のときにも、混乱とは申しませんけれども、相当怒られながら調査をした覚えがございます。ですので、これに協力していただいているアレルギー学会の皆さんにも心から感謝を申し上げたいと思います。
では、委員の皆様からの御質問、御意見をいただきたいと思います。会場の方は挙手で、オンラインの方は挙手ボタンでお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
では、田中委員、お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
調査、お疲れさまでございました。
ちょっと分からないので質問させていただきたいのですが、ここに原因物質が特定されないものについて幾つかの例が挙がっているのですが、アレルギー反応というのは、交差反応や加算効果といった場合にもメカニズムが作用するということがあるかと思います。その場合、特定されないと思われますが、それもこの中に入っているということですか。
○今村部会長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 確認ですけれども、特定されない353例というところでございますか。
○田中委員 特定されない場合は、そういったものも入っているのか、入っていないのかというところです。今回の場合だけでも結構です。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 解析対象に入っていないです。
○今村部会長 特定はされないけれども、食物アレルギーのアナフィラキシーだという場合には、報告されて、原因不明となっているという意味ですよね。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 報告の中には353例入っていましたけれども、解析対象としては含めなかったということです。
○今村部会長 田中委員、それでよろしいですか。
○田中委員 報告には入っているということで、分析はしていないということですね。特定されないからですね。分かりました。
○今村部会長 疑いで入っていた場合に、どんなふうにされていましたか。原因不明と書いていたけれども、これはカシューナッツではないのと書いてあったような場合があったと思うのですけれども、そういう場合、どういう処理をされていますか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 特定されているものについての解析対象と理解しています。
○今村部会長 では、疑い段階のやつはもう外しているということなのですか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 はい。
○今村部会長 分かりました。ありがとうございます。
田中委員、よろしいですか。
○田中委員 はい。
○今村部会長 ほかいかがでしょうか。
川口委員、お願いします。
○川口委員 どうもありがとうございます。
調査の報告、どうもありがとうございます。
症例数の推移を見て、前回から比べてくるみも木の実類も2倍近くになっていて大変驚いているところです。平成25年以降で木の実類が順次義務や推奨に追加されてきたのが妥当であったことを改めて認識しました。
その上で質問ですけれども、今回、キットが開発できたらカシューナッツも義務化に向けて進められるのではないかと御説明がありましたけれども、ほかにもピスタチオ、ペカンナッツ、あとヘーゼルナッツも、まだ推奨にもなっていない木の実類の数字がどんどん上がってきているのが大変脅威に感じています。どの程度の水準になれば特定原材料に入れるとか、準ずるものにするとか、何か基準があるのですかというのが一つ目の質問です。
もう1点は、木の実類がこれだけ次から次へと対象になってくると、これらをもしもくくった場合、もう既に推奨まで行っているものは別として、今後の木の実類をくくった場合、消費者にとってどういったデメリットがあるのか。ピスタチオは発症するけれどもヘーゼルナッツは大丈夫といった方もいらっしゃると思うので、その辺り、消費者にとってのデメリットが分かれば、教えていただけたらありがたいです。よろしくお願いします。
○今村部会長 では、消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 御質問ありがとうございます。
追加する際の基準という一つ目の御質問ですけれども、最初何もないところから推奨に上げるときの考え方というのは、過去にアドバイザー会議のほうで整理をしておりまして、過去2回分の全国実態調査の結果を見ていくということで、読み上げますと、即時型症例で上位20品目に入っている。あるいは、ショック症例で上位10品目に入っており、重篤度等の観点から別途検討が必要なものということで、いずれかに該当する場合には推奨に入れるということをまとめております。
なお、推奨から義務にするときの考え方というのは整理をしておりませんけれども、アドバイザー会議での御意見を踏まえまして、もう推奨では耐えられない、義務にすべきだという御意見を踏まえまして、消費者庁のほうで検討しております。
あと、御質問の二つ目のくくった場合ということですけれども、川口委員がおっしゃったように、患者さんで、これは食べられるけれども、あっちは食べられない、ペカンナッツは食べられるけれども、ヘーゼルナッツは食べられないみたいな方にとって、木の実類という表示をしてしまうと商品選択ができないということで、日本としては品目ごとに指定をしていくということで、制度を動かしております。
○川口委員 どうもありがとうございました。分かりました。
○今村部会長 ありがとうございます。
では、菅委員、お願いします。
○菅委員 菅です。
お聞きしようと思ったことが川口委員からも一部出たので重複は避けますが、先ほど義務化をするのに検出するためのキットが要るという御趣旨だったのだと思うのですけれども、ぱっと見てカシューナッツを早く義務にしてあげないといけないレベルになっているのではないかと思ったので、そこについてはぜひ早く開発されるといいなと思うのですが、入っているか入っていないかというほうのキットの話ではなくて、一般的なアレルギー検査の現場において、広く「木の実類」はチェックの対象にされているものなのでしょうか。要は初めて食べた木の実類のアレルギーにびっくりするという形なのかなと。そばなどは伝統的に、ひょっとしたら自分はそのアレルギーかもしれないと思って、子どもの頃から日本人全体が心配する対象になっているとして、そういうものと違って、最近輸入が増えて、私たち委員は情報として知っているつもりでも、こんなに木の実でアレルギーが多発しているということについては、意外とまだ周知も啓発も十分ではないかもしれないときに、自分は木の実類を食べても大丈夫かどうかということが気軽に検査できている状況なのか、一般的なアレルギー検査をするとき、私が今日声がおかしいのは花粉症のせいなのですけれども、そういう形で検査する項目の中にふだん積極的に取り入れられているような形になっているでしょうか。なっていないのであれば、そういう形で最初から一度もアナフィラキシーショックなどを受けられることなく回避できるようなことも必要かなと素人ながらに思いました。
また、ご説明からするとカシューナッツが次に義務化されるかどうかということになると、また次回の調査の御報告があるぐらいのタイミングということになるでしょうか。もちろんキットができればということでしょうけれども、次回報告ぐらいの時期を目安に導入されるかもしれないと思っておいたらいいでしょうか。
以上です。
○今村部会長 では、以上2点、御回答をお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 御質問ありがとうございます。
最初に御質問いただいた気軽に検査できるのかというのは、ヒトが反応する検査のことだと理解しました。そうすると食品表示と離れてしまって、何とも私がお答えしづらいですけれども、厚労省のアレルギー疾病対策の中の一つとして、何十項目か一遍に検査ができるというようにしていると思うのですけれども、その中にナッツは結構入ってはいると認識しています。ただ、どこまで入っているのかは今お答えできませんけれども、一遍にキットみたいなことで検査できるような体制を厚生労働省のほうでリードして進めているかと思います。
御質問二つ目のカシューナッツの義務化ということは、方向性といたしましては、アドバイザー会議での御意見も踏まえまして、消費者庁として義務化をしようということは方向づけしておりますが、検査法開発を現在進めていまして、令和7年度中に完成させたいと考えております。めどが立った時点でまた部会のほうに諮問させていただく運びを計画しております。
○今村部会長 アレルギー検査について、穐山委員、お願いします。
○穐山委員 穐山です。
今の菅先生の御質問の件なのですけれども、基本的にCAP-LAST法という血清中のIgE抗体を測定する方法はあります。ただ、御自身がそういう症状ではないかということが分かった時点で検査をするのが一般的なのではないかなと思います。症状が出たときに、病院に行って、自分がくるみのアレルギーの可能性があるということでチェックするのが一般的と思います。
ただ、先ほどの資料で、くるみとかカシューナッツの初発が結構低年齢なのです。1歳、2歳とか3歳、6歳なので、その時点で初めてくるみあるいはカシューナッツのアレルギーだということが分かるわけだと思います。そのときにお母さんがこの子はくるみアレルギーなのか、カシューナッツのアレルギーだと疑いが判明した時点で、検査するか検査しないかが判断されるのではないかなと考えております。
あと、検査法なのですけれども、検査を作成した経験がある人間としては、今回、くるみとかカシューナッツの抗原というのは結構難しい分析対象物質であります。たんぱく質を検査するのですけれども、今までのたんぱく質の検査法に比べて、学術的に難しい、研究的に難しい分析対象物質であって、しかも、監視の目的に検査法をつくるので、分析法の公定法にする場合、一定の妥当性の検証が必要なのです。ですので、慎重に分析をつくっていかないといけませんで、やはり時間がかかるということは御理解いただきたいなと考えております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
今村から穐山委員に教えてもらいたいのですけれども、くるみが義務化されるときに、結構カシューナッツと分けるのが難しかったから義務化に時間がかかったという経緯があったと思うのですけれども、今、くるみはカシューナッツと分けられると考えていいですか。
○穐山委員 くるみとカシューナッツはそんなに交差しないのですけれども、くるみとペカンナッツは交差してしまうのです。ただ、今回、ペカンナッツもある程度交差した形での検査法になっているかと思います。それは臨床の先生がそちらのほうがいいということでしたので、そういう目的で検査法を開発いたしました。
今回、カシューナッツの場合は、ほかにもあるのですけれどもピスタチオと交差しやすいのですが、比較的交差反応性は弱い抗体を今、開発しているのではないかなと考えています。
○今村部会長 ありがとうございます。現状の確認もできました。
菅委員、いかがでしょう。
○菅委員 ありがとうございます。詳しい説明でイメージが湧きました。
実際には、原因究明のレベルでは検査が使われても、積極的に事前に防止するというのには必ずしも使い切れないところもあるのかなと思いましたが、いずれにしても検査できるようになっているということで、安心しました。
以上です。大丈夫です。
○今村部会長 ありがとうございます。
臨床検査はラストという方法で多分できるのですけれども、まず患者さんが疑うということが必要で、疑うという意味では、表示してくれていないと疑えないという状況があって、それが推奨表示というような概念をつくり出していて、実際のところ起こってしまってアナフィラキシーを起こしていくということであったら義務表示にしていくというような流れの中で、表示と実際の患者さんとはキャッチボールしながら進んでいくような制度なのだと思っています。私が言うのは変かもしれませんが、それなりに思いがありますので。
ほかいかがでしょうか。では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 御質問というよりは要望になるかと思いますが、実は先ほど今村部会長がそばのお話をされたことで思い出したのですが、そばはそば本体を食べてアレルギーを起こした場合にはそばとすぐ分かるのですが、そばアレルギーが話題になったときに、ブラックペッパーの原材料にそばの殻が使われていて、お子さんがそばアレルギーなのだけれども、ブラックペッパーがそばだということは、当時は表示がなかったので、非常に重篤なアレルギーを起こしたということが話題になったことを思い出しました。また、先日、アレルギー研究会の会合がありまして、いろいろな先生方のお話があった中で、くるみやカシューナッツのアレルギーについての問題が話題になったときに、なぜこんな低年齢で起きてしまうのかを考えたときに、小さな子どもが、私たちが想像するくるみやカシューナッツをぽりぽり食べるわけではないということです。
ピーナッツバターの中に、くるみやカシューナッツがコンタミされたり、あるいは原材料として使われていても、くるみとピーナッツは表示されているが、カシューナッツは表示されていないこともあり、低年齢で発症する子どもがいるという報告もありました。
このようなことから、原材料として表示されていないと、大人が食べているくるみ、カシューナッツは分かりますが、子どもが食べるものの中に、原材料として入っているかということに関しては、今後はなるべく早く義務表示にしていただけるよう進めてほしいというお話がございました。特にカシューナッツにつきましては、できるだけ義務表示に持っていけるように、研究や調査をしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
○今村部会長 今の点、消費者庁、よろしいですか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 念のため申し上げますと、カシューナッツは今、推奨表示でして、それを今度は義務にしようとしております。
○阿部委員 ありがとうございます。
○今村部会長 ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
では、小川委員、お願いします。
○小川委員 ありがとうございます。小川です。
私自身は、日本のアレルギー表示が品目別になっている点がいいと思っていますが、一方で、コーデックスなどグローバルだと類で表示をする規定も使われています。そこも踏まえて、7ページでは木の実などの類別を書いてくださっているのかなと思っていたのですけれども、食品表示を見られる方が、外国人の旅行者であったり、海外の方で日本に住んでおられる方もいます。グローバルのルールと、今、日本は少し違う形ですが、整合性を合わせるだとか、何らか対応を取るといった議論があるようだったら教えていただきたい、というのが私の質問です。
○今村部会長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 御質問ありがとうございます。
類別というのは、実はコーデックスのほうでも、今日現在の規程の中ではナッツという縛りになっていますけれども、それを今崩そうという議論をしておりまして、ナッツという記載ではなく、くるみとか、カシューナッツとか、日本に近づいているというような形になります。なので今、日本としてナッツという表記にすることは当面は考えておりませんけれども、昨年度の懇談会においてもそのような御意見が出たところでありまして、そういった御意見があるということは承知しております。
完全にナッツという表示はないかと思いますけれども、例えば「ナッツ(くるみ)」とか、そういうような表記は将来的にはもしかしたら検討材料にはなるかもしれないなと考えている段階です。
○小川委員 ありがとうございました。大変よく分かりました。
○今村部会長 穐山委員、関連でしょうか。
○穐山委員 補足です。
今、宇野課長補佐がおっしゃったように、ナッツに関しては一応国際的にも個々に表示を分けるという方向でいますけれども、我が国では甲殻類をえび、かにと分けております。これは経緯がありまして、えびの患者さんの中にかにでアレルギーが反応する人が65パーセントいて、35パーセントはえびの患者さんでかにを食べることができるというエビデンスがあったのです。そういったエビデンスがあったことから、かにを食べられる人にも選択できるように、えびとかにを分けたという経緯があります。ただ、国際的にはえび、かには分けられないということなので、甲殻類と表示していますが、ここは別に無理に国際的に合わせるよりは分けておいたほうが、患者さんの選択が広がるわけですから、いいのではないかなというふうには思っています。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
日本のアレルギー制度ができたときにも、もうコーデックスの基準はあったのです。でも、実際世界中でそれが導入されているかといったら、当時はもう導入されていなかったし、そういうばくっとした概念での検知法というのもなかったですし、実際患者さんからは食べられるものを選びたいということなので、食べられないものばくっと示されるほうが困るという意見が多かったです。ですので、食べられるものを特定できるようにできるだけ原材料で絞っていくというのと、アレルギーは全ての食品でアレルギーを起こしますので、基本的には法令に載せるようなやつは、アナフィラキシーのような命に関わるような症例なのでしょうと。それ以外は注意喚起の意味での表示なのでしょうと。
ただ、それはコーデックスが言っていたのと大分違っていて、それを無理して進めるためには検知法を開発できたものを義務化するというような、当時としては、世界では多分こんなことをやったのは日本だけだったと思うのです。結果的にはそのほうが世界的にもいいと認められつつあるというように理解をしているのですが、コーデックスの印象としては実際のところどうなのでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 コーデックスでも、ナッツは今分けようとしています。魚類というくくりには崩したらどうかという発言を実は去年のコーデックス表示部会でも日本として発言しましたけれども、それぞれの国での食品への認識、個別の魚の名称を書かれても、それが魚だと分かりにくい人がいるとか、食文化の違いとかもあったりして、魚類に関しては魚類という表示をコーデックスではまとめてはいます。ナッツは今、知見の収集も専門家の分析も整理がついたので、ばらしていこうという動きをしています。
○小川委員 ありがとうございます。
やはり消費者が、特に患者、家族の方が食べる選択をするための情報が非常に重要だと思っているので、私も今の制度がすごくいいなと思っています。
海洋大学ですので、お魚についてコメントさせていただきますと、魚も日本では様々な種類があって、販売されていて、流通されていて、食べる食べられないというのがあるので、これを突き詰めていくと全原材料表示になってしまうのではないかなみたいには思っているのですけれども、リスクが高いものから義務化していく、推奨していくという考え方は妥当なのかなと思っております。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
では、森田委員お願いします。
○森田委員 本日は実態調査の御報告ということで、概要の御説明ありがとうございました。
この中で、5ページ目のところにアニサキスの事例が75例というふうにあって、食中毒統計でもアニサキスが多いということもあるので、一回食中毒になった方が、その後またアニサキスで、加工食品等でアレルギーが出る方がいるということだと思います。アニサキスの食中毒はそのものもですけれども、アニサキスのアレルギーというのはあまり知られていないと思います。ただ、これだけ事例が多くなってきて、一方で、食品の食物アレルギーの制度にはやはり乗っからない。アニサキスの事例が今、増えてきているというようなことであれば、何らかの情報提供みたいなことがあってもいいのかなとも思います。食中毒とは別に、アニサキスのアレルギーというのもあるんだよというのは、今後この増加がどのように増えていくのか分からないのですけれども、75例というと実態調査の中では10位とか11位とか結構多いのです。それが1点です。
それから、1月21日に第7回の食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議がありまして、私はそれを傍聴していたのですけれども、ここでは制度だけなのですが、その中で、カシューナッツに関しては来年度中に特定原材料に移行させてはどうかということと、ピスタチオは推奨表示の追加候補としてはどうかという整理をされているかと思います。
今回は御説明がなかったのですけれども、その議論を聞いておりまして1点ちょっと気になりましたのが推奨表示の考え方なのですけれども、推奨表示に関しては、前回マカダミアナッツを入れたときにマツタケを削除されています。その削除をする考え方の整理というところで、直近4回の全国実態調査の結果において、ショック症例が極めて少量であるものに関しては削除していくというような考え方の整理が既についているかなと思っております。なので、ピスタチオが入るのであれば、28品目を目安にということの議論はどうなったのか。ピスタチオを入れて、今、見ているとペカンナッツも17位で、ヘーゼルナッツも19位なので、今後、次回の3年後にまたこれが20位以内に入っていくと推奨品目に入っていくので、特定原材料とそれに準ずるものが30とか31とかどんどん増えていくということになるのではないかなと思うのです。そういうふうにならないように、28品目を目安にするということが言われていたかと思います。
ショック症例数を見ると、あわびなんかはここ4回で1例しかないので、極めてショック症例数が少ないものだと見えるのですけれども、例えばあわびを削除して、今回ピスタチオを入れるといったような議論がされていないように思ったのですが、いかがでしょうか。28品目を目安にするという考え方が一旦示されているわけなので、食品表示をされている方はもちろんですけれども、外食の方からしても、28品目を一生懸命覚えて、そして提供するときに覚えたりとされているそうです。これからどんどん木の実類が増えていくということになると、28品目を一旦目安にするといった考え方を示しておられるのであれば、極めて少数であるというふうな物の考え方を整理しておかないと、どんどん増えていくのではないかと傍聴していて懸念をしたところです。
今回はそのことについては問われてはいないのですけれども、28品目目安と一旦示されていらっしゃって、マカダミアナッツのときはマツタケも削除されているので、やはり検討を今後していただけないかなと。今回は実態調査だけだったので、その話にはなっていないのですけれども、1月21日の会議を傍聴していてそのように思ったので意見をさせていただきました。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
今の内容について、消費者庁、何かコメントはありますか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 確認ですけれども、今日の資料には載っていないことですけれども、よろしいですか。
○今村部会長 今後のこちらとの議論と関連すると思いますので。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 森田委員、御意見ありがとうございます。
削除する際の考慮事項は、直近4回の結果を見ましょうということで、即時型症例で上位20品目に入っていない、かつショック症例が極めて少数ということで、考え方を既に示しております。それに基づけば、今回の令和6年度の調査結果を踏まえて削除できるものもあるのではないかという御意見だと理解いたしました。
前回、マツタケを削除したときは、直近4回で症例数がゼロだったということを理由の一つとして削除をしまして、今回はゼロが4回続くというものはありませんでした。マツタケを削除したのは令和6年3月です。令和6年度の全国実態調査が行われたのは令和5年の1月~12月で、その後のマツタケ削除ですので、調査結果にまだマツタケ削除の影響が反映されていません。ですので、推奨表示から削除したことでの症例数の変化ということがまだ分からないという状況ですので、今回は拙速に削除品目を新たに加えるということはしないという考えを1月21日に示したということであります。
○今村部会長 では、清水課長、お願いします。
○消費者庁食品表示課清水課長 ちょっとだけ補足させていただきます。
特定原材料に準ずるものに追加するほうは、2回の結果で増えていればという話で、削除するほうは4回の結果でというふうに、ルールとして削除するほうがかなり慎重になっています。
今、宇野補佐が申し上げましたけれども、削除されると、増えるかもしれないじゃないかという御懸念をお持ちになる方がいらっしゃる関係で、削除するほうは慎重な考え方とさせていただいていますし、運用もそうしなければいけないのかなと考えています。今、申し上げたとおり、もう1回の結果を見ないと、これ以上削除することはできないかなと今回は判断させていただいたところです。
あと、28品目を目安にとさせていただいているのですけれども、実は今回いろいろ議論させていただく中で、品目数が全く変わらないのは、逆にちょっと分かりにくいというようなお話もありまして、29品目とかになったほうが、28と書いてあれば古いほうでやっているんだな、29品目中何々が含まれていますだと、新しいほうでやっているんだなというのが数字1文字で分かるのですけれども、同じ28品目だと、前の28品目の中で見ているのか、新しいほうの28品目で見ているのか分からないから、あえて数字をずらしてほしいというような声もいただいています。28品目を目安にということですので、今後の運用のところではその辺も考慮していきたいなと考えております。
○今村部会長 よろしいですか。
最初にアニサキスのお話がありましたけれども、アニサキスの症状そのものがアレルギーなのですね。ですから、おなか痛いと言っていることそのものがアレルギーなので、アニサキス症そのものがアレルギー症状なのです。まさかアニサキスと表示するなんてあり得ないですから。
○森田委員 アニサキスは食中毒統計ではもっと多いですよね。例えば何か魚の加工品を食べたときに、アニサキスの食物アレルギーを起こすというようなことがあるということだと思っていたのですが、そうではないのですか。
○今村部会長 多分違います。アニサキスが胃の壁面に入って起こす痛みそのものがアレルギーショック症状なのです。だから、それを恐らく先生がアレルギーの原因としてのアニサキスを書いているのだと思うのです。アニサキスが普通に入っているかどうかは絶対に分からないので、いかを食べてアニサキスが入っていた、アニサキスアレルギーだということを言うことは多分ないと思うのです。
○森田委員 このアニサキス75例は、アニサキスの食中毒そのものということですか。
○今村部会長 その中で報告されている先生がアニサキス症はアレルギーだから食べてアレルギーを起こしているという概念で報告されている可能性が高いと思います。
○森田委員 そういうことなのですね。
○今村部会長 アニサキスが頭を突っ込んでいるから痛いのだと思っているのですけれども、頭を突っ込んだだけでは痛くならなくて、あそこにアレルギー症状が起こるから痛くなるのです。だから発症して、取ってあげると治るのです。第1回目、どこかでアニサキスにかかっていて、2回目、3回目で発症しているのではないかとは思います。アニサキス、ちょっと変わったものなので、医学会の中でもアレルギーと整理する先生と、基本的には寄生虫の病気だという整理をする先生がおられるという状況だと思います。
○森田委員 分かりました。
○今村部会長 ほかいかがでしょうか。
今、マツタケ、あわびがありましたけれども、最初にこの表示をするときにそこは大変議論になりまして、もう一個、ゼラチンもそうなのですけれども、今、座長をされている海老澤先生と熱い議論を繰り返した結果、マツタケだけは失敗だったなというのが当時の考えで、あとはちょっと微妙という状態で、ただ、あわびもゼラチンも今の担当の方を苦しめることにはなるのだろうなとは思っています。
○森田委員 ありがとうございました。
○今村部会長 ほかいかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田部会長代理 食物アレルギー調査の御報告ありがとうございます。
御説明を伺い、特定原材料による食品アレルギー発症がこれだけ増えているという現実をデータで知ることができました。
同時に、食品表示という観点からは、食品アレルギー表示に注目する消費者というのは、御自身や御家族にアレルギーがあるという自覚がある場合に限定されるのではないかという点が気になりました。
御自身やお子さんにアレルギーがあるという自覚や知識がないと、せっかく食品表示されていても、表示内容を意識して確認しないというリスクもあるのではないかと思われ、その上で私も、先ほどの委員の方の御発言にもありましたが、厚生労働省の管轄になるのかもしれませんが、消費者被害を未然に防ぐという観点からは、国民、特に発生率の高い幼児や10代のアレルギー検査、あらゆる食材を対象にするわけにはいかないと思いますが、例えば発症率の高い特定原材料に対する検査はどの程度浸透している状況なのかということを知りたいと思いました。ただ、本日の調査報告とは直接は関係ないのかもしれません。
消費者保護の上では、消費者がアレルギーを自覚することと食品表示は、省庁横断になってしまうかもしれませんが、食物アレルギー対策の両輪であると感じました。
また、今回の調査で特にくるみやカシューナッツなどがこれだけ急増している状況を拝見すると、消費者自身や家族は関係ない、大丈夫と思っている消費者に対し、必要以上に恐怖心をあおる必要はないと思いますが、食物アレルギーの自分ごと化と、食品表示をあえて見ることの重要性に対する意識を高めるような活動や、関心がある人にはより理解できるような分かりやすい情報発信も推進していく必要があるように感じました。
本日御共有いただいたデータなどは、ファクトに基づいた食物アレルギーの広がりという一つのニュースにもなり得ると思いますので、こういった情報の消費者の方への伝達、あるいはメディアの取材をしていただいて、お伝えいただくといったような活動をぜひ推進していただきたいなと感じました。
以上です。
○今村部会長 ありがとうございます。
アレルギー表示の周知広報ということだと思うのですけれども、何らかの対応はされているものなのでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 力を入れているのは、むしろ事業者さんに、こういった患者さんがいるのですよということで、アレルギー表示の大切さ、表示ミスを起こさないようにというようなことでお話をすることが多いかなと思います。消費者団体に向けての情報発信というのもしておりまして、何も今、症状を現していない方向けの発信というのはなかなかしていないところで、患者団体さんに向けてとかに注力しておりますけれども、広く広報ということで承りました。参考にいたします。
○中田部会長代理 御説明ありがとうございます。
食品表示自体に関心を持っていただくいい機会でもあると思いますので、何らかの形で消費者庁でも御関心をいただいくことも一つの策ではないかなと。toBだけではなくて、toCに向けてもといったところは感じました。
○今村部会長 では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 今お話を伺っていて思ったのは、小さい子どもがアレルギーを起こしているケースが多いということです。このようなことからやはり母乳あるいはミルクから食品に移行するときに、どの食品をどのタイミングでとるかということが非常に重要になると思います。離乳食をどう進めていくかといったときに、この進める段階できちんと食品の表示を活用していただきたい、また、初めての食品は併せて二つのものは食べさせない等、このことは、管理栄養士、栄養士は基本的に分かっていることですが、一般の消費者の方はそこまで理解していない場合もあります。こども家庭庁では、誰一人取り残さない子どもに対しての健やかな成長を支援するという政策などを打ち出しており、ホームページには離乳食のガイドなども丁寧に載っているのですが、食品の表示などについてはもしかしたら情報がなかったのではと思います。このようなことからも、普及啓発をさらにこども家庭庁などとも連携していただけるとよいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○今村部会長 ありがとうございます。
こども家庭庁との連携ということですけれども、今までそういうアプローチというのはあったのでしょうか。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 私自身としては、アレルギー表示に関して特に連携を取ったという経験はありません。
○今村部会長 また今の御意見を参考に、ぜひ今後、離乳食への表示の確認などを含めて御検討いただければと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今回は調査結果の報告ということで、今後、カシューナッツの義務化等がもしなされるのであれば、この食品表示部会にまた諮問案が上がってくるということで、そのときはもっと細かい資料を基に検討するということになるかと思います。まだ作成中ということですので、実際いつぐらいになるかというのはまだめどとしては立っていない。もう立っているのでしょうか。それを言える状況かどうかも含めて。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 令和7年度中を目指しているというところです。
○今村部会長 では、近々来るかもしれないということですかね。
○消費者庁食品表示課宇野課長補佐 また改めて御連絡いたします。
○今村部会長 分かりました。まだ確定していないのは十分理解していますので、今後、食品表示部会の検討事項になっていくことと考えています。
また、アレルギー表示のための調査、なかなか大変な調査だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、お医者さんたちが大変な協力をしているものなので、先ほど田中委員からもありましたけれども、原因なんか分からないよというやつを無理やり調べて調査していただいているので、1回目の調査のときには、そんなことができるかというような話から始まりましたので、先生方とぜひ連携を取って、今、集まっている症例数も昔に比べたら2倍以上集まっているので、本当にいい調査になったと思いますので、ぜひこれを続けていただいて、よい調査にしていっていただきたいと思います。
こちらのほうからは議論の質疑が出たと思うのですけれども、最後、消費者庁から何かコメントとかございますか。よろしいですか。
分かりました。
では、御熱心な御議論、ありがとうございました。
次回の食品表示部会の詳細につきましては、また事務局からお願いします。
《4.閉会》
○友行参事官 本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございます。
次回の食品表示部会の詳細につきましては、追って御連絡させていただきます。
○今村部会長 本当に熱心な御議論ありがとうございました。
一つ目は諮問答申、原案どおり答申させていただくということになりましたし、二つ目のアレルギー表示についても大変前向きな御議論をいただいたと思います。本当にありがとうございました。
これにて「食品表示部会」を閉会とさせていただきたいと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
(以上)